ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第2部 第9話

 と、いうわけで、こんな皮算用を考えだした木松悪斗、すぐに、

「その退学届、私としても受理したいのですが、みなさん、どうでしょうか?」

と、ナギたちの退学届を受理する旨を示すと同時に理事みんなの意見を確認しようとすると、

「木松悪斗様が言うなら・・・」「私も・・・」

と、木松悪斗の言葉に賛成の意を示す。これを見た、木松悪斗、すぐに・・・。

「理事全員の賛成を得たので、退学届を受理・・・」

「ちょっと待った~!!」

と、いきなり、とても大きな、いや、脅しの効いた声が会議室内に鳴り響く。これには、木松悪斗、おもわず、

「な、なにごとです!!」

と、びっくりしてしまい、まわりを見渡す。が、その大声の主を見つけることができず、それでも、

「その退学届、受理するのはちょっと待ってくれ!!」

と、その大きな声がどこからか聞こえてくる。この声に対し、木松悪斗、

「おい、どこにいる?出てこい!!」

と、その見えない声の主に対して警告をだす。すると、なんと、掃除道具を入れておくためのロッカーから、

「なにかようかね、木松悪斗君!!」

と、これまた大きな男が出てくる。この大男を見た木松悪斗、おもわず、

「ぬ、沼田殿・・・」

と、唖然となってしまう。そう、ナギたちの退学届の受理に待ったをかけたのは、そのロッカーに隠れていた、静真の影の神、木松悪斗の権力以上の権力を持つ、静真のPTA会長であり、静真の創立家の末裔、の、沼田、であった。って、よくあのロッカーに隠れることできたな、と、ナギも心のなかでツッコミたくなっているが・・・。

 それでも、沼田、そんなナギのツッコミを無視し、勝手に話し始める。

「この生徒会全員の退学届だが、私が預かろう!!将来有望な若者たちである現生徒会役員全員がもし退学すれば、将来約束されるであろうバラ色の人生の道を完全に閉ざすことになりかねん!!それは俺とて悲しく思えてしまう。だからこそ、この退学届は私の預かりにしよう」

これには、木松悪斗、すぐに、

「でも、それは、ナギ生徒会副会長以下生徒会役員全員の総意です!!その生徒たちの自主性を妨げるのは・・・」

と、沼田に反論する。が、沼田はすぐに木松悪斗に対し、

「じゃ、この退学届にこの項目を付け加えて・・・、はい、これならいいだろう!!」

と、言っては退学届にあることを書き加えて木松悪斗にその退学届を渡した。

 その退学届を見た木松悪斗、その沼田が付け加えた項目を見て絶句する。

「沼田殿・・・、これは・・・なんですか・・・?」

あの木松悪斗が絶句した、沼田が書き加えた項目とは・・・。

『加えて、私、沼田も、4月の新学期が始まる日までに浦の星の生徒たちの処遇の改善が見られない場合、PTA会長の職を辞する』

そう、沼田も浦の星の処遇の改善が見られない場合、静真のPTA会長の職を辞任することを書き加えたのだ。これは、すなわち、静真の影の神である沼田が静真から手を引くことを意味していた。なぜなら、PTA会長という職が静真と沼田をつなぐ唯一の綱だったからである。静真の創業者の末裔である沼田であるが、PTA会長職以外の静真関連の職には就いていなかった。これは、沼田が創立家の末裔である自分がしつこく静あの経営に口出すより、静真の理事たち、先生たち、保護者たち、そして、生徒たちの自主性を尊重しよう、という沼田の思いからだった。無論、今回はそれによって木松悪斗の暴走を止められなかった、という負の部分もあるのだが・・・。それはともかく、ただ、静真にとってときには沼津の有力者でもある沼田の力が必要なときがきたりする。たとえば、2008年ごろに起きたリーマンショックなどによる静真廃校の危機など。そのためにわざとPTA会長職に沼田を就かせているのである。が、その沼田が静真と沼田をつなぐ唯一のつなであるPTA会長職を辞める、そのことは、沼田と静真を結びつけるものがなくなることを意味する。その結びつきがなくなると、沼田は静真から手を引いてしまう。で、もし、木松悪斗でも対処できないことが起きたとしても沼田との結びつきがなくなっているから沼田にお願いして対処してもらうことができない、その結果、静真はすぐに廃校の危機が訪れてしまう。これについてはあの木松悪斗も自覚していた。そして、沼田もこのことをわかっていたので、わざとナギたちの退学届に「PTA会長職を辞する」と書き加えたのである。ある意味、沼田にとって、伝家の宝刀、ともいえた。

 で、もちろん、ほかの理事たちも沼田が書き加えた文言についてなんの意味か知っていたので、

「本当に受理していいのか・・・」「これは受理しない方が・・・」

と、大騒ぎになった。これを見た、木松悪斗、あることを決める。

「わかりました。ナギ生徒会副会長以下生徒会役員全員の退学届、沼田殿に預けます。この退学届について、および、浦の星の生徒たちの処遇など、浦の星分校関連については一時保留にしましょう」

これは木松悪斗にとって苦渋の決断だった。浦の星の生徒であるAqoursのライブが失敗に終わったため、これから木松悪斗率いる分校推進派のいきおいが増し、物事を優位に進めることまちがいなし、これにより、浦の星の生徒たちの処遇を今よりもっと、そして、簡単に、悪化させることができる、その寸前だった。が、それが沼田によって、その物事、浦の星分校や浦の星の生徒たちの処遇などを自分の有利な方向に進めることができなくなった。なら、沼田に反論すればいいのだが、反論しても自分以上の権力を持つ沼田に逆らうことは静真において死を意味したりする。また、もし退学届を沼田の書き加えた条項付きで受理した場合、場合によっては沼田が静真から手を引くことになり、もし、自分でも手に負えない状況に陥る場合、沼津の有力者である沼田の手を借りることすらできなくなる。それを自覚している、木松悪斗、「もし自分でも対処できないことが起きたときに沼田の力を借りることができない、それをしたのは自分のせい、このとき、自分がナギたちの退学届を受理したから」、と、一瞬考えてしまう。そして、木松悪斗、ナギたちの退学届を受理した際のメリットとデメリットを比較したとき、デメリットのほうが大きいと判断、苦渋の決断を下したのである。

 とはいえ、木松悪斗はちゃっかりこの言葉を付け加えた。

「ただし、新学期の始まる日までに、静真本校と浦の星分校の統合の条件、静真の保護者たちの声の改善が見られないとき、そのときは、浦の星分校、浦の星の生徒たちの処遇については再考しますので、その点はお忘れなく」

ちゃっかり条件を付け加えた木松悪斗、この条件は、新学期が始まる日までに保護者の声、「浦の星の生徒たちが静真の部活動に参加したら悪影響が出る、だから、本校と分校の統合に反対する」、この声がなくならない場合、今回の通常理事会で木松悪斗が提案した案件、「浦の星の生徒たちの処遇の悪化」などを実施していく、ということだった。

 とはいえ、4月の新学期が始まる日まで浦の星の生徒たちの処遇悪化などは実施されないことになるため、ナギたちにとってはその日までの猶予を確保したことを意味していた。これには、ナギたち生徒会一同、

「や、やったー!!」

と、喜びあう。なんとか生き延びることができたからだった。

 そして、沼田はあることを言い出す。

「で、静真本校と浦の星分校の統合であるが、まだ、浦の星分校との統合に反対している保護者たちが多いため、統合については当分のあいだは無しじゃ!!」

その言葉に、ナギ、思わず、

「そ、そんな~」

と、がっかりする。それでも、沼田はがっかりするナギに対してあることを言った。

「でも、生徒会長である月君がなにやら動いているみたいだね。その月君がAqoursのメンバーと一緒に俺が出した問い、その答えを見つけだしたら、そのときは統合に一方前進、いや、大きく前進、するかもしれないよ」

これには、ナギ、

「はい、沼田のじっちゃんが言っていた問い、月生徒会長なら必ず解いてあげる、って、信じています!!」

と、元気よく答えた。

 と、ここで、木松悪斗があることを小声で言いだす。

「月生徒会長が動いている、って・・・。なら、その妨害に・・・」

が、これを聞いた、地獄耳の・・・沼田、すぐに木松悪斗に警告する。

「それと、木松悪斗理事、あなたが決めた期限、4月の新学期が始まる日、までのあいだ、月君をはじめとする生徒会、そして、浦の星の生徒たちの行動を妨害することを禁ずる。もちろん、間接的にもな。もし、妨害好意が発覚したときは、俺の権限でお前を・・・」

これを聞いた、木松悪斗、おもわず、

「はい、わかりました!!妨害しません!!」

と、月たち生徒会、浦の星の生徒たちの行動を妨害しないことを約束した。もし、約束を破ったりしたら、自分以上の権限を持つ沼田になにをされるかわからないから、だった。

 こうして、今回も、沼田の鶴の一声により、波乱に満ちた通常理事会は、沼田の思い通りにことが進み、そして、ようやく終わりを迎えた。

 

 通常理事会終了後、木松悪斗は部活動保護者会室にいた。

「くそっ!!」

通常理事会ではあと一歩のところでナギたち生徒会の息の根を完全に止めるところまでいった、ものも、最後の最後で沼田により妨害された、だけでなく、今こそ好機、静真本校と浦の星分校の統合破綻、と、いうより、永久的に統合させない、そんなことができたたのに・・・、それができない、それどころか、小原財閥、浦の星、その生徒たちを追い詰める、そんな絶好のタイミング、なのに、4月の新学期が始まる日まで自分の野望を阻止するために動いている月たち生徒会の行動を妨害することすら禁止させられたのだ。これだと、4月の新学期が始まる日まで木松悪斗側で打てる手段は限られてしまった、ことになる。

 これには、木松悪斗、

(くそっ!!沼田のやつ、どっちの味方なんだ!!全開の2月末に行われた臨時理事会では、俺が望んでいた、静真と浦の星との統合の白紙撤回、は叶わなかったものの、分校という形で自分の考え(統合反対、白紙撤回)に近い施策を沼田は採用してくれた。が、今回の、今日の、通常理事会では、統合推進派の中核、生徒会の延命を図った。2月末の臨時理事会は私に少し有利なことをして、今回の通常理事会は生徒会に有利なことをした。はたして、沼田はどっちの味方なんだ!?こっちの味方なのか?それとも、生徒会の味方なのか?はっきり判らなければ、こちらとしてはより有効な対抗策なんて打てないじゃないか!!ああ、むしゃくしゃする!!)

と、完全に怒りモードだった。

 そんなときだった。

「木松悪斗様、どうなりましたか?」

と、短身でいてお腹がでっぱている、まるで、これぞ「悪人!!」、と、見える、そんな男が木松悪斗に近づいてくる。これには、木松悪斗、すぐに、

「ああ、裏美か、ちょっとな・・・」

と、その男こと裏美に返事をする。この裏美、静真の部活動に参加している生徒の保護者全員を束ねる、そして、木松悪斗が会長を務める、部活動保護者会の幹部・・・、というより、筆頭幹部である。と、同時に、木松悪斗の本業である投資、その投資グループの№2、だったりする。いつも、木松悪斗のうしろをちょこちょことついてくる、いわゆる、コバンザメ、みたいな男であり、木松悪斗の腰ぎんちゃく、とも言われていた。で、あるが、実は木松悪斗からすれば、自分の指示通りに動いてくれるし、木松悪斗が不在のとき、部活動保護者会、もしくは、木松悪斗主宰の投資グループをうまく取り仕切ることができる、とても有能な人物でもある。そのためか、木松悪斗が、保護者会、もしくは、投資グループ、どちらかに集中的に取り掛かっていたとしても、もう一方がおろそかになる、ことがなく、むしろ、逆にうまくまわしている、そのことができるのも、この裏道という男がいるからだった。そのため、木松悪斗は裏美に対して絶対なる信頼を寄せていた、とても有能である、自分に従順、かつ、裏切ることがないから。

 で、その裏美、木松悪斗の返事に、すぐに、

「まさか、あの沼田に一杯食わされたのですか?」

と、木松悪斗に尋ねると、木松悪斗は、

「ああ、そうだ!!」

と、簡単に認めた。これには、裏美、

「と、いうことは、こちら(分校推進派)に有利な状況であっても、なにもすることができない、のですか?」

と、木松悪斗に再び尋ねる。すると、木松悪斗、すぐに、

「まぁ、それに近いかもな。4月の新学期が始まる日まで、浦の星の生徒たちの処遇を今以上に悪化させる施策を立案、および、実施することを禁止させられた」

と、答えると、裏美、すぐに、

「それはなんと!!あと、静真本校と浦の星分校の統合は・・・?」

と、木松悪斗に尋ねると、木松悪斗、

「そちらについては当分のあいだ、延期になった。分校状態はまだまだ続く・・・」

と、ただたんに答えると、裏美、すぐに、

「それはよかったではありませんか!!」

と、喜びながら答える。

 が、木松悪斗はすぐに怒り顔になると思わず、

「よくない!!生徒会のやつらが退学届をちらつかせて、統合を含む、浦の星の生徒たちの処遇の改善を求めたのだぞ!!私は、その退学届を受諾するが、処遇の改善については反故するつもりだったのだぞ!!それを、沼田のやつ、阻止したのだぞ!!そして、沼田の出した統合の条件、というものを満たすために、月生徒会長が浦で動いている、そんな状況なのに、その、統合条件を満たすための、月生徒会長を含めた、生徒会の行動、それを妨害してはいけない、とも言われたのだぞ!!」

と、怒りながら言うと、裏美、すぐに、

「でも、それも、反故、すればいいのでは・・・」

と、簡単に答えてしまう。これには、木松悪斗、すぐに、

「バッカモーン!!」

と、たまたま置いてあった灰皿(学校内禁煙のため、誰もタバコを吸わないのだが、このとき、たまたま・・・)を裏美に投げる。もちろん、裏美の頭に、

ポッカーン

と、約束どおりに当たってしまう。これには、裏美、

「木松悪斗様、ごめんなさ~い!!」

と、木松悪斗に謝ってしまう。木松悪斗、すぐに冷静になると、

「裏美よ、沼田の恐ろしさを知らなすぎる!!沼田の権力さえ使えばこの私すら消すことができる・・・」

と、裏美に、木松悪斗が沼田に逆らえないことを教える。これには、裏美、

「た、たしかに・・・。沼田の権力はこの静真だけでなく、この沼津、いや、静岡、日本にまで及びますからね・・・」

と、沼田のとても強い権力について再確認する。

 そして、木松悪斗は裏美にある指示を与える。

「裏美よ、私が命ずる、これまで通り、静真の保護者、および、生徒たちに、私の考え、「浦の星の生徒たちが静真の部活動に参加すると悪影響が必ずでる」、を広めよ!!今は、私として、これしかとれる手段がない。別に生徒会の行動を妨害しているわけじゃないからな。それに、沼田のだした統合の条件、私の考えを信じていて統合に反対している保護者たちの声、それが、統合賛成へと傾いてしまう、それを阻止するにはこの方法が一番効果的だ!!」

これには、裏美、

「はい、わかりました!!申した通りにします!!」

と、返事をした。

 その後、裏美は保護者会室を退出すると、木松悪斗、

(たとえ、生徒会が、月生徒会長が、静真本校と浦の星分校の統合実現に向けた行動をとっても、今の、統合反対、分校継続、が優勢の状況のなかでは、一発逆転となるような方法なんてない。統合反対、分校推進の流れはずっと続く。そして、約束の日、4月の新学期が始まる日まで待てば、あとは、この私、木松悪斗のやりたい放題だ!!だから、焦ることなんてない、機が熟するのを待てばいいのだからな!!)

と、自分に有利である、今の状況、それがずっと続く、と信じて、微笑んでいた。

 一方、保護者会室を退出した、裏美、こんなことを考えていた。

(木松悪斗様はあの沼田にビビリすぎている。「窮鼠猫をかむ」ってことわざがある。月生徒会長をはじめとする生徒会役員たち、たとえ不利な状況であっても、なにか仕掛けてくるはずだ!!月生徒会長に限らず、生徒会役員1人であっても、とんでもない一手を繰り出す、かもしれない。それは、静真においても、投資の世界においてもだ!!それを少しでも阻止しなければ大変なことになる。仕方がない、私の部下の1人に月生徒会長を見張らせよう。そして、その部下からの情報で、この私、裏美が、月生徒会長たちの行動を妨害しよう)

そう考えながら、学校の長い廊下を歩いていった。

 

 

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