ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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ラブライブ!RSBP 第7話

 ただ、そんなとき、09年に世界を揺るがす金融危機が起きた。それがリーマンショックだった。アメリカの巨大投資会社だったリーマンブラザーズが多額の負債を抱えて倒産、それにより、日本をはじめ、世界規模の金融危機が起きたのだ。これにより世界的な経済に冷え込みが起き、日本の株式市場も大暴露(たった1ヵ月で日経平均株価が1万2千台から6千円台へと急激に下落した)。

 ただ、木松悪斗はその前兆をActシステムと裏美からの情報で感知、大暴落する前に高値で持っている株を売り、大暴落した底のときにどさくさにまぎれて大量に株を買い占めた結果、リーマンショックの影響を受けることはなく逆に安値で自分が欲しかった企業の株を買い占めることに成功した。いわゆる、人の不幸は蜜の味、である。

 だが、そんななか、沼津では大変なことが起きていた。木松悪斗の奥さんの母校である静真が存続危機に陥った、というのである。木松悪斗の奥さんの母校、静真は沼津のなかでも歴史由緒ある女子高として、そして、名門校として有名だった。ただ、その静真のスポンサーをしている企業がリーマンショックによる経営不振により静真から撤退、これにより静真はたちまち存続危機に陥ったのである。これだと静真が閉校してしまう、そんな情報が沼津を駆け巡った。なお、静真の創立家の末裔であり世界的企業グループを率いていた沼田は、このとき、静真ではただの名誉職についていただけでであり、さらに、リーマンショックによる自分の企業グループへの影響を少しでも和らげることに注力しており、自分のことで精一杯、静真のことまで手が回せなかった。まさに静真は、このとき、風前の灯であった。

 もちろん、そのことについては木松悪斗・・・の奥さんの耳にも入っていたらしく、その奥さんは木松悪斗に対し、

「ねぇ、あなた、なんか、私の母校、沼津にある静真が閉校の危機みたい・・・。あの学校は沼津の中でも名門中の名門なのですが、この前の金融危機(リーマンショック)で静真のスポンサーが撤退したから存続危機が起きたみたい・・・。私、自分の母校がなくなるの、嫌なんです。なんとかなればいいのですが・・・」

とボソッと口にした。

 と、ここで、木松悪斗、奥さんからの言葉を聞いてあることを考えた。

(私の妻の母校が閉校の危機か・・・。うむ・・・、これって、もしかすると、私の投資グループにとってプラスになるような案件になるかもしれない・・・、特にイメージアップにはな・・・)

そう、沼津でも歴史由緒ある女子高の静真が閉校の危機、それを使えば木松悪斗とその投資グループにとって大きなプラスになるのではと木松悪斗は考えたのである。では、なぜ、それが大きなプラスになるのか。それは静真という学校ブランドそのものにあった。まず1つ目に、木松悪斗のその投資グループのイメージアップにつながる、ということだった。木松悪斗率いる投資グループは長期的な視野で投資をしているわけでなく、逆に短期的な利益を追い求める傾向が強かった。それは自分たちに有利な、そして、短期的利益を追い求めてきたからだった。さらに、その短期的利益といううまい蜜をすったあと、木松悪斗率いる投資グループは買収した企業から手を引く、なんてことがざらにあった。まぁ、無駄なコストを削りに削りスリムになったおかげで立ち直った企業もあるのはあるのだが、ほとんどの場合、手を引いてほどなくして企業そのものが倒産するという最悪の結末を迎えてしまった。そんなこともあり、木松悪斗とその投資グループの一般世間でのイメージはとても最悪であった。それはそのイメージのせいで次女の桜花がまわりからいじめられるほどであった。

 だが、そんな木松悪斗とその投資グループが静真に、それも長期的に投資をしたらどうだろうか。それはかなりのプラスになる、と木松悪斗はそう考えたのだ。学校に投資する、それはつまり、地域貢献につながる、それよりに今ある悪いイメージを払しょくさせるどころかよイメージをもたれる、というのである。それはなぜか。それは学校ほど地域に根付いたものがないからだった。学校はその学校ある地域に住んでいる子どもたちが通うことが多い。また、学校での活動を通じてその学校がある地域は盛り上がる、なんてことが多い、いや、それどころか、その学校がある、というだけで地域としてのイメージがあがったり地域の誇りになったりする。それくらい学校とその学校がある地域の結びつきは強いものである。そして、静真は特に静真がある沼津という地域の結びつきが強かった。静真は沼津にある学校のなかでも長い歴史をもつ由緒ある女子高である。なので、静真は沼津の学校のなかでも名門中の名門であった。また、静真での活動を通じて静真に通う生徒たちは沼津をもりあげてきたのだ。そんなこともあり、静真は沼津に住む人たちにとって地域の誇りという存在、いや、なくてはならない存在であった。それは静真と同じく沼津の郊外の内浦にある歴史由緒ある女子高浦の星にもいえるのかもしれない。

 それはさておき、これらにより、静真がなくなる、それは沼津の人たちからすれば大問題であった。だって、静真がなくなれば沼津に住む人たちにとって大きな痛手になるのだから。だけど、リーマンショックの影響で日本も不景気になっており、あおの世界的企業グループを率いている沼田ですらどうすることもできない、そんなときに木松悪斗がその静真に投資をして静真を救う、となれば、木松悪斗のその投資グループは、沼津という地域に貢献した、そんな(イメージ戦略としては)とてもプラスになることをした、そうほかの人たちから見られるようになる、そうなれば、木松悪斗とその投資グループの悪いイメージは払しょくされ、逆によいイメージを持つようになる、そう木松悪斗は考えたのである。もちろん、よいイメージをもたれる、ということは自分たちの投資活動にもプラスになる。たとえば、株主総会のとき、自分たちの要求が通りやすくなる、といった利点もある。株主総会では株主全員でその企業の物事・施策、しまいには会社幹部の人事すら決めることが多い。そんなとき、木松悪斗とその投資グループが企業側に対しある請求をしたとき、その採決にはある一定の株主の賛成票がないと否決される。もちろん、その企業の株のほどんとを持っていれば木松悪斗とその投資グループ単体で決めることができるのであるが、一般的にはその株の買い占めなんてできないのでほかの株主の賛同が必要となる。だが、自分たちにとって悪いイメージがあるとその賛同が得られず、逆に自分たちの請求に反対する、なんてことが起きてしまう。それを少しでも防ぎたい、そんなことも木松悪斗は考えていた。

 さらに、2つ目として優秀な人材確保であった。沼津のなかでも名門中の名門である静真はそれゆえにかなり優秀な人材が集まりやすい。その一例が静真の才女とも言われている生徒会長の渡辺月であった。なので、今のうちにその優秀な人材を確保したい、それを木松悪斗は狙っていたのである。まぁ、俗にいう、青田買い、である。

 さらにさらに、3つ目、それは木松悪斗の人脈形成、特に沼田との結びつき、だった。木松悪斗自身、これまでこれといった人脈を作ってこなかった。これまでは自分の側近の1人で名家の出身である裏美がもつ人材を使っていたが、これから先、自分の率いる投資グループを大きくしていくには自分も(表面上とはいえ)ある程度の人脈をもつ必要がでてくる、そう木松悪斗は考えていた。で、静真は名門中の名門であるため、ある程度の地位をもった親をもつ生徒たちが数多く通っていた。そんあ生徒の親たちとの交流を通じて木松悪斗自身も自分だけの人脈をつくろうとしていた。また、静真の創立家の末裔であり世界的企業グループを率いている、だけど、今は自分のところで精一杯で静真まで手を回せない、そんな沼田に対し、その沼田の代わりに自分が投資したおかげで静真の閉校の危機を救った、となれば沼田は木松悪斗に対し恩を切るかたちとなる、いや、それがきっかけとなり沼田と強いパイプをもつことができる、そうなれば、木松悪斗とその投資グループはより安泰になる、そう木松悪斗は考えたのである。

 そして、最後に、長女旺夏のためでもあった。旺夏はたしかに将来の日本代表と呼ばれるくらい女子サッカー界において優秀な選手であった。だが、「勝利こそすべて」という考えに固執するあまり、ほかの選手たちを見下したり悪口を言ったりとあまり協調性がなかった。そんな性格の悪さもあってかチーム内で孤立することが多かった。いや、高校に進学しても孤立するのは目に見えていた。そこで、木松悪斗はそんな旺夏のために静真という学校を用意したかったのである。静真に多額の投資をすることで静真を救ううとともに静真を実効的支配、そんななかで旺夏のためだけの女子サッカー部をつくれば旺夏は孤立しなくてすむ、と木松悪斗は考えたのである。事実、それはのちになって静真の女子サッカー部は旺夏のためのサッカー部として作り直されたが、そこで旺夏はわがままし放題だったものののびのびとプレーができ、これまで県大会優勝止まりだった女子サッカー部はインターハイを制覇するくらいにまで成長させることができた。そのことを含めると木松悪斗の長女旺夏に対する愛のいれようは半端ないものだった。

 この4つのことを鑑みて、木松悪斗、静真に投資することを決めた。ただし、ただの投資ではなく・・・、

「いいか、多額の寄付、それを部活動振興のために使え!!」(木松悪斗)

そう、そのほとんどを静真の部活動強化に当てたのである。それはなぜか。それは無限大の好循環を生むから。静真の部活動を強化すれば、その分、優秀な生徒たちが入ってくる、それにより、静真の部活動はかなり優秀な成績を残すくらい強くなる、そうなれば、静真に憧れて優秀な生徒たちが入ってきてはさらに強くなる・・・その好循環が無限に続く、というのである。そうなれば静真の全国での地位はどんどんあがるしそれによって木松悪斗とその投資グループのイメージもどんどんよくなる、と木松悪斗は考えたのである。また、それによって静真に入学する生徒も増えることで木松悪斗の投資なしでも学校経営が成り立つ、いや、それどころか、直接的間接的に自分たちにとって利益になる(イメージアップ、人脈形成など)とも木松悪斗は考えていた。さらに、静真の部活動が盛り上がれば沼津の地域貢献に役に立っている、そのことを大々的に言えるのでは、とも木松悪斗は考えていた。それはつまり木松悪斗にとってみればとてもプラスとなることだった。

 そんなわけでして、静真への投資は木松悪斗とその投資グループにとってローリスクハイリターンというとてもとてもおいしい案件、ともいえた。こんな好条件な案件、後にも先にもない、というわけで、木松悪斗、すぐに静真への投資について自分の投資グループにもちかけ、投資グループの理事全員の承諾を経てすぐに静真に投資という名の寄付を行ったのである。そして、それがはのちになって木松悪斗の思い通りに、木松悪斗とその投資グループのイメージアップ、優秀な人材の確保、人脈形成、沼田とのパイプの構築、旺夏の進学などなど、木松悪斗にとってプラスになることだらけのことが起きる、そんな風になった。また、多額の投資のおかげもあり、なにもできなかった(創立家で静真では名誉職についていた)沼田に代わり木松悪斗が静真のなかでの権力を手に入れることとなったのである。

 ただ、それが原因で静真のなかでは木松悪斗の考え、「勝利こそすべて」、その考えが次第にはびこるようになってしまい、それがのちに浦の星との統合の妨げに間接的な原因となってしまうのですがね・・・。

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