その出会いは突然だった。聖女の入学式の日、スクールアイドル部部員募集のビラを配っていた理亜のに対し、
「理亜さん!!」
と理亜の名を呼ぶ声がする。それに、理亜、
(えっ!!)
と少し驚いては後ろを振り向いた。すると、そこには1人の少女、いや、新入生が立っていた。それに、理亜、気付く。
そして、その新入生は理亜に対しこう叫んだ。
「理亜さん、オ・・・、花樹、理亜さんと一緒に、スクールアイドル、したいです!!」
花樹と言ったその少女はショートカットの髪をしていた。それでいてなにか体育系の部活をこれまでしていた、そんな風な体型だった。それでいて、「自分は理亜さんと一緒にスクールアイドルをやりたい!!」、そんな心意気を感じさせていた。だが、その一方で、その少女の心奥底にはなにかだれにも言えないような深淵なるやにを抱えている、そんな風にもみえてしまっていた。
ただ、スクールアイドルをやりたい、そんなその少女の言葉を受けてか、理亜、
(この新入生、昔の私みたいなやる気のある娘みたい。そう考えると、私、なんか懐かしく感じてしまう・・・)
とつい思ってしまう。その少女は昔の自分、スクールアイドルを始めたばかりの理亜、ラブライブ!優勝という夢、(理亜の姉の)聖良、今、理亜と一緒に入部募集のビラを配っている(理亜と聖良の幼馴染の)あつことの夢、それを一生懸命追いかけていた、昨年の春のときの自分、そんな自分と重ね合したのだろうか、つい、理亜は微笑むような顔をしていた。
だが、そんな状況も次のその少女の言葉によって一変した。その少女、花樹は理亜に対しこう言ってしまった・・・。
「花樹、Saint Snowとして活躍した理亜さんと一緒にスクールアイドルをしたいです!!だって・・・、
理亜さん、ばかす・・・」
(OP)
第2話 「KAZYU said 「BAKASU・・・」前編
「理亜さん、ばかす・・・」
この瞬間、これまで微笑むような表情をしていた理亜であったが、一転、怒りの表情になるとともに花樹に対し怒鳴るようにこう言い放った。
「ばかにしないで!!」
このときの理亜の心のなかでは怒りで満ちあふれていた。
(私と初対面なのに、あの娘、「バカ」って言うなんて、信じられない!!この花樹って娘、私のころ、「バカ」にしているわけ!!あまりにも失礼!!)
そう、理亜は理亜にとって、この場が初対面であるその娘、花樹、から「バカ」と言われたことに腹を立てていたのだ。たしかに初対面の相手に対し「バカ」というまるでその人をバカにしているような言葉で言うのは失礼に当たってしまう。なので、理亜がそう腹を立てるのは仕方がないことだった。
だが、そんな理亜の言葉に対し花樹はなにか言いたそうになる。
「理亜さん、別に理亜さんのこと、バカにしているわけじゃない・・・のです・・・。オ・・・、花樹、理亜さんのこと、ばかす・・・」
だが、この花樹の言葉に理亜、さらに怒る!!
「あんたね、私のこと、また「バカ」にしているわけ!!失礼すぎるだろ!!私のこと、「バカ」にしないで!!」
それでも花樹は理亜に対し弁解する。
「理亜さん、話を聞いて・・・ください!!オ・・・、花樹、理亜さんのことを別に「バカ」にしていない・・・いません!!理亜さんのこと、オ・・・、花樹、かなりリスペクトしています!!だから、理亜さんのこと、花樹、ばかす・・・」
だが、その花樹の言葉についに理亜の堪忍袋の緒が切れた!!理亜、花樹に対しこう言い放った!!
「あなた、どこまで私のことを「バカ」にするわけ!!失礼にもほどがある!!私のことをリスペクトしているわりには何度も私に対して「バカ」にするわけ!!あなたね、あなたの言動、私のこと、リスペクトしている、って言わないの!!私のこと、「バカ」、している、そんな言動!!」
そんな理亜の怒りに満ちた言葉に、花樹、
「理亜さん、それは誤解です!!別に、理亜さんのこと、「バカ」にしているわけでもありません!!本当に、オ・・・、花樹、理亜さんのこと、リスペクト・・・」
と理亜に対して弁解しようにも、理亜、
「あぁ、あなたの言い訳、もう聞きたくない!!不愉快!!あなた、どっかに行って!!」
と花樹をまるで追い払うかのように言うも、花樹、そんな理亜に対し、
「理亜さん、話を聞いてください!!オ・・・、花樹、別に理亜さんのことを・・・」
といくら弁解しようにも、理亜、取り入ってもらえず。花樹、それでも理亜に食い下がる。
ところが、そんな理亜と花樹のやり取りをみてか、理亜と花樹の周りには人だまりができていた・・・、こんなことを言いながら・・・。
「ねぇ、あれって、スクールアイドル部の理亜さんだよね・・・」
「でも、理亜さん、たしか・・・、あつこさんと一緒にスクールアイドル部の部員を集めているよね・・・」
「でも、あの理亜さんと新入生(花樹)のやり取りを見ていると、なんか、ケンカ、していない・・・」
「でも、それって仕方がないよ・・・。理亜さん、新しいグループを作ったのに(理亜さんの暴走による)きつい練習のせいで、グループ、空中分解したのよね・・・」
「まぁ、あの(理亜と花樹の)やり取りもその延長戦じゃないの・・・」
そう、理亜にはある罪があった。それは、聖良とのSaint Snowを終わりにしたあと、理亜はあつこを含めた有志数名で新しいスクールアイドルユニットを結成したのだが、理亜のなかにある、「(自分のせいで)Saint Snowを終わりにした。姉聖良に対し(聖良との夢であったラブライブ!優勝という夢を叶えることができず)申し訳ないことした」、そんな深淵なる闇のせいで理亜は暴走、失った(と思った)Saint Snowの輝きを取り戻すべく限界を超えたきつい練習をユニットメンバーに対して課してしまった、それによりそのユニットは空中分解をしてしまったのだ。まぁ、のちにあつこはマネージャーとして理亜のもとに戻ってきたが、そのせいで理亜のいるスクールアイドル部に入部しようとする生徒が皆無になってしまったのだ。(詳しくはこの物語の序章である「SNOW CRYSTAL 序章」をお読みください)もちろん、それは新入生の耳にも入っていたらしく、この入学式の場でもまわりからさけられていただけでなく、理亜と花樹のやり取りもその暴走の延長戦としかみられていなかったのである。
と、ここで、理亜と同じくスクールアイドル部部員募集のビラを配っていたあつこも、
(あれっ、理亜さんのまわりに人だまりができています。一体どうしたのでしょうか)
と、その人だまりに気づいたらしく、その人だまりのところいいくと、そこで、あつこ、
(って、理亜さん、また揉め事を起こしているのですか!?)
と理亜とその目の前にいる少女(花樹)が言い争いになっていると思ったのか、理亜に対し、
「理亜さん、なにかあったのですか?」
と理亜のもとに駆け寄ると、理亜、あつこに対しこう言ってしまう。
「あつこ、私、あの娘に「バカ」にされた!!悔しい!!許せない!!」
だが、花樹の方もあつこの方を向いてはこう弁解した。
「オ・・・、花樹、別に理亜さんのことを「バカ」にしていない・・・しているわけではないのです・・・」
それでも理亜は花樹に負けじとあつこに対しこうアピールしまくる。
「あつこ、この娘に何度も「バカ」と言われた!!もういや!!この娘、許せない!!」
しかし、あつこは意外と冷静だった。あつこ、2人の言い分を聞いてこう判断した。
(このままいっても2人の話は平行線のまま。だったら、ここは理亜さんを連れてこっから離れるほうが得策!!そうすれば2人とも冷静になれるはず!!)
そう、このままではらちが明かない、いや、お互いともに話は平行線のままになってしまう、ならば、2人とも冷静になるためにもこの場から自分たちが離れることが得策、とあつこはそう考えたのだ。
そんなわけでして、あつこ、理亜に対しこう言った。
「理亜さん、このままだとせっかくの新入生の晴れの舞台なのに水をさしかねません。それに、スクールアイドル部にとってみてもこのままだと傷がつきかねません。なので、理亜さん、この場から退散しましょう!!」
だが、理亜はあつこに対し、
「でも、それだと私があの娘(花樹)から逃げるみたいに見えてしまうのでは・・・」
となにか言いたそうになるも、あつこ、そんな理亜に対し、
「理亜さん、新入生のみなさんに対し失礼になるでしょ」
ときつく言うと、理亜、
「でも・・・」
と言おうとするも、あつこ、そんな理亜に対し、
「理亜さん、このままだと新入生から・・・」
と理亜のまわりの様子をみなさいとばかりにこう言ってしまう。これには、理亜、恐る恐るまわりを見渡すと、自分たちのまわりには理亜と花樹のやり取りを見に集まってきた新入生でいっぱいだった。これには、理亜、
「う・・・、私の知らない人がいっぱい・・・」
と身を縮めてしまう。理亜はかなりの人見知りである。なので、自分んお知らない人でいっぱいになると理亜はその場から逃げ出そうとする。で、それが今の状況、なのである。
そんなわけでして、理亜、あつこに対し、
「あつこ、すまないけど、この場から離れる!!ごめん!!」
と言ってその場から一目散に逃げてしまった・・・。これには、あつこ、
「もう、理亜さんたら・・・」
と言うと花樹に対し、
「ごめんね、理亜さん、かなりの人見知りだからここから一目散に逃げてしまったけど、理亜さんの言葉、あまり気にしないでね。それでは、失礼します」
と言って一礼すると逃げてしまった理亜のあとを追った。
そして、花樹はその場で1人ぽつんと残ってしまった。だが、花樹はそんな逃げていく理亜を見てこう思ってしまう。
(オ・・・、花樹、別に、理亜さんのこと、「バカ」にしているわけじゃない・・・、ではないのに・・・。花樹、理亜さんのこと、褒め称えようとしていたのに・・・)