沼津駅前の震災Aqoursとしては初のライブを大成功に収めたあと、楽屋をかねたテントの中であることが起こった。
「あぁ、楽しかったずら~。もうこんなライブ、できないずら~」
と、花丸、ライブの余韻を今だに感じていた。ルビィも、
「たしかにそうかも。でも、まだ始まったばかりだよ。もっとガンバルビィしないとね」
と、これからが踏ん張り時であることを思い言う。
各人とも思い思いに今回のライブの余韻に浸っていた。が、そんなときだった。突然、
「さっ、ライブは大成功したよ。でも、ルビィちゃんが言うとおり、まだ始まったばかり。気を抜かないでね」
と、千歌、みんなに釘を刺す。ここで喜びに浸っていてはこれから先、前に進むことができない、そう思っていたからだったのだろう。
そして、千歌はあることを言った。
「さて、新生Aqoursとしてまずやらないといけないことがあります」
「なになに」「なにかおもしろいことなの?」「ずら、ずら、ずら!!」
と、千歌の発言に心をわくわくさせる。
その状況のなか、千歌、
「それじゃ、善子ちゃん、いや、ヨハネちゃん!!」
と、ヨハネを指差す。ヨハネ、
「えっ、私?」
と、突然のことで驚く。
驚いているヨハネに対し、千歌が一言。
「今からヨハネちゃんに新生Aqoursとして初めての仕事を命じます。ヨハネちゃんしかできないことです」
これを聞いたヨハネ、
「ヨハネしかできないこと?うふふ、うふふ」
と、不気味な笑い、喜びを隠せない様子。
これを見た千歌は元気よく言った。
「それじゃ、ヨハネちゃんに命じます。その仕事とは・・・」
その日の夜、ヨハネの自室。
「なんでこうなるのよ!!」
と、ヨハネはまわりのことを気にせずに叫んでいた。なぜなら・・・。
「なんで私が「スクールアイドル講座」の動画の編集をしないといけないのよ~!!」
そう、新生Aqoursとしての初めての仕事、ヨハネに与えられた仕事、それは沼津駅前のライブ前日に撮った「スクールアイドル講座」の動画の編集だった。実は果南、鞠莉、ダイヤが考えた案に沿って撮影をし、その日のうちにすべて撮り終えたのだが、撮り終わったときにはすでに夜の10時を越えていたのだ。また、リハーサルもしていたものの、本番となる映像はなんと4時間以上を越えていたのだ。もちろん、いろいろと脱線していたため、講座とはまったく関係ない部分も多く含まれていた。なので、このままだとただのネタ動画でしかなかった。お笑い集団Aqoursのネタ集、これではいけない、そう思った千歌は膨大な動画の編集をすべてヨハネに丸投げしてしまったのだ。
「でも、なんで私だけなの~~~!!」
と、ヨハネは嘆く。実はこれにも理由があった。それは・・・。
「だって、私、動画編集したことがないんだもん」(千歌)
「わ、私は新生Aqoursのために、今までの曲、6人用にアレンジしないと・・・」(梨子)
「私はどちらかというと衣装デザイン担当だから、それはちょっとね・・・」(曜)
「おら、パソコン、扱ったこと、ないずら・・・」(花丸)
「ルビィはちょっとお姉ちゃんの部屋の片付けがあるから・・・パス!!」(ルビィ)
と、ほかの5人とも動画編集をいろんな理由をつけて逃げてしまったのだ。もちろん、ヨハネは動画編集の実績があるのも理由の1つである。ヨハネはよく動画投稿サイトでライブ配信をしたり、自分で動画を撮って編集し、それをサイトに投稿していた。そして、その実力はAqours初めてのPV「夢で夜空を照らしたい」のPV編集で遺憾なく発揮され、ヨハネの編集したPVは東京のスクールアイドルイベントに招待されるくらいの、Aqoursの知名度を急激に上げるのに一役立っていたのだ。(むろん、このイベントに参加したことで、Saint Snowの鹿角姉妹2人と出会えたのと、0という数字を突きつけられたことは記憶に新しいことなのだが・・・)ということで、Aqoursが投稿したPVなどの編集などはヨハネ1人でやっていたのだ。が、PVは長くても5~6分程度。今回は4時間以上ある。それをヨハネ1人でやるのは酷である。
「うぅ、誰か手伝って、手伝って~!!」
と、深夜の真っ只中、ヨハネの叫び声だけがまわりに響き渡る。
が、ヨハネ、
「善子、少しは静かにして!!まわりに迷惑でしょうが・・・」
と、先生をしているヨハネの母親から叱られる。さらには・・・、
「もう、いつになったら目を覚ますのかね・・・。はやく大人になってもらいたいものね」
と、自分の母親からいろいろと文句を言われてしまうヨハネ。
が、そんなヨハネだったが、この母親の一言が・・・。
「もうくだらないこと、しないで、ちゃんとやってよね!!」
これを聞いた瞬間、
「くだらない、くだらないですって・・・」
と、何か起こりそうな予感が・・・。そして、ついに、
ピギャー
と、ヨハネ、ついにキレてしまう!!
「なにがくだらないですって!!何もわかってくれないくせに!!こうなったらこうしてやる!!」
と、ヨハネ、ついに暴走状態に陥る。まさか、最悪の事態に・・・。
「こうしてやる~、こうしてやる~」
と、叫び続けるヨハネ。そして、なにをやっているかと言うと、
「ここで切って、消して、ここをこれをつなげて・・・」
と、なんと目にも留まらぬ速さで沼津駅前のライブ前日に撮った講座用の動画を次々と編集していったのだ。実はヨハネにとって新記録となる速さであった。ただ、速いあまり、ヨハネが考えて編集しているかというと疑問だった。だって、あまりにも速いため、考えて編集しているというよりもヨハネの感性だけで作っている、そんな感じだった。
そして、ヨハネが動画を編集し始めてから2日後・・・。
「えっ、善子ちゃんが部屋から出てこないの!!」
ヨハネの母親からの電話で急遽ヨハネの部屋に着いたルビィ、すぐに、
「善子ちゃん、善子ちゃん、ルビィだよ。ここを開けて!!」
と叫びながらドアを叩くも返事がない。
「善子ちゃん!!善子ちゃん!!」
と、ルビィ、なんども呼びかけるも反応なし。
そんなときだった。
「おらに任せるずら。この間のライブでつけた力、活かすずら」
と、ルビィと一緒にきていた花丸、力一杯ドアノブを引っ張る。すると、
バタンッ
と、ドアが大きく開いてしまう。そこから見えたのは・・・、
ギュ~
なんと、ヨハネ、干からびた状態で机にもたれるように倒れていた。
「善子ちゃん、善子ちゃん、しっかり起きて、起きて~!!」
と、ルビィ、必死にヨハネの顔を叩くが、そのヨハネはただ、
ギュ~
と、うなって動くことすらなかった。これにはルビィ、
「早く救急車、いや、パトカーを、早く呼んで~!!」
と、必死に叫んでいた。
が、ルビィと一緒にヨハネの部屋に入った花丸は、
「あれっ?なにずら?」
と、ヨハネのパソコンを眺めつつ言う。その画面には10個の映写機を模したマークの形をしたファイルが映っていた。そして、その下には「×」のマークと「→」のマークがあった。さらに、パソコンのカーソルはちょうど「×」のマークのところを指していた。が、
「なんかおもしろうそうずら。扱うずら」
と、花丸、勝手にヨハネのパソコンのマウスを動かしてしまう。すると、パソコンの画面では矢印の形をしたカーソルが面白そうに動く。これには花丸、
「未来ずら!!未来ずら!!」
と、楽しくなってたまらないみたいだった。
マウスを動かしてはパソコンの画面のカーソルが動くのを楽しんでいる花丸、だったが、動かしていくうちに、
「あれっ、この「→」ってなにずら?」
と、画面に映っている「→」に興味をもつ。
そして、花丸、
「この矢印を「→」に重ねるずら~」
と、カーソルを「→」のところにあわせる。すると、
「あれっ、「→」がへっこんだずら!!」
と、カーソルを「→」にあわせた瞬間、「→」がまるでへっこんでいるかのように見えた、そのことに驚く花丸。さらには・・・。
「押してみるずら!!」
と、なんと、花丸、興味本位でマウスを右クリックしようとしてしまう。
そんなときだった。
「うぅ、頭が痛い・・・」
と、これまでのびていたヨハネがルビィの必死の呼びかけに応じて起きたきた。
が、ヨハネが目を覚ました瞬間、
「ずら丸、クリックしちゃダメ~!!」
と、ヨハネ、花丸にクリックしないように言うも、
「ずら?」
と、花丸が振り返った瞬間、
ポチッ
と、なにかが押されてしまった。この瞬間、ヨハネ、すぐに、
「ず~~~ら~~~丸~~~!!」
と、まるで瞬間湯沸かし器のように花丸に怒る。これには花丸、
「な、なんで怒るずら~」
と、なんで怒られているのかわからなかったためか、少し困惑しているようだった。
「いったいどうしてくれるの、ずら丸!!私たちAqoursの汚点を世界中に配信しちゃったじゃない!!」
と、ヨハネ、花丸に説教するも、花丸、
「なんで怒るずら?まる、悪くないずら。理不尽ずら!!」
と、少しも反省するどころか、なんで起こられるのかわからない、納得がいかない感じだった。これにはヨハネ、すぐに花丸に怒りつつ言う。
「ずら丸、今さっきしたことはねぇ、沼津駅前のライブ前日に撮った「スクールアイドル講座」用の動画、それを編集したもの・・・」
これにはルビィ、
「えっ、もう(数日前に撮った「スクールアイドル講座」の)動画の編集、できたんだ~。やっぱり、善子ちゃん、凄い!!」
と、ヨハネを褒めると、ヨハネ、すぐに反応。
「「スクールアイドル講座」用の動画・・・、爆笑版・・・」
これにはルビィ、
「えっ、今、なんて・・・」
と、もう一度ヨハネに聞きなおそうとする。これにヨハネ、ぼそっと、
「「スクールアイドル講座」・・・、爆笑版・・・」
と、弱々しく言うと、ルビィ、ものすごい剣幕で、
「善子ちゃん!!」
と、ヨハネを大いに叱った。
「なんでそんな動画を編集したの?」
と、怒るルビィ。ヨハネはつい、
「面白いから・・・」
と、ぼそっと言うと、ルビィ、
「それじゃ理由になっていないでしょ!!」
と、ヨハネをどんどん攻める!!これにはヨハネ、
「は、はい!!」
と、びくっとしてしまう。
そして、ヨハネ、ついに真実を口にする。
「ライブが終わって、動画編集を1人でするように言われて、編集してもうまくいかなかったの。それに加えてヨハネの仮の母親からいろいろ言われて、ついカッとなって、つい勢いだけで動画編集していたら、こんな動画ができてしまったの・・・」
どうやら勢いだけで編集してしまったもんだから、教えること重視ではなく、お笑い重視で動画編集してしまったみたいのようだ。
そして、ヨハネはルビィについ投稿してしまった動画を見せると、
「こ、これ、お姉ちゃんが知ったら大変だよ。Aqoursの恥さらしって怒られちゃう・・・」
と言う。そこに映っていたのは脱線しまくりのお笑い集団Aqoursの姿だった。これにはヨハネ、
「ふっ、まさか、堕天使ヨハネの能力、ゴッドメイキングムービーの力が発揮・・・」
と言うと、ルビィの横にいた花丸から、
「ただの勢いだけずら」
と、ヨハネにツッコミ。これにはヨハネ、
「ふっ、天才といってほしい・・・」
と、かっこよく言うも、ルビィ、
「本当に本当に本当にお姉ちゃんに叱られる・・・」
と、何かに対してなのかおろおろしてしまう。
が、
「あっ、そうだ!!この手があった!!」
と、ルビィ、なにやら妙案が浮かび上がったようだった。すぐにヨハネに命令。
「よし、こうなったら、善子ちゃん、今すぐ動画投稿サイトに連絡・・・」
そう、ルビィは考えた、今すぐ誤って投稿した動画、「スクールアイドル講座・・・爆笑版」をさっさと削除すればいいのだと。
だが、突然、ヨハネから衝撃の一言が・・・。
「実は削除したいのはしたいんだけど・・・(ごそごそ)」
これを聞いたルビィ、
「え~!!」
と、驚くしかなかった。