ラブライブ!SNOW CRYSTAL   作:la55

75 / 250
Moon Cradle 第7章前編 第3話

(ちょっと長くなったこともあるので、)ここからは第1部第2部を簡単に振り替えつつよいつむトリオがこれまでやってきたことをお話しすることにしよう。

 まず、ことの始まりは2月初めだった。当初は静真高校と浦の星女学院は4月に統合することで合意していた。だが、静真の大スポンサーで日本を代表する投資家であり、物言う株主でも有名であり、静真の部活動に参加している生徒の保護者たちを束ねる、部活動保護者会会長、木松悪斗が突然その統合に反対すると反旗を翻したのだ。表向きの理由は「初戦敗退続き、だからこそ、部活動の士気が低い浦の星の生徒が、全国大会の常連である部活を数多く持つ、だからこそ、部活動に対する士気が高い静真の部活動に参加すると、士気低下や対立により静真の部活動に悪影響がでる」なのだが、裏の理由が、統合にあたって浦の星のスポンサーだった小原家から静真に多額の寄付がなかったこと、鞠莉が木松悪斗が(勝手に)用意した静真の理事の席を蹴った、などにより、木松悪斗、小原家と浦の星に恨みを持つようになり、その恨みを晴らすために統合に反対している、というわけである。であるが、浦の星女学院との統合を望む月たち静真高校生徒会はこの木松悪斗の統合反対に対して真っ向から対立する。

 この統合問題における両陣営の動きであるが、木松悪斗は表向きの理由、その考えを静真の保護者達に広めていったの対し、月たち生徒会は生徒たちを中心に、「統合が実現できなければ友達である浦の星の生徒たちが困ることになる」と言って統合賛成の署名活動を展開する。

 そして、2月末の臨時理事会で静真の裏の神である沼田の采配で月たち生徒会は月たち生徒会の勝利となった。これで静真高校と浦の星女学院の統合は正式に決定、これで無事に2つは統合・・・するわけではなかった。木松悪斗の頑張りにより静真の保護者たちの多くが木松悪斗が統合に反対する(表向きの)理由、「部活動の士気が低い浦の星の生徒が士気の高い静真の部活動に参加すると悪影響がでる」という考えを持つようになり、それが保護者の声にもなっていた。その声をくみ取った沼田、その声がなくなるまでは山奥にある廃校になった学校に浦の星分校を立て、浦の星の生徒たちはそこに通うことになったのだ。

 この話を聞いた月、それを決めた沼田に直接抗議するもそれを覆すことはできなかった。ただ、このとき、沼田はあることを月に言ったのだ、「部活動とはなにか」「部活動する上で大事なものとは」、その問いに答えることができたら統合は実現できるだろう、と。

 この問いを聞いた月・・・だったが、その沼田の問いに答える・・・のではなく、浦の星の部活のなかで唯一全国大会(ラブライブ!)に出場し優勝した実力を持つ、浦の星女学院スクールアイドル部Aqours、その実力をもって統合を実現させようという作戦を独断専行で実施してしまう。静真のほとんどの生徒は「部活動とは「勝利こそすべて」」という考えを持っており、月もその考えをもって「力には力でもって制する」作戦を実行したのだ。

 が、木松悪斗たちの妨害、鞠莉たち3年生3人がいないことによる喪失感が千歌たち新生Aqours1・2年6人のなかに生まれたことにより6人とも不安・心配の深き海・沼に陥ってしまった、このことにより部活動報告会の新生Aqoursのライブは失敗、月の作戦もこれをもって作戦失敗という結果で終わってしまった。

 そのため、新生Aqoursのライブの失敗(といいつつも月のAqoursの実力がゆえの(新生Aqoursである千歌たちを巻き込んでの)統合に向けた作戦の失敗)により、そのあとに行われた通常理事会、木松悪斗、恨みの相手である浦の星の生徒たちに永遠の苦しみを与える、自分が唱えている統合反対に歯向かう月たち生徒会全員退学、それを成し遂げようとしていた・・・のだが、ここでも自分より権力をもっている、いや、静真の裏の神である沼田によって阻止されてしまった。

 こうして、静真本校と浦の星分校の統合はこのときは叶わなかったものの、これ以上、浦の星分校、そして、浦の星の生徒たちの処遇の悪化、月たち生徒会全員の退学はなんとか回避できた・・・のだったが、それにはある条件があった。次の新学期が始まる日の前までに統合反対の理由となった「部活動の士気が低い浦の星の生徒が士気のこれに静真の部活動に参加すると悪影響がでる」という静真に通う保護者たちの声、それを改善すること、それがそれを回避するための条件だった。むろん、この声は木松悪斗たちが広めた噂によるものだったが、この声がこのとき、保護者たち全体の意見へと発展していたのだった。さらには、その声は新生Aqoursの報告会でのライブ失敗により静真の生徒たちのあいだにも浸透していったのだった。これにより、通常理事会終了時、静真のなかでは統合反対という意見が大多数を占めているという自体に陥ってしまっていた。なので、この声を覆すことは容易ではなかった。

 

 が、そんな状況を一気に覆す、一発逆転の策、それがあった。それが、新生Aqoursによる大規模な(お披露目)ライブ、作戦名「オペレーション・オブ・New Aqours」だった。その作戦を考え出したのはよいつむトリオ・・・ではなく、なんと、静真高校生徒会副会長、ナギ、だった。

 報告会での新生Aqoursのライブ失敗により統合実現を目指していた月の作戦は失敗に終わり、そのあとの通常理事会であともう少しのところで浦の星の生徒たちの処遇悪化、さらには自分たちの退学の憂き目にあってしまったナギ、であったが、沼田のおかげでそれは新学期が始まるまで延期されることが決まったため、それまでの猶予が与えられることになったのだ。これについて、通常理事会があった会議室から生徒会室に移動していた最中、ナギはこんなことを考えていた。

(さてと、新学期が始まるまでという期限付きだけど、なんとか首1つつながったし、「統合反対」という保護者達の声をひっくり返すことができれば統合に一歩前進、できるかもしれないという一筋の光が差し込んできたのかもしれない・・・)

そうナギが考えるのももっともである。新学期が始まるまでに「浦の星の生徒たちが静真の部活動に入ると静真の部活動に悪影響がでる」という保護者の声をひっくり返すことができれば自分たちの退学はおろか浦の星の生徒たちの処遇の悪化を阻止できるのである。いや、それ以上に、その保護者の声がなくなれば静真本校と浦の星分校の統合を阻む障害は完全になくなる、ともいえた。だって、統合反対の理由、それは、その保護者の声、が強いから。その統合反対の理由である保護者の声さえなくなれば統合を阻む障害もなくなるのも当然、ともいえた。それはある意味コロンブスの卵的発想ともいえた。

 とはいえ、そんな一発逆転ともいえる有効策をすぐに思いつくなんて無理ともいえた。そのことに関してはナギもわかっていたらしく、

(とはいえ、そんな保護者の声をひっくり返すほどの一発逆転的な有効策なんてすぐに思いつく・・・わけじゃないし・・・)

と、半場諦めた状況だった。沼田の鶴の一声によりナギたち生徒会は薄氷の勝利を部活動報告会後の通常理事会で得たのだが、それはつかの間の平和を得たにすぎなかった。新学期が始まるまでに統合反対の理由となった保護者の声を払しょくしないかぎり浦の星の生徒たちは地獄の日々を、ナギたち(月を含めた)静真高校生徒会全員が退学になるのは目に見えていた。しかし、それを覆す有効策をすぐその場で思いつくなんて無理であった。

 しかし、それでもナギは理事会から生徒会室に戻るまでのあいだ、あることを考えていた。

(「浦の星の生徒たちが静真の部活動に入ると悪影響がでる」、その保護者の声を打ち消すこと、静真本校と浦の星分校の統合実現、それを叶えるにはやっぱり沼田のじっちゃんが言っていた問い、「部活動とはなにか」「部活動をする上で大事なこととは」、その問いに答えるのが一番かもしれない。しかし、その問いの答えを見つけることができるのは、浦の星の生徒であるAqoursと密接な関係があり、今、そのAqoursと行動を共にしている、月生徒会長、しかいない。だった、その問いの答えのヒントは、「静真にいる人たち全員は知らないが、浦の星の生徒からすれば、それが当たり前、と、いうか、誰も気づかずに実践している」、という沼田のじっちゃんの言葉だけだから・・・)

ナギ、このとき、統合反対の理由になっている保護者の声を覆すためには、さらに、統合実現するためには月の働き・・・というよりも、月が沼田の問いに答えることが不可欠、と考えていた。なぜなら、いくらナギたち月以外の静真高校生徒会役員全員がいくら頑張っても(、「静真にいる人たち全員は知らないが、浦の星の生徒からすれば、それが当たり前、と、いうか、誰も気づかずに実践している」という沼田の問いのヒントからすれば)浦の星の生徒と密接な関係を築いているのが月だけである以上自分たちがその沼田の問いに答えることなんてできない、そんな認識があったからだった。

 が、ナギ、それを踏まえたうえでこう考えていた。

(でも、たとえ月生徒会長がその沼田の問いに答えることができたとしてもそれを保護者の前で証明しなければ意味がない。そして、月生徒会長がその問いの答えを保護者の前でただ言ったとしてもおいそれと統合反対という保護者の声を打ち消すことなんてできないだろう・・・)

ナギの言う通りである。たとえ月が沼田の問いの答えを見つけたとしても、その答えを保護者の前でただ言うだけでは保護者の声を覆すことなんてできないものである。だって、統合反対の理由である保護者の声、「部活動に対する士気が低い浦の星の生徒たちが部活動に対する士気が高い静真の部活動に入ると、士気低下、対立により静真の部活動に悪影響がでる」、それはある強い信念に基づくものだからである。その信念とは「勝つこそすべて」という考えである。静真高校は木松悪斗の多額の寄付金などのおかげで今では静岡でも1・2位を争うほどの部活動優秀校となっていた。静真高校は全国大会の常連ともいえる部活動を数多く持っている、そのためか、静真の生徒、保護者たちのほとんどが「勝つこそすべて」という考え、強い信念を持っていたのだ。それは、月もしかり、である。たとえどんな過程があったとしても最後に勝てばそれでいい、「勝利」という結果こそすべて、それが静真の生徒たち、保護者たちの共通認識だった。その考え、強い信念がある以上、いくら月が沼田の問いの答えを言ったとしてもその考え、強い信念をすぐに覆すことなんて難しいことは自明の理であった。

 その考えのもと、次にナギは自分たちにできることを考えていた。

(なら、どうすれば月生徒会長が見つけてくれた沼田のじっちゃんの問いの答え、それを保護者たちのあいだで広げることができるのだろうか。月生徒会長講演会を開く、いや、それをしたとしても保護者たちに広めることはできないだろうな。なら、私たちで噂を流す・・・、はっとすそれも却下だな・・・)

ナギ、いろいろ施策を考えていたがなかなか妙案が浮かばない。

 そんななか、考え込むナギにある生徒会役員があることを言った。

「しかし、今回のAqoursのライブはひどかったですね。てんてんバラバラだったし、最後はピンクの髪の子(ルビィ)が大きく転ぶなんて、あれがラブライブ!で優勝したAqoursなのでしょうか。私、ラブライブ!決勝でAqoursのライブを直に見ていたのですが、あのときのライブ、とても幻想的で、私、感動しちゃったのですが・・・」

この役員の言葉、ナギ、ハッとする。

(えっ、Aqoursのライブを直に見て感動した!!)

この言葉をナギは何度も反芻すると、ナギ、その役員の目をぎっしり見つめ、こう言いだした。

「おい、今さっき、ライブで感動したって言わなかった?」

これにはその役員、すぐに、

「は、はい、言いましたよ!!あのときのAqoursのライブ、テレビで見たときよりも感動したことは今でも覚えていますよ」

と、答えた。

 この役員の言葉に、ナギ、あることに気づく。

(Aqoursのライブを直接見たときの方がテレビなどで見るときよりも感動を覚えやすい・・・)

そうである。テレビなどの映像で見るよりも直接ライブを見たときの方が感動を覚えやすいものである。なぜなら、そのライブの臨場感などを直接自分の五感で感じとることができるから。そのことをこのときのナギは気づいたのだった。そのためか、ナギ、

(保護者たちの声を覆す方法、それって、保護者たちに直接衝撃的なことをすればいいのでは?その手っ取りばやい方法、それは・・・、Aqoursのライブ!!)

と、ようやく保護者の声を覆すための方法の糸口を見つけることができた。

 ナギ、その方法について考え始める。

(Aqoursのライブを直接保護者たちの前で見せつける、そうすればそのライブの臨場感などによって感動して考え方を変えるかもしれない・・・)

しかし、ここである疑問が生じる。

(しかし、よく考えてみたら、月生徒会長もその考え、Aqoursのライブを直接(静真の)生徒たちや保護者たちの目の前で見せることで保護者の声を覆そう、のもと、部活動報告会のときにAqoursのライブを実施したけど、それは失敗に終わった・・・)

そうである。部活動報告会での新生Aqoursのライブは今日のナギの考えと同様に月もその考えに基づいて実施したのである。が、木松悪斗たちの妨害、Aqours3年生3人がいないという喪失感がもとで新生Aqoursである千歌たち6人ともに不安・心配の深き海・沼に沈み込んでしまい失敗に終わったのである。そのためか、

(それじゃ、なんであのライブ(部活動報告会でのライブ)は失敗に終わったのか、って考えても、私じゃわからないわ!!)

と、ナギ、その失敗の原因を考えるもさっぱりわからず。まっ、本当の原因は月が全国大会であるラブライブ!に優勝するくらいの実力がある(浦の星の部活の一つ、スクールアイドル部の)Aqoursの実力を静真の保護者たちの目の前で見せつけることで「浦の星の部活動にも実力がある部活がある=(浦の星の生徒たちの)部活動に対する士気が低い」という固定概念を完全否定し、統合反対の原因となっている保護者の声を払しょくさせようとしていた、そんな月の策略が新生Aqoursのライブの失敗ですべて無に喫した、そのライブの失敗の原因が(もう一度言うが)木松悪斗たちの妨害と鞠莉たち3年生3人がいないことによる喪失感によるものだった、というのが正解?なのだが、このときのナギはそのことなんてまったく考えていなかった。

 が、そんなナギ、であるが、あることに気づく。

(でも、今日のライブ、月生徒会長たった一人で考えて実行したのでしょうね。とうのAqoursのみなさんも月生徒会長の思惑通りに動いていた、って考えていいでしょう)

そうである。部活動報告会のライブはなんと月の独断専行の作戦だった。月が独断専行して勝手にやった作戦である。なので、とうの千歌たち新生Aqoursも月の手のひらで踊らされていた・・・のかもしれない・・・。

 そんなことを考えていた、ナギ、ある思いをもってしまう。

(もし、そうであるなら、もし、月生徒会長の独断専行ではなく、私たち生徒会みんなに相談してくれていたらこんな結果にならなかったのかもしれない)

たしかに一理ある・・・かもしれない。月がもしほかの人に相談していたら今回のようなことは起きなかったのかもしれない、少なくとも、月の暴走を食い止めることができたかもしれない。そして、部活動報告会のときの新生Aqoursの状況でライブを行うならどっちみちライブは失敗しただろう。しかし、そのライブをほかの人の意見でもって中止にすることもできたかもしれない。だって、部活動報告会での千歌たち新生Aqoursの状況でライブをしたらそんなこと誰だって失敗するってわかっていたことだから・・・。

 とはいえ、ナギ、その思いをもとにある考えにたどり着く。

(もし、今回みたいにたった1人の独断専行で物事を行うのではなく、みんなと相談して進めていけば今回のことは起きなかったかもしれない。いや、もっといいライブにすることもできたかもしれない!!)

たった1人の独断専行ではなくみんなの合議制にすることでよりよいライブを行うことができる、そう考えた、ナギ、だった。たしかにナギの言う通りかもしれない。たった1人ですべてのことをやるのであればどこかで限界を迎えるかもしれない。しかし、複数の人たちで分担して行えば無理だと思えるものも無理ではなくなるかもしれない。それはたとえ人の考えを変えるほどのライブであったとしてもである。

 そんなナギの考えであったが、それがナギの中で1つのきっかけを与えることになる。

(あっ、そうだ!!今度、Aqoursのライブをする際にはみんなの合議制にしよう!!たった1人ですべてのことを抱え込まなくてよい、みんなと話し合ってより良い考えを採用していこう!!そうすればきっと次のAqoursのライブはより良いものになってくれるはず!!)

次のAqoursのライブ、より良いものにするためにみんなとの合議制にする、そんなことを考えたナギ、このとき、あることを思い出す。

(で、たしか、月生徒会長に、私、(千歌たち)新生Aqours(6人)をよみがえらせてほしい、本来のAqoursを取り戻してほしい、そんなこと、言ったよね。本来のAqoursに戻ることで沼田のじっちゃんの問いに答えることができる、そう、私が思ったから、そう、月生徒会長に、私、そんなことを言ったんだよね)

そうである。ナギは部活動報告会の失敗により浦の星の生徒たち、静真高校生徒会の立場を悪くした、その原因を作った月に対して、昔のAqoursの姿に、元気に、一生懸命に、パフォーマンスをする、本来のAqoursの姿に戻すように月にお願いをしたのである。それは、本来のAqoursの姿に、元気に、一生懸命に、パフォーマンスする、そんな本来のAqoursの姿に沼田の問いの答えが隠されているのではないか、そうナギが思ったからである。

 そんなことを含めたうえで、ナギ、ついにある考えを思いつく。

(もし、月生徒会長がAqoursをもとの姿によみがえさせることができるのであれば、そのAqoursの姿を直接ライブという形で静真の保護者たちの目の前で見せつけることができるのであれば、今度こそ、保護者たちの声を覆すことができるかもしれない!!)

ナギ、このとき、今度こそ本来のAqoursの姿をライブの形で静真の保護者たちの目の前で見せつけることができるなら今度こそ大丈夫かもしれない、そう考えたのである。

 が、このとき、ナギはある心配をしてしまう。

(でも、もし、私たち静真高校生徒会中心でAqoursのライブを実施しちゃうと今日の失敗を繰り返すことになるかもしれない・・・)

たしかにそうかもしれない。ナギたち静真高校生徒会が中心となってAqoursのライブが成功したとしても、その時点ではすべてが解決・・・するわけではなかった。もし、浦の星の生徒であり、全国大会(ラブライブ!)で優勝した実績のある浦の星女学院スクールアイドル部Aqoursのライブを成功させたとしても、一部の保護者たちから言いがかりを言われるかもしれないのである。それは、浦の星の生徒たちのなかで部活動に対する士気が高いのはスクールアイドル部だけではないか、という言いがかりだった。たしかにライブが成功すれば保護者たちの声、統合反対の力は弱まるかもしれない。しかし、ある保護者たちはこう言うだろう、「たしかに浦の星にもスクールアイドル部みたいな部活動に対する士気が高い生徒がいるかもしれない。しかし、それは本当にごく一部であり、ほとんどの生徒は部活動に対する士気が低い」、と。たしかにそう思われても仕方がなかった。この時点、部活動報告会での時点では、「勝利こそすべて」、の考え方が静真の生徒たち、保護者たちのあいだで蔓延していたから。それを打ち消すほどの、それができるといわれている沼田の問いの答えがわからない、そんな今、たとえ、Aqoursの本当の実力を見せつけたとしても、「実力がある=士気が高い」、そんな構図に当てはまる浦の星の生徒はスクールアイドル部の部員、つまり、千歌たち6人のみ、そう思われても仕方がなかった。それは、ライブの失敗のあと、月に向かってナギが指摘したことでもあった。そう考えたとき、ナギにとって自分たちでAqoursのライブの準備を進めるのは静真の保護者たちに対して逆効果かもしれない、そう思えてしまった。

 そのためか、ナギ、

(じゃ、誰がAqoursのライブの準備をすべきなのか?沼田のじっちゃん、それとも、(浦の星のスポンサーだった)小原家?)

と、誰がよみがえった(新生)Aqoursのライブ計画の主体になればいいのか考えてしまう。沼田、それとも、小原家?でも、どちらとも的外れ?かもしれない。

 と、そんなときだった。別の生徒会役員があることを言いだす。

「たしかに、Aqoursのライブってすごいもんね~!!たしか、浦の星の学校説明会のとき、Aqoursって伊豆の山中にあったラブライブ!静岡県予選からいそいで浦の星に戻ったもんね!!そして、その学校説明会で見せたライブ、急いできたとは思えないくらい迫力のステージだったよね!!私、あの学校説明会にこっそり行っていたのだけど、あのときの感動、今も覚えているよ!!」 

その言葉に触発されたのか、今度は別の生徒会役員からもこんな発言が飛び出す。

「たしかにそうだよね!!私、その学校説明会には行かなかったけど、浦の星の閉校祭に行ったとき、まさか閉校や受験などで忙しい時期なのにあんな立派で大きなイベントを開くことができるなんて、浦の星の生徒たちの底力、本当にすごいと思うよ!!」

が、その生徒会役員の発言、ナギ、聞き逃さなかった。

(えっ、とても忙しい時期に大きなイベントを開いた~!!)

 そして、ナギはその生徒会役員の方を向くとその生徒会役員に向かってこんなことを言いだした。

「ねっ、そのこと、詳しく聞かせてよ、浦の星の生徒たち、忙しい時期に大規模なイベントを開いたことを!!」

じっくりその生徒会役員を見るナギ。すると、その生徒会役員はある事実を言いだした。

「はい、たしかに、浦の星の生徒たち、閉校や受験で忙しいはずの2月に閉校祭を開催したそうです。それも、その閉校祭、学校の先生や大人たちは完全にノータッチ、すべて浦の星の生徒たちだけで行った、とのことです。たしか、(浦の星の)学校説明会も(浦の星の)生徒たちが主体となってやっていた、と聞いております」

 この役員の言葉を聞いた、ナギ、あることを考えてしまう。

(学校説明会に閉校祭、そんな大きなイベントを浦の星の生徒たちの力だけで成し遂げるなんて、なんて恐ろしいほどの行動力・・・)

たしかにナギが驚くのも無理ではなかった。浦の星という生徒数が少ない学校で大規模なイベントを浦の星の生徒たちの力だけで成し遂げるなんて現実的にみたらとても無理な話である。静真だって部活動報告会などの大きなイベントのときは先生たち、大人たちの力を借りることはよくある話である。それと同じくらいの規模のイベントをを自分たちの力だけで成し遂げるなんて本当にすごいことだった。

 そんな浦の星の生徒たちの行動力に驚いた、ナギ、そのナギの頭の中に、このとき、あるひらめきが起きる。

(あっ、そうだ!!もしかすると、Aqoursのライブ、浦の星のみんなにお願いすればいいのでは!!そのすごい行動力でもって、Aqoursのライブ、成功へと導いてくれるかもしれない!!)

このときのナギの考えはこうだ。ナギたち静真高校生徒会中心・・・ではなく、よいつむトリオたち浦の星の生徒たちが主体となってAqoursのライブの準備をしてもらったら、そのすごい行動力できっと素晴らしいライブを実現してくれるかもしれない、それも、自分たちのために頑張っている、同じ浦の星の生徒である千歌たちAqoursのためならなおさら・・・である。そんな皮算用がナギの頭の中ではじき出されていた。

 さらに・・・。

(あと、これは思いがけない副産物を生み出すかもしれない。それは、浦の星の生徒たちみんな1つの物事に対して必ず成し遂げる、それほど士気が高い、そのことが証明できること!!もし、それが証明されることができるなら、もしかすると、保護者たちの声を払しょくするくらいの影響力を(静真の)保護者たちに与えるかもしれない!!)

と、ナギ、頭のなかでそんなことまで考えてしまった。たしかにそうである。ある1つの物事を実現するための実行力、行動力、それを維持するためには、その物事を行う人たち1人1人の高い士気が必要である。そんな高い士気が浦の星の生徒達にはある、そのことを大規模なライブの成功でもって証明することができるなら、「浦の星の生徒たちは部活動に対する士気が低い」という保護者の声の大前提が崩れることにもつながる、そうナギは考えたのである。とはいえ、士気が高いもの同士同じ部にいると、もしそれが原因で対立が起きる・・・という問題が残ってしまうのだが・・・。

 とはいえ、ナギ、

「よし、私、決めた!!もし、Aqoursが月生徒会長によって完全復活を果たしたなら、むっちゃんたち浦の星の生徒たち主体でAqours完全復活ライブを、いや、新生Aqoursお披露目ライブをやってもらおう!!)

こう決めたら吉日・・・とばかりにナギの頭の中はそのお披露目ライブのことでいっぱいになってしまった・・・。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。