ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle

「SUN & MOON・・・、月と太陽・・・」
 月、昔から「月下美人」といわれるくらい美しいものの象徴としてとらえられることが多い。しかし、月というのは、本当のところ、太陽の光を反射しているから明るいのであり、月自ら輝いているわけではない。そう考えると、月の美しさは太陽があってはじめて成り立つことになってしまう。それほど月というのはほかの助けを借りないといけない、そんなか弱い存在になってしまうのだろうか?いや、そうとも言い切れない。たとえ、月であっても、心がけ次第では光り輝く星に、自ら輝く美しい存在、みんなを照らす素晴らしき存在へと生まれ変わることができるかもしれない。月、そんな無限の可能性を秘めている、そんな力を持っている。
 さて、今宵開幕する物語、はたして、月の進む道はどっちへ行くのだろうか?ずっと、太陽という助けがないと生きていけない、か弱い存在として生き続けていくのか、それとも、自ら輝く美しき存在、みんなを照らす素晴らしき存在へと変貌を遂げるのだろうか、それは、神のみぞ知る・・・。



Moon Cradle 第1話

「曜ちゃん、曜ちゃん、・・・、待って、待って~~~!!」

遠くに見える曜という名の少女に対して必死に呼びかける少女が・・・。その少女に対し、曜という名の少女が大きな声で呼びかける。

「月ちゃん、私、先に行くね・・・」

この曜という名の少女の言葉に対し、その少女をずっと呼びかける月という名の少女はさらに呼び続けた。

「曜ちゃん、待って!!僕をおいていかないで・・・」

この月という名の少女の必死の呼びかけに対し、曜という名の少女はあることを月という名の少女に言った。

「月ちゃん、忘れないで、たとえ、離れていても、月ちゃんの心の中に私はずっと居続けるんだよ!!だって、私との・・・、私の・・・、私との・・・は、ずっと月ちゃんの心の中に残り続けるんだからね。だから、月ちゃん、・・・!!」

この曜という名の少女の言葉は必死になってその少女を呼び続ける月という名の少女にも聞こえてきた。が、大事なところはなぜか聞くことができなかった。そのためか、月という名の少女はすぐに、

「曜ちゃん、曜ちゃん、待って、待って~~~!!」

と、大きな声で呼び続ける。

 が、曜という名の少女は月という名の声が聞こえていないのか、

「じゃ、またね、月ちゃん」

と、手を振って別れの挨拶をすると、そのまま、月という名の少女の視界から消えてしまった。これには、月という名の少女は必死になって、まるで断末魔の叫びかのように、ただ、

「曜ちゃん、曜ちゃん、待って、待って~~~!!」

と、叫び続けていた。

 そんななか、天からある声が聞こえてくる。

「・・・、会長、・・・、会長、起きてください!!」

この声のせいか、月という名の少女のまわりはどんどん明るくなっていく。

「曜ちゃん、曜ちゃん、待って、おいていかないで~!!」

月という名の少女の叫びはついに心の叫びともいうべきものまで出てくる事態となる。が、

「会長、起きてください!!大至急起きてください!!大事件です!!」

と、天の声がどんどん大きくなる。でも、月という名の少女はそれにめげることなく、

「曜ちゃん~!!」

と、曜という名の少女を呼び叫ぶのをやめようとしない。

 が、そんな月という名の少女の心からの叫びとはうらはらに、その少女のまわりはどんどん明るくなり、ついにはその少女は一瞬の明るい光とともに消えていった・・・。

 

「会長、起きてください!!大問題が発生しました!!」

突然の大声と体を揺さぶられたのか、机の上で自分の腕を枕代わりにして寝ていた少女は思わず、

「・・・、な・・、なに・・・」

と、その少女を起こそうとしている人になにか聞こうとするが、少し寝ぼけているのか、言葉があやふやだった。

 ときに2018年2月末、ここは静真高校の生徒会室。1週間前に静真高校のある沼津でも春一番が吹いていた。それにあわせてなのか、この数日、沼津では春を匂わせるような心地よい暖かさの陽気が漂っていた。「会長」といわれ起こされようとしている少女も、この陽気に誘われてか、それとも、学年末ゆえの忙しさに疲れたのか、つい、机に自分の腕を枕代わりにして眠っていた。が、それは安らかな眠り、戦士が戦いの間にほっとつける休み・・・とは程遠いものだった。なぜなら、その少女が眠っているあいだ、ずっと、

「曜ちゃん、曜ちゃん・・・」

と、誰かを呼んでいる、そんな声が聞こえてきたからだった。まるで、なにかに苦しんでいる、そんな様子だった。

 が、そんな苦しい表情をして眠っていた少女であったが、それも、突然の、

「会長、起きてください!!」

の声で起こされようとしている。その少女、無理やり起こされると、

「・・・、な、・・・、なに・・・」

と、少し寝ぼけているのか、言葉があやふやな状態で起こしてくれた人に答えるが、その心の中では、

(ね、眠い・・・。で、でも・・・、なんか・・・、とても・・・、苦しい・・・、そんな・・・、気分・・・。そんな・・・、いや・・・)

と、相当な悪夢だったようで、眠いが、それでももう苦しい気分になる、そんなのはいや、という気持ちでいっぱいだったようだった

 

「会長、早く起きてください!!大変です!!」

まだ「会長」と呼ばれている少女が寝ぼけているのか、その少女を起こそうとしている人はその少女を必死で起こそうとする。その方法とは・・・。

「起きてください!!起きてください!!」

と、言いつつ、その少女の頭めがけて、

ポカポカ

と、連続して(軽く怪我をしないように)叩く。いや、こんな起こし方、まねしちゃダメよ!!、と、言いたいのだが、その少女を起こそうとしている人にとって、それが最善の策だと思ってのことだった。が、それほど起こそうとしている人にとって「会長」と呼ばれる少女に大変なことが起こったことをいち早く、すぐにでも伝えたい、そんな切羽詰った思いからだった。

 で、これには寝ていた少女は思わず、

「や、やめて、副会長!!」

と、頭を叩くのをやめるようにその少女を起こそうと頭を叩く人に注意する。これを聞いたのか、寝ている少女を起こそうと頭を叩く人はすぐに、

「か、会長、す、すいません!!」

と、寝ていた少女に謝る。それを聞いた(寝ていた)「会長」と呼ばれた少女はすぐに、

「副会長、僕の方こそごめん。つい、眠ってしまったよ・・・」

と、その少女を起こそうとした「副会長」と呼ばれた人に謝る。が、その「副会長」と呼ばれた人も、おもわず、

「か、会長、そ、そんなに謙遜しないでください」

と、「会長」と呼ばれた少女のことを逆に謙遜してしまう。

 とはいえ、これではお互い謙遜し続ける堂々巡りになってしまう。と、いうわけで、「会長」と呼ばれた少女はすぐに襟をただし、一言。

「で、なんでしょうか、ナギ(生徒会)副会長?」

これに対し、寝ている「会長」と呼ばれる少女を起こそうとした人ことナギ副会長はその少女にむけて言った。

「あっ、そうでした、会長!!至急伝えたいことがあります、渡辺月、生徒会長!!」

そう、「会長」と呼ばれた少女、であり、この物語の冒頭で悪夢にうなされていた少女こそ、この物語の主人公、渡辺月、静真高校2年で、静真高校に通う生徒たちを束ねる生徒会の長、生徒会長を務める少女、である。学力優秀、スポーツ万能、文武両道を地で行く、そんな生徒である。さらに、ボーイッシュな顔立ちであり、さらに「僕っ子」でもあったため、女子高である静真高校にとって、生徒たちから憧れの存在、いや、宝塚の男役トップスター並みと存在であると称されていた。そして、外国語が話せ、特にイタリア語は得意中の得意といえるほどのバイリンガル、いや、マルチリンガル(多言語話者)だったりする。なので、生徒たちだけでなく、その保護者や学校の教師たち、はては近隣の学校の人たちからも尊敬されていた。

 そんな月であったが、寝ているときに見ていた悪夢の影響か、ナギ副会長が起こそうとしたときにはまるで苦しんでいるかのように見えていた。が、少しずつではあるが、顔に笑顔が戻ろうとしていた。なぜなら、

(あの悪夢なんて忘れよう。だって、新学期になれば、大親友の曜ちゃんと一緒に登校できるんだもん!!一緒に勉強して~、一緒にスポーツして~、一緒に遊ぶんだもん!!長年の夢だった曜ちゃんとの一緒の高校生活!!それが、それが、ついに叶うんだもん!!僕、それだけ考えるだけでご飯10杯も一気に食べれるんだもん!!)

と、月は期待に胸にふくませながら、寝ているときに見ていた悪夢をできるだけ吹き飛ばそうとしていた。いや、その悪夢以上に、長年の夢が叶う、そのときを待ち望んでいる、そんな純粋乙女みたいな思いで胸がいっぱいになろうとしていた。

 では、なんで月はそんな思いで胸がいっぱいなのだろうか。それは時を去年の12月まで巻き戻す必要がある。

去年の12月中旬、月はある報告を受けていた。

「えっ、浦の星との統合が決定したのですか?」

その報告を受けて月は驚いていた。最後まで浦の星と静真の統廃合を許可しなかった、浦の星のスポンサーであり、娘を浦の星の理事長にしていた小原家の当主がついに統廃合の許可を出したというのだ。小原家当主という浦の星と静真の統廃合の最後の障害が取り除かれたことにより、浦の星と静真の統廃合がようやく実現することになったのだ。では、なぜ、小原家の当主が最後まで首を縦に振らなかったのか?それは小原家の当主の一人娘である鞠莉との約束を守るためであった。小原家当主の一人娘であり、浦の星の理事長でもあった鞠莉は親友のダイヤ、果南、さらには千歌、曜、梨子、ルビィ、花丸、ヨハネ、などと一緒にスクールアイドルグループAqoursを結成、ラブライブ!夏季大会はあと一歩のところで決勝進出を逃したものの、その悔しさをバネにし、夏季大会終了後に力をつけ、冬季大会予備予選である静岡県予選をトップで通過、そのいきおいを殺さないよう、リーダーである千歌がバク転をマスターするくらい練習を積み重ねていったのだ。でも、どうして高度で危険を伴う技術をマスターするくらい練習を積み重ねてきたのか。それは浦の星の廃校を阻止するため。3年生鞠莉、ダイヤ、果南をはじめ、メンバー全員が浦の星が好きであり、思い出が残るわが母校を残していきたい、そんな想いからスクールアイドルグループAqoursとして頑張ってきたのだ。Aqoursがラブライブ!で活躍を見せれば浦の星の注目度があがり、それが浦の星の入学希望者を増やすきっかけになれば、そんな想いでこれまで頑張ってきたのだ。で、その廃校を阻止するために鞠莉の父親で浦の星の大スポンサーでもあった小原家当主から提示された目標、入学希望者数100人!!ルビィたち1年である今年の入学者数が約30人くらいだったことを考えると、果てしない無謀な数字、だったが、それが鞠莉と鞠莉の父親(小原家当主)とのあいだで交わされた約束の数字だった。この数字をラブライブ!冬季大会東海最終予選の日の夜に達成すること、それが浦の星の廃校を阻止するために残された最後のチャンスとなっていた。で、千歌たちAqoursは最後のあがきになるであろう、バク転、ドルフィン、などといったダンス技術を完璧にこなせるよう一生懸命練習し、その結果、念願のラブライブ!東海最終予選のトップ通過へと結びつけたのだ。のだが、それが即入学希望者につながった・・・わけではなかった。最後のあがきなのか、約束の時間を翌日の早朝まで延ばしたものの、集まった入学希望者数は98人・・・。鞠莉たちの願いむなしく、約束の数字、入学希望者数100人にはあと一歩のところで届くことができなかった。これにより、浦の星の廃校、浦の星と静真の統廃合が正式に決まってしまった。

 が、その浦の星と静真の統廃合が決まった、という報告を受けた月はこのとき、こう思ってしまった。

(ああ、千歌ちゃんたち、浦の星の廃校を阻止することができなかったんだね。僕、とても悲しいよ。だって、あれだけ廃校を阻止しようと頑張ってきたのに、それが水の泡になってしまうなんて。統廃合先である静真の生徒会長の僕からしてもなんとか浦の星の存続を願っていたのに、それが叶わないなんて、とても悲しいことだね・・・)

そして、月はあるAqoursメンバーのことを特に心配していた。

(曜ちゃん、今頃とても悔しがっているかもしれないね。だって、大親友の千歌ちゃんと同じくらい好きだった浦の星が廃校になるから・・・。曜ちゃん、僕との電話で「絶対に浦の星の廃校を阻止するからね!!」って、いつも言っていたもんね。そして、たとえ、きつい練習があっても「それによって浦の星の廃校を阻止できるなら、そんなの気にしない!!」って、いつも言うくらい頑張っていたもんね。そして、曜ちゃん、いつも笑っていっていたもんね、「私、千歌ちゃんが、そして、Aqoursメンバー全員がいるから、どんなことがあっても頑張れる、この9人がいるから、どんな夢だって叶えることができる!!」って。でも、今となっては、その夢は潰えてしまった。それはつまり、曜ちゃん、それに、曜ちゃんたちAqoursメンバー全員の夢が、浦の星の廃校阻止という夢が叶えられなかったことなんだよね。それって、曜ちゃんたちにとって悲しすぎるものになってしまうんだよね・・・)

 そう、月はAqoursのメンバーである渡辺曜のことをとても心配しているのである。ではなぜ、月は千歌やダイヤ、鞠莉などではなく、曜のことを特に心配しているのか。それは月にとって曜はいとこであり、昔からの大親友だったからである。月は小さいときから親の仕事のために海外で暮らしていたのだが、小学生のとき、親の転勤で親の故郷である沼津に戻ることになった。慣れない日本の地での生活、それが(長い間海外で暮らしていた)月にとって苦にならないか、そう心配した月の両親は沼津に引越ししてすぐにしたのが、沼津に住む親戚の家を訪ねることだった。その際、月はその親戚の家に着くなり、

「・・・」

と、緊張しているのか、逆に黙ってしまった。何も知らない地で、自分の知らない人と会う、そう考えるととても不安でいっぱいだった、月が・・・。そんななか、テーブルを介して月の両親とその親戚(父親と母親)大人2人が向かい合って座っていた。その大人4人は久しぶりに会えたからか会話を弾ませていたのだが、とうの月はというと、

「・・・」

と、ただ黙っているだけだった。自分の親以外にまったく知らない大人2人の存在に、月、ただ不安だけを覚えてしまい、とても緊張した状態が続いていた。と、いうわけで、なにもしゃべることができず、両親とまったく知らない大人2人の会話の様子をただただ見ているだけ、そんな月にとって地獄ともとれる時間が続こうとしていた。

 そして、その時間が1時間を越えようとしたとき、その地獄ともとれる時間はすぐに終わりを告げる。つきの両親と自分がまったくしらない大人、親戚2人の会話、それがずっと続く、月にとって地獄の時間がずっと続く、そう、月が思っていた、そのときだった。大人4人の会話の最中、突然、

ピンポーン

と、玄関のドアの呼び鈴が聞こえてきた。すると、その親戚大人2人のうち、男(父親)が突然、

「あっ、曜が帰ってきたか・・・」

と言うと、すぐに立ち上がり、玄関のドアを開けようと行く。そして、

キー

と、玄関のドアが開く音が聞こえてくると、まもなく、

「パパ、ただいま!!」

と、玄関から遠くの部屋にいる月たちにも聞こえるくらいの女の子の大きな声が聞こえてきた。さらに、

バタバタ

と、廊下を走る音が聞こえてくると、間をおかず、

バタン!!

と、月のいる部屋のドアをものすごいいきおいで開ける音が聞こえてくる。そのドアが開いた音が聞こえるとすぐに、

「ママ、ただいま!!」

と、月が今まで聞いたことがない大きな声で親戚の女のほう(母親)に挨拶する、とても元気な女の子、これには月、

(だ、だれ・・・?)

と、まるで得体の知れない子どもがあらわれた、自分、本当に大丈夫なのかな、と、心配と不安に飲み込まれてしまったかのように固まってしまった。

 が、その女の子はすぐに、

「あっ、私の知らない子、みっけ!!」

と、月の方を指差し、元気よく言うと、月のところへ目にも留まらぬ速さで月に近づく。これには月、

(だ、だれか、助けて~)

と、(「ちょっと待ってね~」とみんなが言いたそうですが、)SOS信号をだそうとしていた。

 しかし、その女の子は警戒を続ける月のことなんてお構いなしに月にさらに近づく。これには月、

(ほ、本当に、だれか、助けて~!!)

と、SOS信号を必死にだそうとしている。そんな最大級の警戒を続ける月に向かってある一言を元気のある大きな声で言った。

「渡辺曜です!!よ~ろしく~!!」

これを聞いた月、

(えっ!!)

と、逆にきょとんとなってしまう。自分のことを曜と名乗る少女は警戒している自分に対して、ただ、大きな声で挨拶したのだ。その曜と名乗る少女は月に向かって元気な声で言った。

「で、あなたはだ~れ?」

この問いに月はただたんに、

(えっ、今なんて・・・)

と、ただ呆然となってしまう。月、思考停止に陥ってしまった。あまりにも唐突に起こったことに、月、頭がパニックになり、結果、頭がオーバーヒートを起こしてしまい、思考停止に陥ってしまった。しかし、曜と名乗る少女はそんな思考停止に陥ってしまった月に対して一言。

「あなたの名前、はやく聞かせてよ~!!はやく~、はやく~!!」

この言葉に、月、

(はっ!!今、一瞬止まっていたような気がしてきた・・・)

と、ようやく再起動を果たすと、すぐに、

(あっ、あの子、僕の名前を知りたがっている・・・)

と、なんとか、曜と名乗る少女が自分の名前を聞きたがっていることを理解する。そして・・・。

「ぼ・・・、僕・・・、月・・・、渡辺月・・・、と、いいます・・・」

と、小声で自分の名前を言う月。しかし、

「はっ、聞こえないよ!!もっと大きな声で言ってみて!!」

と、曜と名乗る少女は月に対しもっと大きな声で名前を言って欲しいと催促する。これには月、

(えっ、今のじゃダメなの!!もっと大きな声で言わないとダメなの!!)

と、少し困惑気味になるも、すぐに、

(曜って子、「もっと大きな声で言って」、って言っている。それなら、あの子以上の声、だそうじゃないの!!)

と、少し意地になったのか、曜と名乗る子に対し、

「僕、渡辺月、月っていいます!!」

と、曜と名乗る少女の挨拶以上の声をだして挨拶する。これには月、

(やった!!あの子(曜)に勝った!!)

と、自分の勝利を確信する。が、その月の挨拶に対し、曜と名乗る少女は月に対し意外な反応を示す。

「へぇ~、あなた、月ちゃんっていうんだね。それでいて僕っ子なんだ!!私、初めて聞いたよ~」

と、普通の反応を見せる曜と名乗る少女、だったが、すぐに、

「ところで、月ちゃん、少しは緊張、解けたかな?」

と、月に質問する。これには月、

(えっ!!緊張~?)

と、少し困惑すると、曜と名乗る少女はその真意を言った。

「月ちゃん、ずっと緊張しているって、私、感じちゃったんだ。なら、私の手で月ちゃんの緊張をほぐそうと思って、わざと大きな声で挨拶したの!!」

これを聞いた月、

(えっ、あの子(曜)、僕のためにわざと大きな声で挨拶したの・・・?)

と、曜と名乗る少女に対して驚いてしまうも、そんなの気にせず、曜と名乗る少女はすぐに月に対し、

「ねっ、今から私と一緒に遊ぼう~よ!!」

と、一緒に遊ぼうと誘おうとしている。これんは月、おもわず、

「あっ、はい・・・」

と、何も考えずに同意してしまう。それを見た曜と名乗る少女、

「それじゃ、今から外に行って公園で一緒に遊ぼう!!」

と、月の手をいきなり握り締め、そのまま月と一緒に外に出ようとしている。そんな、曜と名乗る少女に対し、親戚の女性(母親)は一言。

「曜、髙飛び込みの練習が終わって帰ってきたのに、すぐに月ちゃんと一緒に遊びに行くなんて、ほんと、大丈夫なの~?」

これに対し、曜と名乗る少女は、

「大丈夫!!」

と、これまた元気な声で答えていた。

 そして、その親戚の家から飛び出した、曜と名乗る少女と、その少女に無理やり?外に連れ出された月。その際、曜と名乗る少女は月に対し、ある一言を言った。

「月ちゃん、私、曜はね、ここで誓うよ!!月ちゃん、これからずっと友達として、いや、大親友として、月ちゃんと一緒にずっと遊んでいこうね!!」

これを聞いた月、

(なんか曜って子にいっぱい食わされたかもしれないね。なんかずっと緊張していたことがバカらしく見えてしまうよ。そう考えてしまうと、この曜って子と一緒にいるだけでずっと楽しんで暮らしていける、そう思ってしまうよ)

と、考えるようになり、すぐに、

「うん!!僕も曜ちゃんと一緒にずっと遊んでいきたい!!」

と、元気よく答えた。

 こうして、月にとって曜と名乗る少女、いや、曜とはいとこの関係ではあるが大親友といえるくらいの仲、つながりを持つようになった。それは小学校を卒業し、中学に進学しても変わらなかった。月と曜、一緒にいなかったのは、曜が小さいときからやっている髙飛び込みの練習のとき、もしくは、曜のもう一方の大親友の千歌たちと遊ぶ、それくらいだった。それ以外のときはずっと月と遊んでいた曜。それくらい長い間曜と一緒にいた月にとって曜と一緒にいることは幸せな時間、濃厚な時間を味わっていた、そんな気持ちだった。

そして、月はいつも元気を振りまいている曜を見習い、少しでも元気で、少しでも明るく、まわりに笑顔を振りまこうとする。すると、月のまわりには次々と親友といえる友達が増えていくようになった。それでも、月にとって、曜こそ自分の先生であり、それでいて大親友でもある、そんな自負が月にはあった。

 が、月にとって幸せな時間がずっと続く、わけではなかった。月と曜が中学3年のとき、月は学校の成績がとても優秀だったこともあり、沼津のなかで浦の星と同じく歴史が長く由緒ある女子高、静真高校の推薦入学を早々と決めていた。そして、曜も中学3年の夏の大会で全国上位の成績を収めたことにより、部活動が盛んであり、全国大会に出場するレベルの部活を数多く揃える(月と同じ)静真高校のスポーツ推薦入学を早々と決めていた。が、とある理由で曜はその静真高校のスポーツ推薦を蹴ってしまい、もう一方の大親友である千歌たちが入学する浦の星へと入学してしまう。このことがきっかけとなり、一時期、月と曜のあいだにほんの少しだけ険悪なムードが漂うも、曜のある一言によってすぐに仲直りしてしまう。そして、月と曜、違う高校に入学したことでこれまでより一緒にいる時間はかなり減ったものの、ときどき電話などで会話を弾ませる、それくらい2人のキズナはより強固なものになった。

 で、ここ最近の月と曜、2人の話題はというと・・・。

「私、最近、千歌ちゃんとAqours、始めたんだ~、東京から来た梨子ちゃんという子と一緒にね」

「月ちゃん、聞いて~。浦の星が廃校の危機だよ~!!でもね、千歌ちゃん、立ち上がったんだ~、「私たちAqoursは(浦の星の)廃校を阻止するために立ち上がります」って・・・」

「悔しいよ~、あともう少しで(ラブライブ!)決勝進出できたのに~!!」

「今度こそ、この前、乗り越えることができなかった(ラブライブ!東海)最終予選、乗り越えてみせる、千歌ちゃんたちAqoursのみんなと一緒にね!!」

と、曜がメンバーの1人として参加している浦の星女学院スクールアイドルグループ「Aqours」のことを話題にしていた。Aqoursのことになると曜は元気よくしゃべり、月もそんな曜の姿にいつもびっくりするも、一緒になって楽しんでいた。むろん、Aqoursのメンバーのことや浦の星の廃校を阻止するために曜たちAqoursが必死になって活動していることは曜との電話を通じて知っていた。さらにそのAqoursの活動内容についても月は曜を通じて知っていた。(少し長くなったが、)と、いうわけで、月は曜たちAqoursの必死の頑張りむなしく浦の星の廃校が決定したという報告を受けて、曜たちAqoursメンバー全員の無念さ、特に、曜については曜の気持ちが手に取るようにわかるぐらいの悲しさを共有していた。ただ、このとき、曜をはじめとしたAqoursメンバー全員はこれ以上Aqoursを続ける自信を失いかけていた。

 で、浦の星の廃校が決まった日の夜、月のスマホに曜からいきなり電話がかかってきた。そのとき、曜は、

「私の好きな浦の星がなくなっちゃうよう~、私たち(Aqours)が必死に頑張ってきたのに・・・。私、もうAqoursを続ける自信、なくなっちゃった・・・。廃校を阻止できなかったから、もうAqoursを続ける意味、なくしたのかもしれない・・・」

と、いつもの曜とは違う弱気を見せていた。これには月、

(曜ちゃんって、いつもAqoursのことになると元気よく話していたよね。でも、今、もうAqoursを続けたくないと曜ちゃん、思っているよね。でも、たとえAqoursをやめたとしても、いつも元気な姿の曜ちゃんが戻ってくるわけじゃないのよね。たしか、Aqoursってラブライブ!という大会の決勝にトップ進出していたよね。だったら、曜ちゃん、最後の最後まで頑張るべきだよ!!だからこそ、僕、(曜ちゃんに向かって)心を鬼にするね!!)

と、思うと、曜に向かってきつく発言した。

「曜ちゃん、Aqoursをやめたいって言っちゃダメ!!浦の星がなくなっちゃうけど、Aqoursとしてはまだラブライブ!という大会の決勝が残っているじゃない!!僕が思うに、最後の最後までAqoursのメンバーとして頑張る、それがとても大切だと思うよ!!だからね、曜ちゃん、Aqoursを続けて!!」

この言葉に曜、

「月ちゃん・・・」

と、月の言葉に愕然とした。結局、この月の言葉、それに、後日、浦の星の生徒たちからの「ラブライブ!で優勝して、浦の星の名前を(ラブライブ!の)歴史に刻み込んで!!」の言葉により、曜をはじめとしたAqoursメンバー全員はAqoursを続けることを決めた。

 一方、月はというと・・・、1月中旬、曜との電話のなかで・・・。

「月ちゃん、あと2ヶ月で浦の星と静真が統合するけど、統合の準備、進んでいる?」z

と、曜が月に質問すると、月は元気よく、

「うん、ちゃんと進んでいるよ。この前ね・・・」

と、順調に浦の星と静真の統廃合の準備が進んでいることを曜に報告する。月は浦の星がなくなる無念さよりもこれから先、曜たち浦の星の生徒たちが(浦の星と静真の統廃合後の4月以降)静真での学生生活をエンジョイできる、そのための準備を一生懸命頑張っていた。その頑張りにおいて、月はいつも、

(曜ちゃんたち浦の星の生徒のみんなが静真高校でも十分エンジョイできるようにちゃんと準備をしないとね。だって、僕、曜ちゃんと一緒に高校生活を楽しむことが夢だったんだもん!!たしかに心の中ではいつでも曜ちゃんとつながっているけと、それでも、(どんな形とはいえ)曜ちゃんと一緒にいられるなんて、ここ最近なかったからね。でも、それでも、曜ちゃんたち浦の星の生徒みんなが静真での生活を十分エンジョイできなかったら、生徒会長である僕にとってもとても悲しいもんね。だから、僕、頑張る!!曜ちゃんたち浦の星の生徒みんなが十分(静真での学生生活を)エンジョイできるように頑張るからね!!)

と、ちょっと本心をみせつつも、曜たち浦の星の生徒みんなが(浦の星と静真の統廃合後の)4月以降、静真での学生生活を十分エンジョイできるようにしたい、そんな心意気で(自分自身も楽しみながら)準備を進めていた。

 

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