とはいえ、花樹の行動は早かった。翌朝、
「あ~、眠い・・・。でも、あつこさんを仲間にするためにも頑張らないと・・・」
と花樹はあつこの家の前であつこがでてくるのを待っていた。あつこの住む家は、昔、ロシアの領事館だったところを改装したものだった。洋館の姿はとても美しいものであったがあつこにとってみればそれが自慢でもあった。
そんななか、
「まだ出てこないのかな・・・」
と花樹が待っている、そのとき、
「花樹、そこで、なにやっているわけ?」
と声をかけてくる少女がいた。これには、花樹、
「えっ、理亜さん!!」
と突然のことで驚いてしまう。そう、花樹に声をかけてきた少女とは理亜だった。
その理亜は花樹に対しこう告げる。
「花樹、あつこの家の前でなにをやっているわけ。あつこが出てくるのを待っているわけ?」
あまりにも図星。これには、花樹、
「そ、それは・・・」
とあまりに動揺する。むろん、これには、理亜、
「ものすごくわかりすぎ・・・」
と唖然となってしまった。
そんな理亜だったが、花樹に対し、
「でも、なんであつこが出てくるのを待っているわけ?なにかしたいわけ?」
とその理由を問う。これには、花樹、
「そ、それは・・・」
と動揺しつつも口を閉ざしてしまう。それでも理亜は、
「花樹、あつこに対してなにかさせたいわけ?」
と責めてきた。
そんなときだった。突然、花樹は理亜に対して、
「あっ、理亜さん、隠れて!!」
と理亜と一緒に花樹は物陰に隠れてしまう。これには、理亜、
「なんで、私まで隠れないといけないわけ?」
と花樹に文句を言うも、花樹はただあつこの家を見るのみだった。
そして、あつこの家に動きがあった、
ガチャ
という音とともにあつこが外に出てきたのだ。あつこは、この時間、理亜と一緒に朝練するのが日課だった。なので、今日も理亜と一緒に朝練する予定だった。
ただ、その理亜が今日はまったく来ていない、ということであつこは理亜のことが心配になったのか、
「理亜さん、遅れてくるなんておかしいですね。なにかあったのでしょうか・・・」
と心配そうな声をあげていた。これには、ちかくでみていた理亜から、
「はやくいかないと・・・」
と行こうとするも花樹は痛いながらも足で踏ん張り、
「理亜さん、あまり出ないで!!」
と理亜を抑えていた。
そんな理亜がまったくこない、というわけか、あつこ、
「理亜さんがこないですね・・・。ちょっとおかしいですね・・・」
と来ないことにさらに心配になってしまった。
ただ、このまま待っていても仕方なない・・・と思ったのか、あつこ、まわりを見渡しては、
(う~ん、理亜さんがまだ来ないし、まわりには誰もいない・・・。なら、あれをやってもいいよね・・・)
と思ったのか、突然、
「えいっ!!」
とその場でジャンプをしてしまう・・・。ただ、そおジャンプはただのジャンプではなかった。一回転、二回転、三回転・・・。フィギュアスケートでいうところのトリプルジャンプであった。いや、そのジャンプを連続して飛ぶ。それはまるでフィギュアスケートの演技を見ているようだった。
そして、その演技が終わったあと、あつこは少し息を整えると、
「ふ~、私のスティグマも発動しなくてよかった・・・」
と安心した・・・ところ、突然、
「あつこさん、すごい!!」
とそこの物陰から花樹と理亜が出てくる。これには、あつこ、
「えっ、一体、どうして・・・」
と驚きの表情になってしまった。花樹はこのときこう思ってしまう。
(これだけすごいジャンプを見せていたのだからスクールアイドルとしてもやっていけるじゃん!!なら、今度、「勝つ」ためにもあつこさんをスクールアイドルに・・・)
そう、花樹は思った通り、あつこはスクールアイドルとしてやれるくらい回復していたのである。
そのためか、花樹、あつこに対しこう言いながら詰め寄った。
「あつこさん、とてもすごいジャンプではありませんか!!これならスクールアイドルとして活動できるじゃないですか!!」
これには、あつこ、
「そ、それは・・・」
と言葉につまってしまう。だって・・・、
(たしかに飛んだのは飛んだよ。でも、私のスティグマはいつ発動するのかわからないもの・・・)
とあつこは自分のスティグマがいつ発動するのか恐れていたから・・・。
ただ、それをしらない花樹はさらにあつこに詰め寄る、こうお願いしながら・・・。
「あつこさん、スクールアイドルとして頑張ってみませんか?あつこさんなら立派なスクールアイドルとしてになれるはずです!!」
むろん、これには、理亜、
「数は、あまり無理をさせないように・・・」
と花樹に注意する。スティグマについてなにも知らない花樹に対し理亜はあつこのスティグマを知っている。そのため、花樹は温子に対し無理をさせないように注意したのである。
だが、それでも花樹は、
「あつこさん、スクールアイドルになってください!!」
と必死になってあつこに食い下がった。
と、ここで、
「ちょっと待った~」
と物陰から1人の少女が出てきてはこう声をあげた。これには、あつこ、
「えっ、なんでここにいるの、フィギュアスケート部の部長!!」
とこれまた驚きの声をあげる。走、物陰から出てきたののあhフィギュアスケート部の部長であった。
その部長はあつこに対しこう叫ぶ。
「私も、あつこのジャンプ、見ていたよ!!これならフィギュアスケート復帰もできるはずだよね!!」
そう、この部長もあつこの今さっきのジャンプを見ていたのだ。そのため、フィギュアスケート部の勧誘をしに飛び出してきたのである。
そのためか、花樹とフィギュアスケート部の部長のあいだで口論となる。
「スクールアイドルになるべきなんだ!!」(花樹)
「いや、フィギュアスケートに復帰してもらう!!」(フィギュアスケート部の部長)
この言い争いに、あつこ、
(私はスクールアイドルにもフィギュアスケートにもどっちもならない!!だって・・・)
となにか言いたそうになったのか、2人に対しこう反論してしまった。
「私はどっちにもならない!!だって・・・、だって・・・、私、スティグマがあるから!!スティグマが開いたら絶対に迷惑をかけてしまうから!!」
その言葉とともにあつこは家に戻ってしまった・・・。これには、花樹、
「あつこさん・・・。まさかあのあつこさんにスティグマ(聖痕)があるなんて・・・」
と声をあげてしまった。このとき、花樹は知った、あつこにスティグマがあることを。これには、理亜、
「花樹、だから無理やりあつこを責めるのは・・・」
と花樹に注意をしようとしていた。
だが、そのとき、フィギュアスケート部の部長がこんなことを言いだしてきた。
「でも、あつこのスティグマ、もう治っているのだよ・・・」
この部長の言葉に花樹ははっとする。
「あつこさんのスティグマ、すでに治っているわけ・・・」
このとき、花樹のなかである考えが浮かび上がった。
(あつこさんのスティグマはもう治っている。なら、それが本当かどうかその主治医に確認したらいいかも!!だってその主治医は花樹の・・・)
そして、花樹が訪れたのは・・・、
「教えてください、あつこさんのスティグマは治っているのですか?」
そう、ここは花樹が通っている病院であった。そこの主治医にあつこの容体について聞いていたのであった。と、いうのも、
「先生、あつこさんの主治医と私の主治医が同じ人だってわかっています。なので、教えてください、先生、あつこさんのスティグマは治っているのですか?」
そう、あつこの主治医と花樹の主治医は同じ人だったのだ。というのも、花樹に主治医を紹介したのがあつこだったのだ。なので、花樹とあつこの主治医は同一人物であった。
だが、やっぱりではあるが、主治医、首を縦に振らず、逆に、
「それは患者の守秘義務のため、言えません」
ときっぱりと断ってしまった。ただ、それでも、花樹、負けじと、
「教えてください、先生!!」
と主治医に食い下がる。
そんな花樹をとめる少女、
「花樹、これ以上はやめなさい。先生が困っているでしょ!!」
だが、それすら花樹は効かなかった。だって・・・、
「理亜さん、止めないでください!!あつこさんのことを聞きたいのです!!」
と一緒にきていた少女、理亜の言葉にすら聞かずに花樹はただ、
「先生、教えてください!!」
の一点張り。これにはさすがの理亜も、
「は~」
とため息をつくだけだった。
そんなときだった。突然、
ガラガラ
と診察室のドアが開くと主治医に向かって、
「あの~、あつこさんのことで相談が・・・」
という女性の姿があった。これには、理亜、はっとしたのか、
「あ、あなたは・・・、あつこのお母さん・・・」
と声をあげる。そう、ここに来たのはあつこの母親だった。
そんなあつこの母親を見たのか、花樹、
(これはチャンス!!)
と思ったのか、あつこの母親に、花樹、猛アタックする。
「あつこさんのお母さん、ちょっと聞きたいのですが、あつこさんのスティグマ、治っているのですか?」
むろん、これには、理亜、
「花樹、それ、失礼・・・」
と言おうとしたのですが、花樹、それでも、
「お願いです、教えてください」
とあつこの母親に食い下がる。
すると、あつこの母親は酷なことを言いだしてきた。
「花樹さんって言いましてね。同じスクールアイドル部ということで正直に話しましょう。たしかに、あつこのケガ、つまり、スティグマはもう治っております」
このあつこの母親の言葉に、花樹、すぐに反応する。
「やっぱりあつおさんのスティグマは治っているんだね!!」
ところが、あつこのは保谷は驚愕の事実を花樹たちに伝えた。
「ですが、精神的に、「もうみんなに迷惑をかけたくない」、その一心であつこ自身はまだスティグマが治っていない、いや、もし、なにかあれば自分のスティグマが開いてしまう、発動してしまう、と思っているのです・・・」
そう、あつこが自分のスティグマのことを心配する原因、いや、深淵なる闇の正体、それは「まわりの人たちに迷惑をかけたくない」、そのことだった。あつこのスティグマはすでに完治していた。だが、あつこ自身はそのスティグマは完治していないと思い込もうとしていたのである、もし、なにかをすればそのスティグマが発動、つまり、また開いてみんなに迷惑をかけてしまうから・・・。これは中3の大会で大ケガしたとき、まわりの人たちから罵詈雑言の嵐を受けたから。大ケガしたとき、あつこに期待していた、いや、あつこに対し「単なる甘えだ!!」とか「もっともっと練習しろ!!」などあつこのことなんて考えずにいろいろと言ってきた人たちがこぞって「期待外れ」「本当に根性が足りないからだ」と罵詈雑言をかけてきたのである。これもあつこのことなんて考えておらず、逆に自分たちの期待を裏切った、そんな恨みに満ちたものだった。それをあつこはその人たちの罵詈雑言を真に受けてしまったのだ。それをあつこは今でも引きずっていた。あつこは他人のことを第一に考えるくらい優しい子である。そのため、サポーターとして、理亜、聖良、花樹のサポートをしてきた。ところが、その優しい性格が故に、みんなに迷惑をかけたくない、その一心で自分のなかに深淵なる闇を、スティグマを、作り出したのかもしれない・・・。
そんなことを聞いたのか、理亜も花樹に対し口を開いた。
「私も、あつこのスティグマ、知っていた。だけど、自分もそのスティグマのことを知って、あつこには無理をさせたくない、そう思って、なにも言わなかった・・・」
そう、理亜もあつこのスティグマについて知っていた。というのも、花樹は理亜の部に加入するまえ、奇跡のSaint Aqours Snowとしてのクリスマスライブ以降、理亜はあつこを含めたユニットを結成していたのだが、理亜の深淵なる闇からくる暴走のせいでそのユニットは空中分解してしまったのだ。むろん、あつこも自分のスティグマが開いてしまうことを恐れて理亜のユニットから離れてしまった。その後、紆余曲折を経てあのラブライブ!延長戦により理亜とあつこはよりを戻したもののまたもや自分のスティグマのことを気にしたためか、あつこは理亜のユニット入りを断ったことがあったのだ。(詳しくはSNOW CRYSTAL 序章をお読みください)
だが、花樹は違った。
「そんなの、関係ない!!あつこさんがそんなスティグマを持っていたも関係ない!!あつこさんはそのスティグマを乗り越えないといけないんだ!!」
花樹はあつこの母親や理亜の言うことを聞いても自分の意思を曲げなかった。というのも、
(勝利のためにはあつこさんの力が必要!!どんな手を使ってでもあつこさんを仲間にいれてやる!!)
と、「勝利こそすべて」、その考えのもと、あつこを仲間に入れて勝つこと、Aqoursに、桜花に勝つことをしたい、そう思っていたから。そのためにも花樹はあつこを仲間に入れようとしていたのだ。
そんな花樹に対しあつこの母親はこんなことを言いだしてきた。
「私としてもあつこが再び舞い上がることを期待しております。そのためにも、花樹さん、理亜さん、どうか、あの子のことを宜しくお願いします」
あつこの母親の願い、それはあつこが再び立ち上がることだった。このままだとあつこはずっと陰のまま、サポーターのままでいることになる。だけど、このままではなく、フィギュアスケートをしていたときのように輝いているあつこを見てみたい、そんな思いだった。
そんなあつこの母親の言葉を受けてか、理亜、こう考えてしまう。
(たしかにあつこのお母さんはそう言うけど、あつこ自身、どう思っているわけ?無理やりではちょっと・・・)
理亜にとってあつこの母親のいうことも一理あるものの、あつこの意思はどうなるのか、それが心配だった。
ところが、それすら打ち破る者がいた。むろん、花樹だった。花樹はあつこの母親の言葉を真に受けてしまったのか、あつこの母親に向けてこう宣言してしまう。
「わかりました、お母さま。花樹、絶対にあつこさんを仲間にしてみせます!!」
花樹にとってみればあつこの意思なんて二の次であった。むしろ、あつこの母親という強い力をバックにつけたのである。その力があればあつこを仲間にすることができる、そう強く思えたのである。
そんな花樹の姿を見て、理亜、こう考えてしまう。
(私としてもあつこが私のユニットに入ってくれるなら嬉しい。だって、私とあつこはSaint Snowという宝物で結ばれているから。でも、そんなあつこは深淵なる闇がある、スティグマがある。それを花樹はどうするわけ?)
あつこと理亜はSaint Snowという宝物で結ばれている。ところが、それと同じようにあつこには理亜と同じくらいの深淵案る闇が残っていた。いや、それどころか、目に見える形であつこのなかにスティグマとして残っている。それを花樹はどう対処するのか心配になったのである。
そんなとき、花樹は理亜にあるお願いをした。
「理亜さん、お願いです、理亜さんが暴走したときのことを教えてくれませんか?」
翌日・・・、
「あつこさん、お願いがあります、私と理亜さんのユニットに・・・入ってください!!」
花樹はあつこに会うなり、開口一番、こんなことを言ってきたのである。むろん、これには、あつこ、
「何度も言っているけど、それは・・・」
と断ろうとする。もちろん、花樹の隣にいた理亜すら、
「花樹、これ以上は・・・」
とあつこのことを考えては花樹に注意する。
そのときだった。花樹、
(それだったら、奥の手、出す!!)
と思ってかこんなことを言いだしてきた。
「あつこさん、思いだしてください、理亜さんが暴走していたときのことを。あつこさんは、このとき、理亜さんのために頑張ってきたんでしょ。そのときはスティグマのことなんて考えていなかったでしょ!!」
たしかにその通りかもしれない。理亜が暴走していたときはあつこはスティグマのことについて考えていたものの、ラブライブ!延長戦のときはスティグマのことなんて気にせずに理亜のために尽くしていたのである。そのときのことを花樹はあつこに突きつけたのである。
そんな花樹からの責めに、あつこ、
「そ、それは・・・」
と言葉に窮してしまう。あまりに図星のことを言われたからだった。
そんなあつこに対し花樹はあるお願いをした。
「花樹、そんなあつこさんと一緒にスクールアイドルをしたい!!あつこさんなら立派なスクールアイドルになれると思います。だから、あつこさん、一緒にスクールアイドルをしましょう!!」
それは花樹からの精一杯の思い?であった。いや、目をウルウルさせ、花樹、精一杯、そう訴えてきたのである。むろん、これは花樹の芝居なのだが、
(あの桜花に勝つためにはあつこさんの存在が不可欠。だからこそ、花樹、ここはあつこさんを攻め落とす!!)
とある意味必死になっていた。
まぁ、そんな花樹の訴えにあつこはちょっと心揺さぶられようとしていた。
(私とスクールアイドルをやりたい・・・。それって・・・)
花樹からの目の訴えは他人に対しては優しいあつこからすれば心揺さぶられるものがあった。自分のスティグマについてあまり気にしていないときがあったことを花樹から指摘され動揺しつつもその花樹から一緒にスクールアイドルをやろうと目をウルウルさせながら訴えているところ、それはあつこにとって弱いところを花樹はついてきた、といえるのかもしれない。そのため、あつこはそうなりそうになりつつなっていた。
だが、ここで思わぬ敵が現れてしまった。
「あつこ、あなたにとってフィギュアスケートが青春だったはずだよ!!」
これには、花樹、その人に向かてこう叫ぶ。
「あっ、フィギュアスケート部の部長!!なんでここにいるわけ?」
そう、花樹の邪魔をしてきたのはあつこのフィギュアスケート復帰を願う、フィギュアスケート部の部長だった。
その部長はあつこに対しこう訴える。
「あなたはフィギュアスケート一筋だったでしょ!!なら、フィギュアスケートに復帰するのが筋ってもんじゃない!!」
フィギュアスケート部の部長からすればあつこがフィギュアスケートに復帰したほうがいい、といえた。あつこは小さいときからフィギュアスケートをしてきたのである。いわば、あつこからすればフィギュアスケートは青春そのものであった。そのあつこがフィギュアスケートをしない、というのであれば青春そのものを不意にすることにもつながる、そんなことをさせない、それがフィギュアスケート部の部長の思いであった。まぁ、これについては、花樹、
「フィギュアスケート部の部長、どっかに行って!!しっ、しっ!!」
とフィギュアスケート部の部長を排除しようとしていた。
そんな2人の様子を見て、あつこ、あることに気付く。
(2人とも、もしかして、私のスティグマのことなんてあまり関係ない、と思っているのでは・・・)
そう、2人とも、あつこのスティグマのことについてあまり気にしていなかった。たしかに、2人とも、あつこのスティグマを軽視していた。特に花樹にいたってはラブライブ!延長戦であつこが自分のスティグマについてあつこがあまり気にしていなかったことを口にしていた。それがあつこの中で少し引っかかっているようだった。
だが、そんな花樹から思いがけない言葉がでてくる。
「花樹、こう思うの、
スティグマ、あるなし、関係ない!!もし、あつこさんがやりたいことをしないのなら悔いが残ってしまうよ!!それなら、なにも考えずに悔いが残らないようにするべきだよ!!」
この花樹の言葉にあつこははっとする。
(私のスティグマ関係なし・・・。自分の悔いが残ることがないことをする・・・。それって・・・、私になにかを期待しているわけ・・・。花樹さん、もしかして・・・、私がなにかをしたい、と思っているのかな・・・)
あつこにとって花樹の今さっきの言葉は意外なものだった。自分のスティグマのことなんて考えずに自分の悔いが残らないようにやりたいことをすればいい・・・、その言葉は今のあつこにとって大事なことなのかもしれなかった・・・。
だが、ここにきて、花樹の様子がおかしかった。それは・・・、
(って、お・・・、花樹、なにを言いたかったわけ?なにを言ったのかな・・・。頭が破裂しそうだよ・・・)(花樹)
そう、花樹は字bんが言った言葉を理解できずにいたのである。実は、自分が発した言葉、それは花樹が意図せずにただたんに言った言葉だったのだ。それは誰かに体が乗っ取られて言った、そんな感じであった。なので、花樹自身、自分の発した言葉についてはなにも理解できずに頭のなかがパンクしそうになっていた。
そんためか、花樹、あつこに対し言い訳する。
「え~と、え~と、オ・・・、花樹はね・・・、なにを・・・、言いたいのか・・・というと・・・、え~と、え~と、それはね・・・」
とはいえ、これであつこも変わる・・・わけでもなく、すぐに自分のことについて考えてしまうあつこ。
(でも、私にはスティグマがある・・・。たとえ治っていてもいつ開くかわからない・・・)
自分のスティグマについてつい考えてしまうあつこ。これでは堂々巡りである。いや、それどころか、あつこ、花樹とフィギュアスケート部の部長に対しこんなことを言ってしまう。
「私はなにもできないんだ・・・。私のスティグマはいつ開いてもおかしくないんだ・・・。だから、私は・・・」
その言葉のあと、あつこ、
「もう私のことはほっといて・・・」
と言ってはどっかに行ってしまった。これには、理亜、
「花樹、だからいったのに・・・。なぜ、あつこのことを・・・」
と花樹に対して言おうとするも花樹はこう言い切ってしまう。
「でも、あつこさん、きっと、戻ってきますよ・・・」
それと同時に花樹はこう思っていた。
(だって、桜花に勝つためにはあつこさんの力が必要なのだから・・・)