ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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SNOW CRYSTAL 序章 第1話

「ラブライブ!優勝は・・・、浦の星女学院スクールアイドル部、Aqours!!」

2月月末、秋葉ドームに鳴り響く声。この瞬間、

「ヤッター!!」

という9人の少女の声がドーム内に響き渡った。ついに9人の、いや、学校の仲間たちとの夢を叶えた瞬間だった。

 そんな9人の姿を観客席から見ていた少女は、

「ルビィ、そして、Aqoursのみんな、優勝、おめでとう・・・」

と、Aqoursと名乗る9人に対して、特に、その少女がルビィと呼ぶ親友に対して賛辞を送っていた。さらに、その少女は続けて、

「次はきっと私だって「ラブライブ!」で優勝してやる!!」

と、自分の決意を語った。

 だが、そんなことを考えた瞬間、その少女はある出来事を、自分にとって闇が生まれた、そんな出来事を思いだしてしまう。

(や、やめて!!あの日の思い出なんて、私にとって姉さまとの夢を終わらしてしまった、そんな思い出なんて、思い出させないで!!)

それはこのラブライブ!冬季大会最終予選での出来事、勝たないといけない、決勝にいかないといけない、そう自分に言い聞かせて、いや、自分で自分を追い込んでしまった結果、本番でパフォーマンスをしている最中に大きく転倒した、その瞬間の出来事だった。

 そして、それを思いだしたことにより、その少女はこう考えてしまった。

(もし、あの失敗がなければ、あれさえなければ、きっと、姉さまと私は、いや、Saint Snowは、ルビィと、Aqoursと同じステージに上がれたはず・・・)

その考えによりその少女の顔の表情は次第にこわばっていく。と、同時に、

(そう考えてしまうと、このままだと、私たちは、私が作ったユニットは、ただ楽しんでいるだけのユニットなんて、「楽しむ」というお遊びをただしているだけのユニットなんて、お遊びというゆるゆるの練習だけしかしないユニットなんて、ラブライブ!で優勝できないじゃない・・・)

という思いに支配されていく。その少女が新しく作ったユニットは「スクールアイドルを楽しむ」ことをメインにしていた。だが、その思いに支配されたその少女によれば自分が作ったユニットはただのお遊びの集団としか見ることができなかった。そうなればそのユニットのままだとAqoursと呼ばれる9人の少女たちみたいに「ラブライブ!」に優勝するなんて夢のまた夢、そうその少女は考えてしまった。

 そして、その思いに支配された少女は苦しみに満ちた小さな声でこう言った。

「もっと練習しないと・・・、もっと本気で練習しないと・・・、勝つためのユニットにしないと・・・、じゃないと、姉さまとの夢、ラブライブ!優勝、できない・・・。だって、

 

「ラブライブ!は遊びじゃない!!」

 

なんだから・・・」

 そんなその少女の苦しみに満ちた小さな声が聞こえたのか、その隣にいるその少女の姉はその少女の姿を見て、

「理亜・・・」

と、根気詰めているその少女に対し心配そうに言った。

 

LOVE LIVE! SNOW CRYSTAL PROLOGUE

 

Saint Snow said “Believe Again”

 

 それから1週間後・・・。

「いらっしゃいませ!!」

店員の声が店内に響き渡る。ここは北海道函館市にある茶房旧茶屋亭。函館ではよく見かける、1階部分の外装が和風で2階部分が洋風な建物、上下和洋折衷住宅を改装してできた喫茶店である。函館の人たちはここでお茶をすることがよくあったりする。そして、そんな函館に住む少女がここ旧茶屋亭を訪れていた。その少女の名は蝶野あつこ、函館のなかで一番歴史のある由緒ある女子高、函館聖泉女子高等学院、通称、聖女、の2年生である。

 そんなあつこはいつもの席に座る。そこは大通りが見える窓の席だった。そこにあつこが座ると店員に対し、

「あっ、註文はあとでお願いします。連れがもうすぐ来る予定ですから」

と、声をかけると店員も、

「はい、わかりました」

と、あつこに対し一礼をしてから店のカウンターへと戻っっていった。

 そんなあつこは大通りを見て一言、

「でも、聖良さん、遅いですね・・・」

あつこは人を待っていた、聖良という少女を。いつもは自分がこの喫茶店に到着すると同時に来るのだが今回に限ってまだ来ていないのだ。それでもあつこはそんなに怒っていなかった。それどころか、むしろ、

「聖良さん、なにかあったのでしょうか」

と、逆に聖良という少女のことが心配になっていた。

 そんなあつこであったが、突然、

「あの~、蝶野あつこ選手ですか?」

と、あつこ、ある女子高生に声をかけられてしまった。それに対し、あつこ、

「はい、そうですが・・・」

と、条件反射でつい応えてしまう。で、これには、女子高生、

「あっ、昔からあつこ選手のファンでした!!サインください!!」

と、あつこの前に黒のペンと色紙をつきだすと、あつこ、

(あっ、まだ昔の自分のことを知っているんだ・・・)

と、一瞬、そう思ってしまうも、

(でも、昔の自分のファンなんだから、ちゃんと対応しないと・・・)

と、気持ちを入れ替えてはその女子生徒から色紙とペンを受け取っては、

「いつも応援してくれてありがとう」

と言っては色紙に自分のサインを書いてその女子高生に渡した。

 すると、その女子高生、あつこに対し、

「あ、ありがとうございます!!一生大事にします!!」

と、目をキラキラさせながら言うと、あつこ、

(こんなしがない私のサイン、一生大事にしなくてもいいのに・・・)

と、つい考えてしまう。

 だが、そんなあつこに対してその女子高生はこんなことを言いだしてきた。

「ところで、いつ、競技に復帰するのですか?」

この女子高生の言葉を聞いた瞬間、あつこ、

(えっ、それは・・・)

と、ちょっと躊躇するもすぐに、

「まぁ、いつの日かね・・・」

と言葉を濁してしまう。

 だが、そのあつこの言葉を真に受けてか、女子高生、

「わ、私、あつこ選手が競技に復帰するの、待っています!!」

と言ってはあつこの元を去ってしまった。

 そんな女子高生を見てか、あつこ、ぽつりと、

「ごめん、競技、もうやめちゃったの・・・」

と、小声で謝っていた。その女子高生は昔のあつこに憧れを抱く少女であった。だが、あつこからすれば、今の自分は昔の自分とはだいぶ違っている、そう思っている。そのため、昔の自分に憧れを抱くその女子高生に対しいわゆる罪悪感をあつこは持ってしまった。いや、その女子高生だけではない。昔の自分に憧れを抱く人々と会うごとにその罪悪感は増していく、そして、その罪悪感が増えていくごとにあつこは重い十字架を次々と背負ってしまう、そんな悪循環にあつこは陥っていた。それはあつこにとって1つの大きな影を、いや、あつこのなかにある闇を成長させることにもつながった・・・。

 そんな大きな闇を抱えるあつこであったが、突然、

「あつこ、また暗くなっていますよ!!」

と、あつこにとって聞きなれた声がする。これには、あつこ、

「あっ、聖良さん、これは申し訳ありません・・・」

と、その声がする方を向いて返事をする。すると、その声の主は、

「あつこ、本当に遅くなってすみません」

と、あつこに謝る。で、その声の主とは・・・、聖良、鹿角聖良であった。鹿角聖良、あつこと同じく聖女に通っている高3の少女である。とはいえ、もうすぐ聖女を卒業する身であるのだが・・・。だが、この聖良、女子高生のあいだではちょっとした有名人だったりする。

 そんな聖良に対し、あつこ、自分の向かい側に聖良を座らせるとすぐに店員に註文すると、さっそく、聖良に対しこう言いだしてきた。

「聖良さん、今日は来てもらって本当に申し訳ございません」

これには、聖良、

「あつこ、私とあつこの仲です。それは言わなくてもいいですよ」

と、あつこを諭す。これは、あつこ、

「聖良さん、そのお気持ち、恩に切ります」

と言ってしまう。ちなみに、聖良とあつこは同じ高校に通う仲、ただのお友達、ではなかった。実は、いわゆる、幼馴染、であった。聖良とあつこは同じ幼稚園、いや、小中高と同じ聖女に通っているうちに一緒になって遊んでいた、そして、それは今でも続いている、いや、公私ともに支えあっている仲であった。そして、今日、あつこは聖良に対しある相談をするためにここ旧茶屋亭に聖良を呼び寄せたのである。

 そんなわけで、あつこ、すぐに聖良にある相談を持ちかける。

「ところで、聖良さん、実は聖良さんにご相談があるのです。聖良さんの妹の理亜さんのことなのですが・・・」

これには、聖良、

「あぁ、理亜のことなのですね・・・」

と、あつこが自分に対してなにが言いたいのか察したのか、あつこの言葉を受け止めると、聖良、続けて、

「理亜と一緒にやっているあつこが理亜のことで相談をしにくる、ということは、理亜、暴走、しているのですね・・・」

と、あつこのことを心配そうに言うとあつこも、

「はい、聖良さんの言う通りです・・・」

と、聖良の指摘を肯定した。

 で、それを受けてか、聖良、あつこに対し、

「ところで、理亜、どんな風に暴走しているのでしょうか?」

と尋ねると、あつこ、今、自分の近くで起きていることを話した。

「聖良さん、実は、理亜さん、東京から戻ってきてからこれまでの練習の1.5倍以上もの練習を私たちに課すようになったのです。それで、そんな練習に不満をもつユニットメンバーたちも出てきたわけです・・・」

これには、聖良、

「東京から戻ってきてから理亜が暴走し始めた・・・」

と、小言でつぶやいていた。

 と、ここで、あつこ、聖良に対しある疑問をぶつけた。

「理亜さんは、今、暴走している・・・。でも、なんで、理亜さん、暴走しているのでしょうか?」

このあつこの疑問に対し、聖良、あることを言いだす。

「まぁ、理亜の暴走については私譲りのストイックさに原因があるのかもしれませんが、そんな理亜が暴走するくらい理亜が自分を追い込んでしまっている理由を考えてみましょう」

この聖良の言葉に、あつこ、あるアイデアを出す。

「それだったらこれまで私たちのあいだで起きたことを順にたどっていきましょう。そうしたたら理亜さんが自分を追い込んでいる理由がわかるかもしれません」

このあつこのアイデアに聖良も、

「たしかにそうですね。それだったら、これまでのことを、私たち、Saint Snowの歴史を思いだしてみましょう」

とあつこに言うと、あつこ、

(あのう、聖良さん、私、Saint Snowのメンバーじゃないのですが・・・)

と心のなかでツッコみを入れつつも2人でこれまで起きたことを思いだすことにした。

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