ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第7部後編 第32話

 この沼田の予想は当たってしまった。翌朝・・・。

「ねぇねぇ、あのメール、見た?なんか、木松悪斗様、静真を自分のものにしようとしているんですってね」

「木松悪斗様のことを信じていた自分が馬鹿だったわ!!もう、あんな親父の言うことなんて絶対に信じない!!」

沼田のメールに添付された動画その2により、木松悪斗の失態、というより、木松悪斗の本性、を見てしまった静真高校の生徒の保護者たちは木松悪斗に見切りをつけようとしていた。

 一方、そのころ、浦の星分校の前では・・・、

「あの~、稲荷あげはさんですか・・・。ちょっとお願いがあります・・・。私、私・・・」

なんと、稲荷あげは、校門前である静真の女子生徒から口説かれそうになっていた。これには、あげは、

(あ、あの~、私、そんな趣味、持っていないのですけど・・・)

と、これには突然のことだったのでびっくりしてしまった。あげはにはそんな趣味なんて持っていなかった・・・。

 が、その女子高生はあげはに対し驚きのことを言った。

「私、私を、静真Aqours応援団に入れさせてください!!」

これには、あげは、

「あっ、そういうことなんだ・・・」

と、ついほっとしてしまった。だって、まさかあげはが女子高生から告白されたとあげは自身思っていたのに、ふたを開けてみたら、あげはたち率いる静真Aqours応援団に入りたい、ということだったのだ。なので、あげは、ちょっとほっとしてしまった。

 が、あげは、気を取り直して、その女子高生に対しあることを尋ねた。

「でも、なんで、私たちの静真Aqours応援団に入りたいの?」

これに、その女子高生、元気よくその理由を述べた。

「だって、あのラブライブ!決勝延長戦のAqoursとSaint Snowの白熱した戦い、なんか心動かさられるものを感じたんだもの!!だから、私、これから静真のスクールアイドルになるAqoursを応援したくなったんです!!応援団に入ってみんなと一緒に楽しんで、もっとAqoursのこと、好きになりたいんだもん!!」

これには、あげは、

「でも、それだと、今入っている部活は大丈夫なの?無理しなくてもいいんだよ」

と、その女子高生に心配そうに言うも、その女子高生、元気よくこう答えた。

「それについては大丈夫です!!だって、春休みのあいだは部活はお休みだし、今はAqoursのために働きたいんだもん!!」

先述の通り、静真の部活は只今部活動棟の改修工事のためにお休み、自主練中心となっている(ちなみに、改修工事の期間は春休みのあいだみたい)。また、新生Aqoursお披露目ライブの開催は春休み期間中の4月上旬なのでその女子高生のお披露目ライブ準備の参加は可能、とのことだった。

 で、それを聞いたあげは、

「うん、わかった!!ようこそ、静真Aqours応援団へ!!」

と、その女子高生に応援団に入ったことに対してお礼を言うと、すぐさま、

「で、あなたはどこの部活に所属しているの?」

と、女子高生がどこの部に所属しているのか尋ねてみた。

 すると、その女子高生、自分の所属する部活を元気よく答えた。

「私、テニス部でレギュラーをしています!!あの延長戦、私、あれ見てびびっときたんです!!これまでは勝つことだけ目指していた。けれど、私、あの延長戦を見てその考えを変えました!!みんなと一緒に楽しみたい、もっとテニスを好きになりたい、だからこそ、私、この応援団に入ってそれについて知りたい!!いや、もっともっと静真のみんなと一緒に楽しんで、Aqoursのこと、みんなのこと、好きになりたい!!

そう、この女子高生こそ、あの沼田のメールを見て今までの自分を捨て去り新しい自分へと変わろうとしている、あのテニス部のレギュラーである女子高生だった。

 で、この女子高生の答えを聞いたあげは、

「うん、それだけあれば、静真Aqours応援団に入る動機、十分だよ!!あなたの気持ち、ここにいる静真Aqours応援団のみんなと一緒だよ!!」

と、元気よくその女子高生をあげはたち率いる静真Aqours応援団に迎えた。

 が、テニス部の女子高生、

「あの・・・、実は・・・、私だけじゃないんです・・・、入団希望者・・・」

と、言うと、なんと、校門の近くにある木のところから、

「私も入団したい!!」「Aqoursのために働きたい!!」

と、入団希望者が次々と現れてきてしまった。むろん、全員、静真の生徒である。その生徒たちの前でその女子高生は言った。

「全員、テニス部の子たちです。昨日、私が声を掛けたら、こんなに集まってしまいました・・・」

これには、あげは、

「あはは・・・」

と、苦笑いするも、すぐにそのテニス部の部員たち、いや、静真Aqours応援団の入団希望者に向かってこう宣言した!!

「よしっ!!みんな、入団、OK!!ようこそ、静真Aqours応援団へ!!」

 

 そして、月の方でも・・・。

「月生徒会長、大変です!!生徒会室の前に生徒たちが並んでおります!!」

と、ナギは月に対し慌てながら言うと、

「えっ!!」

と、月、つい驚いてしまう、も、すぐに月は落ち着きを取り戻すと、ナギに対し、

「なんの目的でここに並んでいるのですか?」

と、生徒たちが生徒会室前に並んでいる理由を尋ねた。すると、ナギ、

「なんか、新生Aqoursお披露目ライブの手伝いをしたい、って言っております」

と、嬉しい悲鳴をあげてしまう。これには、月、

「こ、これはチャンス!!」

と、このときこそ好機、とばかりに生徒会役員全員に対し、

「よしっ、今すぐ生徒会室の机を並び替えて!!並び替え済み次第、生徒会室の前にいる生徒たちの列を整理したら、臨時お披露目ライブ準備スタッフ登録会、始めるよ!!」

と、命令を下した。

 こうして、月の命令のもと、生徒会役員たちは生徒会室の机を並び替え、生徒会室前にいる生徒たちの列を整理すると、すぐさま、臨時お披露目ライブ準備スタッフ登録会が始まった。そのなかで、生徒会室の前で並んでいた生徒たちが口々にしていたのが、

「あのラブライブ!決勝延長戦、私、あれ見てとても感動しました!!だから、新生Aqours、私、支えたい!!」

「あの延長戦ほど白熱したバトルはないよ!!それに、AqoursとSaint Snow、二組とも戦いそのものを楽しんでいるなんてなんか素晴らしいことだよ!!私、考え方、変わっちゃった!!」

と、延長戦を見て部活に対する考えが変わったこと、新生Aqoursを応援したくてお披露目ライブを手伝いたい、そのことだった。これには、月、

(ははは、沼田のじっちゃんめ、やりおったな!!でも、僕、今回のメールの件、本当に感謝しているよ!!だって、部活についてとても大切なこと、それを僕はあの延長戦で見つけた。それと同じことが、今、静真の生徒たちにも起きている。それが今の状況を引き起こしたんだ!!)

と、沼田に対しお礼を言っていた。月はもちろん沼田のメールの件は知っていた。が、そのメールにより静真の生徒たちのあいだで部活に対する認識の変化が起きている、それを証明しているのがあげは・月たちの目の前で起きている光景であった。その点について、月はそのきっかけをつくった沼田に感謝していた。

 

 そして、2時間後、臨時スタッフ登録会は終わった。その後、月はあげはたちを呼び、今後のことについてすぐに打ち合わせを行った。そんとき、あげはたちも月と同じ状況に陥ったことを聞いてかなり驚いていたが、すぐに実務的な話し合いとなった。

 そして、話し合いの結果、次のことが決まった。

①あげはたち静真Aqours応援団はこれまで通りステージ作成や音響設備の準備などお披露目ライブ準備の内務のほうを手伝い浦の星の生徒たちのバックアップに務める

②ナギたち静真高校生徒会と臨時スタッフ登録会で登録された生徒たちは外務の部分、お披露目ライブに出店してくれるお店・企業・団体などのサポートや会場設営などを担当する

③お披露目ライブの総合プロヂューサーである月のもと、お互いスタッフを融通しながらお披露目ライブの準備を行っていく

①についてはある程度目星はついていた。延長戦が終わったことで千歌たち新生Aqours1・2年を含めた主力が現場に復帰しお披露目ライブの準備に集中することができるようになったため、ステージ作成などの準備のスピードが格段とあがった。それをあげはたち静真Aqours応援団がサポートすることでお披露目ライブ開催日の数日前にはステージや音響設備などの準備が終わる手筈となった。でも、②については猫の手も借りたいほどだった。フェス規模のお披露目ライブに出店するお店・企業・団体はすでに100以上を超えており、その方々1件1件の十分なサポートができない状況だった。そこで、月はお披露目ライブ準備の手伝いを表明し今回の登録会で登録してくれた生徒たちを使いその方々への十分なサポートを行うことを決めたのである。部活動優秀校である静真ではあるが勉強においてもかなり優秀だった。なので、静真の生徒たちはかなり優秀でありその方々への十分なサポートもお手の物だった。そんなわけで、月とナギたち、そして、あげはたちはお互いのスタッフを融通しながらお披露目ライブの準備を進めることにした。

 

 こうして、お披露目ライブに向けて、千歌たち新生Aqours、月とナギたち静真高校生徒会、あげはたち静真Aqours応援団は一丸となって頑張っていた。一方、お披露目ライブの準備を一緒に進めていた浦の星と静真の生徒たちはというと・・・、

「ねぇ、こっちの方がステージ映えするんじゃないかな?」(静真の生徒)

「うん、いいかも!!それだったら・・・、これとこれを組み合わせたらどうかな?」(浦の星の生徒)

「うん、それ、いいね!!採用!!」(静真の生徒)

と、まったく対立するわけもなく、わきあいあいと一緒に行動していた。お披露目ライブの成功という大きな目標のために一丸となって進もうとする両校の生徒たち、そこには木松悪斗が予想していた対立なんてなかった。そこにあったのは、お披露目ライブを成功させたい、そんな士気の高い者同士が高い頂きに向かって一緒に楽しもう、一緒に進もう、という姿だった・・・。

 

 そして、Aqoursにもある変化が訪れていた。お披露目ライブ前日、予定より少し伸びたものの、あともう少しでお披露目ライブに使うステージも完成・・・のなかで、ヨハネと花丸、

(ついに明日だ・・・、このヨハネ様の旅立ちの・・・。ただ、そう考えると・・・)(ヨハネ)

(ついに明日ずら・・・。そう考えると・・・)(花丸)

と、つい、明日のライブに向けて緊張・・・していたかと思ったのだが、

「緊張・・・しないずら?」(花丸)

「本当だ・・・。なんで?」(ヨハネ)

と、自分が前の部活動報告会でのライブみたいに、緊張どころか不安・心配の深き海・沼に陥ってしまった、そんなことなんて気にしない、それくらいの自信を自分のなかにあることに驚いてしまう。これには、ルビィ、

「ちょっぴり大きくなったのかも」

と、自部たちがこの1ヵ月のあいだにちょっぴりどころか大きく成長したことを花丸とヨハネに伝えた。この1ヵ月のあいだ、報告会でのライブの失敗、行方不明?になったとても大事な存在であるダイヤたち3年生3人を探すためのイタリア旅行、そのなかで、ローマ・スペイン広場で行った、Aqoursの、スクールアイドルの、未来を賭けた運命のライブ、闇なる深淵へと陥った理亜を救うために行ったラブライブ!決勝延長戦、と、いろんな経験をしてきた千歌たち新生Aqours1・2年の6人、そのなかで、Aqoursみんなとの大切な想い出、想い、キズナ、それが宝物となって自分の心の中でずっと残っていく、そして、それを通じてずっとみんなとつながっていける、そのことにみんな気づいたことで、ダイヤたち3年生3人を含めて、Aqoursメンバー全員、大きく成長した、そのことを、今、花丸とヨハネは実感したのかもしれない。

 

 そして、それは月とて同じだった。最初のきっかけは木松悪斗の突然の静真高校と浦の星女学院の統合反対だった。これがきっかけで月は「部活動とはなにか」「部活動をする上で大切なものとは」といった高校としてはとても重要な問いを考えるようになる。そして、月はその問いを無視して、ラブライブ!優勝を果たした、その(新生)Aqoursでもって木松悪斗を制しようとしたものの、報告会での新生Aqoursのライブ失敗をもって月の企みは破綻、月も挫折を味わった。が、Aqoursとのイタリア旅行やラブライブ!決勝延長戦を通じて、その問いの答え、「部活動とはみんなと一緒に楽しむこと」「みんなと楽しむことでいろんなことを学び経験していく、その経験こそ1番大事」、ということに気づくことができた。そして、今、月のまわりにはラブライブ!決勝延長戦を見てその問いの答えを知りそれを実践するために集まってきてくれた仲間たちがいる。

 

「Moon Cradle」、月のゆりかご、これまで月はみんなのために動いていた。静真のみんなの楽しい高校生活のために頑張ってきた。そして、月は、Aqoursの、浦の星の生徒たちの、これからの静真での生活をよりいいものにしようと最初は頑張っていた。が、1度の挫折を経て、月は、月自身は、みんなだけでなく自分自身もみんなと一緒に楽しむことでいろんなことを学び経験していく、その大切さを知ることができた。もう「Moon Cradle」ではない、。これからは、月自ら、静真、浦の星、そのみんなと一緒に楽しみながら前に進んでいくはずである。月は太陽から照らされて光る、そう考えると、太陽がなければ月は光り輝くことなんてできない。が、そんな月でもあることをすれば自ら光ることはできる。それは、自らみんなと一緒に前に進もうという気持ちを持つことである。そう、今の渡辺月は自ら光を放とうとしている。それは昔の月ではない。みんなと一緒に前に進もうとしている、自ら光を放とうとしている、そんな大きな星へと変貌していったのだ。そんな月の光に月と同じ志を持った仲間たち、ナギたち、あげはたち、そして、静真のみんなが集まってきてくれた。これには、月、

(みんな、こんな僕に集まってきてくれてありがとう!!)

と、心からお礼を言うと、自分のまわりにいる静真のみんなに向かってこう叫んだ。

「さぁ、静真のみんな、一緒に行こうか、新生Aqoursのところに、浦の星の、これから新しく静真の仲間となる、そんなみんなのもとに!!」

 

「千歌たちは帰ってなよ!!」

自分たちは少しは成長した、そう実感していた千歌たち新生Aqours1・2年メンバーに対しよいつむトリオは明日の本番に備えて先に帰ることを進言、これには、千歌たち、ちょっと戸惑う。そんな千歌たちの姿に、よいつむトリオ、少し休んでいいパフォーマンスを見せて、と千歌たちに言い聞かせるも、千歌からは、

「でも・・・」

と、逆に明日のおひろめライブの準備のことを心配してしまう。ライブに使うステージなどはほぼ完成しているもののそれらを浦の星分校からライブ会場である沼津駅南口に運ぶなど最後の作業が残っていたからだった。

 が、よいつむトリオ、そのことについてはすでに手を打っているらしく、

「大丈夫!!私たちのほかにも(仲間は)たくさんいるから!!」

と、よいつむトリオたちのことを心配している千歌たちを安心させようとする。で、よいつむトリオの意外すぎる答えに、千歌たち6人とも、

(えっ!!)

と、逆に驚いてしまう。

 と、同時に千歌たちの後ろから足音が聞こえてくる。これに気づいた千歌たち6人は後ろを振り向くと、そこには、

「いよいよだね!!」

と、月の掛け声とともにあげはたちをはじめとする静真のたくさんの仲間たちがそこにいた。そう、月は、月のもとに駆け付けてくれた同じ志をもつ仲間たちとともにお披露目ライブの最後の作業のために浦の星分校に駆け付けてくれたのである。

 ただ、これには、ヨハネ、「聖戦」というくらい少しびびってしまった。が、曜、ここに駆け付けてくれた月のこと思ってか、月にあることを尋ねた。

「月ちゃん、どうしたの?」

これには、月、

「あの(延長戦の)ライブ動画を見て集まってくれたんだよ、僕たちもなにかできないかって!!」

と、元気よく答えると、千歌、

「だけど、反対されていたんじゃ・・・」

と、逆にこの状況に違和感を覚えたのか心配そうに言う。

 が、月、そんな心配そうに言う千歌に対し、大声で、笑顔で、こう答えた!!

「気づいたんだ、僕たちはなんのために部活をやっているのか、父兄の人たちも。

 

「楽しむこと」!!

 

みんなは本気でスクールアイドルをやって心から楽しんでいた。僕たちも本気にならなくちゃダメなんだ!!そのことを、Aqoursが、Saint Snowが、気づかせてくれたんだ!!ありがとう!!」

このあと、あげはをはじめとする静真のみんなからこのお披露目ライブに対する意気込みをみせると、千歌、月と静真の仲間たちの言葉を聞いて安心したのか、

「じゃ、甘えようか!!」

と、よいつむトリオたち、そして、月のお願いを聞き入れることにした。

 そして、月はここにいる静真のみんな、浦の星のみんな、そして、千歌たち新生Aqoursに向かって大声でこう叫んだ!!

「みんな、準備はいい?みんなと一緒に楽しんで、みんなと一緒に前に進んでいこう!!そして、みんなと一緒に明るい未来へと進んでいこう!!それじゃ、みんな、いくよ~!!

 

明るい未来に向かって・・・、

 

全力前進、ヨ~ソロ~、からの、敬礼!!」

 

「それ、私のセリフ~!!」(曜)

 

「ハハハハ」(みんな)

 

 このとき、月、こう思った、この笑顔があればきっと大丈夫、この先、みんなと一緒に楽しんで先に進むことができる、と、そして、みんなと一緒に明るい未来へと進むことができる、と。

 

2018年4月上旬、月、このとき、新しい未来への第一歩を踏み出すこととなった・・・。

 

ED:「キセキヒカル」(・・・なんですが、諸事情により歌詞の部分はカットさせていただきます。ごめんなさい・・・)

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