そして、その松華の予想は現実のものになってしまった・・・。1週間後、五月晴れのなか、函館港に浮かぶ記念艦「摩周丸」の航海甲版に設置されたステージの前には多くの観客が集まっていた。そのためか、RedSunの3人とも、
(う~、初めてのステージだから緊張しっぱなしだよ~。ほ、本当に、だ、大丈夫、か、かしら・・・。うぅ、やっぱり逃げたいよ・・・)(梅歌)
(なんか梅歌を見ていると私も緊張してしまう・・。3人の思いはバラバラ・・・以上に・・・この緊張のなか・・・最後まで・・・ライブ・・・できるのかな・・・)(松華)
(ふ、ふん・・・、だ、大丈夫・・・。こ、こんなの・・・、た、たいしたことなんてない・・・。ぜ、絶対に・・・、か、勝てる・・・)(桜花)
とかなり緊張していた。とはいっても、3人にとってそれが当たり前のこと、だったのかもしれない。だって・・・、
3人とも、スクールアイドルとしては初めてのステージ
なのだから。これまで桜花たちRedSunは誰の手も借りずに自分たちだけで練習を必死になっておこなっていた・・・だけであった。そう、桜花たち3人はこれまでステージに立ったことがなかったのである。むろん、今日の本番に向けての練習はかなりしてきた。だが、それは観客たちなんていないものであった。そのため、桜花たち3人は、今日、たくさんの観客たちの目の前で、初めて、人の目の前で、ライブを行うのである。人の目の前での初めてのライブを行う、それは普通の人からすれば(これまで経験したことがないために)緊張してしまうものである。いや、桜花たち3人からしたらあまりの観客たちの多さにかなり緊張しているのだろう、ライブが始まる前であっても・・・。これではいくら練習したとしても本番で自分たちの実力を十分発揮できないものである。いや、桜花たち3人は緊張という名の悪魔に支配されていたのである。
そのためか、理亜たち2人の次のステージに呼ばれていた桜花たち3人はステージに移動したものの、
「こ、これが、ステージなの・・・。な、なんか逃げ出したい・・・」(梅歌)
「う、うん、梅歌の言う通り・・・」(松華)
「ふ、ふん・・・、だ、大丈夫・・・。わ、私たちが・・・、登場した・・・から・・・、か、勝ったのも・・・同然・・・」(桜花)
と誰から見ても桜花たち3人はかなり緊張している、とわかるほどだった・・・。
そして、桜花たちRedSun、初めてのステージ・・・だったのだが、桜花たち3人と同じく今日が初めてのステージ、だった、理亜の相方、花樹も、
(花樹と同じく初めてのステージに立つ、そんな感じがする・・・)
と思われるくらい・・・、いや・・・、
「こ、これが、ステージなの・・・、な、なんか逃げ出したい・・・」(梅歌)
「う、うん、梅歌の言う通り・・・」(松華)
「ふ、ふん・・・、だ・・・、大丈夫・・、わ、私たちが・・・、登場した・・・から・・・、かっ、勝ったのも・・・当然・・・」(桜花)
と誰から見ても桜花たち3人はかなり緊張している、とわかるほどだった・・・。
そして、桜花たちRedSunの初めてのステージ・・・だったのだが、桜花たち3人と同じく今日が初めてのステージ、だった理亜の相方、花樹も、
(花樹と同じく初めてのステージに立つ、そんな感じがする・・・)
と思われるくらい・・・、いや・・・、
「うぅ、あまり体が動かないよ・・・。いくら才能があっても肩の力を抜いて・・・なんてできないよ・・・」(梅歌)
「梅歌と同じく・・・、ほ、本当なら、このステージ、大丈夫・・・、なのに・・・、多くの人たちから見られると・・・、私・・・、足がすくんでしまう・・・」(松華)
「2人ともしっかりしなさい!!ここからRedSunの輝かしいみ・・・未来が・・・始まる・・・のです・・・。だからこそ・・・、しっ・・・、しっかりしな・・・しなさい・・・」(桜花)
と、「Aqoursに勝った!!」と理亜たちに豪語していた桜花すら空元気のあまり言葉にキレがない、それくらいの緊張状態が続いていた・・・。
だが、それでも時間は待ってくれない。桜花たちがステージ中央んいつくと同時に「RedSun」の曲が流れ始める・・・のだが、桜花たち3人からすれば、不意打ち、だったらしく、
(えっ、私のポジション、どこ!?)(梅歌)
(う、梅歌、そこは私の!!)(松華)
(えっ、曲、始まったの!!)(桜花)
と、自分の決まったポジションについてないあまり、さらに焦り始める。そのためか、
「え~と、、ここじゃなくて・・・」(梅歌)
「そこっ、私のポジション!!」(松華)
「2人ともしっかりして!!」(桜花)
と、なにをやっているのかわからなくなってしまうくらい右往左往していた・・・。
むろん、このままの状態で歌い始めたのだが、そこは練習をしっかりしていたためか、それとも、もとから持っていた3人のポテンシャルの高さ(特に桜花)なのか、普通のスクールアイドルとしては立派なステージ、といえたが、それ依然に、
(私はAqoursみたいなスクールアイドルとして活躍して輝きたい!!そんな思いでこのステージを駆け抜ける・・・はず・・・)(梅歌)
(う~ん、なんか、梅歌、必死になってパフォーマンスしている感じ・・・。だからこそ、私もそんな梅歌のアシストを・・・できるのかな・・・)(松華)
(絶対に勝って・・・勝って・・・勝って・・・やる・・・)(桜花)
と、3人ともこのステージにかける思いは点々バラバラだった。そこに始まる以前からあった緊張による焦りも加わり、3人のパフォーマンスはその思いの違い以上にバラバラだった。もちろん、それはラブライブ!決勝出場経験がある理亜からしても、
(スクールアイドルとしての基礎ができていない・・・。いや、むしろ、私と姉さま(聖良)がルビィたちと初めて会ったときのルビィたちの方が(あの娘(桜花)たちよりも)上だと思う・・・)
と思えるくらい、「スクールアイドルの練習をしています」、それ以上のものは感じさせていなかった。そのためか、桜花たちRedSunのパフォーマンスを見ていた観客たちのなかには雑談を始めたりあくびをしてしまう者が続出してしまう・・・。それは「RedSunの3人に対して関心が持てない」、そんな観客たちの意思表示、だったのかもしれない。だが、それでも3人は最後まで、自分たちなりにの頑張りでこの曲をやり遂げようとしていた・・・。
そして、曲がついに終わった・・・、その瞬間、
(ふんっ、最後までやり切ったわ!!これで、勝利、間違いなし!!)
と、桜花、なぜかかっこよく決めつつ理亜や観客たちに対し、
「ど・・・どうよ!!私たちにひざまづけ!!」
と発言するも観客たちからは拍手はまばら。これには、梅歌、
(や、やっぱり、私たちのパフォーマンス、ダメダメだったんだ・・・。これじゃ輝いたことにならないよ・・・)
と自分たちのパフォーマンスが観客たちから認められなかったことにがっかりしたのか、
「うぅ、やっぱりだよね・・・。私たちの子どもじみたパフォーマンスじゃ・・・」
と泣きだしそうになると、松華、
(うぅ、私、梅歌のサポートができませんでした・・・。なんか悔しいです・・・)
と梅歌の役に立てなかったことを悔やんでか、
「もう少し練習すべきでした・・・」
と反省の弁を言ってしまった・・・。
だが、そんな2人に対し、桜花、
(大丈夫ったら大丈夫!!だって、私たちは・・・)
となぜか強気・・・、いや、自分のなかに残っていたわずかな自信をもって・・・、
「2人ともしゃっきりしなさい!!私たちの圧倒的なパフォーマンスで・・・」
と力強く言うも、このとき、桜花、
(えっ、観客のみんなは私たちに冷たい目線をなぜ送るの・・・)
と、観客たちからの目線に戸惑いを感じる。そう、桜花は、今、気づいた、観客たちから冷たい目線が送られていることに・・・。観客たちは、「あのAqoursを倒した」、と豪語していたRedSunの素晴らしいパフォーマンスを見にここまで来ていたのである(むろん、理亜たちのパフォーマンスもね!!)でも、蓋を明けてみるとRedSunのパフォーマンスは初心者レベル・・・、「練習してきた」、それくらいのパフォーマンス、だった。これでは期待外れである。そのためか、観客たち、そんな桜花たちRedSunに冷たい目線を送っていたのである。
そんな観客たちからの冷たい目線に負けたのか、桜花、
「だ、大丈夫・・・。あ、あちらも・・・、初めてのステージ・・・だと、思う・・・」
と覇気のない声を出してしまった・・・。いや、このとき、桜花はある期待をしていた。それは・・・、
(だ、大丈夫・・・だよ・・・。だって、理亜の相方も私たちと同じ初心者・・・だから・・・)
そう、理亜の相方である花樹も桜花たちと同じくこのステージがスクールアイドルとしての初めての、いや、生まれて初めてのステージ、であった。そのため、今の自分たちと同じく緊張のあまりうまくパフォーマンスが出来ずライブは失敗する、そう、桜花は期待・・・、いや、わずかなの望みに期待していた・・・。
だが、理亜・花樹組のパフォーマンスはいい意味で、桜花としては悪い意味で期待を裏切ってしまった・・・。2人のパフォーマンスを見て、梅歌、
(こ、これが本気のスクールアイドルのパフォーマンス・・・。それに比べて私たちのパフォーマンスは・・・)
と唖然となるとともに、
(あの2人のパフォーマンスを見て梅歌が白旗をあげた・・・。でも、その梅歌の気持ち、わかります。だって・・・)
と弱気になっては、
「梅歌、しっかりして・・・、って、言いたいけど・・・、私もあの2人のパフォーマンスを見たら、私たち(のパフォーマンス)、素人じみたものだと感じて自信を失いそうです・・・」
とこちらも白旗をあげてしまった。
そう、理亜と桜花のパフォーマンスは桜花たちRedSunの何十倍、いや、これぞ本気のスクールアイドルのパフォーマンスともいえるくらいのパフォーマンスであった。いや、それくらい2人の息はピッタリだった。
では、なぜ2人の息がピッタリだったのか。それには2つの理由があった。1つは桜花たち3人の思いがバラバラだったのに対し、理亜と花樹は一緒の思い、「打倒、RedSun」に燃えていたからだった。理亜はAqoursのルビィたちからRedSunからひどい仕打ちを受けている、そんことを聞いて、花樹は花樹にとって憧れの存在であるAqoursを桜花たちから貶された、それらにより、理亜と花樹はそんな桜花たちRedSunを倒してAqoursの敵をとる、2人の思いはそれでいっぱいだった。そんな同じ思いだからこそ、理亜と花樹の息がピッタリだったのである。だが、これがのちに理亜と花樹の思いがすれ違うもとになるのですがね・・・。
そして、もう一つは、理亜というスクールアイドルの先生がいたことであった。理亜はラブライブ!決勝に進出するくらいの実力と経験をもっていた。なので、花樹はその実力と経験をもつ理亜からスクールアイドルとしてのいろんなものを短期間のうちに吸収したのである。そのため、たしかに花樹は桜花たちと同じくスクールアイドル初心者であるが実力としては桜花たちの何十倍も上、といえた。なので、梅歌と松華が白旗をあげるほどの圧倒的なパフォーマンスを理亜と花樹は繰り広げたのである。
ただ、それでも、桜花、少しでも踏ん張ろうとしていたのか、
「2人ともしっかりして!!」
と空元気をだしては梅歌と松華に活を入れようとするも、
「こ、ここで音をあげたら・・・、お、お父様が許さない・・・のだから・・・」
とすぐにトーンダウン。それでも、
「だ、だからこそ・・・、ここで・・・、踏ん張らないと・・・」
と少しでも活を入れようとしていた・・・。
だが、それでも、理亜と花樹の圧倒的なパフォーマンスをまえに、桜花、
(ぜ・・・、絶対に・・・、大丈夫・・・な・・・はず・・・だよね・・・)
と、わずかに残っていた自信すら喪失しそうになっていた・・・。
そして、結果発表・・・。
「勝者は・・・聖女スクールアイドル部、理亜・花樹組!!」
圧倒的な大差で理亜たちが勝ってしまった。これには、桜花、
(なんで・・・、なんで・・・、私たちが負けるの・・・。スクールアイドルって・・・音楽の才能がある私なら簡単に勝てるはず・・・。なのに・・・なんで・・・負けてしまったの・・・)
と、負け、という辛い現実を突きつけられて困惑してしまう。いちかばちかのつもりで、勝つこと前提で部活動費全部を使ってわざわざ北海道函館に遠征に来た桜花たち、だったが、そこで待ち受けていたのは、大敗北、という「勝つことこそすべて」、父木松悪斗譲りの考えをもつ桜花にとってとても辛い現実であった。そのためか、桜花、
「うそでしょ・・・。なんで負けたんだ・・・。勝つ自信はあった・・・。だって・・・、私たちなりに練習してきた・・・。相手にも初心者はいた・・・。なのに・・・、なんで・・・、なんで・・・、なんで・・・、敗れたんだ・・・」
と悔し涙を流していた。それくらい桜花にとってみれば青天の霹靂だったのだ。
だが、そんな桜花に対し追い打ちをかけるかのように理亜から冷たい言葉が投げかけれれた。
「木松桜花(はな)、あなたもスクールアイドルの練習をしてきたと思うけど、私は、いや、私たちは、いや、ルビィたちAqoursを含めて、あなたたち以上に練習をしてきた!!そのことすら知らずに、ただ、「自分こそ勝者なんだ」と高をくくっていたなら、その考えは捨てるべき!!あなたの思っているくらいスクールアイドルは甘くないのだから!!」
今の桜花にとってみれば傷口に塩をたくさん塗りつけるくらいの言葉、なのだろうか、桜花、思わず、
(いや、私には音楽の才能がある!!それに簡単に勝てると思っても練習を積み重ねてきたはず!!そんなこと、言われる筋合いはない!!)
と、ついかっとなったのか、理亜に対し、
「そんなもの、関係ない!!私は私なりに頑張ってきたんだ!!そんなことを知らずにこの私に文句を言うな!!」
と反論する。
だが、弁尖の方も理亜が一枚上手だった。「自分は頑張った」、そう言い張る桜花に対し、
「桜花、それは単なる自己満足でしかない!!私も、ルビィも、みんな、あたな以上に頑張ってきたんだ!!それを知らずにただたんに「勝てる」なんて思わないで!!」
と桜花に一喝しては論破・・・するだけでなく、とどめをばかりに怒りに満ちた言葉を桜花に言い放った。
「桜花、いくら、父親である木松悪斗のためにRedSunを作ったとはいえ、これ以上、ルビィたちを・・・、Aqoursのことを・・・、バカにしないで!!その言葉を今すぐ訂正しろ!!」
だが、この理亜の言葉に、桜花、ついにあることを思いだす。それは・・・、
(私の父のため、私がRedSunを作った・・・。それは違う・・・。私は・・・、私は・・・、桜花は・・・、父から認められるために・・・、父にとって天敵であるAqoursを倒して父から認められるために・・・、Redsunを・・・作ったんだ!!この函館遠征だってRedSunの実力を上げるためのコーチを雇ってほしい、そんな思いからしたこと・・・。なのに、なのに、なんで、なんで、父のため、いや、親父のため、なんてことをいうの!!)
これは理亜の言葉に対する桜花の怒りの思いであった。桜花からみれば、「勝利こそすべて」、そんな考えを持つ父、木松悪斗から姉の旺夏みたいに認めてもらいたい、そのためにRedSunを作ったのであり、この函館遠征もRedSun強化のための資金を父から捻出してもらいたいために行ったもの、であった。それを理亜は「父のために」という一言で片付けてしまったのである。なので、そのことを桜花は怒っているのである。
そして、それは言葉として桜花から現れた。
「別に親父のためにRedSunを作ったわけでもここに来たわけじゃない!!これは私が親父から認めてもらうためにRedSunを作って自分たちの手でここまでやってきたことなんだ!!それなのに・・・、それなのに・・・、私にいろいろと指図するな!!軽蔑するな!!」
この桜花の言葉にさすがの理亜もたじたじになってしまった。自分が考えていたこととは違う思いを桜花は持っていた、それによって理亜は唖然となってしまったのだ。
そんな理亜の姿に、桜花、ついにあることを決断した。
(う~、負けが確定した以上、ここにいては自分たちの傷口がさらに開いてしまうのは必然。ならば、ならば、この言葉は使いたくありませんが・・・仕方ありません。ここは・・・)
と思った桜花、すぐに梅歌と松華に対しこう命令した。
「梅歌、松華、今すぐ、この場から立ち去ります!!今一度、静真で力を蓄えるのが一番です!!戦略的撤退です!!」
戦略的撤退、桜花はあくまで「負け」を認めず、「戦略的撤退」という言葉でこの場から去ろうとしていた。それはどこかの旧日本軍が使っていたような言葉、であるが、意味としては「全体の戦況をみて最終的に勝利を収めるために極致的な戦場においていったん撤退すること」をいう。それを桜花は使ったのである。そのため、桜花はまるで逃げるかのように、いや、戦略的撤退するためにその場から去ってしまった・・・。むろん、これには。梅歌、松華、ともに、
「ちょっと~~、桜花ちゃん~~、待ってよ~~」(梅歌)
「あっ、もう~、それでは、理亜さん、花樹さん、2人ともさよならです。また、どこかでお会いしましょう。って、2人とも待って~」(松華)
と桜花を追うようにその場から去ってしまった。
だが、このとき、梅歌、松華、ともに桜花の今の姿を見てこう思ってしまう。
(父親から認めてもらいた・・・。それくらい、桜花ちゃんは苦しんでいるわけ・・・。それってどういうわけ?)(梅歌)
(あの桜花さんが父親のことで苦しんでいる・・・。そのためにRedSunを作った・・・。私たちはそれに巻き込まれた・・・わけ?桜花さん、なにか隠しているのでは・・・)(松華)
そう、梅歌は梅歌で桜花のことを心配そうに、松華は松華で桜花のことで疑心暗鬼になっていたのだ・・・。