ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第2部 第5話

「1,2,3,4、2,2,3,4.ルビィちゃん、もう少し、テンポ、早くね~」

ナギと別れた月はAqoursの控室に近づくなり、控室から聞こえてくる声を聞き、

(あっ、曜ちゃんたち、練習している!!最後の最後まで練習に余念がないんだね)

と、本番直前まで練習を怠らない千歌たちAqoursに感心を覚える。

 そして、

「ただいま!!」

と、月は控室のドアを開けると、曜、

「あっ、おかえり!!ごめんね、騒がしくなっちゃって・・・」

と、曜は月に謝る。これには、月、

「いや、いいんだよ。それより、ここでも練習を怠らないなんて、感心、感心!!」

と、千歌たちAqoursを褒める。これには、曜、

「いやいや。だって、今回のライブ、浦の星のみんなの未来がかかっているライブだもの・・・」

と、逆に謙遜してしまう。

 そんななか、千歌は、

「曜ちゃん、話をしている最中でごめんね。最後にみんなとあわせるから、もとの位置に戻ってね」

と、月と話しているように言うと、曜、

「うん、わかった」

と、千歌に返事をすると、月に対して、

「月ちゃん、ごめんね。また、あとでね」

と、言い残し、自分の位置に戻る。そして、千歌たち6人は最後の通し練習を始める。

♪~

と、流れる曲にあわせて踊る千歌たち、新生Aqours6人。これを見た、月、

(す、凄い!!曜ちゃんたちAqoursを実際に、生で、見るのは初めてだけど、それでも、映像で見たときより凄いよ!!)

と、感動に浸る。Aqoursの踊っているところは月も動画サイトなどで映像として見たことがあったが、映像で見るより実際に見たほうが感動する度合いが高いものである。百聞は一見にしかず、それが、今、まさに、月に起こっていた。が、それと同時に、月、あることに気づこうとしていた。

(あっ、でも、なんか、違う気がする・・・、その・・・、なにかが・・・、映像のときのAqoursと・・・、今、僕の前で実際に踊っているAqoursと・・・、な、なにか・・・、なにか足りない・・・)

この月が感じた違和感、今はまだ確信していない、が、それが切実になってあらわれていた、そのことを、このときの月は知らなかった。

 

 この月が違和感を覚えた最後の通し練習のあと、ほどなくして、

「Aqoursのみなさん、時間になりました。すぐに講堂まで来てください」

と、報告会実行委員の1人が月と千歌たちAqours6人を呼びにきた。これには、月、

「さぁ、ライブの時間はあともう少しだよ。僕が行動まで案内してあげるよ」

と、千歌たち6人に対し、講堂までのエスコートをかってでる。

 そして、控室から講堂まで行くあいだ、

「・・・」

と、千歌たち6人、と、いうよりも、ルビィ、花丸、ヨハネの1年生コンビはかなり緊張・・・というよりも、まったく知らない土地にぽつんと自分たち3人がいる、そのためにまわりの人に対して恐れを抱いている、そんな表情をしていた。これには、月、

(ルビィちゃん、花丸ちゃん、善子ちゃん、かなり緊張しているなぁ。こう見てみると、僕、なんか、心配になってくるよ・・・)

と、これまで抱いていたAqoursへの絶対なる信頼、確信が陰りをみせてしまい、逆に、「本当に大丈夫か?」、と、ライブが成功するのか、それについての不安、心配が、少しずつではあるが、月の中に積み重なっていく。が、それでも、月、

(いや、絶対、大丈夫!!だって、本来のAqoursは凄いんだもん!!だから、絶対に、大丈夫!!)

と、映像で見た、本気で凄い、本来のAqoursの姿を知っている月は、自分を奮い立たせるように、いや、ちょっと空元気になりつつも、自分に対して、「大丈夫だ!!」、と、言いきかせていた。

 

 その数分後・・・。

「さぁ、ついたよ」

と、月は大講堂の・・・、ステージ裏へと、千歌たち6人を案内する。そこには、静真が誇る部活のうちの1つ、女子サッカー部と弓道部の部員たちがいた。もちろん、女子サッカー部の部長でもある旺夏もここにいた。

 で、この部員たちを見て、

(う、う~、まったく知らない人たちだよ~。お、お姉ちゃん、助けて~!!(ルビィ))

(ル、ルビィちゃんが固まっているずら!!ここはおらが・・・、おらが・・・、や、やっぱり、まるじゃダメずら!!(花丸))

(こ、こんなに敵が多いなんて、ここはヨハネの堕天使たる力で・・・、なんて、絶対、無理!!(ヨハネ))

と、さらに緊張してしまう1年生コンビ。これだと、ライブが始まる前に別の意味でオーバーヒートを起こしてしまい倒れこんでしまうかもしれなかった。

 そんな、極限ともいえる緊張をしている1年生コンビ3人をよそに、報告会の司会は、

「以上、軽音楽同好会でした」

と、Aqoursの演目の3つ前の演目が終わったことを観客である静真の生徒と保護者たちに告げるアナウンスをすると、続けて、

「続いては、女子サッカー部です」

と、その次の演目(Aqours側から見ると2つ前)が始まることを告げるアナウンスをする。

 その(Aqoursからみて)2つ前の演目の女子サッカー部、その名前を呼ぶアナウンスがステージから聞こえてくると、その女子サッカー部の部長である旺夏はほかの女子サッカー部員に対し、

「さぁ、戦いの時間ですわよ!!いつもの通り、王者の筆画を見せてあげましょう!!」

と、みんなを鼓舞すると、ほかの女子サッカー部員も、みな、

「はい!!」

と、大講堂全体に響き渡る、そんな大声で返事をする。これには、ルビィたち1年生トリオ3人とも、

「「「ピギィ!!」」」

と、極限的に怯えるなかでさらにビビってしまう。このルビィたち1年生トリオ3人がビビっている姿、偶然自分の視野にはいったのか、旺夏、すぐに、

(これが月生徒会長の秘密兵器、Aqours、ですのね。たしか、「ラブライブ!」、という全国大会で優勝した、ってことは聞いたこと、ありますが、私たちの鼓舞にビビるようでしたら、あまりたいしたこと、ありませんね。とるにたらないものです。その意味で、月生徒会長、そのもの(Aqours)を秘密兵器にした意味、あったのかしらね?)

と、少し呆れかえりつつも、月の本位に疑問を感じていた。が、まもなく女子サッカー部の演目がはじまる、ためか、

(まぁ、あんな腰抜け(Aqours)なんて気にせず、私たちは私たちでできることをするだけ、ですわ!!)

と、旺夏、そう思いつつ、ステージへとあがっていった。

 

「私たち、女子サッカー部ですが、去年夏、ついに、念願のインターハイで、優勝を果たしましたわ!!」

開口一番、旺夏は客席に向かって叫びだす。さらに、

「そして、これが、そのとき得た、優勝旗とトロフィーですわ!!」

と、旺夏が叫ぶと、旺夏のまわりにいる女子サッカー部員たちは高々とインターハイの優勝旗とトロフィーを抱え上げる。すると、客席からは、

「オー!!」

と、大きな歓声が聞こえてきた。部活動が昔から盛んであり、全国大会の常連ともいえる部活を数多く持つ静真にとって、1つの大きな偉業、それを誇らしげに言う旺夏たち女子サッカー部、その勇姿に観客たちみんな歓喜に包まれていた、そのために起きた歓声だった。客席にいる観客たち、というよりも、静真の生徒・保護者たちは、まるで自分が成し遂げたみたいな感じをこの場で得たかのように自分のボルテージを上げてしまい、興奮しながら歓声をあげていた。

 その客席からの歓声を聞いてか、旺夏、

「そして、私たちは今なお常勝街道をつっぱしております!!この前も強豪を徹底的に潰してきました!!」

と、インターハイが終わっても勝ち続けていることを観客みんなにアピールする。これには、観客みな、

「オー!!」

と、驚きの声が聞こえてきた。インターハイが終わると、受験や進学などのため、3年生たちは引退することが多い。でも、インターハイ時の3年生レギュラーがいなくなっても、旺夏たち女子サッカー部1・2年生は常に勝ち続けていること、それを誇らしげに言う旺夏に、観客たちはまるで旺夏を1人の英雄として見ている、そんな感じがしていた。

 その観客たちからの声を聞いた旺夏、誇らしげに宣言した。

「静真の部活動、それは、「勝つことこそ正義!!」、なのです!!勝ち続けることこそ、静真の部活動にとってとても大きなこと、いや、必須事項、なのです!!」

これを聞いた観客たちこと静真の生徒・保護者たちは、

「そうだ!!」

と、旺夏の言うことを同意、肯定する。これには、旺夏、

(快・感!!)

と、自分が言ったこととそれを観客たちである静真の生徒・保護者たちが同意、肯定したこと、それに心酔していた。

 と、旺夏、ある方向を見る。そこは客席の・・・学校関係者の座る席だった。その方向を見た、旺夏、

(どうですか、お父様、それに、沼田のおじ様。この私の勇姿に惚れてくださいますわよね)

と、考えてしまう。そう、その関係者席には、旺夏の父であり、静真の大スポンサーである木松悪斗、それに、静真において影の(絶対なる)神の沼田がいた。

 で、旺夏の勇姿を見た木松悪斗、旺夏の思いが通じていたのか、

(そうだ!!「勝利こそ正義」、「勝利こそすべて」、なのだ!!負けることなんて許されないのだ!!常に勝ち続けること、それが、この世の中で1番大事なことなんだ!!)

と、旺夏の考え、いや、自分の考えに同意、肯定する。「勝利こそすべて」、それを信条とする木松悪斗、それをみんなの前で自分の娘である旺夏が証明してみせたこと、それに感動していた、みたい、だった。

 が、そんな木松悪斗に対し、沼田はというと・・・、

(本当にこのままでいいのだろうか。「勝つことが正義」「勝利こそすべて」それだけを信条にしたとき、もし負けることがくれば、果たして、その人は立ち直ることができるのだろうか。そう考えたとき、どれほど、木松旺夏、いや、木松悪斗、いや、静真全体において、「勝つことが正義」「勝利こそすべて」という考え方がとても危ういものなのか、それに気づく者はいるのだろうか。それよりも、それ以上にとても大切なものがあると思うのだが・・・)

と、「勝つことこそ素晴らしい」そう見えてしまっている旺夏の姿、そして、それを追認する木松悪斗の姿を見て、静真の未来を心配していた。

 

 と、いうことで、女子サッカー部の演目は終了・・・ではなかった。

「と、ここで、優勝報告・・・だけだと味気ないので、ここで、パフォーマンス、行います!!」

と、旺夏が大きな声で言うと、女子サッカー部員、ゴールキーパーと旺夏、それに部員1人を残して端っこに移動してしまった。そのあと、旺夏はすぐに、

「それでは、余興ですが、ゴールキーパーに向かってシュートを放ってみたいと思います」

と、言うと、会場中から、

「オー!!」

と、驚きの声が聞こえてきた。

 そして、サポーター役の部員がサッカーボールを旺夏の前に置くと、旺夏、

「まずは普通のシュート!!」

と、大きな声で言ってからゴールキーパーに向かってとても強力なシュートを放つ。すると、ボールから、

ゴーゴー

という凄い音が聞こえてくる、ような感じがした、そんなシュートだった。が、ゴールキーパー、それをやすやすと、

バシッ

と、軽々とキャッチする。ステージの端から端まで少し距離があるものの、それでも強力なシュートを放った旺夏、それを軽々とキャッチするゴールキーパー、さらに、そのゴールキーパーに向かってちゃんとコントロールしてちゃんと受け取れるようにしていた旺夏のボールコントロールのうまさ、これには会場中、きょとんとしているかのように、

シーン

と、なってしまった。

 それでも、旺夏は余興を続ける。

「そして、2つ目がボレーシュート!!」

この旺夏の言葉を聞いて、サポート役の部員が旺夏の前にボールを投げる。それを、旺夏、ジャンプしてはそのままボレーシュートを放つ。もちろん、ゴールキーパーもやすやすとキャッチする。さらに、

「そして、これが最後!!オーバーヘッドキック!!」

と、旺夏は大きな声で叫ぶ!!オーバーヘッドキック、サッカーの代名詞ともいえるシュートの一種である。あるとても有名なサッカー漫画の主人公がもっとも得意としているシュート。もし、そのオーバーヘッドキックを決めれば、本当にヒーローになれる、かもしれない、それを旺夏はしようとしていた。観客みんなが固唾飲み込みつつも旺夏の方を見る。その旺夏、サポート役の部員が山なりにあげたボールめがけてオーバーヘッドキック!!すると、ボールは旺夏のキックにあわせてそのまま一直線にゴールキーパーのもとへ。もちろん、「ゴー」という音は・・・聞こえてこない、そんな威力があるわけではない、それでも、ボールはゴールキーパーめがけて一直線に飛ぶ。それをゴールキーパー、

ガシッ

と、ちゃんとキャッチ!!この瞬間、

ウォー!!

と、客席からものすごい歓声が聞こえてくる。会場中が興奮のるつぼと化していた。それほど旺夏のオーバーヘッドキックは素晴らしいものだった。ちなみに、オーバーヘッドキック、普通のシュートやボレーシュート、ヘディングシュートのときよりも威力が弱かったりする。なので、本当の試合だとあまり多用されていないみたいである。それでも、シュートしたときの見た目がとてもダイナミックかつアクロバティックなので、インパクトとしてはほかのシュートよりとても大、である。それに、某超有名サッカー漫画の主人公の代名詞ともなったため、オーバーヘッドキックでシュートを決めたいと思っているサッカー選手が多かったりする。そして、それを見たい人も多かったりする。そんな、オーバーヘッドキック、みんなに希望を与える、ものかもしれない?

 で、この客席からの大きな歓声に、旺夏、

「余興とはいえ、私のシュートを見てくださり、本当にありがとうございます」

と、客席に向かって御礼を言う。と、同時に、旺夏、

(で、どうですか、Aqoursのみなさま。私の素晴らしいパフォーマンス、見てくださいましたか?そして、絶望に陥りましたか?)

と、ステージ袖を見る。そこには、なぜか、月と千歌たちAqours6人がいた。実は、旺夏、自分の融資を月と千歌たち6人に見せつけるため、わざと月と千歌たち6人を自分が見えるステージ袖に呼んでいたのである、Aqoursに絶望を与えるために。そして、それは旺夏の望みどおりになった。特にルビィたち1年生トリオ3人には・・・。

 時間は少し遡る。旺夏の余興が始まる少し前、ステージ袖では、突然、

「月生徒会長、そして、Aqoursのみなさま、ちょっといいですか」

と、ステージ袖に控えていた女子サッカー部員が月と千歌たち6人を呼ぶ。

「なんでしょうか?」

と、月がその部員に尋ねると、その部員、

「実は、旺夏様がみなさまに見せたいものがあるとのことなので・・・」

と言うと、月、曜に対し、

「曜ちゃん、女子サッカー部が見せたいものがあるってことだけど、見る?」

と尋ねると、曜、

「い、いいんじゃないかな」

と、月の言葉に同意する。そして、月と千歌たち6人はステージが見えるところまで移動する。それに呼応したのか、旺夏の余興が始まった。で、旺夏がシュートを決めていくなかで、月、

(なに、シュートを次々と決めちゃって!!僕にとってそのシュート、見たってへっちゃらだよ!!)

と、冷静?に思うも、Aqoursメンバーからすると、

(す、すごい・・・(ルビィ))

(ず、ずら~!!(花丸))

と、目を丸くしてきょとんとなってしまった。さらに、旺夏の余興が終わった瞬間、会場中から、

ウォー

という、会場中に響き渡る歓声を聞いた瞬間、

(ピ、ピギィ!!すごい声だ・・・。ルビィたち、このあと、ライブ、するの~。こ、これを見せられてからライブしても、ルビィたちのこと、霞んでしまうよ~(ルビィ))

(ず、ずら~!!とてもすごいシュートずら・・・。お、おらたち、このあと、ライブ、する、ずらか・・・。まる、ライブする自信、なくすずら・・・(花丸))

(こ、これが、展開に選ばれし者の実力!!こ、この、ヨハネの力には、およ、およばない・・・わけじゃないでしょ!!このあと、私たち、ライブ、なんだよ!!こんなの見せつけられたら、私たち、ただの道化でしかないじゃない!!(ヨハネ))

と、これまでの経験で得た自信、そして、やる気を完全に吹き飛ばされてしまった、Aqoursメンバーが・・・、特にルビィ、花丸、ヨハネの1年生トリオ3人は・・・。

 で、次々と自信喪失していくAqoursの姿をみたか、旺夏、

(ふん、やりましたわ!!)

と、なにか勝ち誇った、そんな気持ちになっていった。

 

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