ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

161 / 250
SNOW CRYSTAL 序章 第39話

 理亜も知らないある現実・・・、それについて、聖良、

(理亜、これを聞いたら理亜はきっと怒るかもしれませんが・・・)

と前置きしつつ、

(でも、私は理亜にこの受け入れざるをえない現実を理亜に伝えます・・・)

と言うと、理亜、

ゴクッ

とつばを飲み込んだ。理亜にとってそこまで真剣な表情で迫ってくる姉聖良の姿を見ることはめったにないことだった。いつもは妹LOVEの聖良なのでそこまで真剣な表情で迫ってくることなんてないのだが、今回はそうなっている、それすなわち、聖良が今から言おうとしていることはかなり真面目、いや、かなり重要な話といえた。

 そして、聖良はついに理亜に対しその現実を伝えた。それは・・・。

(理亜、これはもしもの話ですが、もし、私たちSaint Snowがラブライブ!決勝に進出してAqoursと対決をしたら、きっと、私たち、Saint Snowは・・・、

 

Aqoursに負けていた

 

と思います・・・」

 この聖良の突然の発言に、理亜、

(えっ、姉さま、なんてことを言うわけ?私と姉さまだったらルビィたちAqoursに負けるわけない!!)

と聖良にきつく言うも、聖良、

(でも、それは覆ることなんてない現実なのです・・・)

と真面目な表情で言った。そのためか、理亜、

(えっ、あの姉さまがそんなことを言うなんて・・・)

と絶句してしまった。ただ、それを横から見ていたあつこも、

(私も聖良さんの言うことはもっともだと思います。だって・・・)

と、聖良の言うことを認めつつもその理由を言おうとしていた。が、それを、聖良、

(あつこ、申し訳ないのだけど、それについては私から言わせてください)

と言うとあつこも、

(聖良さん・・・、わかりました・・・)

と口を閉ざしてしまった。

 そして、聖良は理亜に対し、衝撃的な現実、その理由を答えた。

(理亜、なぜ、私たちSaint SnowがAqoursに負けてしまうのか、それはですね・・・、

 

Aqoursというグループは日本で一番スクールアイドルを楽しもうとしているグループである

 

ということです・・・)

 だが、理亜にとってあまりにも唐突的な答え・・・だったのか、この聖良の答えに、理亜、

(姉さま、ふざけないでください!!楽しもうとしていることと私たちSaint Snowが負けることとはまったく関係ありません!!)

と怒りをぶつけるように聖良に言うも、聖良、ものおちせず、ただ、

(でも、それくらいAqoursというグループは私たちSaint Snowすら力が及ばない、それくらいすごい、いや、日本一のスクールアイドルだと言えます)

と言うと、さらにある事実を理亜に突きつける。

(それに、実際、Aqoursというグループは私たちSaint Snowが成し遂げることができなかったラブライブ!優勝を果たしております!!)

この事実を突きつけられた理亜、それにより、

(・・・)

と無言になってしまった・・・のだが、それでも、覆ることができない現実に抗おうとしているのか、理亜、聖良に反論をぶつける。

(で、でも、私たちだって、ラブライブ!優勝、という夢に向かって勝つことだけを考えてやってきた!!それなのに、私たちがAqoursに負けるなんて納得できない!!)

そう、理亜と聖良、そして、あつこ、は自分たちの夢、ラブライブ!優勝に向けて、勝つことだけ、ラブライブ!で勝ち続けることだけを考えてやってきた。むろん、そのなことをしてきたためか、理亜、

(それに、私が暴走していた、そのとき、私、ラブライブ!にて絶対に勝ち続ける、そんなユニットにしたい、だから、私、あつこたちユニットメンバーに過酷な練習をしてきた・・・)

と、自分の思いを吐き出した。そう、理亜が暴走した理由、それは、深淵なる闇「ゼロになってしまった、なにもかも失った、そこからくる姉聖良に対する後悔、というのもあるのだが、そのために理亜が目指していたもの、それは、自分たちの夢、ラブライブ!優勝、それを叶えるために、ラブライブ!にて勝ち続けるためのユニットを作ることだった。そのため、理亜はスクールアイドルとしては駆け出しだったあつこたちユニットメンバーに対して過酷な練習を課していたのだ。いや、ユニットメンバーが抜けるごとにその度合いは強くなった。みなさん、お気づきだろうか、理亜の言動を・・・。実は、理亜、暴走し始めたとき、こう言っていた、「勝つための・・・」。これにより理亜は(あつこ発案だが)函館山の麓から1番目の観音様までのダッシュをユニットメンバーに課してきた。だが、それにより初めてユニットメンバーが抜けると、理亜は「勝つための・・・」から「絶対に勝つための」という文言に変わり、さらに2番目、3番目の観音様までのダッシュへと変わっていった。だが、暴走の度合いが極限に達すると、理亜、「絶対に勝つための」から「絶対に勝ち続けるための」に変わってしまったのだ。それくらい、理亜は暴走の度合い、いや、自分を追い込むごとに、「勝つこと」、それに対する執着の度合いも高まってしまった、というわけである。

 だが、そんな理亜の反論に、聖良、

(理亜、私たちは間違っていました。ただ、「勝つことがすべて」、ただそれだけではラブライブ!優勝なんて無理でした・・・)

とただたんに言うと、理亜、

(姉さま、なんでそんなに弱気なわけ!!)

と怒るように言うと、聖良、理亜にある事実を突きつけた。

(それでは、なぜ、私たちSaint Snowは冬季大会決勝に進出できなかったのですか?「勝つことがすべて」、それが間違いだとなぜ言えるのですか?それは・・・、理亜、あなたが北海道最終予選で、「勝利しないといけない」、そう思い込んでしまい、自分自身を追い込んでしまった、それからくるミス・・・、があったからです!!)

この言い逃れることができない事実に、理亜、

(えっ・・・)

と、言葉を失ってしまう。たしかに聖良の言う通りである。ラブライブ!冬季大会北海道最終予選、姉の聖良はAqoursリーダーの千歌との交流で「スクールアイドルを楽しもう」という心が少しずつではあるが芽生えていた。一方、理亜は極度の人見知り、ということものあり、自分のなかで「勝利しないと」という気持ちが日に日に強くなっていた。いや、それどころか、理亜のまわりにいる人たちから「今度こそ勝って!!」「勝ち続けろ!!」という「勝利せよ」という言葉が投げかけられてしまった。そのため、なにに対しても真面目である理亜はそれを真面目に受け止めてしまった。それにより、理亜は次第に自分で自分を追い込んでしまった、「勝利せよ」という思いによって・・・。そして、自分で自分を追い込んでしまったことで起きた最悪の事態、それがあの最終予選での理亜のミスだった。

 人は「勝利」という名のもと、それに向けて頑張ろうとする。けれど、その気持ちを保たせることは容易いことではない。なぜなら、それを保たせるためには体力的にも精神的にも苦痛を伴うものかもしれないから。だが、それによって自分で自分を追い込んでしまうとそこに待っているのは、「破滅」、である。理亜みたいにただのミスだけですめばいいかもしれない。ただ、それにより理亜のなかに深淵なる闇が生まれてしまった。ただのミス、けれど、理亜にとってみれば、「勝利こそすべて」、その思いにより自分で自分を追い込んだ末に起きた悲劇、なのかもしれない。いや、理亜以上に・・・

(作者、そこから先は私に言わせてください!!)(あつこ)

「えっ、あつこさん・・・」(作者)

(私も「勝利」という思いによって破滅した者ですから・・・)(あつこ)

「あつこさん、わかりました。ここから先はあつこさんにバトンを渡しましょう」(作者)

 そして、あつこは作者に代わり、理亜に対しあることを語った。

(理亜さん、理亜さんと同じ、「破滅」、を経験したのは理亜さんだけではありません。この私も理亜さんと同じ「破滅」を経験しました)

これには、理亜、

(えっ、あつこも・・・)

と、あつこに問い直すと、あつこ、自分が経験した「破滅」について語った。

(私、12歳のときにフィギュアのジュニアの大会で優勝しました。けれど、自分の体の成長によりこれまで感じていた感覚にズレが生じ、それによって成績もどんどん落ちてしまいました。そのため、昔の栄光に返り咲きたい、いや、昔みたいに、「勝ちたい」、そのために一生懸命練習をしました。むろん、まわりの人たちからも、理亜さんのときと同じく、「勝利せよ」「もっと練習しろ!!」「勝利を目指せ!!」みたいな言葉攻めにあい、自分もそれが当たり前という気持ちになってしまいました。けれど、それでも成績が伸びず、まわりの人たちの声もさらにきつくなるばかり。そのため、私は自分で自分を追い込んでしまった!!「勝利しないといけない!!」「絶対に勝たないといけない」、その気持ちゆえに限界を超えた練習をしてしまった・・・。結果、中3の大会のときに大きなミスをして大ケガ、それにより、フィギュアは半引退状態になってしまいました。でも、それって、私が、「勝利こそすべて」、昔の栄光を取り戻したい、昔みたいに「勝たないといけない」、その思いから起きた桧垣、なのかもしれませんね・・・)

あつこにとっての悲劇、それは中3の大会での大ケガであった。その裏には、あつこの、12歳のジュニアの大会での優勝、そんな過去の栄光を取り戻すために、昔みたいに「勝利する」ために、必死になって「勝利しよう」と頑張っている姿があった。自分の体の成長というどうすることもできない現実、それによりこれまでの感覚にズレが生じていく、それでもなおあつこは過去の栄光を取り戻すべく、いや、そのための「勝利」のために限界を超えた練習を次第にするようになってきたのだ。だが、そこで待っていたのはミスによる大ケガだった。これによりあつこはフィギュアというこれまであつこが大切にしてきたものを失ったばかりか深淵なる闇を自分のなかに生み出すことにもつながったのだ。いわば、あつこも理亜と同じだった、ということである。

 そして、聖良はそのことを踏まえ、理亜にあることを言った。

(理亜、勝利のみを追求する、「勝利こそすべて」、それを私たちSaint Snowは、これまで態勢にしてきました。けれど、それには限界があります。その限界を超えた先にあるもの、それは、「破滅」、です。それが理亜やあつこに起きてしまいました。その意味で私たちは愚かだったのかもしれません)

そんな聖良の言葉に、理亜、

(でも、それでも、私たちSaint SnowがAqoursに負けるとは思えない・・・)

と、聖良に対してこう言うと、聖良、

(まぁ、それだけでは私たちSaint SnowがAqoursに負けることに納得していないでしょう。ですが・・・)

と貯めるように言うと理亜に対しある問いを言った。

(ですが、もし、私たちSaint SnowにはなくてAqoursにはある、それによって私たちSaint SnowがAqoursに負けてしまう、と言ったらどうでしょうか?)

 これには、理亜、

(私たちになくてAqoursにはある、それって、まさか、ラブライブ!優勝を約束した仲間たちの思い?それとも、自分たちだけの輝きを追い求めてきたこと?)

と答える。たしかに千歌たちAqoursはある目的でラブライブ!に参加していた。それは、学校の存続。千歌たちAqoursメンバーが通う浦の星は生徒数減少により廃校の危機を迎えていた。それを回避する(そのために入学希望者を100人集める)ためラブライブ!に参加していた。だが、その期限となる日までに入学希望者100人を集めることができなかったため、ついに廃校が決まってしまった。が、その後、それにより途方にくれていたAqoursメンバーに対し浦の星の生徒たちから「ラブライブ!に優勝して消えていく浦の星の名をラブライブ!の歴史に刻み込んで」という新しい目標を託してくれた。その新しい目標のもと、Aqoursメンバーはラブライブ!優勝を目指すこととなった。そして、Aqoursはついにラブライブ!優勝をしその目標を叶えることができた。聖良たちSaint Snowは自分たちの夢を叶えるために参加していたのに対しAqoursは自分たちのバックにいる浦の星の生徒たちという仲間たちの思いを叶えるために戦っていた。そんなAqoursが背負っている仲間たちの数はSaint Snowのものよりもはるかに多かった。さらに、千歌たちをはじめ、Aqoursメンバー全員が自分たちだけの輝きを追い求めていた。最初のころはμ'sの輝きを追い求めていたAqoursメンバーたち、だが、その途中でそれではいけないと思い、自分たちだけの輝きを追い求めようとした。ただ、これについてはラブライブ!に優勝してもわかることができなかった。しかし、最後の最後、閉校式後の浦の星からの最後の贈り物でようやく、自分たちだけの輝き、Aqoursメンバー9人で紡いできた想い出、想い、キズナ、いや、Aqoursに関わった人たちすべてとの想い出、想い、キズナ、それにAqoursメンバーたちは気づいたのだ。対して、聖良たちSaint Snowは、自分たちだけの輝き、なんて気にせずに、自分たちの夢を叶えるために「勝つこと」を信条に頑張ってきた。その意味でも、Aqoursは自分たちだけの輝きを追い求めようとしたが自分たちSaint Snowはそうしなかった、そのことを理亜は指摘したのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。