ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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SNOW CRYSTAL 序章 第38話

(と、ここまで、私と理亜、あつこ、3人でこれまでのことを振り返ってきたけど、理亜、それで、なにかわかりましたか?)

と、聖良、これまでのことを振り返った上で理亜にそれによってなにか気づいたことがないか尋ねてみると、理亜、

(たしかに、これまでいろいろあった。なら、もし、自分の中に、深淵なる闇、それがあるなら、私、あの日、あのとき、私が(北海道最終予選で)私がミスしたことで、Saint Snow、そのすべて、失ってしまった、なにもかも失った、それが私が持つ、闇、だとみえてしまう・・・)

と、これまでのことを振り返ってもなお自分のなかにある闇にとらわれてしまう。

 だが、そんな理亜に対し、聖良、

(理亜、それならどうしてこれまでのことを、Saint Snowとしての想い出を思いだすことができたのですか?すべてを失ったのならそんな想い出なんて思いだすことができないはずです!!)

と、熱く問い直すと、理亜、

(た、たしかにそうですけど・・・)

と、言葉に窮してしまった。

 しかし、ここで、聖良、ここだとうばかりに理亜に対し攻勢にでる。

(理亜、気づいてください、私と理亜、そして、あつこのあいだにはSaint Snowとしての想い出がいっぱいいっぱい残っています!!だから、こうして、この場で、これまで3人で紡いできたSaint Snowとしての想い出を思いだすことができたのです!!理亜、そのことに気づいてください!!)

この聖良の熱い想い、これには、理亜、

(た、たしかに姉さまのおっしゃる通りかも・・・。わ、私のなかに姉さまとの想い出が、Saint Snowとしての想い出が今なお残っている・・・、そんな気がします・・・)

と、まるで「聖良の熱い想い、岩をも通す」といえるくらいに理亜の心のなかにある深淵なる闇に一筋の光が通った、そんな感じで理亜の氷の心を溶かし始めたようだ。

 でも、聖良の熱い想いはこれだけではすまなかった。聖良、ここが踏ん張りどころと思ったのか、さらに理亜に攻勢をかけた。

(理亜、気づいてください!!私と理亜、そして、あつこはSaint Snowとしてこれまで3人でやってきました。その想い出のなかで大切に育ててきた3人の想い、そして、その想いのもとで紡がれていった3人のキズナ、それがあったと思います。いや、今なお、これからもずっとそれは残っていくと確信できます!!)

そう、今行われている、このSaint Snowラストステージ、そのなかで、聖良と理亜、そして、あつこがこれまで3人で築き上げてきたSaint Snowの想い出を振り返ってきた。それは理亜のなかにもその想い出が残っていた、それがあって初めてできたものである。なので、理亜のなかにもまだその想い出が残っていた、いや、自分のなかにある闇のせいでその想い出ごと理亜の心の奥底に封印されていたのである、それを聖良は解放したのだ。さらに、その想い出のなかには3人がこれまではぐくんでいた3人の想い、そして、その想いのもと、3人一緒に紡いできた3人のキズナ、そのものがあった。聖良はそれすら理亜に気付かせようとしていたのだ。

 そんな聖良の熱い想い、熱き攻勢に、理亜、ついに折れた!!

(姉さま、たしかにそうかもしれませんね・・・。私と姉さまはこれまで一緒にSaint Snowとしてやってきました。そして、その想い出は私のなかに今でもあります。いや、それ以上に、Saint Snowとしてやってきたこと、それは私と姉さまとの一緒の想いがあった・・・、いや、その想いを一緒になって育ててきた、だから、私と姉さまのキズナはSaint Snowを始める前以上に強くなった、キズナそのものが私と姉さまによって紡がれ、そして、今、より強いものになった気がする!!そう思うと、私、なんかわかった気がする!!私のなかにも、まだ、Saint Snowという想い出、想い、キズナはちゃんと残っている!!)

このとき、理亜のなかにある闇は少し晴れたのかもしれない。理亜のなかにある闇、それは、「Saint Snowというものすべて失った、ゼロになってしまった」、それに対する後悔だった、だが、理亜のなかにもSaint Snowという想い出、想い、キズナが残っている、そのことは理亜のなかにある闇を否定することにもつながるから・・・。

 だが、そんな理亜に対し、聖良、こう注意する。

(理亜、残っているのではなく、存在している、心のなかにある、でしょ!!)

これには、理亜、

(はいっ、姉さま、そうでした!!残っている、のではなく、自分の心のなかにもある、存在している、です!!)

と、まるで怒られた子どものように聖良に謝ってしまう。

 そんな理亜をみてか、聖良、

(理亜、ところで、私と理亜、あつこのなかにあるSaint Snowという想い出、想い、キズナ、それをまとめてなんというかわかりますか?)

と理亜に尋ねると、理亜、

(姉さま、それって何ですか?)

と、逆に聖良に尋ねてしまった。

 すると、聖良は理亜対しこう答えた。

(理亜、覚えていてください。それこそ、

 

Saint Snowという輝き、そして、宝物、

 

なのです!!私と理亜、あつこがこれまで築き上げてきたSaint Snowという想い出、想い、キズナこそSaint Snowという輝きであり、それがやがて宝物となるのです!!)

この聖良の発言に、理亜、

(Saint Snowという輝き、そして、宝物・・・)

と、絶句していた。

 しかし、ここでも聖良はそんな理亜に対しここでも攻勢をかけた。

(理亜、そうです!!それこそ、理亜が失ったと思っていた、Saint Snowという輝き、なのです!!理亜は自分のなかにある闇んいよってSaint Snowという輝きというものを同時に失ってしまった、そう思ってしまいました。けれど、実際は違いました。理亜はその闇によってその輝きを失ったかのように思っていたのです。しかし、この場で、理亜は、その輝き、それが今での理亜のなかに存在していることに気付くことができました。なので、理亜、感じてください、自分のなかに、その輝き、その宝物がまだあることを・・・)

(た、たしかに私のなかにある・・・。私、姉さまとともに、これまでのこと、Saint Snowという想い出を思いだして気づいた・・・、私のなかにもSaint Snowという輝き、そして、宝物がある、って・・・)

と、ついに自分のなかに失ったと思っていたSaint Snowという輝き、そして、宝物、そのものがあることを・・・実感した・・・。

 そんな理亜に対し、聖良、あることを伝える。

(そして、理亜、その輝き、それがやがて宝物になるのですが、その宝物があるからこそ、ずっと、私と理亜、そして、あつこはずっとつながっていけるのです!!それは、たとえ離れ離れになったとしても、私と理亜あつこはその宝物があるからずっとつながっていけるのです!!)

この聖良の発言に、理亜、

(たしかに姉さまの言う通りかも・・・。だって、この宝物があるから、私、寂しくない、ずっと姉さまと一緒にいられる、そんな安心感が感じられる気がする・・・)

と、自分もこの想いを実感していた。人というのはこれまでみんなで築き上げてきた想い出、想い、キズナ、そんな輝き、それはやがて宝物へと変わるのだが、その宝物をもとにこれからもずっと頑張ることができる、そんな生き物である。それは人だからこそできることであり、その輝き、宝物というのは人に「楽しむこと」と同時に無限の力を与えてくれるものである。なぜなら、その宝物によって人はもっと成長することができる、もっと輝くことができる、そうなるように人はもっと努力する、もっと頑張ることができるから、それは輝き、宝物というこれまで仲間たちと一緒に築き上げてきたもの、想い出、想い、キズナ、それが土台となっているから、いや、とてもしっかりした土台をもとに人は日々成長し、新しい輝き、そして、それが新しい宝物として得ることができるから・・・。人はそういう無限大のパワーを持つ生き物である。そんなことを聖良は理亜に教えようとしていたのである。そして、理亜もその聖良の教えをついに実感したのである。

 そんな聖良の教えを感じた理亜に対し聖良はこうまとめた。

(理亜、その輝き、宝物、それを忘れないでください。その輝き、宝物があればきっと私がたとえいなくなったとしても、1人で、いや、仲間たちと一緒に前へ進むことができる、そう確信しております)

これには、理亜、

(はいっ、姉さま!!)

と、はっきりを言った。理亜のなかには深淵なる闇があった。けれど、聖良によってこれまで自分のなかで封印していた、聖良とあつことともに築き上げてきた、Saint Snowの想い出を思い返したことでSaint Snowという輝き、そして、宝物、それが自分のなかにある、それに気づいたのである。さらに、それによってずっと姉の聖良とずっとつながっていける、そう理亜は思えるようになったのだ。そんな理亜だからこそ自信をもって、はっきりと、元気よく答えることができたのかもしれない。

 そんな2人の様子を2人の横から見守っていたあつこ、

(聖良さんと理亜さんを見ていると、なんか、私、泣けてきます。なんかいい物語になっている気がします・・・)

と、感動の涙を流していた。

 だが、そんなあつこに対し、聖良、とんでもないことを言いだす。

(えっ、あつこ、気付かなかったのですか?私、今まで思いだしてきた、Saint Snowとしての想い出話、ですが、「私と理亜、そして、あつこ」、この3人をSaint Snowとして話してきたつもりなのですが・・・」

この聖良の突然のカミングアウト、これには、あつこ、

(えっ、私もSaint Snow!?ちょ、ちょっと、聖良さん、それって違うでしょ!!Saint Snowは聖良さんと理亜さんの2人だけですから!!)

と、聖良にツッコミを入れると理亜も、

(あつこの言う通りです、姉さま!!Saint Snowは、私と姉さまの2人だけ!!あつこはたたの私と姉さまのサポーターです!!)

と、これまた聖良に激しくツッコミを入れる。

だが、聖良にとってみればそれは本気(マジ)だったらしく、理亜とあつこに対し、聖良、

(でも、私としてはシンガー兼パフォーマーの私と聖良、そして、その2人を支えてくれるサポーターのあつこ、この3人がSaint Snowだっていう認識でした、いつも・・・)

と真面目に答えていた。これには、理亜、

(ね、姉さま・・・、それって、本気、ですか・・・)

と唖然となりつつも姉の聖良に尋ねると、聖良、

(はい、そうです)

と、なんの迷いもなく答えた。

 そんな聖良によってなぜかSaint Snowの一員にされてしまったあつこ、それを本気で言っている(のかあつこにはわからないが・・・)、そんな聖良に対し、

(あの・・・、理亜さんの言う通り、私はただ2人のサポーターとして2人を支えてきた身なのですが・・・)

と、聖良に意見すると、聖良、自分の意見の真意をあつこに伝えた。

(あつこ、これまであなたは私たち2人に対して強力なサポートをしてきました。Saint Snowの楽曲の制作、スケジュール管理、私たちのための練習プログラム作成などなど、Saint Snowの陰の部分のほとんどをあつこが担ってきました。だからこそ言えるのです、あつこ、あなたこそ、「Saint Snow第3のメンバー」、だって!!)

Saint Snow第3のメンバー、それは、聖良と理亜、スクールアイドルとして表舞台に立つ2人に対し、その2人に献身的に使える、いや、2人に対し強力なサポートをしてきたあつこに対しまわりのみんなからつけられた、あつこの二つ名、である。けれど、そんな二つ名を聖良から言われたあつこはと言うと・・・、

(聖良さん、それは言いかぶりすぎですよ~。私は、ただ、聖良さんと理亜さんがスクールアイドルとして頑張れるようにサポートしただけです!!ただ、それだけで、私が「Saint Snow第3のメンバー」だなんて、それって、まわりのみんながそう言っているだけですよ、聖良さん!!)

と、反論。もちろん、理亜も、

(あつこの言う通り!!Saint Snowは私と姉さまの2人だけ!!)

と、2度3度も同じことを言っては姉の聖良に対し反論してしまう。

 だが、そんな反論すら気にせずに、聖良、あつこと理亜に対し自分のその考えを述べた理由を語った。

(理亜にあつこ、私があつこのことを「Saint Snow第3のメンバー」と言ったのはまわりのみんなの影響を受けたわけではありません。あつこが「Saint Snow第3のメンバー」として言った理由、それは、今、この場で、私と理亜、そして、あつこは、これまで、私たちのなかで紡いできたSaint Snowとしての想い出を思いだしていましたが、その想い出話のなかには必ずあつこも出てきているのからです!!私と理亜がスクールアイドルを目指すようになったときも、Saint Snowを始めるときも、夏季大会で8位になったときも、冬季大気予選で敗れ去ったときも、そして、あのクリスマスライブのときも、必ず、私と理亜の隣にはあつこがいたのです!!それに、あつこの熱心的なサポートのおかげで私と理亜はSaint Snowとしてこれまでやってくることができたのです。私と理亜がSaint Snowの表の顔ならあつこは裏の顔、だからこそ、私はあつこのことを「Saint Snow第3のメンバー」として認めている、そうだと言えるのです!!)

そう、あつこはこれまで聖良と理亜を熱心的にサポートしてきた。それは、スクールアイドルとして、Saint Snowとして2人が活躍していたときもあつこはそれを続けてきた。そう考えると、聖良の言う通り、Saint Snowの表の顔が聖良と理亜なら裏の顔はあつこだといえる。そのため、3人のまわりにいる人たちからはあつこのことを「Saint Snow第3のメンバー」と呼ぶようになったのである。ものには表もあれば裏もある。日の光が当たる表に対し裏にはその光すら当たらない。けれど、その裏であっても人は表のために一生懸命頑張っている、いや、裏の活躍があって初めて表は輝くことができるのである。よく表に立つ人たちを支える人たちのことを裏方と呼ぶことがある。その裏方が表の人たちのために一生懸命頑張っているからこそ表の人たちは活躍することができるのである。もし裏方がちゃんと動いていないとその土台となる部分がしっかりしていないぐらぐらの状態のなかで表の人たちは動き回らないといけない、そうなれば、たとえ表の人たちがかなり有能だとしてもまわりの人たちから見ればそれはただの凡人としか見ることができないだろう。裏方とはそれくらい重要な存在なのである。そんな考えが聖良にはあるからこそ聖良は(自分と理亜という表の存在を陰から支えてくれる裏方の)あつこのことを「Saint Snow第3のメンバー」として認めていたのだ。

 で、この聖良の考えを聞いた理亜、

(た、たしかに、姉さまがそんな考えであつこのことを思っているなら、これ以上、私が言うことはない・・・。それよりも、あつこが姉さまと私の想い出、Saint Snowの想い出に必ず出てくるのならもう認めるしかない・・・。あつこ、あなたこそ、「Saint Snow第3のメンバー」、です・・・、私、そんなの、認めたくないけど・・・)

とあつこのことを「Saint Snow第3のメンバー」として認めてくれた。ただ、本心としては・・・、

(でも、本当なら、私、姉さまを、独占したいのに・・・)

みたいのなのですがぁ・・・。本当、理亜、かなりのツンデレ、なんだから・・・。

 そんな、聖良と理亜、2人から「Saint Snow第3のメンバー」として認めてくれたあつこ、ついに・・・、

(聖良さんに続いて理亜さんまで「Saint Snow第3のメンバー」として認めてくれるなんて・・・。私、これまでお二人に尽くしてきた、サポートしてきた甲斐がありました。それなら、私、蝶野あつこ、これからは、「Saint Snow第3のメンバー」として日々精進していきます!!)

というか、ようやく自分のことを「Saint Snow第3のメンバー」として認めたのであった(けど、そう認めるまで長かったような気がするのですが・・・)。

 そして、そんなあつこに対し聖良は理亜を含めるかたちでこんなことを言いだしてきた。

(そして、あつこ、あなたのなかにも私と理亜と同じ輝き、Saint Snowという輝き、そして、宝物が存在します・・・)

この聖良の突然の発言、これには、あつこ、

(えっ、たしかに私は「Saint Snow第3のメンバー」としては認めましたが、そんな輝き、宝物があるなんて信じられないのですが・・・)

と、聖良に意見する。

 すると、聖良、そんなあつこに対し、

(でも、理亜と同様に、あつこ、あなたのなかにも私たちとのSaint Snowとしての想い出が存在しています。それもかなり大きな存在です。あつこ、それがあるからこそ、今、この場で、私と理亜と一緒にその想い出を思い返すことができたのです)

と、自分の考えを述べると理亜も、

(たしかに姉さまの言う通り!!私は認めたくないけど、この場で思いだしたSaint Snowとしての想い出、(前にも言ってましたが)その想い出には必ずあつこが登場します。そう考えると、姉さまの言う通り、あつこ、あなたのなかにも私と姉さまと一緒に紡いできた想い出、想い、キズナ、それが存在している、そう言えるかも・・・)

と、聖良の発言を認めてしまった。

 そんな2人の言葉に、あつこ、もう1度自分を振り返ってみる。

(私のなかにあるもの・・・、それは・・・、これまで聖良さんと理亜さんと一緒に紡いできたSaint Snowの想い出・・・。私、2人のために一生懸命頑張ってきた・・・、2人を一生懸命サポートしてきた・・・、2人がSaint Snowとして大活躍できるように、2人が自分たちの夢を叶えることができるように・・・。そう考えると、私、私のなかにも、聖良さんと理亜さんの言う通り、Saint Snowとしての輝き、そして、宝物があるのかもしれない・・・)

そう、これまであつこは、聖良と理亜、この2人の夢を叶えるために一生懸命頑張ってきた、一生懸命2人をサポートしてきた。それは2人がSaint Snowとして活躍していたときも続いた。そんなあつこの手厚いサポートのおかげもあり、聖良と理亜はSaint Snowとして大活躍することができた。そんな2人を熱心的にサポートあつこだからこそ、あつこのなかにも聖良と理亜と同じもの、Saint Snowという想い出、想い、キズナ、すなわち、Saint Snowという輝き、そして、宝物が存在していたのだ。むろん、それはただ2人をサポートしていただけではない。聖良と理亜、2人と一緒に行動し、2人のために一生懸命頑張ってきたあつこだからこそいえるものだった。あつこはそのことに気づいたために自分のなかに聖良と理亜と同じSaint Snowという輝き、そして、宝物があると初めて自覚したのだった。

 そして、聖良はあつこに対しある重大なことを話す。

(あつこ、あなたは今まで理亜と同じ闇、「なにもかも失った、ゼロになってしまった」、その闇に苦しんできました。それはあなたの昔の栄光を取り戻すために、自分の体の成長によって失ったものを取り戻すために、限界を超えた練習をし続けてきたことで大会でミスをして大ケガし半引退状態になった、そんなフィギュアのことがあったからのものでした)

この聖良の発言に、あつこ、

(た、たしかにその通りです・・・)

と、図星をつかれたような気がしていた。あつこは小さいときからフィギュアスケート選手として大活躍をしていた。それは12歳のときにジュニアの大会で優勝するほどだった。だが、自分の体の成長によりこれまで培われてきたジャンプなどの感覚のズレが生じてしまう。あつこはそのズレを直すべく、いや、12歳のときの栄光を必死になって取り戻すべく、そして、そんなあつこの苦労すら知らずに、ただ、「もっと頑張れ」とか、「甘えるな!!」というまわりの人たちの心無い声により自分を追い込んでしまい、限界を超えた練習を続けた結果、中3の大会のときにミスをして大ケガをしてしまった、それにより半引退状態になったばかりかまわりの人たちから失望以上もの深刻なマイナスの言葉攻めにあったためか、このときのあつこの心のなかに、

 

「フィギュア選手としての想い出、想い、キズナ、なにもかも失ってしまった、ゼロになってしまった」

 

そんな深淵なる闇が生まれてしまったのだ。それを聖良にあつこに対し指摘してきたのだ。自分にとって1番の親友ともいうべき聖良からそう指摘されたことにより、あつこ、ついに自分のなかにある、理亜と同じ、深淵なる闇、それを認めてしまったのだ。

 しかし、その闇の存在について、聖良、あつこに対しこんなことを言いだしてきた。

(しかし、あつこ、その闇以上のものがあつこのなかにあると思います)

これには、あつこ、

(そ、それって・・・、聖良さん、もしかして・・・)

と言うと、聖良、

(そうです。あつこの、今、思っているものです)

とうなずきながら言った。

 そして、あつこは、今、自分が思っていることを口にした。

(それって、聖良さん、私のなかに存在しているもの、

 

Saint Snowという輝き、そして、宝物、

 

ですか・・・)

あつこがそう言った瞬間、あつこのなかになにか湧き上がるものがあった。それは・・・、

(あっ、そう思った瞬間、私、なんか、清々しいものを感じてしまいます・・・。これって、まさか、自分が、Saint Snowという輝き、宝物、それを認めているから!!いや、自分のなかにある闇が静まっていく感じがします・・・)

あつこが感じたもの、それは、Saint Snowという輝き、そして、宝物、それが自分の体を駆け巡っている、そんなものだった。あつこにとってその輝き、宝物はこれまで自分のなかで眠っていた、いや、その存在にあつこ自身気づいていなかったのだ。その代わり、あつこのなかにあったのは、これまで自分を支えてきたフィギュア、それによってできた穴、いや、深淵なる闇、だった。そのため、あつこはこれまでほかの人たちに対して当たり障りのないように暮らしてきた。それは、フィギュアでの自分の体の成長のために限界な練習をしてしまいミスをして大ケガをしてしまった、それに対してまわりからの深刻な言葉攻めにあい、すべてを失ってしまった、それによるものが大きかった。それがあつこのなかにある深淵なる闇の誕生、そして、成長へとつながった。だが、しかし、その闇に苦しむなか、あつこはそれとは別のもの、自分に理解を示す聖良とその妹である理亜とともに、Saint Snowという輝きを知らないうちに得ることができた。さらに、聖良と理亜とともに、その輝きをSaint Snowとして活動していくことで知らないうちに成長させることができたのである。そして、今、聖良によってそのすべてを知ることができた、いや、解放することができたのである。それはあつこにとって自分が持つ闇、自分の体の成長のせいで無謀な練習を続けてしまい、結果、フィギュアにおけるものすべてを失った、そんな過去さえ飲み込むくらいのものにもなった。それくらい、あつこにとってこのSaint Snowという輝き、そして、宝物、は大きな存在になっていたのだ。

 そんなあつこを見てか、理亜、

(まさか、あつこのなかにも私と同じものを持っていたなんて・・・。ちょっとしゃくだけど、あつこ、私と同じ仲間、私と同じ闇を持つとともに、私と同じ輝き、同じ宝物を持つ者同士です、私たちは・・・)

と、少し照れながら言うと、あつこ、

(理亜さんもそう言ってくれてありがとうございます。たしかに聖良さんの言う通り、私のなかにも聖良さんと理亜さんのと同じ、Saint Snowの活動を通じて私たち3人のSaint Snowとしての想い出、想い、キズナがあります!!私、今、それに気づきました!!そして、それが私のなかでSaint Snowという輝き、そして、宝物になっている・・・、それって・・・、私・・・、Saint Snow第3のメンバーとしては幸せ冥利に尽きます・・・)

とうれし涙を流しながら言った。

 そんなあつこを見てか、聖良、

(これであつこの件はなんとかなりましたが、理亜、あなたにはある現実を突きつけないといけません、これからのスクールアイドル活動のためにも・・・)

と、理亜に対しなにかを予告すると、理亜、

(えっ、姉さま、それっていったい・・・)

と、聖良を見つめ返してしまった。

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