とある少女のデジモン生活   作:狛さん

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お待たせしてすみません…


3話

ドドモンからドリモンに進化しある程度行動が自由になったドリモンはこの世界樹を可能な限り探険することにした。此処に来てから数日間このロイヤルスイートルームに閉じ籠りっぱなしになっている。

何日も部屋に籠りっきりには流石に参るのでこの世界樹を探検することにした、危険なところはなるべく近づかなければいいし何より他のロイヤルナイツに出会えるかもしれない。

 

「そうと決まれば早速準備しなきゃ!」

 

この広い世界樹を探検するのに必用な物を用意しよう!

まず冒険の上で必用なのは食糧!デュークモンの様にでかくて歩幅広くて尚且つワープ?を使えないから全体を周れるのは数日…一週間以上掛かるのかな?

進化して四つ足生えて移動は多少速くなった、しかし生えても人間に例えると這いずりしてる赤ん坊がハイハイを出来るようになったくらい。レッサー型デジモンだから速く行動出来るのではないかと思われるがそれは走った時であって歩いてるときはそれなりの小さな歩幅…

以前走れるのが嬉しくて猛スピードで突っ走ってたらデュークモンにぶち当たって大変な目にあったのは記憶に新しい。

例えると猛スピードで暴走してるレーシングカーが強固な防壁に勢いよく突っ込んだような感じで車がボロボロになり防壁は傷一つもない感じだ。あれは酷かった…これまでにない痛さであった…

 

「よし!これで冒険の準備はできたぞ!」

 

冒険に大切な食糧は確保した、後は落とさないよう風呂敷にパンを包みその結び目の間に突っ込みなんとか背中に背負った。後はドアを開けるだけだ。

 

「この扉…どうやって開くんだろう?デュークモンはそのまま自動で開いてたけど私の場合全然開かない…何で?」

 

扉の前で飛んでも突っ込んでも扉は開かなかない。ドリモンが小さすぎてセンサーの様なものが反応しないのかはたまたデュークモンのようなロイヤルナイツにしか反応しないのか…ドリモンにとっては死活問題だ。デュークモンは任務が多忙のため此処に戻ることは少ない。

これはドリモンにとって死活問題だ。他に出口は無いかと見渡すと窓に目が行く、そこは普段デュークモンから危ないから近づいてはいけないと言われている所だ、此処は高いから落ちたら危ないの意味で行ったのだろうとドリモンはとり窓によじ登りカリカリと開けようと前足で窓を引っ掻く。

 

「指が無いから思うように出来ない…犬と猫の気持ち分かるわ…」

 

なんとか開こうと軽く頭突きしてみたりしする、それでも開かず諦めてテラスの方へ向かう。上を確認すると鍵が掛かっているのが確認したならどうやってこの鍵を外そうか頭を捻らせ考える。

周りを見渡すと一つの椅子が目に留まった。

 

「これを運んで踏み台にすれば開けられる!」

 

思い立ったが吉日とばかりに高い椅子に足を押しテラスへと運ぼうとする。しかしドリモンのから見て何メートルのある椅子を力いっぱい押しても数分に数cmしか動かせない。

ドリモンは全力で押しても精々10cmしか動かない、ドリモンは己の小ささを痛感し少しなげやりになった。少しだけ幼い子供の気持ちがわかったような気がする、小さく余りにも非力で出来ることが限られる。ドリモンは自分の非力さに少し苛立ちを覚えた。

 

「ぐぬぬぬぬぬぬ…後少しぃぃぃぃぃ!」 

 

全力で椅子を押し1時間半掛けてなんとかテラスの扉辺りまで椅子を運んだ。ドリモンは椅子を運び終えたとたんベッタリと床にへたりこんだ。時刻は午前11時30分、後30分で外に出なければデュークモンが戻ってくる、そうなったらせっかくの世界樹を探検する計画がおじゃんになる、もしそうなったらテラスも塞がれ外に出られなくなる。

ドリモンは疲れはてた体にムチを打ち椅子によじ登り鍵を開けようと試みる。

 

「ぬおぉぉぉ…と…届かないぃぃ!」

 

椅子の背もたれを踏み台にしても届かない。此処まで苦労したのに全て水の泡になるのは精神的に大きなダメージになるためになる為なんとか鍵を開けようとジャンプしたりする、何度もする内に転がり落ちた。

 

「あぁぁ…後15分でデュークモンが戻ってきちゃうよ!やばいやばいどどどうしよう…

もうこうなれば自棄糞だ!!」

 

トトトトトトトトッ…

 

「こなくそがぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

自棄糞になり助走をつけ思い切り椅子をかけ上りその勢いで何とか鍵を開けることに成功した。しかし喜ぶ暇もなくガシャンと大きな音を立て助走の勢いで外に投げたされてしまった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

高層ビル何十階分か考えるほど気が遠くなる位の高さから放り出されたドリモンはなす統べなく落ちていく。幸いドリモンは幼年期Ⅱ体重は軽いので落ちる速度は通常より少しだけ遅くなった。

しかし落ちているには変わりはない、必死に何とか助かろうと手足をバタつかせ運良く木々の枝や茂みがクッションとなり大事には至らなかった。

 

「たっ…助かったぁ」

 

茂みから抜け出し周りを見渡すと辺り一面緑に囲まれている。茂みからてて少し歩いてみるがイグトラシルが居る世界樹の付近のためかこの辺りいったいデジモンの気配は全くしない。

 

「思いきって外出ちゃったけどどうしよう…中に入れるのかな?」

 

なんとか世界樹の中に戻りたいが中には居る方法がわからない、しばらく森のなかを歩いていると小さな湖が森の奥に見える。湖に近づいて覗いてみると水は透明に清んでいて何か幻想的に見えた。

 

「はは…目付き悪~」

 

水面に写った自分の顔を改めて見ると少し自分の目付きが悪く思えた、キリッとした目もドリモンのかわいさの魅力だがドリモンは早く進化したいと思った。

 

「あぅ~!」

 

「うわぁ!」

 

突然背後から声が聞こえたと思ったらドンッと押されドリモンは目の前の湖に飛び込んでしまった。突然の出来事に少しパニックを起こして溺れかけたが何とか岸に這い上がり自分を落とした犯人を見ると其処に居たのはデジモンアドベンチャーでタケルのパートナーデジモンで有名なパタモンの幼年期Ⅱのトコモンだった。

 

「君はトコモン?何でこんなところに居るの?」

 

「うぁ~うぅ♪」

 

「ん~言葉通じないしわからないなぁ…ここら辺他のデジモンの気配もないし困ったなぁどうしよう…」

 

ドリモンはトコモンの仲間が周囲に居ないか必死に気配を探るが見つからない。このトコモンはこの付近の村から此処まで遊びに来たのかそれとも群れからはぐれて此処まで来たのかわからない。

 

「兎に角君の仲間が他に居るかもしれないから一緒に探そうか」

 

「あい!」

 

「フフっじゃあ行こうか」

 

トコモンの仲間を探すため周辺の森を探索することにした、もしかしたら仲間が近くに居るかもしれない。

ドリモンが歩き出すとトコモンもピョコピョコと着いてくる、ドリモンはまるで昔にやった人がモンスターになってダンジョンをパートナーと一緒に冒険する人気ゲームを実際にやっている気分になった。

 

「トコモンは何処から来たの?」

 

「うぅ~?」

 

「トコモンの仲間は皆トコモンなの?」

 

「うぁう?」

 

「うーん…言葉のキャッチボールではなくドッチボールをしてるよ…闇雲に歩いてもトコモンの仲間が見つかる可能性は低いし…せめて空を飛べる空を飛べるデジモンいたらなぁ」

 

ドリモンは大きく息を吐いた。ドリモンの進化系にドルガモンが居るがそのドルガモンは成熟期だ、ドルガモンに進化するためには先ずはドルモンに進化する必要があった。

ドリモンは究極体への道はヒマラヤ山脈のような道程に感じ軽い立ち眩みがした、自分の最終進化系はもう現実逃避するほど察してはいる。それに至るまで血反吐を吐くぐらい鍛えさせられるのだろうとこれから来る稽古に絶望を感じた。

昔もとの世界で流行った俺強~的な感じならもう少し楽できたと思うがどう見てもそれ系ではない、怖くて名前出せないけど究極体のデジモンも強いけどチートと思えるほど強くはない。チートだったらバランス崩れている。

どっちにしろドリモンは始めから約束された勝利のチートより弱い者が一から努力して強くなった方が好きだ。

話が脱線するくらいドリモンは現実逃避をしていた、そうでもしないと少しずつ脱走したことにより怒り心頭なオメガモンが頭をよぎるから、この場合オメガモンではなくデュークモンを連想するが正直デュークモンよりオメガモンが怖い。いや…デュークモンも怖いかもしれない。

 

「はぁ…トコモンを送ったらどうやって帰ろう」

 

「モン?」

 

トコモンがどうしたの?という顔でこちらを見てくる、可愛いなぁとドリモンは癒されながら森のなかを歩く。闇雲に歩いているがデジモンの気配もトコモン以外感じない、正直不気味だとドリモンは心の底から感じた。

 

「デジモンの気配も感じない、他のデジモンは皆何処に居るのだろう?イグドラシルが近いから皆ここら辺に近づかないのかな?」

 

「かな~?」

 

兎に角今の状況不味い、例えるならば地図もコンパスも無しに樹海をさ迷っている状況だ。

周りにはデジモンが居ない居たとしても闇雲に聞けない、ドリモンはベジーモンに痛めつけられたことにより少しデジモンに対する警戒心が強くなった。闇雲に話しかけてまた痛い目にあったらたまったもんじゃない。

しばらく森のなかを進んでいくと不意に二人に声をかけられた。

 

「おい、そこで何をしている」

 

「ひゃ!?」

 

「びゃっ!」

 

「あっ!トコモンごめん!」

 

不意にかけられた声にびっくりして後ろに思いっきり飛んでトコモンにぶつかってしまった。トコモンはいきなり何をしているの?という目でドリモンを見た。声の主は二人の様子を見て少し苦笑して答える。

 

「そんなに身構えなくてもいい、私はお前たちの敵ではない」

 

「えっと…貴方は?」

 

「たはぁ~?」

 

目の前に現れた自分より何十倍かあるデジモンを見上げる。背丈は人間の大人より少しある程度で首回りの鬣…デジモン詳しくない私でも知っている、歩くしぼ…ゴホンッ…皆に人気があるデジモンレオモンだ。

 

「私はレオモン、お前達を傷付けるつもりはない。見たところこの辺のデジモンではない様だがお前達は何処から来た」

 

「あの!えっと…トコモンが迷子見たいでトコモンの仲間を探してるの」

 

「なるほど、普通なら君達のような幼年期デジモンは始まりの村に居るが…此処は世界樹の近く、君達のような幼年期デジモンは危ない。私が君達を始まりの村に送り届けよう」

 

やった!レオモンに任せたらトコモンは仲間のところへ帰れるかもしれない、いまの自分ではトコモンを仲間のところに返すのも無理だから。

 

「ありがとう!トコモンをよろしくお願いします!」

 

「お前は近くに仲間が居るのか?」

 

「うん、近くに私の仲間が居るから大丈夫!」

 

「…………そうか、そろそろ戻らなければお前の仲間も心配しよう。

トコモンはこのレオモンが責任をもって送り届けよう」

 

「あぅ!モン!モーン!」

 

レオモンへ暫く考え込んでいたがトコモンを抱き上げ私に仲間のところへ帰りなさいと促しトコモンと共に森の向こうへと消えていった。

トコモンのモン!という呼び声が耳に着き暫くドリモンはトコモンの事で頭がいっぱいになった。しかし新たなる問題がドリモンを襲った。

 

「…どうやって帰ろう」

 

勢いに任せて外に出たのはいいが肝心の帰る手立てが無い、ロイヤルナイツで関わりあるのがデュークモンとオメガモンだけだ。

他のロイヤルナイツは任務だったりガンクゥモンの様に各地を転々としてたりする、なんとまぁ統制がない集団だと思う。

 

「とりあえずどうしよう、デュークモンとオメガモンに見つかれば絶対に怒られるし…もう怒られる未来しか見えないけど。どうやって入るのかな?」

 

入口がわからない、ドドモンは最悪登るしか無いのかと考えながら来た道を戻る。今さら自身がやらかした事に悔やんでも仕方がないと思うが流石にデュークモンに大目玉を喰らう覚悟までは出来ていない。

 

「うーんどうしよう…」

 

世界樹の目の前まで来てみたものの入口が分からない、そもそも幼年期デジモンのドドモンを入れてくれるのか疑問だ。端から見ると世界樹の目の前をウロウロしている迷子に見える。

 

「あれ?こんな所に幼年期のデジモンがいる!」

 

「びゃ!」

 

路頭に迷い悩んでいると不意に後ろから声をかけられてびっくりして思わず近くの気に隠れてしまった。

 

「隠れてないで出てきなよ、僕怖くないよ?」

 

「…本当に?」

 

「本当だよ僕は君とお話ししたいんだ」

 

ドリモンは木の影に隠れ声の主に少しだけ警戒した、声の主はドリモンに敵意はない。しかし今更ながらデュークモンのどんな時でも警戒と精進を怠るなという教えを思いだし、友好的な声の主の出方を伺う。

 

「デュークモンにどんな時でも警戒しろと言われたから駄目」

 

「デュークモン?もしかして君がドリモンかい?」

 

「…なんで知ってるの?」

 

「だってデュークモンがドドモンの事探してたからさ、僕もデュークモンに頼まれて君を探してたんだ!

僕はデュークモンと同じロイヤルナイツ アルフォースブイドラモンだよ!」

 

探してたと言われ恐る恐る木の影から顔を出すと目の前には青いボディの昔好きだった主人公デジモンのショグレスしない方の究極体アルフォースブイドラモンが居た。

アルフォースブイドラモンは膝を着き優しく手をドリモンに差し出したのでドリモンはピョンっとアルフォースブイドラモンの手に乗った。

 

「デュークモンが君が居なくなったって探し回ってるよ?」

 

「怒ってる?」

 

「うーん…事情を説明すれば少しわかってくれるも思うよ?」

 

 

 

こうしてドリモンはアルフォースブイドラモンの手により世界樹の中へと入ることが出来た。

しかしデュークモンにこってり怒られて暫く外に出るのは禁止となるのはまた別のお話し。




個人的に主人公の声のイメージは高山み◯みさんイメージで書いています、ゼヴォが好きなので!

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