と、ここで話の時間は少し巻き戻る。聖良の本当に的を射た発言に千歌たち新生Aqours6人は唖然と、いや、ズバリと聖良に今の新生Aqoursの現状を言い当てられたことにより動揺を隠せずにいた。さらに、理亞からは、
「なんかふわふわして定まっていない感じ・・・」
とも言われ、ヨハネが逆にすねてそこに座り込むぐらい、ただでさえ少ない自信すら失いかけていた。
このことに、梨子、
「みごとに言い当てられたみたいね・・・」
と、聖良と理亞の言葉に納得せざるを得ない発言をする。それは、聖良と理亞の言葉は、千歌たち6人にとって、ラブライブ!優勝をものにしたものの、3年生が抜けたために、また、「0」に戻った、9人になる前のAqoursに戻った、そんなことを自分たちにとって思い起こさせるものとなってしまった。
が、ダイヤたち3年生3人が入る前、と、その3年生が抜けた今現在、これには大きな違いが起きていた。それは、今現在において、ダイヤたち3年生3人はもう千歌たち6人の前にはもういないことである。3年生3人が入る前にはダイヤたち3年生3人はそこにいた。そのなかで、ダイヤの陰謀?と果南・鞠莉の歴史的和解などをえてAqoursはパーフェクトナインとなった。が、今現在、その3年生3人と千歌たち6人はすでに卒業という別れをしてしまったので、その3年生3人がAqoursに戻ってくる・・・わけではなかった・・・、
今現状では・・・。そのなかで、千歌たち新生Aqours、この現状を打破しようとしても、頼れる3年生3人がいないこの現状のなかでは、自分たち6人でなんとかしないといけない・・・のだが、昔と同じ「0」に戻った、いや、その以下に戻ってしまった、そう考えている千歌たち6人にとっては、ほぼ立ち上がることができない、回復不可能、そんな思いでいっぱいだった。
その千歌たち6人、そのなかで、その思いが強く支配されていた少女がいた。
(ルビィ、こんな現状、いやだよ!!やっぱり、お姉ちゃん(ダイヤ)がいないとダメ!!)
ルビィだった。常に姉ダイヤのそばを離れなかったルビィ、小さいときからルビィの隣には姉ダイヤの姿があった。そして、ルビィがなにか困っていることがあると姉ダイヤがすぐにやってきてはすぐに解決してくれる、そのため、ルビィにとって姉ダイヤの依存度は相当高いものだった。けれど、ルビィ、スクールアイドルとしてAqoursに入るときは自分の意思で自ら入ったのではないか?たしかにそうともいえるが、千歌がスクールアイドルを始めたときから沼津の夏祭りでパーフェクトナインとなったときまで、これがダイヤの策略?ともいえるかもしれない。もしかすると、Aqours誕生の経緯において、ダイヤ以外のみんな、8人とも、ダイヤの手のひらで躍らせられていたのかもしれない。スクールアイドルを始めた千歌たちにとって(浦の星での)最大の敵として演じていたのも、「スリーマーメイド」という名も出てくるくらい迷走していた千歌・曜・梨子のスクールアイドルグループの名前決めにおいて、昔、鞠莉・果南と一緒にスクールアイドルをしていたときのグループ名、Aqoursの名を与えたのも、東京のスクールアイドルのイベントで「0」という残酷ともいえる数字を突きつけられた千歌たち6人に寄り添うように話したのも、そして、鞠莉と果南の和解の段取りをしたのも、その意味でも、ダイヤが決めた段取り?だったのかもしれないし、ダイヤの思い通り?になったのかもしれない。が、ダイヤがこんな回りくどいようなやり方で千歌たち8人を導いた理由、それが「ダイヤ以外のメンバーの夢を叶えてあげたい」だとしたら、これらのダイヤの策略・行動もうなずけるかもしれない。スクールアイドルといて自分だけの輝きを見つけたい千歌、昔、一度諦めたスクールアイドル、それを今度こそ大成したい、そして、その力でもって浦の星の廃校を阻止したい鞠莉、などなど、メンバーそれぞれに叶えたい夢があったりする。それをダイヤは誰にもわからないように裏で動いていた、のかもしれない。スクールアイドルとして、そして、Aqoursというグループとして、千歌たち8人を裏で導いていたのかもしれない、ダイヤは。さらに、鞠莉と果南の歴史的和解、そして、2人の加入でもって、千歌たち8人をAqoursという大きな船でもって送り出した後、自分はここで御役御免とばかりに誰にも気づかれず、こっそり退場しようとしていたのかもしれない。が、最後の最後で姉ダイヤを慕う妹ルビィに見つかり、ダイヤも9人目のメンバーとしてAqoursに加入することになった、というオチ?付き、であったが、そう考えると、ダイヤの、Aqoursの物語の立ち位置は、μ‘sの絵里と希の立ち位置を合わせたもの、になるかもしれない。けれど、ダイヤとしては、それぞれのメンバーの夢を叶えたい、ただそれだけで動いていたのかもしれない。
で、もって、Aqoursに入る前のルビィがこのとき叶えたい夢はなんだったのか。それは、「自分が一番好きだったスクールアイドルになりたい」という夢だったのかもしれない。けれど、最初、スクールアイドルを嫌っている(と、ルビィに思わせていた)姉ダイヤのことを思ってAqoursに加入するのを躊躇っていたルビィ、のだが、自分の夢、そして、大親友でのちにAqoursとして一緒に活動する花丸の言葉によって勇気を振り絞りAqours加入を決めた・・・のであるが、ルビィの夢、「自分が一番好きだったスクールアイドルになりたい」、この言葉には続きがあった。それは・・・、
「自分が一番好きだったスクールアイドルになりたい、お姉ちゃんと一緒に!!」
である。そう、ルビィの夢とは、「一番好きな姉ダイヤと一緒にスクールアイドルになりたい!!」ことであった。小さいときから姉ダイヤと一緒にアイドルに憧れていたルビィ、そのなかで、A-RISE、μ‘sといったスクールアイドル、女子高生であれば誰でもなれるスクールアイドル、が大人気になるにつれて、ダイヤ、ルビィはスクールアイドルに、μ’sに憧れるようになった。が、姉ダイヤが1年生のとき、鞠莉の怪我の一件により姉ダイヤはスクールアイドルから遠ざかる(風にみせかけた)のだが、そんな姉ダイヤに対し、ルビィはいつかはスクールアイドルとして姉ダイヤと一緒に活躍したい、そう思っていたのかもしれない。そして、Aqoursがパーフェクトナインになったとき、ルビィの夢が成就したのかもしれない。いや、ダイヤの策略?により、浦の星の廃校阻止というAqoursメンバー全員の夢は途中で挫折したものの、ラブライブ!優勝というスクールアイドルとしての1つの到達点、その後の浦の星での出来事によって、Aqoursメンバー全員の夢は成就されたのかもしれない。そう考えると、ダイヤがAqoursメンバーのためにやってきたことは決して無駄ではなかったのかもしれない。姉ダイヤとしても、妹ルビィと一緒にスクールアイドルとして活躍したい、という夢があったのかもしれない。それすらも自分の手で成就させた、のかもしれない。
で、話を今現時点のルビィに戻すが、小さいときから姉ダイヤの後をついてきていた、それくらい姉ダイヤに対する依存度が非常に高いルビィ、であったが、その姉ダイヤは、このときすでにルビィのそばにはいなかった。そのダイヤは浦の星の卒業によってルビィのいないところにいってしまったからだった。そして、木松悪斗とその娘の旺夏の策略によって、いや、もしかすると、遅かれ早かれ、2人の策略がなくてもこのような状況に陥っていたのかもしれない。
千歌たち新生6人が直面した問題、不安・心配という深き海・沼に陥ってしまい、パフォーマンスが悪化してしまう問題、これには、ルビィ、
(お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!)
と、心のなかから叫びまくるも、その肝心の姉ダイヤはもうここにいない、そのために、ついには、
(ルビィ、こんな現状、嫌だよ!!やっぱ、お姉ちゃんがいないとダメ!!)
と、いう心の叫びに結びついてしまった。が、もちろん、今のルビィから見えない遠くの地にいる姉ダイヤがワープしてルビィの前に現れる・・・わけではないため、姉ダイヤが来ることすらなかった。そのためか、しまいには、
(お姉ちゃん、助けて、お姉ちゃん!!)
と、必死に姉ダイヤを呼ぶも、ダイヤがスーパーマンになってルビィのところに飛んでくる・・・わけではないので、ルビィ、ついには、淡い期待から、
(お姉ちゃんが来ない・・・。どうしたら・・・、どうしたら・・・)
と、少し諦めの極地に達してしまう。
そして、ルビィ、ついに、
「でも、どうしたら・・・」
と、姉ダイヤに助けを求めようとする言葉を発してしまう。
が、このルビィの言葉により、ついにある少女がついにキレた。
「そんなの、人に聞いたってわかるわけ、ないじゃない!!」
理亞だった。理亞、続けてある言葉を言う。
「全部自分でやらなきゃ!!」
理亞の気持ち、卒業でもういないお姉さまたち、ダイヤ、そして、聖良、2人がいないなか、そのなかで、自分でなんでもやっていくしかない、理亞からの心の底からの叫び、だった。これにはルビィ、ついに・・・、
(理亞ちゃん・・・)
と、困惑した表情をしながら言うと、理亞、ついに本音をルビィにぶつける。
「姉さまたちはもういないの!!」
この言葉の後、理亞は聖良と千歌たち6人のもとからなにかに逃げるかのように走りだしてしまった。この理亞の行動に、ルビィ、
(理亞ちゃん、どうしたの・・・)
と、突然凶変した理亞の姿にさらに困惑を深めた。
その困惑しているルビィに対し、聖良が一言。
「すみません」
この言葉を受けて、ルビィと千歌は聖良に理亞がなぜこの発言したのかと尋ねる。
「理亞ちゃん、新しいスクールアイドル(グループ)始めたのですか?」
と、ルビィが聖良に尋ねると、聖良、
「そのつもりはありますけど、なかなか・・・」
この言葉を受けてか、ルビィ、
(理亞ちゃん、待って!!理亞ちゃん、どうしてそう言うの?)
と、思ってしまったのか、おもわず、
「理亞ちゃん!!」
と、叫んでは理亞のあとを追いかけるように走っていった。
そんなルビィと理亞を見て、千歌は聖良に対し、
「聖良さん、教えて!!理亞ちゃんになにがあったの?」
と、聖良に理亞のなかで今起きていることを詳しくきこうとすると、聖良、すぐに、
「実は、理亞は新しいスクールアイドルグループを結成したのですが・・・」
と、聖良の身に起きている状況について簡単に話した。
あのクリスマスでの奇跡のAqours、Saint Snowが合体したユニット、Saint Aqours Snowのライブのあと、自分だけのスクールアイドルユニットを作ることを心に決め、そして、すぐにそのライブを見て理亞と一緒にスクールアイドルをしたいという学校の有志4人が集まる。これには、人見知りの理亞としてはおどろいたとのこと。それでも、理亞のなかでは、
「自分のスクールアイドルユニットができた!!」
という感動がとても強かった。理亞だけのユニット、そのなかには、Saint Snow活動時、つまり、聖良がスクールアイドルとして活動したとき、聖良と理亞を陰ながらもバックアップしていた、まわりから「Saint Snow第3のメンバー」ともいわれていた生徒も参加していた。であるが、その生徒についてはまたどこかでお話しする機会があるだろう。
と、いうわけで、聖良・理亞が正月、正月ボケをかましている、いや、浦の星の生徒たちの夢、「廃校で消えゆく浦の星の名前をラブライブ!の歴史に刻んで欲しい」を叶えるために頑張っている?Aqoursメンバーを特訓するために沼津に行くのだが、その沼津旅行のあと、理亞とそのユニットメンバー4人は一緒に来年度のラブライブ!優勝を目指して楽しく、そして、一生懸命に頑張っていた・・・のだが、ある日を境に状況はがらりと変わってしまう。
その日とは・・・ラブライブ!冬季大会決勝の日だった。そう、千歌たちAqoursがラブライブ!決勝で優勝し消えようとしていた浦の星の名前をラブライブ!の歴史に深く刻み込んだ、浦の星の生徒たちの夢を叶えた、その日だった。このとき、聖良・理亞もAqoursを応援しにラブライブ!決勝の地、秋葉ドームに来ていたのだが、この日を境に理亞は変わってしまったのだ。理亞が函館に戻ってくるなり、これまで楽しく練習していたのに、戻ってきた日から理亞は鬼教官へと変貌を遂げてしまったのだ。そのときの理亞の様子だが、まるでなにかにとりつかれたように、いや、なにかの狂信者、みたいになってしまったのだ。むろん、これまでは楽しく感じられる練習だったのが、この日を境にかなりきつい練習ばかりするようになる。いや、理亞以外のメンバー4人にとってみれば、地獄の練習・・・といっても過言ではなかった。さらに、弱音を吐くメンバーには、理亞、怒りの鉄槌?みたいなものをも下す始末。ついには、このきつい地獄の練習の日々にメンバーは理亞が見ていないときに弱音を吐くようになり、1人やめ、2人やめ、となってしまう。それでも理亞はきつい練習をやめなかった。
そんな状況を理亞のユニットメンバーから聞いた聖良、少し危機感を抱く。
(理亞にとってガス抜きをしないと、このままじゃ、ほかのメンバーが倒れてしまう・・・)
と、考えた聖良、卒業旅行と称して理亞だけを連れ出した、ということだった。
これを聞いた千歌、思わず、
(なんか、私たちと似ているのかなぁ、今の理亞ちゃん・・・)
と、考えてしまう。そして、
(今の私たちって、ダイヤちゃんがいないために良いパフォーマンスができていない・・・。対して、理亞ちゃん、聖良さんがいないなかで1人でもがき苦しんでいるみたい・・・)
と、思うようになる。が、同じ状況に陥っていると気づいても、その解決策なんて、今の千歌たちには考え出すことなんてできなかった。そんな状況に陥っている千歌、なのか、
(でも、今の私たちじゃどうしても・・・)
と、諦めの表情で思ってしまった。
とはいえ、このまま遠くにいこうとしている理亞とその理亞を追いかけていったルビィをこのままにしていたのではよくない、というわけで、聖良と千歌、梨子、曜、花丸、ヨハネの6人はルビィと理亞を追いかけていった。
そんな千歌と聖良のやり取りがあったのだが、肝心の理亞・・・はというと、疲れたのか、それとも、追いかけるルビィを待つためなのか、歩幅を小さくするように走るスピードを落とし、そして、止まった。これには、ルビィ、理亞が突然止まったことを知ると、なんとか理亞に追いつき、
(やっと理亞ちゃんに追いついた・・・、理亞ちゃんに・・・、理亞ちゃんに・・・)
と、少し安心したかのような表情を理亞に見せる。が、理亞はそんなルビィの表情を見たのか、すぐにうしろを向いてルビィのもとから逃げ出そうとする。対して、ルビィ、そんな理亞に対し、
「ごめんね!!」
と、理亞に謝る。このとき、ルビィ、
(理亞ちゃんに謝らないと・・・。ルビィも理亞ちゃんも大変困っている状況なのに・・・、ルビィには千歌ちゃんたちがいる・・・けど・・・、理亞ちゃんにはまわりに誰もいない・・・)
と、理亞に同情をみせるようになってしまう。そのためか、ルビィ、おもわず、
「理亞ちゃんは1人で頑張っているのに・・・」
と、同情ともいえる発言をしてしまう。このルビィの同情じみた発言に、理亞、おもわず、
「ラブライブ!は遊びじゃない!!」
という言葉、いや、理亞の本音ともとれる言葉を発してしまう。それはまるで、同情なんて必要ない、という理亞の気持ちを代弁しているかのようだった。物事に対して真面目、であるが、人見知りであり、人付き合いも苦手、そのために、なんでもかんでも1人でしょってしまう、そんな理亞の姿がそこにあった。
で、この理亞の言葉を聞いたルビィ、
(理亞ちゃん・・・)
と、ただ黙るしかなかった・・・。