ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第6部 第9話

 そして、翌日・・・。

「う~ん、この日程だとすぐにでもスタジオの手配をしないといけませんね・・・」

と、ダイヤはうなっていた。ここは月たちが泊まっているホテル近くにあるカフェ。ここでダイヤと月はここイタリアでのライブまでの行程表を練り上げようとしていた。その際、練習するためのスタジオの手配についてダイヤは困っていた。日本であればすぐにでもスタジオの手配はできるのである。たとえば、ラブライブ!冬季大会中に使っていた沼津駅前の貸しスタジオ、これは曜の知り合いがAqoursのためにと貸してあげたものだったが、ダイヤはその際借りるために必要な書類一式をたった1日で作り上げたのだ。これには曜の知り合いもダイヤに感心していたのだが、今回はイタリアということもありたとえ有能なダイヤとしてもすぐに貸しスタジオの手配なんてできない・・・のであった。

 が、突然、

「あのう、ダイヤさん、それならすでにここの近くにあるスタジオをおさえましたけど・・・」

と、月が突然発言する。これには、ダイヤ、

「えっ!!」

と、驚いてしまう。実は、月、昨日のうちにネットでホテル近くの貸しスタジオをおさえてしまったのだ。これには、ダイヤ、

(こ、これは規格外ですわ!!月さん、なんて有能すぎる!!まさか、昨日の今日でここの近くの貸しスタジオをおさえるなんて・・・。これは私としても教えがいがありますわね!!)

と、なぜかやる気をだしてしまっていた。

 そんななか、突然カフェのデッキ付近で、

ガタンッ

という椅子が動く音が聞こえてきた。これには、月、

「あれっ、あれはルビィちゃんたちじゃないかな?」

と、ダイヤにこっそと言うと、ダイヤ、

「確かにそうですね。でも、ルビィはまだこちらには気が付いていませんね」

と、月にこそっと話す。2人が見ている先、カフェの外のデッキ、そこにはAqoursの1年生トリオ、花丸、ヨハネ、そして、2人を引っ張ってきたルビィの姿があった。しかし、3人には月とダイヤの存在には気づいていないようだった。実は月とダイヤは静かなところで行程表を練りたいと思ったのか、カフェの奥のほうのテーブルに座っていたのだ。そして、そのカフェの外のデッキ付近にルビィたちが来たのだが、ダイヤと月はカフェの奥のほうにいるため、ルビィたちにはそのカフェの奥のほうにいるダイヤと月の存在に気づいていなかったのだ。

 そして、ルビィは奥にいる月とダイヤの存在に気づかないまま外のデッキに設置しているテーブル近くの椅子に座ると写真をテーブルの上に広げてはいろいろと写真を取って花丸とヨハネと一緒にいろいろと話し合っていた。これには、月、こそっとルビィのほうを見ると、

「ダイヤさん、どうやら、ルビィちゃんたち、ライブの場所決めをしている最中みたいですよ」

と、ダイヤにこそっと話すと、ダイヤも、

「たしかにそうですね・・・」

と、月に同意していた。

 そして、20分後・・・。

「どれもこれも良すぎて迷うずら~」

と、花丸が音を上げてしまった。候補となっている場所9か所ともライブの会場としては良すぎて選ぶことができなかったのだ。これにはヨハネも同じ状況だったのか、

「もういっそうのこと全部の場所でやればいいのよ!!」

と、すべての場所でライブを行うことを提案してしまう。

 が、これには、ルビィ、

(もし、ぜんぶの場所でやったら、それで昔のルビィに戻ってしまう!!)

と思ったのか、

「それはダメだよ!!」

と、花丸とヨハネに注意する。

 が、ルビィの全力否定に、ヨハネ、

「じゃ、ルビィはどこがいいの?」

と、ルビィに反論。これには、ルビィ、

「そ、それは・・・」

と、言葉に窮してしまう。ヨハネの意見に反論したルビィであったが、

(どこも良すぎてルビィ1人じゃ選べないよ~)

と、ルビィとしてもお手上げ状態であった。それでも遠くの場所からルビィたちを見守っている月、

(ルビィちゃん、頑張って、絶対に道は開けるから!!)

と、ルビィを陰から応援していた。

 その月の思いが叶ったのか、突然、ルビィにとって運命の扉が開かれようとしていた。それは花丸のある発言からだった。花丸、ルビィとヨハネの対立のあいだちゅう、これまで撮ってきた写真を見ているうちにあることに気づいた。それはある写真を見てからだった。花丸がその写真を見た瞬間、なんと花丸が大声をだしてこう言ったのだ。

「あっ!!ここってあそこに似ているずら~!!沼津内浦の砂浜海岸にある石階段にずら~!!」

これには、ルビィ、

(えっ、沼津内浦の石階段!!ここってイタリアだよね!!そうだよね!!)

と、びっくりすると、

「えっ、どれどれ!!」

と、花丸に駆け寄る。すると、花丸、その1枚の写真を手に取り、

「ここの階段ってあそこの階段に似ているずら~!!」

と言ってきたのだ。その写真を見たルビィ、

「あっ、本当だ~!!確かに似ている!!」

と、花丸の意見に同意する。このとき、ルビィ、ある妙案を思いつく、この場所なら鞠莉‘sママにスクールアイドルのすばらしさを理解させることができるだけでなく、これからのAqoursを指し示すなにかを見つけることができるかもしれない、と。

 そして、ルビィは思いもたっていられず花丸とヨハネに対しその写真の場所に行くことを告げてそのまま強引に2人を連れて行ってしまった。これを見ていた月、

(ルビィちゃん、なにか思いついたみたいだね。僕、それがなにか知りたい!!)

と思うと、すぐに、

「ダイヤさん、はやくルビィちゃんたちを追いかけましょう!!」

と、ダイヤに元気よく言うと、ダイヤも、

「あっ、たしかにそうですね・・・。ルビィのことだから心配ないと思いますが、ここはこっそりルビィのあとを追いましょう!!」

と、月に同意すると、月とダイヤはルビィを追いにカフェをあとにした。

 

 そして、ルビィ、ついにその目的地に到着するなり、

「ここだ~!!」

と、大声をあげてしまう。

 で、ルビィによって強引にこの場所まで連れられたためか息を切らしてしまったヨハネと花丸であるがここがどこかわかるまえに息を整えていた。その1人、ヨハネ、息を整えてまわりを見渡すと、ルビィに対し一言。

「で、ここは~?」

 すると、花丸、あることに気づく。

「あっ、階段があるずら!!もしかしてここって~」

 その花丸の言葉のあと、ルビィはその場所の名前を言った。

「そう、スペイン広場!!ルビィ、決めた!!ここで、ライブ、する!!」

それはルビィの妙案が確信へと変わった瞬間だった。

 

「月さん、あともう少しでルビィに追いつきますわよ!!」

と、ルビィを追いかけていたダイヤは一緒についてきた月に言うと、月も、

「うん、そうですね、ダイヤさん・・・」

と、うなずく。ルビィが早く走っていったので月もダイヤもルビィに追いつくのが大変?にも見えたが、元から体力に自信のある月と月と同じくらい体力に自信のある・・・というよりも超アウトドア派の鞠莉と果南と一緒にいる時間が長かったためか自然と体力がついたダイヤにとって朝飯前だった。

 そして、ルビィが目的地であるスペイン広場に到着してまもなく月とダイヤも到着。二人はルビィに見つからないように物陰に隠れると、ルビィ、突然大声をあげた。

「そう、スペイン広場!!ルビィ、決めた!!ここで、ライブ、する!!」

このルビィの大声を聞いた月、おもわずある言葉を思い出す。

「あっ!!ここってあそこに似ているずら~、沼津内浦の砂浜海岸にある石階段にずら~!!」

あのカフェの花丸の発言、そう、内浦の砂浜海岸にある石階段に似ている、それを聞いたルビィはなにを思ったのかこのスペイン広場に行き、ここでライブ会場にするって決めたのだった。

 月、そのルビィがここに来るまでの経緯をたどっていくうちにあるルビィの思いに気づく。

(あっ、さては、ルビィちゃん、ここでライブをして、千歌ちゃんたちに自分が伝えたいことを気づかせたいんだね!!)

そう、月は悟った、ルビィがこのスペイン広場をライブ会場に選んだ理由を。ルビィはここでライブをすることで千歌たちに自分が伝えたいことを、自分たちがゼロに戻ったわけじゃない、自分たちにはAqours9人がこれまでやってきたこと、経験したこと、その想い出、その想い、そのキズナがあることを、そして、イチのその先に進んでいることを気づかせようとしていることを。なぜなら、

(だって、曜ちゃんが言っていた、「この砂浜(内浦の砂浜海岸)は(千歌・曜・」梨子がスクールアイドルを始めたとき)練習する場所がなくて仕方なくこの砂浜海岸で練習していた地」って。つまり、曜ちゃんたちからすればその内浦の砂浜海岸は、いわば、ゼロの地!!)

そう、内浦の砂浜海岸は千歌たちからすればいわば、ゼロの地、であった。千歌たち2年生3人は最初その海岸で練習していた。その後、千歌たちはAqoursとして大活躍していく。その練習場所もその活躍により、学校の屋上、体育館、そして、沼津駅前の貸しスタジオへと移っていった。だが、廃校などにより、千歌たちの練習場所はもとの内浦の砂浜海岸へと逆戻りとなった。それは千歌たちにとって「ゼロに戻った」と知らないうちに思い込ませるようになったのかもしれない、が、それは違っていた。月はそう思った。

(たしかに練習場所はもとに戻った。けれど、もとの地に戻ってくるあいだに曜ちゃんたちAqoursはいろんな人いろんなものと触れ合ってきた。そのなかで、Aqours9人はいろんな想い出、いろんな想い、いろんなキズナを得てきた。だからこそ、ルビィちゃんは思った、ゼロの地である内浦の砂浜海岸、その石階段に似ているスペイン広場の石階段でライブをすることで千歌ちゃんたちにそれを気づかせようとしているんだね、ルビィちゃん!!)

このルビィの想いを悟った、月、次の瞬間、こう思い始める。

(なら、僕ができること、それは、ルビィちゃんの想いに応えること!!ルビィちゃんのその想い、きっと僕が叶えてあげるからね!!)

 それを受けてか、月、このとき、ダイヤにあることを言った。

「僕、今から市役所に行ってきます!!」

この月の言葉を聞いたダイヤ、

「えっ、市役所!!」

と、びっくりするも、月はそんなダイヤをおいて市役所へと向かおうとする。これにダイヤもびっくりしながらも月についていった。

 

 ローマ市役所・・・。月はそこに着くなりそのまんま市役所の窓口へと進む。そして、窓口に着くなり開口一番こう言いだした。

「すみません。スペイン広場を管理している方を出してもらえませんか?」

すると、しばらくしてちょっと小太りした男性職員が出てきた。その男性職員、出てくるなり月に向かってこう言った。

「私がスペイン広場を管理している部署の者ですが、何かごようでしょうか?」

 この職員の言葉のあと、月は、

「すみませんが、この日にスペイン広場でライブを行いたいと思っております。そのためにこの日にスペイン広場を借りたいのですが」

と、この職員にスペイン広場を貸してもらえるように頼んでみる。ヨーロッパの場合、映画などのロケで有名な観光施設を使うことがよくあるため、日本みたいにロケなどの許諾を断ることはそこまでない・・・のだが、今回は違っていた。男性職員はすぐに、

「日が近すぎますね。それに、Aqours?知らないアーティストだね。そんな人たちにこの偉大なスペイン広場を使わせるなんて、ローマの人たちから見れば恥と言えますね!!」

と、月たちのことを馬鹿にしつつ、月のスペイン広場のレンタル依頼を一蹴してしまった。

 これには、月、

(う~、この職員、僕たちのことを馬鹿にしちゃって・・・。このまままじゃ僕の腹の虫がおさまらないよ!!)

と、少し切れ気味になる。そのためか、月の表情が険しくなる。が、イタリア語がわからないために月と男性職員とのやりとりの内容がわからなかった(月と一緒に来ていた)ダイヤでさえ月の表情から交渉が決裂したことを理解していた。そのため、ダイヤ、

「月さん、ここはひきましょう。後日、あらためて来ましょう」

と、月に提案。それには、月、

「それなら、今日の午後、改めて来ます!!そのときは詳しく話し合いましょう!!」

という捨て台詞?を言ってその場を後にした。

 その後、月はというと・・・、

(なんなの、あの職員!!まるで僕たちのことを下手に見るなんて、納得いかない!!)

と、あの職員のことに怒り気味になる。が、月と一緒に来ていたダイヤは、

「やっぱりスペイン広場を借りるのは難しいみたいですね。私としても妹のルビィのためにスペイン広場をライブ会場にしたいのだけど、あの様子だとね・・・」

と、はんば諦め気味になったいた。

 が、月にはそんなことお構いなしだった。

(なんとかしてスペイン広場を借りたい!!でも、あの職員をぎゃふんといわせるものがない・・・)

と、スペイン広場を借りたいものの、あの男性職員を納得させるだけの材料がないことに困っていた。

 

(どうすればあの職員を納得させることができるのか・・・)

と、月は悩みながらもダイヤとともにホテルへと戻る。その途中、ダイヤから、

「月さん、この日は全体練習を1日中行います。それでいいですね」

と、スケジュールについて確認をとると、月、

「僕もそれでいいと思いますよ」

と、ダイヤの意見に同意する。それでも、月、

(いったいどうすれば・・・)

と、自分の頭の中で押し問答を続けていた。

 そう悩んでいる、月、であったが、ホテルに近づくと、突然、ダイヤから、

「あっ、月さん、見てください!!」

と、指をさして月にそちらの方向に見るように言うと、月もそっちを見てしまう。すると、月、

「あっ、すごい人混み!!人が多く集まっている!!」

と、驚いてしまう。

 その月、その人混みを見て、

(あっ、なんかいいヒントになるかもしれない!!)

と思ったのか、その人だかりのところに近づくことにした。

 その人だかりに着くなり、月とダイヤはその人混みのなかを進んでいく。すると、月、

「す、すごい!!」

と、驚嘆の声をあげる。そこにいたのは華麗に踊るストリートダンサーたちだった。そのダンサーたちは仮面をかぶりながら社交ダンスをすると思ったら、突然、仮面を取ってブレイクダンスみたいなダンスをするなど、縦横無尽なダンスをみんなに見せていた。

 社交ダンスとブレイクダンス、まったく異なるダンスを組み合わせたダンスはローマ市民だけでなくたまたまそこを通りかかった観光客からも好評だったみたいで、そのダンサーの周りには人だかりができてしまった、というわけである。そして、そのダンスに、ローマ市民と観光客、いや、観客すべてがそのダンスを見ては楽しんでいた。

 そんな周りの人たちの様子を見ていた、月、おもわず、

(あっ、いいこと、思いついちゃった!!)

と、なにか妙案を思いついたみたいで、一緒に来ていたダイヤに向かって、

「ダイヤさん、ちょっと外に出ましょう!!」

と言ってはダイヤと一緒にその人だまりのなかから脱出した。

 そして、抜け出すと、ダイヤ、すぐに、

「月さん、少し落ち着いてください!!私、もう少しダンスを見たかったのですが・・・」

と、月に苦言を言うものの、月、それについてはおかまいなしとばかりに、

「ダイヤさん、お願いがあります!!」

と、突然ダイヤに言う。これには、ダイヤ、

「つ、月さん、な、なんでしょうか?」

と、月の突然の発言におどおどしてしまう。その月、ダイヤに対し、

「ダイヤさん、これまでのAqoursのステージの映像、持っていますか?」

と、確認をとる。そのダイヤはというと・・・、

「ええ、たしかにあります。たしか、私のケータイにその動画データがあります」

と答える。ダイヤはこれまでやってきたAqoursのライブの映像データを持っていた。ダイヤはこの映像データでもっていつもダンスのおさらいやライブの反省を行っていた。それはAqoursをまとめるためでありよりよいものにしていこうというダイヤのまじめさからのものだった。が、卒業してからもその動画データはダイヤは消さずに残していた。ダイヤからすればそれは自分の大切な想い出であり、それを見返すことでこれまでのことを思い出すだけではなく、明日へと頑張っていこう、という気持ちを起こさせるもの、であった。

 その動画データの存在を知った、月、

「それなら、すみませんが、その動画データ、コピーしてもいいですか?僕にくれませんか?」

と、ダイヤにお願いする。これを聞いたダイア、

「それはいいですけど、何に使うのですか?」

と月に尋ねる。すると、月、こう元気よく言った。

「それはね、ルビィちゃんの願いを叶えるために使うのですよ!!」

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