ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第3部 第1話

(僕が絶対にこのAqoursを、本来のAqoursに、いや、本当の実力のある新しいAqoursに、生まれ変わらせてみせる!!)

あの部活動報告会でのライブの失敗により、今はこの場にはいない姉ダイヤのことを思い出したのか、ダイヤの名前を呼ぶルビィ、そのルビィの姿を見て、月は千歌たち新生Aqoursを本来のAqours、9人の時の・・・、それくらい実力がある、新しいAqoursに生まれ変わらせてみせる、そう決意した。

 

 が、翌日・・・。

(・・・と言ったものの、果たしてどうすれば曜ちゃんたち、新生Aqoursを、もとのAqoursの姿に・・・、実力のある新生Aqoursに・・・することができるのかな・・・)

と、月、1人で悩んでいた。昨日、不安・心配の深き海・沼に沈んでしまい、意気消沈しているルビィの姿を見て決意したものの、どうすれば本来のAqoursの姿に戻すことができるのか、そこまで考えが回らなかった。いや、それに対する明確な答えなんてないのだ。なぜなら、そんな答えがすぐに見つかるなら、もうすでに静真一の才女ともいえる月によって実施しているからである。でも、そこまで単純な問題ではない。どんな頭のいい学者であっても、この問題、ライブの失敗・・・以上に、自分たちにとって、1・2年生6人だけの、新生Aqoursとしての始めてのライブ・・・、その際に起きた、不安・心配という深き海・に、身・心、ともに沈みこんでしまった・・・千歌たち6人・・・、それを、本来のAqoursの・・・、9人のときの・・・姿に戻すこと・・・、それを簡単に解決するなんてたとえ神であってもできないのだ。特に、今回は現在のどん底の状態からラブライブ!冬季大会決勝のときの最高の状態へと変えないといけない。ボトム(どん底)からトップ(頂点)へ、それはある意味かなり難しいものだった。

(ああ、こんなとき、あのロボットがいればいいのだけど・・・、そう、ドラ○もん・・・、すぐに四次元ポケットから「タタタタッタタ~、やる気スイッチ!!」なんてもの出してくれるんだけどな・・・)

と、月、あるたぬき・・・、いや、ネコ型ロボットを思い出してしまう。たしかにあのロボットならこの問題を一気に解決することができるかもしれない。が、それを本当に実現したとしても、それは、月の、そして、千歌たち新生Aqoursのためにならないのだ。人とは何もせずにそのロボットの助けを借りてことを成し遂げることよりも苦労して成し遂げることの方が得るものが大きいのである。そして、沼田の問い「部活動とはなにか」「部活動をする上で重要なこととは」、その答えを知りたいのであれば、そのネコ型ロボットで簡単にこのAqoursの状態を改善するよりかは、ネコ型ロボットの助けを借りずに自分たちの力でものを成し遂げた方が見つかりやすいものなのである。

 とはいえ、月、ルビィのあの姿を見て以降どうすれば千歌たち新生Aqoursを本来のAqoursぐらいの実力に戻すことができるのか、そのことだけを考えていた。が、今日になってもぜんぜん良い案を出すことができなかった。

(いくら考えても良い案なんて考え出せないよ~!!でも、今の僕にとって、曜ちゃんたち新生Aqoursを復活させなければ、(自分の作戦により以前より圧倒的に不利になった(静真本校と浦の星分校を統合させたい)月たち生徒会率いる統合推進派、その状況のなかで一生懸命頑張ってくれた)ナギたち生徒会役員たちみんなにも申し訳がたたない、それでも、静真一の才女ともいわれている、この僕にしても、良い案がでてこない・・・)

と、月、八方ふさがりの状況に苦しんでいた。

 そんな月であったが、

(あぁ、こんなに煮詰まっている状況じゃ良い案なんて出てこない!!こうなったら気分転換だ!!あそこに行ってみよう!!)

と、気分転換のためか、ある場所へと向かった。それは・・・。

 

「う~ん、気持ちいい、ここだったら潮の香りがして心地いいんだよね」

と、月、ある場所に着くなり深呼吸してこのあたりに漂う塩の香りを体一杯に吸い込んでいた。ここは沼津の海岸、それも、内浦の砂浜海岸であった。沼津のなかでも市街地に近い住宅街に住んでいる月、であったが、昔、月の近くに住んでいる曜と一緒にこの内浦の砂浜でよく遊んでいたのである。そのため、月にとってこの内浦の砂浜に漂っている塩の香りは昔の曜との思い出、それを思い起こさせる、いや、つきの頭の中をすっきりさせる効果を、やる気を出させる効果を持っていた。なので、月、なにかに詰まると必ずここに来ては深呼吸し気分転換を図るのであった。ちなみに、なんで曜は自分たちが住んでいる住宅街から離れている内浦の砂浜で月と一緒に遊んでいたというと、大親友でいとこの月・・・のもう一方の大親友である千歌、果南が内浦、もしくはその近くの淡島に住んでおり、少しでも長く、千歌、果南、そして、(2人とは別に)月と楽しく遊びたいためであった、が、このことについては曜だけの秘密である。

 とはいえ、月は内浦の砂浜に来ているのであるが、気分転換以外にもう1つ、ここに来た理由があった。それは・・・。

(あっ、曜ちゃんたち、頑張っているね~。昨日、あれだけ落ち込んでいたけど、子の様子だとそこまで悩んでいないみたいだね。僕、安心しちゃった・・・)

そう、月は千歌たち新生Aqoursの6人の様子を見に来ていた。昨日の部活動報告会のライブの中で、不安・心配の海・沼の深きところまで沈んでしまった千歌たち6人、その原因を作った(と、自分で思っている)月は心配になって千歌たち6人の様子を見に来ていたのだった。

 内浦の砂浜で練習をしている千歌たち6人、その練習風景を月は内浦の砂浜海岸の遠くにある石階段の上から見ていた。そして、そして、月はその千歌たち6人の様子を見つつ、この場所のことについて考えてみた。

(でも、まさか、この場所で再び練習するなんて、曜ちゃんたちからすればなんか因縁めいたものになるのかもしれないね)

この月の考えだが、ある意味間違っていないのかもしれない。昨日の夜、月は曜からあるメールを受け取っていた。

「月ちゃん、今日のことは本当にごめんね。でも、私たち、また頑張るね。明日から誓っちゃんの家の近くにある内浦の砂浜海岸で練習を始めるつもりだよ!!じゃ、またね!!」

このメール、昨日のライブの失敗を謝りつつも、それをバネにして再び頑張ってみることが書かれていた。そして、月はある文言に注目する。それは・・・。

(内浦の砂浜海岸か・・・。たしか、あの場所って・・・)

と、月、あることを思い出していた。

(たしか、あの場所って・・・、曜ちゃんたちAqoursがまだ千歌ちゃん、梨子ちゃんの3人しかいない、本当に最初のとき、練習していた場所だったよね・・・。Aqours原点の地、最初の地、そして、0、源の地・・・)

そう、内浦の砂浜海岸、その場所は、まだ、Aqoursという名前さえ付けていなかった、千歌、曜、梨子、3人のスクールアイドルグループ、そのグループの最初の練習の地、であった。まだこのときは浦の星の体育館で3人で行ったファーストライブすらしていなかった。むろん、このときはまだ、部室なるもの、そして、浦の星の校舎の屋上を練習場所として確保するのもしていなかった。そして、このときまだAqoursのメンバーではなかったものの、浦の星の理事長に就任したばかりの鞠莉から、これまたスクールアイドルを始めたばかりの千歌、曜、梨子に対し、浦の星の体育館でファーストライブを行い、その体育館を満員にすればスクールアイドル部の承認、部室の授与を行うことを持ちかけられ、千歌たちはそれを受け入れたのだ。もちろん、それ相応のリスクもあった。満員にできなければ即解散、という相当リスキーなものだった。むろん、この裏では、千歌たちスクールアイドル部でもって浦の星の廃校を阻止しようとしている鞠莉と、表では、いつも千歌たちに対して厳しさでもって接するものの、裏ではまるで自分の手の平で躍らせるように、それもそれを悟られないように千歌たち3人をサポートしつつ、千歌たちスクールアイドル部に昔、鞠莉、果南と一緒にスクールアイドルグループとして活動していたときに名乗っていた名前、Aqoursを与えた。そんなダイヤと鞠莉の想いが錯綜したのだが、そんなことを知らず、千歌、曜、梨子はファーストライブで浦の星の体育館を満員にしようと一生懸命、この地、内浦の砂浜で練習に明け暮れていたのだった。こんな風に、内浦の砂浜海岸は千歌たちAqoursにとって原点の地、0の地であった。月にとって見れば、これは運命、因縁・・・としか言えなかった。

 そんな月の思いとは裏腹に千歌たちの練習は続く。砂浜での走りこみ、これには体力がありすぎて元気な曜を尻目に千歌たち5人は疲れた素振りをしながらも、遅れ気味ながらも、なんとか走っていた。そして、走り込みが終わったあと、ストレッチを開始する千歌たち6人。

 そんななか、石階段の上で千歌たち6人の練習の様子を見守っている月、その横をある少女2人組が通りがかる。これに対し、月、

「あっ、こんにちは」

と、その2人に挨拶すると、その少女2人のうち、髪の左側をサイドテールにしている少女から、

「こんにちは」

と、月に対して挨拶をする。そして、さらに、

「あれっ、男の姿をしているのに、声は女の子、みたいですね。私、びっくりしました」

と、月の格好を見て驚いた表情をみせる。これには、月、

「あっ、たしかに、僕、そんな格好、していますからね」

と、自分の格好を見て、そのサイドテールの少女が驚いていることに納得する。そう、月は、この前、曜を除く千歌たち5人と初めての邂逅を果たした、やばコーヒーの店に行ったときと同じ格好、全身男物の格好をしていた。もちろん、野球帽を深くかぶってもいた。これについては前日と同じ、静真の生徒会長である月が浦の星の生徒である千歌たち6人と会うことでよからぬ噂を立つことを未然に防ぐ意味もあるが、今回はもう1つ、もし、千歌たち新生Aqours6人と一緒に行動を共にするとき、木松悪斗たち、静真本校と浦の星分校の統合を阻止したい、分校継続派に気づかれずに裏でこそこそ行動できるようにしたい、そんな考えがあったりする、そのための男装でもあった。

 で、そのサイドテールの少女は月に対し、あることを言う。

「僕、だなんて、私、あなたのこと、少し興味を持つことができる、そんな感じがします。男の姿をしているけど、本当は女の子、それでいて、僕ッ子、私にとってこれまで会ったことがない子、ですね。もしかすると、近いうちになにか係わることがあるかもしれませんね」

と、笑いながら言うと、月、

「そ、そうですね・・・」

と、ちょっと苦笑いを浮かべていた。このとき、月、

(うわ~、このサイドテールの少女、短い時間に僕のことを全てわかりました、ってオーラをだしている・・・。なんか凄い気がする・・・。でも、僕も、これから先、この少女と一緒になにかをする、そんな気がしてしまう・・・)

と、なにかを感じていた。

 が、そんなサイドテールの少女とつきのやり取りをしているなか、2人の空気を読んでいないのか、もう1人の少女、短めのツインテールの少女から、

「お姉さま、もうすぐ約束の時間です。さっさと行きましょう」

と、サイドテールの少女に向かって言うと、そのサイドテールの少女も、

「わかったわ、理亞。じゃ、また今度、お会いいたしましょう」

と、月に別れを言ってその場をあとにした。このとき、月、

「あっ、さようなら」

と、サイドテールの少女に別れを言うと、

(あっ、なんか美しかったなぁ、あのサイドテールの少女。でも、そのそばにいた対天テールの少女、まるで、だれか・・・、あっ、ルビィちゃんに・・・、なんか表情が似ていたよね。なんか、なにかに苦しんでいる・・・そんな風に・・・)

と、今会った2人のことをこう思っていた。

 そんな、サイドテールの少女とその少女から「理亞」と呼ばれたツインテールの少女、2人があるところに向かって歩いているところを目で追っている、月、そんな2人が向かっている先を見て、月はすぐに思った。

(あれっ、あの2人、まっすぐ曜ちゃんたちのところに向かっている・・・、と、いうことは、あの2人、曜ちゃんたちに用があるんだ)

 その2人、月が思った通り、そのまま、ストレッチを行っている千歌たち新生Aqours6人のところに向かって行こうとしていた。そして、石階段の上に立ち、千歌たち6人に向かって大きな声で挨拶をした。

「お久しぶりです!!」

その声で反応してか、ルビィ、その2人に向かって一言。

「理亞ちゃん!!」

続けて、花丸からも。

「Saint Snowさんずら~!!」

この花丸の声を聞いた月、すぐに2人の正体を知る。

(あの2人がSaint Snow・・・。曜ちゃんがよくAqoursのライバルとして名をあげていた、そして、2人のことをよく話していた。あの2人がAqoursの永遠のライバル、北海道が誇るスクールアイドル、函館聖泉女子高等学院スクールアイドルユニット、Saint Snow・・・、なんだ・・・)

 

 Aqoursの前に現れたSaint Snowの2人、鹿角聖良・理亞姉妹、その突然の来訪だったが、どうやら千歌が聖良にたまたまメールしたら聖良・理亞姉妹2人で東京に卒業旅行に来ているとのことだったので、それならばと千歌が沼津へと呼び寄せた、とのことだった、自分たちの練習を見てもらうために。これには、理亞、

「まったく、せっかく姉さまとの卒業旅行中だったのに・・・」

と、ちょっとふてくされるも、聖良、すぐに、

「平気ですよ。理亞もすごく行きたがってましたから」

と、理亞の本音をばらしてしまう。これには、理亞、

「お姉さま!!」

と、聖良に少し反抗してみる。

 こんなやりとりを遠くから見ていた、月、

(やっぱ、Aqoursのライバルのことはあるよ。Saint Snowの2人、まるで戦友との再会・・・って感じがするよ)

と、千歌たち6人と聖良・理亞のやりとりに感心してしまう。

 が、聖良・理亞がここに来た理由、それは、千歌たち新生Aqoursの練習を、今の新生Aqoursのパフォーマンスを見てもらい、今の自分たちにとっての弱点を、今の自分たちに欠けているものを見つけてもらうためである。と、いうわけで、梨子、

「じゃ、早速ですけど、見てもらいますか?」

と、聖良・理亞に今の自分たちのパフォーマンスを見てもらうようにお願いする。これには、聖良、

「はい!!」

と、力強く返事をする。が、そんな自信に満ちた聖良の表情に対し、理亞の方は、

「・・・」

と、ちょっと暗い表情をしていた。これには、ルビィ、

(どうしたのだろう、理亞ちゃん・・・)

と、ちょっと大親友である理亞のことを心配してしまう。が、まずは自分たち新生Aqoursのパフォーマンスを見てもらうことになっているため、ルビィ、

(理亞ちゃんのことも心配だけど、まずはルビィたちが持てる力すべてを聖良さん、理亞ちゃんに見せないと・・・)

と、すぐに自分の持ち場、ポジションに赴く。

 ルビィが自分のポジションにつくと同時にルビィ以外の新生Aqoursメンバー5人も自分のポジションに着く。これを見た聖良、

(やっぱりあの曲を選んできましたか・・・)

と、なにか感づいたように思うと、すぐに、

(あの曲、千歌さんたちAqoursにとって初めて全国にAqoursの名を轟かせた曲、そして、ラブライブ!夏季大会前に東京で行われたスクールアイドルのイベントで初めて私たちSaint Snowに会いそこで披露してくれた曲、そして、千歌さんたちに「0」という過酷ともいえる現実を突きつけてしまったあの曲・・・)

と、今から千歌たち新生Aqoursが聖良・理亞の前で披露する曲のことを思い返してしまう。そして、

(そして、今、その曲を再び私たちSaint Snowの前で披露しようとしている。これは、もしかして、今、千歌さんたち新生Aqours、その今の状況を表そうとしているのかもしれない・・・)

と、つい聖良はそう考えてしまった。さらに、

(そして、それは、今の理亞にも当てはまろうとしているのかもしれない・・・)

と、隣にいる理亞のことも心配する。

 そんな聖良の心配もあったが、聖良、今は千歌たち新生Aqoursのパフォーマンスを見ることが先、というわけで、

(ああ、今はいろんなことを考えてもしょうがない。今、千歌さんたち新生Aqoursのパフォーマンス見ることを優先しよう。そして、今、私が持っている、今の千歌さんたちに対する考えを確かめてみよう)

と、今やるべきことをしようと考える。と、同時に、

(そして、今、遠くから私たちを見ている、(きっと間違いなく)千歌さんたち新生Aqoursのことを心配しているあの少女(月)に、今、千歌さんたちが陥っている状況、それと、その原因を知ってもらおう)

と、月のことを気に留める。

 そんな聖良の思いとは裏腹に、千歌、

「じゃ、聖良さん、理亞ちゃん、始めます」

と、今からパフォーマンスを見せることを言う。これを聞いた聖良、すぐに、

キラッ

と、月のいる方向に顔を向ける。そのときだった。月、すぐに、

(あっ、あのサイドテールの少女(聖良)、僕の方を見ていた!!)

と、一瞬驚いてしまう。と、同時に、

(も、もしかして、サイドテールの少女(聖良)、僕に曜ちゃんたち新生Aqoursが陥っている状況、そして、その原因を教えようとしているのかもしれない!!)

と、月、聖良が月の方向に一瞬だけ向いたその理由をこれまた一瞬で悟る。その瞬間、月、

(僕、今から曜ちゃんたちのパフォーマンス、そして、あのサイドテールの少女(聖良)の言いたいこと、一言一句、聞き逃さないでおこう)

と、心で誓った。

 そんな月だったが、聖良はすぐい千歌さんたち新生Aqoursの方を向き、月にも聞こえるくらいの大きな声で言った。

「それじゃ、今のAqoursの、今持てる最大限の力でもって、私たちSaint Snowに最高のパフォーマンス見せてください!!」

 

 

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