と、いうわけで、千歌たちが乗ったバスは千歌たちが待ち合わせ場所として指定された場所、浦の星分校という廃校になった学校、その前のバス停に到着すると、千歌たち新生Aqours1・2年6人と月は重たいキャリーケースを持って木造校舎前に到着、すると、
「誰もいないずら~」
と、花丸が言うくらい周りにだれ一人もいなかった。これには、千歌、
「むっちゃんたち、ここだって言っていたけど・・・」
と、いろむつトリオがここにいないためか心配になる。
そのときだった。
ガタン!!
と、校舎の2階の窓が開く音が聞こえてくると、その窓から、
「お帰り!!」
と、千歌たちがよく知る少女3人の顔があらわれた。これには、千歌、
「あっ、むっちゃんたち!!ただいま!!」
と、窓から千歌たちを迎えてくれた3人組ことよいつむトリオに向かって「ただいま」の挨拶をした。そう、千歌たちが待ち合わせていた相手とはよいつむトリオであった。
「むっちゃんたち、なんかすごいものを見せたいんだって。楽しみ!!」
と、よいつむトリオがいる2階の階段を駆け上る千歌たち新生Aqours1・2年6人と月。
そして、2階に昇り終えたとき、
「月!!」
と、月のことを呼ぶ声がする。これには、月、
「あっ、ナギ!!」
と、月に声かえた少女ことナギに声をかける。これに、曜、
「あっ、月ちゃんの友達?」
と、月にナギのことを聞こうとすると、月、
「うん、友達!!」
と、ナギが静真高校生徒会副会長であることを伏せつつも曜にナギは自分の友達であると伝えた。
そのナギ、月に近づくなり、月の耳元にこそっと話す。
「月生徒会長、例の少女、連れてきました」
これには、月、ナギに向かってこっそり話す。
「わかった。会ってみましょう」
そして、曜に向かって、月、一言。
「曜ちゃん、ちょっとごめん!!先に行ってて!!すぐに追いつくから!!」
これには、曜、
「うん、わかった!!」
と、月に言うと2人はしばし別れることになった。
その曜たちと別れた月、
「で、ナギ副会長、僕に会わせたい人って?」
と言うと、ナギ、
「今、こっちに来ています」
と、言っては月をその少女がいる空き教室へと招待していった。
一方、月と別れた曜・・・であったが、月の先ほど言っていたことに少し疑問が生じていた。それは・・・。
(あれっ、あの子、どこかで会ったような気が・・・)
このときの曜の疑問、あながち間違いではなかった。だって、曜、ナギと少なくとも1度会ったことがあるから。そう、静真の部活動報告会のときに月が千歌たち新生Aqours1・2年6人を控室に案内しているとき、生徒会の用事でナギは月を呼びにきていたのだ。そのとき、ナギと曜は少しの時間ではあるが会っているのだ。しかし、このときは曜も緊張していたためかそのときの記憶はあいまいだった。なので、先ほど月を呼びにきたナギのことについて記憶があいまいなのはいかしかたないことである。
と、いうわけで、曜、
(まっ、いいか!!)
と、ナギのことをあまり気にせずに千歌たちと一緒によいつむトリオがいる教室へと向かうことにした。
そして、5分後・・・。
「曜ちゃん、待った~!!」
と、月が曜の前にあらわれるなり、
「いや、そんなに待っていないよ!!私たちもこれからのこと、一緒に相談していたところなんだよ!!」
と、月をいたわる。どうやら、よいつむトリオのいる教室まで移動したものの、
「少し準備をしているから待っててね」
と、よいつむトリオから少し待ってほしいことを言われ、仕方なくこれからについて6人で相談していたところだった。
そんなわけで、無事再会できた千歌たち新生Aqours1・2年6人と月・・・であったが、ちょうどそのとき、
「千歌ちゃん、お待たせ!!ちょっと来て!!」
と、むつの声が教室の外の廊下に響き渡ると、これを聞いた千歌、
「うん、わかった!!今行くね!!」
と、大きな声をあげた。
千歌たち新生Aqours1・2年6人と月はよいつむトリオがいる教室へと入る。すると、
「ようこそ、いらっしゃい!!」
と、むつが千歌に対して言うと、千歌も、
「いらっしゃいました!!」
と、よいつむトリオに向かって言い返す。むろん、ちょっとした冗談ではあるが、そのやりとりこそ千歌とよいつむトリオはそれほど仲がいい、そんなことを指し示す証拠でもあった。
そんな千歌とよいつむトリオのやり取りのあと、千歌たちが持ってきたキャリーケースを教室の外の窓近くの一角に集めることになり、そのあと、千歌たちとよいつむトリオはこれからについてこの場で話し合うことになった。
まず、開口一番、口を開いたのは千歌だった。
「ごめんね!!ライブの手伝い、お願いしちゃって!!」
ライブの手伝い・・・、そう、千歌たちが沼津駅に向かう電車の中で確認していたこと、それは、千歌たち1・2年6人、つまり、新生Aqoursを沼津のみんなにお披露目するためのライブ、それを行うことだった。ただ、このライブ、旧浦の星でやった学校説明会みたいな小規模なライブ・・・ではなかった。規模からして大規模、ちょっとしたフェス規模並みのライブであった。新生Aqours、初披露であった静真での部活動報告会でのライブに失敗したとはいえ、Aqoursという名前はラブライブ!に優勝しているということで知名度は全国クラス、折り紙つきとも言えた。そのためか、千歌たち、大規模といえるくらいのライブを新生Aqoursとして行おうとしようとしていたのである。
むろん、これには裏がある。先述の通り、千歌たち新生Aqours、大規模なライブを浦の星の生徒たち主体で行い成功させることで、浦の星の生徒たちの底力、ひとつの物事をやり遂げるくらい士気が高いことを証明させようとしていたのである。ただ、これにも先述の通り、士気が高いがゆえに静真の生徒と浦の星の生徒のあいだで対立が生じるのではないか、という問題点もあげることができるのだが・・・。
ただ、この千歌の言葉に、
「ぜんぜん大丈夫!!メールをした時点でみんなに連絡したから」(よしみ)
「すぐに協力してくれるって!!」(むつ)
「へっへ~ん!!」(いつき)
と、よいつむトリオ、誇らしげに言ってしまう。このとき、むつ、
(へっへ~ん!!絶対に千歌たちがそう言ってくると思ってね、もうライブをする準備はすでに始まっているもんね!!)
と、自信たっぷりな気持ちになっていた。たしかにそうであった。このとき、ライブ計画はすでにライブの場所決めを含めてだいたい計画の50%もの進捗状況をみせていた。ライブに使うステージを組み立てるための材料はおろか音響設備、スポットライトなどライブに必要なものはすでにすべて確保していた。あとは千歌たちの意見を聞いて足りないものを発注、さらにもともとあったステージプランに千歌たちの意見を取り入れては練り直し、それに沿ってステージを(手作りで)作ってはライブ会場に設置、そうすればすぐにでもライブができる、という段取りになっていた。とはいえ、まだステージプランも千歌たちの意見を反映させたいのでまだステージは基礎部分しか組みあがっていないのだが、それでも現時点ではかなりの進捗率といえてもおかしくなかった。
では、なぜ、よいつむトリオはこの時点で新生Aqoursのお披露目ライブの準備を進めることができたのだろうか。それは、あの静真の部活動報告会の新生Aqoursのライブ失敗までさかのぼる。