(でも、なんで、姉さま、Saint Snowが3人、って言ったわけ・・・)(理亜)
(私はただのサポーターのはず・・・。なのに、なんで、聖良さん、私のこと、Saint Snowの一員にいれたのでしょうか・・・)(あつこ)
2人は先ほどの聖良の発言に疑問を感じつつも自のポジションにつく。もうすぐ延長戦が始まる。この延長戦、はじめにパフォーマンスをするのは、チャレンジャー、Saint Snow、なので、聖良と理亜は旧公会堂の正面に到着するとすぐに「Believe Again」の自分のポジションにつく。あつこもその2人を撮るべく2人の正面に立っては撮るスタンバイをした。
そして、ポジションにつくなり、聖良、あつこに対し、心のなかでお礼を言った。
(あつこ、この延長戦、Saint Snow始まりの地、この旧函館公会堂の場でできること、いや、延長戦のことすべて、あなたがやってくれたこと、本当に感謝しております。本当にありがとうございます、あつこ)
そう、この延長戦、Saint Snow側の準備のほどんどをあつこがしていた。あつこは昔日本でも有数のジュニアのフィギュア選手だったことを活かし、旧公会堂の使用許諾をすぐにとってきてくれた。また、音響設備などもフィギュアやSaint Snowのサポーターとして培われた人脈をフルに活かし用意してくれた。それとあつこはあわせて「Believe Again」のブラッシュアップまでしていたのだが、外的交渉を含め、あつこの延長戦における活躍はめざましいものだった。いや、この延長戦自体、函館が誇るスクールアイドルユニット、Saint Snow、ラストステージ、として函館市民の心のなかに残る、そんなステージへとあつこは昇華させたのかもしれない。それくらいあつこの延長戦にかける想い、理亜のためのステージにかける想いはとても強かったのかもしれない。
だが、そんなあつこの苦労なんてしらず、理亜はただ、
(なんで、あつこ、Saint Snowの一員って、姉さま、言っているわけ?)
と、少し怒りを覚えていた。
そんなときだった。突然、旧函館公会堂に音楽が鳴り響く!!
ドゥドゥ ドゥルルルールル ドゥドゥ ドゥルルー ルル
そう、ついに延長戦が始まったのだ。旧函館公会堂に鳴り響く「Believe Again」のイントロ、これには、理亜、
(とはいえ、これが、姉さまとの、ラストステージ!!全力、だす!!)
と気持ちを切替ては延長戦に全力でもって臨むことにした。
そして、イントロのあと、さっそくSaint Snowの十八番、理亜ラップが炸裂する。これには、あつこ
(これまでの理亜さんは自分のなかにある闇などによって苦しんでいました。そんな理亜さんでしたが、今、ここにいる理亜さんは、それとは想像がつかないほどの熱量・・・、いや、これまでのなかで一番といえる、それくらい迫力に満ちたラップを繰り広げいます・・・)
と理亜のこれまでにないほどの熱量のラップに驚いていた。
そのなラップを披露する理亜、その心のなかでは、
(今は姉さまがいる!!だから大丈夫!!私は、私は、とても輝いている!!私は、今、最高の気分!!湧き上がるこの想い、今、ここで、ラップとして、みんなに、そして、ルビィたちAqoursに、ぶつけてやる!!)
と、熱き想いをラップとしてぶつけてみせる、そんな心意気を感じていた。そのためか、理亜ラップはこれまでのなかで1番炸裂していた。むろん、スマホの画面越しに見ていたルビィも、
(なんか昔の理亜ちゃんに、いや、今まで以上に元気な理亜ちゃんだよ!!)
と、今の理亜の姿に感動していた。
だが、理亜のラップが終わると、理亜、すぐにこんなことを考えてしまう。
(でも、この延長戦が終わると姉さまはいなくなる・・・。そうなると、私、また1人・・・。また1人・・・。私、また1人であの苦しい思い、しないといけない・・・。今ある、この輝き、姉さまと一緒にやっている、この輝き、失ってしまう・・・。また、今と同じ輝き・・・、たった1人で・・・、見つけないといけない・・・)
そう、この延長戦が終わると姉の聖良がいなくなる、たった1人になってしまう、今ある輝き、Saint Snowという輝き、それがまたなくなってしまう、あの北海道最終予選で自分のミスで失ったその輝きがまたなくなってしまう、もう一度自分の手でたった1人で同じ輝きを見つけないといけない、そのためか、そんな絶望に満ちた思いになってしまった、理亜は・・・。
だが、そんなときだった。理亜の心のなかに、
(理亜、理亜、聞こえていますか?)
という理亜にとって一番大事な存在である少女の声が聞こえてくる。これには、理亜、
(えっ、姉さま!!なんで!!)
と、その少女の声が姉の聖良だとわかると、なぜか自分の心のなかに聖良の声が聞こえてくるのかわからずびっくりしてしまう。
と、同時に、
(そして、あつこ、聞こえているのなら返事をしてください!)
と、聖良があつこを呼ぶ声が聞こえてくる。すると、
(えっ、聖良さん!!どうしたのですか!?これって幻覚なのでしょうか・・・)
と、あつこ、突然のことで困惑してしまう・・・が、あつこ以上に困惑しているのが1人・・・。
(えっ、あつこ!!なんで、あつこの声、聞こえているわけ?これって、幻覚・・・?)
そう、理亜だった。どうやら理亜の心のなかに聖良となぜかあつこの声が聞こえているのかわからず頭がパニックになっているようだ。
そんな理亜に対し、聖良、
(理亜、そして、あつこ、少し落ち着きなさい!!はい、深呼吸!!)
と、2人を落ち着かせることに・・・。
((スーハースーハー))(理亜・あつこ)
と、理亜とあつこ、なぜか心のなかで深呼吸をすると少し落ち着きをとり戻したのか、
(しかし、なぜ姉さまとあつこの声が聞こえているわけ?)(理亜)
(そうです!!これって神様のいたずらでしょうか・・・)(あつこ)
と、聖良に対しいろいろと言ってくる。
ただ、聖良、これについてある仮説を出した。
(もしかすると、今、私たちは、この延長戦、3人が心を1つにして「Believe Again」を紡ごうとしています。3人の力で、あの、ラブライブ!覇者、王者のAqours、この巨人を打ち倒そうとしています。そんな、私、理亜、あつこ、この3人の熱き想いが3人の心をつなぎ合わせた、のかもしれませんね)
そんな聖良の仮説に、理亜、
(姉さま、そんな非現実的な仮説、言わないでください・・・)
と否定的な意見をいうも、あつこ、
(でも、実際に、今、私たち3人の心はリンクしています。そう考えると聖良さんの仮説も否定できません)
と、今起きていることは現実に起きていることなのであっさりと聖良の仮説を信じてしまう。まぁ、これには、理亜、
(たしかにそうだけど・・・)
と、少し納得いかない様子・・・。
そんな理亜に対し、聖良、突然こんなことを言いだしてしまう。
(ところで、理亜、今、一瞬悩んでいたような気がしたのですが・・・)
そんな聖良からの突然の指摘に、理亜、
(えっ、姉さま、なんでそんなことがわかったわけ?)
と、図星だったらしくあわてながらも聖良にその指摘の理由を尋ねてしまう。す
すると、聖良、
(それは簡単です。私は理亜の姉をずっとしてきました。なので、妹の理亜のことなんてすぐにわけるのです!!)
と、胸を張って言うと、横からあつこが、
(たしかにそうでしょうか?聖良さん、ここ最近、理亜さんが苦しんでいること、なんで理亜さんが苦しんでいるのかわからず、ずっと理亜さんのこと、心配していたような気がするのですが・・・)
と、つい、聖良の本音を言ってしまう。これには、理亜、
(姉さま・・・)
と、理亜のことを心配していた聖良のことを知って涙をにじませようとしていた。ただ、これについては、聖良、
(そ、そんなの、今は関係ありあせん!!)
と、恥ずかしながらも突っぱねてしまった。
と、そんな聖良だったがすぐに本題へと入る。
(と、ここで本題ですが、理亜、なんでそんなに苦しんでいるのですか?)
これには、理亜、
(そ、それは・・・)
と言葉に窮してしまう。理亜にとってこのラストステージで本当にスクールアイドルを卒業してしまう姉の聖良に迷惑をかけたくない、そんな心境だったのかもしれない。が、そんなこと、聖良はお見通し・・・というか、事前にルビィから理亜のなかにある深淵なる闇について聞かされていたので、すぐに、
(理亜、もしかして、理亜のなかになる闇、それについて悩んでいるのですね)
と、聖良が優しく言うと、理亜、
(えっ、私のなかに、闇・・・)
と、聖良の言っていることが信じられない、そんな声をあげてしまう。まぁ、理亜、このとき初めて自分のなかに深淵なる闇が存在していることに気づいた、と言っても過言ではなかった。だって、理亜、このときまでそんな闇が自分のなかにあったことを自覚していなく、ただ、絶対なる命題であった姉聖良との夢、ラブライブ!優勝、にむけて必死になって頑張っていたから。そのためか、理亜、これまでは自分のミスですべてを失った(と理亜が思っていた)姉聖良の分まで、いや、Saint Snowという輝き、そのものを失った、そのために、それと同じもの、同じ輝きを求めていたのだ、その原因が自分のなかにある深淵なる闇によるものとは知らずに・・・。そんなわけで、理亜、
(私のなか、闇がある・・・。いったい、どんな闇が私のなかに存在しているわけ・・・?姉さま・・・、教えて・・・)
と、聖良に尋ねてみる。
すると、聖良、理亜に対しその闇の正体を教える。
(理亜、あなたのなかにある深淵なる闇、それは・・・、
Saint Snowというもの、すべて、Saint Snowという輝き、そのすべて、なにもかも失った、ゼロになってしまった、
です、理亜はその闇のせいで失ったもの、Saint Snowという輝き、それと同じもの、同じ輝きを追い求めようとしていたのです)
この聖良の言葉に、理亜、
(そ、それって、ルビィたちと同じでは・・・)
と、唖然となる。なぜなら、理亜と聖良は沼津に行ったとき、不安・心配という深い海・沼の底に沈み込んだルビィたちと同じ状況に自分自身も陥っていた、そう思ったからだった。ルビィたちも「ダイヤたち3年生3人がいない」という喪失感により「ゼロに戻った、もとに戻った」という思いになってしまったのだ。
けれど、これについて、聖良、答える。
(理亜、理亜の状況はたしかにルビィさんたちが陥った状況に似ていますが、理亜が抱えるその闇はそれ以上のものです。なぜなら、「ゼロに戻った、もとに戻った」なら「まだなにか残っている」とも言えるでしょう。でも、理亜の場合、「すべて失った、ゼロになってしまった」のですから、「なにもかも失った、なにかもない状態になった」と言えます。つまり、なにも残っていない、そんなことになります)
この聖良の説明に、理亜、
(た、たしかにそうですけど・・・)
と、聖良の鋭い指摘にただただ言葉を濁すしかなかった・・・。
そして、聖良の牙はあつこにも向く。
(そして、あつこ、あなたは、自分のスティグマ、いや、理亜と同じ深淵なる闇によって、「なにもかも失った、ゼロになってしまった」、そう思い込んでいるはずです、今も!!)
この聖良の指摘に、あつこ、
(えっ、私!!別になにも失っていません!!なのに、なぜ、そう断言できるの)
と珍しく聖良にたてつくと、聖良、つかさず、
(あつこ、別に私たち関連じゃあありません!!)
と言うと、あつこ、
(では、なんでしょうか?)
と、聖良に尋ねてみる。
すると、聖良、そんなあつこに対するある事実をつきつける。
(あつこ、あなたの場合、過去にしていたこと、そう、
フィギュアスケートにおいて限界を超える練習のせいで中3の大会のときに大ケガして半引退状態になってしまったことで、自分のフィギュアスケートにおけるものすべて、失ってしまった、ゼロになってしまった
ではありませんか?」
で、この聖良の指摘に、あつこ、
(そ、それは・・・)
と、急に言葉を濁してしまう。どうやら図星のようだ。あつこの場合、自分の体の成長により、これまであった跳ぶときなどの感覚にズレが生じてしまい、結果、これまでジュニアの大会で優勝していたのが優勝したときを境に成績が落ち込んでしまった、ただ、まわりからは結果論だけで判断し、あつこにはきつい言葉をあびえるようになった、そのため、次第に限界を超える練習をあつこは次第に取り組むくらい自分を追い込んでしまった、それにより、限界を超える練習からくる披露などにより中3の大会で大ケガをしてしまい半引退状態になってしまった、そんな状態になったあつこにまたもまわりから失態ともとれる発言をあびせられてしまった、結局、その発言により傷ついたあつこの心のなかには「私のなかにあったフィギュアスケートそのもの、私の輝き、そのすべてを失ってしまった、ゼロになってしまった」と理亜と同じ深淵なる闇が生まれてしまった、というわけである。
ただ、これには、あつこ、
(でも、聖良さん、今でもその闇を抱えている、その証拠があるのですか?)
と聖良を問い詰める。たしかに、あつこの場合、それは2年前の出来事である。今もその闇を抱える、とは言い切れなかったのだ。
だが、聖良はあつこに対しこう指摘する。
(あつこはその闇をいまだに抱えている、そう断言できます。だって、あつこ、言っていましたよね、自分の足にあるスティグマのこと。そのスティグマこそあつこにとって今もその闇で苦しんでいる証拠です!!)
この聖良の指摘、これには、あつこ、
(ス、スティグマが・・・私の・・・闇・・・)
と絶句してしまう。たしかに聖良の言う通りである。あつこが持つスティグマは大ケガしたときにできた傷跡、そして、あつこが理亜から強要された練習をしているといつもそのスティグマにより大ケガしたときの思い出がフラッシュバックされるのである。それは温子自身に理亜と同じ深淵なる闇から発せられるものだった。あつこにとってそのフラッシュバックは「自分もその大ケガにより「(これまで自分が大切にしてきた)フィギュアそんもの、自分のなかにあるフィギュアという存在をすべてなくしてしまった、ゼロになってしまった」、という認識を思い起こさせる、いや、深淵なる闇に陥るトリガーにもなった。こうしてあつこは理亜と同様にその深淵なる闇により今も苦しんでいる、いや、あつこのスティグマが発動するたびに大ケガしたときのことを思いだしてはその闇から放たれる苦しみによってあつこは苦しんでいた、ということである。
そんなわけで、あつこ、
(私のなかにも理亜さんと同じ闇があったんだ・・・)
と、ただ茫然となってしまった・・・。
そんな、言葉を濁すことしかできない理亜、突然の聖良の指摘に唖然となるあつこ、そんな2人に対し、聖良、こんな言葉を投げかけてきた。
(でも、理亜にあつこ、その闇によって自分は苦しむ必要はあるのでしょうか。なにか大切な存在を忘れていないでしょうか)
この聖良の投げかけに、理亜、あつこ、ともに、
((えっ、それってどういうこと?))
と、頭をハテナマークを浮かべてしまう。
が、聖良、そんな2人に対し、
(理亜にあつこ、私たちなかにはあるものが、大切なものが絶対にあります。そのものをただ2人は認識していないのだと私は思います)
と言うと、あつこ、あることを思いだしたのか、
(あっ、それって、この前、ルビィさんが言っていたもの・・・、宝物・・・では・・・)
と言うとともに、
(でも、それって、私のなかにあるのでしょうか?私はただのSaint Snowのサポーターに過ぎないのですが・・・)
と、なにか自信なさそうに話す。
そんなあつこに対し、聖良、
(それについてはこれからあることをするのでそれによって証明されるでしょう)
と言うと、あつこ、
(って、聖良さん、、今からなにかするつもりですか?)
と聖良に尋ねる。
すると、聖良、にこっと笑い、あつこと理亜に対しこう言った。
(理亜、そして、あつこ、思いだしてください、私たち、Saint Snowの想い出を・・・)
この聖良の言葉のあと、聖良、理亜、そして、あつこ、3人は、昔の自分たち、Saint Snowとしての想い出を振り返った・・・。