突然だがシーファの隠れ里まぁ村でいいか、村が燃えた。
何故かというとおそらく感情の塊のせいだと思う。感情の塊というのは人々のいろんな感情がたまってそれが何かしらの刺激を受けると、まぁいうところの魔物のようなものになって暴走を始めてしまったものだ。6年間生きてきて何度かこの村を襲ったところを見てきたが今回は相性が悪かった。怒りについての感情が多かったらしく炎をつかってきたのだ。村は森の奥深くにあり建物はもちろんまわりも木や葉ばかりで燃えやすいことこのうえなし。長寿ということで出産率が低い少数のシーファの民はあっという間に村ごと炎に巻かれあっという間に消え去った。生き残ったのはこのシーファの村で唯一の子供であった私だけだ。女たちも自分の夫を置いていけず村に残った。私の母は魔物が村に入ってきたとき魔物のすぐそばにいたせいで真っ先に死んだらしい。私を逃がしたのはそれを刺繍をする私の隣で遠目に目撃した従妹だった。彼女は私に家にあった母の大事なオカリナと、金品を少し、布類、を素早く包み私に持たせ魔物が入った側から離れた門から外に連れ出した。しばらく走ったところで屈み私と目を合わせると私の肩をつかみ、どこか遠くに逃げること、優しそうな人に助けてもらうこと、生き残ることを約束させた。シーファの民は約束を本能的に大事にする種族だ。同意した約束事は決して破らない、そういう風にできている。
娘は私に自分がつけていた琥珀のネックレスをつけると頭をひと撫でしてから村へと踵を返していった。確か結婚まじかの恋人がいたから彼のもとへ帰っていたのだろう。
私は約束を守るため村とは反対方向に走り出した。いつの間にか出ていた涙は止まらず何度も足がもつれて転んだ。シーファの民は身軽で足の速い種族だがまだ6歳からだが追いつかないのだ。
泣きながら走っているせいで息もしずらかった。草木の声を聴きながら一生懸命走った。
村に炎が上がったのは朝だった。食事が終って母は洗濯をしに、父は長と相談事があるそうで集会所にいって、私は従妹に教えてもらいながら刺繍をしていた。もう夜だ、立ち止まって、もうそんな時間なのかと思った、足はもうボロボロだったし転んだせいで膝や手のひらも痛い。
近くの木にとまっていたフクロウが近くの草陰を教えてくれた。
私たちの民と森は友達だ、草木や動物たちはいろんなことを教えてくれる、私たちの小宇宙は森の気配がするらしい。動物たち、特に空を飛ぶ者たちは私たちを無条件で慕ってくれる。しかし別に肉を食べることがダメなわけではない、この世は弱肉強食なのだ。まぁシーファの里では基本肉は食べないが。
その草陰で夜を過ごした、周りを警戒しなければいけないのに私の意識は緩んだ気とともにあっという間に落ちてしまった。疲れていたのだ。夢は見なかった。
朝は近くにあった木の実を食べた。この木の実は甘くておいしいのだ、少し気分が晴れた。しっかり寝たら、少し気持ちが落ち着いて知っかりものを考えられた。思い出してまた泣いてしまったが、それによって心が整理されたのだと思う、起きてしまったことはもう取り戻せないのだ、まえを向かないといけない。生きなければ。
森でこの年齢でひとりで生き残るのはいくら周りの補助があっても無理に近い。なので私は昨夜草陰を教えてくれたフクロウに近くに人の集まる場所を聞いた。起こしてしまったのは申し訳なかった。
フクロウが言うには割と近く、近くといっても2日3日かかるが、町があるらしい。アテナ信仰のある町だと教えてくれた。私はひとまずそこへ向かうことにした。