「オ・・・、花樹は勝たないといけないんだ・・・。じゃないとおばあちゃんとのつながりが・・・」
そうぶつぶつ言う花樹。朝、自分の父親から言われたことを気にしてか、朝からずっとぶつぶつとその言葉だけ発していた。
そんな花樹に対し、理亜、心配そうに、
「花樹、しっかりして!!」
と言うと、花樹、はっとしたのか、
「あっ、理亜さん・・・」
と理亜の方を向いてこう言うと、理亜、
「花樹、大丈夫?」
と心配そうに花樹に尋ねる。どうやら、理亜、ぶつぶつ言うだけの花樹のことを心配しているようだ。だって・・・、理亜、このとき、こう思っていたから・・・。
(花樹、昨日、こころあに負けたこと、かなりショックだったかもしれない・・・。花樹はこれまで「勝つこと」に執着していた。いや、「勝つ」気まんまんだった。だけど、こころあに負けたことでその反動が花樹にきたのかもしれない・・・)
そう、花樹はこれまで「勝つこと」に執着していた、その反動が昨日の敗北で出たのではないか、理亜はぶつぶつ言う花樹を見てそう思ってしまったのである。人間にはあるものに対して執着することがよくある。花樹の場合、それが「勝つこと」だったのだが、強く執着するほどそれに対しての思いも強くなる、それがそのものに対する行動の原動力となり、その思いが強くなるほどその原動力はさらに強くなるだ。だが、そのものに対してマイナスのことが起きるとその思いに対する反動が起きてしまう。それもそれに対する執着心が強いほどその反動も強くなってしまう。それにより人はそれに対する執着心を失くしてしまうことが多い。まぁ、その反動に耐えれるほどの精神の持ち主・・・というか、必ずリベンジする、そんな考えを強く持っている人にはあてはまらないのだが、花樹の場合、理亜からみれば、「勝つこと」に対しかなり強い執着心をみせていた、が、昨日のこころあによる敗北によりこれまで持っていた「勝利」へのかなり強い執着心の反動が、いや、かなり強い波動が出てしまった、「負けた」ことによるかなり強いショックを受けた・・・、と理亜は花樹をみてそう判断したのかもしれない。
だが、そんあ理亜の心配をよそに、花樹、
「あっ、理亜さん、大丈夫ですから・・・。花樹、ピンピンしていますよ!!」
と元気があるようなアピールをしてくる。
そんな花樹に対し、理亜、
「花樹、あまり、無理、しないで・・・」
と優しく?声をかけると、花樹、
「は~い」
とカラ元気な返事をしてしまう。
ところが、そんなやり取りのあと、花樹、
「花樹は勝たないといけないんだ・・・、じゃないと、おばあちゃんとの・・・」
という小言をぶつぶつと言うだけの存在に戻ってしまった。
そんな花樹のことを思ってか、ついに彼女が助け舟をだす。
(花樹さん、理亜さんが心配そうに声をかけてもなにも変わらずぶつぶつと言うだけ。このままだと、花樹さん、立ち直れないどころか、ラブライブ!決勝にも支障がでるかもしれません。ここは私がなとかしないとです!!)
そう思ったのか、花樹に対し、突然、
バシッ
と、花樹の肩を叩くとともに、
「花樹さん、昨日はこころあに負けましたが、私たちはラブライブ!決勝に進出しました。その負けた悔しさをバネに、ラブライブ!決勝で、今度こそ、こころあに勝ちましょう!!」
と元気づけした。これには、花樹、
「あつこさん・・・」
と花樹の肩を叩いては元気づけした彼女、こと、あつこ、を見てはそう返事する。そう、花樹を元気づけようと花樹の肩を叩いたのはあつこだった。あつこ、このままだと花樹が立ち直れない、いや、このままの状態だとせっかく進出できたラブライブ!決勝にも支障が出てしまう、と思ってか、花樹に対し元気づけようとしていたのだ。まぁ、あつこにしてみれば、
(まぁ、深く落ち込んでいるメンバーに対して元気づけるのもマネージャーの務めだからね!!)
と、マネージャーとしての仕事を全うしている、そんな感じがしていた。
そんなあつこからの元気づけ、というか、励ましにより、花樹、
(あっ、たしかにあつこさんの言う通りかも・・・。ラブライブ!はまだ予選・・・。予選でこころあに負けたとはいえ、まだ決勝が残っている!!まだ、おばあちゃんとの夢、ラブライブ!優勝、それが潰えたわけではない!!それに、決勝であのこころあに勝てばいんだ!!そうすればおばあちゃんとのキズナも失わなくても済むし、おばあちゃんとの夢も叶う!!一石二鳥じゃない!!ここでくじけたらダメだ!!オ・・・、花樹、ラブライブ!決勝でこころあに勝って、おばあちゃんとの夢、ラブライブ!決勝を叶えてみせる!!)
と自分を鼓舞するようが如く、こころあにリベンジしてやる、そして、おばあちゃんとの夢であるラブライブ!優勝を叶えてやる、とやる気を取り戻しては立ち直った。
そして、花樹は大きな声でこう宣言した。
「たしかにあつこさんの言う通りです。オ・・・、花樹、あのこころあに勝ちたい、リベンジしたい、そう思います。花樹、そのためにも、いっぱい、いっぱい、練習して・・・、こころあに勝てる、そんな実力を手に入れます!!」
これには、あつこ、
「花樹さん、その調子です!!私もそんな花樹さんのための練習メニュー、考案してみせます!!「目指せ、こころあ打倒」、です!!」
と言うと、花樹、そんなあつこの手をとっては、
「あつこさん、ぜひお願いします!!」
とあつこにお願いをした。
だが、このとき、花樹はあることを考えていた。それは・・・、
(それに、よく考えたら、あのこころあに勝てなかったのは、オ・・・、花樹の「勝つこと」にたいする思いが足りなかった、に違いありません!!なら、花樹は、これから、鬼になる!!もっともっと練習して、もっともっと練習して、こころあに勝ってやる!!いや、それ以上に、「勝つこと」に対して貪欲になってやる!!それすれば、たとえきつい練習があったとしても耐えることができる!!そのためにもまずは練習あるのみです!!)
と、いつもの花樹に・・・、いや、今まで以上に「勝利」に対してより貪欲になってしまった・・・、花樹は・・・。
とはいえ、花樹は元気を取り戻した・・・ということで、理亜、そんな花樹の姿をみては、
「いつもの花樹に戻った・・・。よかった・・・」
と一言言うとあつこに対し、
「あつこ、ありがとう。ぶっきらぼうな私だと、花樹、元気づけることができなかった・・・」
とお礼を言うと、あつこ、少し笑いながらも、
「理亜さん、あんまり落ち込まないでください。元気のないメンバーがいたら元気づけるのもマネージャーである私の役目ですから・・・」
と理亜のことを気に掛ける。これには、理亜、
「あつこ、いつも私も励ましてくれてありがとう」
とまたまたお礼を言った。
ただ、理亜、それに続けて、あつこに対し花樹に聞こえないような小声でこう言った。
「あと、あつこ、このあと、校舎裏に来て。花樹について、相談、ある・・・」
これには、あつこ、こちらも花樹には聞こえないような小声でこう返事した。
「理亜さん、わかりました。花樹さんのことですね・・・)
そんなわけで、この日は最終予選終わってすぐ、ということで、これでお開き・・・となったのだが、花樹が帰っていったあと、理亜とあつこは校舎裏に移動しては花樹について相談することに。まず、理亜が、
「さっそくだけど、花樹、やっぱり、「勝利こそすべて」、そんな考えに執着している」
と、花樹のスクールアイドルに対するスタンス、考えについて言うとあつこも続けて、
「それは間違いないと思います」
と理亜の言うことを認めたのと同時に、
「でも、それだと、花樹さん、1年前の理亜さんみたいに自滅するかもしれません」
と、1年前の理亜みたいに、「勝利こそすべて」、という考えに固執した理亜みたいに自滅する、そう指摘した。たしかに、このままだと花樹は1年前の理亜mちあいに自滅するのは目にみえていた。
そんなあつこの指摘に、理亜、
「たしかにあつこの言う通り、あのままだと、花樹、そのうち、自滅する、と、私も思う」
と認めつつもある事実を話す。
「だから、最終予選本番、私、花樹の心のなか、アクセスしようとした」
これには、あつこ、
「えっ、それって本当なのですか?」
と驚いてしまうと、理亜、そんなあつこに対しこう話した。
「ラブライブ!延長戦、私、姉さま、あつこ、一緒に、「Believe Agein」のステージしていたとき、2人と心がつながった・・・。だから、それを、最終予選のとき、花樹に試した・・・」
そう、理亜はラブライブ!延長戦のとき、自分の心のなかにあるSaint Snowの輝き、宝物を通じて姉の聖良とあつこと心のなかでつながることができたのだが、その際、心のなかのでの会話を通じて理亜は姉聖良とあつこからスクールアイドルにとって大事なこと、「スクールアイドルを楽しむこと、好きになることが大事」、そのことを伝えらえたのである。なので、理亜は、今、その大事なことを実践するようになったのである。で、理亜はその経験をもとに最終予選の場で花樹に対し、ラブライブ!延長戦で姉聖愛とあつこと一緒に行ったこと、心を通じてスクールアイドルにとって大事なことを伝えようとしていたのである。
そんな理亜の言葉に、あつこ、
「それでどうなったのですか?」
と理亜に結果を尋ねると、理亜、首を横に振りながらこう答えた。
「ダメだった・・・。花樹に、私の思い、つながらなかった・・・」
そう、理亜の思いは花樹には伝わらなかった・・・。花樹は「勝つこと」だけに意識しすぎていたせいか、理亜の花樹に対する思いは通じなかった。普通なら1つの目標に対してそのグループメンバー全員が、心、思い、を1つにしてそれに目指していくものなのだが、このときの理亜も花樹も1つの目標に対して目指していたものの、2人それぞれの心、思いはバラバラだった。それにより、いくら理亜が心のなかで花樹に呼びかけようとしても応答なかったのはそれが原因だったのかもしれない。
そんな理亜に対し、あつこ、
「それは仕方がないことなのでは・・・」
と理亜のことを気に掛けるも、理亜、涙目になりながら、
「でも、私、昔の私みたいに、花樹が自滅するの、いや・・・。私、どうしたらいいの・・・」
とあつこに言うと、あつこ、
「理亜さん・・・」
と理亜のことを心配する。理亜は昔の自分みたいに「勝つことこそすべて」という考えに固執している花樹が自滅するのがいやだった。そのため、ラブライブ!延長戦での理亜のときみたいに最終予選のときに理亜は花樹に対し心を通じてコンタクトをとろうとしたが失敗した。そのため、理亜は花樹を自滅の道から救いたいのだがもう自分にはどうすることもできない、いったいどうすればいいのかと悩んでいたのだ、必死に・・・。
そして、理亜はついにあの言葉を口にする。
「私、いったいどうすればいいの・・・。姉さま、助けて・・・」
「姉さま、助けて・・・」、その言葉は理亜が姉の聖良に助けを求めたい、そんな気持ちから発するものだった。だが、姉聖良はもうここにはいないのだ。たとえSaint Snowという輝き、宝物を通じてずっとつながっているとしても、実際にはすぐに直接相談することなんてできない、そんな絶望的な思いに浸る理亜から発する言葉であった。
そんな理亜を見てか、あつこ、
(理亜さん、聖良さんのあとをついていくだけの昔の理亜さんに、もしくは、いつも姉のダイヤさんのあとをついていくだけのルビィさんみたいになってしまったようですね・・・)
と思ってしまう。昔の理亜は姉の聖良のあとをついていくだけの存在だった。いや、今現時点での理亜は、あの昔のダイヤ・ルビィ姉妹みたいのように、ダイヤのあとをついていくだけの昔のルビィぐらいにまでになってしまった。自分一人ではなにをすることもできない、ただ、姉のあとをついていくだけ、そんな妹みたいに理亜はなってしまったのかもしれない。
ただ、あつこ、そんな理亜を再び見ては、
(でも、これ以上理亜さんが苦悩したら今度は理亜さんが壊れてしまいます・・・。ならば・・・)
と思い、泣き続ける理亜に対しあることを話した。
「でも、聖良さんなら聖女の近くにある大学に通っていますからその気になれば気軽に相談できるのでは?」
そう、別に理亜と姉の聖良が離れ離れになった、というわけではなかった。姉の聖良は、今、聖女の系列である大学に通っている。その大学は実は聖女の近くにあり、姉聖良はいつも自分の実家から、理亜のいる実家から大学に通っているのだ。なので、夜になれば理亜は姉の聖良に気軽に会うことができるのだ。そのことをあつこは理亜に指摘したのだった。
だが、そんなあつこの指摘に、理亜、
「たしかにそうだけど・・・、でも、姉さんはスクールアイドルを卒業した身・・・。気軽に相談なんて・・・」
としどろもどろになる。どうやら、理亜、姉の聖良に相談したい、だけど、それだと姉の聖良を困らせることにつながってしまう、と、二律背反の状態に陥っているようだ。
そんな理亜を察してか、あつこ、理亜に対し、
「まぁ、理亜さんらしいと思うのですがね・・・」
と理亜のことをそう言うと、理亜、
「あつこ、なにがいいたいわけ!!」
と、顔をぷくっと膨らませては怒ってしまった。理亜、どうやら、あつこにからかわれたと思ったかもしれない・・・。
ただ、あつこ、このとき、
(と、冗談はさておいて、このままだと理亜さんは苦悩したまま壊れてしまうのがオチです。なので、ここは私が聖良さんに代わって代案を言うことにしましょう)
と思い、理亜に対し、
「そんな理亜さんに私からある提案をしたいのですが・・・」
と言うと、理亜、
「あつこ、それってなに?」
と食い入るように聞いてきた。
そして、あつこはその代案を発表した。
「理亜さん、このままの状態でいきましょう」
これには、理亜、
「えっ、それって本当に言っているわけ!?」
と、驚きの表情。だって、このままいくと花樹は確実に自滅してしまう。それなのにそのままの状態でいく、ということはそれを認めてしまうことにつながってしまうのだ。
だが、そんな理亜の言葉をよそにあつこがその代案について説明する。
「だって、理亜さんがいくら(心のなかで)呼びかけても花樹さんは応答してくれなかったのはそれくらい花樹さんが「勝つこと」に固執しているからです。それを今になって「急に変えろ」と花樹さんに言ったとしても「はい、そうですか」とすぐに変えることなんて難しいと思います」
たしあkにあつこの言う通りである。人というのは自分の考えを急に変えろと他人から言われたとしてもすぐにそれを変えることは難しいものである。だって、その人の考えというのはその人の長年にわたる経験の積み重ねが合わさって、いや、編まれることによってできたものだから。また、その考えに執着している度合いが高いほどその考えを変えること自体難しくなってしまう。で、理亜の心の呼びかけに呼応しないほど花樹の「勝つこと」への執念はすさまじいものであった。なので、花樹に、その考えを変えろ、といくら言っても花樹がその考えを急に捨てる確率はゼロに久しいものであった。
それを踏まえた上であつこは理亜に自分の代案の真の目的を明かした。
「ならば、それを逆手にとるのです。理亜さんは理亜さんで「スクールアイドルを楽しむ、好きになる」ことを追い求めてください。対して、花樹さんは「勝つことこそすべて」を追い求めようとします。相反する2人の思いですが、2人が異なる思いを競い合うことで大きなパワーを生み出すことができる、私はそう思います」
あつこの作戦、それは、理亜と花樹、相反する思いをぶつけあいながら高めていく、というものだった。人は相反するものがあればそれに対して競い合うものである。それがペアの場合、それによってちぐはぐなものになってしまうかもしれない。だが、それを逆手にとって、自分の信念、思いのもと、お互いに競い合いあってはお互いにそれを高めあうことができればそれはそれで大きなパワーとして爆発することができる、というのである。このあつこの考えに、理亜、
「たしかにそうだけど・・・」
とちょっと納得していない様子。まぁ、理亜としてはあつこの考えはいいものだが一歩でも間違えればそれは、ペア解消、空中分解、につながってしまう、そんな危険性がある、そう理亜は心配していたのだ。
だが、あつこは言った。
「まぁ、そのために、ラブライブ!決勝用の曲はそれにそう形にしようと思います。もちろん、パフォーマンスも同様です。そうすれば決勝本番でバラバラになることなんてないのですから・・・」
まぁ、たしかに、あつこの案に沿う形で作られた曲やパフォーマンスであれば決勝本番でバラバラになる心配はなくなる。だって、2人が競い合うこと前提でその曲のパフォーマンスが作られるから。
さらに、あつこ、決定的なことを理亜に言った。
「それに、ラブライブ!決勝までそんなに火がありません。今は私の案がベストなのです!!」
それは的を得ていた。ラブライブ!決勝までそんなに日がない。なので、花樹に対し急に「自分の考えを変えろ」を言って花樹が自分の考えを改めようとしても逆に花樹が100%いいパフォーマンスができなくなってしまう可能性が高い。なので、現状維持にしつつも互いに自分の思いを高めあっていった方が得策ともいえた。
そんなあつこの力説に理亜も、
「あつこの言うのも一理あるかも・・・。それに、それに代わる代案が思い浮かばない・・・」
としぶしぶ納得の様子。そのためか、あつこ、強引に、
「それでは、理亜さん、私の作戦でいくことにしましょう」
と言うと理亜もしぶしぶ、
「うん、わかった・・・」
とあつこの作戦を認めてしまった・・・。
そんな理亜に対し、あつこ、また別のことを尋ねる。
「ところで、理亜さん、「スクールアイドルを楽しむこと、好きになること」に関して、理亜さん自身、どう対応しているのですか?」
そう、あつこの作戦だと互いに自分の思いを高めあうことが必要となる。なので、理亜自身、「スクールアイドルを楽しむこと、好きになること」に対してどう接していくのか、どう高めあうのか、というのが重要になってくるのだ。
このあつこの質問に、理亜、
「う~ん、それについてはまだ思案中・・・」
と言うのみだった。理亜自身、Saint Aqours Snowとしてのクリスマスライブ、そして、ラブライブ!延長戦で、「スクールアイドルを楽しむこと、好きになること」、それがスクールアイドルにとって1番大事であることを学んだ。だが、いくらそれを学んでも、その思い、考えをどう伸ばしていくのか、は別問題だった。そのため、理亜は、その思い、考えをどう伸ばしていくのか、その手段を考えている途中であった。この前の最終予選のときは、理亜、まずはその思い、その考えのもと、まずはそれを実践しよう、という段階であった。なので、理亜、あつこからそのことを指摘されると、
(う~、どうすればルビィたちみたいに「スクールアイドルを楽しむこと、好きになること」、その思い、その考えを伸ばしていけるのか、増大させることができるわけ・・・。これまでは姉さまとあつこがいたからなんとかなった。だけど、今は私と花樹の2人だけ。そんな状態で、その思い、考え、どう伸ばしていけばいいわけ・・・)
と、自分の思い、考えを伸ばしていく手段が思いつかない、という新たなる悩みが生まれてしまったようだ。
そんな理亜に対し、あつこ、あるアドバイスを送る。
「理亜さん、まずは今まで通り、「スクールアイドルを楽しむこと、好きになること」、それを実践してみてください。そうしたらそれを伸ばす手段がみつかるかもしれません」
あつこが言うには、まずはその思い、考えを実践し続ければおのずとそれを伸ばす手段が見つかる、というものだった。今は、理亜、その考え、思いを持ち始めた、そんな初期段階であった。なので、まずは無理せずそれを実践していくことが1番、というのだ。
そんなあつこからのアドバイスを聞いて、理亜、
「たしかにそうだけど・・・」
とちょっと不安になるも、つい、こんなことをつぶやいてしまう。
「でも、もし、姉さまだったらどうするだろうか・・・。姉さま、私にそれを伸ばす手段を教えてください・・・」
理亜、また、姉の聖良に頼ろうとする。これには、あつこ、
「・・・」
と無言になってしまった。いや、内心ではこう思っていたのである。
(理亜さん、姉の聖良さんにまた頼ろうとしています。まだ一緒に住んでいる、というのもあるのですが・・・。でも、理亜さん、もし、あのことを知ったら、相当落ち込むこと必須、ですね・・・)
そして、あつこは聖良からあることを聞かされたときのことを思いだしていた・・・。
それは最終予選の前の日のことだった。
「あの~、聖良さん、ようってなんでしょうか・・・」
とあつこは向かい側に座る聖良にそう尋ねた。ここはあつこと聖良の行きつけの喫茶店、「茶房旧茶屋亭」。あつこはせいらに大至急くるように言われここに来たのである。
で、あつこから尋ねられたため、聖良、あつこの耳元に口を近づけては、
「実はですね・・・、あつこ、私、近いうちに・・・」
と小言でとても重要なことを話す。すると、あつこ、びっくりした表情になっては、
「えっ、それって、聖良さんの将来のためになると思うのですが・・・」
と言うと同時に困惑そうな表情になっては、
「でも、それだと、理亜さん、相当ショックを受けると思いますが・・・」
と言ってしまう。聖良があつこに話したこと、それは、聖良の将来のため、といえるのだが、理亜にとってみれば相当ショック、なものだったのかもしれない。なので、あつこは理亜のことが心配になってそんなことを言ったのである。
だが、そんなあつこに対し、理亜、あるお願いをした。
「なので、あつこ、お願いです、私の代わりに理亜のフォローをお願いします。あつこだったら理亜の幼馴染として、そして、先輩として私の代わりにフォローをお願いします」
そんな聖良からのお願いを聞いて、あつこ、さらに心配する。
「でも、私、聖良さんの代わりを務めることなんてできるでしょうか・・・」
だが、あつこの心配に対し、聖良、こんな言葉でもってあつこを元気づけた。
「あつこ、あなたなら大丈夫です。あなたと理亜はSaint Snowの輝き、宝物を持つ者同士なのです。なので、あつこなら理亜をフォローできると私は確信しております。あつこ、あなたならできるはずです。そう信じてください」
この聖良の励ましに、あつこ、
「聖良さん、私への励まし、ありがとうございます」
とお礼を言った・・・ものの内心では、あつこ、
(でも、本当に私が聖良さんの代わりを務めることができるのでしょうか・・・)
とかなり不安になってしまった・・・。
そんなことを思いだしたあつこ、ふたたび、理亜の方を向くとついあることを考えてしまう。
(ただでさえ花樹さんのことで理亜さんは苦悩していますが、それに聖良さんのことが重なると理亜さんはさらに苦悩してしまいます。そんな理亜さんを私が聖良さんの代わりとしてフォローできるのでしょうか・・・。私、心配です・・・)
ただでさえ花樹のことで苦しんでいる理亜、それに聖良のことが加わると理亜はさらに苦悩する、そんな理亜をあつこは聖良の代わりとして十分フォローできるのか、このときのあつこは心配で心配でたまらなかった。あつこはたしかに聖良と同じく、理亜とはこの数年間、Saint Snowとして一緒に活動してきた(あつこは理亜・聖良のサポーターとして活躍)。なので、あつこ、理亜、聖良はSaint Snowという想い、想い出、キズナ、そんな輝き、宝物によって結ばれている。だが、たとえ、それがあったとしてもあつこが理亜のことを十分フォローできるかは別問題であった。いくらあつこが理亜のために動いたとしてもそれを理亜が受け入れてくれるかどうか、といった問題がある。また、あつこが知らないところで理亜が別のところで苦しんでしまう、ってこともある。理亜の姉である聖良だったら理亜のことを十分熟しているのでつかさずフォローできるのだが、聖良ほど理亜のことを熟知していないあつこが聖良ほど理亜を十分フォローできるかどうか、あつこはそこを心配していたのだ。
そして、あつこは理亜の方を見てこうつぶやいた。
「理亜さん、私、聖良さんの代わりを十分果たすことができるでしょうか・・・」