ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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SNOW CRYSTAL 序章 第27話

 だが、その思いはすぐにある少女によって癒えていった。そう、理亜としては姉聖良以外に初めてといえる親友となった、Aqoursメンバーであり、理亜と同じ1年、そして、理亜と同じく姉思いのルビィであった。理亜が自分の部屋で深淵なる闇のせいで起きた姉聖良への罪悪感からか泣いていたとき、たまたま、理亜と聖良の実家である甘味処の店のなかに入っていったAqours、そんななか、泣いている声がきこえてきたのか、その声を求めて居住スペースまで入ってしまったルビィ、泣いている理亜を見つけてしまった。

 そして、紆余曲折を経て、その思いに苦しむ理亜に対し、同じ姉思いのルビィはこんな提案をしてくる、レンガ倉庫の前に光るクリスマスツリーの前で、

「歌いませんか、一緒に曲を、お姉ちゃんに送る曲を作って、この光のなかで、もう1度!!」

そう、ルビィはすべてを失った、そう思っていた理亜に対し、もう1度、姉聖良のために、Saint Snowとしてもう1度ステージに立つことを、姉聖良、そして、姉ダイヤに送る歌を自分たちで作ってそこで披露することを提案してきたのだ。これには、理亜、

(もう1度、姉さまと歌える!!姉さまたちのために作った自分たちの曲を、それをみんなの前で歌える!!それって、Saint Snowを、続けることにもつながる!!)

と、これまでもっていた思いを打ち消しにしたどころか、それにより、自分のミスでSaint Snowを終わりにした、それへの姉聖良への罪悪感、それへの贖罪ができる、その思いが大きいのか、それとも、再び姉聖良と一緒にSaint Snowを続けることができる、その喜びの方が強かったのか、それについてはわからないが、少なくとも前向きに理亜は考えることができるようになったのは確かである。

 

 その後、理亜とルビィは同じ1年の花丸とヨハネを巻き込んで自分たちのライブの場となる函館のクリスマスフェスタ、そのオープニングを飾るライブに向けて、自分たちだけの曲、親愛なる姉たちに向けた曲、その曲作りに励むことになる。そのなかで、

「理亜ちゃん、ここの歌詞だけど、これでどうかな?」

とルビィが言うと理亜も、

「ルビィ、そこはこれが一番!!」

と言っては2人で張り合うこともあった。とはいえ、実は理亜とルビィはこれが曲制作を本格的に行うのは初めてのことだった。理亜の場合、Saint Snowの作詞作曲はいつも聖良とあつこが担っていた。また、ルビィに関しては「My 舞 tonght」のときにちょっとだけ加担したことがあったものの、それ以外の曲は主に作詞は千歌が、作曲は梨子がしていたため、そこまで曲制作に携わることがなかった。なので曲制作初心者の2人(+それに巻き込まれた花丸とヨハネ)は初心者張りにいろいろと回り道をしていた。

 だが、理亜にとってそれは新鮮なことだった。なぜなら、

(私はこれまで、ただ、姉さまとの夢、ラブライブ!優勝、に向けて一生懸命頑張ってきた。だから、優勝するためには勝ち続けるしかない、勝たないといけない、それがスクールアイドルとしては必要だ、と思っていた。けれど、今は違う。姉さまとSaint Snowを続けるために、私は今、(私たちのライバルである)Aqoursのルビィと一緒に曲を作っている!!それって今までの私、勝つことだけを追い求めてきた、そんな私からしたらとても新鮮に感じられる・・・)

そう、理亜、これまでは自分たちの夢を叶えるために、勝ち続けるために、自分を極限に追い込むまで一生懸命頑張ってきた。それが、一転、今は姉聖愛とSaint Snowを続けるためにライバルであったメンバー、ルビィと一緒に曲を作っている、それは理亜にとってこれまでの経験とは違う、なにか新しいもの、いや、これまで、「スクールアイドルとは勝つことこそ意義がある、(じゃないと、自分たちの夢であるラブライブ!優勝を叶えることができない、)」、そう考えていた理亜にとって180度変わった経験、ある人のためにスクールアイドル活動をしている、そんな意味で理亜はこの曲制作という経験を新鮮だと感じていたのだ。いや、このとき、理亜は、心の底から、スクールアイドルを楽しんでいた、のかもしれない。

 そして、

「最後は・・・、できた!!」(ルビィ)

「うん、すごくいい!!」(理亜)

「「う~ん、ヤッター!!」(ルビィ、理亜)

ついに、理亜とルビィ、2人はライブで歌う歌、そして、姉たちに送る歌、「Awalken the power」、その歌詞を完成させたのだ。これには、理亜、

(ついにできた!!ついにできた!!姉さまたちに送る歌の歌詞ができた!!)

と、心のなかで喜ぶとともに、

(なんか歌詞を作っていると、私、こう思ってしまう、「私、今、青春している!!スクールアイドルをしている!!スクールアイドルを楽しんでいる!!」って)

と、自分自身スクールアイドルを楽しんでいることを実感していた。

 また、このとき、理亜にある変化があらわれるようになる。それは、あつこに対する扱い方。これまではあつこが聖良に近づくとすぐに、理亜、

「この姉さまの腰ぎんちゃくが!!あっち行って、しっ、しっ」

と、自分が愛する姉聖良をあつこが奪おうとする、その思いからか、あつこのことを邪見に扱ってきたのだが、ルビィとともに作詞したものの、作曲についてはずぶの素人、だったため、作曲ができるあつこに自分たちが作詞した曲、「Awalken the power」、を作曲するようにルビィと一緒に依頼することとなった。で、あつこにその作曲を依頼する際、理亜、少し照れながらも、

「あつこ、お願いがあります。この歌詞に曲を付けてください・・・」

とお願いをしてきたのだ。このとき、理亜、

(認めたくないけど、あつこの作曲の実力は折り紙付き。だって、Saint Snowの曲すべての作詞作曲にあつこが関わっているから。あつこのこと、これまでは姉さまの腰ぎんちゃくとしか見ていなかったけど、今は認めてあげる、あつこがいなければ今の私たち、Saint Snowはいなかった。それだけは認めてあげる)

と、あつこのことを理亜はある程度認めてくれたのだ。ある意味、ツンデレ、みたいな理亜らしいといったら理亜らしい表現、なのだが、とうのあつこはというと、これまで姉聖良以外とは関わりをもたなかった理亜がまさか自分たちのライバルであるAqoursメンバー(ルビィのこと)とともに1つのことを成し遂げようとしている姿を見て、

(ふ~ん、理亜さん、ルビィさんという大事な仲間を作ったんだね!!なら、私もそんな理亜さんの力にならないとね!!)

と、これまでとは違う理亜の願いを聞き入れたい、その一心で、理亜とルビィが2人一緒になって作詞した曲、「Awalken the power」の作曲を受け持つことを承諾した。

 

 こうして、理亜・ルビィ作詞、あつこ作曲の、理亜とルビィが愛する姉たちに送る歌、「Awalken the power」は完成、函館のクリスマスフェスタのオープニングライブで披露することが決まった。まぁ、理亜、ルビィの姉たちへのサプライズ、それに対する、姉聖良と姉ダイヤ、そして、千歌たちの逆サプライズ、を経て、奇跡のユニット、Saint Aqours Snow、として、ここ函館の地で、奇跡のライブとして、この歌、「Awalken the power」は歌われたのだった。で、その曲はそのライブを見に来ていた函館市民、そして、なぜかこの情報を聞きつけてAqoursの故郷である沼津からはせ参じた、この物語の対となる物語、「Moon Cradle」、その重要人物となる(Aqoursメンバーの1人、ヨハネの前世を知る者(というか、ヨハネの中学時代の同級生である)稲荷あげはにとって心に残るライブとなった。

 そして、それはこのライブを関係者席から見ていたあつこにとってみても同様だった。あつこ、このライブを見て、

(聖良さん、理亜さん、2人ともとても輝いてみえます!!これまでは、自分たちの夢、ラブライブ!優勝、に向かって、それを叶えるために一生懸命頑張ってきました。いや、勝つことだけに集中してきました。しかし、それが一転して、2人とも、ライバルであるAqoursのみなさんと一緒に楽しくパフォーマンスをしています。それはまるで、2人とも、スクールアイドルそのものを楽しんでいる、そんな風にみえます・・・)

と、これまでの聖良と理亜、ただ自分たちの夢を叶えるためだけに頑張ってきた、勝つことに執着してきた、それが、このライブでは一転して、2人ともスクールアイドルを楽しんでいる、そうあつこには見えたのである。そのためか、あつこ、こうも考えるようになる。

(なんか2人ともスクールアイドルを楽しんでいる姿を見て、私、とても感動しております!!こんな2人を見ているだけで、私、とても嬉しく感じちゃいます!!)

そう、これまでとは違う聖良と理亜、その2人の姿を見て、あつこ、感動していたのだ。

 さらに、このライブを通じて理亜にもある変化が生まれた。それは・・・、

 

(私、ルビィたちと一緒に行動してわかった・・・、スクールアイドルって楽しむことがとても大切なことが・・・。だって、いくら勝つことばかり考えていたっていつかは負けることだってある。ならば、悔いのないように一生懸命スクールアイドルを楽しむ、頑張ることが大切。だって、ルビィたちAqoursは、これまで、スクールアイドルを心の底から楽しんできた。それがあったからこそ、Aqoursはラブライブ!(冬季大会)決勝まで進出することができた。対して、私と姉さま、Saint Snowは自分たちの夢を叶えるためだけに「ただ勝つことだけ」のことに執着してきた。けれど、それによって私は大事な場面でミスをしてしまった、結果、「負けてしまった」・・・、そう考えるだけでも、楽しむことがとても大切である、そう思えてしまう。いや、それ以上に、今、ここにいるみんなと一緒にこのライブを楽しもう、スクールアイドルを楽しもう、そんな自分がいる・・・。そんなことを考えると、私、楽しむこと、それって大切だと思えてきてしまう・・・)

そう、理亜は楽しむことの大切さを初めて知ったのだ。ルビィがこのライブを提案してからこのライブの日まで、理亜はルビィたちと一緒にこのライブの準備をしてきた。それは、これまで「スクールアイドルは勝つことこそすべて」と考えていた理亜にとって新鮮なことだった。いや、ルビィたちと一緒に「スクールアイドルを楽しむこと」という新しい感覚に理亜は触れることができたのだ。それにより、あの頑固者、「スクールアイドルは勝つことこそすべて」という考えに固執していた理亜もついにその考え、ベールを脱ぎ去ることができたのだ。いや、このライブを通じて、理亜の前身に「スクールアイドルを楽しむこと」のすばらしさを染みわたらすことができたのかもしれない。それくらい、理亜にとってこのルビィとの経験は今までの自分を脱ぎ去るきっかけになったのかもしれない。

 そして、理亜はついにあのことを決意した。このライブのあと、理亜は聖良に対しこう告げた。

「姉さま、私、Saint Snowは続けない。だって、これは姉さまとの(大切な)想い出だから。世界に1つしかない雪の結晶だから。だから、新しいグループ(ユニット)で違う雪の結晶を見つけて、姉さまにも、みんなにも、喜んでもらえる、スクールアイドルを作る。(だから、姉さま、)見てて」

そう、自分の口からSaint Snowにピリオドを打つ、新しいユニットを作る、そう、姉聖良に宣言したのだ。これには、聖良、新しい理亜の旅立ちとして理亜を祝福したのだった。

 

 だが、それでも、なお、理亜のなかにはまだ深淵なる闇が残っていった。ルビィのおかげでそれをぬぐい去ることができた・・・はずだった。しかし、そのほとんどを取り除いた・・・というか、取り除くことができた、かのように見えていたのだが、実際のところ、理亜の心の奥底までその闇は根付いていたのかもしれない。ただ、ルビィのおかげもあり、当面のあいだはその闇は姿をみせることはなかった。なぜなら・・・、

(人見知りな私はこれまで仲間といえる人がいなかった。けれど、そんな私にも仲間ができた!!いつも助け合える仲間ができた!!私、とてもうれしい!!)

と、理亜が思えるくらい(姉聖良とAqours以外で本当に)仲間といえる仲間が理亜のもとに集まったのだ。それはあの奇跡のクリスマスライブを見て、「自分んもスクールアイドルをやりたい!!」、そう思える有志が理亜のもとに集まったのだ。なので、これまで仲間といえる仲間がいなかった理亜にとってみればうれしいことだったのだ。まぁ、聖良の必死のお願いで理亜のユニットに入ったあつこもそのなかにいたのだが、理亜、そこについてはあまり追求してこなかった。

 また、このとき、理亜のなかにはある思いがあった。それは・・・、

(私、なんかみんなと一緒に練習をしていると、「みんなと一緒になってスクールアイドルを楽しんでいる」、そんな感じになる!!もしかすると、ルビィたちAqoursも今の私みたいな想いになっているかも!!)

そう、理亜は自分のユニットのために集まってくれた有志、仲間たちと一緒に練習していること自体楽しいと思えるようになったのだ。これまでは自分と姉聖良の夢のため、ただ一生懸命自分を追い込んでまでスクールアイドルの練習や活動をしてきた。だが、自分だけのユニット、それができた当初はこれまでとは違いあのクリスマスライブで感じたこと、スクールアイドルを楽しむこと、それを仲間たちと一緒に感じていたのだ。それは理亜にとって大きな進化だったのかもしれない。これまでは、理亜、姉聖良との夢の実現という大きな目標のために頑張ってきた。その理亜が今度は自分の仲間たちと一緒になってスクールアイドルを楽しんでいる、それは理亜にとって大きな収穫であった。

 とはいえ、理亜以外のユニットメンバーはスクールアイドル初心者、ということもあり、ユニット結成当初はスクールアイドルにとって不可欠な基礎体力をつける練習が主だった。それはこれまで入念な下準備のもと最初からたった1年という短い期間でラブライブ!優勝という夢を叶えるために勝ち続けるための練習をしてきたのとは違い本当に初心者用の練習ともいえた。なので、理亜からすれば姉聖良との練習とは程遠い、本当に物足りない、と理亜が思える練習だったのかもしれない。

 けれど、ユニット結成当初の理亜からすれば、

(まだ初心者の仲間たちだけど、私、そんな仲間たちを立派にスクールアイドルに育ててみせる!!だって、ルビィたちも最初は初心者だったけど、たった1年のあいだにラブライブ!決勝に進めるくらいに成長した!!だからこそ、私、やってやる、初心者の仲間たちを立派なスクールアイドルに成長させてやる!!)

と、まるでどこかの某音楽ゲームのプロデューサーみないな思いになっていた。理亜としては、まだ初心者の仲間たち、それを1年後にはルビィたち(最初は初心者だった(一部例外もあり))Aqoursみたいな立派なスクールアイドルに成長させる、そんな心意気があった。なので、たとて立派なスクールアイドルになったとしても基礎をしっかりとしてないといけない、ということで、理亜、ユニットメンバーたちに基礎をみっちりと叩き込もうとしていたのだ。もちろん、昔の自分とは違い、理亜、仲間たちと一緒に楽しみながら・・・、である。基礎、それは本当にとても大事です、はい・・・。

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