ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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ラブライブ!RSBP 第29話

 そして、またもや松華の悪い予感が当たってしまった。ラブライブ!地方予選以降、

(もっと頑張らないと・・・、もっと頑張らないと・・・、じゃないと、あのショックから、あの思いから、抜け出せない・・・)

と桜花は練習に明け暮れていた。いつもの練習のほかに静真のなかにあるジムでのトレーニング、毎日、Aqoursメンバーや梅歌、松華の倍の走り込みなど、早朝から晩までやっていた。これには、今、一緒に住んでいるルビィから、

「桜花さん、あんまり自分を追い込まないでね」

と心配そうに言ってくるくらいにまでになっていた。ルビィからしたら今の桜花は、今、自分のなかに抱える自分の父や姉に捨てられた、それくらい「役立たず」「ごく潰し」である、という思い、それを振りほどこうと必至になって練習に明け暮れていた、そう感じたのだった。

 だが、そんなルビィの忠告なんて聞かずに桜花はただ、

(もっと練習しないと・・・、もっと練習しないと・・・)

と練習のことだけを考えようと必至になるも、すぐに、

(「お前は「役立たず」「ごく潰し」なんだ!!」

という父の木松悪斗の言葉がフラッシュバックしてくる。これには、桜花、

(私は・・・、私は・・・)

と困惑してしまう。このことが毎日のように、いや、保管しているあいだ、ずっとフラッシュバックのように蘇ってくるのだ。それくらい桜花の心には自分の父親から罵声が深く刻み込まれており、それによって桜花は練習をするほどその父親からの罵声が桜花のあた生のなかで蘇ってくるのだ。

 その言葉の連鎖により桜花の心は次第に、

(そうなんだ・・・、私はなにをしてもダメなんだ・・・。いくら練習しても・・・、ダメな人間・・・、本当に・・・、役立たず、ごく潰し、なんだ・・・)

と自分のことをもっと卑下するようになっていった。

 だが、それでも桜花は練習を必至になって頑張っていた。だって・・・、梅歌の言葉を信じているのか・・・、

「練習に没頭すればきっと桜花ちゃんもその思いをふっきることができると思うのです」

その言葉を信じているのか、練習に明け暮れていた。だが、その都度、頭のなかに鳴り響くのは、父親からの罵声。それで桜花はそれを忘れようと必至になって練習した。でも、そうすれば父親からの罵声が・・・。そんな負のサイクルにより桜花の心と体は次第にズタボロになっていった。

 

 そして、恐れていたことがついに起きてしまった。それは、7月上旬、この日は梅雨ということもあり、雨は降っていなかったものの天気はぐずついていた。そんななか、

「今日は休みにするよ!!このところ、練習ばかりだし、体を休めないとね!!

と、千歌、このところ、ラブライブ!最終予選にむけて練習が続いていたこともあり、今日はお休みにすることにしたのだ。これには、梅歌、

「あぁ、練習、きついよ~!!やっぱりラブライブ!で優勝するくらいはあるよ・・・」

と珍しく弱音を吐くも松華から、

「でも、今が一番楽しいんじゃない!!」

とからかられる。もちろん、梅歌、これにはすぐに、

「うん、とても充実しているし、なんか、私、輝いている!!」

と嬉しそうにうなずく。梅歌にとってRedSunのときよりもきつい練習かもしれなかった。だけど、梅歌にとって、あの春の松華との誓い、Aqoursみたいなスクールアイドルとして活躍し輝きたい、それを、今、叶えようとしているのである、それも、自分が憧れていたAqoursと一緒に・・・。いろいろとあったが結果的には自分の夢を早々と叶えようとしているのである。そのため、梅歌にとって、この時間が、Aqoursと一緒にスクールアイドルをしている、一緒に輝いている、その時間がとても好きだった。

 そんなときだった。突然、隣にいた桜花がこんなことを言いだしてきた。

「それじゃ・・・、私・・・、練習してくる・・・」

それはまるで練習するためだけに生み出されたゾンビのような感じだった。これには、梅歌、

「えっ、桜花ちゃん、今日は練習、お休みだよ!!」

と忠告する。

 だが、桜花、そんな梅歌の忠告なんて聞かず、ただ、

「それでも行く・・・」

とロボットのような言葉を残して部室から去っていった・・・。

 

 その後、桜花は・・・、弁天島神社に上る階段のところで走り込みをしていた。ただ、このときは、

「もっと練習しないと・・・、もっと練習しないと・・・」

と鬼気迫る表情をしていた・・・というのも、階段を上るごとに、

「お前は「役立たず」」「ごく潰し」なんだ!!)

という父木松悪斗の罵声が聞こえては、

(もっと練習してこの声を払しょくしたい・・・。そのためにも、もっと練習しないと・・・)

と必至になってその声を払しょくしようとしても、

「お前は「役立たず」「ごく潰し」・・・、お前は「役立たず」・・・)

という声が次々と聞こえてきたのだ。それは普通ならノイローゼになってもおかしくないものだった。いや、桜花は長いあいだ染みついた父からの怨念に苦しんでいる、そんな感じだった。

 そして、ついにそのときがきてしまった・・・。それは途中の踊り場まであともう少しのところだった。あともう少しで踊り場・・・というところで桜花の頭にある言葉がフラッシュバックしてきた。

「お前は「役立たず」「ごく潰し」なんだ!!だから、お前の母親は倒れたんだ!!)

それは父からの言葉だった。桜花の母親、それは桜花にとって大切な存在だった。父と姉から蔑まされてきたが母だけは桜花の才能を認めていただけでなく、その才能を伸ばそうとして音楽教室に通わせてくれた。それくらい、桜花にとって母は自分の唯一の理解者、と言えた。その母が自分のせいで倒れたとなれば桜花からすれば自分のせいで唯一の理解者である母を失ったことを意味していた。そのためか、桜花、

(お母さん、お母さん、お母さん~!!)

と心のなかで大声で叫んでしまった。いや、それどころか、桜花、天に向かって、

「お母さん~!!」

と実際に大声で叫ぶと手を天に伸ばして母に助けを求めようとしていた、そのときだった。突然、雨が、

ザーザー

と振り出してしまったのだ。そのせいか、桜花、踊り場に足をかけようとした、その瞬間、

ツルッ

と足を滑らせてしまった。その拍子に、桜花、

「あっ・・・」

という声をあげるも、そのまま桜花の体は階段に「ドシッ」とたたきつけれるとまるで大玉のように階段を転がり込んでしまった。これには、桜花、

(痛い、痛い)

という激痛を味わっていた。

 だが、問題はその先だった。このまま桜花が階段を転がりこめばその先は海・・・、なので、どこかで止まらないといけない、が、雨のため、まわりには人がいない・・・、ということで、転がり続けている桜花は、

(もう、私、死ぬんだ・・・。やっぱり、役立たず、の人生だったんだ・・・)

と絶望にちかい思いをしてしまった・・・そんなときだった。突然、

ガシッ

という音が聞こえてくるとともに、

「桜花ちゃん、大丈夫?」

という声がした。その声の主を桜花が見ると声をあげてしまう・・・。

「梅歌・・・、松華・・・」

そう、桜花を助けたのは桜花の仲間である梅歌と松華であった。実は桜花が帰ったあと、梅歌、

「なんか桜花ちゃんを見ていると浦東に大丈夫か心配になっちゃうよ!!」

と心配そうに言うと松華も、

「たしかにそれは言えるかもです」

と激しく同意した。今の桜花なら雨が降っても練習をするかもしれない、そう2人は思ったのである。

 そんなわけでして、梅歌と松華は千歌に対し、

「それじゃ、千歌さんたち、お疲れさまです!!」

という声とともに部室をあとにした、あわてつつも桜花を追いかけるから。ただ、この2人の挙動に、千歌、

「なんか不吉なことが起きるかも。みんな、行くよ!!」

と声をあげると曜たち5人を連れて部室をあとにした。これには、曜、

「もしかして、千歌ちゃんの第6感が働いたかも」

と言っては千歌が危機をサーチしたのではと思うほどだった。

 とはいえ、桜花のあとを追った梅歌と松華はすぐに桜花を見失うも、

「この時間なら弁天島神社の階段を使っての走り込みをする」

ということを知っていたことですぐに弁天島神社にむかったところ、転げ落ちてくる桜花を見つけてはすぐに転げ落ちてくる桜花を梅歌と松華は受け止めたのである。

 そんな梅歌と松華に受け止められた桜花はすぐに梅歌と松華に対し、

「う・・・、梅歌・・・、しょ・・・、松華・・・、助けてくれて・・・ありがとう・・・」

という声をかけると、梅歌は桜花に対し、

「たしかに、私、練習すればいいって言ったけど、それ、やりすぎだよ・・・」

と注意するも桜花はなにも応えることなく気を失ってしまった・・・。

 その後、桜花はすぐに梅歌、松華のあとを追ってようやく3人のもとについた千歌たちによって病院へと搬送されたがすぐにあのレジェンドの2人がいる東京にある大学病院へと転院することになった・・・。

 

 そして、それと同じようなことが桜花(はな)の姉、旺夏にも起きようとしていた。ちょうど、この日、旺夏はインターハイ県予選決勝を迎えてようとしていた。試合が始まろうとしたとき、旺夏は試合に出る選手たちに向かって檄を飛ばしていた。

「いい、ここで勝てばインターハイ本線へと出ることができる!!絶対に勝つからね!!いいね、わかった!!」

それはまるで勝利をみんなに強要しているようだった。というのも、Aqoursの静真ライブによって静真での部活動連合会会長の地位を失った旺夏は残された地位、女子サッカー部部長兼エースストライカーとして部のなかで威張り散らしていたのだ。だが、そのまわりの部員たちは浦の星という新しい風のなか、「勝利」することよりもみんなと一緒に楽しみながらサッカーを好きになる、そのようなことを考えるようになっていた。これでは旺夏とほかの部員たちのあいだで溝ができてしまう。。現に、いくら部長の旺夏が檄を飛ばしてもほかの部員はそんなこと関係なくチーム第一に旺夏以外の仲間とともに一緒に頑張ろうとしていた。

 ところが、実際のこのチームのいつもの戦術はほかの部員たちのやる気なんて関係なかった。この部で一番サッカーがうまいのは日本U-18代表に選ばれたことがある旺夏だった。なので、旺夏なしでは試合が成り立たない、いや、旺夏にボールが渡ればほかの部員なんて信じない、己の力のみを信じる旺夏がさっさと敵陣に殴り込みをかけ点をとる、そんな旺夏のワンマンチームと化していた。

 一方、相手のチームはこんなことが話し合われていた。

「いいか、静真は勝利のみを追い求めてインターハイで優勝した。なら、こちらも勝利に貪欲にならないといけない。あちらは木松旺夏のワンマンチームだ。なら、どうするか?やることは1つだけだ。ごりょごりょごりょ・・・」

と選手たちに秘策を与えていた。この相手はチーム創立して初めて予選決勝に進出したのだが、ここ最近、県外から有望な選手を青田買いし、きつい練習と敵チームの分析により力をつけてきたチームであった。だが、このチームの恐ろしいところ、それは、過去の静真と同じ、「勝利こそすべて」、経過なんて関係ない、勝てばそれでいい、そんな勝つこと優先のチームである、というところだった。

 そして、その選手たちの牙が静真の孤独なエースである旺夏に襲い掛かろうとしていた。旺夏がボールを拾った瞬間、

「くらえ!!」

という声が聞こえてきた。これには、旺夏、

「えっ!!」

ととっさに身をかわす。どうやら、相手の選手が旺夏に対して鋭いタックルをくらわしてきたようだ。ただ、旺夏はなんなくそれを交わすとその旺夏を襲ってきた選手は、

「ちっ」

と舌打ちをしてどっかにいってしまった。

 これにより、旺夏、相手の戦術に気づいた。

(もしかして、私を狙っているわけ・・・)

そう、相手の戦術、それは、徹底的に旺夏を潰すことだった。旺夏が潰されたらあとは軽く料理するのみ。だって、静真の女子サッカー部は旺夏のワンマンチームだから。ほかの部員たちは眼中になかったのだ。

 その戦術がわかった今、旺夏はすぐに主審に抗議した。

「あんなラフプレーは許されるはずないです!!」

だが、主審の答えは意外なものだった。

「木松旺夏選手がそんなことを言いますかね。これまで旺夏選手は同じようなことをしてきました。もちろん、相手の高校も同じことをしています。そう考えると喧嘩両成敗ではないのですかね」

主審の言い分はこうだ。これまで旺夏は勝利することだけを考えていた、そのため、ちょっとしたラフプレーをすることがよくあった。対して、相手も旺夏と同じくことをしている、なら、そんなことをしても別におかしくない、というのだ。でも、これだとけが人だけを生む最悪の試合になってしまう。それでもサッカーの試合においては主審を含めて審判には誰も逆らえない。それだけ審判の試合における地位は高いのである、と同時に、そんな考えがまかり通ってしまうのである。そんなわけでして、まさかの主審からの判定に旺夏は「グー」とうなるしかなかった。

 といった具合に反論を封じ込まれてしまった旺夏は次告ぐくる相手の鋭いタックルに、

「うっとおしい!!」

と怒りながらも次々とかわしていく。これこそ日本U-18代表になった旺夏の真の力だった。

 だが、それは同時に旺夏における人生最大にして最後の見せ場となってしまった・・・、というのも、後半開始語、突然、大雨が降ってきた。これには静真の女子サッカー部の監督はすぐにある選手に対し、

「おい、瑠璃、ウォーミングアップをしておけ!!もしかするともしかするぞ!!」

と言うと監督に瑠璃と呼ばれた選手はこう言った。

「わかりました!!」

 そして、その選手がウォーミングアップをし始めてから5分後のことだった。突然、雨が激しくなる。それはまわりが見えないほどだった。そのため、審判が大事をとり笛を鳴らそうとしたときだった。突然、

「痛い!!」

という旺夏の声が聞こえてきた。これには、主審、

「いったいどうした?」

と旺夏のもとに駆け寄ると、

「うぅ、痛い・・・」

というその場にうずくまる旺夏と、

「私はやっていない!!」「私も!!」

と言い訳を言う相手の選手2人がいた。これには、主審、なにか起きたのか確認するために試合を一時中断するとビデオ判定の係員に試合映像を確認させるとともに旺夏に駆け寄り、

「旺夏選手、いったいどうしたのかね?」

と、旺夏になぜこのようになったのか尋ねてきた。

 すると、旺夏は苦しみながらもこう言いだしてきた。

「うぅ・・・、この2人からタックルを・・・、くらい・・・、ました・・・、ボールを・・・、持っていないのに・・・」

 すると、腹心がタブレットを持ってきて主審にこのときの映像をみせると、

「うわ~、ひどい・・・」

という声を主審は漏らしてしまった。

 一体、どんなことが起きたのか。それは、旺夏がボールをもっていると錯覚した相手の選手2人が(ボールをもっていない)旺夏に対しタックルを仕掛けてきた、というものだった。ちょうど、旺夏の近くにいた静真の選手がドリブルをして旺夏に渡そうとしたのである。その様子を見て相手の選手たちは、

「ここだ!!旺夏選手を潰すぞ!!」

という声とともに旺夏めがけて鋭いタックルをくらわそうとしていたのだ。ただ、これには、ドリブルをしている静真の選手は、

(これだと相手にボールが渡ってしまう!!)

と思い、パスをやめ、ドリブルを再開したのである。これには、旺夏、

(おいっ、私に渡せ!!はやく!!)

と、その選手をにらむもその選手はそれに気付かずにドリブルを続けて敵陣に切り込もうとしていた。

 そして、この一瞬が旺夏にとって命取りになった。ボールをもっていないものの味方からのパスでボールがくるものだと思って止まっていた旺夏、その旺夏に対し2人の選手がタックルを旺夏のところにボールがくると思ってタックルをかけてきた。だが、パスしようとしていた静真の選手がパスをやめてドリブルを再開したところを見て、2人とも、

((えっ、旺夏のところにボールはこないの!!))

と旺夏にボールが来ないことを悟ってはすぐにタックルをやめようとしていた。ところが、このとき、突然、まわりが見えないくらいの大雨が降った。それにより、サッカー場の芝生は大いに濡れ、タックルを仕掛けた相手選手2人はタックルの姿勢をタックルを解除できないどころか芝生に滑るように、タックルの姿勢のまま、旺夏のところに滑ってきてしまった。

 そして・・・、

(えっ、なんで、ボールを持っていないのに、なんで、私に向かってタックルしてくるの!!それも、2人!!)

と自分に向かってタックルを仕掛ける選手2人を見つけた旺夏はこのままではぶつかると思い、ジャンプしてよけようとしていた。普通ならほかの場所によけるところなのだが、旺夏がとっさにジャンプしないといけないと判断するくらいその選手2人は旺夏に近づいていためにとった動作だった。

 こうして、旺夏はジャンプして2人のタックルをよけようとしたとき・・・、ついに起きてしまった、恐れていたことが・・・。旺夏は、まず、利き足である右足を上に上げると軸足となる左足をあげようとした、そのとき、その軸足に選手二人のタックルが旺夏の軸足をはさむかのように同時に決まったのである。さらに悪いことに、芝生が濡れていたため、タックルの勢いが半端ないものになっていた。そのため、旺夏はまるで動くことができないくらいの激痛に襲われていた。いや、誰から見ても痛みが激しいものであるとわかるくらい旺夏は痛み苦しんだのである。

 そのため、旺夏はすぐにタンカーでサッカー場の外へと運び込まれたあと、すぐに呼ばれた救急車に乗って病院に運び込まれた。このとき、旺夏、

「ここで私の戦いは終わってしまうわけ・・・、なんで・・・、なんで・・・、なんで・・・」

と悔し涙を流していった、このあとの運命を呪うかのように・・・。

 こうして、旺夏はすぐに近くの病院に運ばれたのだがその病院では対応できない、ということなのですぐに東京の大学病院へと転院していった。。

 その後、危険なタックルをした、ということで相手の旺夏にタックルをかけた選手2人は一発レッドカードで退場するも、静真側も攻撃の要だった旺夏を失うという大ダメージをもらった。だが、監督はそうとは考えていなかった。監督はウォーミングアップをしていた選手に対しこう命令した。

「それじゃ、瑠璃、いってこい!!ここがお前のスタートラインになるんだ!!」

そう、ウォーミングアップをさせていた選手とは、浦の星でエースストライカーだった瑠璃だった。瑠璃はこれまで浦の星出身の生徒としては唯一の補欠選手としてチームに帯同していた。そして、今、ここに、瑠璃は、静真の選手として初めて試合に立つことができたのである。

 その監督の言葉に、瑠璃、こう答えた。

「わかりました!!浦の星のみんな、私、ここから大空に羽ばたくからね!!」

その言葉通り、瑠璃は旺夏の代わりに大空に羽ばたくかのように次々とゴールを決めていった。実は旺夏以外の選手たちは旺夏のワンマンぶりには困っていた。浦の星という新しい風が吹いて以降、静真の女子サッカー部の部員たちも「勝利こそすべて」という考えから「楽しむこと、好きになることがすべて」という考えへと変わっていった。だが、旺夏だけは「勝利こそすべて」という考えに固執していた。また、旺夏が部長兼エースストライカーだったこともあり、旺夏のわがままにほかの部員たちは頭を抱えるほどだった。ところが、その旺夏がいなくなった今、部員たちは腫れものがとれたかのようにのびのびとフィールドを駆け上っていった。と、同時に、監督の采配も的中、瑠璃を中心としたいろんな戦術、それに加えて、たった9人しかいない相手も、これ以上レッドカードをもらいたくない、ということで防戦一方になったこと、それもあり、瑠璃は次々とゴールを決めていったのである。それはまるで静真の女子サッカー部が生まれ変わった瞬間のようだった。

 こうして、静真高校女子サッカー部は相手に大差をつけて勝利、無事にインターハイ本線へと駒を進めることができた。また、瑠璃は新生として注目を浴びるようになった。この瑠璃の座右の銘は「ボールは友達」という某有名サッカー漫画の主人公の言葉であるが、その言葉通り、瑠璃はインターハイ本線でも大活躍をみせ、静真の女子サッカー部は2年連続の優勝を果たす。また、瑠璃はこの大活躍を認められ、日本代表入りを果たす。その後、瑠璃は世界を相手に大活躍をみせ、日本を2度目のW杯優勝へと導くのはのちの話である・・・。

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