高海千歌、この名を聞いただけで、木松悪斗、こう叫ぶ。
「なんだって!!お前があのにっくき相手のAqoursのリーダーだと!!笑止千万!!どうみてもおちゃらけしたやつだ!!」
と、千歌のことをバカにする木松悪斗。これにはさすがに千歌も・・・、
「笑止千万?私、お笑いなの?」
ドテッ!!
いやいや、千歌さん、バカにされているのですよ・・・、って、四字熟語の意味を知らない千歌の代わりに、
「千歌ちゃん、実はね・・・」
と梨子に千歌に対し木松悪斗の四字熟語の意味を伝えるとようやく・・・なのか、
「なんで私のことをバカにするの!?」
と激おこになった・・・、そのためか、木松悪斗、
「う~、なんか調子を狂ってしまう・・・」
と千歌に言うことに対し嫌気がさしていた・・・。
だが、ここからが千歌のターンだった。千歌、木松悪斗に対し激おこのまま、言いたいことを言う!!
「それはそれとして・・・、なんで桜花ちゃんのの頑張りを認めてくれないわけ!?桜花ちゃんは千歌たちに勝ちたいためにきつい練習をしたんだよ!!そのおかげで、千歌たち、Aqoursが負けるかも、と思えるくらいにまで急成長したんだよ!!千歌たちは新曲をぶつけてきたから勝てたけど、もし、そうじゃなかったら、もしかしたら、千歌たち、負けていたかもだよ!!その努力を認めないなんて、親、失格だよ!!」
この千歌の言葉に、木松悪斗、応戦。
「それがどうしたっていうんだ!!負けたんだから価値がない、って言えるんだ!!それが私の価値観であって、同時に、世界のことわり、なんだぞ!!」
それでも、千歌、負けない。千歌、ここぞとばかりに反論する。
「それって違うと思う!!だって、ただ勝つことだけを考えていたら、人間、おかしくなっちゃうよ!!勝つことだけを考えるとね、人として大切な心がダメになるんだよ!!それどころか、人として大切な情を捨てることになるんだよ!!木松悪斗がいう「勝つ」ってね、それを指し示しているんだよ!!」
確かに千歌の言う通りかもしれない。木松悪斗が言う勝利というの、完全勝利、相手からすべてを奪う勝利、ただ勝つことだけのことを言っている。それは人として大切な心すら無視した勝利、どんな手でも勝ちにいく勝利、そのものだった。そんな勝利から生まれるもの、それは、負・・・、なのかもしれない。なぜなら、そこには心というものがなく、逆に憎しみや悲しみ、といった負のものが生み出されるだけ、だからである。勝者は勝ったことで栄光を得るが、それに加えて敗者から恨みや憎しみをかうことにもなる。また、敗者は負けたことですべてえを失うことになり、それによって相手に対し恨みや憎しみを持つようになる。本当になにも生まず、逆に負だけが生まれる、それが、木松悪斗がいう勝利、相手からすべてを奪う、そんな勝利の弱点であった。それをまさに千歌がずばり指していたのである。
それでも木松悪斗は負けない。なぜか立派なことを言う千歌に対しさらに反論!!
「私が求める勝利、完全勝利、こそこの世界のことわりなんだ!!情がなんだ!!心がなんだ!!経済、特に闘志においてはそれが一番重要なんだ!!取るか取られるか、0か1か、それしかないんだ!!」
そして、木松悪斗は桜花の方を指さしながらこう言ってきた。
「そして、この「ごく潰し」(桜花0
は「Aqoursを叩き潰す」とごうごうしていたのだが、そのAqoursに負けたんだ!!それ、すなわち、敗者、いや、「役立たず」「ごく潰し」、なんだ!!お前なんてもう知らない!!さっさとこの場から、私のもとから、去れ!!はやく去れ!!」
これには、桜花、ふたたび自分の親から言われたためか、
「うぅ・・・、やっぱり、私、たんなる、「役立たず」「ごく潰し」、なんだ・・・。それって、私、もういらないんだ・・・」
と泣きながら下を向いてしまった、いや、さらに絶望してしまった・・・。
ところが、ここで桜花のまわりになにかが起こった。それは・・・、
「って、なんでAqoursのみんさんが私たちのまわりを取り囲んでいるの?」(梅歌)
「Aqoursのみなさんはなにをするつもりでしょうか?」(松華)
と、絶望する桜花のそばにいる梅歌と松華が驚いてしまうのだが・・・、そう、桜花を守るようなかたちでAqoursのメンバー6人が桜花たち3人のまわりを取り囲んだのだった。
このAqoursメンバーに対し、桜花、こんなことを尋ねる。
「なんで・・・、なんで・・・、私みたいなごく潰しを守るの・・・。私は敗者・・・、役立たず・・・、ごく潰し・・・、なんだよ・・・」
だが、それに対し、Aqoursメンバーがこう口にする。
「たしかに今さっきまでは戦っていたずら」(花丸)
「でもね、戦ってわかったことがあるわ。それは、あなたもスクールアイドル、いや、ヨハネのリトルデーモンってことよ!!」(ヨハネ)
「リトルデーモン・・・は置いといて(「置いとかないでよ!!」byヨハネ)、私たちに対し善戦した相手をここで失うわけにはいないわ!!」(梨子)
「そうそう、私たちに対して全力前進してきた相手だからこそ、私たち、Aqours、その相手である桜花ちゃんたちを助けたいんだ!!」(曜)
「なんか、にっくき悪者からお姫様を助けるみたいでかっこういいね、私たち!!でも、それくらい、木松悪斗というおっちゃんは悪者なんだ!!」(千歌)
だが、ここにきて、木松悪斗からも応戦が・・・。
「ふんっ、弱い者同士、集まったからといってこの強者である、いや、絶対的勝者である私たちに勝てるわけないでしょうが!!」
と言ってきたのは木松悪斗のもう一人の娘、旺夏、だった。旺夏も静真の部活においては権力者、王者だった、そのことをここでも発揮しようとしていた。
だが、そんな絶対的勝者である木松悪斗・旺夏親子はあることに気付いていなかった。それは・・・、
「お前たち、父娘なんて知ったことか!!この静真において恥でしかないわ!!」
「ここはAqoursのライブ、なのよ。そんなAqoursどころか、(スクールアイドル界において王者である)Aqoursに善戦したRedSunをバカにするなんて、許せない!!」
そう、ここはAqoursのライブ会場なのである。なので、木松悪斗・旺夏親子の味方なんて誰もいない、いや、Aqoursのライブに見に来ていた観客たちみんががAqoursだけでなく桜花たちRedSunの味方だったのだ。と、いうのも、最初のころは観客たちみんなからみたならRedSunはAqoursの敵、木間拓斗の手先、としかみられていなかったのだが、RedSunのパフォーマンスを見て、
「これってすごいスクールアイドルなのでは・・・」
「あのAqoursに勝とうとしている・・・、それくらい真剣なパフォーマンスをしている・・・」
とAqoursの完コピとはいえ圧倒的なRedSunのパフォーマンスに度肝を抜かれた上で、そんなAqoursに善戦したにも関わらず自分の親から「役立たず」「ごく潰し」と言われた桜花のことを、
「なんていう娘だったの・・・。まさか、彼女にそんな過去があるなんて・・・」
「そのことを聞いたら、なんか、あの娘、不憫に思うよ・・・」
と逆に桜花のことが哀れに思ったのか、その桜花を蔑んだ父娘に対し観客たちは牙を向いたのだ。
こんな2千人以上の敵から敵視された木松悪斗・旺夏親子、そんな敵たちに対し大声を散らす。
「いいか、お前たち、私に歯向かうなら、この場で断罪してやる!!この圧倒的な王者である私からすればお前たちなんてたった一言で消し飛べるんだ!!その言葉を言おう、「お前たち、全員、地獄行きだ!!」まずはお前たちの仕事場などを調べ辞めさせるように私が動けば・・・」
だが、ここである大男がステージに・・・、
ドーン!!
となぜか高いところから降り立つと木松悪斗に対しこう言い放つ。
「お前にその権限なんてない。いや、今のお前は絶対的勝者でない。ただの犯罪者だ!!」
この大声を聞いてか、木松悪斗、その大男の名を叫ぶ。
「沼田め!!」
そう、ステージに降り立った大男こそ、静真の陰の神であり世界的企業沼田グループを引っ張る、あの沼田であった・・・。
その沼田は木松悪斗に対しこう言い放つ。
「お前にこの者たちの運命なんて決めることができるのか、いや、できない、反語!!」
そう、いまの木松悪斗にそんな権力なんて残っていなかった。沼田・小原家からの罰により静岡における権力を失くした木松悪斗は今やその権力の源だった静岡にある企業の株式のほとんどを売却しており、名実ともに静岡における権力を木松悪斗は本当に失っていた。いや、それどころか、あのA社における株売買以外利益らしい利益をだしていないため、木松悪斗が率いる闘志グループは赤字続き、木松悪斗以外の出資者もどんどん出資金を引き上げていく、お金もない、そんな状況のなか、そんな権力を振りかざすことなんてできなかった。また、静真においても沼田からのメールで醜態を晒した木松悪斗はそれによって、もしくは、浦の星という新しい風によって木松悪斗を支持する人たちはごく一部になっていた。
でも、そんななかで旺夏だけは威勢を張っていた。だって・・・、
「でもね、私は、この静真の部活をする生徒たちを束ねる部活動連合会の会長です!!その家長にたてつくなんて・・・」
そう、旺夏は静真の部活をする生徒たちを束ねる部活動連合会の会長であった。その会長の権力を使えれば・・・。
だが、ここで、沼田、ある人を召喚する。その人の名は・・・、
「さてと、おい、そこにいるだろう、渡辺月生徒会長!!」(沼田)
「はい、沼田のじっちゃんに呼ばれて参上!!」(月)
そう、静真の生徒たち全体を束ねる生徒会の会長、渡辺月であった。その月は旺夏に対し残酷なことを言う。
「旺夏、悪いのだけど、あなたの連合会会長の権限をすべてはく奪します。といっても、部活動連合会の会長をすでに失職しているのだけどね・・・」
これには、旺夏、納得せず、月にたてつく。
「なんで私が会長の職を失うわけ?そんなの、おかしいでしょ!!」
だが、月は旺夏に残酷な現実を見せつける。
「ごめんけど、部活動連合会の役員の全会一致で決まったことだから・・・」
なんと、月、事前に部活動連合会の役員全員に対し会長解任を迫っていたのである。それは沼田のメールにより木松悪斗が進めてきた勝利絶対至上主義から浦の星の生徒たちが大事にしてきた「楽しむこと、好きなことがすべて」という考えに静真の生徒たちの考えが変わったことにより、部活動連合会のトップである旺夏をその役員たちは古い「勝利絶対至上主義」の考えのまま、その下のものたちはその新しい考えを信じる、そんなねじれが起きていた。ただ、これだと静真の部活に悪影響がでる、ということで月はその連合会の役員たちに対し、自分たちが辞めるか会長をかえるか、その二択を迫ったのである。で、ここは会長を守るために自分たちが辞める・・・わけでなく、自分の職を守ろうと会長を解任することを選んだ、というわけである。まぁ、旺夏自信も木松悪斗の権力にかげりをみせたときから生徒たちからの支持をなくしていたのですがねぇ。あと一応補足ですが、これで自分の職も安堵、と思っていた役員たちですが、新しい会長によってすぐに全員解任されたのですがね・・・。
そんなわけで、旺夏も、
「う、うそ、だよね・・・。私の権力が・・・、権力が・・・」
とただ茫然となってしまう。旺夏にも冬がきたようだ・・・。
と、ここで、木松悪斗、こう考えてしまう。
(このままではあの沼田に後ろ指を指されてしまう。それだけは、そんな屈辱なんて、私のプライドに傷がつく・・・、ならば、ここは去るのみ!!)
そう、木松悪斗にとってみればこれ以上負けという二文字を沼田に晒したくない、そんな思いが強かった。木松悪斗はそれくらい負けを許さないたちであった。経済において、特に投資の世界において負けは破滅を意味する、そう木松悪斗は考えていた。なので、巻けだけは避けたい、そう思った木松悪斗は娘の旺夏に対し、
「ここは分が悪いですね。旺夏、ここは戦術的撤退です!!」
と言っては旺夏を背負って逃げていった。
こうして、木松悪斗・旺夏親子は逃げ出したこともあり、観客席から、
「Aqours万歳」「Aqours万歳」
という声・・・のほかにも、
「RedSun万歳」「桜花ちゃん、よかったね。、あの悪き親子から助かって・・・」
とRedSunを称える声、桜花のことで安心する、そんな声も出てきた。
また、これにより、梅歌、松華、ともに
「もしかして、私たち、助かったの・・・」(梅歌)
「うん、そうみたい・・・」(松華)
と安心しきったのもつかの間、木松悪斗という後ろ盾を失ったことで、桜花、
「でも、そうしたら、RedSunは・・・、スクールアイドル部は・・・」
と心配そうな声をしていた。そう、木松悪斗という後ろ盾を失ったことでスクールアイドル部は存続できるのか、という問題が起きていたのだ。
ただ、それについてはすぐに解決したようだ。だって、Aqoursの高海千歌がこんなことを言ってきたのだから。
「みんな、それに、桜花ちゃん、心配しないで!!千歌たち、スクールアイドル同好会は・・・、桜花ちゃんたちスクールアイドル部と合併します!!そして、新生スクールアイドル部、いや、Aqours withRedSunとして、9人組として活動していきます!!」
まさかの部と同好会の合併、これには観客たちから、
「うそでしょ!!Aqoursに善戦した急成長したRedSunと合併するなんて・・・」
という驚きの声とともに、
「でも、これでAqoursはRedSunという強力な仲間と得たんだ。それってすごいことだよね・・・」
という声が次々とでてくるようになった。
そして、それに呼応してか、RedSunの梅歌と松華もまさか憧れのAqoursと一緒にスクールアイドル活動できることに喜びを感じているのか、
「松華、私、夢、叶っちゃったよ!!まさか、憧れのAqoursと一緒にスクールアイドルができるなんて、一緒に輝くことができるなんて、私、とても嬉しいよ!!」(梅歌)
「梅歌、やったね!!まさか夢が叶うなんて・・・」(松華)
こうして、幻の浦の星99番目の新入生、100番目の新入生は名実ともにAqoursのなかまに、いや、浦の星の仲間になることができた・・・が、その一方で桜花はまだ落ち込んでいた。
「お父様に・・・、お姉さまに・・・、見捨てられた・・・。もう私は捨てられたんだ・・・」
なんと、桜花、自分は捨てられた、そう思い込んでいるようだ。実は桜花は自分の父と姉が逃げたことで「父・姉から捨てられた」と思い込んでしまったのだ。そのためか、沼田、月はそんな桜花のことをを思ってか、ただ、
「・・・」
と無言になるしかなかった・・・。
とはいえ、そのことを知らない観客たちは会場になぜか売っていたRedSunのグッズを手に持ち、
ウォー
と盛り上がっていた(・・・って、千歌、それを見越してRedSunのグッズを作っていたのね・・・)
その後、ライブは終了し、ステージだけとなった校庭に沼田と月の2人だけが立っていた。
「ところで、沼田のじっちゃん、今回の茶番、桜花ちゃんを救うためにやった、とはいえ、ちょっと大げさだったのではないのですかね」(月)
「まぁ、それくらいのことをしないと、あの親子(木松悪斗と旺夏)をだませなかったからな!!」(沼田)
そう、この茶番劇は2人が仕組んだものだった。実は桜花があの父姉から虐げられていたことを2人はもとから知っていた。もちろん、自分のことをあの父姉から認めてもらうためにRedSunを作ったことも・・・。もともとは知らなかったのだが、RedSunとして桜花が活動していくあたりから月と沼田はその裏を調べるようになり、桜花があの父姉から認めてもらうためにRedSunを作ったことをあの2人は知ったのである。
そして、RedSunが理亜たちに負けた、というところから、「このままだと桜花がダメになる」と不憫に思った2人は桜花を救うために千歌と一緒になってこうなるように仕組んだのである。
でも、1つだけ誤算があった。それは、あの桜花が実はかなりの才能の持ち主であり、さらに努力家であった、ということだった。そのため、桜花とその仲間たちはAqoursに勝つために必至になって練習をした、これによって実力を急成長させたRedSunはあのAqoursに善戦した、こらがあのAqours贔屓の観客たちを納得させるだけのものを生み出すとはさすがの2人も思っていなかったようだ。
こうして、計画通り、月と沼田は桜花を救うことができた・・・のだが、2人にしてみれば今の桜花の状況は最悪ともいえた。だって・・・、
「でも、沼田のじっちゃん、桜花さん、「自分の父と姉に捨てられた」と思い続けているけど大丈夫でしょうか・・・」(月)
「それについてはAqoursのみんな次第だからな・・・」(沼田)
そう、2人が救い出すことができたものの、肝心の桜花はあの父姉から捨てられた、と思い込んでいるため、まだ絶望の淵に立たされていた。ただ、これについては、これ以上、この2人が関わることができないため、あとは桜花の新しい仲間となるAqoursのメンバーにゆだねるしかなかった。
まぁ、そんなことを言いつつも、2人とも、
「ボクとしてはいつもの桜花ちゃんに戻ってくれたら嬉しいです・・・」(月)
「私もそうじゃ。いつもの桜花さんに戻ってくれることを祈ろう」(沼田)
と桜花がもとの桜花に戻ることを祈ることにした。
そして、つい、こんなことを2人は言ってしまう。
「そして、いつまでも自分たちだけの考えに固執しているあの父姉にもなにか起きるかもしれませんね・・・」(月)
「たしかにそういえるかもな。「勝利こそすべて」、その考えに固執していたら、きっと、最悪の事態を迎えることになるだろう。だって、あの父姉、木松悪斗・旺夏父姉が追い求める勝利、それは心のない勝利、なにをしても許される勝利、だからな・・・」(沼田)
その後、・・・、
「もう住む家なんてない・・・。家なき子になったんだ、私・・・」
と自分の父と姉に捨てられた、いわゆる勘当状態になっていた、そう思っている桜花はただ1人RedSunの楽屋にて泣いていた。自分の父姉が逃げた形とはいえ、自分の娘を捨てたことには変わらない、そう思い込んでいる桜花にとって住む家すら失ったと思い込んでいた。
そんなときだった。突然、桜花に対し声が聞こえた。
「あっ、桜花ちゃん、どうしたの?」
それには、桜花、すぐに気づきその声の主に対して、
「えっ、誰?」
と問いかけるとその声の主は自分の名を言った。
「あっ、Aqoursのルビィだよ!!」
そう、泣いている桜花に声をかけてきたのはルビィだった。そのルビィは桜花に対しこう言ってきた。
「桜花ちゃん、泣かないで。もし家がないなら、ルビィの家、来る?網元の家だから部屋は余っているの。だからね、桜花ちゃん、ルビィの家に来て!!」
ルビィからのお誘い、これには、桜花、
(でも、私がルビィの家に行ってもお父様とお姉さまに捨てられた身。だから、私がいたって、「役立たず」「ごく潰し」になるだけなんだ・・・)
と未だに自分は「役立たず」「ごく潰し」だと思っているのか、素直に「うん」とも言えず・・・。
そんななか、たまたま、RedSunの楽屋に梅歌と松華が戻ってきた。今まで千歌たちからこれからのことで相談していたからだった。その梅歌はルビィの姿をみて、
「あっ、ルビィさん、どうしたのですか?」
と尋ねるとルビィは今の状況を、泣いている桜花のことをいうと、梅歌、松華、ともに、ルビィにこうお願いする。
「このままだと、桜花ちゃん、「ここで野宿する」、って言ってしまいそうです!!はやく連れて行って!!」(梅歌)
「たしかに梅歌のいう通りかもです。ルビィ先輩、この娘を早く連れて行ってください!!」(松華)
これには、ルビィ、
「でも・・・」
と桜花の意思に関係なしに桜花を連れ出すことに躊躇してしまう。たとえルビィであっても本人意思を無視してまで行動することにはためらいもでてしまう・・・。
だが、そのルビィの言葉に、梅歌、松華、ともに強く反応した。
「たしかに桜花ちゃんの意思を無視できないけど、今は緊急事態なんだよ!!ここは強引に連れていくべきでしょ!!」(梅歌)
「私も梅歌の意見に賛成です。このままだと桜花さんは野垂れ死んでしまいます。はやく、強引に連れて行ってください!!」(松華)
たしかに2人の言う通りかもしれない。このままいけば桜花は絶対にここで野垂れ死んでしまう。それくらい、今の桜花の心は危機的状況であった。それを防ぐためにも桜花を強引に連れていくことが得策だといえた。
そういうわけでして、ルビィ、ついに決める。
「うん、わかった。ルビィ、桜花ちゃんを強引に連れていく!!」
そうルビィが言った瞬間、ルビィ、桜花に対し、
「桜花ちゃん、ごめん!!少し強引だけど、ルビィの家、連れていく!!」
と言うと強引に自分の家に連れ出した。昔のルビィだったらなにかあったら姉のダイヤにいちいち聞くくらいあまりに頼りない存在であった。だが、ルビィはイタリア旅行、そして、今の桜花がらみの件で強くたくましく育ったのである。それはAqoursをしょって立つ精神的支柱になった、ルビィなしではAqoursが成り立たない、それくらいにまでの存在へと変貌を遂げたことを指し示すものだったのかもしれない・・・。
ただ、ルビィの強引さは鬼気迫るものだった。たとえば・・・、
「桜花ちゃん、一緒に、お風呂、はいろう!!」
「桜花ちゃん、一緒に寝よう!!」
それはまるで、ルビィの姉、ダイヤがこれまでルビィにしてきたくらい、いや、それ以上に過干渉であった。
だが、それに対し、桜花はというと・・・、
「もう離して。私は「役立たず」「ごく潰し」なんだから・・・」
と、ルビィの申し出を断ることに。そう、今でも桜花の心はズタボロであった。それはあの戦いが終わってからも続いていた。それくらい、桜花にとってあの戦いのあとの自分の父と姉からの言葉攻めによるダメージは半端ないものであり、それが今でも響いていたのである。
そんな桜花だからなのか、ルビィ、ここは強引に・・・、
「それじゃ、ルビィ、強引にでも桜花ちゃんをお風呂の連れていくね」
「それじゃ、ルビィ、桜花ちゃんのそばにいるね!!」
と強引すぎるほど桜花の意思に関係なくことを進めようとした。いや、それくらいのことをしないと桜花は生きていくことなんてできなかったのだ・・・。