ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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ラブライブ!SNOW CRYSTAL 第5話(1)

「私、理亜。花樹とマネージャーのあつこと一緒に改めてスクールアイドルとしてスタートした矢先、「ルビィたちAqoursを打ち倒した」というRedSunが突然来襲してきた。だが、あつこがいうにはRedSunの3人はスクールアイドル初心者だと言う。だけど、RedSunのリーダーである木松桜花(きまつ はな)は私たちに挑戦状をたたきつけてきた。その日の夜、私はルビィたちに連絡、そこでルビィたちAqoursが学校のスポンサーである木松悪斗から嫌がらせを受けていることを聞く。私、それを聞いてルビィたちのかたきをとることを決めた。一方、花樹もAqoursのかたきをとりたかったらしく、私と花樹は燃えて連数に励んだ。そして、1週間後、私たちとRedSunの対決の日、案の定、RedSunの3人は初心者じみたパフォーマンスをしてしまった。それに対し、私たちは完璧なパフォーマンスをみせた結果、RedSunに圧勝した。喜ぶ私たち。しかし、あつこだけは私たちのことを危惧していた・・・。

 

ピピピピ

朝5時、部屋に鳴り響く目覚ましの音。その音を聞いてある少女が起きた。

「うぅ、姉さま・・・」

と寝ぼけた状態で背伸びをするとその少女は練習着に着替えた。その少女の名は鹿角理亜。理亜は日課である早朝トレーニングをするために玄関へと向かう。その途中、

「あっ、理亜、今から早朝トレーニングですか?」

とある女性に声をかけられた。その声に、理亜、元気よく答える。

「あっ、姉さま、おはようございます。姉さまの言う通り、今から日課の早朝トレーニングにいくつもりです」

そう、理亜に声をかけてきたのは、理亜の姉、聖良、だった。前回伝えた通り、聖良は聖女の系列校である大学へと進学していた。その大学は聖女の隣にあるため、聖良は今も妹の理亜がいる実家から大学へと通っていた。そう、理亜と聖良は今でも一緒に暮らしていたのである。一方、理亜の盟友であるルビィの姉、ダイヤ、は東京の大学へと進学したため、今年の春からはルビィ・ダイヤ姉妹の実家がある沼津を出て東京で1人暮らしを始めた。理亜とルビィ、姉妹、という共通項があるのだが、理亜は今でも聖良と一緒に暮らしている、一方、ルビィはダイヤと離れて暮らしている、そんな違いがあったりする。でも、その違いによって、理亜とルビィ、2人の心境にはある変化が生まれていたかもしれない。まず、ルビィにおいては東京から沼津まで普通電車で2時間半で行けるとはいえ、東京と沼津、かなり?離れてて(ルビィ談)生活しているため、ルビィ、おいそれとダイヤを頼ることができない。そのため、ルビィはダイヤが東京に行ってからは出来る限り自分でなんとかしようと頑張っていた。まぁ、あのイタリア旅行でAqoursという輝き、宝物を通じてずっと姉のダイヤとつながっていることに気づいたのも一因なのですがね・・・。では、理亜はどうなのか。理亜もあのラブライブ!延長戦で姉の聖良とSaint Snowという輝き、宝物を通じてずっとつながっている(もちろん、あつこともね!!)、そのことに気づいたが、ルビィと違い、今も一緒に暮らしている、そんなこともあり、心の奥底では、理亜、

(姉さまが聖女を卒業して大学に進学したけど、今も姉さまと一緒に暮らしている。それを考えると、私、(なにかあればすぐに姉に頼ることができるから、)なんか安心できる・・・)

と、なにかあればすぐにでも姉さま(聖良)に頼ることができる、そんな安心感、いや、姉の聖良に依存している、そんなものが見え隠れしていた、理亜自身気づいていないのだが・・・。ただ、そんな安心感からなのか、今の理亜は心安らぐものがあった。

 そんな理亜に、聖良、

「あまり無理をしないでくださいね」

と言うと、理亜、

「姉さま、わかっている!!心配しないで!!」

と元気よく返事するとともに、

「それでは行ってきます」

と言っては早朝トレーニングをしに外へと出かけていった。

 そんな理亜を見つつ、聖良、あることをつぶやく。

「私がここ(実家)にいるせいか、理亜、心のどこかで、昔みたいに、私に依存したい、そう思っていませんでしょうか。私の取り越し苦労ならいいのですが・・・」

そう、このとき、今も自分が妹の理亜と一緒に暮らしていることで昔みたいに理亜が自分に依存してしまうのではないか、そんな一抹の不安を感じていた・・・。

 

そして・・・。

 

ピピピピ

部屋に鳴り響く目覚ましの音。その音を聞いてある少女が起きた。そして・・・、

ガシッ

という目覚ましを止める音とともに、

「う~ん、よく寝た~」

と背伸びをしながらその少女は声をあげた。その少女の名は猪波花樹。聖女の1年生である。その花樹は聖女の制服を取り出すと、

「うぅ、今日も最高の1日が始まる!!」

と大声を上げるとともに、

(今日もスクールアイドルの練習が始まる・・・のです・・・。あの日・・・、RedSunに勝ってAqoursのかたきをとった日、その日から、オ・・・、花樹は「ここから、オ・・・、花樹のビクトリーロードが始まる」、そう思って今日まで頑張った・・・、頑張ったのです。あの日の勢いのままに、ラブライブ!地方予選、最終予選、そして、決勝まで勝ち進み、おばあちゃんと約束した、ラブライブ!優勝、それを叶えてみせる・・・、ます・・・。さぁ、みんなに勝つためにも今日も頑張る・・・のです・・・)

と、自分の思いを自分の心のなかで爆発させていた・・・。あの日、1か月前・・・、GWのときに行われたRedSunとの戦い、そこで初心者じみたパフォーマンスをみせたRedSunに対し完璧なパフォーマンスをみせる理亜・花樹組。もちろん、理亜・花樹組の圧勝であった。花樹はそこで勝利の美酒を覚えたのか、「みんなに勝つこと」を目指して、いや、「絶対に勝つ」という思いとともに、この一か月、理亜と共にきつい練習に耐えていた。いや、自ら進んで行っていた。花樹にとって今は「勝つこと」にのみ執着しようとしていた。なぜなら、自分とおばあちゃんとの夢、「ラブライブ!優勝」を叶えるため、これから始まるラブライブ!夏季大会、地方予選、最終予選、そして、決勝、すべてにおいて勝ち続けないといけない、そう花樹が思っているから。「ラブライブ!で優勝する」、それは絶対に叶えないといけない夢だと花樹は認識していた。その夢のためにきつい練習、と思えば花樹にはその練習は苦でもなかった。いや、花樹の隣にはあのAqoursと互角の勝負を(ラブライブ!決勝戦で)したSaint Snowの理亜がいる、その理亜がいれば百人力、そう花樹は思っていた。

 だが、このときの花樹は知らなかった・・・。花樹のいる北海道にはあの双子がいることを・・・、そして・・・、聖女のなかでもある問題が起きていることも・・・。

 

(OP 1番のみ)

 

第5話 Twins said 「We enjoy School Idol!!」

 

「それでは言ってきま~す!!」

花樹は大声でそう言うと限界から外に出ようとしていた・・・、そのときだった。突然、

「花樹、ちょっと待ちなさい!!」

というドスがきいた声が聞こえてきた。これには、花樹、

「お・・・、お父様・・・」

と、先ほどの元気いっぱいの大声から一転、しおらしい声をあげてしまう。どうやら、花樹、自分の父親に呼び止められたみたいだ。

 と、ここで、花樹の父親、しおらしい声とともにまるでか弱い少女みたいにしおらしくなった花樹に対しある言葉を投げかける。

「花樹、お前、いくら言ったらわかるんだ!!少しは女らしくしろ!!大声を出すなんてはしたない!!お前は女なのだ!!女らしく慎ましくしていろ!!」

まるで前近代的な考え方・・・。今は男女平等の世の中であるが花樹の父親からすれば前近代的・・・、男尊女卑の考えが当たり前にみえるのかもしれない、それを花樹の父親は自分の娘である花樹に押し付けているのだ。ただ、花樹がいくら反抗しても花樹の家庭は父親の影響力が強いせいか、家長である父が一番上、ということもあり、父親から言い返されるのがオチ・・・、ということで、花樹、

「はい・・・、お父様・・・」

と従順そうな対応をとってしまった・・・。

 だが、そんな花樹に対し、花樹の父親、自分の考えを押し付ける。

「言っておくが、女というのはいつも男の言うことを聞くものだ!!私はお前をその通りに育てようとしたがおばあさまのせいでそれができなかった。だから、今、私はお前を私の考えに即した娘に育てようとしているのだ。花樹、いいか、私の言う通り、一人前の女として男の言うことを・・・、いや、まずは私の言うことを必ずしろ!!そして、どんなときでも男のために動くのだ!!女は男の所有物なのだ!!本当なら女に学というものを与えなくてもいいのだが、今は女も高校を出ないと世間体に悪から今はお前を高校に通わせているのだ!!いいか、花樹、お前は名門ある女子高に通っている、そこで女としての(男に尽くすための)価値を磨け!!そして、男を立派に立てるような女になれ!!」

これには、花樹、

「はい・・・、わかりました・・・」

と小さな声で返事をした。

 そして、花樹は自分の父親に対し、

「それでは、お父様・・・、オ・・・、花樹は学校に行ってきます・・・」

というしおらしい声とともに外へと出ていった・・・。そんな花樹に対し花樹の父親は、

「いいか、私の言うことを必ず聞くんだぞ!!」

と花樹を叱りつけるような声をあげていた・・・。

 

 その後、花樹の父親は玄関の外に出ると、

「うぅ、函館の風は冷たいの・・・」

という声とともにポストに入っている新聞を取り出した。花樹の家は戦前から受け継がれた函館らしい建物であった。それは・・・、上下和洋折衷住宅であった。上下和洋折衷住宅とは、1階が和風、2階が洋風、といった外観が特徴的な建築物・・・、住宅であり、昔から開かれた港町であった函館らしい建物であった。そんな住宅が函館市内に数多く残っており、花樹の家も花樹の父親が大金をはたいてつい最近買い取った住宅であった。

 そんな花樹の家の前でいつもの通り新聞を開く花樹の父親。その開いた新聞を読んで、花樹の父親、にやりと笑うとこんなことを言いだしてきた。

「ほう、ついにあの店も潰れたのか・・・」

その花樹の父親が読んでいた新聞の記事、それは・・・、

「函館で一番有名だった呉服店がついに閉店」

だった。

 そして、新聞を閉じるなり、花樹の父親、こんなことを言った。

「ふう、あの呉服店を潰すために(私が経営するディスカウントショップで)着物の大バーゲンセールをしたのが効いたようだな・・・。これもあの方がこの新天地である函館に降臨するための下準備の1つでしかない。だが、その下準備が終わればあの方がつい来る。そうすれば函館はあの方の天下だ!!そのためにも頑張らないとな・・・、あの方、木松悪斗様のためにもな・・・」

 

「おはようございます!!」

花樹は近くにいるクラスメイトに挨拶をするとそのクラスメイトが、

「おはよう、花樹」

と返事をすると続けて、

「花樹、スクールアイドルの練習はどう?」

と花樹に尋ねてきた。

 すると、花樹、すぐに、

「うん、今、すごく充実している!!」

と元気よく答えるとともに、

「もう、このままいけばラブライブ!優勝も目じゃないよ!!」

と断言すらしていた・・・。

 そんなときだった。突然泣き出す生徒が現れた。その生徒は泣きながらこんなことを言いだしてきた。

「うぇ~ん、私の両親が経営していた呉服店が潰れたよ~」

この生徒の発言により周りは騒然とする。

「えっ、彼女の両親が経営していた呉服店って函館でも名店だったはずだよね!!」

「たしか、アフターフォローもしっかりしていて地元から愛されていた店だよね・・・。私、七五三のときにお世話になったよ・・・」

 だが、その生徒は突然ショッキングなことを言いだしてきた。

「私、この聖女を辞めないといけないかも・・・。だって、私の家の呉服店が潰れたから。もう、この聖女の学費を払えなくなるもん・・・。なんで、なんで、私が不幸にならないといけないの・・・。それもこれもあのディスカウントショップのせい!!私の家の呉服店を潰すためにわざわざ原価割れするほどのセールを実施したんだよ~」

 この生徒の話に対し、花樹、はっとする。

(えっ、彼女の家の呉服店が潰れたのはディスカウントショップのせい・・・。まさか、オ・・・、花樹のお父様が・・・)

そう、花樹の父親はディスカウントショップの社長である、そして、その生徒(呉服店の娘)の両親が経営していた呉服店が潰れたのはディスカウントショップの異常なまでのセールのせい、この2つのことについて、花樹、

(ま、まさかね・・・。2つはたんなる偶然だよね・・・)

とこの2つがたんなる偶然であることを自分に言い聞かせようとしていた・・・。

 

 そして、お昼になった。花樹は教室で弁当を広げようとしていた、そのとき、

「花樹、いる?」

という花樹を呼ぶ声がした。すると、その声に気づいたのか、花樹とは別の生徒がすぐに、

「花樹、理恵先輩が呼んでいるよ!!」

と花樹に対し言うと、花樹、

「あっ、理亜さん!!」

と花樹を呼びに来た少女こと理亜に気付き理亜の名を言うと、理亜、そんな花樹に対し、

「花樹、今から今度のラブライブ!地方予選に向けた話し合い、する。ちょっと来て!!」

と言うと、花樹、

「はい、わかりました!!」

という元気な声とともに広げていた弁当をしまっては理亜のもとへと行っては理亜と一緒に廊下を歩いていく。そして、その途中で2人のマネージャーであるあつこと合流しては3人一緒にスクールアイドル部の部室へと向かっていった。

 だが、花樹、理亜、あつこが自分たちの部室へと向かおうとしたとき、この3人を遠くから見ていた生徒がいた。その生徒はこの3人を遠くから見るなり、憎しみを込めてこう言った。

「うぅ、猪鹿蝶めぇ~。私たちの苦労も知らずにのほほんと歩くなんて・・・、なんていう身分なんだ!!」

猪鹿蝶、この名前はここ聖女において、花樹、理亜、あつこ、スクールアイドル部の3人のことを指す別称だった。それは3人の名前の頭文字、

 

猪波 花樹

鹿角 理亜

蝶野 あつこ

 

から取られたものだった・・・が、ここ聖女では別の意味で隠語として使われていた・・・。

 と、ここで、理亜たち3人を遠くから見ていた生徒がこんなことを言いだしてきた。

「う~、あの3人のせいで(聖女の)部活のイメージが悪くなってしまった・・・。それに、そのせいで今年の新入部員の入りも悪くなった・・・。あれもこれも猪鹿蝶のせいだ・・・」

う~ん、聖女の部活のイメージ悪化と理亜たち3人の関係性は・・・ということはさておいて、事実、聖女の部活、今年の新入部員の入りは本当に悪かった。それは聖女の部活のイメージのせいだとその生徒は決めつけていた。いや、それいもこれも理亜たち3人のせい・・・とすら決めつけてた。

 そんな理亜たち3人を遠くから見ていたその生徒は理亜たち3人がその生徒の視界から消えるとすぐに小言でこう言ってしまった。

「猪鹿蝶・・・、特に・・・、鹿角理亜・・・、あいつこそこの元凶を作ってしまった主犯だ・・・。だって、あいつのせいで・・・、あいつのあの暴走のせいで・・・、聖女の部活のイメージが悪くなったんだ・・・」

 

 その後、理亜たち3人はスクールアイドル部の部室に一緒に入ろうとしていた、そのときだった。突然、3人の後ろから、

「あつこ・・・、ちょっと・・・」

とあつこを呼び止める声がした。これには、あつこ、

「は~い・・・」

とすぐに後ろを振り向くと、

「えっ、また・・・」

と、あつこ、唖然となった。なんと、そこには3年生の生徒が立っていた。

 その3年生の生徒は唖然となるあつこに対し、

「あつこ、お願い、フィギュアスケート部に入って!!」

とお願いをしてきた。どうやら、その3年生の生徒、聖女のフィギュアスケート部の部員のようだ。聖女は、函館、いや、北海道のなかで1番歴史のある女子高である。なので、函館のみならず北海道からいろんな人材が入学してくるのだ。そして、フィギュアスケートもその1つだった。聖女のフィギュアスケート部は北海道のなかでも指折りの実力を持っていた。

 そんなフィギュアスケート部の部員の話しを聞いて、あつこ、頭を抱える。

(うぅ、これで何度目かなぁ・・・。私、フィギュアスケートは半引退状態なのに・・・)

あつこ、実は、中3のころまでジュニアフィギュア選手として活躍していた。その実力は12歳のときにジュニアの全国大会で優勝するくらいのものだった。だが、そのときから周りから過剰ともとれるような期待を押し付けられていた。いや、周りからあつこの精神が崩壊するくらいの言葉攻め(例えば、「たんなる経験不足だ!!もっと練習しろ!!」「もっと根性をみせろ!!」など)にあっていた。そして、第二次性徴による体の変化(成長)によりこれまでのフィギュアでの感覚にズレがあつこのなかで生じていた。この2つのせいであつこは絶望といえるくらい苦しみ、結果、中3最後の大会で複雑骨折をするくらいの大ケガをし、周りからあつこ自身崩壊するような罵詈雑言を浴びたのである。また、そのときにできた足の大きな傷はのちにあつこにとってこのときのスティグマ(聖痕)として残ってしまった。(詳しくは「SNOW CRYSTAL 序章」をお読みください)しかし、フィギュアスケート部の部員はそんなあつこに対し何度もフィギュアスケート部の勧誘を続けていたのだ。これには、あつこ、頭を悩ませていた。

 そんなわけなのか、あつこ、このフィギュアスケート部の部員に対しハッキリとした態度でこう言ってやった。

「すみませんが、今、私、スクールアイドル部のマネージャーとして頑張っていますから、ご遠慮ください!!」

と、同時に自分の足を見ては、あつこ、ついこう思ってしまう。

(私、もうスティグマを発動させたくない!!私はこのスティグマがある限り、なにもできない!!フィギュアスケートも、スクールアイドルも!!もう嫌!!あのときみたいに・・・、中3最後の大会のときみたいに・・・、私自身崩壊するくらいのことが起こるなんて・・・、もう嫌!!)

あつこにとってこのスティグマは自分のなかにある深淵なる闇とつながっていた。もし、フィギュアスケートやスクールアイドルといった体を動かすことをすればきっとこのスティグマが発動してしまう、昔の大きな傷が開いてしまう、こうなってしまうとまた周りに迷惑をかけてしまう、いや、周りから罵詈雑言の言葉攻めにあってしまう、そして、今度こそ、あつこ自身、自殺するくらいの絶望に満ちたものになってしまう、あつこはそう思ってしまった。あつこにとって中3最後の大会での大ケガ、それによる周りからの罵詈雑言、それがあつこのなかにある深淵なる闇を作り出してしまったのと同時にそのときにできたあつこの足に残るスティグマはその闇を発動させるためのキーでもあった。なので、あつことしてはそのスティグマを発動させるくらいのスポーツなどはしたくなかったのだ・・・。

 だが、それでもフィギュアスケート部の部員は必死に食い下がる。

「過去のことは過去のこと!!あつこが競技に復帰しても誰も昔みたいに何も言わないから。ねぇ、お願い、あつこ、フィギュアスケート部に入って!!」

 しかし、それでもあつこの意思は固かった。

「もうやめて!!もうフィギュアなんてやらない!!私はフィギュアを辞めたんだ!!ほっといて!!」

この言葉のあと、あつこは部室のドアを締めて鍵をかけてしまった・・・。そんなあつこを見て、フィギュアスケート部の部員はこうつぶやいた・・・。

「あつこ・・・、自覚して・・・。あつこのあの傷は・・・、スティグマは・・・、もう完治しているんだよ・・・」

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