(俺、絶対にAqoursに入ってスクールアイドルとして大成してやる!!そして、ラブライブ!で優勝してやる!!)
その子は心でそう決意を固めていた・・・そのときだった。突然、
ブルル
という電話の音が聞こえてきた。その電話にでる父親・・・。
「はい、私ですが・・・」
だが、次の瞬間、その父親の表情はこわばってしまった、この声とともに・・・。
「えっ・・・」
そして、父親はこう告げてしまう・・・。
「お、おばあさまが・・・」
「おばあちゃん・・・」
煙突からでる煙を見ながらその子は泣いていた・・・。
そんなその子に対し父親はこう告げた。
「もうおばあさまはいなくなったのだ!!お前、その現実を受け入れなさい」
だが、その子は泣きながら、
「おばあちゃん・・・」
と言い続けていた・・・。
それから数時間後・・・、その子の前にはそれまで人の形をしていたものの燃やされた人の白骨遺体があった。その遺体に対し、その子、
「おばあちゃん・・・」
と泣いていた。そんなその子に対し父親はこう告げた。
「いいか、確かにおまえはおばあちゃん子だった。だが、そのおばあさまはもういないのだ!!いいか、おばあさまのことなんて忘れろ!!そして、現実を受け入れろ!!」
そんなときだった。その子はあることを思っていた。
(もうおばあちゃんはいない・・・。だけど、そのおばあちゃんのぬくもりを・・・、おばあちゃんと誓ったあの約束を・・・、俺の胸のなかで残すことはできる!!)
そのきらめく思いとともにその子はその部屋から飛び出してはあるものを持って戻ってきた。
その子が持ってきたもの、それは、十字架の形をしたケース・・・、小さなペンダント、だった・・・。その子はそのペンダントの蓋を開けると自分の前にあった白骨遺体の一部をこなごなにして遺灰にするとそれをそのペンダントのなかに入れてしまった。
そして、その子は近くにいたあるスタッフに対し、素のその子の言葉、男言葉でこう告げた、
「スタッフ、お願いだ!!この遺灰で・・・ダイヤを・・・作ってくれ!!」
さらに数日後・・・、その子は静真の制服を掲げては心のなかでこう思った。
(おばあちゃん、俺、誓うから!!静真に入って、Aqoursに入って、スクールアイドルとして大成する!!だから、おばあちゃん、俺の胸のなかで見守ってくれ!!)
その思いとともにその子は自分の首に掲げていた十字状のペンダントを持って空を見上げていた・・・。
だが、その誓いにも1人の男によって打ち砕かれてしまう。そう、その子の父親である。その子の父親はその子に対しその子に絶望を与えるような言葉を投げかけてきた。
「おい、おまえ、数日以内に引越す準備をしろ!!」
この父親の突然の発言に、その子、いつもはおばあちゃん以外には女言葉で話すものの、この時ばかりは素の言葉遣い、おばあちゃんが前のときだけ使う言葉遣い、男言葉、それでもってこう反論した。
「えっ、なぜ、引越すわけ!?引越す必要、ないじゃん!!」
だが、その子の父親は大声をだしてその子に対しこう怒ってしまう。
「おい、わがままを言うな!!ここ沼津にいたのはおばあさまのお世話をしていたためだ!!そのおばあさまももうこの世にはいない!!だから、ここ沼津に私たちがいる必要なんてない!!では、これからは私たちはどうすればいいのか。それは簡単なことだ。私は新天地で新しいことを始めればいいのだ!!お前はこの私についていけばいいんだ!!」
この瞬間、その子の思いは崩れ散った、こんな風に・・・。
(俺、おばあちゃんとの約束、誓い、こんな形で終わりを迎えるのか・・・。俺とおばあちゃんとの誓いが・・・)
絶望に近いくらい落ち込んでしまうその子。だが、それに追い打ちをかけるようにその子の父親からこんな言葉がその子に浴びせられてしまう。
「そして、お前、これからは絶対に女らしくしろ!!これから先、私の前で・・・、いや、誰の前でも絶対に女らしくしろ!!男っぽい言葉遣いなんて絶対にするな!!もちろん、俺、なんて言葉も絶対に使うなよ!!」
この父親からの言葉にその子は少しの反骨の思いとともにこう反抗してみせた。
「なぜ、俺、なんて言ったらいけないんだ!!これは俺のアイデンティティだ!!」
だが、その子の父親は高圧的な態度でその子に対しこう言い放つ。
「おばあさまがいなくなった今、私がこの家族の長だ!!なので、お前は私の言うことを聞かないといけないのだ!!いいか、お前、いや、花樹、これからは私の言うことを聞け!!男言葉を、俺を、絶対に言うな!!もっと女らしくしろ!!」
その父親からの言葉とともにその子の心のなかである音が鳴り響く・・・。
ガラガラ ガラガラ
それは・・・その子にあった・・・、その子自身・・・、その子の心・・・、形・・・、そのものだった・・・。
そして、その子は、
(あっ・・・、オ・・・、花樹・・・の・・・なにもかもが・・・崩れていく・・・、おばあちゃんとの思い出も・・・、思いも・・・、キズナも・・・、なにもかも・・・、崩れていく・・・、なにもかも・・・、なくなっていく・・・)
と、最後までその子のなかにあった、これまでの自分を支えていたもの、それを完全に失った・・・、それを自覚したせいか、その子は・・・、その心の声とともに・・・、ある闇へと・・・、深淵なる闇のなかへと・・・、陥ってしまった・・・。
その後、自分の父親に対しその子はこう告げてしまう・・・。
「オ・・・、花樹・・・、お父様の言う通りに・・・します・・・。オ・・・、花樹、お父様と一緒に・・・引越します・・・」
それからさらに数日後・・・、その子は・・・、函館にいた・・・。その子は函館のある女子高の追加募集の試験に合格、今日はついにその女子高の入学式であった。だが、その女子高に向かうその子であったがその子はまだ上の空だった。なぜなら・・・、
(もう、オ・・・、花樹はなにもかも失った・・・。夢も、希望も、思いも、すべて、すべて、失った・・・。もう生きるすべなんてないんだ・・・)
その子は、このとき、絶望の淵に立っていた。あのとき、自分の父親からの一言で、その子はなにもかも失った、自分のアイデンティティも、夢も、おばあちゃんとの約束、誓い、なにもかもすべて失った・・・、そんな思いでその子のなかはいっぱいだった・・・、いや、深淵なる闇の中でもがき苦しんでいた。
ただ、そのとき、あることがその子に起きてしまう。
(もう生きる意味もないんだ・・・)
そうその子が思った瞬間、
「うわっ!!」
とその子は悲鳴をあげると大きく転んでしまった。どうやら、その子、上の空だったためにもたついてしまい大きく転んだようだ。なので、道路にうつぶせになるようにその子は倒れこんでしまった。その倒れこんだ瞬間、
「痛!!」
と大声で悲鳴を上げてしまう。
だが、そのとき、その子の目の前にあるものが見えた。それは、あの日以降、その子がいつも首からぶら下げているもの、そして、すべてを失った、そう思っているその子にとって唯一その子のもとに残ったもの、十字の形をした小さなペンダント、だった。そのペンダントを見た瞬間、その子、
「うぅ、おばあちゃん・・・」
と泣きながらそのペンダントを強く握りしめた・・・、そんなときだった。遠くから、その子にとって、希望に満ち溢れた、いや、もしかすると、その子にとってその闇から逃れるための、そのきっかけとなる、女性の声が聞こえてきた。
「スクールアイドル部、今、募集中!!」
その声に、その子、はっとする。
「スクールアイドル・・・。えっ、この高校にスクールアイドルがいるわけ・・・、いるのでしょうか」
そう、その女性の声は、その子の夢、スクールアイドル、その募集という名の勧誘の声だった。
そして、その子は立ち上がると前を向いた。すると、見覚えのある女子生徒の顔がみえた。その子はその女子生徒の顔を見てその女子生徒の名を口にする。
「あ、あれは・・・、Saint Snowの・・・、理亜・・・、理亜さんだ・・・」
そう、その子の目の前に見えていたのは・・・、あの・・・、ラブライブ!延長戦・・・、Aqours vs Saint Snow・・・、その戦いで、Aqoursのライバル、Saint Snow、その一員として輝きをみせていた、鹿角理亜、理亜、だった・・・。
その理亜の顔を見た瞬間、その子のなかである思いが駆け巡った。
(オ・・・、花樹、奇跡をみているような気がする・・・、気がします・・・。まさか、オ・・・、花樹の夢を叶える・・・、スクールアイドルになる・・・、大成する・・・、ラブライブ!に優勝する・・・、おばあちゃんとの約束・・・、誓い・・・、その形は違えど・・・、それを叶えることができる・・・、それができる・・・のですね・・・)
その思いはもしかするとその子の闇を照らす大きな光になるのだろうか。いや、そうではないかもしれなかった。もしかすると、それは、その子にとって実は自分の闇のなかで一瞬の安らぎを得ているのだけなのかもしれなかった。なぜなら・・・、その子は・・・、自分の闇によって・・・、自分の父親のある一言によって・・・、これまで自分を形作っていたもの・・・、自分のアイデンティティを・・・、失ってしまったのだから・・・。
だが、その一瞬の思い、希望、いや、一筋の光にすがりたいのか、その子は・・・、猪波花樹は・・・、理亜のもとに行き、
「理亜さん!!」
という声とともに、大声で・・・、理亜に・・・、こう告げた・・・。
「理亜さん、オ・・・、花樹、理亜さんと一緒に、スクールアイドル、したいです!!」
【ラブライブ!SNOW CRYSTAL OP 「Re;STRAT to dream」】
Re;START to dream
僕たちは 一度夢を失った
(R:もう立てなくなるほどに)
大事なものを 失ってしまった
(R:失敗や成長でも失った)
もう二度と 立てないんだ
(R:不幸のどん底に落ちてしまい)
誰もが そう思っていた
でも本当に そうだろうか
人は何度でも よみがえる
倒れても 倒れても
何度だって よみがえる
人というのは それくらい
力強く生きる 生き物なんだ!!
Re;STRAT to dream
僕たちは再び 立ち上がってく
Re;START to dream
夢に向かって 再び進んでく
もう諦めない 夢を叶える
※R:ラップで歌う
こうして、1つの物語が幕を上げた。それは、花樹の・・・、理亜の・・・、あつこの・・・、深淵なる闇を持つ者同士の・・・、自分達の雪の結晶を・・・、SNOW CRYSTALを・・・、見つけるための・・・、出会いと別れ・・・、そして、ライバルたちとの交流により・・・紡がれる・・・、夢破れし者たちの・・・、再び空へ、夢へと紡がれていく、そんな物語・・・、なのかもしれない。
そして、ついに花樹は理亜に対しある言葉を発した・・・。だが、それが、花樹、理亜、あつこ、にとって一波乱が起きるとも知らずに・・・。
「花樹、Saint Snowとして活躍した理亜さんと一緒にスクールアイドルをしたいです!!だって・・・、
理亜さん、ばかす・・・」
To be Continue
Next Story is
KAZYU said 「BAKASU・・・」