蠍座のカルディアが連れてきたのは昔に感じた覚えのある森のような小宇宙を持った少女であった。おそらくアテナよりも3、4歳ほど年下であると思われる幼い少女だった。
「頭を上げよ」
そういうとカルディアが頭を上げたのを見て恐る恐る頭を上げていて、思わず笑いが漏れそうになってしまう。
「お主、シーファの民のものじゃな。」
「!!」
「なぜわかったのかと思っているな?…昔若かったころにシーファの民の男に山で助けられたことがあってな。その独特な小宇宙はあの時のものとそっくりだったからの、ふふ」
「そ、そうなんですか…あの、私は…」
その後シーファの子、ズグラは自分のこれまでの境遇を事細かにわかりやすくまとめて話してくれた、この子はその身に会合わぬ頭脳を持っているらしい。聞けば6歳だという、その頃はこの子の師匠のカルディアなんかは毎日駆け回っては倒れてを繰り返していたというのに…
「そうか…よく生き残った。噂に聞くシーファの癒しの力、この度の聖戦に役立ててくれることを願おう。」
銀の仮面を渡してやると、ズグラはカルディアに言われ面をつけた
「おぉ似合ってるぞ!」
「あぁ似合っている。」
「あ、ありがとうございます…!あの、なぜこの仮面は紐もないのにくっついているのでしょうか?そ、それに穴なんて開いてないのに目の前が見えます…というか、どうやってとるんですか!?これ!?」
「まぁ落ち着け、それはひとえに小宇宙のおかげじゃな。それは最初に触れた小宇宙を所有者としてくっつく性質がある、私たち訓練した聖闘士は小宇宙をたれ流したりはしないが、お前はまだ訓練前、まだ小宇宙がだだ洩れなのだ。目が見えるのも所有者に対してそのような効果が発揮される鉱石で作られているからな。慣れれば自分の意志で素早くつけたり外したりできるであろう。外し方については他の者の小宇宙で触ってもらえば大丈夫だ、ほれカルディアやってみなさい。」
「はっ、ズグラこっち向け……おっ取れた」
「なるほど…教皇様ありがとうございます。」
そうして二人は教皇宮を去っていった。まさかあの自由奔放のカルディアが弟子を連れてくるとは…
-------デジェルside-------
カルディアとズグラが教皇宮から帰ってきたようで出口のほうから二人の小宇宙を感じる。
今日の夕食はここで食べるといっていたから本格的に食事の準備を始める。カルディアはズグラを腕にのせそのままソファへ寝転んでしまったが、いつものことなので放っておく。
「あの、ただいま戻りましたデジェル先生。なにか、お手伝いできることはありませんか?」
「ああ、お帰りズグラ。大丈夫だ、怪我をしているのだろう?安静にしているといい」
「で、でも、そこまで痛くないですし…」
痛くないわけがない痛いからこそここに来た時も帰ってきたときもカルディアに抱き上げられていたというのに。しかしこの子はこのままではここから動かないだろう、
「…そうかなら、そこの椅子に座ってイモの皮むきをしてもらおう、指を切らないよう気をつけなさい」
「!!はい!」
イモの皮むきをさせる、この年の女の子ならもう包丁も使えるだろう。イモも大きなものだから時間はかかるかもしれんが大丈夫だろうと思った。
「デジェル先生!終わりました!ほかにやることはないですか?」
「おや、早いな、ありがとう助かったよ。あとは煮るだけだからもう大丈夫だ。」
「そうですか…あっ!デジェル先生、あそこの本を読んでもいいですか?」
「あぁ、いいぞ。食事ができたら呼ぼう。」
思ったよりも早く終わった。カルディアは…寝ているな。ズグラは本に興味があるようで許可を出すと小走りで本棚へ向かったと思えば足裏の痛みを思い出したようでゆっくり歩いて行った。ふむ、今度水瓶宮の図書室にも連れて行ってあげよう。
ポトフが出来上がったのでズグラを呼ぼうと思い、ズグラの姿を探すともう目覚めたカルディアと目が合い、そして本棚の方へ指をさされた。てっきりソファの方で本を読んでるものだと思っていたが違っていたらしい。ズグラは本棚の前で…あれは特に絵がきれいな図鑑だ、図鑑を床に広げ座り込んで読んでいた。前かがみになってこちらからはあまり見えない目もきらきらと輝いているであろうことがわかる。ついつい二人揃って微笑んでしまう。
もう少し読ませてやりたいが、ポトフが冷めてしまうし、もう夜も遅いからな。
「ズグラ」
「!はいっ」
「夕食だ」
「…あ」
ズグラは少し顔を赤くしてからテーブルへ来た。頭を撫でてやって、彼女には少し高い椅子へ抱き上げのせてやる。
それから食事を終え、二人は天蠍宮へ帰っていった。ズグラはおなかがいっぱいになって少しうとうとしていてやっぱり微笑ましかった。…どうやら私も少し浮かれているらしい。
さて、勉強用の本でも見繕ってから寝るとしようかな。
デジェルさんも5年前でまだ17歳なので少しワクワクしてます。