ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第6部 第11話

 その日の夜、月が借りた貸しスタジオ、そこにはAqoursメンバー9人とプロデューサー見習の月がいた。鞠莉‘sママから示されたライブの日時まで時間がない、というわけで、今夜からハードスケジュールで集中的に練習することになっていた。千歌たちにとてみれば失敗の許されないライブ、それに加えて静真の部活動報告会のライブ、Saint Snowの聖良の前でのライブ、両方とも失敗しており、千歌たち1・2年生はダンスや歌に自信をなくしている、そんな心配が月にはあった。むろん、千歌たちもそうだった。けれど、ルビィだけは違っていた。力強いなにかを持っていた。いや、ルビィだけではない、千歌、曜、そして、梨子もそのきっかけとなるものを持っていた。

 そんなちょっとした緊張のなか、練習が始まる。と、その前にルビィからなにか発表があったらしく、

「ちょっと待って!!ルビィから重要な発表があります」

と、練習に入るAqoursメンバーを引き留める。

 そして、ルビィはついに発表した・・・。

「え~、ルビィからライブの場所を発表します!!」

この瞬間、まわりはシーンとなる。誰もが真剣にルビィのほうを見る。このとき、月、

(さあ、ルビィちゃん、ここからがルビィちゃんの第2章が始まるんだよ!!ガンバ!!」

と、心の中からルビィに声援を送る。ルビィ、月からの心からの声援を受けてか、

「ライブをする場所は・・・」

という言葉のあと、緊張する自分を落ち着かせつつ勇気を振り絞り声をあげた。

「ライブをする場所、それは・・・スペイン広場です!!」

 この瞬間、まわりを見るルビィ。そこにはまんざらでもない表情をしたメンバーの姿があった。千歌、すぐに評決を採る。すると、全員手を挙げた。これによりライブ会場はスペイン広場に決定した。これには、ルビィ、

「やったー!!」

と、大きく喜んでいた。

 が、サプライズはこれだけではなかった。今度は千歌たちから発表があった。なんと・・・、

「え~と、なんだっけ?」

と、千歌がボケをかます!!これがサプライズ・・・ではなく、梨子の口から語られたのは・・・、

「今度のライブ、新曲でいきます!!」

そう、新曲でいくことになったのだ。それはこれまでの曲だったらといって安心して胡坐をかいていたらスクールアイドルに否定的な鞠莉‘sママの心を変えることは不可能、そして、フィレンツェの鞠莉の行動を見て今までの曲より新曲のほうが鞠莉、そして、千歌たちの想いを鞠莉‘sママにぶつけることができるから、だった。そして、フィレンツェでの鞠莉の行動を見ていた千歌、梨子は鞠莉の想い、みんなの想いを詩に、曲に込めて作詞作曲し、それをあわせてみたらこれまでにない、それでいて今の自分たちにあった曲ができた、とのこと。そこから昨日のルビィの決意表明、鞠莉、果南からのアドバイスを聞いて「これからのAqours」を見つけるためにさらにフラッシュアップしたとのこと。その曲の名は・・・、

 

「Hop?Stop?Nonstop!!」

 

そして、急遽梨子が作った新曲のデモテープを流すと、ルビィ曰く、「みんなが鞠莉‘sママに伝えたいこと、スクールアイドルの素晴らしさ、無限の可能性、さらに、ゼロに戻ったと思っている1・2年生に対しての言葉、それを無意識に千歌と梨子は作ってしまった・・・」といった感じにみんなはなっていた。月に至っては、

(これが千歌ちゃんと梨子ちゃんがみんなの想いを込めて作った曲!!いや、曜ちゃんもそこにははいっていた・・・。だって、今さっき、千歌ちゃん、曜ちゃん、梨子ちゃんの3人がホテルのロビーにいた!!そこにいた理由、それは、新曲をフラッシュアップしていたから!!千歌ちゃんと梨子ちゃん、自分だけの想いだけになっていないか曜ちゃんと一緒に確認していたんだね!!)

と、思ってしまう。実は月の言う通りだった。月がホテルに帰り着いてホテルのロビーにいたとき、千歌たち2年生トリオはロビーにいた。そこで3人がしていたことこそこの新曲のフラッシュアップだった。たしかに千歌と梨子は自分たちの想いを込めて作詞作曲していたのだが、もしかすると自分の想いだけになっていないか、昨日の晩の果南、鞠莉からのアドバイスを受けて、「これからの新しいAqours」とはなにか、をもとに千歌と梨子は新曲をフラッシュアップしていた。そして、さらに今度は第三者である曜と一緒に別の視点から見てみよう、そんな理由から曜を含めた3人で新曲をさらにフラッシュアップしていたのだ。こうしてできた新曲はあの月をもうならせる神曲ともいえる曲になったのだ。

これには、ヨハネ、

(これならいける!!あの悪魔(鞠莉‘sママ)に打ち勝つことができようぞ!!)

と、思えるくらい感動していた。いや、千歌たち2年生3人以外は感動しきっていた。

 と、いうわけで、千歌、

「この新曲をライブで披露したいと思いますが、賛成の人、手を挙げて!!」

と言うと全員が手を挙げた。これにより、

「それじゃ、今度のライブで披露する曲は新曲に決定!!」

と、スペイン広場での運命のライブは新曲を披露することに決定した。

 

 その後、かなりハードだが、3年生がいるためか、終始穏やかな表情で練習メニューをこなしていく。そして・・・、

「はいっ、今日はここまで!!」

というダイヤの一言で練習は終わった。全体的にみたら、

(す、すごい・・・。あのとき(内浦の砂浜海岸での練習)よりも、みんな、きびきびしている!!まるで、月とスッポン、みたい。これが本当のAqoursの真の姿、なんだ・・・)

と、月、感動しっぱなしでった。

 その後、各自解散・・・になったが、

「さぁて、僕も早くホテルに帰ってシャワーを浴びたいな~」

と、激闘の1日を過ごしてためか、はやく汗を拭きたい、そんな気分になっていた・・・、が、そんなとき、

「月さん、ちょっといいですか?」

と、月を呼ぶ声がする。これに、

「あっ、はい、いいですよ」

と、月、声がするほうに振り替えると、そこには・・・、

「あっ、ルビィちゃんにダイヤさん・・・」

と、ルビィとダイヤ、2人がいるではないか。なんで月のところに来たのかわけがわからなくなる月。

 そんな月に対し、ダイヤは口を開いた。

「月さん、ルビィがこんなに成長した姿を見せてくれたのは本当にうれしい限りです。私、感動しましたわ!!本当にありがとうございます!!」

と、月に対しまたまたお礼を言われる。さらに、

「月ちゃん、本当にありがとう。月ちゃんがいなかったら、ルビィ、ダメだったかもしれない。月ちゃんがスペイン広場の使用許諾をもらっていなかったら、ルビィ、本当に困っていたかも。月ちゃん、なにからなにもまでルビィのために動いてくれて本当にありがとう」

と、ルビィからもお礼の言葉をもらった月。このとき、月、

(え~と、これは僕のおせっかいの賜物で・・・。たしかに新生Aqoursをよみがえさせるためにもルビィちゃんを生まれ変わらせたけど、そこまでルビィちゃんが成長するなんて考えていなかったし、スペイン広場の使用許諾もいつかはしないといけないものだから、できる限りはやく取っただけだったし・・・)

と、言葉を並べてしまう。なんとも照れくさがっている月。

 が、ダイヤとルビィはそんな照れくさい表情をする月に足し、

「「本当にありがとうございました」」

と、2人そろって月にお礼をいうと、月、

「いや・・・」

と、さらに照れくさがっていた。

 それでも、ダイヤとルビィ、2人からお礼を言われたとき、月、

(でも、ダイヤさんとルビィちゃんからお礼を言われるなんて、僕、なんか嬉しい。やっぱりなにかを成し遂げることは、とても楽しい、とても嬉しい、ものだよね!!)

と、嬉しさ全開に思ってしまう。さらに、

(もしかして、鞠莉ちゃんが言っていたこと、これのことかな?)

と、鞠莉の言っていたことを思い出す。一つ一つの通過点をクリアすること、楽しむこと、それが大きな目標を成し遂げるために必要である、そう考えると、今回のこともそれを指し示しているのでは、と、月は思っていた。しかし、たった一つの通過点でしかないため、今の月にしてみれば、まだ本当にそうなのか、わからなかった。だが、もし、ルビィが今回のライブ会場発表が一つのゴールであるなら、それは鞠莉の言っていることは正しいのかもしれない。なぜなら、月がルビィにしたことはたとえショック療法だとしても弱弱しいルビィを力強いルビィに変えたことには間違いないし、それにより、小田原評定ならぬAqours評定みたいな状態に陥っていたにもかかわらずルビィは自分の責任でライブ会場を決めたのである。それは一つ一つの通過点でしかない。けれど、それを達成したときの嬉しさ、そのなかで得た楽しさはそれをしてきた人にとってかけがいのないものになるのである。そして、楽しむこと、嬉しくなることこそ一つの大きなゴールにたどり着くために必要なものかもしれない。ただ、今の月にはそのことを認識するのはちょっと先になるかもしれない。

 とはいえ、今の月からすれば、

(でも、今は小さな目標だけど、それを成し遂げたことで楽しく思える、嬉しくなっている自分を今は褒めたいと思うよ)

と、自分の頑張りを褒めていた・・・。

 

 こうして、千歌たちAqoursメンバー9人は短い間ではあったが、Aqoursとして久しぶりの・・・、いや、今の9人として最後になるであろう?練習の日々を暮らしていた。このあいだ、月はというと・・・。

「月、タオル、用意してね!!」

と、鞠莉からお願いされると、月、

「はいっ、わかりました!!」

と、9人分のタオルを用意する。普通ならメンバーが各自で用意するものなのだが、ここはイタリアであり、9人の持ち物もライブを行うなんて思っていなかったので、タオルなどの練習を行うために必要な物まで用意していなかったメンバーも多かったりした。むろん、それは別のところにも影響していた。Aqoursもそうだが、スクールアイドルがライブを行うのであればそのライブに着る衣装も別途用意するものである。が、今回のライブの場合、急遽決まったライブであったこともあり、さらに、イタリアということもあり、ライブ衣装を持ってくることなんてできなかった。さらに、短期間のあいだに仕上げて鞠莉‘sママの前でライブを行うため、ライブ衣装を作る時間もなかった。そのため、自分の私服のままでライブを行うことに決めていた。と、いうわけで、タオルの準備を含めて、雑務のほとんどをAqoursメンバー以外で自由に動ける月がやっていた。むろん、空いた時間でAqoursメンバーと一緒に月が買い物することもあったが、「できる限り練習に費やしたい」ということもあり、月が一人で動くことがほとんどだった。これには、月、

(これもプロデューサーの仕事なの?まっ、僕にとってみればAqoursのためにやっていること自体嬉しいけどね!!)

と、これもプロデューサーの仕事なのか、と思いつつ、なにか嬉しい自分がいた。でも、一応、それはプロデューサーの仕事じゃなくてマネージャーの仕事、なんですけどね・・・。

 そんな月であったが、月としてもびっくりすることがあった。それは月がルビィとダイヤからお礼を言われた、次の日に起こった。ダイヤ、ルビィからお礼を言われた日、月、その日の夜、

(今日の練習はとてもスローな感じがした。ただ、歌合せ、振付を一通りしただけ・・・。このままじゃ期日までに間に合わなくなる!!)

という思いでいっぱいだった。たしかにかなりのハード・・だったのだが、ダイヤが示した練習メニューは歌合せと振付を一通りするだけ。特に振付についてはいつも振付を考えている果南にかわり、曜が振付を考えていたこともあり、曜の指導のもと、振付を一通りやってみた。ちなみに、今回の「Hop?Step?Nonstop!!」であるが、作詞:千歌、作曲:梨子、振付:曜、と、オール2年生体制で作られていた。そのため、曜は鞠莉の一件以来、こっそりホテルの外に出ては近くの通りでストリートダンスをしている人たちに交じってダンスの研究にいそしんでいたとのこと。これについて、曜、

「これっ、みんなに知られたくないの!!」

と、みんなには内緒にしてもらったのだが、千歌曰く、

「あれっ、秘密だったの?みんな、知っているよ!!」

と、みんな(月を含めて)にはバレバレだった。

 と、いうわけで、曜の指導のもと、一通りの振付をするのだが・・・、

「え~と、ここはこうで・・・」

と、曜がひとつづつチェックしているためか、少しずつしか進まなかった。みんなの動きはきびきびしている、みんなまじめにやっている?つもりだが、どうしても合わないとおろがでてきてしまう。もちろん、新曲であるから、というのもある。けれど、Aqoursはメンバーそれぞれ個性が強すぎるため、どうしても人に個人差が生まれてくる。それでも、曜、

「それじゃ、もう一回、やってみよう!!」

と、何度も何度もトライを重ねる。これにより、振付、少しはましになった・・・というレベルにまであげることができた。そこまで仕上げるために何度も何度もトライを重ねる、普通の人からすればすぐにでも音をあげるほどのハードのものだったが、これを見ていた、月、

(僕、なんか心配になってきたよ!!このままでちゃんとしたものになるの?残された時間はあまりないんだよ!!)

という不安がでてきてしまった。

 と、いうわけで、月、

(こうなったら、生徒会長であるこの僕の力をみせてやる!!)

と、なにかを作り始めることに・・・。

 そして、次の日、練習が始まる前、

「あっ、ダイヤさん。僕、昨日のスロー調整に少し危機感を持ったので、こんなものを作ってみました!!」

と、ダイヤに月が昨日作っていたものを見せる。すると、ダイヤ、

「こ、これは・・・、ライブ前日までのスケジュール・・・」

と、月の自信作に驚いてしまう。そう、月が作っていたのはライブ前日までの予定がぎっしり詰まっていた練習のスケジュール表であった。実はライブの練習に入る前、月とダイヤはライブまでの行程表を作っていたのだが、それは悪くいうとざっくりしたものだった。だが、今回、月だけで作ったスケジュール表は「何時何分、ランニング」など、本当に予定がぎっしり詰まっていたものだった。月、この予定がぎっしり詰まったスケジュール表を作っているとき、で・・・

「たしか、僕が持ってきた本に・・・」

と、ある本を開いていた。それは「月刊スクールアイドル ラブライブ!5周年記念号」。そう、またもやあの本である。その本の中で・・・。

「え~と、たしか、μ'sさんのページに・・・」

と、μ'sのページを開く。すると、そこには・・・。

「あっ、あった!!これがμ'sさんの合宿したときのスケジュール!!」

と、μ'sが夏合宿のときにμ'sメンバーの一人である海未が作ったスケジュールが載っているページを開く。そう、海未が寝ずに考えた、あのかなりハードな合宿スケジュールであった。それを月も参考にしようとしていたのだ。が、これには問題があった。実はAqoursも夏合宿のとき、ダイアがそれを参考にして合宿メニューを組んでいたのが・・・、TVアニメを見ている方ならご存じだろう、それをAqoursみんなで実践したところ、その練習メニューをこなすことができたのは体力に自信がある果南だけだったのだ。そのことを知らない?月はその過酷ともとれる海未特製合宿メニューをもとにライブまでの練習スケジュールを組んでしまったのだ。

 そんなこともあり、ダイヤ、月が組んだ練習スケジュールを見るなり、

(あっ、この練習スケジュール、私と同じく、μ'sの合宿メニューを参考にしてますわね!!)

と気づいてしまい、

「ブ、ブー、ですわ!!即却下ですわ!!」

と、月の練習スケジュールを完全拒否!!してしまう。これには、月、

「えっ、なんで~!!」

と、嘆いてしまう。月、このとき、

(えっ、昨日、必死で作った練習スケジュール、ダイヤさんに即却下された・・・)

とがっかりしてしまう。これには、ダイヤ、

(あっ、ついうっかり・・・)

と、ちょっとやっちゃった感をだしてしまう。

 そのためか、ダイヤ、月に対し、一言。

「月さん、これだと私たちはライブ前に倒れてしまいますわ」

と、月にアドバイス。これには、月、

「えっ、でも、これほどハードにしないと鞠莉‘sママさんに鞠莉ちゃんのこと、認めてもらないかと・・・」

と、心配事をダイヤに言うと、ダイヤ、

「たしかに月さんが心配していることはもっともですが・・・」

と、月の心配していることを認めつつも、

「それでも、こんなにハードなのはダメ、ですよ」

と、月に対して怒る。ちなみに、月が作った練習スケジュールであるが、

「10:00~11:00 5kmランニング」「11:00~12:30 歌の練習」

「13:00~14:00 ダンス練習」「14:00~15:00 プールで2km遠泳」

と、本当に時間単位でぎっしりと練習スケジュールを組んでいたのである。これだと、夏合宿のときのダイヤの二の舞、ともいえた。その経験があるダイヤからこそ、月の考えた予定ぎっしりの練習スケジュールにNoを月に突きつけた、のも納得である。

 このダイヤのNoに、月、

(う~、なんでダメなの・・・)

と、少しうなだれてしまうものの、ダイヤ、すぐに、

「たしかに月さんの考えたスケジュールはしっかりしてます。ほぼ100点満点のものです。さすがに静真の生徒会長を務めていることはあります」

と、珍しく月のことを褒める。これには、月、

「えへへ」

と笑う。

 しかし、ダイヤは月に対して、

「ですが、このスケジュールには一つだけ欠点があります」

と言うと、月、

「えっ、その欠点とは・・・」

と、ダイヤにそれについて聞いてみると、ダイヤ、月にダメ出しをする。

「それは、Aqoursの実情に合っていない、ということですわ!!」

 このダイヤの発言のあと、ダイヤ、月の組んだ練習スケジュールに手直しを始める。

「え~と、これを消して、ここを消して・・・」

手際のよいダイヤ、月の練習スケジュールに書かれた文字をどんどん消していく。これには、月、

(ああ、どんどん消していったら練習の意味がなくなってしまうよ~)

と、心配そうになってしまう。月の練習スケジュールはぎっしりしたものだったが、それがどんどん削られていくのだ。月としては、失敗の許されないライブ、ということもあり、とてもハードでぎっしりしたものではなくては絶対にライブは失敗する、そう思ってこの練習スケジュールを組んだのだが、それをダイヤは次々と消していった。

 そんな月の心配をよそに、ダイヤはというと・・・。

「よしっ、これでいいですわ!!」

と、月にダイヤが修正した練習スケジュールを見せる。すると、月、

「ダイヤさん、これでいいのですか?」

と、ダイヤに逆に尋ねてしまう。月が心配するのももっともだった。だって、ダイヤが修正した練習スケジュールはというと・・・。

「10:00~10:30 1.5kmランニング」「10:45~12:30 歌の練習兼打合せ」

「13:00~18:00 ダンス練習」

と、なんともおおざっぱなもの、だったからだった。これには、ダイヤ、

「うっ、月さん、私になにかを疑っているみたいですね・・・」

と、月の目つきに対してちょっと不安を感じつつも、月に対して一言。

「このスケジュールがAqoursにとって一番、なのですわ、月さん!!」

 が、月、

(本当にそうかな・・・)

と、ダイヤに対しいまだに疑いを持ってしまう。これには、ダイヤ、

(こりゃ、仕方がないですね・・・)

と、ちょっと月に対してあることをしようと思うと、すぐに、

「月さん、それだったら、今日一日、私が書き直したスケジュールでやってみましょう」

と、月に提案する。これには、月、

(あっ、ダイヤさん、自分の作ったスケジュールでうまく機能するか試そうとしている)

と、考えると、

「はい、わかりました、ダイヤさん。今日はこのスケジュールでやってみましょう」

と、ダイヤの提案に同意した。

 その後、ダイヤが修正したスケジュール表通りに練習が始まった。

「うへ~、久しぶりのランニング、とてもつらかったよ~」

と、ヨハネ、1.5kmもランニングを終えて疲れてたのか、弱気を見せることも。このヨハネの姿に、梨子、

「まだ始まったばかりでしょ、善子ちゃん!!」

と、ヨハネに言うと、ヨハネ、

「疲れるときは疲れるの、堕天使リリー!!それに、善子じゃなくて、ヨハネ!!」

と、堕天使リリー・・・、

「リリーって言うの、禁止!!」

と、梨子からの激しいツッコミを受けつつも自分の気持ちを正直に話すヨハネであった。

 このランニングのあと、少し休んでから千歌たちAqoursメンバーは歌合せ兼打合せをすることに。

♪~

と、スタジオ内にAqoursのとても華麗な歌声が鳴り響く。これには、月、

(うわ~、とてもいいよ!!これなら大丈夫だね!!)

と、少し安心する。それほど昨日初めて歌ったとは思えないものだった。が、突然、

「千歌ちゃん、ちょっといいかな?」

と、ルビィが練習を中断させると、ルビィ、千歌に対し、

「ねっ、ここの部分だけど、歌詞をこう変えたらいいんじゃないかな?」

と、千歌に提案する。これには、月、

(えっ、これまでのものでよかったのに、なんで歌詞を変えるの、ルビィちゃん!!)

と、ルビィの提案にびっくりするも、千歌、

「う~ん、どれどれ。あっ、確かにそっちがいいかも!!こっちのほうが千歌たちの想いをストレートにぶつけることができるかも!!」

と言ってはルビィの言う通り歌詞を変えてしまった。これには、月、

(えっ、え~!!)

と、驚くしかなかった。このルビィの行動でこれまでの練習が水の泡になってしまった、そんな気がしたからだった。これまで練習してきたのに、ちゃんとしたものになっていたのに、それを自らの手で壊してしまったのだ。これには月としてもびっくりしてしまった。が、このあと、そのルビィの提案により歌詞を変えたこともあり、この変更部分についてどう歌うかAqoursメンバーみんなで話し合うことになり、それがもとで、このあと、まとまった歌の練習ができなかった。

 さらに、それはダンス練習についても同じことが起こってしまう。

「1,2,3,4、2,2,3,4」

と、果南・・・ではなく、曜が音頭をとってダンス練習をすると、

「曜、ちょっと待って!!」

と、今度はヨハネが曜を止める。すると、ヨハネ、すぐに、

「ここはこうしてこうしてみたらどうかしら?」

と、自分で考えた振付を曜にみせる。すると、曜、

「う~ん、それはどうかな?」

と、少し考えると、すぐに、

「却下!!」

と、ヨハネの提案をはねのけた。これには、ヨハネ、

「えっ、ダメなの!!」

と言ってはしょんぼりとしてしまう。

 この一連のやりとりを見ていた月、

(あっ、いつものヨハネちゃんだ・・・)

と、ほのぼのになるも、すぐに、

(あっ、しまった!!あまりにほのぼのすぎて忘れていたけど、これが続くと・・・)

と、あることを心配しだす。

 が、その月の心配事がついに的中してしまう。なんと、ヨハネだけでなく、

「あっ、曜、私からも提案があるのだけど・・・」

と、今度は果南からも提案が・・・。これには、曜、

「あっ、果南ちゃん、なんかなぁ~?」

と、果南の提案を聞くと、すぐにみんなで果南が提案したものをやってみる。すると、

「うん、いいかも」

と、みんな納得・・・なのだが・・・、突然、ダイヤから、

「でも、それだと、ここからの流れが・・・」

と、果南が提案して修正した部分とその前後の部分の流れにもたつきが発生することを指摘される。これには、曜、

「う~ん、そうだったら・・・」

と、少し考えてはそのつなぎ部分を修正する。が、これにも、鞠莉、

「あっ、曜、このままだとそれがあまりにもベリーグッドすぎて、ほかの部分がベリーバッドになりま~す!!」

と、曜に指摘する。これにも、曜、

「それなら、どうすればいいと思う、みんな?」

と、ほかのメンバーにも意見を聞いてみる。

 といった具合にに、最後の最後まで振付のほとんどを修正することになってしまい、この日のうちに一曲通してのダンス練習ができなかった。これには、月、

(う~、今日、まともな練習ができなかったよ~!!これで間に合うの~!!)

と、本当にライブ当日に間に合うのか心配になるも、とのダイヤは、

「ちゃんとなりますよ!!」

と、ほかのメンバーに絶対的な信頼を持っていた。

 が、このダイヤの言葉は、その翌日、Aqoursメンバーを通じて真実となる。ランニングのあと、歌の練習に入るのだが、Aqoursメンバー全員で、

♪~

と、歌ってみると、月、

(あれっ、昨日よりもうまくなっている。いや、それ以上に曜ちゃんたちが言いたいことがストレートに聞こえてくる!!)

と驚いてしまう。その歌の練習も、なにもなかったのごとく、いや、今までのなかで月としては最高ともいえる、それでいて、自分たちの気持ちをよりストレートに伝えている、そんな感じがしていた。

 また、このあとのダンスについても、

「えっ!!」

と、月はびっくりする。昨日話し合って変えた部分がしっかりとダンスとして表現できていたのだ。いや、それ以上に、

(なんか、一昨日、曜ちゃんが考えてた振付よりもダイナミックに、それでいてそれ以上の出来になっている・・・)

と、驚いてしまった。曜の考えた振付よりもダイナミックに、そして、月の心をも動かすぐらいのダンスへと変貌を遂げていたのだった。が、それを終えても、千歌たちAqoursメンバーはというと・・・、

「曜ちゃん、ここはもっとこうして、ガバーっと・・・」

と、千歌が曜に提案するくらい、まだほかの部分を修正しようとしている。このAqoursメンバーの姿を見た月、

(たとえ完璧だと思えたものであっても胡坐をかくことなくよりいいものにしようとしている。まるで、果てしないハングリー精神・・・)

と、ただただ感心するしかなかった。

 そんな月に対し、

「どうですか、月さん。私が言ったこと、わかったかしら」

と、ダイヤが声をかけてくる。これには、月、

「あっ、ダイヤさん、なんか、Aqoursの真の姿、をみた気がします・・・」

と、自分の気持ちを正直に話すと、ダイヤ、すぐにこう言った。

「たしかに、月さんの気持ち、私にもわかります。でも、それは、私たちAqours、だけではありませんわ」

 そして、あることをダイヤは月に話す。

「これは私が聞いた話であります。80年代から90年代にかけて大活躍したテクノPOP系アーティストグループがいました。そのグループはTKと呼ばれるプロデューサーのもとで大人気になりました。代表作としては、80年代後半に大人気になった、新宿のヒットマンを描いたアニメのOP曲、があります」

これを聞いた月、

(もしかして、あの男3人組グループだね)

と、ダイヤが言っているグループについて思い出す。ちょうど両親がその世代だったりするので、話として聞いたことがあるのだ。

 そのグループについて、ダイヤはある事実を月に言った。

「そのグループですが、同じツアーであっても、ある曲については会場によって全く違うアレンジを変えていた、という話があります」

これを聞いた、月、

(えっ、同じ曲でも会場によってまったく別のアレンジになってしまうの!!)

と、驚いてしまう。たしかに同じツアーなのに同じ曲が会場ごとにまったく違うアレンジになるなんて聞いたことがなかった。

 が、それについて、ダイヤは自分の考えを述べる。

「たしかに会場ごとに違うアレンジなんて本当に大変だと思います。けれど、私が思うに、そのアレンジを担当していたTKというプロデューサーさんはその曲をそのままにしようとせずに、ずっといいものを、ずっとすごいものに作り替えようとしているのではないかと思って会場ごとにアレンジを変えていったと考えています」

 これを聞いた月、

(そ、そんなにすごいグループだったんだ・・・)

と、またまた驚いてしまう。

 が、本当はそのグループのことではなく・・・、

「で、月さん、私たちAqoursもそのグループと同じです。たとえ同じものであっても、よりいいものへと変えていく、それがAqoursがスクールアイドルの頂点、ラブライブ!に優勝できた要因、ともいえるでしょう」

と、ダイヤは月にAqoursの本当のすごさを伝える。これには、月、

(えっ、そんなすごいグループとAqoursが同じ・・・なんて・・・。た、たしかに、ひとつのことだけに満足せずに変えていくなんて、す、すごい・・・)

と、Aqoursの真の姿に絶句してしまった。1つのことだけに満足せず、よりいいものへと進化していく、それこそAqoursというもののすごさ、と実感した月であった。

 あっ、ちなみに、ダイヤ、このあと、月に対してこんなことも言いました。

「あと、ぎっしりとした練習スケジュールを削った理由ですけど・・・、あんなにぎっしりしていたら、いくら私たちであっても倒れてしまいます。それに、みんなの意見を出すための時間も余裕をもって作らないと、と思って・・・。だから、私はぎっしりとした練習スケジュールを削ったのです。たとえ、みんながさぼるから・・・じゃなくて、いろいろと脱線しまくるから、であって・・・じゃありませんからね!!」

これには、月、

(ダイヤさん、本音がただ漏れですよ・・・)

と、ダイヤのこともフォローしきれなかった・・・。

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