そんな状況のなか、ようやく、花丸がみんなの前に到着、でも、一気に駆け上ってきたので、花丸、その場に倒れこんでしまった。
と、同時に、果南、あることに気づく。
(でも、なんで、千歌たち、「ただの行方不明」としか鞠莉‘sママさんから聞かされていないのかな?あっ、もしかして・・・、私たちを・・・)
そう、果南、この千歌たちの行動を・・・、いや、鞠莉‘sママが千歌たちを差し向けた真の目的を知る、そう、鞠莉を探していることを・・・、さらに・・・鞠莉を拘束しようとしていることを・・・。が、果南、その兆候は薄々と感じていた。それは、町中に貼られているポスターだった。そのポスターには・・・、なんと、鞠莉、果南、ダイヤが載っていたのである。それは、鞠莉がダイヤ、果南から襲われる、そんな構図だった。で、そこには上に大きく「WANTED」という文字がでかでかと載っていた。そう、鞠莉’sママはあらかじめヴェネチアの町中にそのポスターを貼っていたのである。いや、それだけではない。ヴェネチアのいたるところ、新聞広告やチラシ、さらには、ヴェネチアのレストランのメニュー表まで、ありとあらゆるところにだしていたのである。
なお、月がボヴォロの螺旋階段を昇る前に見たポスター、それがこのポスターだったりする。で、そのために今やヴェネチアは大変なことになっていた。これがのちのちに大変なことになる・・・。
とはいえ、果南が思っていたことはそのほかの鞠莉、ダイヤも・・・、
(私たちだけではなく、千歌さんたちすら・・・)(ダイヤ)
(巻き込むなんて、ママ、許さない!!)(鞠莉)
と、果南と同じ思いだったみたいである。そのためか、
「千歌がなにも知らされていないことは・・・」(果南)
「ダシに使われたってことですね・・・」(ダイヤ)
と、鞠莉‘sママに怒り心頭になる。
が、とうの千歌たちはというと・・・、
「ダシ?」
と、いまだ状況が掴みきれていない様子。しかし、それは仕方がないことだった。だって、千歌たちは鞠莉‘sママから行方不明になった鞠莉たちの捜索をして欲しいとしか言われていなかったからである。なので、千歌が、
「ダシ?」
と、不思議がってしまうのも無理ではなかった。むしろ、鞠莉たち3人に会えたことで、
(これで元のAqoursに戻れるよ!!(曜))
(まずは一安心ね(梨子))
(ダイヤちゃんたちと出会った!!これで新しいAqoursを・・・(千歌))
と、まずは一安心、これで新しいAqoursを見つけることができる、そんな期待感を持っていた。
が、鞠莉たちにとってはとても大切な仲間である千歌たちすら巻き込んでしまった、その鞠莉‘sママのやり方に、
(ママったら、もう許さない!!(鞠莉))
(私の大切なルビィすら引きずり込むなんて、おふざけがすぎますわ!!(ダイヤ))
(これが、大人の汚いやり方、なんだね!!(果南))
と、本当に怒り心頭だった。
そんな鞠莉たち3人、なにも知らない千歌たちに対して、鞠莉‘sママの真意を伝える、怒りながら言った、大声で・・・。
「ちかっちたちが来れば私たちが必ずコンタクトをとる」(鞠莉)
「それでおびき出して」(果南)
「(私たちを)捕まえるようという魂胆ですわ!!」(ダイヤ)
そして、ダイヤは怒りながら取り出したのは・・・、あの、鞠莉たち3人の指名手配?のポスター、そう、あのポスターだった。その真実を聞いた瞬間、鞠莉‘sママの化けの皮が剥がれた。いや、行方不明そのものがでっちあげだったことに千歌たちは驚いていた。
が、このときのダイヤの大声、それが、これから起こる騒動の幕開けとなってしまった。なんと、ダイヤの大声でなにごとかと螺旋階段が特徴的なボヴォロに観光に来ていた観光客、それに、地元の住民たちがダイヤたちがいる一番上の階に集まってきたのだ。その集まった人たちが手に持っているのは・・・、そう、鞠莉たちWANTEDのチラシであった。そして、英語、フランス語、イタリア語といろんな言葉が飛び交う。これには外国語についてはちんぷんかんぷんの千歌たちにはなにを言っているのかわからなかった。が、イタリア語が話せる月、そして、イタリア語、英語などが堪能な鞠莉にはその人たちが言っている意味がわかっていた。その人たちが言っていたのは・・・。
「あれがこのチラシに描かれていた行方不明の3人ですわ」
「あの子たちを捕まえたら賞金が出るみたいだぞ!!」
そう、鞠莉たちWANTEDのチラシにはなんと「鞠莉たちを捕まえたら1万ユーロ差し上げます」という文言が書かれていたのだ。なので、集まった人たち、鞠莉たちを捕まえようと虎視眈々と狙っていたのである。
その人たちの会話を聞いた鞠莉、
(これはやばいですね~。ここで3人、ロングステイは無理ですね~。じゃないと、あいつ(鞠莉‘sママ)に捕まるので~す!!)
と、危機感を募らせる。
そして、すぐに果南とダイヤに合図を送る。
(ダイヤ、果南、ここは逃げるので~す!!サーティーシックス、逃げるがWINで~す!!)(鞠莉)
これにダイヤ、果南が答える。
(鞠莉さん、それを言うなら、「三十六計逃げるが勝ち」ですよ!!(ダイヤ))
(鞠莉、ダイヤ、ここは逃げるのが先決だよ!!なら、打合せ通りにね!!(果南))
実は、鞠莉たち3人、こんなことがあろうかと、すでにここからの逃走計画を練っていたのである。それは、ここにいる少女の習性を利用したものだった。
まわりが騒がしくなる、それによって千歌たちが鞠莉たちから目をそらした、そのとき、
(よ~し、これを用意したかいががありま~した~!!)
と、鞠莉、あるものを用意した。それは、ただの白黒のボーダー柄のポロシャツだった。が、それに反応した少女がいた。
クンクン クンクン
なんと、曜がいきなり犬のようににおいをかきだしたのだ。いや、もう1人、そのにおいをかきだした少女がいた・・・。それを千歌と梨子はただ引いてしまった。
そして、ときをおかずして、
(今からマリーが投げるから、それを合図にエスケープ(脱出)よ!!)
と、鞠莉は果南とダイヤに目で合図を送ると、
(わかりましたわ(ダイヤ))
(OK!!(果南))
と、鞠莉の意図を理解する。
そして、鞠莉は建物の外に向けてそのポロシャツを投げる!!
「曜、ごめん!!」
と、曜に謝りながら・・・。
その鞠莉がポロシャツを投げるところを見ていた、曜、なんと、パブロフの犬みたいな反応を見せる。
「「制服!!」」
なんと、曜、そして、もう1人、そのポロシャツめがけて建物の外に飛び出してしまった。そう、曜にとってそのポロシャツこそ曜にとってとても大好きなものだった。なぜなら、そのポロシャツこそ曜がとても好きな「制服」だったからである。白黒のボーダーシャツ、実は、ここヴェネチアの船頭さんが着る服、つまり、「制服」・・・、だったのである。この曜の制服好き・・・であるが、それは、曜がとても好きで尊敬している男、父親の影響である。曜の父親は世界をまたとかけている・・・はずのフェリーの船長だったりする。そんな大好きで尊敬している父親の船長の制服姿は小さいときの曜にとってとても輝いて見えていた。そして、曜の夢はそんな父親と同じ船長になること。そして、船長としてみんなと一緒にやっていく必要があるため、曜、陽気で誰とでもすぐに仲良くなる、そんな性格になったのである。と、同時に、少しでも船長という夢を叶えたい、ということで、小さいときから船長ごっこ・・・船長の真似事をしていたのである。むろん、父親におねだりして自分のサイズにあった船長・・・のコスプレ衣装を買ってもらった曜、それを着て船長ごっこをしていたのである。で、それをすることで船長になりきっていた・・・のであるが、コスプレを・・・制服を着ることでその職業になりきることに味を占めた曜、船長だけに飽き足らず、いろんな制服を追い求めようとする。電車の運転手、巫女、芸子さん・・・などなど。というわけで、曜の制服好きはついにオタク・・・、いや、病み付きのレベルにまで達していた。
で、その曜であるが、制服・・・とわかったところで、「もったいない」という心が働いてしまい、自分の命をなげうってまでそれを守ろうとする。鞠莉たち3年生がAqoursに入る前、果南と鞠莉が学校でケンカして、果南が自分たちが1年生のときに着ていたスクールアイドルの衣装を外に投げたときも・・・、そして、今回もである。
が、今回はそのときとは違っていた。なんと、曜と一緒にその制服めがけて外に飛び出した少女がいた。誰だ!!誰だ!!誰だ!!その少女の名は月!!そう、この物語の主人公、月、である。では、なんで、月も曜と一緒に外に飛び出したのか?それは、簡単、である。月も、制服マニア・・・だった、からである。だって、月は曜のいとこ・・・、ということもあるが、実は、月の制服好きは曜ゆずり、だったりする。
昔、というか、小3~小4のとき、月と曜は両親の紹介で出会ったことは前述したが、少しばかりして、月は曜の部屋に遊びに行くことになった。そのとき、
「ちょっと、飲み物、持ってくるね!!」
と、曜が自分の部屋から出て行った。で、1人になった月、
「ここが曜ちゃんのお部屋なんだね!!こっそりのぞいちゃお!!」
と、つい好奇心丸出しで曜の部屋にあるものをのぞいていく。人間、誰もいなくなった部屋ではつい出来心でいろんなものを探りたくなるものである。それがこのときの月にはあった。
で、まずは曜の机、ダンスなどを探る。が、これっといったものはなく、むしろ、きれいに整理整頓されていた。これでは月の好奇心は満たされない、と、いうわけで、月、ついに曜の秘密のクローゼット?を開ける。で、そこにあったのは・・・。
「うわ~、きれいな服・・・」
そう、そこにあったのは・・・きれいな服・・・だった。ただ、そこにあったのはただの服ではなかった。そこにあったのは・・・。
「あれっ?これって看護師さんが着る服、だよね・・・」
そう、看護師が着るナース服、をはじめとした、制服たち、それも、子どもサイズ、だった。
で、このとき、運悪く、飲み物を持ってきた曜が自分の部屋に戻ってきてしまう。で、自分のクローゼット?の中身を見てしまった、月、の姿を目にした、曜、いきなり、
「ち、違うの・・・。これは・・・、これは・・・」
と、取り乱してしまう。まさか、自分の秘密が、自分のいとこの月にばれるとは・・・。これには、曜、いつもは見せない、慌てふためく、そんな姿をみせる。まさか、月に嫌われてしまうのでは、そう曜はこのときそう思ってしまった。
が、月の次の一言は意外なものだった。月、慌てふためく曜を見て一言。
「この服、とてもかわいいね。僕にも着させて?」
そう、月も曜が集めていた制服コレクションに興味をもってしまったのである。自分が知らない職業、憧れていた職業の制服、それを着てみたい、本当に自分の好奇心からくるものだった。
この月の言葉に、曜、すぐに、
「うん、わかった。月ちゃんにも着させてあげるね!!」
と、喜びながら月に自分が持っている制服コレクションを着させ始める。こうして、このあと、曜と月、2人だけの制服ファッションショーがはじまるのであった。
と、いうわけで、曜と月、ことあるごとに制服ごっこ・・・というより制服の着せ替えごっこをするようになり、ついには、自分たちだけで制服を作ったりしてはそれを着せたりしていたのでる。
こうして、月は曜に負けないくらいの制服マニアになりました・・・のであるが、今回ばかりは、鞠莉が投げた制服に対して、この2人の性格が悪い意味で発動してしまったのである。鞠莉の投げた船頭さんの制服に対して「もったいない!!」と思ったのか、「「制服!!」」と叫んではその制服めがけて外にダイブしてしまったのである、月と曜は・・・。もちろん、その制服を無事キャッチした2人であったが、ここはボヴォロの一番上の階である。外にダイブしたのならあとは下に落ちるだけ。まわりには何もない。即死コースである。なので、ダイブした2人に対して、千歌、梨子、ヨハネ、ルビィは身を挺して2人を掴む。このときの4人の働きにより、曜、月、2人ともなんとか助かった。これには2人ともことの重大さに気づいてしまう、あまりに命知らずなことに・・・。
が、このときを狙っていたのが鞠莉だった。制服を投げた瞬間、鞠莉、
「ダイヤ、果南、今で~す!!逃げるので~す!!」
と、2人に小声で言うと、鞠莉たち3人はその場から駆け足で逃げてしまった、まわりにいる、鞠莉たちを捕まえようとしている人たちはいきなり外にダイブしてしまった曜と月の方を見てしまい、自分たちのことを気にしなくなったことを見計らって。
で、この作戦は成功を収める。鞠莉たちを捕まえようとしていた人たちの網を無事にかいくぐることに成功した鞠莉たち3人はそのままこの場をあとにし、次の目的地へと移動することに成功した。
が、逆に千歌たちにとってみれば、ちょっと逆効果、だったのかもしれない。3人が逃げていく様子を見ていた千歌、外にダイブした曜と月を掴みつつ、
(鞠莉ちゃんたち、もしかして、なにかに逃げているの~?まさか、鞠莉‘sママから?でも、本当に待ってよ~!!このままじゃ、私たちの中には不安と心配しか残らないよ~!!鞠莉ちゃんたちがいないと新しいAqoursが見つからないよ~)
と、嘆いていた。そう、ここに来た理由、それは、聖良が言っていたこと、鞠莉たち3年生3人に会って話し合うことで新しいAqoursを見つけだすこと、それがあと一歩のところでできる、それなのに、それがまた振り出しに戻った、それに対する不安や心配がここにきて千歌の心のなかに現れてしまっていた。
が、その千歌以上に混乱を見せていた少女がいた。ルビィである。ルビィ、ようやく自分の心の拠り所だった姉ダイヤと会えたのに、また離れ離れになってしまったことにより、
(お姉ちゃん、ちょっと待って~!!お姉ちゃん、ルビィ、このままじゃ生きていけないよ~!!お姉ちゃん、ルビィを置いていかないで~!!)
と、さらなる混乱、いや、不安と心配という海・沼のより深いところまで沈んでしまった。