と、(あまり長くなったが、)月の頭の中は、今さっきまで見ていた、あの「曜が月のもとを離れてしまう」という悪夢よりも、4月以降に曜たちと一緒に学生生活を暮らせるという期待、嬉しさの方が勝るようになった理由が上記の通りであった。
そして、時は現在、2018年2月下旬、生徒会室の机の上でつい眠っていた月が生徒会副会長であるナギから起こされたところまで話は戻る。
その悪夢のなか、ナギ副会長によって起こされた月、そんな悪夢のことは忘れ、来るべき4月以降、曜と一緒に学生生活をエンジョイできる、そんな期待、嬉しさで頭の中がいっぱいの月であったが、その期待、嬉しさがこのあと、一瞬で吹き飛ぶことになる・・・。
そうとは知らず、月、ナギにあることを聞く。
「で、なんでしょうか、ナギ副会長?」
そう、(あまりに前置きが長すぎて忘れていたのかもしれないが)生徒会副会長であるナギは「大問題、大変なこと」が発生していることを伝えに生徒会長である月のいる生徒会室に行き、寝ている月を無理やり起こしたのだった。そして、ナギはすぐに、
「あっ、そうでした!!生徒会長!!大至急、伝えたいことがあります、渡辺月、生徒会長!!実は・・・」
と、なにかもったいぶったような言い方をすると、月、
「(ナギ)副会長、なんですか?」
と、ナギに催促する。これにはナギ、おもわず、
「ご、ごめんなさい、会長!!」
と、月に謝ると、すぐに重要なことを、月が持っている期待、嬉しさを全部吹き飛ばす、そんなことを言った。
「か、会長、大変です!!浦の星との統合がなくなってしまうかもしれません!!」
このナギの言葉に月、おもわず、
「えっ、今なんて・・・」
と、ナギにもう一度聞きなおす。すると、ナギ、
「浦の星との統合がなくなるかもしれないってことです!!」
と、声を大にして月に言う。これを聞いたのか、月、
「えっ、浦の星との統合がなくなる・・・」
と、愕然しながら言うと、
(えっ、浦の星と静真の統合がなくなる・・・?曜ちゃんと一緒に学生生活を暮らす、その夢が・・・)
と、考え込んでしまう。これまで月が持っていた曜との楽しい学生生活、その期待、嬉しさがナギの一言で一瞬で吹き飛んでしまった。これには月、おもわず、
「なくなる・・・」
という一言を残し、完全にフリーズしてしまう。そして・・・、
バタン・・・
と、その場で倒れてしまった。これにはナギ、おもわず、
「会長!!会長!!」
と、何度も月を呼びかけ続けていた。
1分後・・・。
「はっ!!」
と、月、ようやく再起動。これにはいきなり月が倒れたので必死に月を呼びかけ続けていたナギも、
「会長、大丈夫ですか!!」
と、月のことを心配そうにみていた。そんなナギの心配に、月、
「ご、ごめんなさい、ナギ副会長・・・。浦の星との統合がなくなるなんてあまりに大きなことだったから、僕、フリーズしてしまった・・・」
と、ナギに謝ると、ナギも、
「それは仕方がないと思います。だって、浦の星との統合を果たしたあとのための準備を、生徒会長、一生懸命頑張ってきましたもんね、これまでは・・・」
と、月に同情する。そのナギの同情をよそに、月、すぐに、
「で、なんで、浦の星との統合がなくなるのですか?」
と、ナギに聞く。すると、ナギはすぐにその理由を答えた。
「実は、部活動保護者会の会長が(今になって)「浦の星との統合はなしにしろ!!」って言って、保護者会の幹部数人を連れて怒鳴り込んできているのです、たった今・・・」
これを聞いた月、
「あの部活動保護者会の会長が今、「浦の星との統合はなしにしろ!!」って言って怒鳴り込んでいるのですね。僕も今からその現場に行ってきます、静真高校の生徒全員の長としてね・・・」
と、即断即決で部活動保護者会の会長が怒鳴り込んでいる現場に行くことを決める。これには生徒会副会長であるナギも、
「それだったらお供します、会長!!」
と、月と一緒にその現場に行くことを決めた。
そして、生徒会長として怒鳴り込んでいる現場に行くことを決めた月とナギであったが、(今となって)浦の星との統合を白紙に戻そうとしている部活動保護者会会長がいる校長室に近づく。すると、すぐに、
「浦の星との統合を白紙に戻せ!!」
と、言うとても大きな怒鳴り声が聞こえてきた。これには、月、
(なんて大きな声なんだ!!これじゃ、生徒たちみんなの静かな学生生活が壊れてしまうじゃないの!!)
と、その怒鳴り声を出している人に対してやや否定的な考えをしつつ校長室に近づく。
そして、月とナギは校長室のドアを開けると、そこには、
「(部活動保護者会)会長、少しは静かにしてください・・・」
と、なんとか静かにさせようと必死で説得している校長や教頭の先生たち数人、それに、
「これは静真に大切な子どもたちを通わせている保護者を代表しての意見だ!!もう一度、声を大にして言う。「今すぐに静真と浦の星の統合をなしにしろ!!」絶対だ、絶対にしろ!!」
と、なにか偉そうに校長たちに言う、いや、威圧をかけている大人たち数人がいた。その大人たちを見た月、すぐに、
(あっ、部活動に参加している生徒の保護者全員を束ねている部活動保護者会の幹部の人たちだ・・・)
と、その大人たちの正体がわかった。そして、そのなかで1番大きな男性こそ、その保護者会の会長である木松悪斗だった。その木松悪斗という男が校長たちに向かって「浦の星との統合をなしにしろ!!」と大声で言ってきたのだ。そして、それが大の大人が先生たちを威圧する、そんな異様な光景を作り出していた。
この状況を一瞬で把握した月、その木松悪斗に対し、いきなり意見する。
「木松悪斗(部活動保護者会)会長、なんで、今になって、「浦の星との統合をなしにしろ!!」って言うのですが?浦の星との統合が決まったこの2ヶ月、学校の先生たちは必死になって浦の星との統合に向けての準備をしてきたのですよ。それに木松悪斗会長も当初は統合に賛成していたでしょうが。それなのに、今になって、「統合はなしにしろ!!」って言うのはお門違いじゃないのですか?先生たちの苦労を水の泡にするつもりですか?」
これについて、木松悪斗は月に対して怒鳴り声で答えた。
「生徒会長、たしかに先生たちがこれまでしてきた苦労を水の泡にすること、私としても心痛みます。でもね、これは私たちの大切な子どもたち、静真に通わせている子どもたちのためなんです!!そう、みんな、私たちの大切な子どもたちのためなんですよ!!」
これには、月、すぐに反論。
「その木松悪斗会長の言葉からはその真意が見えてきません!!はっきりとした理由を答えてください!!」
この月の言葉に木松悪斗はまた大きな声で答えた。
「はっきりとした理由ね~。それならありますよ!!あのただたんに習い事みたいにお遊び感覚で部活動している浦の星の生徒たちが静真高校の、将来のため、勝利のために一生懸命頑張っている生徒たちがいる、静真の部活に参加するとねぇ、悪影響がでるのですよ!!いや、浦の星と生徒と静真の生徒、そのあいだで対立が起きてねぇ、静真高校の部活動そのものが弱体化しちゃうと思いましてねぇ~」
そして、木松たち部活動保護者会は浦の星の生徒たちが静真高校の部活動に参加することでどんな悪影響が起きるのかを説明してくれた。と、言っても、木松悪斗をはじめ、大の大人がいろいろ言っては、その横から、
「ああでもない」「こうでもない」
と、いろいろと横やりが入ってくるため、ただ聞いているだけではなにが言いたいのかはっきりわからない、というのが現実だった。が、月は、その大人たちの言っていることを、
「ふむふむ」
と、言いながらノートに書き留めていった。これは生徒会長になったときにすぐに身につけた月のやり方だった。生徒会には日夜数多くの案件、トラブルが持ち込まれる。それを月を中心とした生徒会自ら判断を下すのだが、月はどっちの言い分もちゃんとメモに残してからそれをもとに判断を下す。どっちにも肩入れしないこと、あとあと遺恨が残らないようにするための月なりのやり方だった。このやり方のためか、月たち生徒会に持ち込まれた案件、トラブルのほとんどが生徒会によって万事解決していた。というわけで、月の生徒会長としての(静真高校生徒の)支持率は90%をゆうに超えていた。それほど、月の生徒会長としての生徒たちからの信頼度は高かった。そして、今回も、月は木松悪斗を含めた部活動保護者会幹部数人の言っていることを1つずつメモに書き留め、それをもとに木松たち部活動保護者会の言い分をまとめた。
「浦の星の生徒たちは部活動をお遊び感覚、お友達感覚でやっている。それどころか、お子様の習い事程度としか思っていない。だから、(浦の星の部活動の実力は)弱いのである。対して、静真高校の部活動は全国大会の常連となっている部活が数多くあるなど盛んである。また、部活動に参加している生徒たちの多くが将来のため、また、全国大会に質上するため、プロの選手になるために真面目に一所懸命に、そして、真剣に部活動に取り組んでいる。部活動に対する士気も強い。よって、わが静真の部活動は全国でも指折りの実力校、強いのである。で、もし、お遊び感覚、お友達感覚といった、部活動に対する士気が低い、さらに実力すらない浦の星の生徒が真面目で優秀、それでいて、部活動に対する士気が高く、実力もある静真の部活に参加した場合、士気が低くてお遊び感覚、さらに平気で練習をサボろうとする浦の星の生徒の影響を受けて静真の生徒の(部活に対する)士気も下がってしまうはずだ。さらに、部活内で士気の差から、士気の低い浦の星の生徒たちと士気の高い静真の生徒のあいだで派閥対立が起きてしまう。この2点などが起きてしまえば静真の部活動全体において悪影響が出てしまい、結果、静真の部活動全体の質の低下へとつながってしまう」
だが、生徒会長である月にとってなんで浦の星の部活動が全国大会に進出、いや、予選で初戦敗退してしまうほど実力が弱いのか、その真実を知っていた。
(部活動保護者会の木松悪斗会長は「浦の星の部活動の実力は弱い」「浦の星の生徒の部活動に対する士気が低い」と言っているけど、僕はそう思わないね。だって、浦の星の生徒の部活動に対する頑張り、士気は静真の生徒たちに負けないくらい高い。でも、それでもあんまり実績、成績が芳しくないのは、圧倒的に生徒数が少ないから。陸上や水泳といった個人種目ならいいけど、バスケ、サッカー、バレーなどといった団体競技にはたくさんの人数が必要。でも、生徒数が少ない浦の星じゃその団体競技をすること自体難しい。だから、浦の星はいくつもの部を兼部している生徒が多い。いくつもの部を兼部しているから、1つの競技、種目に対する練習時間が少なくなってしまう。静真みたいに1つの種目、競技にだけ集中して練習することができる、そんな当たり前のことでも浦の星じゃできない。もし、全国大会に出場したいなら、1つの種目、競技にのみ集中して練習したほうが効率的。でも、そんなこと、浦の星じゃできないよ。その事実を部活動保護者会の人たちは見落としている、いや、意図的に無視している、ただ、全国大会に出場していない、予選、いや、初戦敗退が続く、その結果論でしか物事をみていない、僕はそう思うね)
この月の指摘、十分、的を得ている。生徒数の少ない浦の星では複数の部を兼部するのが当たり前だった。その証拠に、Aqoursのメンバーで月のいとこで大親友の曜はスクールアイドル部と水泳部を兼部している。さらに、ダイヤ率いる生徒会も生徒会専属は生徒会長であるダイヤ、ただ1人であり、副会長以下ダイヤ以外の生徒会メンバーはほかの部の掛け持ちをしていた(さらにいえば、途中でAqoursに加入した生徒会長のダイヤも生徒会とスクールアイドル部の掛け持ちといえるし、1年の花丸もスクールアイドル部と図書委員の掛け持ちだったりする)。なので、月の言うことはもっともだった。その一方で、木松悪斗たち部活動保護者会一同は、浦の星の部活動はこれまで目立った実績、成績を残さなかった、そんな結果論だけで、浦の星の生徒たちの部活動に対する士気は低い、という考えを勝手に導いてしまった、そう考えても仕方がなかった。とはいえ、人というのはなんでも結果論だけで結論を導くことが多い。だって、その途中の功績、そのときの想いなどをずっと聞くより、てっとりばやく結果だけを聞いたほうが楽であり効率的である、と、知らないうちにそう考えてしまうものである。それほど人というのは楽なほうへ楽なほうへと進みたいものなのである。
が、しかしである、月にとって、部活動保護者会の会長である木松悪斗の意見についてある危惧を持っていた。それとは・・・。
(でも、部活動保護者会の木松悪斗会長の意見、ただの1人の意見に思えるけど、一度でもこの保護者たちの前で言えば、この意見に賛同する保護者が一気に増えてしまう、そんな危険性をはらんでいる。もし、この意見に賛同する保護者が多ければ、本当に浦の星との統合はなくなってしまう!!なぜ、そんなことが起きるのかって?それは、ここ、静真は全国大会に出場できる部活動を数多く抱える。全国でも有数な部活動に力を入れている強豪校、それが、ここ、静真の姿だから!!)
月が生徒会長を務め、浦の星の統合先である静真高校、実は全国大会での優勝経験がある、なくても全国大会の常連といった全国レベルの実力を持つ部活を数多く抱えている。たとえば、女子サッカー部。静岡といえばサッカーが盛んな県、なのであるが、ここ静真はその静真の中でも毎年のように全国大会に出場するほどの実力を持っているといわれている。そして、去年のインターハイ女子サッカーにおいて全国優勝を果たしている。そのほか、弓道、テニスなども全国大会の常連だったりする。それほどの部活動の実力校かつ優秀校、それが静真の姿である。なので、将来プロ選手になりたい生徒たちが数多く静真に入学し、部活を通じて日々練習に明け暮れていた。もちろん、部活動に参加している生徒はみな自分の将来のために練習しているため、自然と士気が高くなるし、仲間同士で切磋琢磨しながら実力をあげているため、部活内での団結力は強い。また、静真としてもその生徒たちに応えるため、最新のトレーニング機器や優秀なコーチ・トレーナー陣を導入し、生徒たちを完全にバックアップしている。部活動の士気、実力の高さ、それに学校あげての部活動環境の良さなどにより、保護者たちは安心してとても大切で将来有望と期待している子どもたちを静真に通わせる、そして、部活動に参加させることができるのである。が、部活動に対する士気が低い、お遊び感覚で部活をしている浦の星の生徒たちが静真の部活に参加すると、士気の低下、部活内での対立など、その安心といえる部活動環境が一気に壊れてしまう、さらに、部活動そのものに悪影響を及ぼしてしまう、実力、質も低下してしまう、そんな危険性がはらんでいる、静真と浦の星が統合してしまうと・・・。その危険性を部活動保護者会の会長である木松悪斗が言えば、浦の星の統合に反対する保護者が多くなる、そう月は考えていた。むろん、木松悪斗という男が静真にとってどんな人物なのか、というのもあるが、それはのちほど・・・。
と、正味1時間ぐらい部活動保護者会会長である木松悪斗たちのくだらない?浦の星との統合反対の意見という集中砲火を浴びた月であったが、その意見の集中砲火が少しやんだ、そのとき、月は少し怒りつつも、
「と、いうわけで、木松会長、もう下校時間です。このままだと埒が明きませんので、日を改めさせてくれませんでしょうか。今日はここでお引きください!!」
と、木松悪斗たちに言うと、木松悪斗も、
「たしかに日も落ちてきましたな。このまま長居をしてしまうと家で待つ大切なわが子たちの心配へとつながってしまう。なので、今日のところはここで引き上げます。ですが、これだけはこの場で言いたい!!絶対に、浦の星との統合、なんていう愚策をすることはやめていただきたい!!絶対に白紙に戻すべきです!!これは私たちの大切な子どもたちのためなのです!!将来のプロ選手を目指す若きアスリートのため、そして、真面目に自分の実力を伸ばそうとしている、そんな子どもたちのためなのです!!浦の星というけがわらしき者たちから大切な子どもたちを守るために立ち上がったのです!!そのことはご理解の程、お願いいたします・・・。では」
と、大声で言って校長室をあとにしようとした。
が、そのときだった。突然、
「あの、木松悪斗、部活動保護者会会長!!あと1つだけお聞かせください!!」
と、月が木松悪斗に向かって言うと、木松悪斗も帰るために一度月に背を向けた体をふたたび月の方に向くと、
「なにかね、生徒会長?手短にお願いすよ。これでも忙しい身なんだからね」
と、月に聞く。これに月、木松悪斗に向かってある質問をぶつけた。
「木松悪斗部活動保護者会会長!!あなたにとって部活って何ですか?」
この月の質問に対し、木松悪斗の答えとは・・・。
「部活か・・・。それはな・・・、青春だ!!」
これには月、
「青春・・・」
と、ただ黙ってしまう。それでも、木松悪斗の答えは続く。
「いいか。部活というのはな・・・、子どもたちが自分の力を高めるために、そして、限界を超えるために汗水流して練習しているのだ!!その練習の量だけ、流した汗の量だけ、自分の力を伸ばすことができる、限界を超えることができるのだ!!その子どもたちのために、親たちは、学校は、最大限のサポートを子どもたちにしないといけないのだ!!子どもたちのために最適な環境を整えることがとても大事なんだ!!それなのに、浦の星という悪い虫がはいることでその環境が壊れてしまう、そんなことがあってはいけないのだ!!」
この木松悪斗の答えに、
(あに、うさんくさい!!まるで自分が正しいことを言っている、そんな気がするよ!!)
と、木松悪斗が言っていることに否定的になる。が、まだ、木松悪斗の答えは続く。
「そんでもって、部活動を通じて子どもたちはほかの子たちと切磋琢磨しながら力をつけるとともに団結力、固い友情を結んでいくのだ!!それによって、子どもたちは実力をつけるとともに、チームワークの大切さを知ることになる!!部活とはそういうものなのだ!!」
で、ここまでの木松悪斗の答えに、月、
(良いことばかり言っているけど、まだ、本当のこと、本心を言っていない、そんな気がする・・・)
と、木松悪斗の方をにらむ。ただ、木松悪斗は自分に陶酔しているのか、その月の行動を見らず、そのまま、自分の答え、意見を一方的に言い続けた。
「かの、有名な人が言っていた、「人にとって大切なもの、それは、「努力!!友情!!勝利!!」」だと。部活に対して高い士気を持つ仲間同士で努力し、その仲間たちとのあいだで熱い友情を結び、それにより、全国大会で勝利する!!それこそ、子どもたちにとって大切なこと!!そして、これを達成したとき、私たち大人はその子どもたちが成し遂げえたことに対して感動を覚えるのだ!!これまで子どもたちのためにやってきたこと、それが最高の結果へとつながってくれてほしい、それが親にとって切実な願いなのだ!!」
で、これについて、月、
(なんとか木松悪斗という男の本性をあらわす言葉がでてきたよ。だったら、ここでかまをかけてみよう)
と、考えると、月はある言葉を木松悪斗に投げかけた。
「木松悪斗、部活動保護者会会長、「努力、友情、勝利」、この言葉のなかでも「勝利」って言葉、とても大切にしているでしょ?」
これには木松悪斗、おもわず、月の誘導に引っかかってしまう。
「生徒会長、わかっているじゃないか。そうだ。「勝利」こそ1番大事なんだ!!たとえ努力しても、固い友情を結ぼうとも、それが結果につながらなければ、なにもかもが無駄になってしまうのだ!!特にトーナメント戦の大会では1度でも負ければ先に進めることができない、勝利し続けるしかないのだ!!だからこそ、勝利こそ絶対、勝利こそすべて、なのだ!!」
そして、木松悪斗は本誌をさらにさらけだした。
「勝利こそすべて、それを如実にあらわしたのが去年の女子サッカー部だ!!日々きつい練習に誰も音を上げず、ただ、自分のため、仲間のため、と、黙って黙々とやってきてくれた、努力してくれた、そして、仲間たち同士で固い友情を結び、切磋琢磨してくれた。でもな、1度でも負けるとそれはすべて無駄になってしまう!!すべてが灰と化してしまうのだぞ!!それでも、女子サッカー部は勝利という結果をずっと続けてくれた。そして、多くの勝利がインターハイ全国優勝という最高の結果を導いてくれたのだ!!勝利という結果こそすべてなのだ!!」
この言葉のあと、木松悪斗は月に向かってこう言った。
「ここで1つ、生徒会長に教えておく。この世の中は結果こそすべてなのだ!!人というのは途中の経過よりも結果でのみ判断することが多いのだ!!いや、絶対にそうなのだ!!むろん、途中の経過があるからこそ勝利という結果が生まれる。しかし、人は結果でのみ物事を判断してしまう生き物なのだ!!その結果には、成功・勝利と失敗・敗北、その2つしか存在しないのだ!!人が生き残るためには成功・勝利という最高の結果を得続けるしかないのだ!!だからこそ、勝利することこそ人として1番大事なのだ!!」
この木松悪斗の発言のあと、木松悪斗はドアのほうを向き、校長室をあとにしようとしていた。その際、木松悪斗は月とナギに対し、こう付け加えた。
「あっ、生徒会長に生徒副会長、近いうちに臨時理事会を開くからな。生徒代表として参加してくれ。そこで、生徒たち、私たちの大事な子どもたちの貴重な意見を聞かせてくれ。むろん、私が言ったことと同じ意見だと思うけどね・・・、くく・・・」
と、不気味な笑い声とともに月とナギのもとから去っていった。これには、月、
(言いたいことを言っちゃって、なんていう悪役なんだ!!)
と、腹の中は煮えだっていた。