ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第6話

 そして、ついに夕方になった。ついに、月vs木松悪斗、決戦の場となる臨時理事会がここ、静真高校の会議室で開かれようとしていた。今日はこれからの静真を決めるための重要な理事会であったため、通常理事会みたいに静真の理事10人だけ・・・ではなく、生徒代表として、生徒会長である月、そして、先生側の代表である校長や教頭、それに、木松悪斗の忠実なる僕(しもべ)である部活動保護者会の幹部数人も参加していた。が、スポンサー、先生、生徒の代表ともいえる人たちが参加しているなか、あともう1人、学校にとってかかせない人たちの代表が参加していなかった。その代表とは・・・。

 そのなかで、理事長の、

「それでは、これから臨時理事会を開催いたします」

と、いう声と共に、運命の臨時理事会はついに始まった。

 はずであった・・・が、最初はなにも起きなかった。と、いうよりも、拍子抜けだった。臨時理事会最初の議題、それはあと1ヵ月後に新年度がはじまるにあたり、部活用に新しいトレーニング機器の購入、新しいコーチ・トレーナーとの契約などの可否だった。これらの費用は保護者からの学費や寄付金・・・ではなく、全額木松悪斗の多額な寄付金から捻出されるため、学校としてもそんなにダメージを与えるコストにはならなかった。

 が、月はその可否について議論?が続いているなか、ある理事の方を見ていた。その理事の名は木松悪斗。そう、部活動保護者会会長である木松悪斗はそれと同時に静真の理事でもあった。とはいえ、それは当たり前である。だって、木松悪斗は静真の大スポンサーだから。浦の星も小原家が大スポンサーだったため、小原家当主の一人娘である鞠莉が理事長を務めていた。そう考えると、木松悪斗も静真の理事になっていてもおかしくなかった。それよりも、鞠莉の件を考えると、静真の大スポンサーである木松悪斗が静真の理事長であってもおかしくない。でも、木松悪斗が理事長ではなく理事にとどまっている理由、それは静真に何かが起こった場合、理事長だったらすぐに責任を取って辞任しないといけない場面がでてくることがある。それを木松悪斗は恐れていた。もし、理事にとどまっていたら、すべての責任を理事長になすりつければ言い逃れができる、そう、木松悪斗は考えているのだ。いわば、理事長は木松悪斗からすればスケープゴートだったりする。と、いうより、理事長自身木松悪斗の傀儡だったりする。大スポンサーである木松悪斗の権力?さえあれば、理事長はおろか、理事全員を陰から操ることなど容易いこと、なのである。と、いうわけで、木松悪斗という陰の帝王により、理事会そのものが木松悪斗の手のひらで起こる茶番劇だったりする。それでも臨時理事会を行うというのは、木松悪斗にとっても、さらに、静真にとってもそれほど浦の星との統合が静真の未来に係わる重大な問題のあらわれともいえる。

 

 とはいえ、こうして30分間はなにも起きず、ただ、いろんな議案の可否について議論?していただけだった。

 が、臨時理事会が始まって30分後、ついに木松悪斗が動いた!!

(さあて、場も暖かくなりましたか。それでは、ここで、あれを、大きな打ち上げ花火を打ち上げましょうかね)

と、木松悪斗がそう思うと、そのまま、

「あの~、理事である私から提案があるのですが・・・」

と、重低音を響かせて言うと、理事長から、

「はい、木松悪斗理事、なんでしょうか?」

と、尋ねられると、木松悪斗は席を立ち、大声で言った。

「この臨時理事会の開催原因となったもの、そう、浦の星との統合、その中止、及び白紙撤回についてです!!」

これを聞いた月、

(ついに木松悪斗が動いたか。でも、まだ、僕たちの最終兵器、木松悪斗に勝てるくらいの最終兵器は完成していない。急いでくれ、ナギ副会長!!)

と、木松悪斗の方を見ながら少し焦りを見せながら思っていた。そう、月の考えた対木松悪斗用の対抗策であるが、臨時理事会が始まるまで急ピッチに作業を続けたものの、結局、臨時理事会までには間に合わなかった。そこで、月はナギにその対抗策、対木松悪斗用の最終兵器の完成を急がせ、自分だけで臨時理事会に集積することにした。当初はナギも月の付き添いで臨時理事会に参加する予定だったが、その最終兵器の完成を急がせるため、ナギにその作業を任せた。しかし、浦の星との統合中止、白紙撤回の可否について、今、議論?が始まろうとしているのにかかわらず、まだその最終兵器は完成していなかった。そのため、月はその対抗策、最終兵器もないまま、木松悪斗と戦うことを決めようとしていた。

 とはいえ、最終兵器のないままでは、たとえ優秀な月であっても木松悪斗には戦えないので、月は黙って見ているしかなかった。が、その月の代わりに理事の1人が木松悪斗に対して釘を打つ。

「木松悪斗理事、あなたならご存知ですよね。もう、浦の星との統合はすでに決定事項です。統合に向けた手続きはすでに最終段階まで進んでいます。それを今やめろ、と、いうのは理不尽ですぞ。もし、やめることになれば、静真、浦の星、両方に修復不可能なダメージを与えることになりますぞ。いや、それ以上に、たとえ、大きな約束事すら自分の都合で平気で破ってしまう、と、噂になり、結果、静真の信用度は地に堕ちますぞ」

が、そんなこと、木松悪斗にとってみれば平気だった。この理事の発言に対し、木松悪斗、すぐに反論。

「それがどうしたのですか。1番悪いのは浦の星の連中なんですぞ。私たち静真に黙っていたのが悪いのですよ。浦の星の生徒たちは部活をお遊び感覚でやっていること、それを私たち静真に黙っていたのですよ。1番処罰すべきは浦の星の連中でしょうが!!」

その木松悪斗の発言に、木松悪斗に反論した理事はすぐに、

「それはただの言い訳にすぎないですぞ、木松悪斗理事!!浦の星の部活動全体の実力は確かに弱い。でも、それで「お遊び感覚で部活している」と言えるのですか?」

と、木松悪斗に反論する。これには木松悪斗、

「なにごとも結果がすべてを物語ってます!!わが静真は全国大会に出場できる部活が数多くあります。それ、すなわち、部活を真剣に、真面目に取り組んでいる生徒が多い証!!対して、浦の星は地区予選初戦敗退ばかり。それこそ、お遊び感覚で部活をしている証拠です!!」

と、強く反論。これを聞いた木松悪斗に反論する理事は、

「それはたんなる憶測に過ぎないぞ!!」

と、木松悪斗にごく当たり前のことを言う。たしかに、その学校の部活の実力の強弱によって、その部活を真地面にやっているのか、お遊び感覚でやっているのか、と断定することはできないものである。それでも、木松悪斗にとっては関係ないことである。なぜなら・・・。

「それはそうと言えるのですかな?」

と、大胆不敵な笑いを見せる木松悪斗。これには木松悪斗に反論した理事は、

「な、なんだ、その不気味な笑いは・・・」

と、少し後ずさりしてしまう。

 木松悪斗、ここは好機とみて、伝家の宝刀その1を抜いた。

「あなた方はたんなる憶測だとみておりますが、保護者の方々はそれをどう思っているのでしょうかね」

と、木松悪斗が言うと、机の上に、

バサッ

と、あるものを投げた。これには理事たち、

「それはなにかね?」

と、木松悪斗に尋ねる。すると、木松悪斗、声を高々にあげて言った。

「これはですね・・・。この臨時理事会の開催要求を出した保護者たちの名簿と、その保護者たちの意見書ですよ!!」

そう、木松悪斗が机に向かって投げたもの、それは、今行われている臨時理事会の開催要求を出した保護者たちの名簿とその保護者たちの意見書だった。と、いうより、一冊の分厚い本だった。その分厚い本を木松悪斗に反論した理事が手に取り、中身を読んでみる。すると、

「なんと、こんなに大勢の保護者たちが浦の星との統合に反対しているなんて・・・」

と、浦の星の統合反対を訴える保護者が多いことに驚愕する。それを見た木松悪斗、

「これは臨時理事会の1週間前にこの私が静真に通う生徒の保護者全員に緊急アンケートを実施し、それをまとめたものになります。なお、このアンケートに関しては部活動保護者会名義で静真に通う生徒の保護者全員にメールを送信し、1~2日後に返信してもらいました。それにあわせて、臨時理事会の開催要求書も送ってもらうようにお願いしております」

と、理事たちに説明する。理事たちは分厚い本となっている臨時理事会開催要求書の名簿と、木松悪斗が実施したアンケートを集計した意見書を見ると、

「えっ、統合反対の保護者が全体の70%を超えるだと!!」

「その理由については「浦の星の生徒が静真の部活動に参加すると、静真の部活動に悪影響がでるから」が圧倒的に多い!!」

「自由意見欄には「お遊び感覚で部活をしている浦の星の生徒たちを入れたら、静真の部活動はダメになる!!統合そのものがなくなればその心配をしなくて済む!!」「そのことを一言も言わないで浦の星と統合するなんて、なんて卑怯なの!!そんな卑怯がはびこるなんて、許されるわけない!!統合反対!!」と、書かれている・・・」

と、その内容に理事たち全員が驚愕していた。静真に通う生徒の保護者の7割以上が浦の星との統合反対を訴えている。さらに、その理由が木松悪斗が1週間前から言っている「お遊び感覚で部活をしている浦の星の生徒たちが静真の部活に参加したら、静真の部活動に悪影響がでる」というのが圧倒的に多い。さらにさらに、自由意見欄には統合反対の言葉ばかりがずらりと並んでいた。これを見てしまうと、さすがに、理事たちもぐうの音も出ないのである。

 が、実は木松悪斗が保護者に行ったアンケート、木松悪斗が保護者の考えが戸浦の星の統合反対に傾くように恣意的に作られていた。浦の星との統合について、賛成か反対かを選ぶ問いについては「賛成」の文字サイズをわざと小さくし、逆に「反対」の文字サイズを大きくみせたりしていたり、統合賛成の理由を選ぶ質問はなく、逆に統合反対の理由を選ぶ質問だけ載せていたりなど、各所に統合反対の考えへと誘導するような工夫が施されており、保護者たちが自然と統合反対の考えへと導かれるようになっていたのだった。さらに、このアンケートのメールにはアンケート以外にも、木松悪斗が浦の星との統合反対を訴える動画も添付されていた。そして、その動画を見ない限り、そのアンケートに答えることができない、また、アンケートに答えないと、大切な子ども(生徒)の今後に悪影響がでる、とも、そのメールには書かれていた。なので、強制的に木松悪斗が浦の星との統合反対を訴える動画を見てそのアンケートに答えないといけなかったこと、動画によって統合反対すべきと考えるようになった保護者たちは自然と、いや、恣意的に作られたアンケートに答えることで統合反対の意思を示す・・・ように仕向けられたのである、木松悪斗に。さらに、そのアンケートの提出期限がそのアンケートが送られた日の2日後だったため、返答をすぐにしないといけなかった。そのため、保護者たちはあとでじっくり考える余裕すら与えられていなかったのだ。

 と、いうわけで、インチキに近いアンケートではあるが、木松悪斗たち統合反対派は保護者の大多数が統合反対であることを理事たちに示したことになった。そのため、

「これを見て、浦の星と統合する気になりますかね。保護者の大多数が統合に反対なんですよね・・・」

と、木松悪斗、理事たちに詰め寄る。木松悪斗の伝家の宝刀その1「保護者たちの大多数が反対している」それを指し示す名簿と意見書、これにより、木松悪斗は保護者側の意見「浦の星との統合反対」を代弁している、そんな大義名分を前に、さすがの理事たちも、

「・・・」

と、黙るしかなかった。

 だが、木松悪斗は理事たちへの攻撃の手を緩めなかった。すぐさま、伝家の宝刀その2を繰り出す。それは・・・。

「これまでは保護者側の意見を聞いてもらいました。今度は生徒側の意見を聞いてください」

この木松悪斗の言葉に、月、

(えっ、生徒側の代表は、生徒会長である、この僕、のはずでしょ!!)

と、驚いてしまう。そんな月を尻目に、木松悪斗はある生徒を呼んだ。

「それではお入りください!!」

「はいっ!!」

と、会議室の外から大きな声が聞こえてくると、

バンッ

と、会議室のドアをおもいっきり開く音が聞こえてきた。そのドアから入ってきた生徒を見た月、

(な、なんで、あいつがここにいるの!!)

と、またまた驚いてしまう。なぜなら、その生徒は・・・。

「理事のみなさま、こんにちは。木松悪斗理事に呼ばれ、ここに参りました。私、静真の部活に所属している生徒たちをまとめております、部活動連合会の会長、そして、女子サッカー部部長でエースの木松旺夏(おうか)と申します」

部活動連合会、部活動が盛んな静真には運動部、文化部、ともにたくさんの部がある。そのたくさんある部をまとめあげる組織、それが部活動連合会である。なので、「静真の部活に所属している生徒たちをまとめております」、つまり、「部活に参加している生徒たちの代表」というのもあながち間違いではない。でも、それなら、「静真の部活に参加している」=「静真に通っている」生徒たちを代表している月たち生徒会との関係は?それは、部活動連合会は生徒の学校での活動のうち部活動関連のことのみを担当し、それ以外のことは生徒会が担当していたのだ。なので、部活動連合会は生徒会とは独立した生徒たちの組織であり、(静真においては)ちゃんとした生徒たちを代表する組織でもあった。ちなみに、予算など、部活動関連のことを担当する部活動連合会、それ以外を担当する生徒会、両方に係わりがある案件については両者一緒になって協議している。

 それよりも、月が部活動連合会会長の木松旺夏を見て一瞬の不安を感じた。なぜなら、

(木松旺夏、部活動連合会会長にして、女子サッカー部の部長でエース、そして、あの木松悪斗の娘・・・)

そう、木松旺夏はあの部活動保護者会の会長、木松悪斗の娘である。木松旺夏、静真高校2年である。木松悪斗の娘として生まれる。小さいときからサッカーの天才と称されるほどサッカーの資質に恵まれていた。それに目をつけた親、木松悪斗は旺夏にサッカーの英才教育を施した。朝から晩まで旺夏をサッカー漬けにしたのだ。結果、旺夏は親の木松悪斗の期待通り、将来の日本代表といわれるくらい将来有望な女子サッカー選手に変貌を遂げていた。その旺夏だが、父木松悪斗の勧めで日本の中でサッカーがもっとも盛んであり、日本一になれるくらいの実力を持つ女子サッカー部がある高校が群雄割拠している静岡県、その地にあり、そして、父木松悪斗の息がかかる高校、静真高校に入学、その天才といえる実力、父木松悪斗譲りのカリスマ性により、静真高校女子サッカー部をたった1年で全国大会に出場できるくらいへのチームへと成長させ、そして、ついに、去年のインターハイで念願の日本一へと導いていた。で、そのこと、プラス、静真の(部活動の)大スポンサーである父木松悪斗の強い推薦もあり、静真に多数ある部活を束ねる部活動連合会の会長に就任していた。ちなみに、父木松悪斗とその子旺夏は実の親子ということもあり、旺夏は父木松悪斗に忠実であり、さらに、父の考えと同じだったりする。なので、月にとってみれば、ある意味(この臨時理事会において)天敵ともいえる。なお、木松悪斗には旺夏以外にもう1人、娘がいる。旺夏の妹で、今年の春に静真高校に入学する予定なのだが、父木松悪斗としてみれば、その娘は「旺夏と違い、出来が悪すぎる!!私の娘じゃない!!」と言われているらしい。

 とはいえ、その父木松悪斗が絶賛する娘、旺夏は会議室に入るなり、乾坤一擲、大声をあげて宣言した。

「この木松旺夏、高々に宣言します!!生徒を代表して、浦の星との統合、その中止、白紙撤回を要求します!!理由は簡単、「お遊び感覚で部活をしている、(部活に対する)士気が低い、そんな浦の星の生徒たちが、静真との統合後、静真の部活動に参加したら、静真の部活動は士気の低下、部活内での対立が発生、それにより弱体化は避けられません!!だからこそ、私は静真の生徒を代表して言います、今すぐ浦の星との統合を即刻中止、白紙撤回してください!!」

この旺夏の言葉に月は我慢できずに旺夏に文句を言う。

「ちょっと、旺夏、静真の生徒代表はこの僕、渡辺月、でしょうが!!」

そう、静真の生と全体の代表は生徒会長である月である。が、それでも、旺夏はそんなことを気にせず、

「それはそうかもしれませんが、静真の全生徒のうち、95%もの生徒が部活動に参加しています!!そう考えると、静真の全生徒の95%が参加している部活動をまとめる部活動連合会の会長、この木松旺夏も、生徒の代表と言えるのではありませんか!!」

と、月に反論する。さらに続けて旺夏は言った。

「そして、その生徒の代表である木松旺夏の言っていることこそ、静真高校の生徒全員の総意なんです!!」

この言葉に、月、

(いやいや、それには僕は入っていないでしょうが!!)

と、心の中で旺夏にツッコミをいれる。

が、この臨時理事会の場において、生徒代表の2人、月と旺夏が揃い踏みしており、2人とも攻め手を欠けるなか、理事たちにとって、どっちが本当の生徒の代表なのか、どっちが本当の生徒たちの声なのか、判断できない状況だった。旺夏は自分の主張こそ生徒たちの声だと言っているが、それを示す証拠がない。月にいたっては理事たちに主張すらしていない。この状況で、どっちが本当の生徒の代表なのか、どっちが本当の生徒たちの声なのか、それを選べというのが酷であった。

 が、それでも、木松悪斗は浦の星との統合についての採決を強行した。

「さぁ、理事のみなさん、運命の時間ですよ。浦の星と統合して破滅の道に進むか、それとも、統合を中止して大いなる発展を遂げるか、2つに1つです。さぁ、選んでください」

これには、これまで木松悪斗に反論した理事が最後の反抗を試みる。

「もし、浦の星との統合が中止、白紙撤回した場合、浦の星の生徒たちはどうするんだね?もうすでに浦の星の先生たちの再就職先や浦の星の校舎などの学校施設の処分などについてはすでに決まっているんだぞ!!それなのに、今更、浦の星の生徒たちになにもせずにほっぽからしにしたら、それこそ、浦の星の生徒たちは不憫に思われることになるぞ!!それこそ、静真に修復不可能な大ダメージを与えるになるのですぞ!!」

が、その理事の言葉は木松悪斗にとってみれば造作のないことだった。木松悪斗は威圧的な声で答えた。

「そんなの、静真にとってみれば関係のないことでしょうが!!浦の星の校舎がなくなって、浦の星の先生たちもいない、そのために、浦の星の生徒たちの行き場がなくなる、それは仕方がないことでしょうに。いつ廃校になってもおかしくない、そんな浦の星に入学したことがそもそもの間違いだったのですよ!!まっ、因果応報ってやつですよ!!その報いが、今、まさに、浦の星の生徒たちに起きようとしているだけです!!さらに、静真には浦の星との統合をやめても特に問題は起きません。だって、浦の星は日本という国からみれば、ちっぽけな存在です。その1つや2つ、なくなっても、なにも痛くもかゆくもありません。むしろ、静真の好意を無駄にしたのですよ!!その報いも、浦の星の生徒たちに、今、降りかかろうとしているだけですよ!!そう考えたらたら当然の結果です。もし、そんな浦の星の生徒たちに救いの手が必要であるなら、浦の星の大スポンサーだった小原財閥がすればいいのですよ!!もっとも、浦の星の大スポンサーだった小原財閥が浦の星への援助を打ち切ったのが浦の星の廃校の原因なんですけどね!!」

この木松悪斗の言葉に、月、

(なに偉そうに言っちゃって。これじゃ、浦の星の生徒たちが可哀想だよ!!ただ、浦の星に入学した、それだけの理由で、今になって、勝手に苦しんでください、だなんて、身勝手な考え、としかいえないよ!!木松悪斗、きっと、浦の星が廃校になる、その結果だけみて、浦の星の生徒たちは苦しんでも仕方がない、と、みているにちがいない。それに、浦の星の廃校の理由のなかには、小原財閥が浦の星の援助を打ち切ったのも含まれているかもしれない。けれど、ほかにも理由がいっぱいあるはずだよ!!)

と、木松悪斗に対し、反抗の目をみせる。たしかに、浦の星の廃校の理由だけで今の浦の星の生徒たちを苦しめることは間違いかもしれない。さらに、浦の星が廃校になる理由のなかには小原財閥が浦の星に多額の寄付をしなくなった、のかもしれないが、実際には、浦の星を廃校にさせないために小原財閥はこれまでずっと多額の寄付を小さな学校である浦の星にしてきた。が、それでも、浦の星のある内浦は沼津の中心地からかなり離れていること(沼津の中心地と内浦は大きな内浦湾を挟んだ端と端にある)などいろんな理由で生徒減少を止めることができなかった。結果、ルビィたち1年生の生徒数が1クラス27人程度しかいないぐらいにまで生徒数が減少、それが決定打になって廃校にせざるをえなかった、というのが本当の理由だった。が、木松悪斗からすれば、理由はどうであれ、(結果的にみれば)浦の星は廃校となり、静真との統合がなければ浦の星の生徒たちは行き場を失う、その状況に陥ったのは「浦の星に入学した」という間違った判断をした浦の星の生徒たち自身のせいだ、だから、自分たちが助ける義理はない、そう木松悪斗は考えているのかもしれない。もっとも、その生徒たちの援助すべきは(浦の星の援助を打ち切ったという)直接的な(浦の星の廃校の)原因をつくった小原財閥がすべきだ、というあたり、ちゃっかり、(浦の星の統合により行われる、はずだった、と、木松悪斗が勝手に考えていた)静真への多額の寄付をやめた小原財閥への意趣返しをみせていた、と、思えるのだが・・・。とはいえ、木松悪斗に反論した理事も、さすがに・・・、

「・・・」

と、黙るしかなかった。

 誰も反論できない状況に、「これで勝負あり!!」と思ったのか、木松悪斗は浦の星との統合の採決を強行する。

「さぁ、理事のみなさん、さっさと決めてください。いや、さっさと浦の星との統合の中止、白紙撤回に手をあげてください。だって、こちらには、浦の星との統合を中止、白紙撤回してほしいという保護者たちの声、それに、生徒たちの声、その両方があるのですからね」

このとき、月は思った。

(ナギ副会長、まだ完成しないの!!はやく対木松悪斗用の最終兵器を完成させて!!じゃないと、このまま強行採決で浦の星との統合が中止、白紙撤回が決まっちゃうよ~。でも、まだ来ていない。なら、この僕が時間稼ぎしないと!!)

月がこの日(臨時理事会のある日)のために数日考えて出来た木松悪斗への対抗策、最終兵器、その完成のための時間稼ぎ、それを、今、するべきだ、そう考えた月、意を決する。そして、月、いきなり席を立ち、木松悪斗に向かって大きな声で言った。

「ところで、木松悪斗理事、1つ、伺いたいことがあるのですが・・・」

この月の言葉に、木松悪斗、

「あら、これは渡辺月生徒会長、この世に及んで、なんでしょうか?」

と、月に尋ねる。すると、月は木松悪斗に対し、ある質問をした。

「木松悪斗理事、あなたは保護者たちの声と生徒たちの声、2つを持っているって言いましたが、あなたがとても重要視しているのは、保護者たちの声、それとも、生徒たちの声、どっちですかね?」

この月の質問に木松悪斗ははっきりと答えた。

「それは保護者たちの声、でしょうかね。だって、保護者はとても大事にしているお子さまをわが静真高校に預けているのですからね。いわば、保護者は私たちにとって大事なお客様、なんですよ。だからこそ、大事なお客様である保護者の声を大事にすべきではありませんかね」

この木松悪斗の答えを聞いた月、

「それはそうですか。なるほど、なるほど」

と、大げさに言うと、木松悪斗、

「なにかおかしなこと、言いましたかね?」

と、月に聞く。すると、月、その木松悪斗に対して言った。

「いいや。でも、その答えを聞いて確信しました」

この月の言葉に、木松悪斗、

「なにを確信したのですかね?」

と、さらに月に聞く。月、その木松悪斗に対し、

バサッ

と、指を指し、こう答えた。

「木松悪斗理事、少し思いやがりましたね。あなたのその自信、今、まさに崩れますよ!!」

 

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