とても残酷ともとれる少女の物語を語り終えたあつこだったが、聖良はそんな迫真に満ちた口調で語ったあつこの姿を見てか、ただただ、
ポカ~ン
と口を開けていた。そんな聖良に対し、あつこ、
「どうだった、聖良、とてもためになったでしょう。私、あの少女のように、今の理亜さんのように、無謀といえる過酷な練習を課したことであの少女の結末のように、最悪の結末に、まわりにいるみんなにとって、特に、理亜さんの身近にいる聖良さんにとって、とても辛い、そんな最悪な結末を迎えないために、私、それを理亜さんにわかってもらいたくて、いや、私にとってあの結末を2度と迎えたくない、その一心で、理亜さんのユニットを抜けたわけ!!聖良さん、わかる、私の今の気持ち・・・」
と、聖良に向かってこんな残酷ともとれるような少女の物語を語った理由、いや、あつこが理亜のユニットから抜けた理由を言った。
だが、聖良、そんなあつこに対し、こんなことを言いだしてきた。
「あつこ、その少女の正体、あつこ、ですよね!!」
この聖良の言葉に、あつこ、
「せ、聖良さん・・・」
と、少しびっくりするも、すぐに聖良に対し、聖良の言っていることの答えを言った。
「聖良さん、よくわかりましたね。たしかに、その残酷ともとれる少女の物語、その少女の正体は・・・、そう、私、でした!!」
そうあっけらかんな表情で答えるあつこ、それに対し、聖良、黙ってしまう。そのためか、あつこ、そんな聖良に対し、
「でも、なんで、私がその少女の正体だってわかったの?」
と尋ねてみる。
すると、聖良、そんなあつこに対し、真剣な目つきになってこう言い放った。
「それは、長い間、あつこと親友達を続けてきたからです!!あつこのことでわからないことなんてありません!!それに、まわりからの声によって苦しんでいる、そんなあつこの姿、私が忘れるなんてありません!!もちろん、無理な練習を続けてしまい、大切な大会で大ケガをしてしまった、そのときのあつこの苦しみに満ちた姿、今でも思いだすことができますよ!!私だってそんなあつこの姿を見て心苦しかったのですから」
そう、あつこは聖良にとって昔からの大親友、幼馴染であり、とても大切な親友でもあった。そのためにあつこのそばにはいつも聖良の姿(+聖良のあとをついてきた理亜の姿)があった。なので、あつこが12歳のときに日本のジュニアの大会に優勝したときも、そのあとのあつこが自分の体の成長により苦しんでいたときも、さらには、限界を超えた練習を続けたことにより中学3年の大会のときに大事故を起こしてしまい大ケガをしてしまったそのときも、さらには、その時々でころころ変わってしまうまわりの人たちの意見に振り回されてしまうあつこの姿も、聖良はあつこのそばにいてはずっとあつこの様子を見てきたのだ。なので、このことを当然ながら知っているあつこ、
「やっぱ、聖良さんには敵わないわ・・・」
と脱帽してしまった。
だが、聖良の言葉はまだ止まらなかった。あつこに対し、聖良、こんなことを言いだした。
「それに、体の成長によって苦しむ女性フィギュアスケート選手、その話はあつこに限ったことじゃないから・・・」
この聖良の言葉に、あつこ、
「た、たしかにその通り・・・」
と、聖良が言っていることが当たっていることにびっくりしてしまう・・・(って、あつこ、自分の物語を語っているときに、「女性フィギュアスケート選手に必ず訪れてしまう、恐ろしい壁にぶつかってしまいます」って、同じこと、言っているよね・・・)
と、まぁ、そんなツッコミは無視して・・・、たしかにあつこと聖良の言う通りである。実は、女性のフィギュア選手にとって自分の体の成長によってフィギュア選手としての選手生命が左右されやすかったりする。日本の女性フィギュア選手の数はかなり多かったりする。その女性フィギュア選手の競争率は男性の10倍以上。なので、かなり激しい競争が繰り広げられていた。それに加えて、第二次性徴という人には必ず訪れてしまう、そんな体の成長、それからくる体型の変化にほどんどの女性選手たちは苦しんでしまう。フィギュアスケートほど体の感覚に敏感になるスポーツなんてない。そのために、成長する前の感覚で跳ぼうとするとその成長した体型によって感じる感覚とズレが生じてしまう。結果、そのズレなどのせいで、背が伸び、女性らしい体つきをした、ただそれだけでこれまで跳ぶことができたジャンプ全てでできなくなってしまう、そんなことが起きてしまう。そんあこともあってか、少しでも、甘いもの、体型が変わってしまう、そんなもの、例えば、アイス、それを食べること自体禁止するチームもあったりする。さらには、ロシアの選手のあいだでは、アイスショーの楽屋でふるまわれたお菓子を手につけてはいけない、そうコーチから命令されるも、それを守った選手はオリンピック選手になれたがそれを守らなかった選手は太ってしまいオリンピックには出られなかった、そんなエピソードが残っていたりする。
とはいえ、そんあ成長期の苦しみを乗り越えたとしても、ある有名な日本人選手でさえも、「私のジャンプは背が伸びる前、3年くらい前が1番よかった」というくらいフィギュアスケート選手のピークはとても早かったりする。このあとからくる成長期の苦しみ、もしくは、ピークを過ぎた体で戦う、そんなこともあり、多くのフィギュア選手は無理やり自分の身体の成長を抑えたり、過度なダイエットをして体型を維持しようとしていたりする。それくらい、女性のフィギュア選手が抱えるナーバスな問題はその選手生命すら左右するくらいとても大きな問題だったりする。(ただし、フィギュアスケートというスポーツは身体能力だけで点数が決まるものではない。豊かな感情表現、より深い音楽や物語の表現、といった芸術性を競うスポーツでもある。そのため、それに長けた選手、たとえば、稀勢バウバー、じゃなかった・・・、イナバウアーで有名な日本の女性フィギュア選手、いや、金メダリストのような芸術性に長けた選手もいることも付け加えておく。(以下、現代ビジネスHP、青嶋ひろの氏執筆、フィギュアスケート世界選手権、「女性シングルの抱える闇(成長期をどう乗り切るか)」より))
とは説明したものの、聖良、そのことはそのこととして終わりつつも、あつこに対しとても大切なことを言ってしまう。
「あつこ、確か、あつこが理亜のユニットから抜けたとしても、理亜はあつこの言いたいことを理解してくれるのでしょうか、私には疑問に感じてしまいます。だって、たとえあつこの言いたいことを理亜が理解したとしても理亜はやめることはないでしょう、あつこたちに課した限界を超えた練習を・・・。それくらい、理亜は自分に対しても、みんなに対してもストイックすぎるところがあります。まぁ、私に似ていて本当に言える立場ではないのですがね・・・」
そう、理亜は聖良と同じくらい、いや、それ以上にストイックすぎるところがある。それは理亜のどんなことに対しても真面目に取り組む、その姿勢からきているのであるが、その対象は自分だけでなく、自分のまわりにいる人たちに対してもである。たとえどんなことがあっても自分の目指すべきものがあればそれに向かって一生懸命頑張ってしまう、それが理亜のいいところであって同時に悪いところでもあった。それを物語っているのが、理亜の代名詞というべき言葉、
「ラブライブ!は遊びじゃない!!」
である。理亜はこれまで姉聖良と誓い合った夢、「ラブライブ!で優勝してスクールアイドルの頂きにのぼり、A-RISEやμ'sが見た景色を確認したい」、その夢に向かって、姉聖良とともに一生懸命頑張ってきた。それに対し、目標という目標を掲げていない、まだ、μ'sという輝きを追い求めていた、ただそんなことを考えていた、まだ1・2年しかいなかった、ラブライブ!夏季大会前に行われた東京のスクールアイドルのイベントで初めて会った、千歌たちAqours、に対し、理亜は、「ラブライブ!は遊びじゃない!!」、そんな言葉を千歌たちに浴びせてしまった。それは当時の理亜にとってそのときの千歌たちAqoursは、「自分は追い求めている夢に向かって頑張っている。対して、Aqoursは、ただのお遊び感覚でしかスクールアイドルをしていない、そんな悪ふざけのグループ」、そう見られたのかもしれない、当時の理亜からすれば・・・。と、まぁ、それくらい理亜は目標に向かってストイックに頑張ろうとする、その対象が自分であっても相手であってもである。その意味でも、理亜はそのストイックさゆえに残酷ともとれる、いや、限界を超えた練習を続けるだろう、そのことを聖良は危惧していたのである。
さらに、聖良、あつこに対し、あの子の存在をも指摘する。
「あつこ、それに、まだ理亜のユニットに残っている子、たしか、しのっちさん、その子に対しても理亜はこれから先も限界を超えた練習を課すことでしょう。おれは、たとえ、あつこ、あなたが理亜のユニットから抜けたことで助かった、としても、しのっちさんはこれから先もその練習の犠牲となる、そのことを考えていなかったのですか?」
そう、理亜のユニットにはまだしのっちが残っていた。あつこが理亜のユニットから抜けた今、ユニットに残っているのはしのっちだけ、そのしのっちに対し、理亜、これまでと同じ、限界を超えた練習を課してしまう、そのことを危惧していたのだ、聖良は。
ただ、このことに対し、あつこ、聖良に対しこんなことを言ってしまう。
「ああ、それなら大丈夫ですよ、聖良さん。しのっちには、私、必ずユニットを抜けるようにお願いしていますから。なので、安心してください!!しのっちもこれ以上理亜さんから限界を超えた練習するのはいやなのです。なので、しのっちのユニット脱退も時間の問題だと思いますよ!!」
だが、このあつこの発言により聖良は混乱を迎えてしまう。聖良、突然、あつこに対し、
「あつこ、今、なんて言いましたか?しのっちさんのユニット脱退・・・ですよね・・・」
と尋ねると、あつこ、
「はい、たしかに、しのっちのユニット脱退の話をしましたよ」
と、あっさりと答えてしまう。
が、そのあつこの答えを聞いた瞬間、聖良、これまでクールビューティーを貫いていたのだが、その表情が次第に壊れてしまった。いや、突然、慌てた表情となり、聖良、
「こ、このままだと、理亜が・・・理亜が・・・壊れてしまう!!」
と、とんでもないことを言いだしてきたのだ!!これには、あつこ、
「えっ、理亜さんが壊れる!?なんで!?しのっちのユニット脱退だけで理亜さんが壊れてしまうのですか!?」
と、慌てふためく聖良に対しどうしてか尋ねてみると、聖良、慌てた表情ままで、
「は、はいっ!!もし、しのっちさんが理亜のユニットから抜けたら、理亜はまたたった1人になってしまいます!!もし、こうなってしまったら、理亜、自分のせいで自分のユニットからメンバーが次々と脱退させてしまった、そのことを自分自身に責めるでしょう!!そうなってしまったら、理亜、絶対に壊れてしまいます!!」
と言ってきた。ただ、そんなことを聖良が言って、あつこ、
「ただそれだけで理亜さんが壊れるわけないでしょ、聖良さん」
と高をくくっていたが、次の聖良の発言で、あつこ、はっとする。
「あつこ、それくらい、理亜はとても繊細な子、なんです!!理亜のストイックさは自分にも向けられています。なので、しのっちさんが自分のユニットから抜けたことで理亜はそのストイックさ、責任感の強さから自分を責めるでしょう、あのときと同じように、あのラブライブ!冬季大会最終予選、そのときの自分のミスで決勝進出を逃した、そのときに、自分を、理亜自身が自分を責めたときのように・・・」
そう、理亜は聖良以上にストイック、どんなことに対しても責任感が強かったりする。そのために自分が犯したミスに対しても自分を責めたりすることがあったりする。たとえば、あのラブライブ!冬季大会北海道最終予選、そのときに自分が犯したミスによって決勝進出を逃した、自分たちの夢を叶えることができなくなった、そのことに対し、理亜はそのことにより、理亜のストイックさ、責任感の強さから自分を責めてしまった。このままいくと理亜は自分自身を傷つける恐れもあった。だが、このとき、偶然にも自分を責めていたのか、自分の部屋で泣いていた姿をルビィに見られてしまう。そのルビィが機転を利かせたことにより理亜は立ち直ることができたのであるがその一方で理亜の心のなかには・・・。と、この話はあとにして、このままいくとしのっちのユニット脱退が決定的になる、もし、そうなると、それがトリガーとなり、理亜は自分で自分のことを責めるようになるだろう、自分のせいで自分のユニットを空中分解させてしまったことを、また自分1人になってしまったことを・・・、そして、最悪の場合、理亜は思いつめてしまい、自分で自分を傷つける、そんなことまでに発展する恐れもある、それを聖良は気づいてしまったのだ。まぁ、これには、あつこ、
「た、たしかに、その恐れはありますね、理亜さんなら・・・」
と、聖良の言葉に理解を示す。まぁ、あつこも長年聖良の親友であるためにその聖良にいつもついてきていた理亜のこともよく知っているので聖良の言葉に納得してしまうのですがね。
でも、理亜がそうなってしまう可能性が高い、というわけで、当初していた聖良のあつこに対する取り調べ?は、急遽、理亜のこれからについて、そのための相談会へと変わってしまった・・・。