ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Ruby’s Determination(ルビィの決心) 第7話

 この日の夜、千歌たちAqours9人はローマにある貸しスタジオにいた。今日からライブに向けた練習をすることになったのだ。だたし、鞠莉‘sママから示されたライブの日時までには時間がない。なので、かなりハードなスケジュールで、集中的に練習することになっていた。さらに、前回、静真高校の新年度部活動発表会で失敗し、Saint Snowの聖良・理亞の前でも失敗している。そのときのことで千歌たち1・2年生は自分たちのダンスや歌に自信をなくしているのでは、そんな心配もあった。それなのに、今回のライブは鞠莉の未来を決める重要なライブ。マイナスだらけの状況の中、失敗すら許されない、と、千歌たちはそう思えてしまっていた。

「え~、ルビィからライブの場所を発表します!!ライブする場所は・・・」

と、ルビィ、みんなの前でライブの場所を発表する。

(う~、みんな、見ているよ~。とても緊張するよ~)

と、ルビィ、慣れている人たちとはいえ、姉ダイヤを含めたAqoursメンバー8人の前で発表すること自体初めてであり、緊張していた。が、ここで緊張していたらもとのこともない。

(ここは、ここは、頑張らないと・・・。ガンバルビィにフンバルビィ~ずら~)

と、ルビィ、勇気を振り絞り、ライブを行う、その場所を発表した。

「ライブをする場所、それは・・・、スペイン広場です!!」

(言えた~、ちゃんと言えたよ!!で、みんなの表情は・・・)

と、ルビィ、おそるおそる千歌たちの方を見る。すると、全員、

ニカ~ ウンウン マル!!

と、どうやらまんざらでもない、そのような表情ばかりだった。そして、千歌がいきなり評決を取る

「ルビィちゃんの意見に賛成の人~」

すると、全員が手をあげた。これを見た千歌、

「全員一致でライブの場所はスペイン広場に決定!!」

と、大々的にライブ場所決定を宣言する。これにはルビィ、

(やった、やったよ、お姉ちゃん!!ルビィ、自分の力で成し遂げたよ!!お姉ちゃんの約束、責務を果たすことができたよ!!)

と、思い、思わず、

「やったー!!」

と、大きく喜んだ。これを見ていた千歌、

「ルビィちゃん、やったね!!」

と、ルビィの労をねぎらった。そして、ほかの1年生、花丸、ヨハネにも、千歌、

「花丸ちゃん、善子ちゃん、ルビィちゃんを支えてくれてありがとう」

と、花丸、ヨハネの労もねぎらう。が、ヨハネ、

(あれっ、私ってなにかしたかしら?)

と、頭をかしげてしまった。

 で、ここで千歌から重要なことが発表されることに・・・。

「で、みんな、ここで千歌から発表があるんだけど・・・」

と、なにか言いたそうな顔で話す千歌に対し、

「ゴクッ・・・」

と、ツバを飲み込むみんな。

「え~とね~、え~とね~」

と、なにか言いたそうにする千歌。それにより、全員の緊張が高まる。

 そして、千歌が・・・。

「え~とね~、なんだっけ?」

と、今までの張り詰めた緊張を台無しにするような一言が・・・。これには、みんな、

ドテッ

と、こけてしまう。今までの緊張を返せ!!である。

 この千歌のボケに対し、梨子が千歌のフォローにはいる。

「千歌ちゃんのボケはあとにして・・・」

これには千歌、

「ボケてないもん!!忘れちゃっただけだもん!!」

と、言い訳を言うも、梨子、

「はいはい」

と、完全に千歌のことをスルーして先に話を進める。

「でね、千歌ちゃんと私で今度のライブで歌う曲を決めたの。今度のライブ、新曲でいきます!!」

これを聞いたヨハネ、

(この前の静真高校でのライブに失敗しているのに、新曲だなんて大丈夫なのかしら・・・)

と、心配する。

 すると、千歌が新曲にした理由を真面目に(失礼?)に話し始めた。

「今回のライブは鞠莉ちゃんの未来がかかっているんだよ!!これまでの曲のほうがいいかもしれない。1度でも過去のライブでやっているからね。それにそんなに練習しなくてもいいかもしれないよ。でもね、それだと、この前の静真高校のときのライブときみたいに失敗する可能性もでてきてしまう。それよりも、今までの曲と思って安心してして練習を怠けていたら、スクールアイドルに否定的な鞠莉‘sママの心を変えることすら無理だよ!!」

これにはヨハネ、

「でも、新曲だったらなおさら・・・」

と、心配そうに言うと、千歌、すぐに答える。

「それはわかっている。むしろ、新曲にしたら時間がない今の状況のなかでやることにも限界がでちゃう。けどね、フィレンツェの時の鞠莉ちゃんの行動を見て思ったの、今までの曲じゃなく、新しい曲の方が鞠莉ちゃんの、千歌たちの想いを鞠莉‘sママにぶつけることができるんじゃないかって。だから、千歌、思わず筆をとったの。鞠莉ちゃんの想い、千歌の想い、みんなの想い、それを言葉に、詩にしたの!!」

この千歌の言葉にあわせてか、Aqoursの作曲担当である梨子からも言う。

「実は、私も千歌ちゃんと同じく、フィレンツェのときの鞠莉ちゃんの行動に触発されたみたいで、知らないうちに作曲していたの。そして、その曲と千歌ちゃんが作った詩を合わせてみたら、これまで聞いたことがない、それでいてなぜか、今の私たちにあった歌ができちゃったの・・・」

そして、千歌はその梨子の会話に続いて言った。

「でね、梨子ちゃんと2人でこの歌なら、鞠莉‘sママにも、鞠莉ちゃんの、私たちの想いをぶつけることができる、けれど、なにか足りない、そう思っていたの。そしたら、昨日、ルビィちゃんが夕食のときに言った決意表明、それから、夕食後に果南ちゃん、鞠莉ちゃんから「自分たちの想いはずっとここ(心の中)に残っている」って、言われたこと、それを聞いて、「この曲、もっといいものにできる!!」って思ってね、梨子ちゃんとこの曲をフラッシュアップしてきたの」

そう、実は千歌と梨子、昨日の夕食のあと、果南、鞠莉から「私(果南)の、ダイヤの、鞠莉の想いはずっとここ(心の中)に残っている」と言われていたのだ。それを聞いた千歌と梨子は、これまで見たことがなかったルビィの決意表明とあわせて、「これからのAqours」について少しわかった気がしたのだった。それを受けて、「これからのAqours」を見つけるため、そして、新曲をよりよいものにするため、昨日の夜、千歌と梨子は寝ないで新曲をフラッシュアップしてきたのだ。

 そして、千歌は言い終わると新曲の歌詞が書かれた紙をみんなに渡した。ルビィはその曲名を見る。

「Hop?Stop?Nonstop!!」

そして、歌詞を見る。と、同時に梨子が新曲のデモテープを流す。梨子の歌に流れてくるメロディー。これを聞いたルビィ、

(これって鞠莉ちゃんが鞠莉‘sママに伝えたいこと、いや、ルビィたちみんなが鞠莉’sママに伝えたいこと、それを言おうとしている!!スクールアイドルの素晴らしさ、スクールアイドルの無限の未来、無限の可能性、そして、ゼロに戻ったと思っているルビィたち1・2年生に対しての言葉、それを千歌ちゃんと梨子ちゃんが言いたい、そう思ってしまう。でも、千歌ちゃん、梨子ちゃん、それを無意識で作ってしまったんだね。けれど、2人が心の底から言いたいこと、それかもしれないね)

 そして、ルビィは千歌に言った。

「でも、なんでこの歌詞が書けたの、千歌ちゃん?」

これには千歌はなにも考えずに答えた。

「だって、鞠莉ちゃんのこと、ダイヤちゃんのこと、果南ちゃんのこと、みんなこと、考えたらこんな歌詞、できちゃったんだもん!!鞠莉ちゃん、千歌、そして、みんなの想い、それを想っていたら、自然と歌詞、できちゃったもん!!」

 

 そして、スペイン広場でのライブ前日まで、千歌たちAqours9人はローマの貸しスタジオで日が暮れるまで練習にのめりこんでいた。

そんななかで、ヨハネが心配していたこと、静真高校でのライブの失敗の影響についても改善が見られていた。

「え~と、ここはこうで・・・」

と、ヨハネはステップの確認をするが、なかなかうまくいかない。そんなとき、

「善子、ここはクルッとターンしてストップだよ!!」

と、ヨハネのステップについて横から教えてくれる少女が・・・。

「鞠莉!!」

ヨハネはその教えを言う少女を見るなり、その少女の名前を言った、鞠莉と。そう、鞠莉だった。鞠莉はヨハネがステップで悩んでいるのを見て、たまらず横から口をだしたのだった。

「善子がステップについて悩んでいるから、鞠莉が教えようとしたので~す!!」

と、鞠莉、いつもの口調で言うと、ヨハネ、

「あ、ありがとう、鞠莉・・・」

と、鞠莉に御礼を言うと、鞠莉の教えたとおりのステップをやってみる。すると、

「で、できた・・・」

と、ヨハネ自身驚いてしまった。ヨハネ、このとき、

(鞠莉がいるだけで安心できる。でも、3年生がいるから安心だなんて・・・。このままじゃ鞠莉たち3年生がいなくなったとき、また、静真高校でのライブの失敗を繰り返してしまう・・・)

と、心配になる。むろん、ヨハネの顔もそれにあわせてか、なにかを悩んでいる、暗い表情になる。が、これには鞠莉、

「善子、もう少し笑ったほうがいいです~」

と、ヨハネの顔に手であて、むりやり笑顔にする。これには、ヨハネ、すぐに、

「や、やめなしゃい・・・」

と、鞠莉の手をどかそうとする。すると、ヨハネに対し、鞠莉は本音を言った。

「善子、なにか悩んでいるよ~ですね!!そんな善子にアドバイスで~す!!たしかに、このライブが終われば鞠莉たちはグッバイで~す!!でも、すべてがすべて、グッバイじゃないので~す!!善子、そして、みんなの心の中には鞠莉たちと一緒に築き上げた大切なものがい~ぱい残っているので~す!!それを忘れないでくださ~い!!」

これにはヨハネ、

(私の心の中に鞠莉たちの大切なものがいっぱい残っている・・・。それって、思い出、想い、キズナ・・・?)

と、心の中で言うと、

(あれっ、なんか、私の中にあった重たいもの、曇っていたものが少しずつだけど、すっきりしてくるような気が・・・)

と、これまでヨハネの中に漂っていた不安、心配という雲が少しずつだが晴れてくるように感じられた。そして・・・。

(なんか、今だったら、ちゃんとできるかも・・・)

と、ヨハネ、今まで失敗していたステップをおもいっきり踏んでみる。すると、これまで以上に、いや、完璧にうまくできるようになった。これにはヨハネ、

(えっ、これが私のステップなの!!うそでしょ!!)

と、驚いてしまう。しかし、それは本当であった。ヨハネにとって鞠莉の一言は自分のカンフル剤になった、そう思えるものだった。

 

 一方、花丸はというと、Aqours全員でダンスを合わせるとき、

(あれっ、なんかテンポが1つ遅れるずら~)

と、花丸、みんなとテンポが1つ遅れてしまうことを悩んでいた。

それを遠くから見ていたメンバーが・・・。

「あれっ、花丸ちゃんが悩んでいる。ここはダンスが得意な私の出番、かな?」

と、言うと、その全体ダンス練習のあとの休憩中、すぐに花丸に近づき、

「花丸ちゃん!!なにか悩んでいるのかな?」

と、花丸に気づかれずに近づき、いきなり、暗い表情の花丸の顔の前にあらわれる!!それには花丸、

「ずら!!」

と、驚くも、すぐに、

「うぅ、誰ずら・・・、と、思えば、果南ちゃんずら・・・」

と、花丸の顔の前に突然あらわれた少女が果南であることにほっとする。

その果南、花丸の目を見て、一言。

「なにか悩み事かな?」

と、花丸の悩みに相談にのろうとする。これには、花丸、おもわず、

「果南ちゃん、そうずら。果南ちゃん、聞いてずら~」

と、果南に相談することを告げると、果南、

「なにかな?」

と、花丸の悩み事を聞こうする。すると、花丸、果南に悩み事を打ち明ける。

「実は、ダンスのとき、みんなとワンテンポ遅れてしまうずら~」

すると、果南、いきなり、花丸の額と自分の額をくっつけてこう言った。

「みんなとワンテンポ遅れちゃう?なんでかな?」

この果南の質問に、花丸、

「おいら、みんなと比べて体力がないずら~。体力がないからみんなとダンスを合わせることができないずら~」

と、答えると、果南、意外なことを言った。

「花丸ちゃん、そんなに体力がなかったかな?これまでのライブ、ずっと、みんなと合わせることができたじゃない。それなのに、今回だけ、体力がない、なんて、どうしてかな?」

これには花丸、

「これまではみんながまるにあわせてくれたからずら。でも、今回はみんなと合わないずら~。やっぱりおらは体力がないからずら~」

と、言い訳じみたことを言う。ただ、これを聞いた果南、花丸にあるアドバイスを送る。

「花丸ちゃん、そんなに自分のことを卑屈に考えない方がいいよ!!体力がない、それでいいじゃない!!体力がなければそれに合わせたことをすればいいんだよ!!それにね、これまで、花丸ちゃんにみんなが合わせてきたんじゃないんだよ。花丸ちゃんの頑張り、みんなの頑張り、そして、みんなとのキズナがあったからこそ1つにまとまり、それによってライブも大成功をおさめてきたんだよ!!だからね、花丸ちゃん、自分を卑屈に考えないで!!花丸ちゃんが合わなければ、みんながきっと合わせてくれる!!そして、花丸ちゃんの頑張りにみんなが触発されて、みんなの頑張りもあがっているんだよ!!」

だが、この果南のアドバイスを聞いても花丸の顔は晴れなかった。さらに花丸、言い訳を言う。

「けれど、それは果南ちゃんたち3年生がいたからずら。果南ちゃんたちがいないと千歌ちゃんたちみんな、余裕がなくなって、おらと合わせることができないずら・・・」

が、果南、これについて、花丸になにかを守るように言った。

「花丸ちゃん、たとえ、私たち3年生がいなくなっても残るものはあるんだ。それはね、私たちと一緒にやってきたこと!!その経験!!思い出!!私たちの想い!!そして、キズナ!!それが心の中でずっと残っていればきっと大丈夫だよ!!だって、それがあれば、みんな、また頑張ることができるんだからね!!」

そして、果南は花丸にあの言葉を送る。

「ねぇ、花丸ちゃん、ハグ、しよう!!」

この果南の言葉を聞いたか、花丸、自然と果南に抱きつく。果南も花丸に抱きつき、ハグ、した・・・。すると、花丸の心の中に曇っていた不安、心配といったものがどんどん晴れていく、そんな気がした。

(なにか起こっているずら!!果南ちゃんとハグしたら、なにか、心の中にあったもやもやがどんどん消えていくずら~)

花丸、そう思うと、ハグしたまま、果南に、

「なんかスッキリしたずら!!果南ちゃん、ありがとうずら!!」

と、御礼を言った。

 そんなとき、

「さあ、練習を再開しますわよ!!」

と、ダイヤの練習を再開する言葉が飛んでくる。花丸、すぐに手をほどき、新曲のフォーメーションの自分の位置に戻る。

「さぁ、休憩前と同じ、全体ダンス練習、いきますわよ!!」

と、ダイヤの一言で休憩前と同じ全体ダンス練習をする。花丸、

(今度は大丈夫?なのかなずら~)

と、少し心配する。

が、いざ、みんなと一緒にダンスをすると、

(あれっ、みんなとテンポが合っているずら~)

と、花丸がすぐにわかるほどみんなとテンポがあっていたのだ。これには花丸もビックリしていた。そして、

(果南ちゃんのハグパワー、凄いずら~)

と、なぜか果南のハグパワーに感心していた。

 

 こうして、短いけど、とても充実した練習の日々をやってきた千歌たちAqours9人。練習していくうちにこれまでのAqours、いや、それ以上のAqoursになっていくと千歌たちは感じていた。

 そして、ついにライブ当日!!スペイン広場を鞠莉の財力(これまで残っていたお金全部!!)で1日中貸しきることに成功!!そして、午前中に最終リハーサルをした千歌たちAqours9人は午後からのライブ本番を残すのみとなった。

 そんななか、千歌はSaint Snowの聖良にメールを送ることに。

「え~と、「このあと、イタリアローマのスペイン広場でライブを行います。この前(イタリア出発前の聖良・理亞の前で見せたもの)の失敗はないと思います。イタリアでの旅行、ダイヤちゃんたち3年生との再会、それを通じてわかったこと、それをこのライブでぶつけたいと思います。絶対に見てください」っと」

千歌はそう打つと、聖良にメールを送った。

 

 そして、日本、北海道、函館、深夜、千歌が聖良にメールを送ったそのとき、聖良はお風呂からあがっていた、そんなときだった。

プルル・・・

と、聖良のスマホから呼び出し音が聞こえてきた。

「あれっ、誰かしら?」

と、自分のスマホに送られてきたメールを確認する聖良。すると、突然、

ドタバタ

と、廊下を聖良は走っていく。目的地は理亞の部屋。

バタンッ

聖良は理亞の部屋の扉を開くとすぐに理亞に告げた。

「理亞、これから千歌たちがローマでライブを・・・」

だが、そんな聖良が言いかけたそのとき、聖良はあることに気づいた。そして、聖良は言った。

「理亞・・・」

このとき、理亞の身になにが起きていたのか。が、この話は近いうちに語ることになるだろう。

 

 一方、ローマのスペイン広場では・・・。

「忙しい私が来たので~す!!もし、絶対くだらないものを見せたらただじゃすまないので~す!!」

と、スペイン広場の石階段前には鞠莉‘sママが仁王立ちで立っていた。そのまわりにはなにかのライブが始まると思った観光客、ローマ市民たちがかけつけていた。

 そして、ついにそのとき、スペイン広場でのライブ、鞠莉の将来、そして、これからのAqoursを占う意味でも重要なライブ、そして、これが、果南、ダイヤ、鞠莉にとって最後になるであろうライブが始まった。

 

 そのライブの途中、

(やっぱり、3年生がいると落ち着くずら~。でも、この前の果南ちゃんの言葉で知ったずら!!もうなくなるものはないずら!!きっと大丈夫ずら!!(花丸))

(ふふふ、このスペイン広場にはこのヨハネが最大限に活動できるほどの魔力が満ちているぞ!!それに、鞠莉たち3年生というリトルデーモンもいる!!だからこそ、今や、ヨハネは無敵なり!!鞠莉が言っていたあの言葉、このライブで実感しておるぞ!!さあ、ヨハネの名のもとにここに宣言するぞ!!ヨハネ、これから先も、きっと、大丈夫、だぞ!!(ヨハネ))

と、花丸、ヨハネ、共に静真高校のライブの失敗のときとは違い、いや、今まで以上の歌やダンスを見せていた、そう、まるでなにかに安心しているように、いや、元気いっぱいに史上最高の笑顔をしながら。

 一方、ルビィはというと・・・。

(今、お姉ちゃんたちと一緒に踊っている!!歌っている!!今までやってきたこと、その思い出、みんなの想い、そして、みんなとのキズナ、この場所で、このときを、みんなと感じている!!そして、それはずっと続く・・・。それは決してもとに戻ることはない!!あっ、そうか、そうなんだね、月ちゃん!!月ちゃんが(「真実の口」のところに一緒にいったときに)言っていた一言、「旅立つことはゼロに戻るわけじゃないよね」、それって、今、このとき、この場所で実感している、ルビィ、そんな気がする・・・)

と、ルビィ、月の一言について考えていた。月が言った一言、それにより、ルビィは昔の内気な少女から1人前の女性へと生まれ変わることができたのかもしれない、その一言、それをこのライブで実感できること、それがルビィにとって嬉しいことかもしれない。

 そして、ライブはついにサビのところへと進む。鞠莉のソロに入るとき、ダイヤは一段下にいるルビィに向かって、

(おいで、ルビィ、私の大切な妹!!)

と、手を上にあげ、ルビィを招くよう「おいで、おいで」のポーズをする。前日までの練習でもここについてはルビィとダイヤ、2人で練習していた。が、それは平坦なスタジオでの話。それはダイヤにとっても、ルビィにとっても、単なるダンス練習だと思っていた。午前中の最終リハーサルには全体のダンスの流れを確認する、それだけだった。が、今回は違った。

(おいで、ルビィ!!)

と、なんども心の中でルビィを呼ぶダイヤ、それに、ルビィ、

(はいっ、お姉ちゃん!!)

と、ルビィはダイヤに近づく。そのルビィ、ついにダイヤのいる階段へと昇る!!

 そんなときだった。ダイヤはある感覚に襲われる。それは・・・。

(ルビィが、ルビィが、まるで1人前の女性に見えてきました。どうしてでしょうか・・・)

ダイヤのもとに駆け上ってくるルビィの姿を見て、ダイヤ、まるでルビィが1人前の女性に生まれ変わろうとしている、そう感じていたのだ。人は階段を昇る、それについて、あるたとえがある。「大人の階段を昇る」別にいやらしいことじゃない。人は人生という階段を1つずつ昇ることで子どもから大人へと変わっていく。ルビィはダイヤにとって、世話がかかる大事な子ども、もしくは、ダイヤにべったりの大切な子ども、いや、妹、だったのかもしれない。が、ルビィはAqoursの活動を通じて一段ずつ大人の階段を昇っていった。そして、今、このライブで、スペイン広場の石階段を昇ることで、ルビィはただの子どもからとても頼りになる大人の女性に変貌したのかもしれない、ダイヤにはそう感じていたのかもしれない。

 そして、ダイヤはこの不思議な感覚を感じつつも、それを踏まえた上で、ルビィに対して心の中で言った。

(ルビィ、あなたはこれまでいろんなところでいろんなことを経験してきたのですね。そうすることで、私の知らないところで着実に大人の階段を昇ってきたのですね。そして、今、ルビィは最後の会談、それを昇りきったのですね。もう、私は必要ありませんね。それほどルビィは1人前の女性として、私に頼らなくてもなんでもできる、そんな、1人前の女性になったのですね。それが実感できて、私、嬉しいですわ!!)

このダイヤの心の声と共に笑顔でルビィを迎えいれる。

 一方、ルビィも、

(この階段を昇ればお姉ちゃんと同じ1人前の女性になれる!!もうお姉ちゃんに頼らなくてもいい!!どんなことでもルビィ1人でできる!!そんな感じがする!!)

と、心の中でこう叫びつつもダイヤの待つ石段に昇る。

 が、こんなとき、ルビィにある思いが襲い掛かる。

(でも、よく考えたら、このライブはお姉ちゃん、鞠莉ちゃん、果南ちゃんにとってルビィたちと一緒に踊れる最後の機会になるんだよね・・・。もう、お姉ちゃんたちと一緒に踊ることはない!!それってなんか悲しい気がする!!お姉ちゃんたちとの最後のライブ、そんなの嫌!!お姉ちゃんたちとずっと楽しんでいきたい!!これからもずっとお姉ちゃんたちと一緒にスクールアイドル活動、したい!!)

と、昔のルビィ、内気で、小心者で、姉ダイヤに頼ってしまうルビィに戻ってしまう。そして、ルビィ、少し躊躇してしまう。ルビィはたしかに「真実の口」の一件以来、まるで生まれ変わったかのように自分の意思で、自分の考えで行動していた。それはその一件でルビィは大切なことに気づいたからだった。が、人は実際に最後の機会であると思うと、ずっとこれが続いてほしい、もっとこの状況が続いてほしい、もっと一緒にいたい、そんな思いが強くなってしまうものである。そして、ルビィにおいてもそれが発生した、それはまるで昔の泣き虫ルビィに戻ったかのように・・・。

 が、そんなルビィにある少女の声が聞こえた。

「ルビィちゃん・・・、ルビィちゃん・・・」

これにはルビィ、すぐに、

(あっ、月ちゃんの声だ・・・)

と、月の声だと気づく。ただ、月は今、ライブの撮影の真っ最中だった。が、

「ルビィちゃん、思い出して、僕の言葉を・・・、あのとき僕が言った、あの言葉を・・・」

と、ルビィには聞こえる。どうやら、ルビィの心の中にだけ聞こえているようだ。そして、ルビィの心の中に月のあの言葉が聞こえてきた。

「ルビィちゃん、僕が「真実の口」で言った言葉、覚えている?「ルビィちゃん、旅立つことはゼロに戻るわけじゃないのよね!!」それから、僕、ルビィちゃんに仲間がいるって、言ったよね。」

これにはルビィ、

(あっ、思い出した・・・、月ちゃんの言葉、その続きを・・・思い出した・・・)

と、その月の言葉の続きを思い出す、それは・・・。

「そしてね、その仲間を通じてあるものを得たはずだよ!!ルビィちゃん、それはね、Aqoursというみんなとの思い出、みんなの想い、そして、Aqoursを通じて得たキズナ、だよ!!でもね、人というのはね、実際に自分たちの仲間が旅立つんだと思うと、残った人たちは再スタート、つまり、今までのことはすべてなくなり、また最初から、ゼロに戻った、もとに戻った、そう感じちゃうんだ。イタリアに来る前、ルビィちゃんたちもなにもかもがなくなった、そんな気がしたかもね。でもね、僕、声を大にしてルビィちゃんたちに言いたいよ、大事なことを忘れちゃだめだよ、って。で、僕が言いたいこと、それはね、これまでやってきたことすべてが僕たちの心の中に残っていることなんだよ!!だって、たとえ僕たちの仲間が旅立とうとしても、旅立つ人たちと一緒にやってきたこと、築き上げてきたこと、その思い出、その想い、そして、それで得たキズナはね、残った人たち、そして、旅立つ人たちの心の中にずっと残るものなんだよ。さらにね、旅立つ人たちと一緒に暮らした地、思い出の地もずっと残っている。そう考えると、自分たちの仲間が旅立つ=ゼロに戻る、それ自体間違いだと思うんだよ。それよりも、僕たちや旅立つ人たちが一緒になって経験したこと、やってきたこと、それがみんなの思い出となり、みんなの想いへとつながり、みんなとのキズナへと変わっていく、そして、それらは僕らにとって宝物になっていく。その宝物は、たとえどんなことがあっても、なにがあっても壊れることはない。むしろ、僕たちは、たとえ、どんなに離れていても、その宝物を通じてずっと、永遠に、つながっている!!だからこそ言える!!ゼロなんか戻ったりしない!!ゼロからイチへ、その先の未来へ、僕たちは、いや、みんなは、宝物を通じて、一緒にその先へと進んで行ける、虹の先にある、未来という新しい輝きに向かって!!っと、僕はそう想うよ!!」

この言葉を思い出したルビィ、

(そうだよ!!お姉ちゃんたちは旅立つ、このライブをもって。お姉ちゃんたちはスクールアイドルを卒業する!!けれど、それですべてがなくなったたりしない!!ゼロに戻ったりしない!!)

と、自分を鼓舞する。

 そして、ルビィはダイヤの手を握って階段を、大人の階段を、昇る!!すると・・・。

(そして、今、この場所でお姉ちゃんたちと一緒に踊っている!!これも思い出として、ルビィの、みんなの心の中にずっと残っていく!!これまで、お姉ちゃんと一緒にやってきた、お姉ちゃんもルビィも大好きなスクールアイドルとしての、Aqoursとしての思い出と一緒に!!そして、それによって得られたみんなの想い、キズナ、それらすべて、ルビィたちの心の中に宝物として残っていく!!さらに、その宝物があるからこそ、お姉ちゃんと、みんなと、ずっとつながっていける!!その先へと進めることができる!!)

と、ルビィの心の中になにかを確信するような気持ちが生まれる。それにつれて、ルビィの顔には自信をにじませるような表情をすると、ルビィ、あることに気づく。

(あっ、だから、月ちゃん、ルビィにアドバイス、してくれたんだ。静真高校のライブに失敗したとき、ルビィたち、あの広いステージで、お姉ちゃんたちがいないことで、ゼロに戻った、なにもかも失った、そんな錯覚を起こしていたんだ。それによって、不安、心配という海、泥沼に陥ってしまった。特に、ルビィが1番陥っていたんだね。でも、月ちゃん、ルビィたちと一緒にいるうちにその海、泥沼に陥っていることに気づいたんだね。そして、ルビィを「真実の口」に誘って、あることを悟らせたんだね、たとえ、お姉ちゃんたちが旅立ったとしてもゼロには、もとには戻らない、お姉ちゃんたちとの思い出、想い、キズナ、それがルビィたちの心の中に宝物として残っていて、それを通じてずっと、どんなに離れていても、どんなことがあっても、Aqoursと、みんなとつながっている、そして、その宝物は、0から1、10、100、10000、10000、いや、無限大数以上の、その先の未来へ、みんなと一緒に進むための原動力になる、って。だから、ルビィたち、それを糧にガンバルビィ、しちゃうんだから!!)

 そして、ルビィはそのままダイヤとハイタッチを交わすと、千歌たちの方を見渡し、あることを想う。

(で、千歌ちゃんたち、ルビィの言いたいこと、気づいてくれたかな?このスペイン広場の石階段、実は千歌ちゃん家の近くにある沼津内浦の砂浜海岸にある石階段に似ているんだよね。そう、その場所こそ、今のAqours原点の地、スタートの地、すべてのみなもとであるゼロの地。その場所でルビィたちAqours9人が今、まさに踊っている、歌っている。それによって千歌ちゃんたちにも伝わるはず。昔みたいに、Aqoursが千歌ちゃんだけ、もしくは、千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃんの3人だけ、ゼロの状態じゃない!!今、ルビィたちは9人、いる!!千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃん、それに、花丸ちゃん、善子ちゃん、鞠莉ちゃん、果南ちゃん、そして、ルビィにお姉ちゃん!!今のAqoursは9人いるんだ!!そして、この9人で今までいろんなことをしてきた、やってきた!!みんなの思い出、みんなの想い、みんなとのキズナ、その宝物がある!!0の地でルビィたちがライブをする意味、それは、千歌ちゃんたちに、昔みたいにゼロじゃなく、ルビィたち9人がいること、そのルビィたち9人には思い出、想い、キズナ、いっぱい、いっぱい、宝物として残っている、そのことを自覚してもらうこと!!そして、たとえ遠くに離れていても、その宝物を通じて太くてどんなことでも切れることがないキズナという糸でずっとつながっている、その先へと進めることができる、そう感じてもらうこと!!千歌ちゃん1人じゃない!!ルビィもいる!!みんなもいる!!だから、千歌ちゃん、そして、みんな、それに気づいて!!ルビィ、そのためにも、笑顔で、精一杯、ガンバルビィするよ!!)

このルビィの想い、それがルビィの笑顔、元気いっぱいのダンス、歌、それにあらわれるようになった。それが良い意味でAqours全体に波及していく。Aqours9人全員が笑顔で、元気いっぱいに踊り歌う。それは、あの静真高校のライブのときみたいに不安と心配の海、泥沼に陥ったときのAqoursではない、本当のAqoursの、いや、今まで以上の、あのμ‘s以上のスクールアイドルグループAqoursの姿だった。その、スクールアイドルとして大切なもの、楽しく、元気よく、そして、笑顔で踊り歌う、それを体現したAqoursの姿、それにより、Aqoursのライブを見に来てくれた観光客、ローマ市民、そのすべてがAqoursを応援するだけでなく、自ら、楽しく、嬉しくなっていった。そのためか、観光客、ローマ市民から、「頑張れ~!!」「なんか楽しくなってきたぞ!!」「ワクワクします!!」などといった言葉が英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、などなど、スペイン広場に駆け巡ろうとしていた。この様子を遠くから見ていた鞠莉’sママ、思わず、

(う、うそでしょ!!鞠莉が言っていたスクールアイドルってこんなにものすご~い影響力を持っているのですか!!そんなの、信じられませ~ん!!でも、信じざるをえないですね~。だって、鞠莉たちを応援する声、どんどんビッグになっているのですから・・・)

と、驚愕の表情でもって受け取っていた。さらに、鞠莉‘sママ、歌の歌詞にもあるものを感じる。

(鞠莉、いや、鞠莉たちみんな、自分たちの意思で、自由なツバサで羽ばたこうとしているので~す!!それがたとえどんなことがあっても、なにがあっても、みんなの力でやろうとしているので~す!!これ、聞いてしまいますと、鞠莉‘sママ、観念するしかないで~す!!だって、鞠莉’sママが用意した鳥かごでは、Aqoursという仲間たちのなかで大きく成長した鞠莉という鳥を束縛すること自体、絶対に無理、なんですからね~!!)

そして、鞠莉‘sママはあることを決めた・・・。

 

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