ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第4話

 翌日、早朝、静真高校、生徒会室・・・。

「今から緊急生徒会役員会を開きます!!」

と、月は自分の前にずらりと並んだ生徒会役員たちを見て、開口一番、声をあげて緊急生徒会役員会を開くことを宣言した。あの部活動保護者会の会長である木松悪斗への対抗策を考えついた月、その策をまとめたその日のうちに生徒会役員全員に「明日早朝、緊急生徒会役員会を行います」と緊急メールを送っていた。そして、その月の呼びかけに応じ、生徒会役員全員は早朝にも関わらず生徒会室に集まってくれた。「月生徒会長が緊急メールを送るってことは、静真にとって一大事が起こっているに違いない!!今こそ、私たちが力を合わせて月生徒会長のために頑張ろう!!」、この想いを胸に生徒会役員全員がつきのもとに集まってきたのだ。それほど月は生徒会役員全員から慕われていた。これも月の人柄ゆえの賜物だった。月が生徒会会長選挙のとき、全校生徒の95%もの信任を受けて当選した。ちなみに、そのとき、生徒会会長選挙に立候補したのは月1人だった。それでも、全校生徒の95%もの信任を受けての当選である。では、なぜ、月は選挙のときに95%もの信任を受けて当選したのか。それは、月が高1のとき、当時の生徒会長から静真一の才女と言われていた月を副会長に任命したあと、月は副会長として生徒たちのために日夜頑張っていたからだった。それは、たとえ、生徒たちから見えないところでも、月は決して気を引かず、こつこつと頑張っていたからだった。そのことを先生たちを通じて知った生徒たちは「月こそ次期生徒会長にふさわしい」と思うようになり、と、いうよりも、静真の生徒全員の想いとなっていた。そのため、月以外に生徒会長選挙に立候補しなかったし、95%もの信任率で月は生徒会長に当選したのである。そして、その月のもとで働きたいという生徒も多く、月はそのなかでも生徒のためになりたいという志が高い生徒たちを生徒会役員にした。その月に選ばれた生徒会役員たちは月の役に立ちたい、そして、静真の生徒たちのために働きたいという強い意思を持っていた。だからこそ、生徒会役員たちは月のためならどんなことでも月を助ける、そんな連帯意識が強いのだ。ただし、月に対して連帯意識の高い生徒会役員たちであったが、ただの月のイエスマンではなかった。それはのちほど・・・。

 と、いうわけで、月のために集まった生徒会役員全員に対し、月はあることを言った。

「実は、みんなに伝えたいことがある。この前、部活動保護者会の木松悪斗会長が浦の星との統合に反対を示した。今まで賛成してきた木松悪斗会長だったが、それを今になって反対に転じてしまった。僕としてはまことに遺憾であると思っている。そして、僕は当初の予定通り、浦の星との統合を実現したい、そう思っている、絶対にだ!!」

この月の言葉に生徒会役員からは、

「なんか珍しく静真のこと以外のことを言うのね、生徒会長」「私たちは月生徒会長のため、静真の生徒たちのために動くけど、他校のために動くことっていいのかな?」

と、少し困惑気味になっていた。が、それでも、月、

「僕はどうしても静真と浦の星の統合を実現させたい、静真の将来のために・・・」

と、生徒会役員たちに懇願する。が、いつもなら、「やりましょう」「しましょう」と、二つ返事で承諾する生徒会役員たちも、今回ばかりは、

「静真の将来って言っても、今回の統合は生徒数減少に悩む浦の星を救済するために仕方なくしたとの噂だよ」「本当に静真のため、なのかな?」

と、月の願いに対して少し否定的な意見が出てしまっていた。これには、月、

(いつもは僕の案には乗り気になるはずの役員たちだけど、今回は他校がらみだから、あまり乗り気になっていないかな。やっぱ、僕が選んだだけはあるね)

と、なぜか、自分の願いに否定的な生徒会役員たちに感心していた。実は、月、生徒会役員を選ぶ際、志が強いだけで選んだわけではなかった。月の指示なしでもちゃんと自分で考え、自分で行動できる、それも生徒会役員を選ぶときの選考基準だった。なので、月率いる生徒会は、月の指示がなくても自分たちの考えで静真の生徒のために活動している。そのため、静真の生徒会は、なにかあれば素早く行動し、素早く解決する、そんなスーパー集団だった。これにより、月たち生徒会は静真の生徒たちからはとても信頼されていた。が、今回は月にとってそれがマイナスに作用してしまった。月にとってこれはピンチ、なのかもしれない。

 そんな月にとってマイナスの状況のなかでも、月は生徒会役員の前でこう訴えた。

「この月、生徒会長の座を賭けてもいいくらい、この統合を絶対に実現させたいの!!だから、お願い、僕に力を貸して!!」

この月の必死のお願い・・・だったが、生徒会役員からはこんな意見が飛び出してしまう。

「そこまで月生徒会長が浦の星との統合に固執しているのはいいのですが、でも、それって、浦の星の通っている友達のためでしょ。なんか、公私混同していませんか、月生徒会長!!」

この生徒会役員の指摘に、月にとっては的を得ているらしく、

「そ、それは・・・」

と、月、珍しく動揺してしまう。たしかに、月は静真と浦の星の統合を実現させたい理由の1つ、と、いうよりも、かなりのウエイトを占めているのが、月のいとこで大親友、浦の星に通っている曜が安心して統合先の静真に通えるようにするためである。そのことを生徒会役員に指摘されたのだ。この挙動不審に陥っている月を見てか、生徒会役員全員、

「・・・」

と、黙り込んでしまった。いや、生徒会役員全員、公私混同している月に向かって少し冷ややかな目で見ていた。

 そんなときだった。

プルプルプル

と、副会長であるナギのスマホが鳴る。ナギ、すぐに電話にでる。が、すぐに、

「え~、なんですって!!」

と、驚きながら言うと、すぐに顔色が悪くなる。これには月、

「ナギ副会長、なにかあったのですか?」

と、ナギに聞く。すると、ナギ、すぐに月に今起きていることを伝えた。

「月、生徒会長、大変です!!学校のメールサーバーに大量の(浦の星との)統合反対のメールが届いたとのことです!!その数、約500通!!」

これを聞いた生徒会役員たち、

「500通・・・」

と、唖然としてしまう。まさか、浦の星との統合反対のメールが約500通届いているなんて考えてもみなかったことだった。ただ、それに関して、ある生徒会役員はある疑いを言う。

「でも、そのほとんどは本校(静真)とは関係ないところからのメールじゃ・・・」

「いや、メールの差出人のほとんどが静真に通う生徒の保護者たちからです・・・」

と、ナギ、そのメールの真実を言うと、生徒会役員からは、

「えっ、パパママからなの・・・」「うそでしょ、父さんたち、浦の星との統合に反対なの・・・」

と、動揺を隠しきれていなかった。これには、月、

(まさか、木松悪斗に先手を打たれるとはね。とはいえ、その情報はずっと前から届いていたけど、まさか、これほどの影響力がすぐに出てしまうとは、木松悪斗という男、あなどれない・・・)

と、木松悪斗のことを甘くみていたのを悔やむ。実は、月、学校に静真に通う生徒の保護者から統合反対のメールが届くことはあらかた予想していた。そして、その裏には部活動保護者会会長である木松悪斗たちの存在があることもあらかたわかっていた。なぜなら、木松悪斗が統合反対、統合白紙撤回を求めて校長室を訪れたその日のうちに静真の部活動に参加している生徒の保護者全員に、

「浦の星との統合で、(部活に対する)士気の低い、お遊び感覚で部活をしている、浦の星の生徒が、(部活に対する)士気が高く、真面目に練習している静真の生徒たちがいる部活に参加すると、絶対に、士気の低下、部活内での対立など、静真の部活動に悪影響を及ぼしてしまいます。だからこそ、私たちは浦の星との統合に反対し、即時白紙撤回を学校に要求しました」

というメールを送ったのだ。とはいえ、最初はそこまで木松悪斗の意見に賛同する保護者は皆無だった。ところが、木松悪斗の配下ともいえる部活動保護者会の幹部たちは、根も葉もない噂を木松悪斗の統合反対の意見と一緒につけてから保護者たちに広めたのだ。部活動保護者会の幹部はみな木松悪斗のイエスマンであり、その木松悪斗に取り入れてもらいたいばかりにどんなこともやってしまう。そして、今回もまったくのでたらめを言っていた。が、静真に通う生徒の保護者にとっては本当の真実の話として受け取ってしまい、さらに、噂話に尾ひれがついてしまうこともあり、ころころと話の内容が変わりながらも、木松悪斗が保護者たちに訴えたいこと、「静真と浦の星の統合反対、即時白紙撤回」のところだけは変わることがないまま、その保護者のあいだでその噂話が広がっていったのだった。

 で、さらに悪いことに、その噂話を聞いた保護者が生徒に通じてその噂話が本当であるか先生に尋ねたところ、先生からは、

「それ、うそに決まっているでしょ!!そんな噂話を信じないでください。そして、心配しないでください」

という答えが帰ってきたのだ。先生たちからしても、今回の静真と浦の星の統合のため、3ヶ月という短い期間に、寝る間を惜しんでその統合の準備を進めていたのだ。そして、あともう少しでようやく統合が実現できる、それなのに、今更統合はなしにしろ、って、いうのは先生たちからしてみれば酷だった。今までの苦労が水の泡と化してしまう、そう考えたのであろう、先生はその生徒を通じてその噂話の真実を知りたい保護者に対してこう答えたのだった。だが、人というのは、あることに対して疑念を持った場合、その当事者から「安心してください」「大丈夫です」「心配しないでください」と言われると、逆に、「本当に大丈夫なの?」と、さらに疑念を深めてしまう傾向がでてしまうことがある。そして、今回もその傾向にその保護者もはまってしまった。「「心配しないでください」と先生から聞かされた」と生徒がその保護者にそのまま言ったため、

(当事者が「心配しないでください」って言っていた。これってなんか裏があるに違いない。やっぱり、噂話は本当だったんだ!!)

と、その保護者は思ってしまったのだ。これにより、その保護者は噂話が本当であると信じ込んでしまった。さらに、悪いことに、

(この噂話が真実だったら大変だよ!!こりゃ、みんなに知らせないと!!)

.と、SNSを通じてほかの保護者にもその噂話を広げていった。これがのちに浦の星と静真の統合反対、白紙撤回のメール約500通につながる。

 で、このメールに対して、自分たちの親も浦の星との統合に反対なのではと動揺している生徒会役員たち。が、これには、月、

「みんな、動揺しないで!!」

と、動揺を見せている生徒会役員たちを一喝する。これにはある生徒会役員からは、

「とは言っても、私の親から統合反対だって言われたら・・・」

と、親に反抗してまで統合賛成を貫く自身がないがゆえに言葉に窮してしまう。これには、月、

(このままだと、本当に浦の星との統合がなくなってしまう!!統合がなくなり、行く高校がないために途方に暮れるしかなく、今にも泣きそうになっている、そんな浦の星の生徒たちの姿が目に浮かぶ・・・。あぁ、曜ちゃんが泣いている・・・、泣いている・・・)

と、静真と浦の星の統合がなくなり、どこの高校に行けばいいのか泣いている曜の姿を想像してしまう。そのためか、思わず、

ヒクヒクヒク

と、月、目から涙を流してしまう。これには生徒会役員たちからも、

「生徒会長・・・」

と、生徒会長である月を心配する。その月、思わず、生徒会役員たちに大声で訴えた。

「みんな、浦の星の生徒たちを路頭に迷わせていいの?もし、静真と浦の星の統合がなくなったら、浦の星の生徒たちは通う高校がなくなって路頭に迷うことになるんだよ!!みんな、それでいいの?」

この月の発言の内容だが、たとえ、静真と浦の星の統合がなくなったとしても、曜たち浦の星の生徒たちが通う高校がなくなり路頭に迷うことはない。なぜなら、そんなことになったら大問題になるから。2月という学年末という時期に大人たちの勝手な都合で静真と浦の星の統合がなくなり、さらに、ここで浦の星がなくなるのであれば、本当に浦の星の生徒たちはなにも対策を建てることができず、通う高校すらない、そして、路頭に迷うしかない、そんな最悪の状況に陥るかもしれない。だが、それは憲法や法律で守られている教育を受ける権利をも奪うことにもつながる。こうなると、これは静真、浦の星、だけの問題ではなく、沼津、いや、日本において大問題に発展しかねないのだ。そのため、もし、そんなことが起こっても、静真、浦の星、もしくは、沼津の関係者同士でなにか打開策を出すことになるだろう。なので、月の言っていることは極端な話なのである。

 とはいえ、その打開策を提示および実施するにしても時間がかかるのも事実である。そのあいだ、浦の星の生徒たちは本当に途方に暮れるしかない、そんな事実を感じていたのか、生徒会役員から、

「たしかに月生徒会長の言うとおりだ」

「私、このままだと、浦の星に通っている親友に顔向けできない。だって、静真のために、月生徒会長が言っていることが現実になったら、その親友、本当に困ってしまうもの」

「私も、私も。私にも浦の星に通っている親友、いるもん。その親友のこと、考えると、私、胸、痛めちゃうよ!!」

と、月の言っていることに次々と共感が湧き上がっていく。なんでこうなったのか、それは、月以外にも浦の星に通っている親友を持つ生徒が多いから。では、なんで、そんなに多いのか。それは、静真と浦の星は沼津のなかでも長い歴史を持つ由緒ある女子高だから。それに憧れて静真を受験したい子も多い。とはいえ、静真は部活動が盛んであり、将来のため、プロの選手になるために静真を受験する子が多く、受験倍率も結構高い。なんで、比較的簡単に受験できる浦の星を受験する子も多かった。しかし、沼津の中心地から通うのはとても難しいため、たとえ合格しても、沼津のほかの高校に入学する子も多く、浦の星はいつも生徒数減少により廃校の危機を迎えていたのだ。そして、小原財閥の援助むなしく静真との統廃合を迎えてしまったのだった。とはいえ、静真の生徒会役員の多くが浦の星に通う親友がいることもあり、月の言うことに生徒会役員の多くが共感したのだった。

 月の言うことに共感している生徒会役員の姿を見た月、その役員たちにあることを言った。

「みんな、僕の、一生のお願い!!浦の星のみんなのために、今から、生徒会一丸となってやっていきたいことがあります!!それは・・・」

と、月が数日かけて考え抜いた、木松悪斗たちへの対抗策、静真と浦の星の統合を実現するための策を生徒会役員全員に提示した。

 これを聞いた生徒会役員たちは、

「これはいいですね」「これだと、たしかに自分たちの想いを大人たちに示すことができますね」

と、その対抗策に次々と賛同する。これを聞いた月、

「それじゃ、この僕の案(木松悪斗たちへの対抗策)に賛成の人?」

と、採決を図る。すると、生徒会役員全員が手を挙げた。これを見た月、

「全会一致!!よ~し、これから僕たち静真高校生徒会は、浦の星との統合を実現するために行動します!!」

と、たかだかに宣言した。

こうして、月たち生徒会一同は、月が提示した対抗策にのっとり、行動を開始した。

 

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