ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

51 / 250
Moon Cradle 第5部 第3話

 と、ここで、鞠莉‘sママがなんで鞠莉たちがいる鞠莉の親友の別荘に現れたのか。その種明かしをしよう。思い出してほしい。鞠莉を探していた鞠莉‘sママ、第4部第6話で、鞠莉と月の策略で鞠莉‘sママはフィレンツェの小原家の別荘に行ったもののもぬけの殻だった。そのとき、鞠莉‘sママ、とても悔しがっていた。

 が、そんなとき、鞠莉‘sママに電話がかかってくる。鞠莉‘sママのイタリアにいる親友・・・と語る者からだったが、鞠莉‘sママはその電話で鞠莉たちはフィレンツェ郊外の鞠莉の親友の別荘にいることを知ったのである。

 が、それには実は裏があった。そう、鞠莉‘sママのイタリアにいる親友・・・である。その親友であるが、実は、その親友・・・と語る者の正体は・・・なんと、月たち静真高校生徒会の敵であり、あの静真本校と浦の星分校との統合に異を唱える、静真高校の大スポンサーであり、さらに、統合問題により、浦の星とそのスポンサーであった小原家に恨みを持つ、静真高校の部活動保護者会会長、木松悪斗・・・の右腕、裏美の関係者・・・というよりも、裏美の奥さんだった!!

 では、その裏事情について詳しく解説しよう。

 鞠莉たち3年生3人ヴェネツィアから無事脱出したことにより、鞠莉を捕まえるためにポスター代などの多額のコストをかけたにも関わらず鞠莉を捕まえることができなかった、鞠莉‘sママ、その怒りを、ポスター作製などを、いや、(敵である静真高校生徒会長の月を貶めるために)千歌たち新生Aqours6人と月を鞠莉を捕まえるためにイタリアに送ることも提案した裏美にぶつけた、だけでなく、「二度と私の目の前に現れないでください!!」とまで言って絶交したのである。

 で、これについて、裏美、

(これでは月生徒会長の(新生Aqours復活のための)行動を邪魔するという目的が果たすことができなくなる!!)

と、いう危機感を抱いてしまったのである。そのため、裏美、すぐにイタリアにいる裏美の人脈を総動員してまで鞠莉を探すように命じたのである。

 ちなみに、千歌たちがイタリアに来た理由を説明すると、表向きは、(鞠莉‘sママの要請で)鞠莉たち3年生3人を探し出すことが目的、なのだが、裏の目的としては、鞠莉たち3年生3人と会って話し合うことで、(あの静真での部活動報告会でのライブに失敗したことにより陥ってしまった)不安・心配という深き海・沼の奥底から這い上がりよみがえさせることだった。

 で、その千歌たち申請Aqours6人と一緒にイタリアに来た、月、であるが、小さいときにイタリアに住んでいた、という経験があるため、イタリア初体験の千歌たち6人のガイド役・・・というのとは別に、(Saint Snowの聖良から言われた)新生Aqours復活のキーパーソンとしての側面もあったりする。で、イタリアに到着したときは月もなんで自分が新生Aqours復活のためのキーパーソンとして聖良が選んだのかわからなかったが、ヴェネチアからフィレンツェに列車に移動中、いとこで大親友の曜との会話で聖良が月をキーパーソンとして選んだのか、その理由に月は気づいたのである。

 そして、すべてを思い出した月、すぐに行動を起こす。その列車の中でルビィにあることを話したのである。姉ダイヤと一緒にいたい、ずっと頼っていきたい、そう思っていたルビィに対し、月、いつかは姉ダイヤと離れ離れになる、その現実を突きつけたのである。が、これはよりルビィをさらなる不安・心配の海・沼の奥底に沈ませることになるのだが、月としては、避けることができない、いつかはくぐる道である、そして、それが新生Aqours復活のために必要である、そんな想いからの行動だった。

 そして、新生Aqoursの復活、これこそ、今の月にとってとても重要だった。なぜなら、月にとって新生Aqoursの復活こそ、自分の宿願を叶えるために必要なこと、だったからである。その月の宿願とは、「静真本校と浦の星分校の統合実現」である。

 この物語を最初から読んでいる方ならすればもうおわかりだが、静真と浦の星の統合が決まって以降、月たち静真高校生徒会はそれに向けて頑張ってきた。が、静真の大スポンサーである木松悪斗がいきなり統合に異を唱えると、その木松悪斗たちによって統合反対の動きが活発になる。表向きな理由は、全国大会に出場できるほどの実力を持つ部活を数多く持つくらい部活動に対する士気が高い静真の部活動に、地方大会初戦敗退ばかりで部活動に対する士気が低い(と、木松悪斗が勝手に言っている)浦の星の生徒たちが参加すると、士気低下、対立により、静真の部活動に悪影響がでる、なのだが、裏では、木松悪斗が用意した理事の席を鞠莉が蹴ったこと、その同時期に浦の星のスポンサーで鞠莉の父親が当主の小原家が静真に出資しないことがわかったこともあり、木松悪斗がその小原家と浦の星に恨みをもってしまった、その意趣返し、ともいえた。そのため、統合反対の動きが活発化して以降、月たち生徒会は生徒中心に統合実現のため、木松悪斗たちは保護者中心に統合反対のために動いていた。で、結果的に静真の創立家の末裔で静真の影の神である沼田の一声で静真と浦の星は統合することになった。のだが、木松悪斗たちが作った、保護者からの統合反対の声、もあり、その声がなくなるまで、浦の星の生徒たちは新たに作る浦の星分校に通うことになったのである。

 で、そのとき、月は沼田に対し、どうすれば静真本校と浦の星分校は統合できるのか、を直接尋ねたことがあった。そのとき、沼田が言ったのが、「部活動とはなにか」「部活動をする上で一番大切なものとは」という問いだった。そして、その問いを解くヒントが、浦の星の生徒たちであり、浦の星の生徒たちと一緒に行動すればおのずとでてくる、と、沼田は言っていたのである。

 が、月、そのことを気にせずに、力には力でもって制しようとする。浦の星で唯一全国大会で優勝したことがあるスクールアイドル部Aqoursの力を借りて、木松悪斗の野望、統合阻止を打ち砕こうとした。が、それは失敗に終わる。木松悪斗とその娘で部活動に参加している生徒たちの連合体、部活動連合会会長の旺夏の策略、そして、鞠莉たち3年生3人がいないことにより、不安・心配の海・沼の奥底に沈んでしまった千歌たち新生Aqoursにより、部活動報告会でのライブは失敗に終わり、月の計画も頓挫してしまう。それどころか、木松悪斗の野望を促進する結果となり、いまや静真は静真本校と浦の星分校の統合は風前の灯になっていた。

 そのため、月にとって自分の宿願を叶えるために残された手段、それこそ、沼田の問いに答えること、だった。が、月と一緒に行動している(浦の星の生徒でもある)千歌たち新生Aqoursはライブ失敗によりいまだ不安・心配の海・沼の奥底に沈んだまま。そんなとき、突然、鞠莉‘sママから、行方不明?になった鞠莉たち3年生3人を探しにイタリアに行ってほしい、と、頼まれる。そして、たまたま一緒にいたSaint Snowの聖良から「鞠莉たち3年生3人と会って話し合う必要があるのでは」と言われ、千歌たち新生Aqours6人は鞠莉たちを探して会いにいくためにイタリアに行くことを決める。と、同時に、月もガイド兼新生Aqours復活のためのキーパーソンとして千歌たちと同行することになった。

 で、月からすれば新生Aqoursの復活は月にとってもプラスだったりする。新生Aqoursの復活は沼田の問いを解く意味でもとても重要だったりする。なぜなら、新生Aqoursの復活により、本来のAqoursが持っている魅力や力を見ることができるから。そして、それこそ沼田の問いを解くためにも重要なのだから。そう、本来のAqoursに沼田の問いの答えが隠されている・・・のかもしれない。その意味でも、月にとって新生Aqoursの復活こそとても宿願を叶えるために必要だった。

 対して、裏美であるが、とうのご主人である木松悪斗は新生Aqoursの部活動報告会でのライブの失敗後に行われた通常理事会で静真本校と浦の星分校の統合延期を勝ち取ったものの、またもや沼田の一声により、統合実現のために動いている月たち生徒会の行動を邪魔することを固く禁じられて動けない状況に陥っていた。ただ、裏美はそれにより統合実現に向かわれてはご主人である木松悪斗のためにならない、ということで、沼田を恐れて、月たちの行動を邪魔しないようにと木松悪斗から言われているにも関わらず、裏美、裏では鞠莉‘sママを介して月と千歌たち新生Aqoursの邪魔をしてきた(もちろん、鞠莉‘sママに多額のお金を使わせることで小原家にもダメージを与えていた)のだが、それにより、鞠莉‘sママの信頼を失うことになったのだ。そうなったことにより、裏美にとってこれ以上月たちの行動を邪魔することができなくなる、いや、これから先、ご主人である木松悪斗が沼津で活動するときにおおきな妨げにつながってしまう、そんな考えが裏美の頭の中を駆け巡った。なぜなら、沼津の経済界において世界有数の財閥である小原財閥とその中心である小原家の影響力は計り知れないから・・・、その意味でも、裏美は一度失った鞠莉‘sママの信頼を取り戻すためにも必死で鞠莉たちの居場所を探していた。

 のだが・・・。

「裏美様、まだ鞠莉という少女の足取りはつかめません!!」

と、イタリアにいる部下からの報告を受けた裏美、すぐに、

「はやく探せ!!絶対に見つけるんだ!!」

と、部下たちにげきを飛ばす。が、フィレンツェ、観光都市とはいえかなり大きい。人も多く住んでいることもあり、鞠莉、ダイヤ、果南を見つけるのは至難の業だった。

 と、いうわけで、鞠莉‘sママの絶交の電話から2時間後・・・。

「まだ見つからないのか!!」

と、怒り狂う裏美。でも、裏美の部下も必死に探しているのである。が、ここでも、見つからないという結果だけみて、自分の願望が叶わないことに怒り狂う裏美。ある意味、裏美の部下のほうがかわいそうに見えてきてしまう。

 そんな裏美に対し、

「あなた、少しは落ち着いたら・・・」

と、怒り狂う裏美をなだめようとする女性。これには、裏美、

「俺が探している人が見つからないんだぞ!!これは、俺にとって、木松悪斗様にとっても一大事なこと、なんだぞ!!怒らずにいられるか!!」

と、その女性にあたる。が、その女性はそんな裏美に対し、

「それなら、お茶でもどうぞ。お茶を飲んだら少しは落ち着きますよ」

と、自分がもってきたお茶を裏美の前に置く。

 そのお茶を見た裏美、

「お茶を飲むほど落ち着ていられるか!!」

と、言っては、その女性のほうを見る。

 と、すぐに、裏美、

「お茶を飲むほど・・・、あっ、お前か・・・」

と、お茶をもってきてくれた女性がだれかを知る。そう、その女性こそ、裏美が一番大切にしている女性、裏美の奥さんだった。なので、すぐに、裏美、

「お、お前・・・、悪口言ってごめん・・・」

と、奥さんに謝る。これには、奥さん、

「いや、いいんですよ。あまり気にしないで・・・」

と、奥さんに謝る裏美に対して気にしていないことを言う。だが、裏美、

「本当にごめんよ・・・」

と、奥さんに対し詫びを言い続ける。

 そんな裏美に対し、裏美の奥さんはあることを突然言い出す。

「あっ、そういえば、私のイタリアにいる友人からこんなメールが届きましたよ」

そして、裏美にそのメールを見せる。そこにはこう書いてあった。

「ミズ裏美(裏美の奥さんのこと)、お元気ですか。私も元気です」

そのあとは単なる送信者の家族の現状などたわいもない内容が続く。これには、裏美、

(あぁ、単なる世間話か・・・)

と、そのメールを読んでうんざりする。結果だけを追い求めるあまり、その途中の過程のことなんてあまり気にしない、というよりも、無駄である、そう考えている裏美にとって世間話なんて無駄なもの、だったのかもしれない。

 そんなたわいもない世間話が続くメールを読み続ける裏美、

「で、このメールと俺となんか関係があるのか?」

と、裏美の奥さんに尋ねる。すると、その奥さん、すぐに、

「たしかにあなたにとってみれば、このメール、たわいもないことかもね。でもね、メールの最後のほうを読んでもらいたいの・・・」

と、言って、このメールの最後のほうを裏美に読んでもらう。

「え~と、「そういえば、私の娘がね、フィレンツェにある私たちの別荘を友達のために貸してほしいって言ってきたの。たしかに私たちの別荘だけど、長い間使っていなかったのよね。それなのにわざわざ使いたいっていう方がいるなんて、私、驚いちゃった。だから、私、娘にその別荘を掃除してくれたらその友達にその別荘を貸してもいいよって返事しちゃった・・・」」

これもたわいもない世間話、そう裏美は思ってしまう。が、そのあとの文章を見て、裏美、愕然となる。

「「で、「その友達の名前は?」って娘に聞いたらね、その友達の名前が「マリ・オハラ」って言うんだって!!あの世界的な大富豪の小原家の一人娘、なんだって!!なんでも、卒業旅行でイタリアに来ているから、少しの間だけ使わせて、って・・・」」

この文章を読んだ瞬間、裏美、

「マリ・オハラ・・・」

と、つぶやく。そう、これまで必死で探しても見つからなかった鞠莉たちであったが、ひょうんとした拍子でその鞠莉の居場所を特定できるとは・・・世の中とは狭いものである。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。