ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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SNOW CRYSTAL 序章 第33話

 こうして、ついに、ラブライブ!決勝延長戦、最初で最後の、Aqours vs Saint Snow、本気のバトルを、今、幕を・・・。

「あのう、姉さま、その格好のままで歌うつもりですか?」

と、ここで、理亜、本気と書いて「マジ」と読む、それくらい、Aqoursとの戦いに熱き想いを抱いていた聖良に対し聖良の耳に近づいてはぼそっと言ってしまう。が、これには、聖良、

「あっ、そうでした。私、今、聖女の制服のままでした・・・」

と、自分の格好を確認してはっとしたのかこう言ってしまう。たしかにそうである。聖良は、今、聖女の制服を着ていた。このまま理亜と2人でそのまま「Believe Again」を歌うことができるのですが・・・、それだと延長戦としてのあれが・・・。まぁ、今さっきまで理亜には延長戦のことを秘密にしていたので、Saint Snow側がパフォーマンスの準備をする時間もなかったことですし・・・、その準備をする時間は必要でしょうね・・・。あっ、ちなみに、理亜も今さっき延長戦のことを知ったこともあり、練習着のまま、対して、Aqoursはすでに延長戦で歌う、こちらもラブライブ!決勝でSaint Snowと歌うために用意していた幻の曲、「Brightest Melody」の衣装を着ていた。このまま延長戦に突入していればAqours側に有利になる明白・・・。

 そんなわけで、聖良、カメラの向こう側にいるAqoursに対し、

「あっ、ちょっとすいません。その前に、私たちの準備、してきますから、ちょっと待ってください!!」

と言ってしまった。これには、Aqours側の全員、

ガクッ、

とこけてしまった。まぁ、それくらい、Aqours側も延長戦に向けて熱い想いで挑もうとしているのに、聖良のこの発言によって水を差された格好となってしまった。

 とはいえ、Aqoursを撮っている少女、というか、Aqours側のプロデューサーの少女はこの聖良の発言に対し、

「それはたしかに(理亜ちゃんにとって)突然の出来事だからね。全力を賭けたステージを繰り広げるための準備は必要だね」

と、事情が事情だけにOKをもらった・・・というか、プログラム自体、それを加味してくんでいたため、時間には少し余裕があった。プロデューサーの少女としてはそのプログラムのなかでSaint Snowが準備する時間の確認をとった・・・という認識だったかもしれない。ただ、このAqours側のプロデューサーの配慮には、聖良、

「月さん(Aqours側のプロデューサー)、ありがとうございます」

と、Aqours側のプロデューサーをしている少女こと月に対しお礼を言う。とても律義な性格である、聖良は・・・、

 と、まぁ。理亜、聖良、Saint Snow側も延長戦の準備を・・・というとき、またもや、理亜、聖良に対しあることを尋ねる。

 「ところで、姉さま、私たち、Saint Snowのステージを撮る方がいるのですか?」

たしかにそうである。Aqours側はすでにカメラマン役を用意していた。それがプロデューサー兼カメラマン役の月であった。Aqours側は月を中心にこの延長戦にむけて準備をしていた。その月がパフォーマンスの演出がてらAqoursのステージ映像を迫力いっぱいに撮る予定である。そのための仕掛けもばっちりである。対して、Saint Snow側に今いるのは聖良と理亜の2人だけ。なので、2人を撮る人が現時点ではいないのである。なので、そのことを理亜はずばり指摘してきた、というわけである。

 が、完璧超人の聖良?、その点についてにすでに手を打っていた。聖良、尋ねてきた理亜に対し、

「それなら心配ありません。すでに助っ人は呼んでおります」

と、自信たっぷりに答えるとすぐに聖良、

「あつこ、出てきてください!!」

と、あつこという少女を呼んだ。

 そして、建物の物陰からその少女は堂々と出てきた。それも聖良と同じ聖女の制服を着て・・・、と同時にその少女は聖良と理亜の方を見てこう告げた。

「聖良さん、呼んでいただきありがとうございます。そして、理亜さん、お久しぶりです」

これには、理亜、

(えっ、なんで、ここに、あつこが、裏切り者が、いるわけ?なぜ?)

と唖然となってしまう。そう、物陰からあらわれたのは、あつこ、だった。そのあつこの存在を知ったとたん、理亜、

「えっ、あなた・・・」

と、言葉に窮してしまった。理亜にとってあつこは自分が強要した練習から逃げ出した裏切り者。それなのに、なぜ、あつこ、そんな理亜の目の前に堂々とあらわれたのだ。普通なら裏切り者が堂々と裏切った者こと理亜の目の前にあらわれるなんて考えられないこと。なので、理亜、ただそれだけで困惑気味になったのだ。

 そんな困惑している理亜に、聖良、あることを話す。

「理亜、あつこはこれまでこの延長戦の準備を私と一緒にしてきました。。それは理亜のため、理亜のなかにある深淵なる闇から理亜を救うため、そして、理亜にとても大切なことを教えるためです。決して理亜のことを裏切っていたわけではないのです」

そう、これまであつこは理亜のため、深淵なる闇などにより苦しんでいる理亜のため、理亜にとても大切なことを教えるためにこの延長戦の準備をしてきた。そう、このとき、あつこ、理亜を見つめてこう思っていた。

(私は最初、聖良さんのためい理亜さんのユニットに入りました。しかし、ラブライブ!決勝で理亜さんがAqoursのみなさんの応援しに東京に行ってから理亜さんは変わりました。私たちユニットメンバーに対して無謀といえる練習を強要するようになりました。私は、最初、理亜さんがそうするようになった原因が理亜さんの身勝手な暴走だと思っていました。いや、ユニットメンバー全員がそう思っていたと思います。なので、私を含めて、ユニットメンバー全員、自分の身を守るため、暴走した理亜さんに幻滅した、かどうかはわかりませんが、理亜さんのユニットから抜けることを選択したのです)

たしかにあつこの言う通りかもしれない。理亜のユニットに参加してくれたメンバーたちはあつこを除きあのクリスマスライブで見せたSaint Aqours Snowのパフォーマンスを見てスクールアイドルにあこがれ理亜のユニットに参加してくれた。最初のころは理亜と一緒にスクールアイドルを楽しもうとしていた。だが、最初のころはそれでよかった・・・のだが、理亜がラブライブ!決勝のAqours応援のために東京に行ったあの日を境に理亜は変わった。ユニットメンバーに対し理亜は無謀といえる練習を強要してきた。ケガをしかねない状況でも理亜は無謀といえる練習を続けようとしたばかりか「真面目にしない」と勝手にレッテルを貼り付けてはさらに練習を強要してきた。これには、ユニットメンバー、理亜の表面だけを見て、「暴走している」と判断、自分の身を守るため、そして、これまであった理亜と一緒にスクールアイドルを楽しむ、その希望が潰えた、理亜に幻滅した、それらの理由でもって理亜のユニットから次々と抜けていったのかもしれない。

 が、あつこ、その理亜の裏についてこう考えた。

(でも、実際は、理亜さんは自分のなかにある闇に苦しんでいた。北海道最終予選での自分のミス、それにより、「ゼロになってしまった、なにもかも失った」、そんな深淵なる闇に理亜さんは飲み込まれてしまったのです。自分のミスのせいでSaint Snowそのものを失ってしまった、姉の聖良さんを失ってしまった、そして、聖良さんもなにもかも失うことにつながった、そう理亜さんは思ってしまった。だから、聖良さんとの夢、ラブライブ!優勝、それを叶えるために、必死になって頑張ってきた。それはまるで自分が失くした聖良さんという穴を埋めるために、さらに、Saint Snowと同じもの、同じ輝きを手に入れないと聖良さんに申し訳ない、そんな罪悪感をぬぐうがごとく・・・、そんな苦しみから逃れるため、理亜さんは初心者ばかりのユニットメンバーをラブライブ!優勝できるレベルにまですぐにあげたいと思ってこんなことをしたのですね)

そう、理亜は姉聖良との夢、ラブライブ!優勝を叶えるためにみんなから暴走だとみられるくらいのことをしてきたのだ。それは理亜にとって、深淵なる闇、聖良との夢をいう絶対なる命題、聖良への罪悪感、その狭間で理亜が苦しんでいたからだった。だが、あつこ、このことについてもこう考えてしまう。

(でも、理亜さんの場合、理亜さんの性格上、その苦しみを相談できる相手がいなかった。たった自分1人でその苦しみと戦った。けれど、それが悪い意味で暴走へとつながった。それってなんかやるせないよ・・・)

そう、理亜の性格上、その苦しみを相談できる相手がいなかった、たった1人でその苦しみに挑んでいた、が、それがその苦しみに振り回されたかたちとなった、いや、暴走というかたちに見られてしまった、というわけである。これにはあつこも理亜のことをあわれだと思っていた。

 が、それを踏まえた上であつこは理亜に対しこう立ち向かおうとしていた、ここで・・・。

(そんな理亜さんを見て、私、同じユニットメンバーとして、そして、Saint Snowのサポーターとして、自分の抱える闇などに苦しむ理亜さんを救いたい、理亜さんに大切なことを教えたい、その想いでこの延長戦の準備をしてきました。だから、理亜さん、この延長戦、一緒に頑張って、理亜さんにとっててても大切なもの、それを気付かせてあげます!!)

あつこは深淵なる闇などにより苦しんでいる理亜を救いたい、そんな理亜にとって大切なことを教えたい、その想いでこの延長戦の準備をしてきた。それは、同じユニットメンバーであるから、理亜と聖良、Saint Snowをこれまで陰から支えてきたから、そんな理由からだった。

 が、そんなあつこに対し、理亜はまだ、

(あつこ、あなたは私を裏切ったじゃない!!あつこ、あなたは私が決めた練習から逃げ出した。それって、私にとって、裏切った、と見られても仕方がないこと!!)

と、あつこをいまだに、勝手に理亜のユニットから逃げ出した者、裏切り者、だと思っていた。そのためか、理亜、

「あつこ、よく私の前にのこのことあらわれた。この裏切り者!!」

と、あつこに対し恨み節をきかせていた。

 だが、このとき、聖良、そんな理亜に対し、

「理亜、それは違います!!あなたは気づいていないかもしれませんが、あなたのユニットメンバーに対し、理亜、あなたは無謀といえる練習を強要していたのです!!それから逃げたいのは人として当たり前です!!理亜、そのことを理解してください!!」

と、これまでの所業について注意をすると、「姉聖良の言うことは絶対」と思っている理亜、

「は、はい・・・」

と、しょぼんとなってしまった。

 だが、聖良、

(でも、それもこれも理亜が自分のなかにある闇によって苦しんだのが原因、いや、それどころか、理亜にとってとても大切なもの、大切なことを理亜自身が気づいていないことが原因。なら、ここは、私とあつこ、そして、理亜、この3人一緒に頑張って、その大切なもの、大切なこと、それを一緒に見つけてしまえばいいのです、この延長戦で・・・)

いう想いととおに、理亜に対し、

「でも、理亜がそうなってしまったのも仕方がありません。理亜、あたなにとってとても大切なもの、大切なこと、それに気づいていなかったからこうなってしまったのです」

と、理亜を元気づけるかのごとく優しく語りかけると、理亜、

(私にとって大切なもの、大切なこと、それってなんなのですか?姉さま、それってなんなのですか?)

と、不思議に思ったのか、聖良に対し、

「それって一体・・・」

と尋ねると、聖良、優しく理亜にこう言った。

「理亜、それはこの延長戦で知ることができると思います。だから、理亜、この延長戦、私と一緒に一生懸命頑張るとともにそれを見つけにいきましょう」

この聖良の言葉に、理亜、

「ね、姉さま、はいっ!!」

と、元気よく答えた。

 そんな2人を見てか、あつこ、

(あぁ、これこそ、鹿角姉妹、聖良さんと理亜さん、Saint Snow、互いを信頼した印、っていうのですね。感動ものです・・・)

と、2人の姿に感動するとともに、

(さてと、私はそんな聖良さんと理亜さんを一生懸命バックアップして一生に残る戦いにしていきましょう!!)

と、自分はバックアップとして一生懸命頑張る、そんな心意気を見せていた。

 だが、そんなあつこに対し、聖良、こんなことを言いだしてきた。

「そして、あつこ、あなたも理亜と同じく、大切なもの、大切なこと、が自分のなかにあると自覚しておりません。だから、あつこ、

あなたも、この延長戦、理亜と同じく、いや、あつこ、理亜、そして、私、一緒になって一生懸命頑張ってそれを見つけにいきましょう」

この聖良の発言に、あつこ、

(えっ、私のなかにも理亜さんと同じもの、同じことが存在するの?えっ、それって一体・・・?もしかして、私が延長戦の準備をしているときに思いだした、昔の記憶のこと?)

と困惑してしまう。たしかに、Aqoursメンバーの1人、ダイヤからこの延長戦を持ちかけられた日、聖良は一緒にいたあつこに対し、今、聖良が言ったことと同じことを言われていた。そのため、あつこは延長戦の準備の最中、そのことを考えていた・・・というか、そのせいで、昔のこと、あつこがSaint Snowのサポーターとして頑張っていたときのことを思いだしていた。それを、今、ここで思い返すことになるとは、今のあつこはそう思っていなかっただろう。

 けれど、あつこ、そんな聖良の言うこと、なので、

(でも、あの聖良さんの言うことだから、私のなかになにかあるのかもしれない。なら、それをこの延長戦で私も確かめてやる!!)

と、前向きに考えることにした。

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