(「部活動とはなにか」「部活動をする上で一番大切なものとはなにか」えっ、いきなり、その質問なの!!ぼ、僕・・・、まだその答えを見つけていない・・・)
と、月、唖然となる。月は静真高校と浦の星女学院は統合するものの分校方式をとることに決定した2月末の臨時理事会のあと、あの沼田から今回と同じ問いを言われていたのだ。で、この3週間弱のあいだ、月はその問いの答えを必死になって探していた・・・のだが、いくらその答えを探しても見つけることができない、そう月は思っていたのだ。そして、その問いの答えを、今、沼田から求められてきたのだ。が、その答えをいまだに見つかっていない、そう思っていた月、
(う~、どう答えたらいいのか・・・)
と、言葉に窮してしまった。
対して、月の敵である木松悪斗はというと・・・、
(ふんっ、その答えなんてとても簡単じゃないか!!いつもの通りに答えるだけでよい!!それに、すでにその答えに関する実績はあるからな!!)
と、余裕の表情をしていた。
そんな対照的な2人を見てか、沼田、2人にあることを言いだした。
「ふ~ん、月生徒会長はわしのの問いの答えに窮しているようだな。それに対して、木松悪斗は自信満々だな!!」
そして、ついに沼田が動いた!!
「それじゃ、まずはすでに答える準備ができているようにみえる木松悪斗からその答えを聞こう」
この沼田の言葉に、月、
(こ、このままでは木松悪斗のペースにのせられてしまう!!)
と、思ったのか、おもわず、
「あっ、えっ、おっ・・・」
と、声を発するも言葉にならず。反対に、木松悪斗から、
「月生徒会長よ、今はこの俺が答える番だ!!少しは黙っていろ!!」
と、注意を受けてしまう。これには、月、
(うっ、木松悪斗に言い返したいけどどうすることもできない~!!)
と、打つ手も出せないためか、逆に、
「は~い・・・↓↓↓」
と、逆に黙り込んでしまった。
そんなわけで、完全に木松悪斗のターンになってしまった・・・わけでして、木松悪斗、月たちを威嚇するような大声で、
「沼田殿、そなたの問い、「部活動とはなにか」「部活動をする上で大事なこととは」、その問いであるが・・・」
と、言うと、一瞬、月たちの方をギロリと見る。これには、ルビィ、
「うわわ・・・」
と、身を縮めてしまうも、木松悪斗、そんなことお構いなしに自信満々ともとれる今日1番の大声で自分の答えを言った。
「それはすなわち、「勝利すること」だ!!」
で、これには、月、
(・・・って、それ、いつも木松悪斗が言っていることじゃないか!!)
と、心の中でツッコミを入れてしまうも、その問いを言った沼田、冷静に木松悪斗に対し、
「ほ~、部活動とは、「勝利」、となぁ~」
と、確認をとると、木松悪斗、
「ずばり、その通りだ!!」
と、自分の答えに間違いないことを認めた。
で、沼田、そんな自信満々の木松悪斗に対しあることを尋ねた。
「と、いうことは、「部活動をする上で大事なこととは」という問いの答えも「勝利すること」で間違いないかな?」
これにも、木松悪斗、
「その通りである!!」
と、肯定した。本当に自分の考えがぶれない、そんな木松悪斗であった。
と、ここで、沼田、そんな木松悪斗に対し怒涛の質問ラッシュを始めた。
「ほ~、「勝利すること」がとても大事であると言っておるが、なんでそんなに勝利にこだわるんじゃ?」(沼田)
「そんなの当たり前だ!!「勝利こそすべて!!」「勝利こそ正義!!」だからだ!!」(木松悪斗)
「「勝利がすべて」かぁ。たしか、(2月末の)臨時理事会後に、おぬし、「投資の世界では勝つことこそ正義、勝つことこそすべて」と言っていたなぁ。それは高校の部活でも同じことが言えるのかな?」(沼田)
「そんなの当たり前だ!!いや、部活だけじゃない!!「勝利すること」、それこそこの世の中では絶対的な答えである!!勝つことこそこの世の中で唯一の判断基準である!!」(木松悪斗)
「ほう、そうであるか。でも、その判断基準だと必ず敗者というものがあらわれる。それについてはどうなのじゃ?」(沼田)
「そんな敗者、切り捨てればよい!!この世の中は「弱肉強食」なんだ!!常に勝者たるもののみ生き残るものだ!!敗者はその勝者にこき使われるか野垂れ死ぬか、ただそれだけだ!!]
(木松悪斗)
「なるほど・・・。でも、勝者は常に勝者とは限らない、いつかは敗者になるものじゃ。それについてはどう思う?」(沼田)
「そんなもの、関係ない!!常に勝ち続ければいいだけだ!!敗者になることなんて考えなくてもよい!!」(木松悪斗)
「ほほ~、そうか。では、聞くが、「勝利こそすべて」というが、それに至るまでの過程についてはどう考えておるのじゃ?」(沼田)
「過程?そんなもの、関係ない!!どんな過程であれ、結果的に勝利すればいいだけのこと!!勝利することだけ考えればよい!!」(木松悪斗)
「ほほ~、過程すら関係ないとは・・・。しかし、その過程すら無視するにしても「勝利すること」というのは並大抵なことじゃない。それについてはどう考える?」(沼田)
「並大抵なことじゃない、そんなもの、関係ない!!どんな手を使ってでも「勝利する」、ただそれだけのことだ!!たしかに「勝利」するために「努力」「友情」も大切かもしれない。けれど、ただ、「勝利」というのはそれすら無視できるほど1番重要なものなんだ!!そのためにどんな手を使ってでも「勝利」をもぎ取ることが必要なんだ!!」(木松悪斗)
「そうか、そうか。で、常に勝利だけを追い求めていると自分たちを応援してくれる人たちや自分たちを見ている人たちからどう見られるか心配じゃないか?」(沼田)
「はぁ、そんな心配、関係ないね!!まわりの人たちが自分たちに追い求めているもの、それすなわち「勝利」のみ!!誰もがみな自分たちが「勝利」することのみを追い求めているものだ!!「勝利」することで常に勝利の美酒を飲む、ただそれだけだ!!「勝利」することこそ最高で唯一の美談なり!!敗者になんてだれも見向きもしない。そんなもの、気にするだけ、無駄無駄!!それよりも、常に勝ち続けることこそこの世に生きる者たちにとってとても嬉しいことなり!!勝者のみいつもスポットライトを浴びているものなんだ!!「勝利こそすべて」「勝利こそ正義」、それこそこの世の中で唯一の考えなんだ!!」(木松悪斗)
次々と質問を繰り出す沼田に木松悪斗は自信たっぷりに大声で答える。それはまるで一種の国会の参考人質問みたいなものだった。で、このことについて、月、
(うわ~、なんか木松悪斗1人独演会みたいにみえてきたよ・・・)
と、つい思ってしまう。たいsかにそんな感じであった。沼田は質問しているだけなのだが、それに気をよくしてか、木松悪斗、自分の考えをこの会議室にいる者全員に押し付けているかのように力強く大声で叫んでいるのだ。こうなると、参考人質問ではない、選挙前に行う候補者の講演会、もしくは、街頭演説、といっても過言ではなかった。
そして、木松悪斗に、沼田、最後の質問をした。
「ほう、それでは、木松悪斗、最後にこの質問じゃ。「部活動とはなにか」「部活動をする上で一番大切なものとは」、その答えは「勝利すること」と言っておるが、その実例はないのか?」
この質問に、木松悪斗、
「実例?そんなもん、決まっていますよ!!簡単ですよ!!」
と、前置きを言いつつ、ここが見せ場、とばかりにこの日一番の大声でこう答えた。
「それこそ、静真の部活動、です!!」
これにはルビィが、
「ピ、ピギッ!!」
と、これまた怯えてしまうくらい、この事務所にいる者たちみな、一瞬たじろいてしまうも、木松悪斗、ここぞとばかりに自分の正論を振りかざす。
「この10年、私は「常に勝利する」「勝利こそすべて」「勝利こそ正義」の考えのもと、静真の部活動に崗円と人材を投入してきました。そして、ここまできてようやく静岡でもトップクラスの実力を持つ部活を多数そろえる高校になりました!!いや、弓道部などインターハイ全国大会で実績を残すほどの部活もあらわれております。そして、去年、ついに全国大会で優勝できるまでに成長した部活があらわれたのです!!」
この木松悪斗の言葉のあと、木松悪斗の娘で静真高校女子サッカー部の部長である旺夏が木松悪斗の横に立ってはこんなことを大声で言いだした。
「それが私たち、女子サッカー部、ですわ!!去年の夏、インターハイ全国大会で日本一に輝きましたわ!!そして、今も、連勝街道、まっしぐらですわ!!」
そう、インターハイで日本一になった静真の部活、それこそ、旺夏率いる女子サッカー部、である。その部はまるで木松悪斗の考えを具現化している、そんな感じがしていた。さらに、その部を率いている旺夏本人がこの場でこう発言しているあたり、木松悪斗の考えに信ぴょう性を与えている、そんな感じもしてきた。
そんな旺夏の言葉のあと、木松悪斗は話を締めた。
「そんな具合に、私の沼田殿の問いに対する答え、「勝利こそすべて」「勝利こそ正義」、それこそ絶対なる答えであり唯一の答えなり!!そして、その答えを具現化しているものこそ、「静真の部活動」なのです!!」
そんな木松悪斗の締めに木松悪斗のうしろに控えていた裏美と旺夏は、
「き、木松悪斗様、す、すご過ぎです!!とてもいい演説です!!」(裏美)
「お父様、素敵!!」(旺夏)
と、木松悪斗のことをべた褒めしていた。が、自分の考えのみを押し付けてきた木松悪斗とそれをべた褒めする裏美と旺夏を見て、月、
(う~、なんか嫌味を通り越してドン引きしちゃう感じだよ・・・)
と、つい思ってしまう。それはまるで「自分の考えこそこの世の摂理なり!!」とも言い切る木松悪斗のその取り巻き(裏美・旺夏)、この3人が自分たちにその考えを押し付けている、それに対して月は嫌がっている、そんな感じがしていた。いや、月だけじゃない、月の後ろにいる、ルビィ、曜、ダイヤ、そして、鞠莉からも・・・、
(ルビィからみてもそれって違うんじゃ・・・)(ルビィ)
(私、無理やり自分の考えを押し付ける人っていやだな・・・)(曜)
(まるでどこかの独裁者みたいな考えですね・・・)(ダイヤ)
(話がfly(飛び過ぎて)なにが言いたいのかわかりませ~ん!!)(鞠莉)
と、目の前で繰り広げられている光景にドン引きされていた。
とはいえ、ようやく木松悪斗のターンは終わった。だが、これについて、
(ようやく木松悪斗の出番は終わった。そして、次は僕・・・。でも、まだ答えなんて出てきてないよ・・・)
と、自分の出番が巡ってきたものの未だに沼田の問いの答えを用意できていないことに焦りを感じていた。