(桜花)
「その後、私は私が集めた仲間たちとともにスクールアイドルグループを結成、圧倒的な強さでAqoursを叩き潰して勝利!!こうして、お父様に認められた私は仲間たちと一緒に花の女子高生ライフを謳歌するのであった。
めでたし めでたし
はい、エンディング!!
ED 「Red Sun」
「太陽のように熱く燃え上がれ!!・・・」
LOVE LIVE!Red Sun Blue Planet
完!!
・・・・・・
・・・」
ピピ ピピ ピピ
「う~、眠たい・・・」
そう桜花が言うと眠たい目をこすりながら起きてきた。そして、目覚ましを止めると、桜花、
「う~、せっかくあのにっくきAqoursを倒すところだったのに・・・」
と残念そうに言う。どうやら、この物語のラスト・・・ではなく、たんなる花の夢オチだたようだ。ただ、この夢オチに、桜花、
(でも、これって、正夢、だよね!!いや、これこそ、私にとって神が与えてくれた輝かしい運命への思し召しなんだよね!!)
となんだかうれしそうだった。これまでは父木松悪斗と姉旺夏から虐げられる毎日を暮らしてきた桜花、だったが、そんな生活からついに抜け出せる、父からようやく認めてもらえる、そんな夢を見たのだから、桜花からみたら、本当に正夢、そんな期待ができる、そう思っても仕方がなかった・・・。
ただ、桜花が見た夢、それが本当に正夢になるのだろうか。もしかすると、逆夢、ではないか、なんてことにならないだろうか。だって、逆夢は大きく成功した夢を見るとその反対のことになりやすい、なんてことをよくいうから・・・。
とはいえ、気分のいい夢を見た桜花は意気揚々とスクールアイドルになるための練習を・・・することができなかった。なぜなら・・・、
(ところで、スクールアイドルになってAqoursを叩き潰す、って豪語したけど、最初、どんなことをすればいいわけ?)
なんと、桜花、父に対して「Aqoursを倒す」と豪語していたのにまず最初からつまづいてしまったようだ。というのも、桜花、スクールアイドルの動画を見ては「音楽の才能がある私なら簡単にできる」と思っていたのだが、いざ、スクールアイドルを始める、となると、桜花、
(でも、どんな練習をすればいいの?まずは歌の練習?それとも、ダンス?)
と最初になにの練習をすればいいのかわからなくなってしまった。そりゃそうだろ!!スクールアイドルは1日にしてならず!!、である。桜花はそんなことを考えずにスクールアイドルになろう、としているのだろう。その点はちょっと浅はかだった、としかいいえないのかもしれない・・・。
そんなわけで、桜花、お昼になってようやくスクールアイドルの練習についてネットで調べることに。でも・・・、
「う~、情報が多すぎてなにをやったらいいのかわからない・・・」
と、桜花、匙を投げてしまった・・・。というのも、ラブライブ!の出場チーム数が5千を超えるほどスクールアイドルになりたい高校生は拡大の一途をたどっていた。そんな女子高生のためにネットではスクールアイドルの練習について書かれている記事があるのだが、スクールアイドルが大人気、ということもあり、その練習についての記事を検索すると何百万もの検索結果が出てくるのだ。ただ、そのなかにはちゃんとしたものもあればちょっと怪しいものがあったりと、玉石混交、なので、桜花、どの記事を読めばいいのか、いや、あまりに多すぎてどの記事を選べばいいのかわからない状況に・・・。
それならばと、桜花、今度は本屋にいってスクールアイドルの本を探すことに・・・。でも、
(う~ん、どの本がいいのかわからない・・・。う~、本。多すぎ・・・)
と、桜花、頭を悩ます。なんと、あまりのスクールアイドル人気でネットと同様に本もたくさんありすぎたのだ。なので、桜花、
(う~、スクールアイドルについて調べるだけで1日が経ってしまった・・・。でも、なにをすればいいのかわからなかった・・・)
と、スクールアイドルを調べるだけで1日が過ぎていくのになにもわからなかったことに桜花はがっかりしてしまった・・・。
そんなわけでして、桜花はなにもできずに・・・、というわけではなく、桜花、その本屋でスクールアイドルの練習について書かれた本を一冊買い、それをもとに練習をすることにした・・・のだが、その本の最初のページに書いていたことについて、桜花、ついツッコんでしまう。
「えっ、「スクールアイドルは楽しむことがすべて」・・・、それって違う!!たとえスクールアイドルだとしても「勝つことがすべて」なんだ!!楽しむことは遊びと同じなんだ!!」
そう、何度言っているのかわからないが、桜花、木松悪斗の娘らしく、かなりの勝利絶対至上主義の持ち主であった。いや、親も親なら子も子である。桜花も父木松悪斗や姉旺夏と同じく「勝つことこそすべて」をモットーにしてきた。まぁ、子の育ちは親の教育の仕方が影響してくるものであり、「勝利こそすべて」という概念でできているとさしつかえない木松悪斗が娘たちに教育すればこの子たちも木松悪斗と同様に「勝利こそすべて」と普通に思ってしまうのもうなずけるものである。なので、自分のお子さんを育てるときは自分の育て方次第で子どものすべてが決まってしまうといっても過言ではない・・・のだが、それによってがちがちに考え過ぎたら今度は親のほうがダメになってしまう・・・ので、あまり考えずにのびのびと育てましょう・・・。
という話は置いといて、桜花はその本についていつもツッコみつつもその本にそって練習を・・・したのだが、その本、どうやら、中級から上級、つまり、ラブライブ!予選突破レベルのスクールアイドル向けに作られた本だったらしく、スクールアイドル初心者である桜花はというと・・・、
「え~と、こうして、ああして、あれっ?ここってちょっとおかしくない?」
と困ってしまうほどその本に載っている練習方法について四苦八苦していた。じゃ、そんな初心者である桜花なら初心者向けの本を買えばいいではないか、なんていう声も聞こえてくると思うが、実は、桜花、父木松悪斗や姉旺夏と同じく、いっちょ前にプライドが高いのだ。なので、初心者向けの本、があったとしても、
(ふんっ、スクールアイドルは誰でもなれるんだ!!そんな初心者向けみたいな本、この私をバカにしているとしか思えない!!)(桜花)
と、桜花、初心者向けの本に向かってバカ呼ばわりしてあげく、初心者向けの本を無視してしまう、そんなことを桜花はしてしまったのである。なので、桜花があのとき買った本は中級~上級向けの本になった、ということになってしまったのである。そりゃ、初心者の桜花が四苦八苦するのもうなずける。
それでも桜花は桜花なりに頑張っていた。いや、それ以上に、練習すればするほどに、
(よしっ!!あとはこうして、ああして、うん、できた!!)
と十分にさまになってきた。いや、スクールアイドルとしてのレベルが急上昇している、そう言い切れるほどに急成長していたのだ。実は、桜花、音楽以外の才能はない、というが、それは父の木松悪斗からみたら、というだけの話であり、実際のところは、音楽以外においても普通の人以上の才能をもっていたのである。
では、そんな桜花が自分の父や姉から虐げられるほど音楽以外の才能がないと卑屈になっていたのか。それは、花の父である木松悪斗と姉の旺夏のレベルがあまりに高すぎて・・・、こほん・・・、父と姉から求められるレベルが高すぎた、より完璧なものを求められていたからであった。父木松悪斗は常に勝利のみを追い求めるよう桜花に強要した。それすなわち、どんな才能もより完璧であることを桜花に強要したのだ。なぜなら、常に勝利するためにはどんな相手であってもその相手を上回るものが必要、と父の木松悪斗がそう考えていたから。そのため、桜花はより完璧になろう、父から求められているレベルになってやろう、と必死になって頑張ってきたのであるが、そんな父から求められるレベルは常人のレベルよりはるかに上、プロ中のプロレベルのものだった。なので、桜花は必死に頑張っても普通の人以上の才能を桜花が持っているにしてもそれ以上のものを追い求めていた父からすれば、そんなもの、認められない、いや、(自分が追い求めていたプロ中のプロレベルに達していない)桜花なんてただのごみくず、としか認められなかったのだ。そのため、自分の求めていたレベルに達していない、そんな桜花のことを父の木松悪斗はただの「役立たず」「ごく潰し」と評しては貶していたのである。
一方、姉の旺夏はサッカーという才能に秀でていた。いや、将来の日本代表とまで言われるくらい、(父の木松悪斗が言うところの)プロ中のプロのレベルにまでに達していたのである。なので、それ以外の才能がなくても父の木松悪斗は長女の旺夏を認めていた、いや、それ以上に、女子サッカーで勝ち続けている、そんな自分が追い求めている娘像、つねに勝ち続ける、それを体現している旺夏のことを木松悪斗は溺愛していたのである。
でも、桜花にも音楽の才能がある、それを父の木松悪斗が認めてあげればいいのでは、とお思いの方もいると思うが、前述の通り、父の木松悪斗は音楽(特に現代音楽)のことをただのお遊びである、と常日頃からそう考えていたため、たとえ、桜花に音楽の才能があっても、その才能がプロ中のプロのレベルであったとしても、父の木松悪斗はそんな桜花なんて認めない、むしろ、音楽以外の才能を、プロ中のプロレベルにするように、常に勝ち続ける、それくらい、木松悪斗にとって理想といえる娘増、そうなるように娘の桜花に強要しているのである。なので、いくら桜花が音楽の才能があったとしても桜花のことを認めずにそれ以外の才能がない(と父の木松悪斗はそう思っている)ということで貶してくるのである。
むろん、そんな父親から育てられた姉の旺夏もそんな桜花のことを父と同様に同じ理由で妹の桜花のことを貶し続けたのである。なので、いくら桜花が音楽以外の才能を普通の人以上だとしてもそれすら認めてくれない、そんな2人だからこそ、この2人は桜花のことをいつも貶し続けては、その都度、桜花は傷つき卑屈になっていくのである。
ただ、今回はそんな父に対して初めてかもしれない、自分の持つ音楽の才能でもって父の木松悪斗の敵であるAqoursを倒したい、そうすることで父の役に立ちたい、認めてもらいたい、その思いで父に進言、それを父から認めてもらった、いや、自分の力だけで勝ちにいく、誰からもなにも言わず、自分の責任でもってやってやる、そんなこともあり、桜花としては初めて誰からもなにも言われずにのびのびと自分のペースでできる、それにより、今まで自分では気付かなかった桜花のほかの才能がようやく開花した、のかもしれない。
そんなこともあり、桜花はその本にそってスクールアイドルの練習を続けることで、
(あっ、これもできた!!やっぱり、私って天才!!)
と、これまで感じることができなかった達成感を体いっぱいに感じていた・・・のだが、ここで、桜花、ある問題にぶつかってしまう。それは上級者向けの練習をしているときのことだった。その本を見て、桜花、ある疑問が浮かんだ。
(え~と、カノン?なにそれ?どういう意味?それってどうすればいいわけ?)
そう、桜花はその本に出てくる擁護について、なんの意味なのか、それってどうすればいいのか、わからなかったのだ。実は、桜花、初級どころか傷心者レベルの練習をせず、いきなり、中級、上級レベルの練習から始めたものだから基礎部分のところがあまり固まっていなかった。いや、その基礎部分が全然できていなかったのだ。ただ、それでも桜花がこれまで中級上級レベルの練習ができていたのは桜花が普通の人以上の才能をもっていたから、なのだが、それも通じないところまできてしまった・・・、桜花は壁にぶち当たった、というわけである。あっ、ちなみに、「カノン」とは、ダンス用語で「1つのステップを複数の人間で拍数をずらしながら踊る動作」のことである。
でも、これでも、桜花、現代っ子である。すぐに「カノン」の意味を調べ、「カノン」の意味を知り、自分でもそれをやることにした・・・のだが、桜花、あることに気付いてしまう・・・。
(カノン・・・、これって複数人でするものだよね・・・。私、今、たった1人・・・。それに、それ以上に痛感した・・・、私・・・、基礎部分ができていない・・・。それってやばいことじゃないかな・・・)
そう、ようやく桜花は自分にとって足りないものが2つあることに気づいたのである。
1つ目は基礎部分。前述の通り、これまではこれまで隠されていた桜花の才能によって中級・上級レベルの練習を続けることができた。だが、それすらつうじないところまできたのである。なので、スクールアイドルに限らず、どの分野においてでもとても大事な部分である基礎部分をどうにかしないといけない、そう桜花は痛感したのである。
そして、もう一つは・・・、そう、仲間である。スクールアイドルは1人、つまり、ソロでもできる。だが、仲間がいれば表現の幅が広がる。そうすればソロよりもダイナミックなパフォーマンスができるのである。むろん、仲間がいれば、その分、カノンみたいな複数人が必要なダンス技術もできるし、なりより、Aqoursの「MIRACLE WAVE」で千歌以外がみせた「ドルフィン」といった高度なダンス技術を駆使してよりダイナミックにみせることができたりする。だが、今の桜花にはそんな仲間なんていない、たったひとりである。なので、1人でできることには限界がある、そのことに桜花は気づいたのである。もちろん、仲間がいれば、その分、その仲間たちとの息を合わせないと逆に悪いパフォーマンスになる、それはより高い技術を要求されるパフォーマンスになればなるほど失敗する確率も高くなる、といったハイリスクを抱えることにもつながってしまうのだが、そんなことなんて考えず、桜花、ついにこんなことまで考えてしまった・・・。
(私にも仲間が欲しい。いや、私に欠けている基礎部分を補いつつも仲間とともにより高いパフォーマンスをみせる、それくらい万全の態勢でもってAqoursに勝ちたい!!)
そう、桜花は、今、自分に足りないものを追い求めたい、そんな思いでいっぱいだったのである。