ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

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Moon Cradle 第6部 第17話

 と、いうわけで、これで千歌たちAqoursと月のイタリア旅行の話はここで終わる・・・が、これと同じくして別の物語も同時進行していた。

 

 まずは一つ目。それは鞠莉‘sママの話である。あのローマ・スペイン広場でのAqoursのライブで、鞠莉の成長、だけでなく、スクールアイドルの素晴らしさすらも実感した、鞠莉‘sママ、ローマの小原家の実家に帰ってきてまもなく、こんなことを言いだした。

「しか~し、今日のライブはしびれま~した!!あんなライブ、結婚する前に私のハズバンド(夫)と一緒に行った日本のロックバンド以来で~す!!それも、私のマリーがあのAqoursの一員として今日のライブをしたので~す!!私の知らないところであんなに成長していたなんて本当に驚きで~す!!それを知らずに私はマリーをバードゲージ(鳥かご)のなかに詰め込むところで~した!!それだとマリーのためにはならなかったので~すね!!私としては本当に失礼なことをしました。でも、それでも、マリーがあんなに成長してくれて本当によかったで~す!!Aqoursの皆様、本当にサンキューで~す!!」

鞠莉‘sママ、今日のライブがあまりにも刺激的だったらしく、かなり興奮していた。

 そんななか、鞠莉‘sママに近づく方が1人・・・。

「鞠莉‘sママ様、お疲れ様です」

その人の声に、鞠莉‘sママ、

「おや、爺やではありませんか!!ただいまで~す!!」

と、鞠莉‘sママに近づいた方、こと、爺やにただいまを言う。どうやら、鞠莉‘sママに近づいてきたのは長い間小原家に仕える執事こと爺やであった。その爺やに対して、鞠莉‘sママ、

「ところで、爺や、聞いてくださ~い!!私のドーター(娘)のマリーがね、とても成長していたのよ~」

と、娘である鞠莉の自慢話を始めようとしていたが、これに対し、爺や、

「それはよかったですね。でも、その話はあとで詳しくお聞かせください」

と、のらりくだりとかわしつつも、鞠莉‘sママに伝えたいことを言いだした。

「ところで、鞠莉‘sママ様、あと1時間後に裏美様という方がこちらに来られるとのことです」

 これを聞いた、鞠莉‘sママ、

(ほ~、あの裏美もこっちに来ているのですか。でも、なんでここイタリアに裏美がいるのですかね?)

と、なぜこのイタリアに裏美がいるのか疑問に思ってしまう。それどころか、

(しかし、それよりも、なんで私とマリーのいざこざに裏美という者が介入してきたのでしょうか?今回はマリーが私の知らないところで成長していたために私はマリーを換金するのを諦めました。けれど、もし、マリーを認めずに私がマリーを監禁していたら、裏美はどんな得をしていたのでしょうか?もっとも、なんで、私とマリーのいざこざになんで介入してきたのか気になりま~す!!)

この考えを持ったのか、鞠莉‘sママ、すぐに爺やに命令する。

「爺や、お願いがありま~す!!裏美が来る前に、今回の件、私とマリーのいざこざに裏美がなぜ介入してきたのか、できる限りの範囲で調べてきなさ~い!!」

この鞠莉‘sママの言葉に、爺や、

「鞠莉‘sママ様、わかりました・・・」

と言っては裏の方へとひっこんでしまった。

 

 そして、30分後・・・。

「鞠莉‘sママ様、こちらが資料です」

と、爺やがこの30分間で裏美と今回の件について調べてまとめた資料を鞠莉‘sママに渡した。さらに、爺や、

「私の口から言うのはおぞましいですが、今回の裏美の件ははっきし言って「真っ黒」といっても過言ではないでしょう。それよりも、この小原家存亡の危機につながるところでした

と、鞠莉‘sママに言うと、鞠莉‘sママも爺やが作成した資料を見たのか、おもわず、

「ガッテム!!」

と、怒りの形相になってしまった。さらに、

「たしかに、この資料からすれば、裏美が裏で糸を引いている気がしま~す!!それだけじゃなく、私たち小原家の信用すら失墜させるつもりみたいで~すね!!それは許せません!!懲らしめないといけないので~す!!」

と、言っては、鞠莉‘sママ、裏美が来るのをいまかいまかと待っていたのだった・・・。

 

 30分後・・・、そのことを知らない裏美は小原家のローマの実家に行く途中、こんなことを考えていた。

(さて、あともう少しで、悔しがっている鞠莉という小童の顔が見れる!!いや、これこそ小原家没落のスタートラインになるのだ!!今回の件で小原家は多額の出資をしたはずだ!!これにより、小原家の財政は火の車!!それに、娘である鞠莉を拘束して鞠莉‘sママの決めた許嫁と結婚させるなんて、なんて古臭い考えなんだ。いや、それをしたことにより小原家の名誉は地に落ちることになる!!さて、どんな見ものになるのでしょうかね~)

 そして、裏美を乗せた車は小原家の実家に到着。裏美はそのままその家の扉を開けると、

「あっ、これはこれは、鞠莉‘sママさん、直接私を出迎えてくれるとは、なんと嬉しい限りです!!」

と、裏美は言った。そう、鞠莉‘sママ自ら裏美を出迎えていたのである。その鞠莉‘sママ、すぐに、

「裏美さん、ここだと話すのにしのびありません。この私が直接ご案内しま~す!!」

と、裏美をある場所へとご案内する。その場所とは・・・。

「おお、これは広い大広間ですな!!」

そう、大広間だった。通常、ここでは小原家主催の晩さん会をひらいてはヨーロッパの起業家たちや社長、会長といった方々の接待をする場所として使われている、のであるが、裏美、あることに気づく。

「あれっ、ここには高価な壺や絵画がないのですかね~」

そう、この大広間には高価な物が一切なかったのだ。通常、大広間はヨーロッパの社交界の人たちをお招きするため、高価な物、たとえば、壺や絵画などが飾られているのだ。それは小原家は高いステータスを持っている、その証になるからなのだが、今回のところはそんなもの、この大広間にはないのだ。これには、裏美、

(ほ~、もしかすると、今回の件でお金を使い過ぎて高価な物を売りに出したというわけですな!!それほど、小原家の財政は火の車、ですね!!)

と、にやりと笑っていた。

 そんな裏美に対し、鞠莉‘sママは重い口を開いた。

「裏美さん、今回の件(鞠莉の件)でご助力ありがとうございました」

これには、裏美、

「いや~、私も今回の件はとても心配しておりました」

と、言うと、続けて、

「ところで、無事に鞠莉さんを拘束できましたでしょうか?私も拘束された鞠莉さんを見たいものです」

と、へらへらしながら言う。裏美、このとき、

(さて、私も悔しがる鞠莉という小童の顔を見てみたいわ。本当は悔しがる月生徒会長の姿を見てみたいのですがね・・・)

と、考えていた。

 が、ここから裏美の顔は真っ蒼になってしまう。その口火を切ったのが、裏美の発言を受けての鞠莉‘sママの一言だった。

「拘束されたマリーを見てみたいですって!!そんなに悔しがるマリーの顔を見たいのですか!!」

このときの鞠莉‘sママの顔は、鬼そのもの、だった。鞠莉‘sママ、続けて、裏美に自分の怒りをぶつける。

「私のマリーはもうここにはいません!!私の手を離れて自由なツバサで大きく羽ばたきました!!そうともしらず、ただ、悔しがるマリーの顔を見たい、ですって!!笑止千万で~す!!」

 これを聞いた裏美、

(えっ、まさか、鞠莉‘sママの思惑が外れたのか・・・)

と、驚きをみせたのかポカンとなる。鞠莉‘sママ、ポカンとする裏美に対しさらに怒りをぶつける。

「それに、今回の件、裏美さんが裏で糸を引いていた、というより、黒幕だったので~すね!!この私にヴェネチアのマリー探しに多額のコストをかけさせた件、さらにフィレンツェでのマリーの居場所を私に教えたのも、すべてはこの小原家を財政を苦しめるだけでなく、信用すらも陥れようとしていたので~すね!!」

これには、裏美、

(な、なぜわかったんだ!!うまく隠したはずなのに!!)

と、驚きを隠せない様子。たしかに、裏美は鞠莉‘sママにばれないように鞠莉‘sママに指示したのである。が、よくよく考えれば、これまでの鞠莉‘sママと裏美のやり取りを見ていればわかってしまうことであった。だって、「イタリアに行く千歌たち新生Aqours6人+月の渡航費用は全部鞠莉‘sママ持ち、さらに、ヴェネチアの鞠莉たち探しの費用も全部鞠莉‘sママ持ち、というとどうしても裏美が小原家の財政を火の車にしたい魂胆がみえみえだったりする。さらに、爺やの調べにより、ヴェネチアのとき、鞠莉を探すためのポスターなどを印刷する際、その印刷費用は市中の価格より少し高かったのである。なおだが、実は鞠莉‘sママ自らその印刷業者に頼んだわけでなく、鞠莉たちが逃げる時間を作らせないように裏美が指定した業者に頼んでいたのである。先に裏美によって依頼していたため、すぐに鞠莉‘sママのところに納品できたのだが、その印刷に使った代金のうち、何パーセントかをなんと裏美にキックバックさせていたのだ。これは爺やがその印刷業者を懲らしめ・・・こほん、その印刷業者の証言により発覚したことだった。それがわかったことでも裏美が小原家を貶めようとしていたのが明白となったのである。

 自分がこれまで裏でやってきたことがばれてしまった裏美、そのためか、

(うぅ、このままだと大変なことになる・・・。ここはなんとかしないと・・・)

と、動揺しつつもこの場をなんとかしよとする。それが・・・、

「あっ、でも、今でも、スクールアイドルはくだらない、と思っているでしょ!!」

そう、スクールアイドルをけなすことだった。話題をスクールアイドルへとすり替えようとしてきたのだ。裏美、さらにこんなことを言いだす。

「ただひらひらしたスカートで踊って男たちを悩殺するだけの存在、さらには、生産性があまりにも低すぎる、それがスクールアイドルというものです。ほんと、けがわらしいものですな!!」

スクールアイドルをけなすような発言、昔は裏美と同じく鞠莉‘sママもスクールアイドルについては否定的な立場だった、それを思い出した裏美の発言・・・。しかし・・・、

「裏美さん、昔の私だったらそうだったかもしれません・・・」

と、鞠莉‘sママはこう発言すると、大声で威圧的に裏美に対して言った。

「でも、マリーたちAqoursのライブを直接見たことで考え方を変えました!!スクールアイドルは世界を変えるパワーがありま~す!!笑顔で踊りながら歌う姿はまわりを幸せにするだけでなく、頑張っていこうとさせるパワーがありま~す!!さらに、あの笑顔の下には絶え間ない努力があると思いま~す!!人というのはどんなときでもどんなことがあってもずっと笑顔でいるのはとても難しいもので~す!!それを当たり前のようにやるのは相当な努力が必要で~す!!だから、言えま~す、スクールアイドルというのはとても素晴らしいもので~す!!」

この鞠莉‘sママの言葉を聞いた裏美、

(う、うそだろ・・・)

と、唖然とするしかなかった。

 されに、鞠莉‘sママは追い打ちをかけるように裏美にこう言った。

「そして、裏美さん、あなたは私の娘マリーの大事な仲間であるAqoursや私たちに対してもひどい仕打ちをしたそうですね!!」

そして、鞠莉‘sママは裏美を恨むように、いや、木松悪斗たちがやってきた悪事を言いだす。

「まず、あなたたちは自分たちの利益やその維持のためだけに、いや、小原家をつぶそうとするために、突然、浦の星と静真の統合に反対したそうですね!!そして、自分たちの地位を利用して静真に通う生徒の保護者たちに至らぬ噂を流し、統合を阻止しようとした。さらに、分校方式での統合が決まると、今度はAqoursに対してひどい仕打ちをした!!それは、静真の部活動報告会での(新生)Aqoursのライブの妨害!!あなたのご主人、木松悪斗がプログラムの順番を(新生)Aqoursが不利になるようにしただけでなく、ステージのポジションを示すためのテープをわざと残して(新生)Aqoursメンバーが転びやすいようにした!!」

これには、裏美、

(な、なんで、私たちがやってきたことがばれているんだ!!で、でも、最後のテープの件については私も知らないのだが・・・)

と、うろたえてしまう。まさか、自分たちがやってきたことば鞠莉‘sママには筒抜けになっていることに驚いてしまったからだった、自分の知らないことを含めて・・・。

 ちなみに、なんで木松悪斗たちがやってきたことが鞠莉‘sママには筒抜けになっていたかというと・・・。まず、木松悪斗たちが突然静真と浦の星の統合に反対したことについては、沼津の経済界で小原家と交流がある人たちからの情報だった。なんと、木松悪斗、その人の前で、

「俺は静真と浦の星の統合に反対なんだ!!だって・・・」

と、どうやら言いふらしていたみたいだった。さすがに木松悪斗が小原家を潰すためとまでは言ってはいなかったが、だれからどうみても小原家を潰そうとしている、と感じられていたらしい。だって、浦の星を支援していたのは小原家である。その浦の星と静真の統合が破談したときに一番被害を被るのが浦の星の生徒たちと小原家である。一方、静真についてはダメージは軽微である。だって、統合できない理由があるのは浦の星の方だから、そう木松悪斗たちはそうしようと噂を広げたのだから。

 そして、部活動報告会でのライブの失敗についてはネットでの調べでわかったことだった。実はプログラム順の変更およびテープの件についてはそれに関する情報がネットでアップされていたのである。それはそれに関係した人たちのSNSからだった。プログラム準の変更については、あの部活動報告会実行委員の学生が自分のSNSで「木松悪斗様からAqoursが不利になるようにプログラムを強制的に変更させられた」と書いてあったのだ。テープの件についても、テープをそのままにした木松悪斗の娘でAqoursの前に発表を行った女子サッカー部の部長、旺夏、その旺夏の取り巻き、というよりも、女子サッカー部の部員がSNSで「Aqoursがライブで失敗した。でも、私は見てしまった。ピンク色の髪の少女(ルビィ)がステージの床に残っていたテープを踏んでしまい、それがもとで大きく転んでしまったことを・・・。でも、それを部長(旺夏)は平気で笑っていた、「あれは私がわざと残しておいたのですよ。Aqoursのだれかが転んでしまうように」って言いながら」と書いてあったのだ。補足として、ステージに残っていたテープは旺夏がただテープを外すのを忘れただけなのだが、旺夏がそんなことを言ってしまったがゆえにわざとテープをはがしていなかったことになってしまった。

 と、いうわけで、関係する者がそれに関係する情報をSNSでアップされたことで木松悪斗の悪行が目にさらされることになったのだが、木松悪斗もSNSについてはずっとそのままにしていたわけではなかった。その情報は木松悪斗側がすぐに見つけては強制的に削除していくのだが、ネットというものは怖いものである。そのSNSを見た別の者たちがそのSNSにある情報をすぐにスクショ、もしくは画面保存してほかのSNSにアップしてしまったのである。木松悪斗側もそれについてもすぐに見つけては強制的に削除していくのだが、それでも現れてはすぐに削除、その繰り返し、いや、いたちごっこになっていたのである。そして、削除できなかったものが鞠莉‘sママの爺やによって見つかった、というのが事の顛末である。

 

 と、いうわけで、ついに、鞠莉‘sママ、裏美に対して怒りの鉄槌を下す。

「もうわかっていますね、裏美さん。もうこれ以上、小原家、そして、私の娘、マリーに対して困らせるようなことはしないでくださいね!!いや、これ以上関わることはしないでもらいたいで~す!!あなたを含めて、木松悪斗一派、小原家への立ち入りを禁止いたしま~す!!もし、これ以上悪いことをしたら、木松悪斗様の沼津での経済活動ができなくなる、と、思ってもらっても構いませ~ん!!なお、これは、私の夫、小原家当主の承諾済みで~す!!」

この鞠莉‘sママの怒りの鉄槌をくらった裏美、思わず、

「ヒッヒー」

と、顔を引きずるような表情をしてしまう。さらに、鞠莉‘sママ、

「こんな小汚い者をつまみ出しなさ~い!!」

と、言うと、爺やがでてきて裏美を猫のようにつまんでは、

「お~りゃ~」

と、力いっぱい裏美を外に向かて投げ飛ばしてしまう。そんな、裏美、

「あ~れ~」

と、言っては小原家実家の敷地の外に飛ばされてしまった・・・。

 

 その後、爺やは鞠莉‘sママに対し一言。

「これでよろしかったのでしょうか。このままだと木松悪斗様と小原家の闘争に発展しかねませんが・・・」

爺やの小原家に対する心配であったが、鞠莉‘sママ、

「それはないでしょう。小原家に対して戦うということは、沼津、いや、日本、いや、世界中を敵にまわすことにつながります。それだけは木松悪斗も避けるでしょう。木松悪斗という男ももう立派な大人なのです!!その点については律するでしょう」

と言って、木松悪斗に淡い期待をする。しかし、それは裏目にでてしまう。木松悪斗は「かつこそすべて」を地でいく男である。戦いこそすべて、の男である。たとえ世界中を敵にまわしても戦い抜く、それが木松悪斗である。と、いうわけで、このあと、木松悪斗を巡るひと騒動が起こるのであるが、それはあとの話である。

 と、木松悪斗に対して楽観視している鞠莉‘sママ、ふとここで、

(でも、もしかすると、木松悪斗がAqoursの行動を妨害するかもしれないで~す!!なので、ここはひとつ布石を打つので~す!!)

と、思ったのか、

「爺や、電話を持ってきてくださ~い!!」

と、爺やに指示、

「はい、ただいま」

と、爺やが電話を持ってくると、鞠莉‘sママ、あるところに電話をした。

「あっ、沼田様のおうちでしょうか。あっ、沼田様、鞠莉‘sママで~す!!実はですね・・・」

 

 一方、小原家の家から放り出された裏美、

「いた、いたたた」

と、自分の体をいたわりつつも、すぐに、

「あの鞠莉‘sママ、なんていう心変わりなんだ!!」

と、鞠莉‘sママに対して怒ってしまう。だが、裏美を迎えに来た者は、

「でも、このままだと木松悪斗様が・・・」

と、裏美のご主人である木松悪斗のことを心配してしまう。

 すると、裏美、

「ふん、そんなこと、関係ありません!!私たちはこれからもAqoursを、月生徒会長を妨害する、ただそれだけです!!」

と、いまだに妨害するのをやめないことを宣言してしまう。これにはほかの者から、

「でも、それをしたら小原家から小原家を妨害したと認定されるのでは・・・」

と、心配そうに言うも、裏美、

「それは小原鞠莉という少女を妨害したときの話!!私が妨害するのは、鞠莉という少女がいない新生Aqoursの方です!!」

と、言ってしまう。これにはまわりの者はただただ唖然とするしかなかった。

 だが、完全復活したAqours、そして、鞠莉、ダイヤ、果南がいない新生Aqoursを妨害するというのは今からすれば至難の業であった。それは裏美も自覚していた。

(でも、これ以上は妨害が・・・)

と、悔しがる裏美。

 そんななか、裏美にある一報が届く。突然、まわりにいる者の一人がある連絡を受け取るとすぐに、

「裏美様、まだ挽回する機会があるみたいです。実は・・・」

と、裏美に耳打ちする。すると、裏美、

「それはそうか!!でかした!!すぐに日本に戻るぞ!!」

と言ってはそのままローマの空港へと引き返した。このときの裏美はこう思っていた。

(まだ私にもチャンスがあったとは!!神の思し召しですな!!待ってなさい、新生Aqours、そして、月生徒会長!!)

 

 

そして、二つ目。イタリアローマのスペイン広場でAqoursのライブがちょうど終わったとき・・・静岡沼津・・・静真高校、生徒会室・・・。

「こ、これがAqoursのライブ、なんですね!!」

ある女子生徒が自分のスマホを見て泣いていた。これにある少女が声をかける。

「うん、そうだよ。これこそ、月生徒会長が私たちに本当に見せたかった、本当のAqoursのライブだよ!!」

この声を聞いた女子生徒はすぐに、

「うん、あんなに楽しく踊っている姿を見てとても感動しました・・・、ナギ生徒会長代理!!」

と、声をかけた少女ことナギに泣きながら言う。そう、ナギたち静真高校生徒会は真夜中にも関わらず生徒会室に集まり、Aqoursのスペイン広場のライブをライブビューイングと称して一緒に見ていたのである。そして、楽しみながら踊り歌うAqoursの姿にそこにいるみんな感動していたのだった。

「静真の(部活動報告会での)ライブの失敗で本当に大丈夫か心配だったけど、これを見る限り、完全復活、しましたね!!」

「それよりも、これまで見てきたどのライブよりもとてもよかったよ!!私の中でベストオブベストだよ!!」

Aqoursのライブを見ていた生徒会役員たちからうれし涙とともに感動的な声が聞こえてきた。

 そんななか、ある生徒会役員がナギにある事実を伝える。

「たしかにとてもよいライブでした。しかし・・・」

そして、あるPCの画面をナギに見せる。すると・・・、

「うん、そうだと私は思っていた・・・」

と、ナギはたんたんと答える。

続けて、

「でも、それが今の静真高校生徒会の現実っていうもんだ・・・」

と、これもたんたんと答える。ナギが見たPCの画面、そこにあったのは・・・、

「Aqours生ライブ・・・【50】・・・」

という文字。実はこれ、生徒会が学内のSNSを通じて配信したAqoursのスペイン広場でのライブの動画再生回数・・・というよりこのライブの生配信を見た人の人数であった・・・。むろん、ナギたち生徒会のみんなもこの数にはいるから、ナギたち以外でこの生配信を見た生徒はざっと30~40しかいないことを示していた。これには、ナギ、

(これが今の私たち生徒会を慕う生徒の数なんだ。もう真夜中だからとこの生配信を見ていない生徒もいるけど、それでも、この数字は過酷すぎる・・・)

と、ちょっと険しい表情になる。過酷ともいえる数字。新生Aqoursの部活動報告会でのライブ前は生徒の大半が生徒会を支持していた。しかし、それが今となってはごくわずか・・・、そう今のナギにとってみればそう思えてしまっていたのである。昔、Aqoursがまだ1・2年生だけだったとき、ゼロという数字を突きつけられた。それが今となっては1から10へ、10から100へ、そして、その先へと進むことができるようになったが、今のナギからすればAqoursがゼロを突きつけられたそのときぐらいどん底に突き落とされた、そんな感じだった。そのためか、ナギの言葉とともに騒いでいたまわりも暗くなる。ナギだけでなく生徒会役員たちからしてもとてもつらい現実。生徒会室は一瞬お葬式モードに突入してしまった・・・。

 が、そんなとき、

プルル プルル

と、ナギのスマホから呼び鈴が鳴る。

「う~、だれから?」

と、ナギ、電話をとると、いきなり、

「ナギ、Aqoursのライブ、よかったよ!!」

と、ナギのスマホから大きな声が聞こえてきた。これには、ナギ、

「あっ、むつ、Aqoursのライブ、見ていたんだね!!」

と、むつに話す。どうやらナギの電話の相手はむつみたいだった。

 そのナギのスマホから別の声も聞こえてきた。

「ナギ、私たちみんなでAqoursのライブ、見たんだよ!!」

これには、ナギ、

「えっ、みんなでAqoursのライブを見たの、いつき?」

と、今度は別の声の主こといつきに言う。それに対し、また別の声その2の少女の声で、

「そうだよ!!私たち、クラスのみんなと一緒に内浦の砂浜に集まってでっかいスクリーンで見たんだよ!!」

と言うと、ナギ、

「それ、すごいじゃない、よしみ!!」

と、別の声その2の少女ことよしみの声を聞いて大声をあげて驚いていた。どうやら、ナギの電話の相手、むつ、いつき、よしみ、通称よいつむトリオによると、Aqoursのライブを生配信するからということでクラスメイト全員内浦の砂浜に集まってでっかいスクリーンを用意してライブビューイングをしていたみたいだった。これには、ナギ、

「それってすごいじゃない!!私もそこに参加したかったよ~!!」

と、むつに言うと、むつ、

「うん、みんなに言うとね~、みんなと一緒に大きなスクリーンでみたいっていうことになってね、結局、大きな映写機と大きなスクリーンを借りてみんなと一緒に大画面でAqoursのライブを楽しんじゃった!!」

と、楽しそうにナギに話した。これには、ナギ、

「う~ん、ずるい、いけず~」

と、駄々っ子のように言う。

 そんなナギとむつのやり取り・・・であったが、むつはナギに対しこんなことを言いだした。

「でね、実はね、今さっきみんなと話し合ったんだけど・・・あの計画「オペレーション・オブ・New Aqours」、実行することに決まったよ!!」

「オペレーション・オブ・New Aqours」・・・この名を聞いたナギ、おもわず、

「えっ、ついに実施することを決めたんだ!!」

と、驚きの声をあげると、むつ、

「そうだよ!!これはね、私たち浦の星の2年生だけでなく、浦の星の1年生からも今さっき私たちに「ぜひ私たちも!!」って連絡がきたんだよ!!どうやら1年生の方もみんなと集まってライブビューイングをしていたみたい!!」

と、大きな声で喜んでいた。

 この喜ばしいむつの声を聞いたナギ、

(ふっ、浦の星のみんなはもうやる気でいるんだね。もうこうなったら賽は投げられた!!こちらも力いっぱい動くべし!!)

と、あることを心に決めると、そのむつたちに対しこう言いだした。

「むつたちの言葉を聞いて、私、決めたよ!!むつたち浦の星の生徒たちに負けないくらい私たち静真の生徒も一生懸命やってやりますよ、私たちの目標、「オペレーション・オブ・New Aqours」、成功のためにもね!!」

 

 といった具合にここ沼津では、Aqoursのライブの生配信、静真としては盛り上がりに欠けたものの、浦の星としては大いに盛り上がったようで、よいつむトリオ発案の「オペレーション・オブ・New Aqours」はついに発動したのであった・・・のだが、あんまり盛り上がりに欠けてしまった静真の方としてもごく一部にある動きがあった。それはある少女に起きた。その少女は自分のスマホでAqoursのスペイン広場のライブの生配信を静真の学内SNS経由で見ると、

「あっ、ヨハネちゃん、楽しそうに踊っている!!う~、わくわくが止まらないよ~!!」

と、声をあげて喜んでいた。さらに、その生配信が終わると、その少女は、

「Aqoursのライブ、とてもよかったよ~!!特にヨハネちゃん!!とてもよかったよ!!」

と、ヨハネのことをべた褒めしていた。

 そして、その少女はあることを決意する。

「私、Aqoursを応援するだけなんてもういや!!(実際に)Aqoursの役に立ちたい!!だって、私の知っているヨハネちゃんがあんなに楽しく踊っていたんだもん!!中学の時、私、ヨハネちゃんと仲良くなりたいと思っていたけど、いつのまにか、ヨハネちゃん、学校に来なくなっちゃった。私、あのときからずっと思っていた、ヨハネちゃんと仲良くなりたい、って。だから、私、決めた、ヨハネちゃんと仲良くなりたい!!そのためにも、ヨハネちゃんのいるAqoursの役に立つんだ!!」

 

 翌日・・・。

「ふわ~夜は眠れなかった・・・」

と、ナギは大あくびしながら言った。どうやら昨日のAqoursのライブの生配信を見て興奮して眠れなかったのだろう。そんなナギに突然、

「ナギ副会長、お話があります!!」

と、ナギを引き留める声がした。これには、ナギ、

「えっ、私になにか?」

と、ナギを引き留めた声のするほうを見る。すると、そこには1人の女子生徒がいた。その少女は続けて、

「ナギ副会長、お願いがあります!!Aqours(のヨハネちゃん)のお手伝いをさせてください!!」

この少女のお願いに、ナギ、

「えっ、今なんて・・・」

と、もう一度聞きなおす。すると、その少女は再び大声で言った。

「ナギ副会長、Aqours(のヨハネちゃん)のお手伝いをさせてください!!」

その少女の大声に、ナギ、

「Aqoursのお手伝いだね!!うん、わかった!!私が月生徒会長にお願いするね!!」

と、言うと、その少女は、

「あっ、ありがとうございます!!」

と、大声で喜んでいた。

 この喜びの声のあと、ナギはその少女に尋ねた。

「ところで、あなたのお名前は・・・?」

すると、その少女は自分の名を元気よく言った。

「私、稲荷、稲荷あげは、1年生です!!」

 

 こうしていろんなところで物語の歯車は動き始める。それはいろんなところで絡み合い、1つの大きなうねりとなっていく。1つ1つは小さい歯車かもしれない。が、それは1つの大きな物語を構成する大事な歯車の1つでもある。この歯車が動き始めた今、この物語はついに最後のときを迎えようとしている。それはどんな結末を迎えるのだろうか。ハッピーエンドで終わるのだろうか。それとも、最悪の結果を迎えるのだろうか。それは神のみぞ知る。

 ついに始まる最終章、どんな結末で終わるのだろうか。それは楽しみにお待ちいただきたい。

 

これにて、(とても長かった)第6章、これにて閉幕・・・。

 

                    第7章(最終章)その前編に続く・・・

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