ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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ラブライブ!SNOW CRYSTAL 第13話(最終章) (1)

 夢、それは儚いもの。夢はほんの一瞬ではじけてしまう。でも、人は夢をみてそれに向けて一生懸命頑張っている。それでも夢ははじけてしまうことが多い。では、はじけたらどうなってしまうのだろうか。その夢に向けて再び一生懸命頑張る者、その夢をバネに他方面へと頑張る者、その夢のせいで闇に堕ちる者、多種多様である。では、闇に堕ちた場合はどうなるのか。その闇のせいで自暴自棄になる者もいればその闇を引きずり続ける者もいる。だが、しかし、その闇に逆らうことで夢として再構築する者もいる。その者の意志は強い。意志が強いからこそ、その夢に向けてほかの者以上の力を持つ。その力があればきっと夢は叶う・・・なのかもしれない。

 でも、夢を再構築した場合、最初のころの夢はどうなるのか。最初のころの夢と同じ夢をみる者もいれば夢実現のために夢の内容を少し変更する者もいる。もし、夢の内容を変更したらその者の夢は実現のために近づくかもしれない。でも、そうすることでその者は納得することができるのだろうか。それはわからない。とらえ方は人それぞれだから。でも、これだけはいえる、どちらにしても人はその夢に向けて頑張ることができる生き物なのだから。

 さて、この物語もついに最終章である。この物語の主たちは自分の闇を払いのけ、自分の夢を叶えることができた。では、その夢の先にあるものとはなんだろうか。自分たちの夢に悔いはなかったのだろうか。やり残したことはないのだろうか。その夢の先にあるものをみていてほしい。

 

「蛍の光、窓の雪・・・」

 2月下旬、函館にある函館聖泉女子高等学院では卒業式が行われた。その日、3年生であるあつこはこの学び舎から巣立つことになっていた。そのあつこだが、

「答辞、蝶野あつこ」(司会)

「はい!!」(あつこ)

と、卒業生代表として答辞を言うくらいになるまで立派になっていた。というのも、ラブライブ!優勝という立派な成績を残したということで、3年生の先生、生徒全員の一致であつこは卒業生代表に選ばれたのである。これには、あつこ、

「この私でよろしいのでしょうか」

と謙遜するも、まわりからの後押しもあり快く引き受けたのである。

 そんなあつこに対し送る側の在校生からは、

「まさかあの猪鹿蝶がこの学校を代表するまでになるとはね・・・」

と舌を巻いていた。ほんの数か月前までは猪鹿蝶といえば、(猪波)花樹、(鹿角)理亜、(蝶野)あつこという3人を忌み嫌う代名詞となっていた。だが、聖泉祭(学園祭)やデパート棒一屋閉店騒動、そして、ラブライブ!優勝を通じて3人は、函館のために、聖女のために頑張る姿をまわりが見たことで印象ががわりと変わったのである。こうして、今や猪鹿蝶はこの学校を代表するスクールアイドルユニットとなったのである。ただ、この日をもってあつこが卒業するため、まわりの生徒たちにとってこの卒業式があつこの聖女での最後の舞台となっていた。

 そんなあつこを見てか、在校生席に座っていた理亜はあつこに対しお礼を言っていた。

(あつこ、あなたのおかげで私は夢を叶えることができた。これからは自分のために飛び立ちなさい・・・)

あつこと理亜は昔からの腐れ縁だった。姉聖良とともに昔から一緒に遊んでいた理亜とあつこ、そのため、Saint Snowの雪での誓いのときも一緒にその誓いをしていた。その後、Saint Snowでは叶うことができなかったその誓いを花樹を含めた3人で、自分たちが作ったユニット、SNOW CRYSTAL、でもって誓いを叶えることができた、それにより、理亜は自分の闇を、いや、夢を叶えることができたのである。その立役者の一人であるあつこに理亜はあらためてお礼をいったのである。

 一方、花樹の方も在校生席からあつこにお礼を言っていた。

(あつこ、お前のおかげで俺はおばあちゃんとの誓いを、夢を叶えることができた。ありがとう)

花樹も自分の夢を叶えることができた。自分の父親のせいで花樹がもっとも大切にしていたおばあちゃんと素の自分、いや、自分そのものを奪われた花樹であったがその父親を理亜とあつことともに倒しただけでなく自分そのものを取り戻すことができたこと、そして、おばあちゃんとの誓い、花樹の夢であったラブライブ!優勝を叶えることができたこと、それに対して花樹はあつこにお礼を言ったのである。

 

 そんな花樹であったが、ふとあることがよみがえった。それは・・・、

(俺の夢、「スクールアイドルとしてラブライブ!優勝すること・・・」、それが叶った・・・はず。でも、なんか忘れているような気が・・・・。たしか・・・、たしか・・・、あっ、俺、たしか、SNOW CRYSTALとして理亜とあつこのユニットに入った・・・。でも、最初は・・・、たしか・・・、Aqoursとして千歌たちのグループに入るつもりじゃ・・・)

そう、花樹は、当初、Aqoursとして活躍するつもりだった。花樹は聖女に入る前は沼津に住んでいてAqoursのいる静真に入る予定だった。猪波家は沼津では命かとして有名であり、名店と呼ばれる店をだしていた。だが、おばあちゃんが(息子である花樹の父親によって)亡くなったことにより状況が一変、自分の父が(木松悪斗の指示で)函館に移住することとなり、花樹は静真に入学できずに函館にある聖女に入学することになったである。そのため、花樹は自分の夢、いや、自分の闇の内容を「Aqoursとして活躍する」から「理亜のユニットとして活躍する」に帰らざるえなかったのである。

 そんなあkジュはそのことを思い出していたのか、つい、こんなことを言い出してしまった。

「あ~、もし、Aqoursに入っていたら、俺、どうなっていたのだろうか・・・。そう考えると、俺、Aqoursとして活躍してみたかったな・・・)

 

 卒業式後、スクールアイドル部の部室にて、

「あつこの卒業を祝して乾杯!!」

と理亜が音頭をとって3人で乾杯していた。実は、卒業式後、理亜、花樹、あつこはあつこの卒業を祝してスクールアイドル部の部室にてお別れ会を行っていたのである。そのなかであつこが理亜と花樹に対し、

「ありがとう、理亜さん、花樹さん」

とお礼を言っていた。

 そんななか、理亜は花樹の様子を見ては花樹に話しかけてみた。

「花樹、なんか元気がないみたい・・・」

 すると、花樹、ふと、

「あっ」

というと元気のあるようなそぶりをみせる。

「あっ、理亜、なんでもないぜ。元気だぞ!!」

 ただ、そんな理亜は花樹の姿のみてはふと思ってしまう。

(なんか、花樹、なにかを隠している気がする・・・。それなら、あの人に聞いてみることにしよう・・・)

 

「函館駅前~、函館駅前~」

ピッ

「ありがとうね」(乗務員)

理亜はMIMOCAをかざすと、市電、路面電車から降りてきた。MIMOCA、函館市電をはじめとする函館市交通局で使える交通系ICカードである。なお、ここではイカすMIMOCAといわれているのだが、そのMIMOCAの事業外車は九州福岡の・・・、ということはさておき、理亜はあつこを連れてある場所へと向かっていた。その場所とは・・・、

「あっ、理亜さんにあつこさん、お久しぶりです。花樹の母でございます」

なんと、花樹の母がいるオフィスであった。そこであつこが花樹の母親に対しこんなことを言ってきた。

「今、各方面への補償で大変のなか、会っていただいてありがとうございます」

これには、花樹の母親、

「私の元夫の不始末の対処をするのがこの私の役割ですから。まぁ、もとの(ディスカウントショップの)会社は日野さんのお父さんにあげたのを皮切りにいろんな方面に損害賠償をしていかないといけませんからね」

と微笑んでいた。実は花樹の母親は花樹の父、猪波によって損害を受けた各方面の人たちに賠償を行っていたのである。猪波(花樹の父)が逮捕、失脚したあと、花樹の母親はすぐに猪波が経営していたディスカウントショップの社長に就任、すぐにディスカウントショップの経営権を新しく作った会社に移転、その会社の社長に棒一屋を経営していた日野の父親に無償譲渡したのである。日野の父親は函館を代表するデパート棒一屋を経営していたし函館のことを第一に考えていた。ただ、猪波率いるディスカウントショップの猛攻に耐えられなくなり経営していた棒一屋を閉店せざるをなかったのである。そんな日野の父親に対し花樹の母親はお詫びとばかりにそのディスカウントショップの経営権を渡したのである。これには、日野の父親、

「ありがとうございます」

とお礼を言った程だった。じゃないと日野一家は路頭に迷うことになっていただろう・・・。

 また、猪波の力によって無謀な契約を結ばされていた函館近郊の農家などに対してもその契約による損失を補填するなど、残っている資産などを使って猪波によって損害を受けた各方面の人々に対して補償を花樹の母親一人で行っていたのである。

 そんな花樹の母親に対しあつこはあることを聞いた。

「花樹のお母さん、ちょっと聞きたいのですが、花樹さん、最近、おかしくないでしょうか?」

これには、花樹の母親、こう答えた。

「たしかにおかしいですね」

これには、理亜、

「花樹のお母さん、なにか知りませんか?」

と尋ねると、花樹の母親、

「う~ん、あっ」

となにかを思い出したのかこんなことを言ってきた、

「もしかすると、花樹、今、Aqoursに入りたいのかもしれませんね」

これには、理亜、

「それって、この前、話していた・・・」

と言ってはあることを思い出した。そう、詳しくは第10話(2)(3)を呼んでもらいたいのだが、前述の通り、当初は花樹は静真に入りAqoursに入ろうとしていたこと、自分の父のせいでそれが叶わず、函館に移住、理亜、あつこがいる聖女に入ったことを以前花樹の母親から聞いており、理亜とあつこはそれを思い出したのである。

 そんな理亜はあつこに対しあることを話す。

「そうなると、花樹、今になってAqoursに入ろうと思っているわけ・・・」

これには、あつこ、

「でも、たしか、花樹さんの闇って、函館移転を機に、「Aqoursとしてスクールアイドルで活躍しラブライブ!優勝を叶える」が、「理亜のユニットとしてスクールアイドルで活躍し、ラブライブ!優勝を叶える」に変わったはずでは・・・」

と指摘する。そう、それも前述の通りだが、花樹の闇は函館移転を機にそう変わったのである。

 ただ、それに対し花樹の母親はこんなことを言い出してきた。

「その闇、いや、花樹の夢において、「ラブライブ!優勝を叶える」という部分はこの前の優勝をもって叶いましたが、「○○としてスクールアイドルで活躍」の部分が花樹のなかでうやむやな気分になっているのかもしれません。その意味でも花樹がAqoursに入りたい、そう思っていてもおかしくないかもしれません」

そう、花樹は自分の闇、いや、夢において、「○○としてスクールアイドルで活躍」の部分が未練を残していたのである。たしかに花樹は理亜とのユニット「SNOW CRYSTAL」としてスクールアイドルで活躍することができた。だが、花樹は当初Aqoursとして活躍したいと思っていたのである。そのAqoursに未練がいまだに残っているのである、花樹は・・・。そのため、花樹はAqoursに入りたい、そう思っているのである。

 だが、それに対して理亜はつい言葉にする。

「でも、花樹は今なお、私たち、SNOW CRYSTAL、のメンバーの一人・・・」

そう、花樹は理亜のユニット、SNOW CRYSTAL、のメンバーの一人、いや、聖女の生徒なのである。スクールアイドルは1つの学校のなかでグループを作ることが多い、そのため、花樹は静真に転校しない限りAqoursに入ることはできなかった。それを受けてか、あつこ、花樹の母親に対しこう話す。

「それに、静真に転校しない限り、花樹さんはAqoursに入ることができません・・・」

 そんなあつこの言葉に花樹の母親はこんな反応をみせた。

「それなのですが、実は、花樹に対してある提案が・・・」

 

「えっ、俺が猪波家の次期当主になって沼津に戻る!?」

翌日、花樹の母親のいるオフィスにて、花樹の母親が花樹にその提案を言ってきたのである。というのも、

「実は分家との話し合いで決まりました。(花樹の)おばあさまと(逮捕された花樹の)父親がいない今、猪波家本家の血筋を受け継いでいるのは花樹ただ一人なのです。なので、その花樹が猪波家の本家を継いで沼津に戻って猪波家を再興させるのです」(花樹の母親)

なんと、花樹、猪波家の当主として沼津に戻るように言われたのである。というのも、(前述の通り、)猪波家は沼津では名家であったが、その本家の血筋も花樹一人になったのである。なぜなら、すでに本家の血筋である花樹のおじいちゃんとおばあちゃんはすでに故人であり、その息子である花樹の父親はおばあちゃんへの殺人容疑や経済犯罪(脅迫など)により堀のなか、その娘である花樹は一人っ子、だからである。また、猪波家は代々女系家族だったことも花樹を次期当主にする要因の一つとなった。そんなわけで、花樹は猪波家次期当主にして、猪波家の地元、沼津にて猪波家の再興するように決まったのである。

 でも、花樹からすれば寝耳に水だったらしく、

「そうしたら、俺一人、沼津に行かないといけなくなる・・・」

と少しためらってしまった。というのも、せっかく函館の暮らしになれたというのにたった一年で沼津に戻ることになるのと、花樹の母親は父のやったあとの後始末(補償)をするために当面のあいだは函館に居残り、結果、自分一人で沼図に住むことになる、それが花樹にとって心配事項だった。

 ただ、それを見越した上で花樹の母親は花樹に対しこう話す。

「ちなみに、高校だけど静真に通うことになるから。そこでAqoursとして活動すれば花樹の夢も叶うでしょ!!」

これには、花樹、

「えっ!!」

とびっくりする。どうやら、花樹の母親、すでにすべてお見通しだったのである。そのため、花樹はただただ驚くことしかできなかったのである。

 その後、花樹はそのオフィスから離れるなりこう考えてしまっていた。

(沼津に戻ればAqoursに入ることができる。でも、そうなると理亜とは・・・)

 

一方、そのころ、花樹の母親は花樹と別れるなり、さっさと会社のオフィスを閉め、函館を管轄している拘置所の面会室へと向かった。そこには花樹の父親がガラス越しに座っていた、こう言いながら・・・。

「なんで俺が捕まらないといけないんだ!!俺は、直接、おばあさまには手を下していない。それに、私は私なりに経済活動をしていたのだ。それなのに気に食わないだけでこんな仕打ちをするなんてどうにかしている!!」

花樹の父親は自分の母(おばあさま、花樹からみれば花樹のおばあちゃん)を殺した主犯であり、さらに脅迫などといった経済犯罪を犯している罪状で逮捕され、警察の留置を経て拘置所に拘置されていた。

 そんな花樹の父親は、自分の妻、というか、すでに離婚していたため、元妻である花樹の母親に無罪であることを訴えたが、その訴えすら花樹の母親は、

「そんなことをいつも言っているけど、あなたがやってきたことは犯罪です!!少しは反省しなさい!!」

と一蹴する。久しぶりに花樹の父親に会ったのだが、そこでも自分の無罪を主張すること自体、花樹の母親にとって信じられなかったのである。

 その花樹の母親はその元夫である花樹の父親に対しこんなことを言ってしまう。

「少しは自分の罪を認めなさい!!そして、少しは反省するのです!!その姿勢をみせない限り、あなたとはよりを戻しません!!いや、それができない限り決別します!!」

それはまさに自分の元夫に対する決別宣言だった。これまで花樹の父親がやってきたことはまわりの人々を不幸にすることだった。自分のエゴのために自分の親を手にかけ、さらに、自分のエゴのために函館のみんなを苦しめた、そのことについて、当の本人はやったことへの罪を認めなかったのである。そうであるなら、花樹の母親は元夫である花樹の父親と決別してもおかしくなかった。

 ただ、そうと言われても花樹の父親は、

「なんどだって言う、私は無実だ!!お前たちの物差しで私を図るのが間違いなのだ!!自分は自分のやり方でやってきたのだ!!1「勝利こそすべて」なんだ!!勝利のためならなんでもやってもいいんだ!!だからこそ、私は無実なのだ!!」

と自分の主張を曲げなかった。これには、花樹の母親、

「もう知りませんからね!!」

と言って面会室をあとにしてしまった。ただ、それでも花樹の父親は、

「なんどだって言う。私は無実なんだ!!」

と大声で張り上げていた・・・。

 その後、自分の罪を認めなかった花樹の父親、猪波であるが、それでも自分の無実を訴え続けた。その源にあっとのは花樹の父親のある思いであった。

(私は無実を言い続ける。なぜなら、そうすることで、あの方、木松悪斗様が助けてくれるはずだからだ!!私が無実であることを叫び続ければ、いつの日か(刑務所から開放された)木松悪斗様が見つけてくれるはずだ!!そして、はれて私も解放される!!だって、今までやってきたことは木松悪斗様のため!!すべて木松悪斗様の信じる、そして、私も信じている、「勝利こそすべて」、その一言に尽きる!!)

そう、自分の主である木松悪斗が自分を救ってくれる、そう信じていたから・・・、「勝利こそすべて」・・・、それを信じながら・・・。

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