それはRedSunとの戦いを圧倒的な差で勝利した日の夜のことだった。
(あのRedSunに勝った!!これでルビィたちのかたきをとった!!)
と意気揚々の理亜、そのためか、いつものルビィへの電話のときも電話をかける前にも関わらず、
(もうこれでルビィたちは苦しまなくてすむ!!ルビィ、このことを聞いて喜ぶかな?)
と、ルビィが喜ぶその姿を想像してはニヤニヤと笑っていた。このときの理亜は静真でルビィたちAqoursを苦しめている木松悪斗の次女、桜花(はな)率いるRedSunに勝った、これでルビィたちは苦しまなくてすむ、それくらい、RedSunに勝ったことに誇りを感じていた。いや、このときばかりは、理亜、昔の理亜、絶対に勝ちにいった、勝つことこそ正義、そんな心情だったのかもしれない。
そして、理亜、ルビィに電話をするなり、開口一番、
「ルビィ、ついにやった!!ルビィたちを苦しめていたRedSunを打ち倒した!!もうこれでルビィたちは苦しまなくてすむ!!」
と意気揚々とルビィに話した。これには、ルビィ、
(へぇ~、理亜ちゃん、桜花ちゃんたちRedSunに勝ったんだ・・・)
と理亜の言葉を淡々と聞いていた。ルビィはこのとき、理亜・花樹組がRedSunと戦うことは知っていた。だが、それと同時に、
(でも、理亜ちゃん、なんか、昔の理亜ちゃんに戻った気がする。ルビィたちのためにRedSunに勝ったこと、それは嬉しいけど、それじゃ、理亜ちゃん、昔の理亜ちゃんに戻っちゃうよ!!)
と昔の理亜に戻ったことをすぐに悟ったのかのようにそう思うとすぐに、
(そんな理亜ちゃん、ルビィ、嫌だよ!!なら、ルビィがここで理亜ちゃんを戻してあげる!!)
と理亜のことを思ってか、きつい口調で理亜に対し、
「理亜ちゃん、めっ!!」
と理亜を叱りつける。これには、理亜、
(えっ、ルビィ、なんで怒っているわけ?)
と思ったのか、
「ルビィ・・・」
と唖然となってしまった。
そんな唖然となる理亜に対し、ルビィ、
「理亜ちゃん、ルビィね、ルビィたちを苦しめている桜花ちゃんたちRedSunを倒してくれて嬉しいよ!!」
と言うと、理亜、
「それならルビィも嬉しいはずじゃ・・・」
と答えると、ルビィ、力強い口調でこう理亜に諭した。
「でもね、ルビィ、そんな理亜ちゃんを見て少し不安に思うの。理亜ちゃんがルビィたちのかたきをとるためにRedSunを打ち倒したい、RedSunに勝ちたい、そんな思いっで戦っているなら、ルビィ、そんなの悲しいよ!!だって、理亜ちゃん、昔の理亜ちゃんに、1年前の理亜ちゃんに、「勝つこと」だけを考えている、そんな理亜ちゃんに戻っちゃった、そう思えるもん!!そんなの、ルビィ、いや・・・。ルビィね、今までの理亜ちゃんに、お姉ちゃんの聖良さんとあつこさんと一緒にスクールアイドルをめいいっぱい楽しんだ、ラブライブ!延長戦のときから今までの理亜ちゃんに、戻ってほしいの!!」
このルビィの言葉を聞いた瞬間、理亜、自分の心にあることを問いかける。
(えっ、私、昔の自分みたいに・・・、「勝つことがすべて」、そんな考えに染まった昔の私みたいに戻っていたわけ・・・。どうして・・・、どうして・・・)
すると、理亜、あることを思いだす。
(あっ、そういえば、私、ルビィたちからRedSunから苦しめられていることを聞いて、ルビィたちのかたきをとろうと思ってRedSunに絶対に勝とうとしていた・・・。そのせいで、私、昔の私みたいに・・・、「勝つこと」のみを考えて行動していた・・・)
そう、理亜はRedSunとの邂逅の日の夜、ルビィから今の静真でのルビィたちの現状を、RedSunに苦しめられていることを聞いた。そのため、理亜はそのルビィたちのかたきをとるためにRedSunに勝とうと思い、必死になってRedSunとの戦いに向けての練習を行っていた。そして、RedSunに勝った今、ルビィたちのかたきをとった、RedSunに打ち勝ったことに理亜は喜んでいたのだ。ルビィはそれを見て、理亜に対し、昔の理亜に、「勝つこと」のみを追求していた理亜に戻ったと思い、そこを指摘してきたのだ。
そして、理亜は猛省する。
(うぅ、そう考えると、私、とても悲しいことをしたと思えてくる・・・。今の私は、「スクールアイドルを楽しむこと」「スクールアイドルを好きになること」、というスクールアイドルとして大事なことを実践しようと頑張ってきた。でも、RedSunと出会ってから、私、昔の私に、「勝つこと」のみを追求する私に、戻ってしまった・・・。そんなの・・・、ルビィを悲しめることなんて・・・、もういや!!今までの私に戻る・・・)
その思いのもと、理亜、ルビィに対し、
「ルビィ、ごめん。私、間違っていた・・・。RedSunの話を聞いたとき、私、ルビィたちのかたきをとりたい、そう思って、RedSunに絶対勝とうと、勝つことだけを考えていた。でも、それ自体間違っていた・・・。スクールアイドルを楽しむこと、それこそ大事、って忘れていた・・・。本当に、ルビィ、ごめん・・・」
と泣きながら謝ってきた。これには、ルビィ、
「うん、理亜ちゃん、ルビィのほうこそごめんなさい。理亜ちゃんにRedSunの話をしちゃったから理亜ちゃんは変わったんだね。ルビィもそのことを理亜ちゃんに話さなければ理亜ちゃんは変わらなかったんだと思うんだ・・・」
と逆に理亜に謝ると、理亜、そんなルビィに対し、
「ううん、ルビィ、私、ルビィの言葉で気づいた・・・、私が間違っていたことを・・・。だから、言わせて、ルビィ、本当の私を思いださせてくれて、ありがとう」
とお礼を言うと、ルビィ、
「うん!!ルビィも、本当の理亜ちゃんに戻って、嬉しい!!」
と喜んでいた。
このルビィとの電話のあと、理亜はあることを考える。
(私がRedSunに勝ちたい、そう思ってRedSun戦に向けて頑張っていた・・・。なら、花樹も私と同様にRedSunに勝ちたい、「勝つこと」を追求したい、そう思っていたのかもしれない。桜花たちRedSunとの会話のなかで、花樹、Aqoursのことをバカにされて怒っていたから・・・)
そう、理亜は花樹のことを考えていた。桜花たちRedSunと理亜、花樹との会話のなかでAqoursのことを桜花にバカにされて花樹は相当怒っていた。花樹にとってAqoursは憧れの存在では、と薄々感じていた理亜にとってそんなAqoursをバカにされて花樹自身相当怒っていた、そのため、花樹も理亜と同様にRedSunに勝ちたい、「勝つこと」のみを追求したい、そう思ったに違いない、そう理亜は考えたのである。
そして、理亜は花樹に対しある心配とある決意をする。
(そして、もし、RedSun戦での勝利によってまだスクールアイドル初心者である花樹が勝利に対する欲求が強くなれば、きっと、昔の私みたいに、「勝つことこそすべて」、そう考えていた昔の私みたいに思うようになってしまう。それだけは阻止しないと・・・)
花樹はまだスクールアイドル初心者である。そんな花樹が今回の勝利により、「勝つこと」に重点を置くようになれば、きっと、昔の自分みたいに、「勝つこと」だけを追い求めてしまい自滅した自分みたいになってしまう、そう理亜は危惧したのだ。なので、スクールアイドルの先輩である理亜がそうならないように花樹を導かないといけない、そう理亜は決心したのだ。
ただ、それが理亜の苦悩の始まりになるとはこのときの理亜は知る由もなかった・・・。
そんな理亜の話を聞いて、こころ、あることを考える。
(ふ~ん、理亜さん、この新人さん(花樹)のことで苦しんでいるのですね。なら、ここは、この私たちがこの新人さんにお灸をすえようじゃありませんか)
こころ、なにか悪だくみを考えているようだ。実は、こころあ、別名、いたずらシスターズ、とも言われていた。よく自分たちのまわりに対しいたずらを仕掛けることがあるのだ、こころあが・・・。むろん、オメガマックスにこころあ2人が加入したのもいたずらがきっかけだった。そんな意味でもこころあの2人は危険人物だった。
そして、こころ、ここあに対し、
「ここあ、ちょっとこっちに来てください」
と言ってはここあを呼び寄せるとここあの耳元で、
ごにょごにょ
と周りに聞こえないような小声で言うと、ここあ、
「うん、わかった!!」
と了解の様子。この2人の様子に、あつこ、
「う~ん、なんか、こころあの2人、悪いことを考えているような気がします・・・」
とこころあに対し不信感をもつ。
ただ、そんなことなんて気にせず、ここあ、理亜に対してこう宣言してしまった。
「理亜たん、ここあ、決めたよ!!理亜たんのユニットに絶対勝つ!!ここあたちの真の実力、理亜たんとそこの花樹っちにみせてあげる!!めいいぱいスクールアイドルを楽しんで、めいいっぱいスクールアイドルを好きになって、本当のスクールアイドルの姿、みせつけてあげる!!」
これには、花樹、売り言葉に買い言葉なのか・・・、
「ふんっ!!そんなの関係ないね・・・です・・・。花樹たちは絶対に勝つ・・・のです・・・。あとで泣きべそをかくな・・・です・・・」
とここあに対し言い返してしまう。ただ、これには、理亜、
「花樹・・・」
と少し不安そうになるも花樹はやる気だった・・・、いや、自信満々であった。むろん、この花樹の対応に対し、こころ、
ニヤリ
と不敵な笑いを浮かべていた。
こんなこころあと花樹のやり取りを近くでみていたあつこ、ついこう思ってしまった。
(なんか、この最終予選、荒れに荒れてしまいそうです・・・)
どうやら、あつこ、これから起こることに一抹の不安を感じたようだ・・・。
そして、ついに最終予選本番を迎えた。理亜と花樹はマネージャーであるあつこをつれてステージ袖にてほかのスクールアイドルのステージを見ていた。
そのなかで、理亜は花樹に対しあることを言った。
「花樹、ほかのスクールアイドルのスクールアイドル、よく見て。最終予選に出ているスクールアイドルは実力者ばかり。勉強になる。いいところは学びなさい」
この発言、1年前の理亜だったら言えない言葉だったのかもしれない。1年前の理亜は「勝つこと」だけを考えていた。いや、たとえそうでなくてもスクールアイドルに真面目に取り組んでいないグループがいればそのグループに対し厳しいことを言っていただろう。だが、今の理亜は1年前とは違った。Saint Snowを率いた姉聖良はもういない、3年生のあつこがいるがただのマネージャーである、多分・・・。なので、スクールアイドルを初めて数か月の花樹を引っ張っていくのは自分しかいない、そんな自覚が理亜のなかにあるのかもしれない。また、今の理亜にはスクールアイドルにとって1番大事なこと、「スクールアイドルを楽しむこと」「スクールアイドルを好きになること」、それを自覚している。なので、今の理亜は最終予選に出ているスクールアイドルたちの実力をみとめており、そのスクールアイドルたちのいいところを自分たちにも活かそうとしているのかもしれない。
だが、1年前の理亜と似ている花樹にとってみれば今の理亜の発言は・・・、
(今は「勝つこと」が先決!!いや、理亜さん以上に強いスクールアイドルはAqoursしかいない!!)
と聞く耳持たずであった。
ただ、それでもユニットリーダーである理亜の言うことなので、花樹、
(まぁ、盗めるものは盗めばいいんだし、一応見とく・・・見ます・・・)
と仕方なくほかのスクールアイドルのステージを見ることに・・・、なのだが、いろいろと見ていくうちに、花樹、ある結論に達する。
(どのスクールアイドルも理亜さんやAqoursよりうまくない!!盗めるところがない!!)
なんと、ほかのスクールアイドルのステージも(自分の評価で)うまくない、「いいところは学びなさい」と理亜に言われるもそんなところはない、と評してしまった。なぜなら、
(どれも、オ・・・、花樹がみたSaint Snow VS Aqoursのラブライブ!延長戦と比べてレベルが低すぎる!!ここにいるスクールアイドルのステージを見るより延長戦をずっと見たほうがいい!!)
なんと、花樹が過去に見たことがあるラブライブ!延長戦のSaint SnowとAqoursのステージと比べて最終予選に出ているスクールアイドルのレベルが低すぎる、というのだ。まぁ、たしかに、ラブライブ!延長戦での2組のステージ、パフォーマンスはスクールアイドル史上最高レベルのものであるのでここにいる最終予選に出ているスクールアイドルたちのステージやパフォーマンスはそれと比べて低いと言われても仕方がないのだが、それでも、スクールアイドルを初めて数か月の花樹と比べたら最終予選に出ているスクールアイドルたちのレベルはどのグループも非常に高い、と思うのですが・・・。それでも、今の花樹の認識からすれば、ラブライブ!延長戦での2組のレベルより低いスクールアイドルのステージを見るよりラブライブ!延長戦のステージを見る方がいい、そう花樹は判断したのかもしれない。ある意味、今の花樹は自分の考えに固執しすぎているのかもしれなかった・・・。