そして、月たちを乗せた飛行機は無事にヴェネチア国際空港、別名、マルコ・ポーロ空港に到着した。
「やっと着いた~!!」(曜)
「あともう少しで鞠莉ちゃんたちに会えるね!!」(千歌)
と、鞠莉たち3年生3人がいるイタリアの地に降り立った、その喜びで、1人を除く千歌たち5人はいっぱい・・・だったが、1人だけ様子が違っていた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん・・・」
まるでなにかの呪文を唱えている、そんな風に見えてしまう少女、ルビィ、このルビィの姿に、
「ルビィちゃん・・・」
と、花丸、ルビィのことを心配そうにみていた。
そして、もう1人・・・。
(ルビィちゃん・・・、大丈夫かな・・・。これから起こる悲劇・・・にならないかな・・・)
と、月もルビィのことを心配する。それも、姉ダイヤとはいつかは別れるという現実を突きつけられたとき、そのときの絶望を含めて・・・。
「ヨハネ、かの地に堕天!!」(ヨハネ)
「着いた!!」(曜)
ヴェネチア国際空港に着いた月一行であったが、入国審査が終わり、すぐさま、ヴェネチアの島の入口にあるサンタ・ルチーア駅へと列車で移動した。そして、千歌たち新生Aqours6人はついにイタリア、ヴェネチアの地に降り立ったのだ!!でも、1人だけマイペースな人も・・・。
「ピスタチオ、ヴォート(おいしい)ずら~!!」
そう、花丸だった。花丸はヴェネチアの駅前に着いてそうそうイタリア名物のジェラートを駅前にあったジェラートを売る屋台で注文(それも2つ!!)してそのまま食べていたのである。グルメといったら花丸、何でも食べる(牛乳以外)花丸である。グルメと花丸、切っても切れない縁、である。いつも食べている花丸、それでいて太らないのが不思議である。とても効率的なエネルギー効率の体をしているのであろう、花丸は。それとも、お寺の子である花丸である、よっぽど体に優しい食事に心がけているのだろう、花丸の両親は・・・。対して、ヨハネはその花丸によく連れ添っているためか、ちょっと悲しい結果を迎えていた。とはいえ、大丈夫だ、ヨハネ、そこまで気にすることはないぞ!!(たぶん・・・)。たとえデジャブになったとしても気にするな、ヨハネ!!
と、いうわけで、イタリアについてもマイペースさを見せる千歌たち6人。これには、月も、
(なんか、というか、個性的すぎるね・・・、Aqours・・・。これでよくラブライブ!で優勝できたね・・・。僕、ちょっと・・・、こんなチーム、見たことない・・・)
と、ただただ顔を引きつってしまうしかなかった。いや、苦笑いするしかなかった・・・。
そのなか、鞠莉たち3年生3人の情報であるが・・・、お笑い集団Aqours・・・になるまえに、Aqoursの中で数少ないツッコミ(ときどきボケ)担当の梨子がお笑い集団化するまえに、
「それで、(鞠莉たち3年生3人との)連絡は?」
と、みんなに尋ね・・・、こほん、物語を先に進めるナイスフォローをする。いよっ、ナイスフォローだよ、梨子ちゃん!!
なのだが、その肝心の鞠莉たち3人の情報であるが、その当事者であるダイヤを姉にもつルビィからは、
「お姉ちゃんからなにも・・・」
と、ちょっと残念そうに言う、何か心の中に隠すかのように・・・。
そして、千歌はというと・・・、
「果南ちゃん、鞠莉ちゃんからはなにも・・・」
と、こちらも残念そうに言う。
しかし、そのあと、千歌から衝撃なものがでてくる。千歌はそのまま言い続ける。
「最初は「こっち(ヴェネチア)に行くよ!!」って送ったときに届いた、これだけ・・・」
と言うと、自分のスマホを取り出し、みんなに対してスマホに写る写真を見せる。どうやら、事前に千歌が鞠莉行方不明騒動の当事者であり千歌や曜の幼馴染である果南にイタリアに行くことを伝えたとき、果南からの返信で届いたメール、それに添付されていた写真だった。ただ、そのメールにはなにも書かれていなかった。ただ、その写真だけ添付されていた、だけだった。さらに詳しくいうと、このメールが届いたのは、このヴェネチア国際空港に着いた直前だったのである。そのため、千歌たちはまだこのメールや添付されいた写真を鞠莉‘sママに送っていなかった。ちなみに、その写真であるが、「どこかの橋」から撮った写真、としかわからなかった。目立つものものといえば、両岸にびっしりそびえたつ建物と川に突き刺さったきの棒だけ・・・。そのため、わからないのか、曜、
「う~ん、この場所に行くしかないよね・・・」
と、少し諦め声だった。
が、ここで凄いこが起こる。その諦め声の曜に対し、ある元気な声が聞こえてくる。
「ここ、すぐ近くだよ!!」
その声の主、なんと、月、だった。昔、イタリアに住んでいたことがある月、そして、ヴェネチアでも有名な場所だからこそすぐにわかった、のである。これには、千歌、
「わかるの?」
と、少し疑問に感じる。だって、千歌たちの付き添いで来ているのが月である。いわば、千歌たちのお目付け役、なのだが、ここに来て、月の存在的価値がぐっと上がってきたのだ。これに対して、月についてなにも知らない千歌が不思議になるのも無理でもなかった。
そんな千歌の表情を見てか、曜、
(あっ、千歌ちゃん、月ちゃんのこと、不思議そうに見ている!!千歌ちゃんに月ちゃんのこと、ちょっと説明しないと・・・)
と、思ったのか、千歌の言葉のあと、
「月ちゃん、小さいときにイタリアに住んでいたから、(イタリアのこと)詳しいんだよ!!」
と、月について少し説明。これには千歌たちも、
(あっ、そうなんだ!!)
と、果南が送ってきたメールに添付されていた写真について月がなぜわかったのか納得する。
それを受けて、月、
(曜ちゃん、ナイス!!ここで僕が決めてやる!!)
と、考えてしまい、
「ガイド役だね!!わからないことがあったらなんでも聞いてよ!!」
と、自分の胸を叩いて言う。が、これにより、千歌たち、
(す、凄いよ、月ちゃん!!)
と、尊敬の目を月に向けてしまう。が、これがいけなかった。尊敬のまなざしを受けた月、気をよくしたのか、
(あっ、僕、尊敬のまなざしが千歌ちゃんたちから向けられている!!なら、あれをするタイミングはいつでしょ、今でしょ!!)
と、某有名予備校講師ばりに自信に満ち溢れると、ついにあれを発動する。それは・・・。
「さぁ、レッツ、ヨ~ソロ~!!」
そう、月があれほどやりたかった曜の決め台詞、「レッツ、ヨ~ソロ~!!」だった。成田で飛行機に乗る前、曜がこれをやっているのを見ていつかは自分もやりたいと思っていた月、それを今、ここで実践してみせたのである。むろん、このことは曜には内緒だった。なので、自分の決め台詞を言われた曜、すぐに、
「こらっ、私のセリフ~!!」
と、月にツッコミをいれてしまう。これには、みんな、
ハハハ
と、2人のやり取りを見て笑ってしまった。これには、千歌、
(あっ、いつものみんなに戻った!!)
と、安心してしまう。これまで千歌たち新生Aqours6人は静真での部活動報告会のライブで、これまで頼ってきた鞠莉たち3年生3人がいないことにより、不安・心配という深き海・沼に陥ってしまい、とても暗い表情、思いを持ってしまっていた。しかし、紆余曲折をえてここイタリアでもうすぐ鞠莉たち3年生3人に会える、そして、この月と曜のやり取りによっていつもと同じ明るい表情をして笑っている梨子、花丸、ルビィ、ヨハネの姿を見てか、千歌、少し安心したのだった。
が、それは表面上でしかなかった。特に、姉ダイヤに依存しているルビィにとってはとても顕著だった。実は、ヴェネチア国際空港からサンタ・ルーチア駅まで行く列車の中でルビィは1人百面相状態に陥っていたのである。
(あともう少しでお姉ちゃんに会える!!お姉ちゃん、待っててね!!)
と、ヴェネチア国際空港に着いて外に出たとたんに、姉ダイヤに会える、そんな嬉しい気持ちでいっぱいだった。そのため、ルビィの表情も、このときは「にた~」という表情をしていた。が、すぐに、ルビィの頭の中にある言葉がよぎる。
(「お姉ちゃんたちはもういないの!!」)
そう、前日の内浦の砂浜海岸でSaint Snowの2人、聖良と理亞に現時点でのパフォーマンスを見せたとき、不安・心配というものを前面に出したパフォーマンスをしてしまい、それを受けて理亞が言い放った一言である。その言葉がルビィの頭の中によぎった瞬間、
(あれっ?でも、お姉ちゃんに会えるにしても、それって、ず~と、そのままじゃないよね)
という不安・心配に襲われてしまう。たとえ、今、ここで会えたとしてもすぐに別れることになってしまうものである。それは、すなわち、また頼れる姉ダイヤとは離れ離れになってしまうことを意味していた。その現実を考えた場合、ルビィにとってまた暗い未来が待っている、ことを意味していた。
と、いうわけで、
(いつかはいなくなるよね。そうしたら、ルビィ、どうしたらいいの?これから先、ルビィはお姉ちゃんなしで生きていかないといけないの?お姉ちゃんがいない、そうしたら、ルビィ、ガンバルビィ、できなくなるよ・・・。どうしたらいいの~?助けて、お姉ちゃん~!!)
と、姉ダイヤに助けを被る。こうなると、ルビィ、また不安・心配をしているくらい暗い表情になってしまう。
そして、駅前に到着するまでのあいだ、ルビィ、この2つの思いを繰り返し繰り返し頭のなかでしてしまう。なので、明るい表情から暗い表情へ、そして、また明るい表情へと、まるで、1人百面相状態、になってしまっていた。
こんなルビィをとても心配そうに見ている、それが月だった。月、そんなルビィを見て、
(どうしちゃったのかな?ルビィちゃん、なんか苦しそう)
と、ルビィのことを心配していた。
しかし、月の心配は的中してしまう。その写真の場所へ、駅から近くに・・・といっても歩いてから25分ほどのところにあるため、月たち一行は歩いてその場所へと向かっていた。ちなみに、ヴェネチアは水の都である。車はおろか自転車で移動・・・できるほどの幅がある道なんてない。車の乗り入れすら禁止されているのである。なので、ヴェネチア市内の交通手段はゴンドラ(小舟)か歩きしかない。
その歩きの最中、花丸はまだ・・・、
「う~、ジェラート、おいしいずら~」
と、まだジェラートを食べていた。ちなみに、このジェラート、すでに9~10個目である。それを見てか、月、
(花丸ちゃん、これだとルール違反になっちゃうよ・・・)
と、ジェラートを食べる花丸に対して少し困り顔。そう、ここ、ヴェネチアでは指定の場所以外での食べ歩きは禁止されているのだ。そのため、月、意を決して、
「花丸ちゃん、はやく食べてね。本来であれば、ここ、ヴェネチアでは指定の場所以外でのため歩きは禁止、なんだからね!!」
と、花丸に注意する。
すると、花丸、月からの注意を受け、
(そうだったのずら~!!知らなかったずら~!!)
と、考えてしまい、すぐに、
「それはごめんずら~」
と言っては残っていたジェラートを急いで食べてしまう。そして、花丸、食べ終わると、
「ごちそうさまずら~!!とてもおいしかったずら~!!」
と、今まで食べていたジェラートの感想を言うと、すぐに、ヨハネ
「口のまわりにクリームがついているよ、ずら丸」
と、花丸に指摘する。これには、花丸、
「そうだったずら~」
と言っては、口のまわりについているクリームを手でぬぐってそのまま口へ。
「これはこれでおいしいずら~」
と、花丸、ここでもマイペースで感想を言う。が、これを見て、ヨハネ、
「ずら丸、みっともない・・・」
と、花丸のマイペースさにうんざりしてしまう。この一連の流れを見ていた月、千歌、曜、梨子、思わず、
ハハハ
と、笑ってしまった。
が、この一連の流れの中で笑っていない子がいた。そう、ルビィである。
(お姉ちゃんに会える!!)
の嬉しい気持ちと、
(ルビィ、この先、生きていけるのかな?お姉ちゃんなしでやっていけるのかな?)
の不安の気持ち、これが永遠にループしていた。そう、ルビィは精神的に危険な状況を迎えていた。
そして、ついにルビィにその限界が訪れようとしていた。
「凄いね~、どこに行っても川がある!!」
と、水の都ヴェネチアの水路の多さに驚く千歌。こんな風にヴェネチアについて話がはずむ、ルビィ以外の月と千歌たち5人。対して、ルビィはというと、嬉しい気持ちと不安の気持ち、その2つの思いがループしてしまい、それだけで精一杯だった。そのためか、ルビィ、ほかの6人との距離がどんどん離れていってしまっていた。
そして、ルビィ、
(う~、疲れてきたよう・・・)
という疲れの心の声とともに、
「道、迷いちゃいそう・・・」
と、本当に弱気の発言をしてしまう。
そんななか、
(あれっ、なんか飾ってある。少し見に行こう)
と、ルビィ、目的地近くのアーケード内にある店のショーウインドーの中になにか興味があるものを見つけた。いや、そのものに引き寄せられていく。で、つい、そのショーウインドーの中を見るルビィ。そこには・・・。
(あっ、見たことがない仮面だ・・・)
そう、そこにあったのは、イタリア名物の仮面、それがたくさん置かれていた。
が、その仮面を見て、ルビィ、ある感覚に襲われる。
(あれっ、どうして、誰かに見られている、そんな気がする・・・)
と、ルビィ、誰かの視線を気にしてしまう。で、ルビィ、そのうち、その視線がショーウインドーの中にあるたくさんの仮面からだと気づく。すると、ルビィにある変化が起きる。
(仮面・・・、が・・・、人!!知らない人!!)
なんと、ルビィ、仮面たちが知らない人の顔だと認識してしまったのだ。で、ルビィは極度の人見知りである。たくさんの知らない人から見られている、ただそれだけであがってしまう。さらに、ルビィにとって不安・心配によって精神的に参っているなかではその効果は絶大だった。
と、いうわけで、ルビィ、ついに精神的な限界を迎えてしまう。あがりすぎてしまい、逃げ出したいルビィ。そんなとき、ルビィの耳にある少女の声が聞こえてきた。
「ここだよ!!」
この声により、ルビィ、限界をこえてしまった。その瞬間、
「ピギィッ!!」
と、ルビィ、大きな声をあげてそのショーウインドーから逃げてしまった。その逃げている最中も、
(お姉ちゃん、助けて~!!お姉ちゃん、お姉ちゃん!!)
と、姉ダイヤに助けを求めようともしていた。
そんなルビィより先に月と千歌たち5人はすでにその目的地に着いていた。
「ここだよ!!ここがその写真の場所、SS.アポスポリ川だよ!!」
と、果南から送ってきたメールに添付されていた写真とそっくりの場所であることを千歌たちに教える。ちなみに、ルビィが精神的に限界を迎えたときに聞こえてきた声の主はなんと月だった。月にとって悪気はなかった。のだが、あまりに大声だったため、それが結果的にルビィを苦しめることになってしまった。
で、そのルビィであるが、ショーウインドーのある店から逃げ出した、ルビィ、アーケードを抜け、その先にある橋、そう、その目的地にいる花丸めがけて飛び込み抱きついてしまう。そして、ルビィは花丸に向けてこう言った。
「こわかったよ~、花丸ちゃん~」
これには、花丸、
(あっ、ルビィちゃん、なにかに苦しめられていたかずら~)
と、思ったのか、
「よしよし」
と、ルビィの頭をなでる。これには、ルビィも、
(ふ~、安心する~)
と、安らいでしまう。どうやら、ルビィ、少しは落ち着いたみたいだった。
が、このとき、ルビィ、
(ルビィ、お姉ちゃんなしでは生きられない!!)
と、姉ダイヤへの依存を早々と決めてしまった、そんな思いが生まれてしまった。