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~Spare the rod and spoil the child~
「かわいい子には旅をさせよ」旅とは人にとって自分を成長させるために必要なことかもしれない。旅先での出会い、体験、そして、別れ。人は旅をすることで普通では経験しないようなことを経験することができる。そして、その経験が自分を新たな次元へと突き進むのだ。あの伝説のスクールアイドルμ‘sもラブライブ!優勝後にニューヨークへと旅立ち、新たな発見、新たな経験をし、それをニューヨーク、さらに秋葉原でのスクールアイドルフェスティバルで昇華させた。これにより日本中、いや、世界中にスクールアイドル文化を根付かせることへとつながった。
旅、それは自分を新たなる世界へと導いてくれるもの。そして、ある少女が、今まさに日本という小さな鳥かごから世界という大きな空へと旅立とうとしている。その少女は旅を通じてなにを思い、なにを経験し、どのように進化させていくのだろうか。
「お姉ちゃん、待っててね。今行くからね・・・」
その少女はそう言うと、小さな楕円形の窓から外を見た。そこには透きとおった地中海の海が広がっていた。そして、その少女は地中海の透きとおった青色、美しき地中海ブルーを見てさらに言った。
「(ダイヤ)お姉ちゃん、ルビィにとってお姉ちゃんはとても大切なものだよ。ルビィはお姉ちゃんなしじゃ生きていけないよ!!」
その少女、黒澤ルビィはその一言のあと、乗っている飛行機から降りる準備にはいった。あともう少しでルビィたちが乗る飛行機はイタリアの港町でなおかつ一大観光地であるベネチアの国際空港に降りようとしていた。ルビィたちAqours1・2年面メンバーはある目的のためはるばる日本沼津からイタリアに行くことになった。その目的とは、イタリアに卒業旅行に行ったダイヤ・果南・鞠莉たち、Aqours3年メンバーが行方不明になったので、その3人を探すため、そして、その3年生3人に会うことで新しいAqoursとはなにかを見つけるため。
だが、ルビィは少し違っていた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん・・・」
降りる準備をしている最中にもこうつぶやいては涙を流していた。ルビィのお姉ちゃん(ダイヤ)を大事にする、それはこれまでもいろんなところで見られていたが、昔以上に姉ダイヤに依存している、そんな感じが伝わってくる、そんな様子に隣にいた花丸は、
「ルビィちゃん・・・」
と、大親友であるルビィのことをとても心配そうに見ていた。
では、なんでルビィはこんな状況に陥ったのだろうか。それはルビィたちがイタリアへと旅立つ前までにさかのぼる。
ことの発端はAqours3年生、ダイヤ、果南、鞠莉の3人が卒業旅行へと旅立った後に起きたある出来事だった。Aqoursのメンバーたちが通っていた浦の星女学院の閉校、そして、ラブライブ!冬季大会終了による沼津駅前の屋内練習場の使用期限が切れたことで練習場所を失った千歌たちAqoursのメンバー6人はそれならばと新しく通う高校に移動することに。そして、移動している最中、ルビィは、
(新しい学校、新しい学校、どんなところかな?ルビィたち6人、新しいところでもスクールアイドル、やっていきたいな!!)
と、心弾ませていた。
が、乗ったバスは町を抜け、そして、とある山道へ・・・。これにはルビィ、
(や、山の中!!新しくかよう学校、だよね?本当に学校だよね?)
と、少しずつ心配になっていく。
そして、メールで指定された場所で降りるルビィたち6人。が、そこにあったのは・・・。
(えっ、え~!!)
と、ルビィが心の中で驚いてしまう。そう、ルビィたち6人の目の前にあったのは、本当におんぼろの今にも倒れそうな(失礼!!)木造校舎のある廃校になった小学校だった。もちろん、ルビィたち6人とも唖然となる。本当にメールで指定された場所(新しく通う学校)で間違いがないか(その場所へと、スマホでメールで指定されたところへと道案内した)曜に詰め寄るヨハネ。
が、そんなとき、
(あれっ、なんか書いてある。なんだろう?)
と、ルビィ、学校の校門の標柱に掲げていた木製の立て札に何か小さく文字が書かれているのを見つけ、じっくりその文字を見てみる。すると・・・。
「えっ、え~!!」
と、ルビィ、突然驚いてしまう!!そこに書かれていたのは、ある学校名、それは・・・、
「静真高等学校」
と、いう大きく書かれた文字、そして、
「浦の星女学院 分校」
と、小さく書かれた文字だった。これにはルビィたち6人、
「「「「「「分校!!」」」」」」」
と、大きな言葉を発するぐらい驚いてしまった。
そして、いつもの喫茶店、やば珈琲店で、千歌たちの友達でいつもAqoursを陰から支えているむつたちから分校になった理由を聞く。それは、浦の星の統合先である静真高校の一部の父母たちから統合反対の声がおき、それがきっかけで分校のかたちをとることを聞かされる。さらに、曜の彼氏・・・、もとい、いとこで、静真高校に通っている月(曜と同じ2年生で静真高校の生徒会長を勤めている)からその詳細を聞くことに。その静真高校、実は県内有数のスポーツ強豪校であり、さらに、女子サッカーをはじめ全国大会の常連となっている部活を数多く有しているのだ。その高校の一部の父母から「浦の星との統合後、もし浦の星の生徒が静真高校の部活に加入すると部活内で士気低下、静真の学生と浦の星の学生とのあいだで対立が起きるなどにより部活自体に悪影響がでるのでは」との疑念があがってしまい、それが統合反対の動きにつながってしまった、というわけである。そして、月たち生徒や教師たちの働きかけむなしく、統合反対という一部父母たちの声に押し切られるかたちになったのか、それとも、月たち生徒と教師たちの働きかけのためなのか、結局、浦の星の生徒用の分校を作ることとなり、様子をみながら統合していくこととなった、とのことだった。
これを聞いた千歌たちAqours6人だったが、それならばとある行動に出る。それは・・・。
(う~、ついに来てしまったよう~。本当に大丈夫・・・なのかな・・・)
と、ルビィは客席に座っている静真高校の生徒とその父母たちを見て心配になっていた。ここは静真高校が誇る講堂。今日、ここで新年度にむけての部活動発表会が行われようとしていた。千歌たち6人の行動、それは、その新年度部活動発表会で自分たちAqoursのライブを行い、静真高校の生徒や教師、そして、統合に反対する父母たちに対して、統合して浦の星の生徒が静真の部活に加入しても部活動に悪影響がでないことを伝えることだった。それは生徒が少なく部活動を掛け持ちしている生徒も多いために全国レベルの大会に実績を残すことができなかった浦の星女学院、けれど、最後の最後で消えいく浦の星の名前を歴史に大きく刻むことができた、そう、千歌たち浦の星女学院スクールアイドル部「Aqours」しかできないことだった。
が、それを実施しようと発表会当日に静真高校の校門に立つ千歌たち6人だったが、まったく知らない(一部、善子、いや、ヨハネが知っている中学校の同級生たちもいましたが・・・)静真高校の生徒たちを見た千歌たち6人は一瞬で固まってしまう。これにはルビィ、
(こんな知らない人たちの前で歌うの~。ピギィ、になっちゃうよ~、助けて~)
と、心の中で助けを求めようとしていた。
そして、時間はどんどん進んでいった。新年度部活動発表会は着実に進んでいった。そして、ついに千歌たちAqoursの出番がくる。前の演目である弓道部、その部員たちは多くの生徒たち、父母たちの目の前で次々と、それも平気で的をあてていく。もちろん、静真高校の弓道部としては当たり前のことであった。だって、弓道部も全国大会の常連だったりする。もちろん、ときたま、ふざけて「ラブアローシュート!!」と言っては矢を放つこともあるが(μ‘sのあるメンバーがそのことを知ったら「ふざけないでください!!」と厳しく注意しつつも、ちょっと照れてしまうと思いますが・・・)。だが、この弓道部の完璧な矢さばきにルビィをはじめとしたAqoursメンバー6人ともプレッシャーを感じてしまう。特にルビィには、
(こんな完璧なもののあとにルビイたち、ライブしないといけないの・・・。誰か助けて~)
と、心の中で叫びまくっていた。それほど、ルビィにとって、プレッシャー、重い重圧を感じていた。
そして、弓道部の演目が終わると同時に舞台袖に移動する弓道部の部員たち。ついに千歌たちAqoursの出番である。
「曜ちゃんたちの番だよ!!」
と、月、千歌たちAqours6人に対して言うと、千歌たち6人は客席の方を見る。すると、そこには自分たちの知らない多くの静真高校の生徒たちとその父母たちの姿が、だれも自分たちのことを知っている人たちなんていない、ラブライブ!では多くの浦の星のみんなやその父母たちが応援してくれた、だが、今はそんな自分たちを応援してくれる人たちなんていない、完全アウェー、そんな気分が千歌たち6人に蔓延していた。
(ルビィ、こんなところ、いやだよ~!!でも、浦の星のみんなのためにも、ルビィ、頑張らないと・・・)
と、ルビィは空元気をだそうとする。いや、ほかの5人もそう思っていたかもしれない。完全アウェーの状態でも、浦の星の生徒たちの今後のためにもここは踏ん張るしかない、失敗なんてできない、そんな2つの重圧に千歌たち6人は重くのしかかっていた。
が、千歌はなにか吹っ切れたようにルビィたち5人に言う。
「大丈夫だよ!!」
リーダーの千歌がルビィたち5人に対して鼓舞する。が、誰が見ても空元気に見える。が、千歌の言葉にルビィたち5人は千歌の励ましに答えようとする。
そして、千歌たち6人は円陣を組むとすぐに、
「1」「2」「3」「4」「5」「6」「Aqours、サンシャイン~!!」
と、小さな声で名乗りをあげる。その後、すぐに千歌たち6人はステージへと駆け上る!!
「来年度より本稿と統合します、浦の星女学院よりスクールアイドル部Aqoursの・・・」
と、講堂にはAqoursを紹介するアナウンスが流れる。
そのアナウンスと共にステージへと駆け上った千歌たち6人は歌うフォーメーションの位置にそれぞれ移動する。歌う曲は「夢で夜空を照らしたい」。3年生が抜けたAqoursにとって唯一1・2年生だけで歌える曲、そして、結成当時東京で行われたスクールアイドルのイベントのために精一杯練習した曲、そして、千歌たち1・2年生6人にとってそのイベントで「0」をつきつけられた曲・・・。歌うのはそのイベント以来、だけど、この曲しか今のAqoursの、100%の実力をだせる曲はなかった。
が、いざステージに立つと、完全アウェーの状況、浦の星の生徒たちのためにも失敗はできない、そんな2つの重圧に完全に飲み込まれてしまった千歌たち6人。それでも、
(新生Aqoursの、これからのスタートだ。大丈夫!!)
と、小さな勇気を振り絞ろうとする千歌たち6人、だったが、改めてまわりを見渡すと6人。これにはルビィ、思わず、
(あれっ、こんなにひろかったけ?)
と、驚いてしまう。たった6人しかいない、とても広いステージ。これまでとは違った感じ方だった。ルビィ、思わず、
(お姉ちゃん!!)
と、心の中で叫びまくる。
「はい、ルビィ!!」
と、ルビィの姉ダイヤの声が聞こえてきそうになるも、その声はしない。これに対し、
(お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!)
と、ルビィは何度も心の中で叫びまくるも、ダイヤの声は聞こえてこない。そう、いつもと違うステージ、それはいつもダイヤたち3年生がいるはずの当たり前のステージ。だが、そんな3年生はもういない。けれど、それによっていつも以上にステージが広く感じる。いや、心配や不安といった広い海にたった6人しかいない、そんなステージ。それはルビィだけじゃなく、ほかの5人にも感じていた。が、ルビィはほかの5人以上に不安を感じていた。ルビィが困ったときにはいつも横に姉のダイヤがいた。が、今はもういない。「未熟DREAMER」で9人になったAqours。そのなかにはいつも姉ダイヤがいた。でも、今はもういない。そう、ルビィにとっていつもいるはずの姉ダイヤが今回はいないのだ。いや、これから先、姉のダイヤはいないのだ。ルビィにとって姉のダイヤがいないなかではじめてぶち当たった状況。はじめてがゆえに、ルビィはとても心配し不安になっていく。そして、ルビィは、まるで不安でできた底なし沼に沈んでいく、そんな状況に・・・。
(お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!助けて!!助けて!!)
心の中で叫びまくるルビィ。だが、とうの姉ダイヤはもういない、そんな不安という底なし沼に陥るルビィ。だが、ルビィ以外の5人も3年生がいないことにより、心配、不安という海をさらに拡大させていった。そんななか、千歌だけは「大丈夫!!」と空元気をだして歌い始めようとする。
が、そんなとき、
カチャッ
と、千歌が髪につけていた三つ葉のヘアピンがステージの床に落ちてしまう。その瞬間、ルビィはヘアピンが落ちる音を聞くと、その瞬間、
(お、お姉ちゃん、助けて、助けて~!!本当に助けて~!!)
と、ついにルビィ自身、不安、心配に耐えることができなくなってしまった。そして、ついには・・・、
(本当にこれからやっていける、そんな自信ないよ~)
(もしかして、まえみたいにゼロ、ゼロに戻っちゃったの~!!もしや、お姉ちゃんがいないの!!ゼロじゃない!!マイナスになった、そんな気分だよ~)
と、ルビィ、マイナスの感情を抱くようになる。いや、ルビィだけじゃない。ほかの5人もそんな感情が生まれようとしていた。
(なんか、心配と不安でいっぱいだよ~)
と、いつも前向き思考の曜もこのときは後ろ向きになってしまう。さらには梨子も、
(あれっ、みんな、固くなっている。そう思うと私も不安と心配に飲み込まれてしまう~)
と、暗い表情に。千歌はそんなみんなの暗い表情を見て、
(やばいよ~。これじゃ、昔の私たち、0の時に戻ってしまう!!ここは私がなんとかしないと!!)
と、1人で頑張ろうとするも、不安と心配により、さらに空回りを起こしてしまう。そう、不安、心配の海はついに千歌たち6人を深き海底へと突き落とそうとしていた。
こうなると、いつものハイレベルの、まるで楽しんでいるかのようなパフォーマンス、いや、素人のパフォーマンスすらも発揮することもできない、本当にラブライブ!で優勝したグループとはいえるほどのダンス、歌を披露できるわけがない。
そして、案の定、このライブは失敗に終わる。その失敗の機転となったのがルビィだった。マイナスの感情を表にだしてしまい、不安な表情で踊るルビィ。客席にいる静真高校の生徒、父母たちもそんなルビィの表情を見て不安になる。それがルビィにとってやまびこみたいに反射してしまったのか、さらに不安になる。ルビィ、そんな負のスパイラルに陥ってしまう。そんなためか、ルビィ、ついに、
「えっ!!」
ドカッ!!
と、ステージ上で大きくこけてしまう。さらに、その勢いで近くにいる花丸、ヨハネによりかかると、2人とも、
「ぐはっ!!」「ぐび!!」
と、3人揃ってステージ上に倒れこんでしまう。まるで、ラブライブ!冬季大会北海道最終予選のSaint Snowの理亞みたいに。でも、3人はすぐに立ち上がり、まるでなにもなかったかのように踊る。が、一度でもそんなことが起きるとそれを挽回するのは不可能に近い。あの理亞と同じ状況が、たった今、ルビィ、花丸、ヨハネにも起きてしまったのだ。
「あ~!!」
発表会のあと、いつもの回転、いや、大判焼き(関東の人にとっては今川焼きっていえばわかるかな?)のお店の前で今日のライブの反省会をする千歌たち6人と月。その千歌たち、まるでお葬式ムードみたいにとても暗い表情をしていた。それもそのはず、初歩的なミス、いや、不安、心配という海の奥底に沈んでしまったゆえの失敗のために、静真高校の生徒や父母に対して「本当に浦の星の生徒が静真高校の部活に加入すると本当に悪影響を与えてしまう」と、これまで以上に悪い印象を与えてしまったのだ。その結果、静真高校の生徒会長である月たち静真の生徒会の働きかけのかいなく、当分の間は分校の形式をとり続けることになった。だが、この段階では千歌たち新生Aqoursの6人にはこの結果を知らなかった。が、その結果は、その結果を作ってしまった自分たちにとって今は知らなくてもこの結果になってしまうことはうすうすと感じていた。
そのためか、暗い考えは自分たちの会話にも表れてしまう。
「気が緩んでいたわけじゃないと思うけど・・・」(曜)
「なんか落ち着かないずら、6人だと・・・」(花丸)
と、暗い表情で今回のライブについて後悔の念を言うメンバーたち。
そんななか、ルビィは暗い表情をしつつ、小声で、
「お姉ちゃん・・・」
と、つぶやくように言った。いつも助けにくる姉のダイヤ、それが今日、ダイヤはいなかった。そこからくる不安、心配によってライブは失敗に終わった。そんな罪悪感、さらに、これから先、お姉ちゃんであるダイヤはもういない、そんな状況が続く、不安、心配はずっと続いてしまう。そんな思いのためか、ルビィはいつしか、ダイヤ、お姉ちゃんの名前を呼び続けてしまった。呼び続けることできっと助けにきてくれる、そんな実現しないことに対して淡い期待を抱いているように。
が、こんなルビィの表情を遠くから見ている少女がいた。
「ルビィちゃん・・・」
と、つぶやく、月が・・・。
その後、むつたちトリオが千歌たち6人の前にあらわれて、今回のライブを受けて、その後の通常理事会で静真本校と浦の星分校の統合についての話し合いの結果を聞く。もちろん、統合は当分の間、延期されることになった。
これに対し、
「ごめんなさい」
と、むつたちに今回の件について謝る千歌。それに対し、むつは、
「大丈夫だよ」
と、逆に千歌たち6人を励ます。が、千歌たち6人とも暗い表情のままだった。
翌日、千歌たちAqours6人は千歌の自宅である旅館がある内浦の砂浜で練習をしていた。そこは千歌、曜、梨子の3人がスクールアイドルをはじめるにあたり1番最初に練習していた場所、そして、(ダイヤの策略で?)Aqoursという言葉に出会った場所、そう、現在のAqoursのはじまりの地であり、なおかつ0の地ともいえるかもしれない。
「昔(Aqoursをはじめる前)、ここで練習していたんだ」
と、曜はルビィ、花丸、ヨハネに向かって、昔を懐かしむように言う。現在のAqoursの原型を作った2年生、千歌、曜、梨子にとってこの砂浜は今のAqoursを作る上ではじまりの地、ゼロからのスタートの地、そんな思いをルビィたち1年生に伝える、そんな様に見えてしまう。そして、曜の言葉を聞いたルビィ、ふとあることを考える。
(曜ちゃんたち2年生にとってここは0からの出発の地で、今、この地に戻ってきた。これってもしかして、ルビィたち、また0に戻っちゃったのかな・・・)
と、まるであの失敗で終わったライブのとき以上に不安と心配に乗り込まれるかのように思えてしまっていた。
そんななか、
「みなさん、こんにちは」
と、千歌たちを呼ぶ声が聞こえてきた。千歌たちは声のするほう、防波堤の上を見上げる。すると、そこには、
「Saint Snow(ずら)」
と、ルビィたちは大声をあげる。そこにはSaint Snowの鹿角姉妹、姉の聖良と妹の理亞がいた。聖良と理亞は防波堤から降りてくると、千歌たちに近づく。そして、千歌たちに挨拶をするとすぐに千歌と会話を始める。どうやら姉妹で卒業旅行しているみたいであり、姉妹揃って東京に遊びに来ていることを知った千歌がそれならばと鹿角姉妹を沼津に呼び寄せたみたいだった、今のAqoursが抱える問題を千歌自身で見つけるために。
「それじゃ、今のAqours、見せてください」
聖良の一言で千歌たちAqours6人は踊り始める。が、この前の発表会のライブの失敗がまだ尾を引きずっているのか、それとも、もう失敗しないようにしようとしているのか、6人のダンスはぎこちないものになっていた。
(あれっ、こうだったけ?それともこうだったけ?)
と、曜はこれまでのAqoursのダンスを思い出そうとするも、うまく体が動かない。さらに、ルビィにいたっては、
(理亞ちゃんにしっかりしたダンス、見せたいよ。でも、体がついていけていない。お、お姉ちゃん、助けて~)
と、心の中で姉ダイヤのことを叫んでいる始末。この前のライブの失敗により、体、心、ともにボロボロになっていた。Aqoursの6人、3年生がいない、それだけで新生Aqours、千歌たち6人は不安と心配という海の奥底に沈んでしまったのか、本来のAqoursの姿を聖良、理亞に見せることができなかった。また、その心配、不安がAqoursの持つキレのよさ、楽しさを前面に押し出す、それをも打ち殺していた
「ラブライブ!優勝時を100としたら、30、いや、20!!」
聖良の前で曲を披露した千歌たち6人に対し、聖良はきつい批評をする。さらに、聖良からこれまでのAqoursは3年生の存在が大きく、本来のAqoursが持っていた明るさ、元気さが3年生がいなくなったことで消えてしまい、さらに、それによって今の千歌たちAqours6人は精神的に不安定(理亞のいうところのふわふわしている)になっていることを指摘される。
「当たっている・・・」
と、千歌は聖良の指摘に納得せざるをえなかった。いや、千歌を含めて6人全員が不安、心配の海にはまっているという今の新生Aqoursの現状を聖良からずばり言い当てられていることに納得するしかなかった。
そんななか、ルビィはこの聖良の指摘に対して、
(お姉ちゃん、助けて!!お姉ちゃん!!)
と、心の中で姉ダイヤに助けを求めようと叫んでいた。が、姉ダイヤのいない状況からすれば助けに来てくれるわけではない。どうすることもできないルビィ、ついには、
「どうすれば・・・」
と、つい口すさんでしまった。
そのルビィの言葉に、ついに理亞が我慢の限界を超えてしまう。
「人に聞いたってわかるわけない!お姉さまはもういないの!!」
と、ルビに対し激高する。どうやら理亞はいつまでも姉ダイヤ離れしないルビィの今の思いをAqours6人のダンスとそれによる聖良の指摘に対してのルビィの表情から気づいたらしく、もうダイヤや聖良といったお姉さんたちは高校を卒業していなくなるのにそれでも姉ダイヤに頼ろうとしているルビィを見てとても情けない、そんな思いから発した言葉だった。
そんな言葉を発した理亞、ついには3年生がいないというだけで不安と心配という海、もしくは泥沼に陥ってしまい、本来の姿とはかけ離れてしまったAqoursの姿、おして、姉ダイヤ断ちができない親友のルビィの姿を見てもう見てられないのか、その場を駆け足で離れてしまった。これには、
(理亞ちゃん、どうしてそう言うの?)
と、ルビィ、思わず、
「理亞ちゃん!!」
と、大きな声で言うと、そのまま理亞を追いかけようとする。そして、すぐに理亞に追いつくルビィ。だが、そんなルビィに対し、理亞はきつい一言をかます。
「ラブライブ!は遊びじゃない!!」
これにはルビィ、
(理亞ちゃん・・・)
と、愕然するしかなかった。
一方、そんな理亞を追いかけるルビィを尻目に千歌は聖良にあることを聞く。
「理亞ちゃん、どうしたのですか?」
これには聖良は理亞の現状を千歌に説明した。
「実は理亞は新しいスクールアイドルグループを結成したのですが・・・」
そして、聖良の口から語られたのが、まず、ラブライブ!冬季大会北海道最終予選が終わって、あのAqoursと一緒に、合体ユニット「Saint Aqours Snow」として函館でのクリスマスライブを行い、自分だけのスクールアイドルユニットを作ると心に決めた理亞は、そのライブ後、すぐに学校の有志4人と共に新しいスクールアイドルユニットを作ったのだが、Aqoursが優勝を決めた決勝大会後、なにかに追いかけられているかのごとく、理亞が勝手に練習メニューをよりきつく、いや、普通の人なら簡単に音を上げるくらいのハードなメニューに変えるようになり、2人がやめてしまう事態になったこと、そして、それでもその練習メニューをやめようとしない、いや、さらにハードになっている、そんな現状を理亞のユニットのメンバーから聞いた聖良は理亞にとってガス抜きが必要だろうと思い、理亞との姉妹2人で卒業旅行に行くことにした、と。これには千歌、
(なんか私たちと似ているのかなぁ、今の理亞ちゃん・・・)
と、思うようになっていく。が、それと同時に
(でも、今の私たちじゃどうにも・・・)
と、諦めの表情で思ってしまった。
そんななか、聖良とルビィ以外の千歌たちAqoursメンバー5人がようやくルビィと理亞のもとに追いつく。
が、そんなときだった。突然千歌たち6人と聖良、理亞、さらにその8人の様子を遠くから見ていた月の上にヘリが飛んできた!!
「デジャブ!!」
と、誰かが言うくらいあのときと同じ展開。そう、あのAqoursメンバーの登場シーンと同じ展開に・・・。
「鞠莉ちゃん!!」
そう、鞠莉のヘリからの登場シーンと一緒だった。少し淡い期待をする千歌たち6人。
しかし、ヘリから降りてきたのは・・・。
「鞠莉ちゃんじゃない!!」
鞠莉とは違う、けれど、どこか似ている女性だった。その女性は鞠莉ちゃん風に言った。
「マリー‘sママで~す!!」