ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第6部 第13話

 そして、次の日・・・、ついに運命の日、スペイン広場で、鞠莉、そして、Aqours、さらにはスクールアイドルの未来を賭けた運命のライブの日がやってきた。今日のスペイン広場はAqoursが1日中レンタルすることになっていた。それは月の計らいでスクールアイドルAqoursに一目ぼれしたローマ市長の粋な計らいとなっていた。とはいえ、1日中レンタルしているのでその分のレンタル料を払う・・・必要はなかった。なぜなら、ローマ市長の鶴の一声でレンタル料は無料・・・というよりもローマ市のプロモーション活動の一環とし取り扱われていたため、スペイン広場のレンタル料が必要なかったのだ。しかし、それでは小原家の名が廃る・・・というわけで、鞠莉が持っていたお金全部をローマ市への寄付というかたちで渡してしまった・・・。これで鞠莉は一文無し・・・というよりも、このライブこそ背水の陣で臨みたい・・・そんな鞠莉の決意を指し示すものとなっていた。

 

「1,2,3,4、2,2,3,4」

曜の掛け声ととともに最終リハーサルは進む。

「はい、千歌ちゃん、あともう少しはやく動いて!!」

と、曜の声が響く。これには、千歌、

「うん、わかった!!」

と、すぐに修正。ライブを行うのは午後、というわけで、午前中は最終リハーサルに徹しているAqoursメンバー。短期間とはいえとても充実した練習の日々、そのなかで、あのライブの失敗をきっかけに不安・心配の深き海・沼から脱するきっかけを掴んだ、千歌、曜、梨子、ルビィ、花丸、ヨハネ、この6人を導いた、ダイヤ、果南、鞠莉、9人それぞれの想いを胸に練習した結果、完璧ともいえる、いや、それ以上のものになっていた。Aqoursメンバー9人、そして、それをプロデューサー見習として9人のそばで見ていた月はそう思っていた。しかし、それは貸しスタジオでの練習においての話。スペイン広場の石階段は階段状になっており、本番はそこをステージに見立てて曲を披露することになっていた。貸しスタジオでもスペイン広場の石階段に見立てた踏み台を用意して練習していたが、本番の舞台となるスペイン広場の石階段と練習の踏み台では感覚が違ったりする。さらに、これはずべての未来を決める運命のライブである。そのため、リハーサルも入念に行われた。

 だが、リハーサル中にも関わらず、Aqoursメンバーはというと・・・。

「ごめんずら、ルビィちゃん。もっと近くに来てもらいたいずら」

と、花丸がルビィに言うと、ルビィも、

「うん、わかった!!」

と、笑顔で対応する。そう、Aqoursメンバー全員笑顔でリハーサルに臨んでいたのである。すべての未来を決める運命のライブ。たとえリハーサルであっても普通なら緊張して笑顔になるはずがない。もっとまじめともいえる表情をしているはずである。が、Aqoursメンバー全員笑顔をみせているんだ。これには、石階段の下でビデオカメラの最終点検をしていた月からすれば、

(みんな笑っている・・・。僕からすれば失敗が許されないライブだからとても緊張してる・・・はずなのに、全然その素振りがない・・・、むしろ、本当に大丈夫か心配になる・・・)

と、逆にライブに失敗するのではないかと思ってしまった。

 が、このときのAqoursメンバーはというと・・・、

(千歌のまわりには、鞠莉ちゃん、ダイヤちゃん、果南ちゃんがいる!!みんないる!!だから大丈夫!!)(千歌)

(私の考えたダンスをみんなで踊る!!これって今までの私にとって経験したことがないことだよ!!よ~し、全力前進、ヨ~ソロ~!!)(曜)

(私の全力を込めて作った曲!!もうこれで鞠莉ちゃんたち3人と歌うのは最後・・・。でも、寂しくない!!だって、またどこかで歌うことになるかもしれない、そう思えてくるから!!)(梨子)

と、自分たちを鼓舞する千歌たち2年生、

(月ちゃん、ルビィをここまで成長してくれてありがとう。そして、お姉ちゃん、一緒に踊るのは最後になるかもしれないけど、悔いが残らないように、ガンバルビィ、するからね!!)(ルビィ)

(果南ちゃん、元気をくれてありがとうずら。果南ちゃんの想い、受け取ったと思っているずら。さぁ、がんばるずら!!)(花丸)

(ここスペイン広場にはヨハネが活動できるくらいの魔力が満ちているぞ!!さらに、マリーというリトルデーモンもいるぞ!!リトルデーモンマリーよ、見ておいてくれぞ、このヨハネの真の力を!!)(ヨハネ)

と、これで最後のセッションになるであろうダイヤたち3年生に対して頑張ることを誓うルビィたち1年生、そして、

(さぁ、これで最後だね!!私たちAqoursの集大成、ここでみせてあげようね!!だから、鞠莉‘sママ、瞬きしないで見ていたね!!)(果南)

(ルビィと一緒にいられるのも今日が最後、そして、私たち3年生にとってこれがAqoursという列車の終着駅、ですね。だからこそ、悔いが残らないよう、鞠莉‘sママさんの野望すら打ち砕く、そんなライブ、このダイヤがみせてあげますわ!!)(ダイア)

(ママ、私の意思、ここでみせてあげま~す!!「スクールアイドルはくだらない」、ノンノンで~す!!マリーたちの力でもって、スクールアイドルの素晴らしさ、マリーたちがやってきたことが無駄じゃなかった、むしろ、グローアップ(成長)したことをしらしめてあげま~す!!)(鞠莉)

と、このライブをジャッジする鞠莉‘sママに向けた想いを胸に秘めていえる鞠莉たち3年生、と、9人それぞれ、だけど、目指すものはただ1つ、そんな強い想いを胸に秘めていた。

 このようにとても自信に満ちたAqoursメンバーとそこからみせる笑顔で逆に心配になる月、あまりに正反対な思いをもったまま、

「はい、リハーサル、終了!!あとは本番を残すのみだよ!!」

というプロデューサー見習の月の一声で最終リハーサルは終了した。このとき、月、

(リハーサル中は終始笑顔のままだった・・・。でも、本番は大丈夫なのかな?僕、このまま本番に突入したらその笑顔が崩れるかもしれない・・・、いや、失敗できないという緊張のあまり笑顔すらできない・・・、そんな気がする・・・)

と、千歌たちAqoursメンバーのことを心配していた。何度もいうが、これから行われるライブは、鞠莉、Aqours、スクールアイドル、すべての未来を賭けた、失敗が許されないライブ、その重圧のなかで笑顔でいられるはずがない、そう月は思っていた。その心配がゆえか、月は食事すらのどを通らないほどAqoursメンバーに変わって緊張してしまっていた・・・。

 

 そして、昼食中、突然、千歌、

「あっ、ごめん、ちょっとお花摘み・・・」

と、みんなに言い残してスペイン広場近くにあるカフェのトイレのところまで向かった。千歌、そこで、

「さてさて、私は私でやることをしないとね・・・」

と言うと、自分のスマホを取り出しあるところにメールを送る。

「え~と、聖良さん、聖良さんと・・・。どう打とうかな?あっ、そうだ!!え~と、「このあと、イタリアローマのスペイン広場でライブを行います。この前の失敗はないと思います。イタリアでの旅行、ダイヤちゃんたち3年生3人との再会、それを通じてわかったこと、それをこのライブでぶつけたいと思います。絶対に見てください」っと」

 

 その日の夜、日本函館は夜の真っただ中、お風呂上がりの聖良、突然、自分のスマホから、

プルル

という呼び出し音が聞こえてくると、

「あれっ、だれかしら?」

と、自分のスマホ画面を見るとそこに表示されたのは千歌からのメール。そう、先ほど、千歌が入力した内容が表示されたメールだった。これをみた聖良、

「あっ、今から千歌さんたちのライブが始まるのですね!!こうしてはいられません!!すぐに理亜に見せないと・・・」

と、言ってはそのまま理亜のいる部屋へと行く。

 が、このとき、理亜の身になにかが起きていた。それは理亜にとって最悪ともいえる自体が起きていたのだ。その事態とは・・・。それは近いうちに話すことになるだろう。

 

 昼食後、いろんな準備をしつつついに本番を迎えることになった。

(本番、大丈夫かな~?)

と、本当にライブが成功するか心配になる月、その横では・・・、

「忙しい私が来たので~す!!もし、絶対くだらないものをみせたらただじゃすまないので~す!!」

と、本当に久しぶり?の鞠莉‘sママがスペイン広場の石階段に向かって陣取っていた。

 このとき、鞠莉‘sママ、

(いまだもってこの私は「スクールアイドルはくだらない、鞠莉はこの3年間棒を振った」って思っておりま~す!!その考えを覆すなんて無理中の無理で~す!!)

と、頭の中でその考えを反芻していた、それくらいこのライブで自分の考えを変えることなんてできない、そんな意思を強くもっていた。さらに、

(そして、私のまわ~りには私の味方ともいえる人たちでいっぱいで~す!!だって、まわりにいるのは、Aqoursというグループを、スクールアイドルという存在を知らな~い、海外から来た観光客で~す!!そんな自分たちを知らな~い人たちがいたら絶対に緊張するはずで~す!!絶対にライブは失敗するので~す!!)

と、千歌たちAqoursのことを高をくくっていた。たしかにその通りである。鞠莉‘sママの言う通り、千歌たちAqoursのまわりにいるのはたまたまスペイン広場に観光に来ていた観光客のみなさん+地元民である。この自分たちを全く知らない人たちのなかで自分たちの力だけでなにかを示そうとするのは至難の業、ともいえた。いや、この状況は最近似たような状況と一緒だった。それは静真での部活動報告会でのライブである。知られていたとはいえ、そのほとんどがこれまで会ったことがない静真の生徒たちとその保護者たちであった。むろん、全員Aqoursの存在は知っていたが、それでも、これまで会ったことがないあかの他人の目の前で千歌たち1・2年6人はライブを行ったのである。が、木松悪斗たちの陰謀、さらに、ダイヤたち3年生3人がいないという喪失感、さらにさらに、まったく知らない人たちの前で踊る、といったことが重なってしまい、不安・心配の深き海・沼に陥りライブは失敗した。それを考えるとこのライブのそのときの二の舞になることも予想できた。そのことを知っているのだろうか、鞠莉‘sママはこのライブは失敗すると読んでいたのだ。そして、このライブをジャッジするのは鞠莉‘sママ本人である。ジャッジマンである鞠莉‘sママが「「スクールアイドルはくだらない、鞠莉はこの3年間棒を振った」といった考えである限り千歌たちAqoursに勝利はない。それでも千歌たちAqoursメンバー全員が自分たちの想いを胸に頑張ろうとしていた。

 そんな横にいる鞠莉‘sママの、絶対に認めたくないオーラ、を直に感じていた月、

(僕も本当に大丈夫かどうか心配になってきているけど、ここは曜ちゃんたちを信じよう。だって、鞠莉‘sママさんの横にいる僕が心配そうな顔をしていたら、それこそ鞠莉‘sママさんにとってこのライブは失敗するという烙印を押すための格好の餌になってしまう!!だから、スマイル、スマイル!!)

と思うと、自ら律して笑顔になると、千歌たちAqoursメンバーを撮影する場所まで駆け足で移動、ビデオカメラを構えた。 

 こうして、ついに、スペイン広場でのライブ、鞠莉、Aqours、スクールアイドルの未来を賭けた運命のライブ、そして、果南、ダイヤ、鞠莉にとって最後となるであろうAqoursのライブがついに始まろうとしていた。

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