「おばあちゃん・・・、おばあちゃん・・・」
と泣いたままの花樹を引っ張っていく理亜とあつこ。そして、花樹の家につくなり、
「誰かいませんでしょうか・・・」
とあつこが誰かいないか呼んでみると、
「はい!!」
と若々しい声が聞こえてきた。これには、あつこ、
「あっ、こんにちは」
と挨拶をすると「スタスタ」という音とともに、
「あっ、こんにちは」
と若々しい女性が現れるとその女性は自分のことを話し始めた。
「あっ、お友達ね!!あっ、私は花樹の母です。以後、お見知りおきを」
そう、理亜とあつこの前にあらわらたのは花樹の母親であった。
そして、花樹の母親は花樹をみるなりこんなことを言いだしてしまう。
「あっ、花樹、大丈夫!?」
そう、花樹はまだ泣いていたのだ、それもこう言いながら・・・。
「勝たないと・・・、こころあに勝たないと・・・。でも、おばあちゃんとの大切なものが・・・、大事なキズナが・・・」
そんな花樹の姿にその母親はすぐに、
「それじゃ、自分の部屋に行きましょうね!!」
と言っては花樹を自室へと連れて行った。
一方、理亜とあつこは花樹の母親に連れらえて応接間へと入ると、開口一番、理亜・・・ではなく花樹の母親が言った。
「理亜さんとあつこさんですね。あの花樹の様子からなにかがあったのかわかりました。花樹が大切にしているおばあちゃんのペンダントを壊されたのでしょう・・・。あと、勝負事に巻き込まれた、のですね」
これには、理亜、
(えっ、花樹のお母さん、エスパー!?)
と驚くほどだった。
なのですが・・・、あつこはそのことを気にせずに壊れた花樹のペンダントを花樹の母親の目の前においてあることを尋ねた。
「花樹のお母さん、このペンダントですが、花樹さんにとって大切なものだと察します。そして、花樹さんはいつも勝負事になるとこのペンダントを握りしめては「勝たないと・・・」と言葉にします。なぜ、花樹さんはこうなったのですか?このペンダントにはなにか隠された秘密があるのでしょうか?」
このあつこの言葉に花樹の母親はついにあることを話始めた。
「そのことを話すのであれば、まず、猪波家のことを話す必要があるでしょう。少し長くなりますがよろしいでしょうか?」
この母親の言葉に、理亜、あつこ、ともに、
「「わかりました」」
と言うと花樹の母親は猪波家のことについて話し始めた。
「猪波家はね・・・」
猪波家、それは、小原家、沼田家と並ぶくらい歴史由緒ある名家であった。猪波家は古くから店を営んでおり、地域全体の発展に寄与していた。そのため、猪波家の家訓は「よりよい社会を創るためにまわりの人のために働く」であった。
だが、花樹の父親はそんな猪波家の家訓が嫌だった。花樹の父親は昔から、
(他人のことより自分のことを優先すべき。力こそすべて、勝つことこそすべてなんだ)
という考えをもっていた。というのも、その家訓のせいで他人のことを優先するあまり自分のことを犠牲にする、というまわりの姿に花樹の父親は、
(なんで他人のせいで自分のことを犠牲にするなんてナンセンスだ!!)
と次第に考えるようになったからだった。そのため、猪波家の当主であった花樹のおばさちゃんとは昔から折り合いが悪かった。
そして、2000年ごろ、ついに当主であるおばあちゃんと花樹の父親はついに別れることとなった。というのも、花樹の父親は、
(これからは投資の時代だ!!私の能力さえあえば投資の世界でも十分渡りあっていける!!)
と投資に目覚めたのである。大学では経営学を専攻していたのだがそこで経営のノウハウ、そして、金融工学を学んでいたのである。さらに才能があったためか、花樹の父親はその分野で才能を発揮したのである。そこで、花樹の父親は自分の実力をもって投資の世界に入ろうとしていたのである。
だが、そこで待ったをかけたのが猪波家の当主、花樹のおばあちゃんであった。おばあちゃんは投資のことについて、
(他人を蹴落とす、他人のことなんて考えないもの)
と考えていた。というのも、この時代、ITバブルのときに偽の投資話によりそれに投資した人たちが大損する、いや、詐欺的なものがあったからだった。また、それは猪波家の家訓に反するものだった、とおばあちゃんは考えていたからだった。そのため、おばあちゃんと花樹の父親はそれについてケンカしてしまう。
「いいですか。これからは投資の時代でです。私はそれ一本でやっていきたいのです」(花樹の父親)
「いいや、あんな詐欺みたいなもの、すべきじゃない!!」(おばあちゃん)
話し合いは平行線のままだった。結局、それに業を煮やした花樹の父親は家から出ていくがごとく自分の才能を伸ばすため、投資の世界に投じるため、投資の本場であるアメリカへと渡ったのである。
その後、花樹の父親はアメリカで自分の才能を開花せた。天才的な経営の手腕と金融工学によりアメリカにおいて一定の地位を獲得することになる。
そして、ついに花樹の父親は運命の出会いを2度することになる。1つ目は・・・、
「その才能、私のところで存分にふるまってくれないだろうか」(木松悪斗)
「木松悪斗様、わかりました」(花樹の父親)
そう、1つ目は木松悪斗との出会いであった。木松悪斗はこのとき、アメリカの投資の世界において花樹の父親以上の力を手に入れては大活躍していた。それに花樹の父親は魅了されたのである。そのため、花樹の父親は同じ日本出身であること、自分の力をそこで発揮したい、と木松悪斗に売り込みをかけていたのである。で、木松悪斗も花樹の父親のことを知っていたので自分の陣営に引き入れたのである。
そして・・・、
「あなた・・・」
そう、もうひとつの出会いとは、花樹の母親のことである。ちょうど花樹の母親もアメリカに留学していたのである。そこで偶然花樹の父親と出会いなぜか意気投合、1年後には結婚したのである。さらに、
「オギャー!!」
とそこで生まれたのが花樹であった。まぁ、同じころに木松悪斗の妻も桜花を出産しているのですがね。
その後、数年間は木松悪斗とともに投資の世界において活躍した花樹の父親であったが木松悪斗活動の場を日本に移す、ということで、花樹の父親もその木松悪斗とともに日本へと帰国することになる。
だが、これが花樹の父親にとって地獄の始まりであった。花樹の父親は日本において木松悪斗率いる投資グループにて木松悪斗の左腕として木松悪斗が造り上げた投資専用プログラムActシステムで集められた情報を精査して木松悪斗に渡したり買収した企業を経営するなど自分の才能をフル活用していた。
ところが、肝心の投資については失敗の連続であった。というのも、
「なんでいつもいつも失敗するんだ!!それもこれもあのおばあさまが邪魔してくるからだ!!」(花樹の父親)
そう、花樹の父親が投資をするものならいつも花樹のおばあちゃんが邪魔をしてくるからだった。まぁ、これには裏があって、沼津家の名家であった猪波家は同じく沼津の名家であった沼田家や親交があった小原家から投資の情報が花樹のおばあちゃんのところに流れており、特に木松悪斗の、そのなかの花樹の父親の情報があればおばあちゃん自らその投資を失敗に終わらせようと動いていたのである。こうして、花樹の父親が行う投資はことごとく失敗に終わっていたのである。また、このことを知っていた木松悪斗も次第に鹿角父親に投資をするのを控えるようになったのである。
こうして、花樹の父親はおばあちゃんがいるときはおばあちゃんに逆らうことができなかった。そのためか自分の娘である花樹に対して厳しく接するようになっていく。特に猪波家がもともと男系家族だったこともあり、ことあるごとに花樹に対し女言葉を使うように強制してきたりしていた。
そんな花樹であったが自分の父親が厳しく接してきているのに対しおばあちゃんはその逆でいつもおばあちゃんは花樹のことを大切に扱ってきたのである。その一例が次の通りである。
「おばあちゃん、俺、絶対にアイドルになる!!俺、アイドルになっておばあちゃんの前で歌ってやる!!」(花樹)
「おい、花樹、「俺」なんて言うな!!いつも言っているだろうが。「少しは女らしくしろ!!」って!!」(花樹の父親)
「こら、なんていうことを言っているのだね!!」(花樹のおばあちゃん)
この言葉からわかるように、花樹は小さいときから「俺」とか男言葉を使っていた。それに対し花樹の父親はそれを女らしく言うように強制するもいつもおばあちゃんに止められる、そんなことが日常茶飯事であった。ただ、これはおばあちゃんがいるときのみである、いないときは花樹の父親はいつも花樹に対し、
「少しは女らしく話せ!!」
と脅しを言うようになり、花樹は次第に女言葉を使うようになっていったのである。
さらに、花樹の父親は花樹に対しあることを強制しようとしていた。それが、
「いいか、花樹、「勝利こそすべて」なんだ!!いいか、わかったか!!」(花樹の父親)
そう、「勝利こそすべて」の考えであった。猪波家の家訓は「他人のために働く」であったがそれに花樹の父親は反対していた。そのため、おばあちゃんがいないときは花樹に対し前述の言葉を花樹に対して言っていたのである。そのため、花樹の考えも少しずつ、
「やっぱり勝たないといけないんだ。勝つことがすべてなんだ:
と、「勝利こそすべて」の考え、その考えに染まろうとしていた。
そんな花樹の夢、それは「アイドルになること」であった。そのため、花樹はおばあちゃんに対しては
「俺、アイドルになりたい!!」
と言ってはおばあちゃんから、
「花樹、頑張りや。おばあちゃん、応援してるきに・・・」
と応援することもしばしばだった・・・。
そして、花樹はスクールアイドルに出会った。それはラブライブ!延長戦の動画を見たときのことだった。その延長戦をスクールアイドルのライブを見て花樹の父親は、
「うそっ、このグループ、とても凄い・・・」
と青天の霹靂のごとく驚いたのである。
そんな花樹にある夢ができた。それは・・・、
「(今度入る)静真に入学したら絶対にスクールアイドル部に入る!!そして、(延長戦の動画で高レベルのパフォーマンスをしていた)Aqoursの一員になる!!」、
「おばあちゃんに自分が活躍しているところをAqoursの一員としてスクールアイドルとして活躍しているところをみせること」、
そして、
「俺、(勝ち続けて)Aqoursが手に入れた栄光、スクールアイドルの甲子園、ラブライブ!で優勝しておばあちゃんに、深紅の優勝旗、それをみせてやる!!」
とおばあちゃんに誓ったのである。
だが、このとき、おばあちゃんは病気をわずらっていた。そのため、おあばあちゃんは病院に入院していたのである。その誓いの言葉はおばあちゃんの入院先の病院であった「木松悪斗記念病院」で行われていたのだが、このとき、おばあちゃんから花樹にあるものをプレゼントされた。それが花樹がいつも身につけていた十字架状のペンダントであった。
ところが、その翌日、自体は急変する。
「おばあちゃん・・・、なんで亡くなったんだよ・・・」(花樹)
そう、おばあちゃんが急に亡くなったのである。死因は不明。たしかに病気をわずらっていたのだがそこまで急変するようなものではなかった。それが急に亡くなるなんて誰も想像できなかったのだ。ただ1ついえること、それは花樹が、
「おばあちゃん・・・」(花樹)
と悲しみにくれていたことだった。
ところが、それが花樹にある衝動へと走らせることになった。それは・・・、
(もうおばあちゃんはいない・・・。だけど、そのおばあちゃんのぬくもりを・・・、おばあちゃんと誓ったあの約束を・・・、俺の胸のなかに残すことができる!!)
という花樹の思いと共に目の前にあったおばあちゃんの(火葬したあとの)白骨死体の一部を粉々にして十字架状のペンダントに入れたのである。さらに、こんなお願いを花樹はしてきたのである。
「スタッフ、お願いだ!!この遺灰で・・・、ダイヤを・・・、作ってくれ!!」
「えっ、花樹がしているペンダント、花樹のおばあちゃんのものだったわけ?」
そう理亜は絶句した。まさか、花樹がしているペンダントに想像を絶するようなものが隠されていたとは知らなかったからだった。
そんな理亜に対し花樹の母親はこのことについて語りだす。
「私が思うのですが、花樹にとって十字架状のペンダントはおばあちゃんそのものなのかもしれません。花樹はそのペンダントでおばあちゃんとの想い出を、想いを、キズナを火事ていたのかもしれません」
そう、花樹の母親の言う通りであった。花樹はことあるごとに十字架状のペンダントを掴んではおばあちゃんとの想い出、想い、キズナを感じていた。それくらい花樹にとってそのペンダントはおばあちゃんそのものだったのだ。
そんな花樹の母親の言葉にあつこは、
「だから、花樹さんは、今日、クラスメイトと口論したとき、ペンダントを壊されてしまい意気消沈したのですね」
とこれまた絶句していた。
そんなこととは対照的に気を取り戻した理亜は、
「ということは・・・、ペンダントからまった灰はおばあちゃんの遺灰、このダイヤは残った遺灰で作ったダイヤ、ということ・・・」
そう言っては理亜は壊れたペンダントを花樹の母親にみせた。そこにあったのは蓋を締めた遺灰のないペンダントとそのペンダントから外れたダイヤだった。これには、あつこ、
「それくらい花樹さんにとってこのペンダントへの、おばあちゃんとの想いが強かった、ということですね・・・」
という言葉を口にした。そう、何度もいうが、花樹にとってこのペンダントは
ペンダント=おばあちゃん
であった。理亜とあつこの心のなかにSaint Snowという聖良を含めた3人の想い、想い出、キズナという宝物があるのと同様に花樹にもおばあちゃんとの宝物があった。だが、花樹にとってその宝物としての存在がこのペンダントであった。そのペンダントが壊されたため、花樹は再起不能に陥ったのである。
そのことに気づいた理亜とあつこに対し花樹の母親はこう話した。
「花樹にとってこのペンダントはおばあちゃんとの宝物です。これを直しても花樹がもとに戻るかわかりませんが直してみましょうか?」
この花樹の母親の申し出に理亜はすぐ、
「お願いします」
と言うと花樹の母親は外れたダイヤをペンダントに直し始める、こう言いながら。
「でも、今までの話には続きがあります。それをお話ししましょう」
こうして、花樹の母親は猪波家の話の続きを語り始めた。