鞠莉‘sママが去っていったあと、大広間には千歌たちAqoursの9人、そして、月だけが残った。鞠莉‘sママに対する反抗のためか、いまだに張り詰めた空気が10人のまわりを漂っていた。
が・・・、突然、
「う~、疲れた~!!」
と、いう大声とともにソファに倒れこむ少女が現れた。その少女に対し、ダイヤ、
「鞠莉さん、はしたない!!」
と、その少女に注意する。そう、ソファに倒れこんだ少女とは、鞠莉だった。自分の母親の前で大見えを切ったのである。その女性、鞠莉‘sママがいなくなった、それにより、鞠莉の緊張の糸が切れてしまったのだ。
が、それでも、鞠莉以外のAqoursメンバーも緊張の糸は切れていた・・・わけではなかった。1人の大人のまえで「スクールアイドルは素晴らしいということを証明してみせる」と言った鞠莉に追随したのである。もし、それを証明できなければ、鞠莉の自由はなくなる、そう思うと、自分の行動で1人のこれからの人生を左右してしまうことをしてしまった、そんな思いがあったのだ。
と、そんなとき、ある少女が声をあげる。
「ところで、鞠莉ちゃん!!」
この声にソファに倒れこんでいた鞠莉、すぐに、
「あっ、千歌っち、なに?」
と、鞠莉に声をかけた少女、千歌に尋ねる。
すると、千歌はすぐに鞠莉に尋ねた。
「鞠莉‘sママさんの登場でうやむやになったけど、鞠莉ちゃん、なんでこうなったのか、詳しく教えて!!」
この千歌の発言に、ダイヤ、
「それは今さっき私たちが言ったように・・・」
と、千歌に注意すると、千歌、すぐに、
「ダイヤさん、私は鞠莉ちゃんから詳しくききたいの!!とうの本人からきいたほうが信じられるって思えるの!!」
と、ダイヤに言うと、ダイヤ、
「そ、それはそうですが・・・」
と、逆にひいてしまった。鞠莉もこれには、
「千歌っちがマリーの口から直接聞きたいんでしょ。減るもんでもないし、いいんじゃないかな」
と、千歌の意見に同意する。
そして、鞠莉の口からその招請を聞くことになった。
「それはね・・・、私が小学校の時から果南とダイヤと一緒に(鞠莉‘sママのいうことをきかずに)勝手にいろんなことをしていたので~す!!それに業を煮やしたママが私の自由を奪って拘束することを決めたので~す!!そのために、マリーの知らない結婚相手と結婚させて、私を一生自分のいいなりにさせたい、そんなことをしたので~す!!マリー、そんなこと、とてもいやで~す!!」
この言葉のあと、鞠莉、いたらぬことを言ってしまう。
「だから、果南とダイヤにお願いして、卒業旅行と称して、愛の逃避行、をしていたので~す!!」
が、これにダイヤが敏感に反応する。
「愛じゃないでしょ!!自由になるため、でしょ!!」
と、ダイヤ、鞠莉に対して激しいツッコミ。これには、鞠莉、
「ぺろぺろ」
と、舌を巻いてごまかした。
が、この鞠莉とダイヤの掛け合いにまわりは意外な反応をみせる。
「ぷ、ぷ、ぷ、ぷぷぷ」(曜)
「なんで、愛の逃避行、になるの!!」(梨子)
「言葉のあやずら!!」(花丸)
「でも、面白い」(曜)
「くくく、いい見世物だったぞ!!」(ヨハネ)
と、みんな笑い始めたのだった。
そして、果南も、
「鞠莉、ダイヤ、まるで漫才コンビみたいになっているよ!!」
と、大笑いしながら鞠莉とダイヤにしゃべっていた。
これには、ダイヤ、
「な、なんで私たちが、漫才コンビ、なんですか!!言葉を取り消しなさい、果南さん!!」
と、果南に発言の取り消しを求める。
と、同時に、千歌、
「どう、少しは緊張が解けたかな?」
と、みんなにきいてみると、曜、梨子、花丸、ヨハネ、ともに、
「「「「うん、なんかとけた(ずら)」」」」
と、大きな返事をしてきた。
これを見ていた果南、
(千歌、もしかして、みんなの緊張をほぐすためにわざと言ったんだね。そうだね、私たちに緊張なんて似合わないものね。それよりも、笑いながらスクールアイドルを楽しむ、それこそ、私たちの、私たちのAqours、本来の姿、なんだからね!!)
と、千歌のことを褒める。
そして、果南、その感謝の言葉を口にした。
「ありがとう、千歌!!」
で、その言葉を受けてか、千歌、
「うん、なに?」
と、なぜかとぼけてしまう。どうやら、千歌の一連の行動は千歌にとって無意識?で行ったものだったのかもしれない。けれど、千歌はAqoursにとって、ムードメーカー、という一面をみせた、そんな行動だった。
が、実は、意外にも、千歌たちAqours9人のなかで一人だけ違う反応をみせた少女がいた。
(鞠莉ちゃんを・・・拘束・・・する・・・。これって・・・ルビィが・・・お姉ちゃんを・・・拘束・・・している・・・)
そう、ルビィ、だった。ルビィ、鞠莉の言葉に、あること、自分にとってとてもショッキングなこと、に気づいたみたいだった。
(ルビィ、もしかして、お姉ちゃんのこと、拘束している・・・、のかな?ルビィ、お姉ちゃんがいないとダメ!!お姉ちゃんを一生放したくない!!もうお姉ちゃんと離れたくない!!そう、ルビィは思っていた、決意した・・・。でも、それって、鞠莉‘sママさんが鞠莉ちゃんを拘束してしまう、のと同じように、ルビィがお姉ちゃんを拘束している、そう見えてしまう・・・。ルビィ、もうお姉ちゃんと離れたくない!!でも、お姉ちゃんをルビィが拘束しちゃうとお姉ちゃんが・・・)
そう、鞠莉‘sママが鞠莉を拘束してしまうこと、と、ルビィが姉ダイヤを拘束委してしまうこと、そのふたつは一緒であることに気づいてしまったのだ。鞠莉‘sママが鞠莉の自由をなくすのと同じようにルビィは姉ダイヤの自由をなくす、そうなると、ルビィは鞠莉‘sママと同じようなことをしている、それはルビィとしてはいや、でも、姉ダイヤに永遠に依存することを決めたルビィにとって姉ダイヤを解放することは死活問題になってしまう、そんなジレンマにルビィは陥ってしまったのである。そのジレンマのせいでルビィはほかの8人とは違い暗い表情をしてしまっていた。
が、そのルビィの暗い表情をみて、ある少女がそれに反応した。
(あれっ、ルビィちゃん、なんか暗い表情、しているよ!?どうしたのかな?僕なんか新亜pになっちゃうよ!!)
そう、月だった。ヴェネツィアからフィレンツェに行く列車のなかで「姉ダイヤと離れないといけない」という事実をルビィに突きつけた月であったが、その月、
(もしかして、あの列車のなかで僕がいったこと、そして、姉ダイヤと離れないことがあの鞠莉‘sママさんが行おうとしていることと同じようなものだと気づいたのかもしれないね。拘束と解放、そのジレンマに陥っているのかもね)
その考えのもと、月はあることを決めた。
(よ~し、あとでルビィちゃんの相談にのってあげようかな、僕!!)
こうして、月と千歌たちAqoursのフィレンツェの長い一日は終わった。Aqoursはこの後、鞠莉の未来、そして、スクールアイドルの存在意義をかけて、運命のライブ、を行うことになるのだが、このとき、まだ、千歌、曜、梨子、ルビィ、花丸、ヨハネ、は、いまだに不安・心配の深き海・沼に沈んだままだった。特に、ルビィは姉ダイヤに一生依存することを決めたものの、月が言った、いつかは姉ダイヤと離れ離れになること、そして、今自分がしようとしていることが鞠莉を一生拘束しようとしている鞠莉‘sママと同じことに気づいてしまったがゆえに、精神的にかなり不安定、拘束と解放、そのジレンマに陥っていた。この状態のままでライブをするとしても必ず失敗するものである。はたして、千歌、曜、梨子、花丸、ヨハネは不安・心配の深き沼から、そして、ルビィはそれに加えて、拘束と解放のジレンマから脱出することができるのだろうか。そして、運命のライブを成功させることができるのだろうか。さらに、千歌たち6人、新生Aqours、その復活のキーパーソンである月はルビィに、新生Aqoursにどのようなマジックをみせてあげるのだろうか。その話は次の部、第6部で語ることにしよう。
今回は(今までの部と比べて)かなり短いが、第5部はこれまで!!
次回へと続く!!