ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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SNOW CRYSTAL 序章 第44話

 そして、延長戦終了後・・・、

「ふ~、生き返る~。熱気あふれる延長戦だったけど、本当のところ、3月の早朝だもの、とても寒くて体が冷えたよ~。やっぱり、体が冷えたなら熱いお風呂に入るのが1番だね!!」

と、あつこは銭湯の大きな浴槽につかりながら冷えた自分の体を温めていた。ここはあつこの家の近くにある船見坂の銭湯、大正湯。下見板張りの名建築として有名であり、レトロな和洋折衷様式の建物としても有名であったりする。また、映画の舞台にもなった銭湯であり、外観はおろかなかの内装もかなりレトロな雰囲気を醸し出している、そんな100年以上の歴史をもつ銭湯であった。あっ、ちなみに、この銭湯のお湯は水道水なのであしからず、といってもかなり貴重です、雪国ですから、お湯を温めるための燃料代だってかなりかかっているのですから・・・。

 そんなわけで、冷えた体を温めるあつこ・・・であったが、時計の針はすでに午後3時を指していた。で、あつこは延長戦終了後、延長戦の後かたずけを聖良と理亜と一緒にしていた。たった1曲か2曲だけのステージであったが、Saint Snowラストステージだったため、スポットライトをはじめ、いろんな音響機器などを準備していた。そのため、その後かたずけにも時間がかかった、どころか、まわりへのお礼回りなどを聖良と理亜と一緒にして、それが終わったのがお昼の2時ごろ。また、大正湯の英長時間は午後3時ごろから、ということもあり、あつこは1番風呂と称してこの大正湯に来ては冷えた体を温めていたのだ。

 そんなわけで、

「ふ~、やっぱり1番風呂はすがすがしいものです!!誰もいないこの大きな浴槽に張った新しいお湯につかれる、そんな喜び、どんなことがあっても誰にも譲れないよ!!」

と、大きな声をあげていた・・・のもつかのま、

「うわ~、あつこ、なんか親父臭いこと、言っている!!これでも、フィギュアの有名な選手、だったわけ?」

と、ちょっと憎たらしい少女の声とともに、

「理亜、少しは言葉に慎みなさい!!あつこに失礼です!!」

と、その少女に注意する少女の声がした。これには、あつこ、

「あっ、聖良さんに理亜さん、いったいどうしたのですか?お二人の家から遠いにも関わらずこの銭湯に来るなんて?」

と声をあげる。なんと、この大正湯に今さっきまであつこと一緒にいた聖良と理亜が来ていたのだ。で、この2人、これまであつこが独占していた大きめの浴槽に入ってきたのだ。

 そして、あつこが入っている浴槽に入ってきた理亜、開口一番、あつこに対し、

「今日は私のためにラブライブ!決勝延長戦を開いてくれて本当にありがとう、あつこ」

と、今日行われた延長戦に対するお礼を言うとともに延長戦でのあつこに対する想いを語った。

「あつこが今日のためにいろいろと準備してきたこと、姉さまから聞いた。「Believe Again」、あつこが私と姉さまのために編曲してくれたって姉さまから聞いた。そして、最後にみんなと一緒に歌った曲、「Over the Next Rainbow」、あれ、私のなかで1番心に残った!!私と、姉さまと、ルビィと、みんなと、最後の最後で、みんなの心が1つになった。その先の未来へ、その先の虹という新しい輝きへ、みんな一緒に進もう、そんな気がした。どれもこれもあつこのおかげ。あつこ、改めて言う、本当にありがとう」

これには、あつこ、

「いや~、私は少しでも理亜さんを助けることができたらと思ってしたまでだよ!!そんなにかしこまらないで」

と、理亜に遠慮しつつもこう言った。

 だが、理亜、そんなあつこに対しあつこのある場所を見つめては・・・、

「それに、あつこ、あなたのスティグマ、知らなかった、とはいえ、無理な練習、強要して、ごめん・・・」

と謝罪をしてきたのだ。

 理亜からの突然の謝罪、これには、あつこ、

「理亜さん、そこまで顔を下げないでください!!」

と、理亜に対し顔をあげるように言うも、理亜、自分の謝罪に対する自分の想いを打ち明けた。

「あつこ、私、延長戦が始まるまで、あつこが中3の大会のときにケガをしたこと、知っていたけど、選手生命すら断たれるくらいの大ケガ、しているなんて、知らなかった・・・。そのときの傷跡、スティグマ、それによって、あつこ、苦しんでいた。でも、私、その存在を知らなかった、けど、あつこに対して、無理な、無謀な練習、強要してしまった・・・。もし、これで、あつこの傷跡、スティグマが、開いたら、私、私・・・」

この瞬間、理亜、涙を流そうとしていた。まったく知らなかったとはいえ、あつこの足の傷跡、スティグマ、それが開くのではないか、というくらいの無謀な練習を強要させてしまったこと、そのことを理亜はあつこに対し申し訳ない、そんな想いを、そのことに気づいた今、持っていたのだ。ただ、これについては、あつこ、

「理亜さん、理亜さんも自分の抱える深淵なる闇のせいで自分で自分を追い込んでしまったのが原因だったのです。それも、今日の延長戦で晴れることができました。私としてはそちらの方が喜ばしいことだと思います。同じ闇を抱えていた者同士、今はそのことだけを一緒に喜びましょう」

と優しく語りかけると、理亜、

「あつこ、ありがとう」

とあつこに対しお礼を言った。

 と、ここで、これまであつこと理亜のあいだに口をはさまなかった聖良から、

「ところで、理亜、あつこになにかお願いがあるのでしょ」

と、理亜に対しなにか催促すると、理亜、

「でも、今は・・・、ちょっと・・・」

と、ちょっと戸惑っている様子。そんな理亜の様子からか、あつこ、すぐに、

「理亜さん、私のことは心配しないで。言いたいこと、言って!!」

と言うと、理亜、意を決して自分のお願いをあつこに言った。

「あつこ、お願い、私と、私と再び、スクールアイドルユニットを、組んで!!いや、あつこと一緒に、スクールアイドル、やりたい!!一緒にやって、スクールアイドル、一緒に、楽しみたい!!」

理亜の願い、それは、あつこと再びスクールアイドルをやること。理亜が暴走する前までは聖良からのお願いがあったとはいえ理亜のユニットにあつこは参加しては理亜と一緒になってスクールアイドルを楽しんでいた。だが、理亜の暴走のせいであつこは理亜のユニットから抜けた。けれど、その暴走の原因となった闇が晴れた?今、理亜はあつこと再びスクールアイドルユニットを組みたい、とあつこにお願いをしたのである。ただ、その裏には理亜のある想い、

(あつこなあら私をちゃんと支えてくれる。だって、あつこには私と同じSaint Snowという宝物があるのだから)

それがあったからだった。同じ宝物を持っている、ただそれだけで理亜は安心感を得ることができたのである。

 だが、あつこ、そんな理亜に対し、

「う~ん、どうしようかな~」

とじらすように言うと、理亜、

「う~ん、やっぱり、ダメ・・・。それも仕方がない・・・。だって、私、あつこに、悪いこと、したから・・・」

と、しょんぼりしてしまう。これには、聖良、

「あつこ、理亜が頭を下げてこう言っているのです、どうにかもう1度考え直してください!!」

と、理亜に助け舟を出す。これには、あつこ、

(うわ~、聖良さんにも悪いことをしてしまったよ・・・。これじゃ、私、悪者になってしまう・・・)

と、バツを悪そうに思ってしまう。。必死にあつこに対しお願いをする理亜に対し少しじらしたのは、ちょっとしたイタズラ、だったのだそのせいで聖良にまで頭を下げられたら、ちょっとやりすぎてしまった・・・、と、思ってしまったあつこ、少し反省してしまった・・・と同時にあつこも、

(でも、たとえ理亜さんからのお願いがなくてももう私の心のなかではすでに決めていたけどね・・・)

と、どうやら自分の進む道をすでに決めていたようで、理亜と聖良に対し、元気よくこう宣言した。

「うん、いいよ、理亜さん!!私も理亜さんと一緒にスクールアイドルを楽しみたい!!」

このあつこの宣言に、理亜、あつこの手を取り、

「あつこ、ありがとう!!私、あつこと一緒に、スクールアイドル、頑張る!!」

とうれし涙を流していた。

 そして、理亜はあつこに対し高々にこう宣言した。

「それでは、さっそく、明日から、次のラブライブ!に向けて、練習、する!!」

だが、このとき、あつこ、自分のスティグマを見ては、

(あっ、もしかすると、前と同じ、理亜さん、無謀な練習をするのでは・・・。このままだと、私のスティグマ、また開いてしまうかも・・・)

と、つい弱気になってしまう。なんと、あつこ、前に行った無謀な練習をまた行う、とつい思ってしまったのだ。そうなるとまた自分のスティグマが開いてしまう、そんな不安があつこの頭のなかでよぎってしまった。

 そんなわけでして、あつこ、明日からの練習でウキウキ気分になっている理亜に対し申し訳なさそうに、

「理亜さん、大変申し訳ないのですが・・・」

と前置きしつつも少し弱気になりながらこう理亜に伝えた。

「私、理亜さんのユニットに入るけど、マネージャーとして頑張る。だって、私、ずっと、聖良さんと理亜さんのサポーターをしてきたじゃない。なら、私は理亜さんのサポーターとして頑張ったほうがいいんじゃないかな・・・」

このあつこの発言に、理亜、

「えっ、そんな・・・」

と、ちょっとがっかり。この理亜の様子に、あつこ、

(理亜さん、ごめん!!やっぱり、私、自分のスティグマを見ていたラ、理亜さんの練習、ついてこれない気がする・・・)

と、理亜に対し心のなかで謝罪する。

 が、それでも、理亜、気持ちを入れ替えたのか、あつこに対しこう言った。

「でも、それでも、あつこが私のユニットに入ってくれるのなら、私、うれしい!!あつこ、これからも、一緒に、頑張る!!」

このときの理亜の顔の表情は喜びいっぱいの笑顔だった。これには、あつこ、

「理亜さん、ありがとう!!」

と、お礼を言った。

 だが、このとき、延長戦が終わったとはいえ、今のあつこのなかには、これまで聖良と理亜と一緒に紡いできたSaint Snowという宝物と、過去のフィギュアでの大ケガによって生まれた深淵なる闇の2つが同居する事態に陥っていた。宝物の方は、このあと、理亜と一緒にスクールアイドル活動をすることで新たなる輝きを生み出すことになるのだが、一方、闇の方はなんかの拍子でいつ爆発してもおかしくなかった。なぜなら、理亜とは違い、あつこには目に見えるかたちでその闇が爆発するトリガーがあるのだから。そう、あつこの足に残る、大ケガしたときにできた傷跡、スティグマ、である。なので、今のあつこの状態はとても危ない・・・というか危うい状態ともいえた。とはいえ、その宝物と闇という相反するもの2つのせいであつこが、このあと、苦しむのだが、それについてはもっとあとの話となる・・・。

 と、ここで話をもとに戻そう。マネージャーとはいえ、あつこが理亜のユニットに参加することに喜んでいた理亜だったが、ここで思わぬことを理亜は言ってしまう。それは・・・、

「なら、あつこ、明日、三十三観音様シャトルラン、やる!!」

この理亜の発言に、あつこ、

「えっ、うそ!!三十三観音って、まさか、理亜さん、雪が残る函館山を全力で駆け上っては下るつもりですか!!それって無謀過ぎですよ!!」

と、びっくりしてしまう。函館山には33の観音様が設置されていることは前述した通りだが、実は、その33の観音様は函館山の麓から山頂、そして、麓へと、山の麓と頂上を往復する登山ルート(通称観音ルート)に沿うかたちで設置されているのだ(ただし、1つ目と2つ目の観音様は山頂へと続く車道のところに設置されています)。それを思いだしたあつこ、まだ3月とはいえ雪が残る函館山の麓と山頂を往復する、それも全力で、となると、まえに自分がやったものよりも無謀といえる練習になる、そう思っては理亜に対し注意をしたのだった。

 だが、そんなあつこの心配をよそに、理亜、変なことを言ってしまう。

「えっ、函館山での全力シャトルラン!?それ、あつこ、勘違い!!」

この理亜の発言に、あつこ、

「えっ、函館山での全力シャトルランっていう意味じゃないの?」

と、唖然となりつつも理亜に尋ねてみる。

 すると、理亜、自分の発言の真意を言った。

「あつこ、私、たしかに、三十三観音様でのシャトルラン、言った。けど、函館山の三十三観音様じゃない。湯の川温泉の、三十三観音様、そこでのシャトルラン!!」

これには、あつこ、

「えっ!!」

と拍子抜けしてしまう。実は函館山以外に三十三観音様がある場所があった。それは(前述の通り)函館の奥座敷である有名な温泉地、湯の川温泉、であった。江戸時代、西国に行かなくても観音霊場巡りができるようにと函館の廻船問屋の人が函館山の登山道に33の観音様を設置したのが函館山の三十三観音様巡りの発祥となるのだが、明治時代、旧日本軍が函館山を要塞化する際、函館山にあった33の観音様は一部を除いて函館山の麓におろされ、のちに湯の川温泉にあるお寺に移設されることとなったのである。ただ、戦後、函館山が解放され、改めて函館山に33の観音様を設置されたのだが、このとき、3つを除いて新しく観音様を作って設置したため、今、函館山にある観音様は3つを除いて、2代目、といえた。で、湯の川温泉のお寺にある観音様こそ、江戸時代に作られたオリジナル、ともいえた。で、理亜、そのことを知っていたため、わざと「三十三観音様でのシャトルラン」とだけ言ってあつこを困らせたのである。

 しかし、これには、あつこ、激怒。

「理亜さん、私の親切心、踏みじみりましたね!!理亜さん、ふざけないでください!!」

むろん、これには、理亜、

「騙される方が悪い!!」

と生意気な表情をしながらあつこを挑発。まぁ、これには、あつこ、

カチンッ

となったのか、理亜に言ってはいけないことを言ってしまう。

「理亜さん、やっぱり、そのぺちゃぱいな胸だからこそ、そんなことを言えるのです!!!」

って、それ、理亜が1番気にしていることでは・・・。だが、これには、理亜、すぐに反論。

「あつこの方だって、その大きな胸、ただの脂肪!!だから、よけいなこと、すぐに言う!!」

って、それ、あつこが1番気にしていること!!あつこの胸は、巨乳、とはいかないまでも誰から見ても大きな胸、といえた。ただ、それによっていつも肩がこっているのがあつこの悩みの種の1つなのですが、それを理亜はわざと指摘してきたのだ。なので、あつこも、

「私のは別にいいんです!!そんなことを言われる筋合いはないのです!!」

と理亜に反論すると、2人とも、

「「イーだ!!」」

と、拗ねてしまった。この2人の言い争いには、聖良、

「2人ともケンカをしないで!!」

と、少し困り顔になってしまった。いや、それ以上に、理亜、

「あつこ、この銭湯の水でそのスティグマを治したら!!」

と言えばあつこも、

「なら、理亜さんもこの銭湯のお湯でその汚い心を洗ったら!!」

と反撃。。あの~、ここの銭湯、大正湯、温泉じゃなくてただの水道水(でも、とても貴重)なんですけどね・・・。これじゃ収拾がつかないよ・・・。

 と、そんなときだった。突然、外から、

ドドドドド

という大きなヘリの音が聞こえてきた。これには3人とも、

「「「えっ、なに?」」」

と一瞬顔を見合わせてしまう。

 そして、3人ともすぐに着替えては外に出ると、そこには・・・、

「お~、そこにいるの~は、Saint Snowのみんさん、ですね~。私、鞠莉の母親、鞠莉‘sママで~す!!YOUたちを迎えにきま~した!!」

と、なんと、ピンク色のジェットヘリに乗って、鞠莉の母親、鞠莉‘sママがいたのだ!!これには、聖良、

「ぇつ、なんで私たちが・・・」

と言うも、すぐに鞠莉‘sママが乗ったジェットヘリからSPらしき男たちが数人降りてきては3人に縄らしきものを巻いては、

「「「うわ~」」」

と、3人が大声をあげるまもなく3人をヘリへと釣りあげてしまった。

 で、3人仲良く縛られたまま、鞠莉‘sママが乗るジェットヘリに到着!!すると、鞠莉‘sママ、3人に対して元気いっぱいの声でこう叫んだ。

「今日の延長戦、Very Excitingなものでし~た!!なので、私、そんなAqoursとSaint Snowのみなさんと一緒に、延長戦祝賀会、私のホテル、ホテル小原沼津淡島で、行いま~す!!そのために、Saint Snowの3人、拉致、しました!!」

これには3人とも、

「「「えっ、うそ・・・」」」

と唖然となってしまった。

 だが、そんなの官界なく、鞠莉‘sママ、

「それじゃ、行きま~す!!全速力で我が家で~す!!JHMOSP(ジェットヘリ・マリ・オハラ・スペシャル)、Go to Fly、で~す!!」

と言っては操縦かんをめいいっぱい引くとそのままジェットヘリは全速力で鞠莉‘sママの実家、ホテル小原沼津淡島まで一直線に飛んでいった。むろん、聖良たち3人とも、

「「「うへ~、酔う・・・」」」

と、ヘリに酔ってしまい、気分が悪くなったようだ・・・。ご愁傷様・・・。

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