ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第6部 第12話

 さて、このように、月にとってAqoursの知らない部分を垣間見れるごとに驚きの連続であったが、スケジュールのこと以外にも月がこれはと思うものもあった。それは、ヨハネ、花丸のことだった。月によって覚醒したルビィにダイヤたち3年生がいなくてもゼロに戻るわけではないことを諭されたヨハネと花丸。しかし、このときのルビィが一方的に、まるで機関車のごとく話したもんだから、十分納得いく・・・どころか、いまいちわかっていない・・・、悪く言えば、ルビィの言うことを100%理解できていないし、「あっ、ルビィが何か言っている、たしか、なにか心に残っているって言っていたな」という認識だった、ヨハネと花丸にとってみれば。そのため、どちらかというと、ルビィや千歌たち2年生と違い、いまだに静真でのライブの失敗・・・、不安・心配の深き海・沼の底でもがき苦しんでいた。

 そんななか、

「え~と、ここはこうで・・・」

と、ヨハネがステップがうまくいかずに困っているとき、

「善子、ここはクルっとターンしてストップだよ!!」

と、突然、鞠莉がヨハネにステップを教えにきたのである。どうやら、鞠莉、ステップで悩んでいるヨハネを見かねて、たまらず横から口を出してきたみたいだった。ヨハネは鞠莉にお礼を言うと鞠莉の教えた通りにステップを踏んでみると今度はできた。これには驚くヨハネ。しかし、そこには笑顔のヨハネはいなかった。暗い表情のままだった。

 すると、鞠莉は意外な行動にでる。なんと、自分の手をヨハネの顔にあて無理やり笑顔にする。鞠莉の手をどかそうとするヨハネ。しかし、鞠莉はそのヨハネに対し本音を言う。

「たしかに、このライブが終われば鞠莉たちはグッバイで~す!!でも、すべてがすべてグッバイじゃないので~す!!善子、そして、みんなの心の中には鞠莉たちと一緒に築き上げた大切なものがいっぱい残っているので~す!!それを忘れないでください!!」

この言葉を聞いたヨハネ、その表情は暗いものからじょじょではあるが明るい表情へと変わっていく。

 そして、ヨハネ、もう一度ステップを踏んでみる。すると、これまで以上にキレのいい、完璧なものへと昇華していったのだった。

 と、ここまではヨハネと鞠莉の視点だったのだが、実は、このヨハネと鞠莉の一連の流れを直に見ていた少女がいた。それは月だった。ちょうどこのとき、Aqoursメンバーのみんなにドリンクの差し入れをしに2人の前を通り過ぎようとしていたのだ。で、ヨハネがステップについて悩んでいるとき、

(あっ、善子ちゃん、ステップのことで悩んでいる!!自分がなんとかしたいよ~!!でも、僕にはそれについて相談されてもどうすることもできないよ~!!)

と、悩んでしまっていた。のだが、突然、ヨハネの近くにいた鞠莉がそのヨハネに近づいてアドバイスを送る。そして、先ほどの「大切なものがいっぱい残っているので~す」というヨハネに向けた精一杯の鞠莉のアドバイスを聞いた月、

(あっ、鞠莉ちゃん、善子ちゃんにステップが踏めない、いや、不調の原因がなにかわかっているみたいだね。3年生がいないことによるライブの失敗、3年生がいなくなることでなんもかもがなくなった、ゼロに戻った、そう思っていること自体が善子ちゃんの不調の原因。だから、鞠莉ちゃん、みんなで築いたものすべて心の中に残っていることを善子ちゃんに教えてあげたんだね。これで善子ちゃんもなんとかなるかな?)

と、ついて考えてしまっていた。

 

一方、花丸も3年生からのアドバイスで立ち直ろうとしていた。花丸はダンスにおいてみんなと比べてワンテンポ遅れてしまうことに悩んでいた。それに立ち上がったのが果南だった。休憩中、果南、

「花丸ちゃん、なにか悩んでいるのかな?」

と、花丸に近づき、花丸の悩み事を聞くことに。

「ダンスのとき、みんなとワンテンポ遅れてしまうずら~」

これに果南は、「なぜ?」と逆に花丸に聞くと「体力がない」とのこと。しかし、「これまでのライブはずっと合っていた。それなのに今回だけはなぜ?」と果南が逆に花丸に聞く。これには、花丸、「これまではみんあんが合わせてくれた。でも、今回は合わない、体力がないから」と言い訳を言いだす。

 そんなとき、果南はそんな花丸にあるアドバイスを送る。

「花丸ちゃん、そんなに自分のことを卑屈に考えないほうがいいよ!!」

 そして、「体力がなければそれに合わせればいい。花丸の頑張り、みんなの頑張り、みんなのキズナがあったため、1つにまとまり、ライブは成功してきた」ことを言うと、「卑屈に考えず、花丸が合わなければみんなが合わせてくれる。花丸の頑張りがみんなの頑張りを盛り上げる」というアドバイスを送った。

 だが、「それは3年生がいたから合わせることができた。3年生がいなくなったら合わせることができない」と花丸が弱気の発言を言いだすと、果南、さらなるアドバイスを花丸に送る。

「たとえ私たち3年生がいなくなっても残るものがあるんだ。それはね、私たちと一緒にやってきたこと!!その経験、想い出、私たちの想い、そして、キズナ!!それが心の中でずっと残っていればきっと大丈夫だよ!!」

 そして、果南は花丸にハグをすると花丸のなかにあった不安・心配が消えたかのように花丸の表情も徐々に明るいものへと変化していった。その後、休憩は終了し全体のダンス練習に戻ると、

(あれっ、みんなとテンポが合っているずら~)

と、花丸が思うくらい花丸とみんなのテンポが合うようになった。

 で、このときももちろんそばに月がいた。このときの月は冷えたタオルをAqoursメンバーに渡そうとしていたのだが、たまたま次に花丸にそのタオルを渡そうとしていたのだが、なにかに悩んでいる花丸を見て、

(あっ、花丸ちゃん、まだ不安・心配の海・沼から抜け出せていないんだね)

と思うも、近くにいた果南がその花丸のそばに行き、なにやらいろいろと相談しているみたいだった。これには、月、

(あっ、果南ちゃん、花丸ちゃんにアドバイスしている!!この前は鞠莉ちゃんが善子ちゃんにアドバイスしていたね。やっぱり3年生は1年生にとってとてもいい先輩なんだね~)

と、しみじみになっていると、花丸の表情がヨハネと同じように明るくなっていくことに気づく。これについても、月、

(あっ、花丸ちゃんから不安・心配のオーラが徐々に消えていく!!これでもう花丸ちゃんも大丈夫だね!!)

と、安心した気持ちになっていった。

 こうして、ヨハネ、花丸、ともに、不安・心配という深き海・沼から脱する機会を、鞠莉、果南から与えられたのだが、これを通じて月はある想いに達しようとしていた。

((Saint Snowの)聖良さんは3年生と会って話し合うことで新しいAqoursがなにかを指し示すだろうと言っていた。そして、曜ちゃんたちは鞠莉ちゃんたち3年生とイタリアで再び会うことができた。そのなかで、曜ちゃんたちAqours1・2年生6人はみんな、とても大事なこと、想い出、想い、キズナが自分たちの心の中に残ること、ゼロには戻らないことに気づいた。(ルビィちゃんだけ自分でやったんだけどね!!これでもう曜ちゃんたち新生Aqoursについては心配いらないね。よかったよかった~)

 このように、新生Aqoursについてはようやく安堵できる状態にすることができた(ただし、ルビィ以外は脱するきっかけを得ただけだけどね・・・)

 そんななか、月にもそれ以外とは別のある想いが芽生えようとしていた。

(でも、みんな(Aqours)のお世話をしているうちにこのプロデューサーという仕事も楽しく感じられるようになってきたね。僕、それって自分の知らないところを知ってなんか驚き、だな)

そう、月の中で芽生えたもの、それは、プロデューサーとしての仕事の楽しさだった。これまで月自身は静真の生徒たちのために生徒会長として人のためにやってきたのだ。が、それは生徒会長としての使命だから、という義務感からやってきたことが大半だった。それが、ダイヤたち3年生3人の言いつけだから、というのもあるが、Aqoursのプロデューサー見習としてAqoursメンバーのお世話から会場の手配などを自分でやってきたのである(もちろん3年生の助けもあるが)。そのなかでこれまで知らなかったAqoursの内面のいろんなところを知る楽しさ、人のために役に立とうとする自分、それ自体を楽しんでいる、そんな自分の姿に月自身驚いていた。しかし、その楽しさこそ沼田の問いの答えに通じているのか、これについてはこのときの月には知るよしもなかった。

 

 こうして、

♪~

と、曲が終わると、

「うん、完璧!!これにて練習は終わり!!」

という千歌の言葉とともに短くともとても充実した練習の日々は終わろうとしていた。あとは明日のスペイン広場での最終リハーサル、そして、本番を残すのみとなった。

 このとき、千歌、

(私、思った、これが鞠莉ちゃんたち(3年生)とできる最後の練習になるかもしれない。けれど、今までのなかで最高の練習だった!!だって、練習していくうちにこう感じちゃったから、これまでのAqours、いや、それ以上のAqoursになっていくって・・・)

と、心の底から感じていた。いや、千歌以外の全員、Aqoursメンバー9人全員が千歌の想いと一緒だった。

 が、それはAqoursメンバー9人だけではなかった。それは月にもいえることだった。月、最後の練習を終えたとき、こう思っていた。

(僕、この練習を見ていくうちにこう感じちゃった、練習をしていくうちにAqoursはどんどん成長しているんだって!!たとえ、ラブライブ!優勝という頂点にたったとしても、胡坐を組んだりしない、さらなる高みへと昇ろうとしている。だからこそ言える、Aqoursはまだ頂点に立っていない、いや、頂点なんてないんだ!!Aqoursはずっとチャレンジャー、なんだから!!)

この思いを受けてか、月はこう考えてしまう。

(でも、その場面に付き合えるなんて、僕、なんか嬉しい!!成長していくAqoursの姿を見ていると僕まで楽しくなっちゃう!!これこそ、仕事冥利につきる、ね!!)

 そんな思いにふける月、であったが、突然あることを月は思いついてしまう。

(あっ、そうだ!!このライブの様子を(Saint Snowなど)限られた人だけに中継するなんてもったいない!!世界中に生配信しちゃお!!)

実は月、明日スペイン広場で行われるAqoursのライブをSaint Snowなど限られた人たちに中継するため、Aqoursの練習が終わってからもビデオカメラの撮り方について1人で勉強していたのだ。たとえば・・・、練習2日目の夜・・・。

「う~ん、こうして、ああして・・・」

と、鞠莉から託されたビデオカメラを持ってある本を読みながらどう撮影すればいいか考えていた。で、その参考にしている本とは、「スマホで撮れる・・・かっこいいスクールアイドルの撮り方」・・・、そう、あの月がスクールアイドル関連の本を探して本屋に行ったとき、月が手に取っていたあの本である。実は、このとき、月はほかのスクールアイドルの本と一緒に買っていたのである。それは、あのとき、

(もし、僕が持っているハイスペックなスマホで曜ちゃんたちAqoursを撮ったらとてもすごいPVが撮れる、そんな気がする・・・)

と、一瞬考えてしまった、そのことを忘れることができずにあとで買った本だった。月、それとそのとき一緒に手に取った「スクールアイドルの裏方」という本とともに暇なときにビデオカメラの撮り方や裏方の仕事について勉強していたのであった。でも、月、あのAqoursの世話をしつつも夜も裏方の勉強をしているものだから、かなりきつい・・・と思いがちだが・・・、とうの月はいうと・・・、

(うへへ、へへへへへ)

と、少し浮かべ笑いをしていた。なぜなら、

(自分の撮った映像が世界中に配信される・・・、これって仕事冥利に尽きる!!それに、それだけ考えただけで本当に楽しい!!)

と、自分が撮った映像が世界中に生配信されることへの嬉しさのほうが強かった・・・。

 と、いうわけで、月が勝手にスペイン広場でのライブを世界中に生配信することを決めたのだが、

「あっ、あの子たちにも伝えちゃおう!!」

と、月、突然言い出すと、そのままあるところに電話をかけ始めた。

「あっ、ナギ、突然だけど・・・」

 一方、そのころ、日本の沼津・・・。このとき、日本は早朝だった。イタリアのローマにいる月の電話を受け取る少女が一人・・・。

「あっ、わかりました、月生徒会長!!こちらについては私の方でみんなに広めますね!!」

と言うと、電話口から、

「じゃ、お願いね、ナギ生徒会長代理!!」

という言葉とともに電話が切れてしまった。

 この電話のあと、その少女はあることを言いだす。

「さて、私たちも動きますか!!もうあの子たちもいろんな準備をしているはずですからね!!この私、ナギ生徒会長代理、以下正解役員一同、ついに動きます!!」

この少女の名はナギ。あの月生徒会長率いる静真高校生徒会のナンバー2、副会長を務めている少女である。で、今は月がここ沼津にはいないので、生徒会長代理として静真高校生徒会を率いている。とはいえ、あの静真高校の部活動報告会で千歌たち新生Aqoursのライブが失敗に終わったことにより、静真本校と浦の星分校の統合問題については木松悪斗率いる分校方式継続派の力が強くなり、統合推進派である生徒会の力は陰りをみせていた。それでも、ナギたち生徒会はその継続派の進行を抑えつつも反撃の機会を待っていたのである。そして、ついにナギたち生徒会が動こうとしていた。

 

 そんなナギたち静真高校生徒会に対し、沼津の別の場所ではあるトリオがあることで困っていた。

「むつ~、このままだとライブのスタッフ、絶対に足りなくなるよ~」

と、よしみがむつに向かって嘆いていた。そう、そのトリオこそ千歌たちAqoursを陰から支える浦の星の生徒、むつ、いつき、よしみ、通称よいつむトリオである。どうやらなにかをするためのスタッフが足りないことに嘆いていた。さらに、むつとよしみの隣にいたいつきからも、

「私もダメだった・・・」

と、こちらも嘆きの声をあげていた。これには、むつ、

「ナギたちはもうライブの下準備が終わって今さっきメールで知らせてきたけど、このライブのスタッフが集まらない限りライブをしたとしても失敗に終わっちゃうよ・・・」

と、こちらも嘆いていた。このとき、むつはあるものを持っていた。それは、浦の星の生徒たちの名簿。その名簿に載っている名前の横には「×」がずらっと並んでいた。どうやら、よいつむトリオ、浦の星の生徒たちを集めてなにかをしようとしていたみたいだった。だが、むつのなにかに嘆いている表情が察するに、それに参加しようとしている浦の星の生徒はそこまで多くなかった。多くて全生徒の半分・・・といった感じだった。

 が、そんなときだった。

「You Gut mail!!」

という音が突然鳴り響く。それに気づいたむつ。どうやらむつのスマホからの音だった。そのスマホの画面をむつが見るなり、これまで暗い表情だったのが明るい表情へと変わる。さらに、それがきっかけになったのか、いつき、よしみも明るい表情になる。そのなか、むつはあることを言いだす。

「千歌たちが・・・Aqoursが・・・復活したよ!!」

 この言葉のあと、よいつむトリオは明日の夜、千歌たちAqours9人がスペイン広場でライブをする、その日の夜に決行することを決めた、浦の星の生徒たちに向けたあることを・・・。それは、(静真において)浦の星の生徒の立場が不利になっている、それを打破する、そのためのステージを作るための布石、浦の星の生徒全員の力を結集しないとできない、そのステージを浦の星の生徒全員で築くための布石、だった。よいつむトリオ、その布石を打つことを決めるととすぐにその準備にはいった。 

 

 こんな風に、ナギたち静真高校生徒会、よいつむトリオら浦の星の生徒たち、そのふたつが別々に動き始めた。それはそのままみたらまったく異なったものだと感じるかもしれない。しかし、これだけは言えた、むつたち、よいつむトリオ、ある共通の目的のために動いていることを、ナギ、むつ、(2人そろって)いわく、「「新生Aqours、そのお披露目ライブ」を・・・」

 

 

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