ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第6部 第3話

「う~、疲れた~」

と、千歌、ホテルに着くなり親父じみた声をあげる。ここはローマのホテル。ここにこれから先、Aqoursと月が宿泊することになっている。近くには貸しスタジオがいくつかあり、そこでダンス練習ができるため、このホテルが選ばれたのだった。

 そして、夕食のとき、ダイヤは月を含めたみんなにこう言った。

「昨日、月さんがライブに使えそうな場所を探してくれました。ありがとうございます、月さん」

月にお礼を言うダイヤ。これには、月、

「いや~、僕も久しぶりにローマをまわれて楽しかったよ!!」

と、謙遜する。

 この月の発言のあと、ダイヤはみんなにこう告げた。

「みなさん、今日はゆっくりお休みください。明日、私たちはついに動きます!!月さんが自分の足で見てきて選んでくれた(ライブを行う場所の)候補地4か所、そこに行って写真を撮ってきてください。そして、これまで見てきた(ヴェネチア、フィレンツェ、ピサの)5か所の写真とともに見比べてライブを行う場所を決めます!!」

 さらに、このこともダイヤは付け加えた。

「で、明日の予定ですが、あまり時間がないので、ローマの候補地4か所を全員でまわることはできません。と、いうわけで、明日、出発前に4班に分かれたうえで行動します。1班1か所ずつ、そこで写真を撮ってきてください!!」

 これについては誰からも反対意見はでなかった。やっぱり、ダイヤ、である。個性が強すぎるAqoursメンバーをまとめ上げるほどの優れた統率力を持ち主である。これには、月、

(あぁ、ダイヤさん、すご過ぎです~。ホレボレしちゃいます~。僕もダイヤさんみたいになりたいです~)

と、憧れのまなざしをしていた。

 と、いうわけで、夕食を食べ終えたAqoursと月はゆっくりと長旅の疲れをとることになったのだった。

 

 翌日・・・、ホテルの玄関前では・・・。

「みなさん、揃いましたね。それでは、これから班分け・・・」

と、ダイヤ、月を含めた全員を確認するとともに班分け・・・。

「班分け・・・と言いたいのですが、今回は自分たちで分かれることにしましょう。これから先、私、果南さん、鞠莉さんがいなくなっても千歌さんたち6人だけでも行動できないといけませんからね」

と、ダイヤとしては珍しく放任してしまった。まっ、先ほどのダイヤの言うことももっともである。

 と、いうわけで、勝手に班分けがはじまってしまう。

「千歌ちゃん、一緒にコロッセオ、行こう!!なんか大きな競技場の遺跡なんだって!!私、わくわくしちゃう!!」(曜)

「うん、わかった!!曜ちゃん、私についてきてね!!」(千歌)

といった具合にコロッセオには千歌、曜、梨子が、トレビの泉は果南と花丸が、スペイン広場では鞠莉とヨハネ・・・と2人の監視役としてダイヤが行くことになった。

 で、1人残った?ルビィはというと・・・。

(よしっ、ルビィからお姉ちゃんを誘おう!!)

と、姉ダイヤと一緒にスペイン広場に行くことを決めたルビィ。そこで、ルビィは意を決してダイヤのそばに行き、ダイヤに一言。

「お姉~ちゃん・・・」

 が、その言葉は1人の少女によってかき消されてしまった。なんと、ルビィがダイヤの隣に行こうとした瞬間、

「ルビィちゃん、一緒にまわろう!!」

と、ダイヤとルビィを引き裂くかのように、いや、遮るようにある少女がルビィとダイヤのあいだに立ちはだかったのだった。その少女を見上げたルビィ、思わず、その少女の名を呼ぶ。

「って、月ちゃん!!」

そう、ルビィとダイアのあいだを遮ったのは、月、だった。その月、このとき、こう思っていた。

(ルビィちゃん、ごめん!!僕だってルビィちゃんとダイヤさんのあいだを引き裂きたくないんだよ!!でも、こうでもしないと、ルビィちゃん、ずっとダイヤさん依存が続いてしまう。もう離れることなんてできなくなる。それはルビィちゃんのためにはならない。いや、新生Aqoursを、今のルビィちゃんを変えるにはこうするしかない!!だから、僕、ここは鬼となるよ!!新しい新生Aqours、そして、新しいルビィちゃんのためにもね!!)

そう、月、このとき、熱い使命感的なものを持っていたのである。

 では、なぜ、こんな熱い思いを月は持ったのだろうか。それは、昨日の夜までさかのぼる。昨日の夕食のとき、ダイヤはライブを行う場所の候補地4か所に4班に分けて撮影しに行くことをみんなの前で言ったのだが、このとき、月、あることを思いつく。

(あっ、これって千差一隅のチャンスじゃないかな?)

フィレンツェの出来事以来、姉ダイヤとのこれからの関係について悩み苦しんでいたルビィ、その姿を見て月はいつかはルビィが壊れてしまうのではと思っていた。そんなルビィを救いたい、不安・心配という深き海・沼の奥底から救いたい、そして、それをきっかけに千歌たち新生Aqours復活を果たしたい、と、このときから月はそう思っていた。そして、その機会を今か今かと月は待ち望んでいたのだ。で、その機会がついに来た、と、月はダイヤの話を聞いて悟ったのであった。なぜなら、ルビィと2人になる機会を、ルビィを諭すための時間が欲しかったからであった。人間というのはなにか怒られるとき、まわりに人がいるとそれを見られたことにより自分のプライドが傷つくことがある。そのため、人に怒るときにはまわりに人がいないときに行うのが望ましい。また、ルビィ個人を諭すとき、ほかの人がちゃちゃをいれることがあると、ルビィ自体月がこうしたいと思っているのとは違った方向に進んでしまうことがあったりする。月はそれを危惧しており、これまで月がルビィに対してこれから起こる事実を伝えたとしても自ら動きルビィを諭すことをしなかったのもそのためだった。が、ついにルビィと2人になる機会が巡ってきたのである。それも、ここローマである。ルビィを諭すのにうってつけの場所がある。その場所を月はわざと候補地として選んでいた。すべてが月にとってとても優位になるように進んでいた。月、だからこそ、こう思った。

(ついに僕が動く時がきた!!絶対にルビィちゃんをニュールビィちゃんに変えるときがきた!!いつ動くんだ?今でしょ!!」

と、勢いこむ月。こうして、月のルビィイメチェン計画は発動した・・・。

 と、いいつつも、月、ルビィと2人になるように根回しするのも忘れていなかった。なんと、月、夕食後、

「あの~、ダイヤさん、ちょっといいですか?」

と、ルビィの姉、ダイヤのもとに行くと、ダイヤ、

「あら、月さん、どんな御用ですか?」

と、月に尋ねる。すると、月、すぐにダイヤにあるお願いをする。

「ダイヤさん、お願いです、明日、ルビィちゃんと一緒に行動させてください!!それも2人だけで!!」

この月の願いを聞いたダイヤ、

(私の大事なルビィを、会ってから数日しかたっていない月さんに任せるなど・・・)

と、突然の月の申し出に月のことを疑い深くなるダイヤ。しかし・・・。

(でも、そんなことを冗談で言って・・・いないですね。月さんの目、なにやら真剣そのものですしね・・・)

と、月の目を見て月がまじめに言っていることに気づく。そう、このとき、月、

(ここで諦めたら、きっとルビィちゃんはただの姉ダイヤさん依存症になってしまう!!だからこそ、ここは絶対にひかない!!たとえダイヤさんであっても絶対に成し遂げてみせる!!)

と、岩をも通すほどの熱の入れようだった。

 この月のしんけんな目を見たダイヤ、

(どうやら、本当にルビィのためになにかをするつもりですね。わかりました!!あなたの真剣さに、このダイヤ、心を撃たれましたわ!!)

と、月の岩をも通す熱意に負け、大事な妹のルビィを月に託すことを決めた。

 そして、ダイヤ、月に対しこう告げた。

「わかりましたわ、月さん!!あなたの熱意に負けましたわ!!明日1日、私の大事なルビィを月さんに託しますわ!!ただし、ルビィになにかありましたらそのときはご覚悟を・・・」

これには、月、

(や、やった~!!これでルビィちゃんを苦しみの呪縛から解き放つことができる!!)

と、心の中でガッツポーズをするも、すぐに、

「わ、わかりました!!この身にかえてもルビィちゃんは守ってみせます!!」

と、なぜかルビィの結婚相手みたいなことを言ってしまう。

 こうして、ルビィの知らないうちにダイヤと月は裏でつながってしまうのだが、このときのダイヤにはこのあと起きるルビィの変化のことなんてまったく知る由もなかった・・・。

 

 と、ここで話はもとに戻る。姉ダイヤと一緒に行きたいルビィ、そのダイヤとルビィのあいだに月が立ちはだかる・・・のだが、このときのルビィには、このときすでに月とダイヤのあいだで密約が結ばれていたことなんて知っているわけでもなく、ただ、

(なんで、月ちゃんがここにいるの?)

と、戸惑うしかなかった。

 すると、月、

(よし!!ここで決めてやる!!絶対に決めてやる!!)

と思うと、すぐに、

「ルビィちゃん、一緒にまわろう!!僕、ルビィちゃんにちょっと興味持っちゃったんだ!!だから、一緒にまわろう!!」

と、言っては、ルビィをダイヤのところに行くのを邪魔をする。

 そんな月の行動に、ルビィ、

(ルビィはお姉ちゃんと一緒に行く!!)

と、必死にダイヤのところに行こうとする。そのためか、ルビィ、思わず、

「ルビィ、お姉ちゃんのところに行く・・・」

と、心の声がそのまま声として外にでてしまっていた。

 が、月からすれば、

(ここにルビィちゃんを行かせたら絶対にルビィちゃんは生まれ変わることなんてできなくなる!!)

という思いがあるので、つい、ルビィの言うことおかまいなく、

「ダ~メ!!僕と一緒に行くの!!」

と言ってはルビィの手を強引に引っ張ろうとする。これには、ルビィ、

(ルビィ、絶対にお姉ちゃんと一緒に行く!!)

と、逆に月がひぱっている自分の手をひっぱり返そうとする。ルビィと月、意地のぶつかりあい!!普通なら意地の強いほうが勝つ・・・というセオリーがあったりなかったりするのだが、今回はそんなことはなかった。月、なんと、超アウトドア派である!!というよりも、静真の才女、と言われるくらい頭がいい、のであるが、それに負けじとスポーツのほうもよかったりする。文部両道、これこそ月にとってふさわしい言葉がなかった。むろん、体力には、月、自信がある。対して、ルビィ、スクールアイドルの練習をしているものの、超インドア派である。なので、体力なんて(月と比べたら)ない方である。超アウトドア派の月と超インドア派のルビィ、この勝負、すでに目に見えていた・・・。

 

 と、いうわけで、体力がありすぎる月に対して非力のルビィ、結局、

「おね~ちゃ~ん~」

と、ルビィ、そのまま月にひっぱられてしまいダイヤのいるところに行くことができなかった。

 が、たとえルビィが月に勝ったとしても、ダイヤは月と一緒に行くことを言うだろう。なぜなら、月はダイヤに根回ししていたのだから。本当に、月、結構な策士、ともいえた・・・。

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