(決めたよ!!曜ちゃんたちAqoursと行動を一緒にする!!)
と、月は心に決めた。
・・・はずだったのだが・・・、4日後・・・。
「・・・と決めたのはいいけど・・・、この4日間、Aqoursのみんなはおろか、曜ちゃんにすら連絡をしていないよ~。このままだと、4月からずっと曜ちゃんと離れ離れになっちゃうよ・・・」
と、月は嘆いていた。実は月、Aqoursと一緒に、静真の創立者の末裔で、実質静真の影の神である、静真のPTA会長の沼田から言われた問い、「部活動とはなにか」「部活動をする上で大事なこととは」を見つけようと心に決めていた。と、同時にある皮算用も月の頭の中には働いていた。それは・・・。
(あと、運がよければ、ラブライブ!という全国大会で優勝したという実力で、統合に反対している保護者たちに浦の星の生徒たちが静真の部活動に参加しても悪影響なんてでないこと、それをわからせれば、分校問題は一気に解決・・・できるはず!!)
この月の考え、いや、皮算用であるが、分校問題が起きた原因、それが、静真に通う生徒の保護者たちがいきなり静真と浦の星の統合に反対したからである。が、実は、浦の星の大スポンサーだった小原財閥が統合先の静真に多額の寄付をしないことに(静真の大スポンサーであり、静真の部活動に参加している生徒の保護者全員を束ねる部活動保護者会の会長の)木松悪斗が激怒してしまい、これまで統合賛成だったのが、その事実を知った2月始め、いきなり、統合反対・白紙撤回へと反旗を翻した、のがそもそもの原因だった。そして、その木松悪斗とその子分である部活動保護者会の幹部たちが保護者たちに、「(部活動に対する士気が低い)浦の星の生徒たちが(部活動に対する士気が高い生徒たちがいる)静真の部活動に参加すると、部活動に対する士気の低下や静真と浦の星の生徒間における対立が起きてしまい、静真の部活動に悪影響がでる」という考えを広めてしまったのだ。さらに、木松悪斗、木松悪斗以上の権力を持ち、静真の影の神である沼田がほかの仕事で多忙であるがゆえに静真に係わる時間があまりないことをいいことに、静真の影の帝王として権力を振りかざしており、(自分が保護者たちに広めた考えによって生まれた)統合反対という保護者たちの声と自分の権力をもって浦の星との統合を白紙撤回に追い込もうとした。が、静真の全校生徒の95%以上もの生徒の統合賛成の直筆署名を集めた月たち生徒会の活躍で、統合そのものは実施されることに決まった。これで木松悪斗の野望も潰えた・・・かのように見えたが、静真の影の神である沼田は、保護者たちの声「統合により静真の部活動に悪影響がでる」をも汲み取る形で、保護者たちが心配している「部活動への悪影響」、いや、保護者の浦の星の生徒たちに対する不信感、それを拭い去るまで、浦の星の生徒たちは沼田が用意した分校に通わせる、分校方式を採用することになった。
で、月はこの決定がなされた臨時理事会のあと、沼田に直接会ったのだが、そのとき、沼田から、「「部活動とはなにか」「部活動をする上で大事なこととは」、その答えを見つければ保護者たちからその心配、不信感を拭い去ることができるだろう」と言われたのだ。
のだが、そもそも、浦の星の生徒たちの部活動に対する士気が低いと静真の保護者たちが見られてしまったのか。その理由だが、それは、全国大会の常連といえる部活を数多く抱える静真に比べ、浦の星の部活は地方予選初戦敗退ばかりという、一種の結果論だけでみられたからだった。「「全国大会に出場するほど実力が高い=士気が高い」静真の生徒、対して、「地方予選初戦敗退ばかりで実力がない=士気が低い」浦の星の生徒」、この構図が静真の保護者たちにあいだで認識されていたのだ(もちろん、この構図を考え出したのも木松悪斗だったりする)。だが、浦の星の部活が初戦敗退ばかりなのはちゃんと理由があった。それは、浦の星の全校生徒の人数が圧倒的に少なく、浦の星の生徒のほとんどが2部以上兼部していたのだ。そのため、1人の生徒が1つの部に集中して練習することができず、それがもとで部全体の実力をできないのだ。結果的にそれが原因で初戦敗退ばかり起きる事態になっているのだ。なので、別に浦の星の生徒たちの部活動に対する士気が低いわけではなかった。むしろ、ラブライブ!夏季大会東海最終予選、浦の星の学校説明会、閉校祭など、なにかあるとそれに対して全校生徒一丸となって(ときどき、浦の星がある内浦の住民全員と一緒に)行動する、そんな行動力、とても熱いハートを持っているのだ、浦の星の生徒たちは。そんな、士気の高い浦の星の生徒たちの勇姿を(部活動に対する士気が低いことで統合により静真の部活動に悪影響がでる、と、心配している)静真の保護者たちに見せることで、その心配、いや、浦の星の生徒たちに対する不信感を拭い去りたい、そんな気持ちが月にはあった。が、初戦敗退ばかりの浦の星の部活を静真の保護者たちの前で見せても、保護者たちが納得してくれるわけじゃない、むしろ、心配、不信感を増大させてしまうだけである。でも、ほかに、保護者たちを納得させられる、保護者たちがもつ心配、不信感を拭い去ることができる、そんな有効な手段を考え出すことができない、そんな思いが、臨時理事会後の月の心の中にあった。
沼田からの問いと共に、静真の保護者たちが持つ心配、不信感を拭い去る手段について悩んでしまった月、そんな月に対して1つの光が降り注ごうとしていた。臨時理事会が行われた日の夜、2つのことで悩んでいた月に、いとこで大親友の曜からある連絡が届く。
「月ちゃん、やったよ!!私たち、ラブライブ!に優勝したよ!!」
ラブライブ!それは高校生だけがなれるアイドル「スクールアイドル」、その日本一を決める大会、通称「スクールアイドルの甲子園」。この曜からの連絡に月はある言葉を思い出す。それは臨時理事会後に沼田が月に対して「部活動とはなにか」「部活動をする上で大事なこととは」という静真の保護者たちの心配、不信感が起きた原因を知る上で重要な問い、それを月に指し示す際、沼田が月にその問いのヒントとして言った言葉だった。
「(この問いの)答えを静真にいる人たち、生徒、保護者、先生、全員、誰も知らない」
「静真にいる人たち全員知らないが、浦の星の生徒たちにすればそれが当たり前、と、いうよりも誰も気づかずに実践しているかもしれない」
その言葉を思い出した月、
(曜ちゃんたちAqoursと一緒に行動すれば、沼田のじっちゃんが言っていた問いを答えることができる!!その答えでもって静真の保護者たちの心配、不信感を拭い去ることができる!!)
と、思ったのだが、それと同時に、
(そういえば、曜ちゃんってスクールアイドル部に入っていたよね。で、そのスクールアイドル部のみんなと結成したのがAqours、そのAqoursはスクールアイドルの甲子園、ラブライブ!で優勝した・・・)
と、考えてしまう。月は続けて、
(で、スクールアイドル部って浦の星の部活の1つだよね。そして、ラブライブ!はスクールアイドル部の日本一を決める大会だよね。それって・・・、あっ!!)
と、なにかを思いつく。それは・・・。
(そうだよ、スクールアイドル部という浦の星の部活がラブライブ!という全国大会に優勝した!!それって、ついに浦の星の部活の1つが日本一になったってことだよね!!)
そうである。ついに浦の星にとって念願?の日本一になった部活が誕生したのである。その名は、浦の星女学院スクールアイドル部Aqours。そのことに気づいた月、あることをひらめいた。
(そうだ!!曜ちゃんたちAqours、いや、スクールアイドル部の勇姿を直接静真の生徒・保護者たちに披露すればいいんだよ!!ラブライブ!というスクールアイドル部の日本一を決める全国大会で優勝した実力、それを静真の生徒・保護者たちの前で見せつけたら、きっと、保護者たちが持つ心配「部活動への悪影響」、浦の星の生徒たちに対する不信感、なんて一気に吹き飛ばしてくれる!!だって、Aqoursは日本一になるくらいの実力があるんだから!!)
浦の星女学院スクールアイドル部Aqours、浦の星としては初めて日本一に輝いた部活、その実力を見せつけることで、「初戦敗退ばかりで実力がない=部活動に対する士気が低い」浦の星の生徒たちという静真の保護者たちの認識、それを根底ごと覆す、そんな、一発逆転ともいえることができる、そう、月がにらんでいた。たしかに、日本一になるくらいの実力をそんな静真の保護者たちに見せつけたら、その保護者たちが持つ浦の星の生徒たちに対する認識、それを一変させることができるかもしれない。だって、日本一の実力をその保護者たちが見たら、その実力さゆえに、「「浦の星の部活動は初戦敗退ばかりで実力がない=浦の星の生徒たちの部活動に対する士気が低い」という構図が崩れてしまう→保護者たちが持つ浦の星の生徒たちに対する認識も変わる→保護者たちが持つ心配・不信感が払拭される→保護者たちは浦の星との統合に賛成してくれる→分校状態が解消(無事静真本校と浦の星分校が統合される)→曜たち浦の星の生徒たちははれて静真本校に通うことができる」というサクセスストーリーができる、そう月は考えていた、このときは。
そして、月はそのことを考えると、つい、あることを考えてしまった。
(そうだよ、別に沼田のじっちゃんが言っていた問いに答える必要なんてないんだよ!!だって、曜ちゃんたち浦の星女学院スクールアイドル部Aqoursの実力、日本一になれるくらいの浦の星の部活動の実力さえ静真の保護者たちに見えつけたら、静真の保護者たちの心配、不信感なんてすぐに消し飛んでしまう!!そして、静真本校と浦の星分校は晴れて統合、曜ちゃんたちは無事静真本校に通うことができる!!な~に、簡単なことじゃないか。だって、日本一になれるくらいの実力を保護者たちの前で見せつけるだけでいいんだから!!)
こう思った月、すぐにAqoursの実力を、日本一になった実力を静真の生徒、保護者たちに見せつけるための舞台づくりを始めた。その舞台とは、1週間後、静真が誇る大講堂で行われる「新年度部活動報告会」ここでは静真が誇る数多くの部活が年に1度、一同に介して、この1年での実績を発表する場である。ここには静真の生徒をはじめ、保護者たちも数多く見に来てくれる。静真の部活に参加している生徒たちはこの会を通じてこの1年の実績を発表、その勇姿を生徒たち、保護者たちに見せつけるのである。そして、それを見せつけることで、来年度の部活の予算、新入部員の獲得へと導こうとしているのである。その会において、浦の星が誇る、日本一の実力を持つ浦の星女学院スクールアイドル部Aqoursの勇姿を静真の保護者たちに見せつければ、保護者たちが持つ心配、不信感をきっと吹き飛ばすことができる、月はそう考えていた。いや、このとき、Aqoursのことを過信しすぎていたのかもしれない、「沼田からの問いに答えることなんてしなくていい。Aqoursの、日本一の実力を見せつけるだけでいいんだ。それだけで、静真の保護者たちが持つ心配、不信感なんて吹き飛ばすことができる!!」と。
が、ここで月にとってある誤算が生じていた。たしかに、そのときのAqours、ラブライブ!優勝という日本一の実力があれば、それは月の考え通りにいくことができる、可能かもしれない、そのときのAqoursなら。そう、Aqours9人であれば・・・。でも、4日後のAqours、新生Aqoursの実力は・・・、同等・・・、それ以上・・・、それとも・・・。が、そのことを月は知る由もなく、Aqoursの勇姿を静真の生徒たち、保護者たちに見せつける舞台づくりを始めてしまった。そして、月はこのとき知らなかった、沼田の示した問い、それが、静真の部活動にとってとても重要な問い、いや、問題点であり、その答えこそ、静真の部活動にとってとても重要なキーになることを・・・。
と、月の心の中で決めたものの、この4日間、月は曜たちAqoursを静真に招待することはしなかった、いや、Aqoursメンバーに連絡することもなかった。なぜなら、月、曜以外のAqoursメンバーとの接点がなかったからだった。じゃ、いとこで大親友の曜に連絡すればいいんじゃないか・・・と。だが、月にはできなかった。理由は2つ。まず、浦の星も係わることではあるが、最初のうちは曜たちにあんまり迷惑をかけたくない、と、曜に気遣いをしている・・・、表向きは・・・。裏を返せば、最初のうちは月たち静真の生徒会だけで出来る限りの対処をしたい・・・、一種のプライド?に似たものがあったから。そして、もう1つは・・・。これは「曜たちに迷惑をかけたくない」ことにも関係することだが・・・。臨時理事会があった日の翌日(現時点においては3日前)、月のスマホに曜からある連絡が届く。
「月ちゃん、浦の星の卒業式と閉校式、とても楽しかったよ。学校の校舎にね~、みんなと一緒に(ペンキで)落書き・・・、ぐふん、寄せ書きしたんだよ。校舎いっぱい、い~っぱいに寄せ書き、したんだよ。みんなペンキだらけになってね、そのまま卒業式兼閉校式、したんだけど、とても楽しかったよ~」
と、曜は月にその日、浦の星で行われた卒業式兼閉校式で起こったことを楽しく話していた。曜たちは卒業式兼閉校式が行われる前、学校の校舎のいたるところにペンキで落書き・・・ではなく、この日で千歌の姉である志満や美渡、いや、その千歌姉妹の母も居っていた、浦の星、そして、その校舎に対し、長い間お世話になったお礼、そして、みんなとの最後の思い出作りのため、校舎を1つのキャンパス、いや、大きな、自分たちの浦の星に向けた感謝の気持ちを込めた色紙にみたて、ペンキで寄せ書きを描いたのである。ただ、その寄せ書きも、明日には建物などを業者に渡すための原状復旧工事のために消される運命ではあるが、それでも、曜たち浦の星の生徒たちからすれば、長い間お世話になった浦の星とその校舎に対し感謝の気持ちをあらわした、そんな気持ちのため、浦の星の生徒たち全員が自ら進んで行ったことだった。(もちろん、生徒会長で堅物な?ダイヤもね。ただ、たしか、最初、卒業式兼閉校式はしんみりとしないといけないから、というわけで、最後のはっちゃける場として閉校祭したはずなのですが・・・。結局、浦の星、そんな閉校祭のときの思い、以上に、どんどん楽しんでいこうという気持ちがあるから、卒業式兼閉校式、しんみりどころか、はっちゃけてしまいました。が、これも、部活動に対する士気が低い、という、静真の保護者たちの考え以上に、ないかがあれば、全校生徒一丸となって行動する、ある意味どんなことでも士気が高いことの裏返しになるかもしれませんね)
で、これには月、
「うわ~、すごいこと、したね~」
と、驚きを隠せずにいた。そのつきの心の中には、
(いつもそうだけど、浦の星の生徒ってなにかあると僕を含めて誰もが予想していないことしちゃうんだね~)
と、驚きの声を心の中でもあげるとともに、
(でも、最後の最後まで楽しもうとしている曜ちゃんたちにお願いするなんて、なんかしのびない・・・)
と、少し後悔の念を持っていた。
そして、卒業式兼閉校式の2日後、つまり、昨日・・・、また月のスマホに曜から連絡が届く。
「私、みんなと、Aqoursと・・・、浦の星のみんなと歌っちゃった!!なんかね~、私、誰かに呼ばれている~って感じちゃったんだ。それも1回や2回じゃないんだ~、なんか、「みんな集まれ~、浦の星に集まれ~」って。だから、私、知らないうちに(浦の星の)制服に着替えて、浦の星の体育館に来ちゃった!!でも、それって私だけじゃなかったみたい。千歌ちゃん以外のAqoursメンバーみんな、いや、千歌ちゃんを除く浦の星のみんながそこにいたんだ。みんな、誰かに誘われて来たんだって!!そんなこと、話していたら、ちょうど誰かの足音が聞こえてきたんだ。それって、ここにはいないけど、とても大事な人なんだってみんな気づいていたから、その人をびっくりさせようと、私たちAqoursみんなステージに上がって緞帳を下ろしたんだ。そしてら、その人が来たんだ。その人こそ、私たちの物語の主人公、高海千歌、千歌ちゃんだったんだ。千歌ちゃん、みんないるからびっくりしたんだよね。でも、これが浦の星みんなとの本当に最後の思い出になるからって、浦の星のみんなで歌ったんだ、「wonderful story」を。そしたら、千歌ちゃん、あることを言ったんだ、「私たちが追い求めていた輝き、見つけた!!」って。でも、私、このとき、思ったんだ、これって、これまで頑張ってきた千歌ちゃんに対する、浦の星という学校からの最後の、そして、最高の贈り物って!!」
曜が言っていること、それは的を得ているかもしれない。千歌がAqoursを続けた理由、それは浦の星の存続、そして、浦の星の存続が叶わなくなったとき、浦の星の全校生徒からの願い、浦の星の名をラブライブ!の歴史に深く刻み込んで欲しい、それを叶えるためであった。だが、それ以外にもう1つ千歌がAqoursを続けた理由があった。それは、自分だけの輝きを見つけること。それを叶えるためにラブライブ!優勝まで果たしたのだ。が、たしかに優勝して、一方の願い、浦の星の全校生徒の願い、消えゆく浦の星の名をラブライブ!の歴史に深く刻み込むこと、それは達成された。が、もう1つの願い、千歌だけの輝きを見つける、そのことは叶わなかった。ではあるが、浦の星のために一生懸命頑張ってきた千歌とその仲間たちのため、浦の星という学校は最後に千歌たちに大きなプレゼントを用意してくれた。浦の星という学校は浦の星に通う生徒みんなを呼び寄せた、本当に最後となる、浦の星の生徒全員が楽しめる場を、そして、その浦の星を1番愛し、浦の星のために1番働いてくれた、千歌に、この1年、みんなと一緒になってやってきたこと、その思い出、それを通じて得たみんなとの想い、みんなとのキズナこそ、千歌が追い求めていた輝きであること、それを千歌に気づかせるために、そんな千歌たちへの大きなプレゼント、それを浦の星という学校は千歌たちに贈ったのだ。そして、それは、千歌、それにその仲間たちにとって、とても大きな、とても大切な想い出、いや、礎になったのかもしれない。
と、ここで脱線しすぎたので、話をもとに戻そう。この曜の話を聞いた月、思わず、
「それって本当に奇跡だよ!!だって、誰かに呼ばれたら、曜ちゃんにとって大切な仲間たちがいて、で、曜ちゃんの大切なお友達である千歌ちゃんが長年追い求めていたものを見つけたんだよ!!僕からしたら、それって本当に奇跡に感じちゃうよ!!曜ちゃん、これまで千歌ちゃんと一緒になって頑張ってきたこと、それが、奇跡という形で報われるなんて、僕、本当に嬉しいよ!!」
と、感嘆の言葉を曜に伝えた。月にとって自分の大切な大親友である曜にとってとても嬉しい出来事が起きたこと、それ自体、まるで自分が体験したかのように嬉しく思っている。が、それほど月にとって曜は大切な存在であり、まるで自分の分身でもあるかのような損時であった。だからなのか、月、おもわず、
(こんな千歌ちゃんたちと、浦の星のみんなと、最後の・・・、とても大切な・・・思い出作り、僕の考えだけでぶち壊す・・・なんてこと・・・したくないよ・・・)
と、自分が考えていること、Aqoursの力を借りて分校問題を解決したい、その考えを曜に伝えるのはしのびない、と、いう気持ちが強く、この時点では自分の考えを曜に伝えるのは控えてしまった。
こんな風に、曜が千歌と、浦の星のみんなと、最後の想い出作りをしている中で、自分たちの学校である静真で起きた分校問題を曜に伝えることでその想い出作りをぶち壊す、そんなことをしたくない、そんな月の親心、親切心、遠慮が、この4日間、月の心のなかで働いていた。その月の思いを組んでくれたのか、曜は千歌と、浦の星のみんなと、浦の星での最後の楽しい想い出作りにいそしんでいた。
が、実は、ラブライブ!が終わり、千歌たちが浦の星での最後の想い出作りにいそしんでいる間、静真では大変なことが起きていた。それは月にとって最悪ともとれる状態だった。この前行われた臨時理事会で浦の星との統合が最終的に決まったことにより、静真の生徒たちのあいだで安堵感が広がっていた。自分たちの友達である浦の星の生徒たちが無事に静真に通うことができる、そんな安心したような気持ちが静真の生徒たちのあいだで広がっていたのだ。しかし、「「静真の部活動に浦の星の生徒たちが参加しても悪影響なんてでない」、そう静真の保護者たちが思えるまで分校方式をとる」、そのことについては静真の生徒たちのあいだでは広がっていなかった。また、そのことを知っていても、「すぐに静真本校と浦の星分校は統合されるよ、きっと」「大丈夫、大丈夫、心配ない」と、分校方式の解消に対して楽観視している生徒も多かった。このことについては月たち生徒会もすでに把握しており、ずっと全校生徒に向かって、
「まだ統合問題は終わっていないのですよ」
「まだ浦の星の生徒たちが静真(本校)に通えるわけではないんですよ」
と、声を大にして言っていた。が、それに対して、生徒たちからは、
「もう統合って決まったんだから、この問題はすでに解決済み!!」
「大丈夫、大丈夫!!なんとかなる、なる!!」
と、その問題についてはすでに解決済み、もしくは、楽観視の声があがっていた。しまいには、
「もうこれ以上問題を大きくしないで!!今、とても大切な時期なんだ!!次のインターハイで上位に入れば、日本でも屈指の、日本一のスポーツ校、あの東都大学に推薦入学できるんだよ!!あぁ、いとしの神宮はやて様~、日本一のスポーツ校、東都大学、そのなかで期待の新人として入学が決定されている方~、未来の日本のエース、絶対にあなたのもとへ行きますからね~。だからこそ、それを叶えるためにも、今はただ勝ち続けていくのみ!!」
と、なぜか、今春、東都大学に入学する予定の、音ノ木坂学院の3年生、神宮はやてに憧れているのか、これ以上統合問題に口出ししないで、これ以上ことを大きくしないで、と、月たち生徒会に対して注文をつける生徒もいた。そのため、月たち生徒会は統合問題、もとい、分校問題について苦慮していた。
だが、月たち生徒会が苦しんでいる姿を見て微笑んでいる者たちがいた。浦の星との統合について、2月初めに突然統合賛成から白紙撤回へと反旗を翻した、木松悪斗とその一味である部活動保護者会の幹部たちである。
「今、静真の生徒たちのほとんどが、浦の星との統合問題は統合することで決着した、として安堵しております。さらに、分校方式については楽観視すらしている始末。今こそ逆襲のときです!!」
と、静真の部活動に参加している生徒たちの総元締め、部活動連合会の会長であり、木松悪斗の長女である旺夏からの連絡を受け、木松悪斗、すぐに、
「聞け、ものども!!今こそ逆襲のときが来た!!私の鼻をあかした生徒会長、渡辺月を攻め立てるときは来たぞ!!」
と言うと、自分の部下である部活動保護者会幹部に対し、ある指示をだした。それは・・・。
「統合は決まりましたが、本当は分校を作ることになり、浦の星の生徒たちはそこに通うことになりました。ですから、浦の星の生徒が分校に通っているあいだは静真本校に通うことはありません。むろん、分校に通っているあいだ、静真の部活動に浦の星の生徒が参加することはありません。そして、分校は今の浦の星の1年生が卒業するまで続きます。が、もし、静真本校と浦の星分校が統合されると、浦の星の生徒たちはきっと静真の部活動に参加することになり、結果、静真の部活動に悪影響が出てしまいます。だからこそ、浦の星の1年生が卒業するまでの2年間、本校と分校の統合に反対し続けてください。そして、静真に通う子どもたちにきっちりお伝えください、分校が統合され、浦の星の生徒たちが静真の部活動に参加すると、絶対に悪影響が出ると、そして、それが巡り巡って自分たちの将来に悪影響がでてしまうと」
まるで嘘を嘘で固めてしまった、そんな風に見える話、それを部活動保護者会の幹部たちは保護者たちのあいだで広めていったのだ。これこそ木松悪斗の放った矢の第2弾だった。この話を広げることで、浦の星の生徒たちに対する不信感、それを増長させることにしたのだ。で、この木松悪斗のたくらみは成功した。臨時理事会前に広げた浦の星の生徒たちに対する不信感、それが臨時理事会後にも静真の保護者たちのあいだで漂っていたのだ。そのことを沼田も察していたので、この不信感を取り除くまで分校方式をとることにしたのだ。だが、その不信感を木松悪斗はさらに増長したのだ。こうして、浦の星の生徒たちに地足手の不信感は日が経つごとに(保護者たちのあいだで)大きくなっていた。さらに、それが保護者を通じてその子である生徒たちにも伝播していった。
こうして、浦の星の生徒たちに対する不信感は徐々にではあるが、静真の生徒たちのあいだにも広がっていった。この事態、すでに月たち生徒会もすでに把握済みであり、「浦の星の生徒たちに対する不信感を持たないでほしい」と言ってまわっている。が、あかの他人である月たち生徒会に対して自分の血のつながりを持つ親、どっちを信じるかといえば、血のつながりのある親の方を信じてしまうものである。さらに、今回は月たち生徒会が臨時理事会前に行った署名活動のときの、統合問題がまだ未解決、というより、統合がなくなり、通う学校がなくなってしまう、そんな状況に陥れば友達である浦の星の生徒たちが困ってしまう、そんな状況と違い、すでに(学校としては)浦の星と静真の統合は決定しており、友達である浦の星の生徒たちは(分校ではあるが)無事に静真に通うことができるので、あえて月たち生徒会に義理立てする必要がなかったりする。さらに、臨時理事会前の(学校としての)統合問題において、統合反対の親(静真の保護者)に対し統合賛成の子ども(静真の生徒)、という意見の食い違いによる仲たがいが発生している家庭が以外に多く、子どもである静真の生徒からみても、親とこれ以上揉め事を起こしたくない、という気持ちを持った生徒が多かった。そのため、月たち生徒会の説得も焼け石に水としかいえなかった。
こんな風に、臨時理事会で統合反対、白紙撤回を成し遂げることができないばかりか、沼田の怒りを買ってしまうなど、赤恥をかかされた木松悪斗、その原因を作った月たち生徒会に一泡ふかせよう、いや、徹底的に叩きのめそうと思っているのか、それとも、このまま分校方式を浦の星の今の1年生が卒業する2年間続けることで、間接的に浦の星の統合をなかったことにし、それによって、浦の星、そして、その大スポンサーであり、静真への多額の寄付をしなかった小原財閥に対し、しっぺ返しを食らわせようとしているのか、それとも、その両方なのか、わからないが、木松悪斗たち、統合反対派、改めて、分校方式継続派、の攻め手により、月たち生徒会率いる統合賛成派、改めて、(本校分校)統合推進派(いや、別に変わっていないだろ!!)、は日に日に劣勢になってしまっていた。
とはいえ、月、ラブライブ!という全国大会で日本一になった曜たちAqoursの力を使ってこの劣勢となった状況をひっくり返す、そんな、一発逆転ともいえる、そんなことを成し遂げたい、そう思っていた。が、浦の星のみんなと浦の星最後の想い出を楽しく作っている曜のことを考えると、自分たちの都合でそんな曜たちに水を差すことはできなかった。そして、「Aqoursの力を借りたい、けど、今はそれができない」、そんなもどかしさをしつつ、月は、この4日間を暮らしてきたのだ。が、「日が経つにつれて、月たち生徒会率いる統合推進派は劣勢になっていく、このままだと木松悪斗率いる分校継続派に完全に押し切られてしまう、そんなこと、絶対にいや、けど・・・」、と、月、1人で押し問答を繰り返している、そんな状況に陥ったままこの1日をくらしていた、午前中は・・・。
「う~ん、なんとかしないと、このままじゃ、木松悪斗の思い通りになっちゃう。一生、曜ちゃんと一緒に学生生活を楽しめなくなるよ~、でも・・・」
と、月、学校が休みにも係わらず、家でただただ悩むことしかしてなかった。そんななか、
ツルルル ツルルル
と、突然月のスマホが鳴る。これには、月、
「あっ、誰からだろう?」
と、スマホの画面を見る。すると、そこには月がよく知る、いや、1番知っている、親友の顔がスマホの画面いっぱいに表示されていた。
「あっ、これって・・・、運命・・・?」
と、月はそう言うと、月のスマホにかかってきた電話にでる。すると、いきなり、
「月ちゃん、なんで、なんで、新しく通う学校が山の中の分校なの~!!」
と、月が1番知っている親友が、困ったような声、いや、大声をだしてしゃべってくる。これには、月、
「山の中の分校!!」
と、逆に驚いてしまう。そして、すぐに、月にとって一番の親友に対し、一言。
「これについてはいろいろと理由があるの~。でも、この電話じゃ話せないの。だから、今からどこかで会おうよ!!そのときに話すから!!」
これには相手側は、すぐに、
「それじゃ、(仲見世商店街にある)やば珈琲の前で打ち合おうよ!!」
と言うと電話を切った。このとき、月、
(もしかすると、僕にとって追い風が吹いてきたかもしれない!!これもきっと神様のおかげだよ!!)
と、これまで悩んでいたのがうそのような、そんな嬉しい表情になっていた。